「R」と一致するもの

Outro Tempo II - ele-king

 テクノ、アンビエントなど80年代の埋もれたブラジル音楽に光を当てた〈Music From Memory〉の良コンピ『Outro Tempo: Electronic And Contemporary Music From Brazil 1978-1992』が出たのは2017年。2年後の2019年には続編『1984-1996』もリリースされているが、そのヴァイナルがヒットしたようで、このたびCD化されることになった。めでたい。
 今回もまた、電子音やパーカッションなどを駆使したじつに多種多様な音楽が収録されているのだが、前作が熱帯雨林の奥地だとしたら、第二弾のほうは都市(サンパウロ)だ。MPBが吸引力を失った時代に、インディペンデントで新たな時代を切り拓こうとした音楽家たちの試行錯誤の記録──たとえば、ジョン・ゴメスの解説によれば、ベベウ・ジルベルト『Tanto Tempo』のプロデュースで知られるスバが参加したエヂソン・ナターリの “Nina Maika” は、ボスニア民謡を取り入れることで新たな価値観を呈示した、象徴的な曲なのだという。そういった歴史や文化的背景を知ることができるライナーノーツの翻訳が読めることも、本盤の長所だろう。
 ヴァイナルには未収録の2曲も追加されているので、アナログ盤をお持ちの方も要チェックです。

ミュージック・フロム・メモリーのヒット企画『Outro Tempo』の続編

ベッドルーム、ダンスフロアやアンビエントなどをまたいだ10年代以降の新たな流れ、そのリイシュー側における先駆者であったミュージック・フロム・メモリーの大ヒット企画『Outro Tempo』の第2弾が待望のCD化。
電子音楽、ジャズ、ニューウェイヴにブラジルのローカル・モード。今回もまたいい具合に多くの要素が入り混じった稀有なミクスチャ・サウンドのオンパレード。脱帽です。

V.A.
Outro Tempo II
- Electronic And Contemporary Music From Brazil 1984-1996

Music From Memory
RTMCD-1454
2,500円
CD2枚組
12月10日発売
輸入盤国内仕様(帯・英文解説対訳付)

CD1
01 MAY EAST – MARAKA
02 DEQUINHA E ZABA – PREPOSIÇÕES
03 OHARASKA – A FÁBULA
04 FAUSTO FAWCETT – SHOPPING DE VOODOOS
05 R. H. JACKSON – O GATO DE SCHRÖDINGER
06 EDSON NATALE – NINA MAIKA
07 AKIRA S – TOKEI
08 LOW KEY HACKERS – EMOTIONLESS
09 BRUHAHÁ BABÉLICO – BRUHAHÁ II *** bonus track
10 CHANCE – SAMBA DO MORRO
11 JORGE DEGAS & MARCELO SALAZAR – ILHA GRANDE

CD2
01 PRISCILLA ERMEL – AMERICUA
02 VOLUNTÁRIOS DA PÁTRIA – MARCHA
03 ANGEL’S BREATH – VELVET
04 FAUSTO FAWCETT – IMPÉRIO DOS SENTIDOS
05 INDIVIDUAL INDUSTRY – EYES *** bonus track
06 CHANCE – INTRO-AMAZÔNIA
07 TETÊ ESPÍNDOLA – QUERO-QUERO
08 NELSON ANGELO – HARMONÍA DE ÁGUA
09 JORGE MELLO – A NATUREZA REZA
10 JÚLIO PIMENTEL – GERSAL
11 TIÃO NETO – CARROUSEL

まさかのTR-808をモチーフにした画期的児童書 - ele-king

 ドカッカ ドンツド ツカンド カンカン! こんなのよく思いつきましたな。まさかのTR-808をモチーフにした児童書『エイト・オー・エイト -声と手拍子で遊ぶリズム絵本-』が1月26日に発売される。

 突如ブラックホールに吸い込まれてしまったエイトくんが、そこから脱出すべく、なかよしになったポンピちゃんといっしょに、いろんなリズム遊びを実践していく、というお話。
 さいしょはシンプルな4/4からはじまるものの、ソン・クラーベにシンコペーションにポリリズムにと、これがけっこうガチなのだ。子どもだけじゃない、大人もつい手を叩きたくなってしまう、練りこまれた1冊に仕上がっている。ドカッカ ドンツド ツカンド カンカン!

 著者は、押井守『うる星やつら』の主題歌 “ラムのラブソング” の作曲者として知られるキイボーディストの小林泉美。そして絵を担当したのはなんと、アブカディム・ハック! 昨年『The Book of Drexciya Vol.1』を刊行したばかりのハックだが、本書でもその才は遺憾なく発揮されていて、眺めているだけでもとっても楽しいです。

 なお、この本をつくったのは初代ele-kingの編集者だった大森琢磨。彼の斬新な発想力にも拍手を。

『エイト・オー・エイト - 声と手拍子で遊ぶリズムの絵本 -』
伝説のリズムマシン、TR-808をモチーフにした
リズム遊びと物語の児童書 発売のお知らせ

monogon(モノゴン)は、ローランド株式会社の協力のもと、
世界で愛されるリズムマシンTR-808をモチーフに、掲題の書籍を制作。
2021年1月26日(火)に正式発売します。

子どもたちに、リズムの素朴な楽しさと奥深さを伝える内容であると同時に、
その実、まったく新しいカテゴリの書籍となっています。

書誌情報
書名:エイト・オー・エイト -声と手拍子で遊ぶリズム絵本-
定価:本体3,800円+税
判型:A4判
頁数:28ページ
仕様:リング製本
付録:紙製仕掛け付録「TR-808」付き
ISBN:978-4-9911538-0-8 C8773
対象年齢:小学1年生〜

2021年1月26日(火)
発売予定

■取り扱い
全国書店(トランスビュー取引代行)、
Amazon、楽天ブックス、monogonwebサイト直販

本書の「8つ」のポイント
①ありそうでなかった“リズム脳育”児童書!?
②モチーフは、リズムマシンの金字塔、RolandのTR-808
③「ラムのラブソング」の作曲者として知られる天才、小林“ミミ”泉美が執筆!
④子どものリズム感を養い、リズムの構造理解を促すリズム遊びを収録
⑤デトロイト・テクノのレジェンド、A.QadimHaqq描き下ろしによるイラスト
⑥オリジナルのリズム・パターンを作って遊べる紙製ふろく「TR-808」が付属
⑦リズムと多元宇宙をテーマにした奇想天外な物語
⑧帯文は、電気グルーヴの石野卓球氏!

◆“リズム脳育”児童書!?

右脳的な知覚、左脳的な概念理解、そして声や手拍子を用いた身体表現。
これらをシンクロすることではじめて成立する本書のリズム遊びは、あたまと体を使う一種の知的な体操です。
もちろん、予備知識は一切必要ありません。

これまで多くの音楽児童書は、リズムと銘打つものも含めて、実は歌とメロディが内容の中心でした。
対する本書の主役は、まさにリズムそのもの。
音楽が鳴りはじめれば、誰が教えた訳でもないのに、
手足でリズムをとり、居間のテレビ正面のステージで一心不乱にダンス。
そんなすべての子どもたちのための、ありそうでなかった児童書です。

子どもがひとりで、あるいは家族や友だちと、声と手拍子のリズム遊びをすることで、リズム感を養えるだけでなく、拍や小節、テンポ、グルーヴ、パートの概念といったリズムの基本構造も学ぶことができます。

◆モチーフは日本が世界に誇るリズムマシン、TR-808

言わずと知れた世界のスーパースタンