「AY」と一致するもの

SEKITOVA - ele-king

Sekitova - Premature Moon And The Shooting Star
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 ele-kingの創刊は1995年1月、編集部を作ったのは1994年の秋、初めて友だちとクラブ・イヴェントを企画したのが1993年で、当時の僕はターゲットとする読者やオーディエンスの年齢層を訊かれたらはっきり「17歳」と答えていた。17歳に読んで、聴いて欲しい。企画書にもそう書いた。17歳、セックス・ピストルズの曲名にもあるし、大江健三郎の短編にも「セブンティーン」がある。
 セキトバは、昨年、17歳にしてデビュー・アルバム『PREMATURE MOON AND THE SHOOTING STAR』を発表したDJ/プロデューサーである。「1995年生まれの高校生トラックメイカー兼DJ」として騒がれてしまったようだが、彼のバイオを知らなくても、いや、知らないほうがむしろ『PREMATURE MOON~』を素直に楽しめるんじゃないかと思う。スムーズなグルーヴも心地よいが、繊細なメロディ、アトモスフェリックな音響の加減も魅力的で、デトロイトのジョン・ベルトラン風の優しいアンビエント・テイストもあれば、クルーダー&ドーフマイスター風のダウンテンポからスクリュー、お茶目な遊び心もある。その多彩な曲調、お洒落さ、そしてバランスの良さを考えると、ホントに17歳なのかと信じられない。が、彼は間違いなく、日本のクラブ文化の未来の明るい星のひとつなのだ。
 元旦生まれなので、数日前に18歳になったばかりのセキトバへのメール取材である。


何歳から、どのようなきっかけでハウス・ミュージックを作っているんですか?

SEKITOVA:はじめてDTMを触ったのが14歳の頃なんですけど、その頃はテクノやハウスよりもエレクトロをよりたくさん作っていました。理由は「ディストーションをかけるだけでなんかそれっぽい音が出たから」っていう安直なものなんですけれど。逆にテクノやハウスなんかは音をつくるのがとても難しかったので僕にはなかなかつくれませんでした......。当時はちょうどDigitalismやJunkie XL、Justiceなんかが情報として得やすかったのでそこからエレクトロやその周辺の影響を受けたということもありますね。
 年月を重ねるうちに技術があがってきて、自分のやりたいことが徐々に思い通りに出来るようになってきたので、じゃあ自分のやりたかったことをやってみようって意気込みで始めたのが現在のスタイルです。

子供の頃、ピアノなど、楽器を習っていたんですか?

SEKITOVA:4歳か5歳の頃から10歳の辺りまでまさにピアノを習っていましたが不真面目すぎてまったく上達しませんでした。当時は音楽よりサッカーに夢中で、ピアノ=女々しいと思っていたくらいですし。
 そこからは楽器を習ったりすることだとかは今日までまったくないですね。ただ学校でたまにあった民族音楽を聴く授業はとても好きでした。東南アジアやアフリカのダンサンブルなものがとくに好きで間違いなくいまの僕はそこから影響を受けている部分があります。

たくさんの音楽を聴いているようですが、ご両親からの影響ですか?

SEKITOVA:両親のほかに母方の祖父がジャズの好事家だったり、トラック制作をはじめた頃知り合った人たちにとてもライブラリがあったり周りからの影響はとても強いと思います。
 中学の頃には友だちの母親から立花ハジメやkyoto jazz massiveだとかのCDを貸してもらったりしてました。昔から音楽だけに限らずなにかと大人と接する機会が多かったわけです。
 またインターネットの発達で、年代や距離の障壁がより薄くなっていたことも大きな要因の一つですね。なにせいまはとても簡単にレアトラックにアクセスできる時代ですから。
 あ、もちろんテクノディフィニティヴも買いましたよ!

あ、ありがとうございます! 機材は何を使っているんですか?

SEKITOVA:けっこう驚かれるのですが、GaragebandというDAW(DTM)をつかっています。iMacに最初から入っているソフトウェアで、手軽に遊び始めてからずっとこれですね。最近ではほかの有料DAWも色々使ってみたりしたのですが中々慣れなくて・・・。
Garagebandをシーケンサーとして利用してそこに様々なプラグインやソフトシンセを導入する形でやっています。ハード機材が一切ないので2013年はまずMIDIキーボードを入手するところから始めたいです。

DTMはどうやって学びました?

SEKITOVA:「曲を作ってるうちに出来るようになっていく」というパターンがいちばん多いですね。どうしてもわからないときはインターネットの知恵を借りたりもしますが基本的に面倒くさがりなのでDTM上でだらだらしながら解決策を探す感じです。たまに○○が上手だなんて言われたりもするんですが僕自身技術なんてほとんど勉強したことがないので褒められても言われてる本人はよくわからなかったりします。

レコードとCDではどちらが好きですか?

SEKITOVA:どちらもいいところがあるので難しいですね......。というかあまり対立させるものでもないのでは、と思ったりもします(あるいはもう対立させて語ってもしょうがないのでは、という考え)。
 レコードはやっぱりかっこいいです。よく音質を語る際に「レコードの音には温かみが~~~」なんて言われますが、視覚的にもけっこう温度を持っていると思います。アナログDJの動作なんかはそれだけでヴィジュアライザ要素を果たしてしまうくらいにかっこいいです。
 CDは取り扱いの手軽さが良いですね。手軽ゆえにいろいろ工夫が出来たりして、それを考えるのも楽しいです。レコードショップのドッシリ感も好きなのですが、CDショップでたくさんのCDがズラッと無機質に並んでいるのもテクノ感があって素敵です。

少し前、20代前半の連中に取材したとき、テクノに興味持ってクラブに行っても「30過ぎたおっさんとおばさんしかいなかった」と言われたことがありました。欧米では若年層がメインですが、日本では違います。だから、もし自分がいま20歳前後だったら同じことを思ったかなーと思います。逆に言えばセキトバ君のような若い人がよくテクノを作っているなーと思ったんですが、この音楽のどこが魅力だったんですか? セキトバ君にとってのハウスやテクノの魅力をがんがんに語って下さい!

SEKITOVA:そもそもの話になっちゃうんですけど、僕はテクノをつくってるつもりなんです。DJをするときも作った曲にもどこかしら「ハウス」の文字が入ってしまう僕ですが、ハウスのなかにとてもテクノを感じる曲が好きだし、自分で作るときにも常に頭のなかにはテクノへの憧れと尊敬があります。だから、音的にはハウスかもしれないし、どちらかに言いきっちゃうならばハウスなんですけど、実際ハウスを作っているつもりっていうのはあまりないんです。
 僕が好きなテクノっていうのはその曲やアーティストの思想や哲学をついつい深読みしたくなってしまうようなもので、その思想や哲学を理性で考えさせてくれるのではなく、もっと直感的なところで感じさせてくれるものです。

自分と同世代の人たちにもハウスやテクノを聴いて欲しいと思いますか?

SEKITOVA:常々思っています。

セキトバ君の世代では、たぶん、洋楽を聴いている子すら少ないと思うのですが、音楽の趣味が合う人はいますか?

SEKITOVA:お察しの通り、同じ年代のDJやアーティストでもなかなか僕の好きなテクノ、ハウスについて一緒に同じ価値観から一晩明かせるような人はいないですね。当然学校にもまったくいないです。僕はポップスやほかのジャンルの音楽にあまり抵抗はないので、こちらから話を合わせることはできるし、話に困ったりすることってそんなにないんですけど、やっぱり自分のいちばん好きなところの話をもっと同世代としていきたいです。

自分と同世代や自分に近い世代の音楽って、どんなイメージを持っています?

SEKITOVA:これは難しい質問......。というのも音楽を聴くときにあまり年齢を気にして聴いたりはしない(文脈を踏まえて聴く時には勿論必要な情報にはなってきますけど)ので、イメージって言うイメージが特にないんですよね......。
 基本的に僕らの世代はもう時代やジャンル関係なくいろんな音楽を聴ける環境なので、いろんなルーツを持ってる人がいて面白いなぁとは思います。

DJはどういう場所でやっているんですか?

SEKITOVA:すごく真面目に答えるなら風営法をなぞりながら「そもそもクラブとはなにか」ってところから説明をしないといけないのですが、長くなるので、まず先に省略して答えるなら「DJセットがあって、それなりに音が出るところ」ですね。大阪や関西もそうですが、東京でプレイする機会もそれなりにあって、月に一回とかそのくらいのペースで東京に出てきています。現場でDJをやる前はよくustreamなどインターネットでもやっていました。

IDチェックがあるようなクラブに行けない年齢なわけですが、ハウスやテクノで踊るのも好きなんですよね? 

SEKITOVA:むしろそれがいちばん好きです。

ダブステップ以降のベース・ミュージックだは好きになれなかったんですか? 

SEKITOVA:詳しくはないですけど、けっこう聴いたりしますし、嫌いではないです。好きな曲もいっぱいありますよ。ただ長時間聴くのはやっぱり辛いですね。

とくに影響を受けたDJ /プロデューサーがいたら教えてください。

SEKITOVA:Dave DK、Kink、Tigerskin、Robag Wruhme、Christopher Rau、ADA、Henrik Schwarz
 ほかにもたくさんいるんですけど、いつも必ず頭に出てくるのは彼らです。

80年代や90年代に対する憧れはありますか?

SEKITOVA:これは説明が難しいんですけど、懐古主義的、再興的な意味での憧れは全然ないんです。あくまで自分の理想のサウンドを追求する過程で90年代や80年代の環境や音や世界観が必要になってくるって感じで。だから「80年代や90年代あるいはそれ以前に残されたもの」に憧れはあっても、時代そのものにはあまり憧れはないです。これから後世に憧れられるような時代を僕が作っていけたら素晴らしいですね。

IDMやエレクトロニカにいかなかったのは、やっぱりダンス・ミュージックが好きだからですか?

SEKITOVA:そんなことないですよ、って思ったけれど、やっぱりそうかも知れないですね。もちろんエレクトロニカもすきですが、それ以上にダンス・ミュージックが好きです。エレクトロニカのような技術をもってダンス・ミュージックのなかに分解再構築が出来ればまた理想のサウンドに一歩近づくので、そう言う意味ではこれからもどんどん制作手法としてIDMやエレクトロニカの研究は続けていきたいです。

テクノ以外でよく聴く音楽、これから追求してみたい音楽ってありますか?

SEKITOVA:もっと漠然に「趣味」として最近はヒップホップとか、そういう音楽に興味を持っています。仲の良い知り合いにbanvoxってエレクトロのアーティストがいるんですが、彼がとてもヒップホップに詳しくて、そこから情報をいつも得ています。もちろん音楽としても僕の好きなアーティストもBPMが遅くなっていく過程でヒップホップの要素を入れていったり、もともとヒップホップ上がりだったりなんて事もよくある話になってきたので、これからどんどん聴いていきたいです。

やっぱマルチネ・レコーズの存在は大きかったですか?

SEKITOVA:とても大きいですね。明確な目標のひとつとしても、自分のなかでのトピックとしても、計り知れない大きさがあります。マルチネのサウンドって手広いようで絞られていて、僕がそのなかにいるかどうかって言うと微妙な話なんですが、そのどれもがいろいろな方向に手を伸ばしていて、なおかつ一定以上のクオリティがあってとても影響をうけています。マルチネ主宰のtomadさんなんかはいつも次の一手が気になる存在だし、彼からも大きな影響を受けていますね。

自分の作った音楽を同級生に聴かせることはありますか? その場合、どんな反応がありますか?

SEKITOVA:限定して言えば、むしろはじめは僕の曲を聴いてくれるのなんて親しい男友だちのふたりだけでしたよ。それ以外はネットにあげてもまったくビューなんて伸びませんでしたし。その彼らがいまだに僕の曲を喜んで聴いてくれるのが「SEKITOVA」にとってもっとも嬉しいことのひとつです。彼らはいつも「すごい」と褒めてくれますが、まぁそれは身近な「僕」の事を知ってくれているからこその評価だと思っています。

 本題に戻って答えると、ほか不特定多数の同級生らに自分の音楽を聴かせることはこれまでまったくないですね。僕の名前は龍生って言うんですけど、SEKITOVAと龍生ってある意味では別人というか、なんというかそう言う感覚があって、普段龍生として接している人にSEKITOVAとしての一面を見せる事に違和感が結構あるんですよ。その逆の場合はそうでもないんですけどね。

曲名はどんな風に決めますか?

SEKITOVA:大体の場合は曲から連想するか、いいなと思った言葉をメモっておいてそこから想起して曲を作るか、です。どうしても出てこない時はツイッターとかで呼びかけてもらった答えからつけたりする場合もあります。
 どの場合も基本的に曲を作ってる時間と同じくらい曲名に時間がかかります。曲の世界観をイメージしてその世界の人やモノになりきってインスピレーションを沸かす事がよくあるんですが、たまに親とか姉に見つかって奇異の目でみられます。

アルバムのタイトル『PREMATURE MOON AND THE SHOOTING STAR』にはどんな意味がありますか?

SEKITOVA:もともと自然現象の名前にしようと思ってたのもありますが、僕のなかで「ノスタルジー」ってなんだろうって考えてたら、だんだん思考がそれちゃって、感傷に浸れるような世界ってなんだろうってことを考えるようになり、そのとき直感で出てきたのが思わず背筋が伸びるような、冬の朝の澄んだ青空に出る月だったんです。いわゆる昼の月というモノなんですけれども。それがビビッときてpremature moonとつけました。あとはさっきも書きましたけど名前が龍生なのでそこから音をとって英訳してshooting starとつけました。

アルバムの水墨画は何を表しているのでしょうか?

SEKITOVA:「空間」です。これは水墨画という手法に対してなんですけど。絵になったときに浮き上がってくる滲みであったり、基本的には白と黒の2色なんだけれども、濃淡によってとても表情豊かで眩しすぎるほどにその世界観を表してくれるところに、イーヴンキックのミニマルやダブ、そしてテクノの美学と通ずる所を感じて、という具合です。僕の好きな音楽の「空間」を絵画手法的に表すと、水墨画になるなぁと思ったんです。

DJ/トラックメイカーとしての将来の夢を教えてください。

SEKITOVA:良くも悪くも国内市場が大きくて、ガラパゴス化してしまっているが故の弊害がたくさんある音楽シーンに一石を投じられる存在になれればと思います。
 あと、DJとトラックメイクで生きていきたいです。もちろんセルアウト用の大衆主導のものじゃなくて、僕の好きな音楽だけを作り続けて。いろいろな考えがあるとは思いますが、大衆主導の音楽をつくったり、そういうDJしかしないのは、結局どこどこ勤めのサラリーマンと変わんないじゃんって気持ちがあって。もちろんそう言う人たちのことは本当にすごいと思いますし、サラリーマン自体のことも凄いと思っていますし、存在の必要性もわかっていますが、「僕が音楽で生きていくなら」、常にこちらから提示するアーティスティックな方向性でありたいです。
 そしていまの日本ではそういう生き方が尋常じゃなく難しいし、僕のやってるジャンルなら尚更も良い所なので、そう言う所のインフラ整備というか道も僕が作っていきたいなと思っています。
 ......という野望を達成するにはまだまだ実力も経験も足りなさすぎるので、そこをあげていく事が当面の目標です。

ありがとうございました! 最後に、オールタイムのトップ10 を教えてください。

1. Dave DK - Lights and Colours
2. Akufen - Fabric 17
3. Tigerskin - Torn Ep
4. Daft Punk - Alive 2007
5. Dr.Shingo - Nike+ Improve Your Endurance 2 / initiation
6. Chet Baker - Albert's House
7. MAYURI - REBOOT #002
8. Penguin Cafe Orchestra - Penguin Cafe Orchestra
9. Muse - H.A.A.R.P
10. Underwater - Episode 2

 厳選しすぎると10もいかず、ちょっと基準を緩めるとたちまち10どころか50、60となってしまって、この項目だけ1週間くらい悩んだのですが、やっぱりシンプルに思いついた順から答えていこうということで、こんな感じになりました。たぶんまだまだ経験が足りないのだと思います......。なのでトップ10というか、ここに書いてないものでも好きなのはたくさんあります。

 1はもう言わずもがな、僕が数少ない神と崇めているDave DKのアルバムです。彼はこのアルバム以外にもとても良い曲をたくさん作ってて、どれも本当に好きで、僕にとてつもない影響を与えています。

 2はAkufenによる名門FabricからのDJ MIX。
 Akufenといえば"Deck The House"がとても有名で、僕もそこから入ったんですが、こっちを聴いて本当に鳥肌が立ちました。もとより僕はクリック系の音数が少ないテクノやハウスが好きだったのはあるんですが、そこにグルーヴの概念を痛烈に刻み込んでくれたのは間違いなくこのアルバムです。

 4はおそらく中学2年生の頃、もっとも聴いたアルバムかもしれません。もともと僕が音楽なんて何も知らなかった頃に親が家でよくかけてたのが彼らの伝説的なアルバム、『Discovery』でした。そういう経緯もあってDaft Punkはどのアルバムもとても好きなんですが、その好きな曲たちがこの1枚に凝縮されてるのがたまらないです。ライヴ盤なので生のグルーヴがあるのが本当に良いです。もちろん出てる音はエレクトロニック・ミュージックに基づいた電子の音で、途中途中のアレンジも事前に仕込んだものとはわかってはいるのですが、それでもお客さんのあげる歓声の熱気や空気感から、最高に生のグルーヴが僕に伝わってくるんです。

 7は小学生の頃よく親がかけてました。その頃はうるさくて嫌いだったんですが、あるとき自分から指を伸ばして聴いてみたら、なにかが違って聴こえた感じがしました。ほんとに衝撃というか、いままで意識せずに聴いてきた音楽たちが、その瞬間にすべて脳内でつながった感覚をいまでもよく覚えています。このアルバムのバイオによるとMAYURIさんはセカンド・サマー・オブ・ラヴをリアルタイムで経験していたそうですが、僕にとってのサマー・オブ・ラヴは、間違いなくこのアルバムです。ちなみにこれに入ってるChester Beattyの"Love Jet"ネタのトラックはマジで超ヤバイです!

SEKITOVA
1995年、元旦生まれの高校生トラックメイカー兼DJ。14歳の頃よりDTM でのトラックメイク、16歳でDJとしてのキャリアをスタートさせる。2011 年にはインターネット・レーベル『Maltine Records』よりEP をリリース。その認知度をより深めた。初期には幅広いジャンルの制作を行っていたが次第にルーツであるミニマルテクノやテックハウスにアプローチを寄せるようになる。中でも昨年末にsoundcloudにて発表したアンビエンスなピアノハウストラック『Fluss』は大きな評価を得て、日本のみならずドイツなど本場のシーンからも沢山のアクセスを受けた。DJとしても歌舞伎町Re:animation、新宿でのETARNAL ROCK CITY Fes. への出演など大規模イベントへのブッキングも増えており、これからの活動に期待が寄せられる。

https://sekitova.biz
https://iflyer.tv/SEKITOVA
https://soundcloud.com/SEKITOVA
https://twitter.com/SEKITOVA
https://twitter.com/SEKITOVA_INFO

小林祐介 (THE NOVEMBERS) - ele-king

初めまして。THE NOVEMBERSというバンドで活動をしている小林祐介です。2012年によく聴いた(最近よく聴いている)ものを選びました。今回書かせていただいたチャートを見返すと、個人的に2012年は新たなアーティストとの出会いは少なかったように思いました。(Wild Nothingはele-kingで知りましたが。)
あと、3/10が4ADという結果的な贔屓っぷりにも驚きです。

Chart


1
Godspeed You! Black Emperor - Allelujah! Don't Bend! Ascend! (Constellation)

2
Wild Nothing - Nocturne (Captured Tracks)

3
Chairlift - Something (Columbia)

4
Flying Lotus - Until The Quiet Comes (Warp)

5
Ariel Pink's Haunted Graffiti - Mature Themes」 (4AD)

6
THA BLUE HERB - TOTAL (THA BLUE HERB RECORDINGS)

7
Grimes - Visions (4AD)

8
Scott Walker - Bish Bosch (4AD)

9
OGRE YOU ASSHOLE - 100年後 (VAP)

10
Beach House - Bloom (Sub Pop)

Rilla (Almadella) - ele-king

現京都在住です。
DJ予定
2013/1/19(FRI)GADOGADO@某所(大阪)
2/1(FRI)@fab-space(姫路)
2/3(SUN)BLACK HALL番外編@BLACK BOXxx(京都)
2/10(SUN)@bar txalaparta(徳島)
https://www.almadella.jp/
https://rillamadella.blogspot.com/
https://www.twitter.com/rilla_

2012年ベスト(順不同)


1
Dino Sabatini - Shaman's Paths - Prologue

2
Alex Coulton - Bounce - Dnuos Ytivil

3
Shackleton - Music For The Quiet Hour/The Drawbar Organ Eps - Woe To The Septic Heart!

4
Keihin - This Heat - Almadella

5
Shapednoise - Features Vol.2 - Repitch

6
Deadbeat - Eight - Blkrtz

7
Phrasis Veteris ? Humble Ep - All Inn Black

8
Shifted - Crossed Paths - Mote Evolver

9
Pushim - The Great Songs - KRE

10
Marter - Finding & Searching - Jazzy Sport

 明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします。

 2013年最初は、去年の11月にアクシデント(ハリケーン・サンディで家から出れず、自力で歩いて行った。往復4時間!)で、初めて行った、ファースト・サタデイズをレポートする。
ファースト・サタデイズは、その名前の通り毎月最初の土曜日にブルックリン・ミュージアムで行われるイベントで、スポンサーはターゲット。入場料からアトラクションすべてがフリー。
https://www.brooklynmuseum.org/visit/first_saturdays.php


ブルックリン・ミュージアム外観

 前回は、そこでブルックリン・バンドのSavoir Adore(サヴォア・アドア)を観たり、展示作品やシアター上映も体験でき、一日いても飽きず、もういちど行きたくなるイヴェントである。

 今回のメイン・バンドはDas Racist (ダス・レイシスト)のheemsのソロ。その他、東ヨーロッパのジプシー・ミュージック、ダンス・パフォーマンス・アート、ヒップホップ・ワークショップ、アートの新しい見せ方、「ウォール街を占領せよ」についてのトークなど、盛りだくさん。
筆者の目当ては、Prince Rama(プリンス・ラマ)とLez zeppelin(レッズ・ツェッペリン)。


本イヴェントのフライヤー

 プリンス・ラマは美人姉妹によるサイケデリック・アートなブルックリン・バンド(https://princerama.tumblr.com/)。レッズ・ツェッペリンは、レッド・ツェッペリンの女の子カヴァー・バンド(https://www.lezzeppelin.com/)。
残念ながらプリンス・ラマは逃してしまったのだが、レッズ・ツェッペリンのパフォーマンスに圧倒され、すべてがぶっ飛んでしまった。実際のレッド・ツェッペリンを観たことがないのでとやかく言えないのだが、理解できたのは、ツェッペリンの音楽を男女の壁を超えて最もパワフルに、情熱的に表現したのが、彼女たちであるということだ。


終演後のレッズ・ツェッペリン

 この現代において、パンタロンである。ソバージュである。ヘソ見せである。フラワー・チルドレンである。王道を行く音楽は、観客(+子供たち)にとどまらず、ミュージアム中の人たちをトリコにし、至るところでダンスに狂喜している集団が見えた。終わった後の取り巻きの多さもさすが(警備員も総出)。小さな女の子3人が、「あなたたちみたいなロック・バンドになりたいです!」とみんなで挨拶に行っていたのが微笑ましかった。これぞ、正しいロック・バンドの姿。


4Fからの眺め

 ミュージアムのなかを散策すると、4Fまで、展示物やペインティング、家一軒のミニチュアなど、目の保養、発見で有意義な時間を過ごせ、4Fからは吹き抜けの3Fが見え、ダンス・パフォーマンスを観ることもできるので、ミュージアム鑑賞だけでも十分楽しい。人が多すぎるのと、ドリンクが高い(缶のハイネケンが$6!)のが難点だが、フリーだし、月1回の娯楽として大いに利用させていただきたい。こんなイヴェントを開催してくれるブルックリン・ミュージアムとターゲットに感謝。


展示されたスケートボード

 さて、2013年。スポンサーの助けを借りて娯楽を提供しながら、DIYの本拠地はよい方向に動いている。
サイレント・バーン(https://m.facebook.com/silentbarn)が再オープンし、マーケット・ホテル(https://markethotel.org/)もそれに追いつく勢い、さらにブルックリンのブッキング王、トッド・Pも新しい会場をブシュウィックにオープン予定。2013年もいろんなDIY音楽情報他、ランダムにお届けできるように走り回る予定ですので、サポートよろしくお願いします。

interview with Darkstar - ele-king

E王
Darkstar - News From Nowhere
Warp/ビート

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 公園のベンチに座るのが好きだ。色や匂いが違う。ただそれだけのことだが、ダークスターの『ニュース・フロム・ノーウェア』はその感覚を押しひろげているように感じる。その点で言えば、ビーチ・ハウスの『ティーン・ドリーム』を思わせる。USインディ音楽のドリーム・ポップがUKの湿った土壌で醸成されたというか、いずれにせよ、この音楽にはもうUKガラージやダブステップの記憶はほとんどない。

 ダークスターは、2009年末、〈ハイパーダブ〉からの12インチ・シングル「エイディーズ・ガール・イズ・ア・コンピュータ」によって大々的な注目を集めている。当時はふたり組だったが、その後3人組となった。後から加入したジェイムス・バッテリーはヴォーカリストだ。彼が入る前の「エイディーズ・ガール・イズ~」や「ニード・ユー」は、初音ミクよろしくコンピュータのソフトウェアが歌っている。
 2009年といえば、ダブステップが多様化を極めようとしていた時期だ。ブリアルの影響下でマウント・キンビーやジェームズ・ブレイクが登場、あるいはラマダンマンやSBTRKT、ジョイ・オービソンらが頭角を現していたが、ダークスターのエイデン・ウォーリーとジェイムス・ヤングは他の誰とも違ったアプローチを見せた。それは、ちょっとクラフトーク風の、ロボティックなシンセ・ポップだった。そして、3人組となって録音、2010年の秋にリリースされたデビュー・アルバム『ノース』では、明らかに、がつんと、バッテリーの甘い歌声を活かした楽曲を披露した。それはイングランド北部の喪失感をえぐり出すような、暗く寒い音楽だった。
 しかし、『ノース』は素晴らしいアルバムでもあった。90年代の〈モワックス〉からDJシャドウが、あるいはアイルランドからデヴィッド・ホームズが出てきたときのようなイメージと重なる。憂鬱が今世紀のクラブ・サウンドのなかで見事に音像化されている。いわば灰色の魅力だ。
 対して2年ぶりのセカンド・アルバム──〈ワープ〉移籍後の最初のアルバムとなる『ニュース・フロム・ノーウェア』は、前作以上に、多彩なテクスチャーを見せている。アルト・ジェイの電子版とでも形容できそうな、聴き応え充分のアルバムだ。たとえばこの曲とか。



最初にたまたま作った音楽がダブステップだったっていうのはあるけど......でもいつももうちょっとメロディのある歌ものを作っていたんだ。

そもそもダークスターという名前はどこから来たんですか? 

ジェイムス・ヤング:ダークスターという名前は......なんだろう、ダークな感じっていうだけなんだけど......。最初は『ダークスター』っていうレコードから名前をとったんだ。それで『ダークスター・ヒューマノイド』っていうのにしようと思ってたんだけど、変な名前だなーと思って短くしたんだよ。

オリジナル・メンバーのふたり(エイデン・ウォーリーとジェイムス・ヤング)はどうして出会ったのでしょうか?

エイデン・ウォーリー:もともと僕とジェイムス(Buttery)は友だちだったり、みんなバンドをやってたり、そして全員同じロンドンの大学に通う仲間だった。僕とジェイムス(Young)は当時同じ寮に住んでたりもした。それでジェイムス・ヤングと一緒にダークスターをはじめて、その後ジェイムス・バッテリーも誘って一緒にやりはじめたんだ。ロンドンの東にあるハックニーを拠点に音楽を制作しはじめて、それでいくつか曲ができはじめたって感じで、自然にはじまったっていう感じだね。

ダークスターにはいろんな音楽からの影響を感じますが、音楽をやりはじめたきっかけは、やはりダブステップだったんでしょうか? それとも、別の契機があって作っていたところに、たまたまダブステップが流行っていたから乗ったんでしょうか?

ジェイムス・ヤング:まぁ最初にたまたま作った音楽がダブステップだったっていうのはあるけど......でもいつももうちょっとメロディのある歌ものを作っていたんだ。

ジェイムス・バッテリー:僕たちはいろんな音楽を聴くんだ。もちろんエレクトロニック・ミュージックはたくさん聴くけど、バンドの音楽も聴くし。僕たちはいろいろなものを聴くから"コレ"っていうものにカテゴライズできないと思うよ。もちろんダブステップからはじまってその上にいろいろな音楽の要素が乗ってる感じだね。

〈2010 Records〉は自分たちの自主レーベルだったんですよね? 初期のシングルはダブステップのスタイルでしたが、2007年当時は誰からの影響が強かったのでしょうか?

エイデン・ウォーリー:そうだよ、自分たちを表現するためにもいいかなと思ってさ。さっきも話したけど、最初はダブステップからはじまったけど、僕たちはいろいろなジャンルの音楽を聴くし、とくにカテゴライズしてないと思うよ。

それが2008年に〈ハイパーダブ〉から出した「Need You」あたりから変わっていきますよね。そして2009年の「Aidy's Girl Is A Computer」でいっきに変化を遂げる。実は僕は「 Aidy's Girl Is A Computer」が最初だったんですけど、聴いて一発で好きになりました。ダークスターを語るうえで逃せない重要なシングルだと思いますが、当時、ここで音楽性がいっきに拡張して、ダブステップとは別の方向性を見せた理由は何にあったのでしょうか?

エイデン・ウォーリー:たぶんここ最近の作品は「Aidy's Girl Is A Computer」の手法と同じように作っているからそういう印象を受けるのかもしれないね。とにかくそのとき考えたのは、最高に面白いものを作るってことだったしね。曲を作るときに気をつけたのはバランスだ。エレクトロニック・ミュージックのなかでヴォーカルとダンス・ミュージックの要素を上手くバランスを取って取り入れることが重要だと思うんだ。だからある意味僕たちにとってはチャレンジすることがまだたくさんある。

そしてジェイムス・バッテリーが加入して『ノース』が生まれました。歌が必要なだけならシンガーをゲストで入れれば済む話ですが、敢えてヴォーカリストをメンバーとして入れた背景には何があったのでしょうか? 言葉を必要としたということなのでしょうか?

エイデン・ウォーリー:もっと「歌」を書きたいと思ったからっていうのはあるかな。「歌」があったほうがもっといろいろなチャレンジできるしね。

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イースト・ロンドンのフラットで作ってたんだけど、けっこう荒んだエリアでね......。街ではいつもいろんなことが勃発してて、だからなんとなくそのときのことが反映されていて、エモーショナルで悲しい感じが出ているよね。

『ノース』が生まれた背景にはあなたのどんな思いがあったのか教えてください。そもそもあのとき、何故『ノース』という題名に決めて、インダストリアルな写真をデザインしたのでしょう? 

ジェイムス・バッテリー:基本的にイースト・ロンドンのフラットで曲を作っていたんだけど、8~9カ月くらい制作に時間を費やしたんだけど......いろんな曲を試したし、とくに変わったことをしたわけではなく、通常通りの曲作りをしていたね。正直そのとき自分たちに出来るベストなアルバムを作ろうっていう、ただそれだけだった。
 アルバム・タイトルについては、最後の最後まで決まらなくて、どうすればいいのか迷ってたんだけど、すごくアグレッシヴな"North"っていう曲があって、なんとなくアルバム全体を表しているような気もしたし、僕たち全員北部(ノース)の出身だから、それも意味を成してていいかなって思ったんだ。アートワークについては〈モー・ワックス〉の初期っぽい感じにした。

『ノース』のメランコリーや喪失感はあなた個人の抱えている問題でしょうか? それとも社会の反映なんですか?

エイデン・ウォーリー:イースト・ロンドンのフラットで作ってたんだけど、けっこう荒んだエリアでね......。街ではいつもいろんなことが勃発してて、だからなんとなくそのときのことが反映されていて、エモーショナルで悲しい感じが出ているよね。

ジェイムス・バッテリー:なんかこうやって前のアルバムを振り返るとそのとき気づかなかった点に気づいて、それはそれで面白いよね。そう思うと、最初に作ったアルバムって本当に小さな箱のなかで作業しているような、本当に狭い世界で出来あがったものだなって思うよ。でも僕たちはこの環境にしてはとても恵まれていると思うし、成功しているほうだと思うよ。

『ニュース・フロム・ノーウェア』は『ノース』よりも緻密に、手間暇をかけて作られていますね。音響の処理や録音も素晴らしかったです。まずはこのアルバムの制作に時間のかかった理由から伺います。それは技術的な問題からなのでしょうか、あるいは作品の方向性を決めるうえで慎重な議論を要したからでしょうか?

エイデン・ウォーリー:6~8ヶ月くらい?

ジェイムス・ヤング:まぁ、たくさん時間をかけて作った分、いろんなヴァージョンの曲も出来あがってるから、けっこうな曲数になってると思うね。

ジェイムス・バッテリー:でもマスターテープを作る作業から入れたら11か月くらいかかってない? それに僕が入院してたせいで作業が思うように進まなくて......。

どうしたんですか?

ジェイムス・バッテリー:この家の塀から落ちて背中を打ったんだよ。まだ重いものは持てないけどだいぶ治ってきているから、いまは大丈夫なんだけどね。でも、いいのか悪いのか、おかげで制作期間が延びたことで落ちついて、いろんなことができたのはあった。一回作ったものに対してひと呼吸おいて考えることができるというか。
 まぁ、とくに僕はしばらく寝たきりだったから、個人的には時間がたくさんあった。で、いろいろ考えられたんだけどね(笑)。いまはまたこうやって歩けるようにもなったし、元気になってから3~4曲出来あがったしね。

『ニュース・フロム・ノーウェア』はフィクションですか? 

ジェイムス・バッテリー:つねに「真実」は隠されていると思うけど......でも基本的にはフィクションだね。

エイデン・ウォーリー:リチャード・フロンビーとのレコーディングのあとで、どういうタイトルにすべきかっていう話になったんだ。そのときにアルバムにフィットする言葉じゃないかっていうことで、これにした。

アレンジを凝りつつ、アンビエント・テイストも深めていますよね。1曲目の"Light Body Clock Starter"もそうですが、続く"Timeaway"もそうだし。ビートが際立ってくるのは3曲目の"Armonica"からだし。

エイデン・ウォーリー:アンビエント? それはちょっと違うような気がするなぁ。自分たちとしては、もっとエネルギッシュだと思うし、アンビエントの要素はないように思うんだけどな。前のアルバムよりずっとエネルギッシュだし、ライヴではそれがより顕著に出るしね。

ジェイムス・バッテリー:アンビエントというより、オプティミスティックということだと思う。アルバム全体がいろんな音楽のコレクション的な感じになってるからね。なんていうの? スナップショットの集まりみたいな感じだと思うよ。

たとえば"Armonica"には『ノース』にはなかった気さくさがありますよね。この曲は何について歌っているのでしょうか?

ジェイムス・バッテリー:これはアルバムの最後のほうでレコーディングされた曲なんだ。この曲はとても変な作り方をしたんだよ。僕はクイーンズ・オブ・ザ・ストーンエイジを聴いていて、この曲をアコースティックギターで作った。そしてそれをそのままレコーディングに使って、曲を仕上げていった感じ。だから他の曲ともちょっと毛色が違うかも。いつもなんとなく成行きに身を任せて曲を仕上げていくと、それがいい方向に転がることが多いしね。

"A Day's Pay For A Day's Work"もとても魅力的なメロディの曲で、ダークスターなりのポップ・ソング的なところもある曲だと思います。これは何についての曲なのでしょうか?

エイデン・ウォーリー:今回のアルバムでは、制作とレコーディングのために田舎の一軒家を借りて、そこでライティングをはじめたんだけど、その曲は、家に引っ越す前からライティングをスタートしていた唯一の曲なんだよ。クラシックでありながらも、前進したメロディ・スタイルを持った曲。アルバムのためのデモはたくさんあったんだけど、そのなかでも、レコーディングの間中ずっと完成せずにつねに考えていたのがこの曲なんだ。曲のなかのある部分がいつまでたってもしっくりこなくてね......最後の2、3週間でやっと新しいコーラスを書いて仕上げた。作りはじめたときに感じた曲の可能性に、最後の最後で達成することができた。可能性があることは最初からわかってたんだけど、それをずっと形に出来ずにいたんだ。
 これはオールドファションなポップ・ソングだよね。最初にそれを感じたから、それに従ったほうが良いと思ってね。最後にコーラスができたときは本当にハッピーだったよ。

曲自体の内容はどういったものなのでしょう?

エイデン・ウォーリー:曲の内容は......幸というか......うーん、何ていったらいいかな。クールになることにとらわれていないこととか、自分は自分っていう内容だよ。ありのままの自分にハッピーで、いまの自分でいることでリラックスできてるってこと。気取ったり無理しなくても自分自身でいながら、そのなかに何か良い部分があればそれでいいって感じの内容だね。

とてもUKらしい音楽だと思ったんですが、たとえばシド・バレットや66~7年のジョン・レノンのようなサイケデリック・ロックのシンガー・ソングライターへの共感はありますか? またそうした要素を今回のアルバムで取り入れたいと思いましたか?

エイデン・ウォーリー:そういう音楽って、すごく影響力のある音楽だと思う。3人ともビートルズを聴くし、ピンク・フロイドも聴くし......ジョン・レノンもシドも、ヴォーカル&ピアノ、ボーカル&ギターっていう音楽がすごく上手いよね。彼らの曲を聴けば、感情がうまく表現されてるから、そういったものを思い出すんだ。彼らはふたりとも素晴らしいソングライターだし、評価してるし、たくさん聴いてもいる。だから、それが音楽に反映されてることはあるかもしれないね。共感があるから。

ジェイムス・バッテリー:そもそも僕たちの楽曲制作のアプローチの仕方が彼らに近いと思うんだよね。彼らの音楽に影響を受けたというよりも、何か面白くて新しいものを作るっていう点において共通しているところはあるかもしれないね。もしビートルズやピンク・フロイドからまったく影響を受けずに生きられるのなら、岩の下とか洞窟とか人が生活する環境から遠く離れて隔離された場所にいないと無理だと思うんだ。とくに僕たちイギリス人にとっては生活やカルチャーのなかに組み込まれているものだからね。

今回のアルバムのなかにそういう要素は含まれていると思いますか?

エイデン・ウォーリー:どうだろうね。意識的には何もしてないから。でもないとも言えないよ。僕たちがこのアルバムでやったのは、ただナイスなアイディアを出しあって、そこから全員一致で好きなものを集めて、そのアイディアに境界線は引かなかったってことだけ。もし誰かが本当にナイスでスローなクラシックなポップ・ソングのアイディアを持ってきたとしたら、みんなでその曲に何度も取り組んで、自分たちのサウンドを構築していく。僕たちは、何に対してもノーとは言わないんだ。それが良いアイディアで良いサウンドだったらプレイする。もしそのアイディアとサウンドが機能したら、それは大切なことだから、絶対に活かさないとね。

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3人ともビートルズを聴くし、ピンク・フロイドも聴くし......ジョン・レノンもシドも、ヴォーカル&ピアノ、ボーカル&ギターっていう音楽がすごく上手いよね。

"Young Heart's"の悲しみはどこから来るのでしょうか? 

エイデン・ウォーリー:"Young Heart's"は、他人をリファレンスにした曲のひとつなんだ。自分じゃなくて、誰か他の人やその人のシチュエーションとかを題材にした。考えてみれば、アルバムのなかではそういうのってこの曲だけなんじゃないかな。ジェイムス・ヤングがほとんどの曲を書いたんだ。で、全員でその歌詞にいろいろとアイディアを加えていった。でもメインで書いたのはジェイムスだよ。
 アルバムに収録された曲をいまよく考えてみると、『ノース』でやったことに近い曲のような気がする。この曲は、他人のシチュエーションに関して語っている、他人のストーリーなんだ。悲しみは、たぶんそのストーリーから来てるんじゃないかな。ある女の子が恋人から捨てられるんだ。その恋人は彼女よりちょっと年上で、尊敬していた人。でも、彼女はおいてきぼりにされるんだ。こういうのってけっこう多くの人に起こることだよね。ノース・イングランドでもよくあるんだ。年上の魅力的な男と付き合ったけど最終的には最低な奴で、それを後悔する、みたいなことがね。
 すごく悲しいフィーリングだと思う。それに、ジェイムスの歌い方がすごく感情的なんだ。クールな曲だよ。彼のファルセットの声がすごくソフトでデリケートなんだ。これは最初の時点で「レコードに入るな」って確信した曲。アルバムの残りの曲は、もっと楽観的なフィーリングをもってるんだけど、これは違うんだ。

ジェイムス・バッテリー:僕にとって歌うことは「演じる」ことと同じなんだ。歌うときはとにかく深く自分の体験などを思い出してそのことに没頭するようにして、感情をうまく出せるように努めているよ。それにヨークシャーの風景は切なくてメランコリックな感触がにじみ出ていて、とくに秋は傾向が強くて人びとの仕事に影響を与えていると思うよ。実はこの曲のモチーフはテレビ・ドラマで『This is England』(2009年には日本でも公開されたスキンヘッズの映画のテレビ・ドラマ版。監督はストーン・ローゼズのドキュメンタリーを撮っている)っていうのがあってそこから来ているんだけど......そのドラマの父娘の関係性を描いているのがこの歌の歌詞だよ。ヨークシャー(英国北部の地域)のスラスウェイトはハワースからそんな遠いし、ブロンテ姉妹(ヴィクトリア時代を代表する小説家姉妹)が住んでいた場所だしね。湖に何かいるのかもね......。

"Amplified Ease"なんかとてもユニークな曲ですが、言葉の意味よりも音を重視しているということでもあるのでしょうか?



ジェイムス・ヤング:特別そういうわけではないよ。サウンドって人の気を引く最初のものだと思うから、僕たちは曲にいい雰囲気を盛り込めるように細心の注意を払っているんだ。できるだけ音にも歌詞にも出来るだけ意味を込めるようにしているんだ。ヴォーカルに関してはいつもこういう録り方をしているから、僕たちにとってはとくに目新しいものでないよ。歌詞はいつももっとチャレンジングなものだよね。歌詞は音より主観的になりやすい傾向にあるから難しいよね。歌詞に関しては曲と同じくらいの時間を費やしたからどちらも同じくらい重視しているよ。

エイデン・ウォーリー:トラックによるかも。ヴォーカルのサウンドと他の音が影響し合って良い音が生まれるっていうのは、すごく意味のあることなんだ。もちろん、ときには歌詞は何かを意味してなければいけないし、僕たち全員がその歌詞の内容にたいしてしっくりこないといけない。でもときに、その曲にとっては歌詞がそこまで大切じゃないこともあるんだ。君が言ったトラックは、まさにそういうトラックなんだけど、そのふたつの曲は、音楽で機能してるんだ。歌詞が良いっていうのももちろん大切だけど、控えめでもいいんだよ。つねにハイエンドである必要はないと思うしね。音楽そのものが曲のフィーリングを作って表現していることもあるし。僕たちは、ヴォーカルを音として、つまり楽器として使うことがあるっていうことさ。

ちなみに"Bed Muisc-North View"という曲名の「North View」という言葉にはどんな意味があるのですか?

ジェイムス・ヤング:「North View」というのは僕たちが西ヨークシャーでレコーディングのときに住んでいた家に関係あるんだけど......この家の名前が「North View」だった。

エイデン・ウォーリー:そう、アルバム制作のために借りて住んでた家の名前が、偶然にも「North View」だったんだよ。北を見渡せる家だったんだ。住むまでそんな名前だなんて知らなかったからビックリだったよ。で、ジェイムス・バタリーがレコーディング中にその家で背中を怪我したんだ(笑)。壁からおちて、背中を折ったんだよ。マジな話(笑)。あと2週間でレコーディングが終わるってときで、その夜にちょうどプロデューサーのリチャードと、もうちょっと(レコーディングに)時間が必要だなっていう話をしてたところだったんだ。
 その話をしたあと〈ワープ〉の人たちと何杯か飲みにいって、それからジェイムスが機材をもって家に帰ったら、それが重かったか取ろうとしたかで壁からおちて怪我しちゃってさ......もっと時間が必要って話してる矢先にそんなことが起きて、10週間もプラスで必要になったんだ(笑)。
 もちろんそれは不幸な出来事だったんだけど、彼は今完全に元気。まあ、背は少し低くなったけどね(笑)。それ以外は大丈夫だし、しかもその出来事が、3つのトラックを置き換える新たなチャンスをもたらしたんだ。アルバムに入るはずだったけど、自分たちがしっくりきてなかった3曲をね。"Bed Muisc"は、ジェイムスがその怪我をしてるときにベッドで書いた曲なんだ(笑)。バック・ブレース(背中を固定するもの)をつけながらね(笑)。次のアルバム制作のときも何が起こるかわからない。全員が転んだりしてね(笑)。

アンディ・ストットやレイムのようなインダストリアル・ダブな感覚には共感がありますか? 

ジェイムス・ヤング:とくにないかな。僕はどっちも好きだけどね。

エイデン・ウォーリー:共感で言えば、アンディ・スコットに対してはたぶんあるかも。彼の音楽は好きだし、すごく面白い音楽だと思うから。あの質感が好きなんだ。彼の曲もたくさん聴くけど、でも......ブリアルのほうが僕にとってはビッグ・アーティストだよ。『ノース』の前に12インチなんかを書いてた頃は、彼の音のパレットの素晴らしさに圧倒されていたよ。でも、そういうのを敢えて自分の音楽に取入れようとしてたわけじゃないけどね。

ダーク・アンビエントな感覚に対して興味はありますか?

エイデン・ウォーリー:ないね。そういうのはそこまで聴かないから。いくつかは聴くけど、ライティングで影響を受けるまでじゃない。エイフェックス・ツインみたいなアンビエントの一部はすごく良いと思うけど。彼のダークでアンビエントな作品のいくつかは素晴らしいと思う。だから聴きはするけど、意識的にそれをどうこうするっていうのはないね。自分たちの音楽には、もっと前向きなフィーリングが流れてるから。

フランク・オーシャン、ハウ・トゥ・ドレス・ウェル、エジプシャン・ヒップホップのなかではどれがいちばん好きですか?

エイデン・ウォーリー:フランク・オーシャンのファースト・アルバム。理由は、そのアルバムがとにかく素晴らしいから。すごく新鮮だし、良いヴァイブを持ってる。エナジーもすごいし、生まれたままのサウンドだよね。プロダクションがそうなんだ。でも同時に洗練されてもいて、ヴォーカルとメロディも最高。他の二つは......正直ハウ・トゥ・ドレス・ウェルはそんなにファンじゃない。ときどき頭に音楽が流れるときはあるけどね。
 エジプシャン・ヒップホップはあまり聴いたことがないんだ。でも、今回のレコードのプロデューサーのリチャード・フォームビーが彼らと仕事している。リチャードからいつも彼らがクールで良いミュージシャンだって聴いてるよ。だから、これから聴いてみたいと思ってるんだよね。

それでは、ジェイク・バッグはいまのUKの若者の代弁者ですか?

エイデン・ウォーリー:正直ファンじゃないんだ(笑)。彼がそういう存在なのかはわからない。彼に対して他の人たちにはない魅力やビッグさは感じないなあ......わからない、コメントできないよ。あまり興味がなくて......(笑)。彼が新鮮だとは思わないだけ。彼がやってることは前に誰かがやってきていることだからさ。オリジナルじゃないから。

では、〈ワープ〉のアーティストでいちばん好きなのは誰ですか?

ジェイムス・ヤング:エイフェックス・ツインの影響を受けているのようなやつらがいちばん好きさ(笑)。

エイデン・ウォーリー:うーん......いちばんか......難しいな......誰だろう。マーク・ベルだな。彼の音楽は面白いし、良い人だし、アグレッシヴでインダストリアルなサウンドだと思うから。彼が参加したビョークの作品は本当に素晴らしいと思う。

お正月の5タイトル! - ele-king

 お正月は何を聴きますか? 元旦からお仕事のかたも、例年にまして長い休暇を取られているかたも、おせちとテレビに飽きたらちょっとご参照ください! ライター陣を中心にお正月に聴く5タイトルを挙げてもらいました。ele-kingのお正月はこんなふうです。
 読者のみなさん、今年もありがとうございました。2013年もどうぞよろしくお願いいたします!

木津毅
1. Bon Iver / For Emma, Forever Ago / Jagjaguwar
2. My Morning Jacket / At Dawn / Darla
3. The National / Boxer / Beggars Banquet
4. Iron & Wine / The Shepherd's Dog / Sub Pop
5. The Tallest Man on Earth / The Wild Hunt / Dead Oceans

僕は半分ほどがアラサー女子の成分でできている人間なので、クリスマスに限定のケーキ(今年は〈ピエール・エルメ・パリ〉のフロコン・アンフィニマン・ヴァニーユ)を買い、ワインを飲み、浴びるようにクリスマス・ソングを聴いて年末には燃えつきるので、正月はみなさまと同じくだらけることに決めております。さすがに年始からスプリングスティーンを聴いて、アメリカについて想いを馳せたりはしません。ということで、正月ぐらい、いい男たちのいい歌を聴いて、甘いひとときを過ごしたいです(これは寂寥感ではない)。冬のいい男は、木こり系ですね。

倉本諒
1.Ash Pool - Cremation is Irreversible
2.Law Of The Rope / Crown Of Bone ‎- Law Of The Rope / Crown Of Bone
3.Rev. Kriss Hades - The Wind of Orion
4.Peste Noire ‎- Les Démos
5.Burzum - Filosofem

正月など大嫌いだ。そもそもお節や懐石料理等の常温で食す料理が好きではないし、公共機関をなどの都市機能の能率は低下のためもろもろの事情が遅れつづけるし、 実家も都内にあるため帰省することも別段珍しいわけでもない。そもそも長い極貧生活の中で脂肪を失ったエクストリーム・モヤシ体型の僕にとっていまは一年で最もしんどい時期なのだ。 でも北欧の冬に比べればマシだよねーってことでブラックメタルだけのアンチ祝賀タイトルです。Burzumしかノルウェイじゃないけど。みんなこれを聴きながらコタツに入り、猫の頭頂にみかんなどを載せてニヤニヤしながらアラン・ムーアのフロム・ヘルでも読みましょう。

斎藤辰也(パブリック娘。)
1. John Lennon / Instant Karma(『Lennon Legend: The Very Best Of John Lennon』収録) / Capitol
2. レミオロメン / エーテル / ビクターエンタテインメント
3. ブランキー・ジェット・シティ / 幸せの鐘が鳴り響き僕はただ悲しいふりをする / EMIミュージックジャパン
4. Hot Chip / One Life Stand / Parlophone
5. Zomby / Nothing / 4AD

「ああ、やってやろう!」の気分で満ち溢れている1位。冬はさむいけどワクワクするし春も近いということを思い出させてくれる2位。冬の寒さは身体にきびしい、そして人間は人間に厳しいのだと思い知らされる3位。冬リリースだった思い出もあり、静と動の往来でときを過ごしたい4位。ふざけんな、僕はもうなにも信じない......という気持ちが呼び覚まされるような5位。

竹内正太郎
1.SHINGO☆西成 / スプラウト / リブラ
2.電気グルーヴ / ドラゴン / キューン
3.neco眠る / エンガワ・ボーイズ・ペンタトニック・パンク / デフラグメント
4.サニーデイ・サービス / ムゲン / ミディ
5. PR0P0SE / プロポーズ / マルチネ

編集から依頼のメールがあってからというもの、暇を見つけてはCDラックの前をウロウロしたり、iTunesのライブラリーをキョロキョロしているのだが、正月の気配がまったくしない。なんてこった。わたしは、こんなにも正月と無縁な音楽ばかりを聴いてきたのだ......。辞退しよう。そう思った。それ以前に、「そもそも正月と音楽ってなんか関係あんの?」という負け惜しみ的な疑問を抱いたところ、「でも、一見まったくの無関係な二者に補助線を引くのがライターというものじゃないですかあ」という橋元編集の神の声が降ってきたので、ええいと瞬発的に選んだのがこの5作品。①のあまりにもデカい愛と温かい音。②から④は気持ちのいいポップスを何も考えずに。⑤は単に最近のお気に入り。(あれ、正月あんまり関係ない......)。ひとつだけ言うなら、普段、自分が聴いている音楽と、お茶の間に受け入れられている(ということにされている)ポップス/歌謡曲との距離を嫌でも考えさせられるのが、この年末年始というシーズンの個人的なお約束だったような気がします。みなさま、よいお年を。来年もよろしくお願いします!

橋元優歩
1. Pantha du Prince / Black Noise / Rough Trade
2.M. Geddes Gengras / Title Test Leads / Holy Mountain
3. AKB48 / AKB48 in TOKYO DOME~1830mの夢~スペシャルBOX / AKS
4.吉松隆 / NHK大河ドラマ《平清盛》オリジナル・サウンドトラック 其の二 /日本コロムビア
5.Inc. / 3EP / 4AD

1と5は、帰省の新幹線で。越後湯沢からは特急になるんですが、裏日本の雪原とPanthaの相性は半端ないです。Inc.も薄墨色のR&Bというか、余白がきわだつ音使いやビート感覚が、新幹線の静かなスピードをさらに加速し、窓外を叙情的なエンドロール風に変換してくれるはず......。ベストウィッシュ。よい旅を。

2は大掃除用。経験的に4つ打ちは掃除に向かないです。そしてアンビエントだと床拭きのときなんとなくへこむ。サン・アローとコンゴスのあれのもうひとりの重要人物、ゲングラスさんソロのこのタイトル・トラックは、そのあいだをすばらしく埋めてくれます。3拍めに鍵がある。

3はガチで正月休みにと思い。4は最終回の余韻をまだひきずっているため。現時点で4は未購入ですが、ボカロver.とうわさの"遊びをせんとや"は本作収録。しかし "タルカス"・ブームこなかったですね! クラウトロックがヤングに絶大な影響力を及ぼしているのに対し、ブリティッシュというかシンフォニック系はまったくスルーされている印象です。作中ではとてもキマっています。

本年もありがとうございました。

Photodisco
1.Def Leppard / Animal / Mercury
2.THE WiLDHEARTS / Just In Lust / Eastwest
3.FIREHOUSE / Here For You / Sony
4.Dizzy Mizz Lizzy / Find My Way / EMI
5.SKID ROW / Monkey Business / Atlantic

正月、実家に帰省し、何か音楽を聴こうかなと思うと、いつも聴く音楽は、東京に送っているため、実家のCDラックを見ると、ジャンルで言うところのHR/HMが多く、正月は、HR/HMで年を迎えることが定番となっております。
正月は年の初め、学生時代、初めて影響を受けたHR/HM。
"初心忘るべからず"的なトラックを選びました。

ほうのきかずなり(禁断の多数決)
1.岡本太郎 / 芸術と人生 / NHKサービスセンター
2.The Flaming Lips / Race For The Prize / Warner
3.Lou Reed / Walk on the Wild Side / RCA
4.Prefab Sprout / The Best of Prefab Sprout : A life of Surprises / Sony
5.友部正人 / はじめぼくはひとりだった / 友部正人オフィス

新年を迎えるにあたって気持ちを引き締めるため、まずは岡本太郎の声と言葉を聞くようにしています。太郎の言う「芸術は爆発だ!」という言葉がとにかく大好きで、リップスの『レイス・フォー・ザ・プライズ』はまさに大爆発サウンド。「安全な道と険しい道で迷った場合は険しい道を選べ」と、太郎の言葉にもあるように、ルー・リードの「ワイルドサイドを歩け」を聴いて新年から気を引き締めます。

NaBaBa
1.Dishonored (Bethesda Softwork発売 Arkane Studios開発 / 対応機種Xbox360・PS3・PC)
2.Hotline Miami (Devolver Digital発売 Dennaton Games開発 / 対応機種PC)
3.Far Cry 3 (Ubisoft発売・開発 / 対応機種Xbox360・PS3・PC)
4.Hawken (Meteor Entertainment発売 Adhesive Games開発 / 対応機種PC)
5.Thirty Flights of Loving (Blendo Games発売・開発)

気がつくともう年の瀬ですが、ゲーマー的にはこの年末年始が色々な意味で年間最大の狙い時。Steam等のデジタル販売サイトでは破格の大規模セールが行われるので絶好の買い時ですし、社会人にとっては腰を据えてゲームに打ち込める、数少ない機会でもあります。

そんなわけで最近発売された作品の中から、とくにじっくり遊びたいものを中心に5つほど取り上げさせていただきました。

『Dishonored』は以前連載でも取り上げさせていただいた『Deus Ex』をルーツとした作品。多層構造のマップを自分なりに攻略できる戦略性の高さに、様々な特殊能力を駆使した今時の即興性が組み合わさったゲーム・デザインが特徴で、永らく途絶えていた一人称ステルスゲームを見事現代に復活させました。Viktor Antonovが手がけたアートワークも素晴らしく、個人的に今年のGame of the Yearは本作に決まりです。
https://www.youtube.com/watch?v=-XbQgdSlsd0

『Hotline Miami』は連載の方でも取り上げたのでいまさら言うことはありませんが、それでもなおお薦めしたい一押しタイトルです。シンプルな内容ながらゲームデザイン、ストーリー、ヴィジュアル、音楽と全ての要素が調和していて、ひとつとして無駄がない。ゲームとして卓越していると共に、表現作品としても非常に質が高いと思っています。続編の開発も発表され今後も楽しみな作品ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=6OJ51PG0swE

『Far Cry 3』は名作『Far Cry』と迷作『Far Cry 2』に続くシリーズ3作目のゲリラ戦FPS。ジャングルを舞台に賢い敵AIを相手にゲリラ戦を挑んでいくコアのコンセプトはそのままに、前作のわざとなのかと思うくらいの要素の無さを改善し、いろいろな遊びを詰め込み順当な進化を果たしています。南国の島が舞台で一見すると明るい雰囲気ですが、その実『地獄の黙示録』を下敷きにしているのであろう、全能感の暴走をテーマにしたストーリーにも注目です。
https://www.youtube.com/watch?v=CFll8IVLMVw

『Hawken』はMechを操縦して戦うのが特徴のオンラインFPS。まず何よりもインディーズ離れしたアートワークのレベルの高さが注目点で、マシーネンクリーガーを彷彿させるMechがガシャンガシャン言いながら戦う、ある意味そのロマンが全てと言ってもいい作品。基本プレイは無料なのもお薦めしやすい点ですね。現在オープンベータテスト中で、ゲームバランスは正直まだ詰め切れていない印象ですが、ここから完成度が上がりもっと化ける事を期待しています。
https://www.youtube.com/watch?v=Is9nujmgPBo

『Thirty Flights of Loving』はたった15分で終わる、じっくりとは全く正反対のゲーム。主観視点でのストーリー・テリングのみに特化しており、その意味でゲームと呼ぶべきかどうかも疑わしいですが、表現されているものは既存のゲームに対する明確なアンチテーゼです。過度な演出やいっさいの説明を廃し、行間を読ます内容なのがユニーク。この手の作品のマスターピースにまでは至っていませんが、ひとつの試みとしては興味深い。同梱される前作『Gravity Bone』と併せてお薦めの作品です。
https://www.youtube.com/watch?v=5y1P2BUCeuc

これらのなかの一部は、今後連載の方でも詳細なレヴューをしていきたいと思っていますのでお楽しみに。それでは来年もよろしくお願い致します。

野田努
1.Le Super Biton National De Segou / アンソロジー / Kindred Sprits/カレンティート
2.パブリック娘。 / 初恋とはなんぞや / 自主
3.ジェイク・バグ / ライトニング・ボルト / ユニバーサル
4.Sex Pistols / Never Mind The Bollocks / Virgin
5.Echo And The Bunnymen / Crocodiles / Korova

 20代~30代は、毎年、年末年始はクラブ・イヴェントをハシゴしたものだが、子供が生まれてからは、そういう生活から足をあらったので(子供を女房や親に預けて遊びにいける身分ではないため)、40代以降はもっぱら実家でテレビを見ながら親兄弟たちと会話しているという極めて平凡な時間を過ごしている。
 大晦日は実家の掃除を手伝って、年越しソバを食べて、年が変わったら近所の寺で除夜の鐘の叩いて、お参り。それから寝て、起きて、雑煮を食べて、清水エスパルスが天皇杯の決勝戦に残っていたなら最高だったのだが......しかし、どこのチームであろうと、元旦の1時からはサッカーを見ている。

 それから女房の実家に挨拶に行って、安倍川で凧を上げたり、地元の友だちに会ったりとか、年末年始はなんだかんだで忙しいので、音楽を聴いている時間はない。まあ、強いて思案するなら、コスモポリタンたる小生は、年末年始はなるべくワールドな感じで迎えたいといったところか。シュペール・ビトン・ナシオナル・ド・グゼーはここ数年ヨーロッパに再発掘されたマリのバンドで、新年を迎えるにはほどよい陽気さ、清々しさがある。まだ一度しか聴いてないし、実家でしっかり聴き直したい。
 それから何を聴こうかな......。考えてみれば、実家には自分のレコードもない。芸能人が出ているような番組を見ることもない。たまには音楽を聴かない生活も新鮮だ。他には、山を登ったりとか。読書したりとか......。

 もし自分がいま独身か未婚で、東京に住んでいる人間だったらクラブに行って4つ打ちを浴びていたんだろう。元旦の明け方にそのまま明治神宮まで行っていた頃が、遠い昔のことにように思える。

 他に......正月に聴きたい音楽を考えてみる。まずはゆとり世代の最終兵器、パブリック娘。の「初恋とはなんぞや」だ。そして、シングル曲というものの魅力、シングル主義の面白さをあらためて証明したジェイク・バグの「ライトニング・ボルト」。そして、自分を見つめ直すという意味でセックス・ピストルズの『ネヴァー・マインド・ザ・ボロックス』も聴いてみたい。もう1枚は、訳あってこのところ聴きまくっているエコー&ザ・バニーメン。その理由は来年明かしましょう。
 それではみなさん良いお年を。

松村正人
1.倉地久美夫 / 太陽のお正月 / きなこたけ
2.高橋アキ、クロノス・クァルテット / ピアノと弦楽四重奏曲(モートン・フェルドマン) / Nonesuch
3.前野健太 / オレらは肉の歩く朝 / felicity
4.The KLF / Chill Out / KLF COMMUNICATION
5.Kraftwerk / Autobahn / Vertigo

 私は十二歳の元旦に車に轢かれ、ラッキーにもほんの半歩の差で死ななかった。それがどうも心的外傷になったようで、外にいると死ぬ気がするから正月は出歩かない。カウントダウンにも初詣にも行かない。せめて神社に行ければ、モータリゼーションがこの世から消えてなくなりますようにと祈れるのに。ただ私はじっとしているだけだが、そんなとき部屋に流す音楽は揺らぎがすくないほうがいいのだけれども、どこかに歪みを求めてしまうのは反復強迫なんスかね。

三田格(関東連合
1.シー・シー・シー(クラークス)
2.ヨー・ヨー・ヨー・ヨー(スパンク・ロック)
3.ウー・ウー(イシット・ムジーク)
4.ガ・ガ・ガ・ガ(RCサクセション)
5.ツ・ツ・ツ(カビヤ)

おおお。

内田学 a.k.a. Why Sheep?
1. ベートーベン / 交響曲第9番『合唱』 フルトヴェングラー&バイロイト(1951 バイエルン放送音源) / EMIミュージック・ジャパン
2. U2 / Where the Streets Have No Name(約束の地) / Universal International
3. Ashra(Manuel Gottsching )/ Sunrain / EMI Europe Generic
4. 佐野元春/ヤング・ブラッズ/エピックレコードジャパン
5. モーツアルト/クラリネット協奏曲(演)ベニー・グッドマン、ミュンシュ&ボストン響、ボストン・シンフォニー四重奏団 /Sony Classical Originals

クリスマスで燃え尽きてしまうので、とくに正月を意識して音楽を聴くことはないんだけど、第九で年またぎは儀式化してますね。ちなみに23時9分10秒あたりから第一楽章をスタートすると、年越しした瞬間に第四楽章の「歓喜の歌」の冒頭のコントラバスが静かに聴こえはじめますのでぜひお試しを! 最後のモーツアルトのしかもベニー・グッドマンのクラリネット協奏曲は毎年正月に父がかけてたから。なぜか理由は知らないが......。あ、そういえば僕は元旦生まれなんでした。

2012 Top 20 Japanese Hip Hop Albums - ele-king

 2012年の日本のヒップホップ/ラップのベスト・アルバム20を作ってみました。2012年を振り返りつつ、楽しんでもらえれば幸いです!!

20. Big Ben - my music - 桃源郷レコーズ

 スティルイチミヤのラッパー/トラックメイカー、ビッグ・ベンのソロ・デビュー作。いま発売中の紙版『エレキング Vol.8』の連載コーナーでも紹介させてもらったのだが、まずは"いったりきたりBLUES"を聴いて欲しい。『my music』はベックの「ルーザー」(「I'm a loser baby so why don't you kill me?」)と同じ方向を向いている妥協を許さないルーザーの音楽であり、ラップとディスコとフォークとソウル・ミュージックを、チープな音でしか表現できない領域で鳴らしているのが抜群にユニークで面白い。

Big Ben"いったりきたりBLUES"

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19. LBとOTOWA - Internet Love - Popgroup

 いまさら言う話でもないが、日本のヒップホップもフリー・ダウンロードとミックステープの時代である。ラッパーのLBとトラックメイカーのOTOWAが2011年3月にインターネット上で発表した『FRESH BOX(β)』は2ケ月の間に1万回以上のDL数を記録した。その後、彼らは〈ポップグループ〉と契約を交わし、フィジカル・アルバムをドロップした。「FREE DLのせいで売れないとか知ったこっちゃない/これ新しい勝ち方/むしろ君らは勉強した方がいいんじゃん?」(『KOJUN』 収録の「Buzzlin` 2」)と、既存のシーンを挑発しながら、彼らはここまできた。ナードであり、ハードコアでもあるLBのキャラクターというのもまさに"いま"を感じさせる。

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18. Goku Green - High School - Black Swan

 弱冠16歳のラッパーのデビュー作に誰もが驚いたことだろう。そして、ヒップホップという音楽文化が10代の若者の人生を変えるという、当たり前といえば、当たり前の事実をリアルに実感した。money、joint 、bitchが並ぶリリックスを聴けばなおさらそう思う。そうだ、トコナ・XがさんぴんCAMPに出たのは18歳の頃だったか。リル・諭吉とジャック・ポットの空間の広いゆったりとしたトラックも絶妙で、ゴク・グリーンのスウィートな声とスムースなフロウがここしかないというところに滑り込むのを耳が追っている間に最後まで聴き通してしまう。

Goku Green"Dream Life"

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17. Zen La Rock - La Pharaoh Magic - All Nude Inc.

 先日、代官山の〈ユニット〉でゼン・ラ・ロックのライヴを観たが、すごい人気だった! いま東京近辺のクラブを夜な夜な盛り上げる最高のお祭り男、パーティー・ロッカーといえば、彼でしょう。つい最近は、「Ice Ice Baby」という、500円のワンコイン・シングルを発表している。ご機嫌なブギー・ファンクだ。このセカンド・アルバムでは、ブギー・ファンク、ディスコ、そしてニュー・ジャック・スウィングでノリノリである。まあ、難しいことは忘れて、バカになろう!

Zen La Rock"Get It On"

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16. Young Hastle - Can't Knock The Hastle - Steal The Cash Records

 ヤング・ハッスルみたいなユーモラスで、ダンディーな、二枚目と三枚目を同時に演じることのできるラッパーというのが、実は日本にはあまりいなかったように思う。"Spell My Name Right"の自己アピールも面白いし、日焼けについてラップする曲も笑える。ベースとビートはシンプルかつプリミティヴで、カラダを震わせるように低音がブーッンと鳴っている。そして、キメるところで歯切れ良くキメるフロウがいい。もちろん、このセカンド・アルバムも素晴らしいのだけれど、ミュージック・ヴィデオを観ると彼のキャラクターがさらによくわかる。2年前のものだけど、やっぱりここでは"V-Neck T"を。最高!

DJ Ken Watanabe"Hang Over ft.Young Hastle, Y's, 十影, Raw-T"

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15. MICHO - The Album - self-released

 フィメール・R&Bシンガー/ラッパー、ミチョのミックステープの形式を採った初のフル・アルバム。凶暴なダブステップ・チューン「Luvstep(The Ride)」を聴いたとき、僕は、日本のヤンキー・カルチャーとリアーナの出会いだとおののいた。さらに言ってしまえば......、ミチョに、初期の相川七瀬に通じるパンク・スピリットを感じる。エレクトロ・ハウスやレゲエ、ヒップホップ/R&Bからプリンセス・プリンセスを彷彿させるガールズ・ロックまでが収められている。ちなみに彼女が最初に発表したミックステープのタイトルは『恨み節』だった。凄まじい気合いにぶっ飛ばされる。

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14. D.O - The City Of Dogg - Vybe Music

 田我流の『B級映画のように2』とはまた別の角度から3.11以降の日本社会に大胆に切り込むラップ・ミュージック。D.Oは、「間違ってるとか正しいとか/どうでもいいハナシにしか聞こえない」("Dogg Run Town")とギャングスタの立場から常識的な善悪の基準を突き放すものの、"Bad News"という曲では、「デタラメを言うマスコミ メディア/御用学者 政治家は犯罪者」と、いち市民の立場からこの国の正義を問う。"Bad News"は、震災/原発事故以降の迷走する日本でしか生まれ得ない悪党の正義の詩である。ちなみに、13曲中8曲をプロデュースするのは、2012年に初のアルバム『Number.8』)を完成させ、その活躍が脚光を浴びているプロダクション・チーム、B.C.D.M(JASHWON 、G.O.K、T-KC、LOSTFACE、DJ NOBU a.k.a. BOMBRUSH)のJASHWON。

D.O"悪党の詩"

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13. Evisbeats - ひとつになるとき - Amida Studio / ウルトラ・ヴァイブ

 心地良いひと時を与えてくれるチルアウト・ミュージックだ。タイトルの"ひとつ"とは、世界に広く開かれた"ひとつ"に違いない。アジアに、アフリカに、ラテン・アメリカに。元韻踏合組合のメンバーで、ラッパー/トラックメイカーのエビスビーツは、4年ぶりのセカンドで、すべてを優しく包み込むような解放的な音を鳴らしている。彼にしかできないやり方でワールド・ミュージックにアプローチしている。鴨田潤、田我流、チヨリ、伊瀬峯之、前田和彦、DOZANらが参加。エビスビーツが自主でリリースしているミックスCDやビート集も素晴らしいのでぜひ。

Evisbeats"いい時間"

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12. BRON-K - 松風 - Yukichi Records

 これだから油断できない。年末に、SD・ジャンクスタのラッパー、ブロン・Kのセカンド・アルバムを聴けて本当に良かった。こういう言い方が正しいかはわからないが、クレバの『心臓』とシーダの『Heaven』に並ぶ、ロマンチックで、メロウなラップ・ミュージックだ。ブロン・Kはネイト・ドッグを彷彿させるラップとヴォーカルを駆使して、日常の些細な出来事、愛について物語をつむいでいく。泥臭く、生々しい話題も、そのように聴かせない。オートチューンがまたいい。うっとりする。長い付き合いになりそうなアルバムだ。

BRON-K"Matakazi O.G."

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11. Soakubeats - Never Pay 4 Music - 粗悪興業

 新宿のディスク・ユニオンでは売り切れていた。タワー・レコードでは売っていないと言われた。中野のディスク・ユニオンでやっと手に入れた。これは、トラックメイカー、粗悪ビーツの自主制作によるファースト・アルバムである。「人生、怒り、ユニークが凝縮された一枚」とアナウンスされているが、怒りとともにどの曲にも恐怖を感じるほどの迫力がある。 "ラップごっこはこれでおしまい"のECDの「犯罪者!」という含みのある叫び方には複数の意味が込められているように思う。シミラボのOMSBとマリア、チェリー・ブラウンは敵意をむき出しにしている。"粗悪興業モノポリー"のマイク・リレーは、僕をまったく知らない世界に引きずり込む。ちょっと前にワカ・フロッカ・フレイムのミックステープ・シリーズ『Salute Me Or Shoot Me』を聴いたときは、自分とは縁のないハードな世界のハードな音楽だと思っていた。このアルバムを聴いたあとでは、音、態度、言葉、それらがリアリティを持って響いてくる。そういう気持ちにさせるショッキングな一枚だ。

粗悪興業公式サイト

10. AKLO - The Package - One Year War Music / レキシントン

 「カッコ良さこそがこの社会における反社会的/"rebel"なんです」。ヒップホップ専門サイト『アメブレイク』のインタヴューでアクロはそう語った。アクロが言えば、こんな言葉も様になる。2012年に、同じく〈One Year War Music〉からデビュー・アルバム『In My Shoes』を発表したSALUとともに、ひさびさにまぶしい輝きを放つ、カリスマ性を持ったトレンド・セッターの登場である。日本人とメキシコ人のハーフのバイリンガル・ラッパーは初のフィジカル・アルバムで、最高にスワッグなフロウで最新のビートの上をハイスピードで駆け抜ける。では、"カッコ良さ"とは何か? 最先端のUSラップを模倣することか? その答えの一つがここにある。

AKLO"Red Pill"

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9. ECD - Don't Worry Be Daddy - Pヴァイン

 このアルバムのメッセージの側面については竹内正太郎くんのレヴューに譲ろう。"にぶい奴らのことなんか知らない"で「感度しかない」とリフレインしているように、ECDは最新のヒップホップの導入と音の実験に突き進んでいる。そして、このアヴァン・ポップな傑作が生まれた。イリシット・ツボイ(このチャートで何度この名前を書いただろう)が、サンプリングを大幅に加えたのも大きかったのだろう。USサウスがあり、ミドルスクールがあり、エレクトロがあり、ビッグ・バンド・ジャズがあり、"Sight Seeing"に至ってはクラウド・ラップとビートルズの"レヴォリューション9"の出会いである。

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8. Kohh - Yellow T△pe - Gunsmith Productions

 Kohh & Mony Horse"We Good"のMVを観て、ショックを受けて聴いたのがKohhのミックステープ『Yellow T△pe』だった。「人生なんて遊び」("I Don`t Know")、「オレは人生をナメてる」("Certified")とラップする、東京都北区出身の22歳のラッパーのふてぶてしい態度は、ちょっといままで見たことのないものだった。しかし、ラップを聴けば、Kohhが音楽に真剣に向き合っているアーティストであることがわかる。シミラボの"Uncommon"のビートジャックのセンスも面白い。また、"Family"では複雑な家庭環境を切々とラップしている。"Young Forever"でラップしているのは、彼の弟でまだ12歳のLil Kohhだ。彼らの才能を、スワッグの一言で片付けてしまうのはあまりにももったいない。

Boot Street Online Shop

7. Punpee - Movie On The Sunday Anthology - 板橋録音クラブ

 いやー、これは楽しい! パンピーの新曲12曲とリミックス3曲が収録された、映画をモチーフにしたミックスCDだ。パンピーのポップ・センスが堪能できる。"Play My Music"や"Popstar"では、珍しくポップな音楽産業へのスウィート・リトル・ディスをかましている。そこはパンピーだから洒落が効いている。もうこれはアルバムと言ってもいいのではないか。ただ、このミックスCDはディスク・ユニオンでの数量限定発売で、すでに売り切れているようだ。ポップ・シーンを揺るがす、パンピーのオリジナル・ソロ・アルバムが早く聴きたい!

diskunion

6. ERA - Jewels - rev3.11( https://dopetm.com/

 本サイトのレヴューでも書いたことだけれど、この作品はこの国のクラウド・ラップ/トリルウェイヴの独自の展開である。ドリーミーで、気だるく、病みつきになる気持ち良さがある。イリシット・ツボイがプロデュースした7分近い"Get A"が象徴的だ。"Planet Life"をプロデュースするのは、リル・Bにもトラックを提供しているリック・フレイムだ。エラの、ニヒリズムとデカダンス、現実逃避と未来への淡い期待がトロリと溶けたラップとの相性もばっちりだ。インターネットでの配信後、デラックス版としてCDもリリースされている。

ERA feat. Lady KeiKei"Planet Life"

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5. 田我流 - B級映画のように2 - Mary Joy Recordings

 「ゾッキーヤンキー土方に派遣/893屋ジャンキーニートに力士/娼婦にキャバ嬢ギャルにギャル男 /拳をあげろ」。ECDを招いて、田我流が原発問題や風営法の問題に真正面から切り込んだ"STRAIGHT OUTTA 138"のこのフックはキラーだ。これぞ、まさにローカルからのファンキーな反撃! そしてなによりも、この混迷の時代に、政治、社会、個人、音楽、バカ騒ぎ、愛、すべてに同じ姿勢と言葉で体当たりしているところに、このセカンド・アルバムの説得力がある。ヤング・Gのプロデュースも冴えている。まさに2012年のラップ・ミュージック!

田我流 "Resurrection"

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4. キエるマキュウ - Hakoniwa - 第三ノ忍者 / Pヴァイン

 キエるマキュウは今作で、ソウルやファンクの定番曲を惜しげもなく引っ張り出して、サンプリング・アートとしてのヒップホップがいまも未来を切り拓けることを体現している。そして大の大人が、徹底してナンセンスとフェティシズムとダンディズムに突っ走った様が最高にカッコ良かった。「アバランチ2」のライヴも素晴らしかった! ここでもイリシット・ツボイのミキシングがうなりを上げ、CQとマキ・ザ・マジックはゴーストフェイス・キラーとレイクウォンの極悪コンビのようにダーティにライムする!

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3. MC 漢 & DJ 琥珀 - Murdaration - 鎖GROUP

 ゼロ年代を代表する新宿のハードコア・ラップ・グループ、MSCのリーダー、漢の健在ぶりを示す事実上のセカンド・アルバムであり、この国の都市の暗部を炙り出す強烈な一発。漢のラップは、ナズやケンドリック・ラマーがそうであるように、ドラッグや暴力やカネや裏切りが渦巻くストリート・ライフを自慢気にひけらかすことなく、クールにドキュメントする。鋭い洞察力とブラック・ユーモアのセンス、巧みなストーリー・テリングがある。つまり、漢のラップはむちゃくちゃ面白い! 漢はいまだ最強の路上の語り部だ。長く現場を離れていたベスの復帰作『Bes Ill Lounge:The Mix』とともに、いまの東京のひとつのムードを象徴している。それにしても、このMVはヤバイ......。

漢"I'm a ¥ Plant"

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2. QN - New Country - Summit

 QNは、この通算三枚目を作る際に、トーキング・ヘッズのコンサート・フィルム『ストップ・メイキング・センス』から大きなインスピレーション受けたと筆者の取材で語った。そして、ギター、ドラム、シンセ、ベース、ラッパーといったバンド編成を意識しながら作り上げたという。ひねくれたサンプリング・センスや古くて新しい音の質感に、RZAのソロ作『バース・オブ・ア・プリンス』に近い奇妙なファンクネスがある。そう、この古くて新しいファンクの感覚に未来を感じる。そして、今作に"新しい国"と名づけたQNは作品を作るたびに進化していく。

QN "Cheez Doggs feat. JUMA"

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1. OMSB - Mr."All Bad"Jordan - Summit

 凶暴なビート・プロダクションも楽曲の構成の独創的なアイディアも音響も変幻自在のラップのフロウも、どれを取っても斬新で面白い。こりゃアヴァンギャルドだ! そう言いたくなる。トラックや構成の面で、カニエ・ウェストの『マイ・ビューティフル・ダーク・ツイステッド・ファンタジー』とエル・Pの『Cancer for Cure』の影響を受けたというが、いずれにせよOMSBはこの国で誰も到達できなかった領域に突入した。そして、またここでもミックスを担当したイリシット・ツボイ(2012年の裏の主役!)の手腕が光っている。シミラボのラッパー/トラックメイカーの素晴らしいソロ・デビュー作。

OMSB"Hulk"

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 さてさて、以上です。楽しめましたでしょうか?? もちろん、泣く泣くチャートから外したものがたくさんあります。いろいろエクスキューズを入れたいところですが......言い訳がましくなるのでやめましょう! 「あのアルバムが入ってねえじゃねえか! コラッ!」という厳しい批判・異論・反論もあるでしょう。おてやわらかにお願いします!

 すでにいくつか、来年はじめの注目のリリース情報が入ってきています。楽しみです。最後に、宣伝になってしまって恐縮ですが、ここ10年弱の日本のヒップホップ/ラップをドキュメントした拙著『しくじるなよ、ルーディ』も1月18日に出ます。2000年から2012年のディスク・レヴュー60選などもつきます。どーぞ、よろしくお願いします!

 では、みなさま良いお年を!!!!

ZSといっしょに! 新ガジェットも! - ele-king

 いっぷう変わったイヴェントをご紹介しよう。といっても、イヴェントの概要をまだ完全に咀嚼できたわけではない。さすがZS。どうやら単純に彼らのライヴというわけでもなさそうだ。ちょっと、いっしょに理解していきませんか。

 ※ZSは、2000年代半ばにおいてブルックリンが象徴していた実験的な気風やその勢いを支えたバンドのひとつ。ギャング・ギャング・ダンスやダーティ・プロジェクターズ、アニマル・コレクティヴらと時期を同じくしつつも、フリージャズ的な即興ノイズ・バンドとして随一にして異色の存在感を放ちつづけている。

 まず、ライヴではなく「コラボ・ライヴ・インスタレーション」と銘打たれている。期間中の3日間、公募で選ばれた40人ほどのリミキサーたちが     、彼らのボックスセット・アルバム『ZS』のトラックを即興リミックス。会場では定期的にZSによるライヴ演奏も繰り返され、その他ミュージシャンによってエフェクトをかけられたり音を加えられたりする。そして、そうしたおびただしい音が映像と混じりながら会場に流れる。期間中それはずっととどまることなく、われわれが足を踏み入れる空間には幾多のコラボレーション音源や映像がうつりかわってゆく......「芸術的な音の融合が活発に流動するネットワーク・ルーム」というコンセプトは、どうやらそういうことであるらしい。ちなみに、音のコラボにはToBe(トゥビー)という即興でのリミックスを実現するプラットフォームが利用され、映像の展開にはVid-Voxソフトウェアを使用してライブ・リミックス音源とシンクするビデオ・プロジェクションが用いられるとのこと。

 さらに、PlayButton(プレイボタン)というピンバッジ・プレーヤーの存在も見逃せない。音源を収録できるピンバッジ型のプレーヤーで、どういうものかは一見にしかずであるが(https://playbutton.com/)、これに当日のコラボ音源が収録され、参加者は持って帰って家でも聴くことができると。なんと新手のガジェットまで楽しむことができるようだ。別途料金がかかるようだが興味深い。即興の概念や幅を汎時間的に広げる、ZSらしい実験だと言えるだろう。

サイトには非常に詳しく説明がなされている。
https://transculturepartysystem.com/PARTY/Zs/zs_remixers.html

ガチにも聴けるし、デートくらいのノリで参加しても楽しそうだ。


※以下、VACANT担当氏より補足情報をいただきました! Q&A方式でどうぞ! (追記1/7)

Q:ライヴというよりはライヴ形式のインスタレーションという感じですか?

A:今回のイベントは2部構成になっていて、前半はリミックス・インスタレーション、後半はセッション即興ライブになります。

Q:東京のアーティストだととくに注目の方はいらっしゃいますか?

A:全員です!今回はこういった形で東京のミュージシャンの方々との共演を楽しみにしております。

Q:ZSは日本以外でもこうした演奏をしているのですか?

A:今回の『SCORE』は日本で初披露となります。2月にNYのEcstatic Music FestivalにDJ Ruptureと出演するのですが、その際に1日限定のポップアップでNYでも開催する予定です。

Q:同様のライヴCDが他にも販売されていますか?

A:今回のVACANTでのセッションはその場限り(当日分)のドキュメント音源をPlaybuttonで持ち帰ることができるので、ぜひチェックしてみて下さい。

会期:2013年1月11日(金)~13日(日)
会場:VACANT 2F

open time:
12:00-17:00 (インスタレーション) /
開場17:30 開演18:00 (ライブ)
entrance fee:
¥200(インスタレーション) /
チケット制料金未定 (ライブ)
act(live):
1/11(fri) Shinji from DMBQ
1/12(sat) Dustin Wong
1/13(sun) TBC
act(remixer):
MARUOSA / Katsuya Yanagawa(CAUCUS) / DJ SOCCERBOY / Maekawa Kazuto (ELECTRIC EEL SHOCK) / GAGAKIRISE / DJ MEMAI / Akihiko Ando (KURUUCREW) / PYP / Shirai Takeshi (PRIMITCHIBU) / Tetsuya Hayakawa+Takashi Masubuchi (BUDDY GIRL & MECHANIC) / Sayaka Botanic + Tommi Tokyo (group A) / Tetsunori Towaraya (UP2) / ORINOTAWASHI / Haruhito Shimura / Miyoshi Daisuke / Dustin Wong / and more TBC
venue:VACANT 2F
address:東京都渋谷区神宮前3-20-13
tel:03-6459-2962
planning:Zs / VACANT / Parte / Trans-Culture Party System
support:PlayButton
url:www.n0idea.com

<Zs Japan Tour 2012>
・1/8(tue) 大阪CONPASS w/Vampillia
・1/9(wed) 大阪CONPASS w/Vampillia
・1/10(thu) 東京UNIT w/EP-4 unit with千住宗臣
・1/12(sat) 名古屋 K.D ハポン w/HIGGINGS, Diamond Terrifier, Greg Fox
・1/16(wed) 名古屋 CLUB MAGO w/HIGGINGS, Diamond Terrifier, Greg Fox



<プロフィール>
Zs (ジーズ)
ブルックリンを拠点に活動するアヴァン・ノイズ・バンド。現存する唯一のオリジナルメンバー、サックス奏者・作曲家のSam Hilmer (サム・ヒルマー) によって2002年に結成され、ノー・ウェーブ、フリージャズ、ノイズ、ポスト・ミニマル、電子音楽、即興演奏に至るあらゆるジャンルを横断した、まったく新しい実験音楽の在り方を確立。今年9月「SCORE: The Complete Sextet Works 2002-2007」リリースを期に、ドラマー:Greg Fox (グレッグ・フォックス - 元Liturgy / Dan Deacon / 現Guardian Alien) と、ギタリスト:Patrick Higgins (パトリック・ヒギンズ - 元Animal) がSam Hilmer以外の旧メンバーと入れ替わり加入。ダブのグルーブと独創的なエレクトロニクスをバンドの新機軸とした、より直感的かつ肉体的なライブ・パフォーマンスをして“ニューヨークで最も鮮烈なアヴァン・バンド”と評される。主な過去のリリースに:SCORE: The Complete Sextet Works 2002-2007 (2012, Northern Spy), New Slaves Part II:Essence Implosion! (2011,Social Registry), New Slaves (2010,Social Registry/Power Shovel Audio), Music of Modern White (2009,Social Registry), Arms (2007, Planaria),

tofubeats - ele-king

 『書を捨てよ、町へ出よう』のKindle版をamazonで買ってみたのは、そのときに書いていた原稿で、とある1行を引用しようと本棚を探したのだが見当たらず、そうか、先日、BOOK OFFが引き取っていった大量の本のなかに紛れ込んでしまっていたのかもしれないと思い当たったためだった。それにしても、書を買うのにも、書を捨てるのにも、家を出なくていい時代に、街へ出る理由などあるのだろうか。というか、そこには、わざわざ出ていくに値する魅力などあるのだろうか。そういえば、何をするでもなく街をぶらつくということがめっきりなくなってしまった。最近は、もっぱら、家から目的地へ、それこそ、ハイパー・リンクのように移動するだけだ。または、歩いていても、街並よりスマート・フォンの画面を眺めている時間のほうが長いかもしれない。そんなことを考えながら、ふと、iTunesを立ち上げ、約40年前の楽曲と2012年の楽曲を続けて再生してみた。たとえば、そこで歌われている街と人の関係にも変化があるのではないか。

 「七色の黄昏降りて来て/風はなんだか涼しげ/土曜日の夜はにぎやか」。アイズレー・ブラザーズの"イフ・ユー・ワー・ゼアー"を下敷きにした軽やかなファンクの上、22歳の山下達郎がみずみずしい声で歌っている。「街角は いつでも 人いきれ/それでも陽気なこの街/いつでもおめかししてるよ/暗い気持ちさえ/すぐに晴れて/みんなうきうき/DOWN TOWNへ くりだそう」。先日、『CDジャーナル』誌で、ライターの松永良平と対談した際、このシュガー・ベイブの楽曲"DOWN TOWN"(75年)についての話になった。それは、「あたらしいシティ・ ポップ」と題した特集記事のひとつで、テーマは、2012年、山下達郎や松任谷由実のベスト・アルバムが売れる一方、インディ・ポップにおいても、"シティ・ポップ"が裏のモードと言っていいような様相を呈していた理由を探ることにあった。

 たとえば、かせきさいだぁはその名も『ミスターシティポップ』というアルバムをリリースしている。彼はすでに長いキャリアを持っているが、シティ・ポップをキャッチ・コピーに掲げ、山下達郎そっくりの歌声を聴かせる83年生まれのジャンク・フジヤマも話題になったし、一十三十一の5年振りのオリジナル・フルレンス『CITY DIVE』のブックレットでは、プロデューサーのクニモンド瀧口が、制作の発端を、彼女の「ルーツでもあるシティ・ポップなアルバムを制作しようという話にな」ったことだと語っている。また、そこで話し相手を務めている、「シティ・ポップスをリアルタイムで聴いて来た」マンガ家の江口寿史は、「これはシティ・ポップスの金字塔アルバムですよ!」と太鼓判を押す。しかし、ふたりは、山下達郎や荒井由美、大貫妙子、吉田美奈子、佐藤博といった名前を挙げながら、同ジャンルについて語る内に、むしろ、その定義の曖昧さを明らかにしていく。「今、いろんな人が選曲したシティ・ポップスのコンピレーション出てるじゃないですか? 僕からすると"これ、ちょっとシティ・ポップスじゃないんじゃないか?"ってのもあって。その人にとってはシティ・ポップっていうか。それぞれ幅広いよね(笑)。"これ!"と言えない何かがあって」(江口)。......はたして、"シティ・ポップ"という言葉は何を指しているのだろう?

 たとえば、木村ユタカ編著『JAPANESE CITY POP』(02年)には、70年代から現在にかけて発表された、計514枚のアルバムが載っているものの、その音楽性は、ロック、フォーク、フュージョン、ディスコ、ブラック・コンテンポラリーと、じつに様々で、決してひと括りにできない。また、"洋楽"をいかに翻訳するかは、明治以降、日本のポピュラー音楽が取り組み続けてきた課題であって、この期間だけの特徴でもない。ただし、同書のディスクガイドがはっぴいえんどのファースト=通称『ゆでめん』(70年)ではじまり、小西康陽、曽我部恵一、スピッツ、ジム・オルークfeat.オリジナル・ラヴ、くるり等が参加したトリビュート・アルバム『Happy End Parade』(02年)で終わるように、そこには、"はっぴいえんど史観"とでも言うべき、明確な基準がある。じつは、同時代的には、"シティ・ボーイ"に比べて、"シティ・ポップ"という言葉は、あまり一般的でなかった。DJ/選曲家の二見裕志が細野晴臣、鈴木茂、大貫妙子等のリリースで知られる〈パナム・レーベル〉のディスコグラフィーからセレクトしたコンピレーション『キャラメル・パパ~PANAMU SOUL IN TOKYO』(96年)の、二見自身によるライナーになると、はっきりと、その音楽性が"シティ・ポップ"と名指されているが、それは、90年代半ば以降、レア・グルーヴの延長ではっぴいえんどからシュガー・ベイブへと続く系譜が掘り返され、歴史化されるなかで(再)浮上したタームだと言えるのではないか。

 一方、シティ・ポップと同時代の音楽を指す言葉に、"ニュー・ミュージック"があって、そちらは広く使われていた。音楽評論家・富沢一誠の著作『ニューミュージックの衝撃』(79年)は、アメリカのコンテンポラリー・フォークをスノッブな若者たちがカヴァーし、そこから、〈フォー・ライフ・レコード〉(井上陽水、吉田拓郎、泉谷しげる、小室等)に代表される、オーヴァーグラウンドなムーヴメントが生まれるまでを追ったルポルタージュだ。あるいは、それは、大瀧詠一が"分母分子論"で批判した、日本のポップ・ミュージックがガラパゴス化する過程だった。実際、同著には、荒井由美が登場するものの、彼女のバックを務め、当時の歌謡曲における洋楽的なセンスを担っていたティン・パン・アレー――言うまでもなく、はっぴいえんどから分派したバンドー――は重視されていない。そんなニュー・ミュージックから現在のJ-POPまでがひと続きと考えると、対するオルタナティヴを、ニュー・ウェーヴとはまた違う文脈で提示する際に、"シティ・ポップ"という歴史がつくられたという側面もあるのかもしれない。

 とは言え、『JAPANESE CITY POP』の続編である『クロニクル・シリーズ~JAPANESE CITY POP』(06年)には、『ヤング・ギター』誌77年2月号の「シティ・ミュージックって何?」という記事が再録されている。「"シティ・ミュージックってどんな音楽なんですか?"と訊かれても困ってしまう」とはじまる同文は、「何なら試しにシティ・ミュージックを定義してみようか?――都会的フィーリングを持ったニュー・ミュージックかな」と、シティ・ミュージックなるものとニュー・ミュージックを区別した後、76年に発表された代表的作品として、南桂孝『忘れられた夏』、山下達郎『サーカス・タウン』、大貫妙子『グレイ・スカイズ』、荒井由美『14番目の月』、吉田美奈子『フラッパー』、矢野顕子『ジャパニーズ・ガール』を挙げているのだから、当時、"シティ・ポップ"という言葉が一般的でなかったとしても、同様の価値観はあったのがわかる。

 ちなみに、前述のクニモンド瀧口は、「僕は敢えて、シティ・ポップと言いたくない派なんです」「本当はシティ・ミュージックって言いたいんですけど」と発言(『CITY DIVE』ライナーより)し、松任谷由実『流線形80'』(78年)からバンド・ネームを引用した自身のユニット"流線形"のファースト・EPにも『シティ・ミュージック』(03年)と名付けている筋金入りだ。『CITY DIVE』のジャケットにしても、松任谷由実『VOYAGER』(83年)へのオマージュなのではないか? グランド・マスター・フラッシュは"ザ・メッセージ"(82年)で都市をジャングルに見立て、サヴァイヴするべき場所として歌ったが、同年代に発表された『VOYAGER』では、都市はリゾートのプールに見立てられ、彼女はそこを優雅に泳いでいる。そして、それこそは、80年代におけるシティ・ポップの核となっていく思想であった。

 はっぴいえんどがシティ・ポップの起源とされるのは、結成当初のコンセプトが、バッファロー・スプリングフィールドのサウンドに日本語の音韻を乗せることだったように、グローバルでソフィスティケイテッドな音楽性を志していただけでなく、何よりも彼等の歌が、シティ=都市に対する批評性を持っていたためだろう。ただし、『ゆでめん』で描かれる都市は、いわゆる"シティ・ポップ"という言葉からイメージされるようなきらびやかなものではない。アルバムは、故郷を捨て、都会で孤独感に苛まれる若者が、なんとか自分を奮い立たせる"春よ来い"ではじまる。作詞を手掛ける松本隆の、「あやか市 おそろ市や わび市では/ないのです ぼくらのげんじゅうしょは/ひとご都 なのです」("あやか市の動物園")や、「古惚け黄蝕んだ心は 汚れた雪のうえに/落ちて 道の橋の塵と混じる」「都市に降る雪なんか 汚れて当り前/という そんな馬鹿な 誰が汚した」("しんしんしん")といった言葉から読み取れるのは、むしろ、近代都市批判である。

 続くセカンド・アルバム『風街ろまん』(71年)における松本の歌詞は、前作に比べて淡々とした情景描写が多く、一見、レイドバックしたフォーク・ロックに向かったサウンドに合わせて、丸くなったように思える。しかし、"風をあつめて"で、何の変哲もない街並の上を路面電車が飛んで行くシーンが象徴するのは、リアリズムではなく、サイケデリックだ。彼は、『ゆでめん』の延長で、現実の都市と対峙するのではなく、架空の都市を夢想することを選んだのだ。

 松本は1949年、東京都港区の青山地域に生まれている。彼のリリシズムの奥深くで疼いているのは、少年時代に始まった東京オリンピックに伴う都市開発で馴染の風景を奪われたことによる喪失感であり、創作行為こそがそれを癒したのだという。

 「ぼくは幼少時代を証明する一切の手がかりを喪失してしまったわけだ。そこには一本の木も、ひとかけらの石も残っていない。薄汚れたセンター・ラインが横たわっていただけだった。」

 「その時、ぼくは見知らぬ街をその都市に見出した。ぼくの知っている街はアスファルトとコンクリートの下に塗りこめられてしまっていた。ぼくはそのことを無為に悲しんだわけではない。だが、ロマンもドラマも特にない戦後世代の永遠に退屈な日常のなかで、そのような幼児体験の記憶まで都市に蝕まれるのが嫌だったわけだ。」

 「ぼくは視る行為に全てを費やした。何も見逃さないこと、街の作るどんな表情も擬っと視つめることによって、ぼくは自分のパノラマ、街によって消去されたぼくの記憶と寸分狂いない〈街〉を何かの上に投影すること、それが行為の指標になったのだ。スクリーンは何でもよかった。眼球の網膜でも、レコード盤の暗い闇の上でも、原稿用紙の無愛想なますめでも。ぼくはそれらのどれにでも、〈もうひとつの街〉である〈風街〉を描こうとした。」

松本隆『微熱少年』(75年)収録、「なぜ(風街)なのか」より

 言わば、シティ・ポップとは、現実の都市に居ながら、架空の都市を夢見る音楽である。はっぴいえんどの場合、それは、前述した通り、近代都市批判を目的としており、『風街ろまん』に収められた"はいからはくち"にしても、シティ・ボーイを揶揄したものだが、しかし、『書を捨てよ、町へ出よう』(67年)で書かれているように、そこは、彼等を家父長制の抑圧から解放してくれる場所でもあったはずだ。そして、同ジャンルも、シュガーベイブの"DOWN TOWN"を転機に、現実の都市をより発展させたものとしての、架空の都市を歌っていく。社会学者の北田暁大は、著作『広告都市・東京』(02年)で、73年、西武グループが〈PARCO〉のオープンとともに、区役所通りを"公園通り"と改名、渋谷を"消費のテーマパーク"化していった戦略について分析しているが、シティ・ポップはそのBGMとなったのだ。

 あるいは、はっぴいえんどは、「亜米利加から遠く離れた 空の下で/何が起こるのか 閉ざされた陸のような/こころに 何が起こるのか」(『ゆでめん』収録、"飛べない空"より)という問題提起からはじまり、「さよならアメリカ/さよならニッポン/バイバイ バイバイ/バイバイ バイバイ」(73年のサード『HAPPY END』収録、"さよならアメリカさよならニッポン"より)という別離の言葉で終わる、第2次世界大戦後の日本の対米従属体制に対するアンビヴァレントな思いを歌い続けたバンドでもあった。その点に関しても、シティ・ポップは、荒井由美が在日米軍調布基地を眺める中央自動車道を"中央フリーウェイ"(76年のアルバム『14番目の月』収録)と呼び換えたように、しだいにアメリカへの素朴な憧れを表出していく。文藝評論家の加藤典洋は著作『アメリカの影』(85年)で、田中康夫のベスト・セラー『なんとなく、クリスタル』(81年)の淡白な文章と過剰な情報の裏に、日米関係に対する批評的な視点を読み取った。数多のレコードが登場する同小説において、主人公の恋人はフュージョン・バンドのメンバー兼スタジオ・ミュージシャンとして活動しているものの、シティ・ポップはどこか馬鹿にされている節がある。それは、ソロ・デビュー直後の山下達郎の内省が、フォロワーである角松敏生(81年デビュー)に至ると、すっかりなくなってしまうことを思えば、仕方のないことなのかもしれない。

 昨今のシティ・ポップ・リヴァイヴァルにしても、単なるキッチュやノスタルジアに留まっている作品も多いが、2012年に発表されたもののなかには、同ジャンルを批判的に検証し、音楽的に発展させようという意思を持つ作品がいくつか見受けられた。たとえば、ceroのセカンド『My Lost City』は、ラスト・トラック"わたしのすがた"の歌詞、「シティポップが鳴らすその空虚、/フィクションの在り方を変えてもいいだろ?」が印象的だ。ファースト『WORLD RECORD』(11年)は、ジャケットが、ヴァイナルA面を"City Boy Side"と銘打っている鈴木慶一とムーンライダース『火の玉ボーイ』へのオマージュということもあって、"2010年代版シティ・ポップ"と評された。そして、その発表から数ヶ月後に起こった3.11に、東京という都市が隠蔽し続けてきた問題の露呈を見た彼らは、アルバムに、F・スコット・フィッツジェラルドがニューヨークの虚像を暴いたエッセイ「マイ・ロスト・シティー」(32年)の名を掲げ、都市から生まれた音楽を変えることで、都市そのものを変えようと考えたのだ。

 他にも、前述の一十三十一『CITY DIVE』では、"Rollin' Rollin'"のアレンジを手掛けたDORIAN、PAN PACIFIC PLAYAのカシーフを起用、シティ・ポップとテック・ハウスの融合に成功している。また、ディスコ・ダブ以降のセンスで日本のポップ・ミュージックをディグ/ミックスした『Made in Japan Classics』シリーズ(04年~)で知られるTRAKS BOYSのCRYSTALが、相棒のK404、イルリメこと鴨田潤と組んだ(((さらうんど)))のアルバムでも同様の試みが行われているが、その完成に際して、CRYSTALのブログにアップされたエントリーは、秀逸な現代シティ・ポップ論である。

「『シティポップ』という言葉を聞いてまず思い浮かべるのは、80年代のある種の日本のポップス。欧米のポップ・ミュージックを消化した洗練された音楽性を志向し、歌詞やビジュアルは、豊かな都会生活とそれを前提としたリゾートへの憧れをテーマとすることが多い。」

「でも当たり前だけど、それはあくまで80年代の日本という場所・時代でこそ成り立った表現の傾向だと思う。」

「インターネットにより情報の格差が少なくなって、都会にいなければ得られない情報やモノはなくなったと言ってもいい。経済状況にしても、高度経済成長末期の繁栄を謳歌した当時とは全く違う。」

「そんな今2012年に『シティポップ』と呼ばれるものがあるとしたら、それはどんなものなのか考える。」

「『シティ=街』は、もはや『都会』を意味しない。それは文字通りの意味で、僕たちが息をして暮らす『街』そのものだ。」

「それは僕にとっては自分が住む長野市だし、勿論東京に住んでいる人だったら、それは東京になるだろう。」

「自分が生活する『街』で、どんな風に遊ぶのか。そこでどうやって人と交わって、どんな『文化』をつくっていくのか。」

「何かに憧れるのではなく、地に足つけて自分の周りを面白くしていって、例え稚拙でも、他でもない自分自身の手で『街』をカラフルに塗り替えていくこと。」

「今『シティポップ』と呼ばれるものがあるとしたら、そんな風に『街』を遊んでいる人たちのためのポップスだと思う。」

CRYSTAL"City & Pop 2012"より


 そして、公園通りが生まれて40年が経った。道沿いの〈PARCO PART2〉は、もう随分と長い間、廃墟のまま放置されている。いまの都市が夢の残骸なのだとしたら、そこに、プロジェクションマッピングさながら、架空の都市を投射する音楽。そんな、2012年を代表するシティ・ポップ・ソング――新しい"DOWN TOWN"が、"水星"だ。正確には、トラックメーカーでヴォーカリストのtofubeatsがラッパーのオノマトペ大臣をフィーチャーしてつくった、同曲のデモ・ヴァージョンがsoundcloudにアップされたのは2010年6月のことだった。翌年9月に、まずはヴァイナルでリリース。続いて、2012年6月にiTunesで配信されるやいなや、総合アルバム・チャートで1位を獲得したという事実は、話題が長続きしないと言われるネット時代にあって、この楽曲の普遍性をまずは数字の面から実証してくれる。

 ただし、"水星"は、これまで挙げてきたアーティストとは違って、シティ・ポップというジャンルを意識しているわけではない。トラックにしても、下敷きになっているのは、テイ・トウワが手掛けたKOJI1200の"ブロウ ヤ マインド"(96年)で、ヒップホップ・ソウル・リヴァイヴァルと評したくなるつくりだ。それでも、なぜ、同曲が同ジャンルを引き継ぎ、更新するものだと考えたのかと言えば、まずは、イラストレーターのMEMOが手掛けた、80年代半ばの少年マンガを思わせるジャケットや、リズムステップループスによる、山下達郎がプロデュースした竹内まりや"Plastic Love"(84年)とのマッシュアップ"I'm at ホテルオークラ MIX"のインパクトが強かったというのはある。しかし、それだけではない。

 あるいは、バックグラウンドにしても、tofubeatsは、シティ=都市ではなく、郊外文化の影響が強い。90年、神戸市近郊のニュー・タウンに生まれた彼は、現在は都心寄りに越したようだが、あくまで地方を拠点に活動を続けている。ちょうど、『水星EP』がリリースされた頃だったろうか、過剰規制問題についての書籍『踊ってはいけない国、日本』を編集するにあたって、摘発が相次いでいた関西のクラブ関係者にヒアリングを進めるなかで、tofubeatsにも面会した。その際、印象的だったのは、出身地のニュータウンについて、酒鬼薔薇聖斗も同地に育っており、あのような、一見、清潔な――その実、異物を徹底的に排除する環境では何らかの歪みが起こるのは当然だと語ってくれたことだ。『書を捨てよ、町へ出よう』の時代とは違って、地方でも家父長制は崩壊しているに等しいものの、そこでは、拙編著で社会学者の宮台真司が言ったところの、新住民による同調圧力が力を増している。ましてや、外に逃げようにも、都市は受け皿として機能しなくなっている。

 そんな閉塞的な状況にいた彼にとって、外の世界に通じる窓となったのは、やはり、ネットだった。「音楽やる友達居なかったけど/そんなに困らずに始まった/掲示板に上げてた.mp3 128kbps まだ中2」。konyagatanakaという、ウェブで活動し、実際に顔を見たひとがいないことで有名なプロデューサーのトラックに、盟友のokadadaとラップを乗せたdancinthruthenights名義の"Local Distance Remix"を聴けば、tofubeatsのネットに対する考えがわかる。ただし、「インターネットが縮めた距離を/インターネットが開いてく 今日も/チャットで話してる 時折顔とか忘れてる/なんか踏み切れないし煮え切らない 気持ち都会の人にはわからない/神戸の端から声だしてるけどちょっとログオフしてたら忘れられちゃうでしょ」というラインの悲哀から読み取れるように、彼は、ネット"が"現場なのではなく、ネット"も"現場なのだと言っているのであって、関係の深い〈Maltine Records〉の活動にしても、ネットとリアルの相互作用こそが重視されていることは、パーティのプロダクトや、周辺に立ち上がりつつある、シェア・ハウス等と結びついた新しいライフ・スタイルによく表れている。

 そして、tofubeatsは、ヒップホップのレプリゼントだけでなく、ディギングという価値観を極めて現代的に、日本的に捉え直す。ブレイクビーツは、もともと、ブロンクスの若者たちが、親のヴァイナルを、親とはまた違った聴き方をすることで生まれたが、彼が掘り下げるのは、例えば、ネットに転がるグレーな音源であり、リサイクル・ショップで投げ売られているユーズドのCDである。神聖かまってちゃんがTSUTAYAでザ・ビートルズやザ・セックス・ピストルズに出会ったように、tofubeatsはBOOK OFFで購入した100円のJ-POPを切り刻み、その名も"dj newtown"名義で発表した。"水星"のメロディと歌詞も、カラオケで"ブロウ ヤ マインド"を流しながら書いたという。後者が収められたKOJI1200のアルバム・タイトル『アメリカ大好き!』に意味を見出すのは深読みが過ぎるとして、彼はアメリカの魅力がなくなり、都市が廃れた時代に、ネットやリサイクル・ショップ、カラオケを通して、郊外で、新しい都市=水星を夢想する。やはり、これは新しいシティ・ポップなのだ。

i-pod i-phoneから流れ出た

データの束いつもかかえてれば

ほんの少しは最先端

街のざわめきさえもとりこんだ
  
"水星"より、オノマトペ大臣のヴァース

「最近"ラップトップは俺らのデッキや"って主張してるんですけど」
 
〈&RWD〉のインタヴューより、tofubeatsの発言

 かつて筆者は、スケートボーダーやグラフティ・ライターの、街をパークやキャンバスに読み替える想像力に希望を見出していた。もちろん、それは、いまでも有効だが、"PCを持って街に出よう"という無線LANについての記事の掲載より10年、ネットが新しい都市をつくり出し、そこから、新しい音楽を生み出しつつあることについて、さらに考えなければいけないだろう。オノマトペ大臣のソロEPは『街の踊り』といい、そこには、"CITY SONG"という楽曲が収められている。他にも、彼とthamesbeatとのユニット=PR0P0SEのデビュー作や、Avec AvecとSeihoのユニット=Sugar's Campaign「ネトカノ」など、同時多発的に鳴り出しているネット時代の新しいシティ・ポップたち。それらをiPhoneに詰めて歩き出せば、彼方に未来のダウン・タウンが見えてくる。

Ambient Music for a New Year selected by Compuma - ele-king

わりと最近の新しめの作品を中心に選ばせていただきました。音と音楽と音像、そして漂いとりまく空間をお楽しみいただけましたら幸いです。ぬくぬく&ヒリーッとどうぞ。

(順不同)

MICHAEL CHAPMAN / Pachydrm

サーストン・ムーアも敬愛するブリティッシュ・フォークSSW孤高の才人MICHAEL CHAPMANのBLAST FIRST PETITEからの静かなる新作。オリジナル&電子音楽リミックス。本人のみによる24:05の爪弾きの円熟と熟練の間合いによるギター・ミニマル・アンビエント・メディテーション「Pachyderm」と同曲のRobert Antonyによるエレクトロニクスでサイケデリック・ドローンな瞑想のギター電子音楽リミックスが24:14にもわたって展開されている。知覚の扉。何もおこらない美しさ。素晴らしい。

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TENTOMUSIK / Am/Rec

すべて午前中に録音したからタイトルも「am/rec」という、ロボ宙さんとのセッションでもおなじみDAUのメンバーふたりによるAMトラベル・アンビエント・ミュージックの黄昏とゆらぎ、カモメのジョナサン。プレイボタンを押したその瞬間から摩訶不思議な佇まいの地平が広がる。時間が進むにつれ、なんだか不思議と気持ちが安らいでくる。これはやはり午前中の陽の光パワーなのか!?私事ではありますが、2012年初頭にサウンドクラウドでフリーでリリースさせていただいたミックス「SOMETHING IN THE AIR PT.2」(現在は無し)のオープニングで、勝手ながらこのアルバムの「船窓から」を使用させていただきました。あのミックスの物語はこの曲がはじまりでした。ありがとうございます。

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ELIANE RADIGUE / Vice Versa Etc...

チベット密教に傾倒した秀逸なるディープな瞑想ドローンの信頼の電子音楽家で知られるフランスの女流音楽家ELIANE RADIGUEの1970年の2台のテープレコーダーのフィードバックによって生み出されたふたつの宇宙。彼女の初期テープによる持続音ドローン傑作。音の処方箋。

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THOMAS KONER / Novaya Zemlya

静謐なる極北のエレクトロニクス・ドローン音響彫刻の圧倒的美学を体験せよ。
Porter Ricksでもおなじみ、サウンドアート大御所THOMAS KONERの深く、深く、吐息、そしてゆっくりとした呼吸と循環。ヒリーっと張り詰めた空気の中で、ため息がでるほどの美しいまどろみを体験してください。

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CHRIS WATSON / Outside The Circle Of Fire

元キャバレー・ヴォルテール、元ハフラー・トリオ、BBC音響技師にしてフィールドレコーディング作家ベテランであるクリス・ワトソン爺の1998年のセカンド・アルバムにしてジンバブエ、カメルーン、南太平洋、そしてコスタリカと世界を旅して動物、鳥、昆虫たちの生活を収音した探検フィールドレコーディング屈指の名盤。驚異の音。研究を重ねたゼンハイザーのサラウンドな高感度マイクに、アナログでのオープンリールにテープレコーダー、DATレコーダー、ミニディスク・レコーダーを通しての臨場感あふれる現地録音の真骨頂22ポイントのダイナミックで繊細&立体的な驚異の音をサウンドスケープを存分にお楽しみください。この圧倒的な音から伝わる世界、そして息吹を感じるしかありません。ナショナル・ジオグラフィックやアニマル・チャンネル的自然科学名盤。

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ROBERT TURMAN / Flux

穏やかなインドネシアのガムランを彷彿させる冬でもポカポカの桃源郷電子音楽アンビエント。知られざるROBERT TURMANによる1981年の作品。ブライアン・イーノのAMBIENTシリーズなどとも同時代に誕生していた珠玉のミニマル・アンビエント傑作。
この心地よさは至福。落ち着きます。カリンバやピアノ、そしてエレクトロニクスやテープを駆使した穏やかな東洋思想的なエキゾチズムの瞑想アンビエント世界。

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USTAD ABDUL KARIM KHAN / 1934-1935

伝説のインド古典音楽の絹の声、USTAD ABDUL KARIM KHANの1934年から1935年までの貴重で香しいSP音源。凛とした佇まいも見事にリイシュー。たおやかに。風がふきます。桃源郷。メディテーション。タンプーラ宇宙。

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DOMINIK EULBERG / Heimische Gefilde

ドイツTRAUMを代表するロマンティスト&アイデアマンDOMINIK EULBERG教授の2007年の珠玉のアルバム。メランコリックでドラマティック&エレクトロニカな美テックハウスと様々な鳥の鳴き声が共存した、DOMINIK EULBERGの鳥好きが興じて制作された、ナレーションと鳥のフィールドレコーディングに導かれ、自身の作品と鳥の紹介と鳴き声が交互に登場するという、未だかつてなかった、自然が奏でる音や音楽とエレクトロニクス音楽を並列で一緒に楽しもう。という試みのユニークなフィールドレコーディング&テクノ珍作にしてハートフルな名作。ラストは、鳥の鳴き声と自然音のみで制作した9:30にも及ぶキュートな楽曲も登場。

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OREN AMBARCHI / Audience Of One

オーストラリアのサウンド・アーチスト重要人物OREN AMBARCHIがギター、ハモンドオルガン、メロトロン、リズムボックスなんかを駆使し、サポートメンバーのヴァイオリン、ピアノ、チェロ、フレンチホーン、ヴィオラ等との生演奏で、至上&詩情のメランコリックで気品あるアンビエント・ドローン・エレクトロニクスを作り上げた。瞑想の中の日だまり的な美麗4部構成の秀作。黄昏の暖かさと心地よさそして壮大で荘厳なドローンに包まれる。

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LOSCIL / Sketches from New Brighton

静寂の中、深く暖かい美学が貫かれたエレクトロニクス・テクノ・ダブのドローン・アンビエントの名品。カナダ・バンクーバーから届けられた、LOSCILことScott Morganによるエレクトロニクスとローズ・ピアノ、ギターとのベーシック・チャンネルばりのミニマルで静かなる深い、テクノでダブなドローン・アンビエント・メディテーションの室内楽的調べ。環境との対話のスケッチ。クールながらもエレガントでクラシカルな雰囲気さえ漂う美しい深海のアンビエント美学が貫かれている。納得の音の仕上がりのマスタリングは12Kの才人Taylor Deupreeが担当。

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■コンピューマの最新ミックスCD『Magnetic』も絶賛発売中!
COMPUMA / Magnetic

『Something In The Air』が脅威のロングセラーとなったコンピューマ先生の最新ミックスCDが出ました! 今回は、彼の出自であるオールドスクール・エレクトロから最新の電子音楽へと展開するファンキーな音楽旅行です! 売れきれる前に聴け!

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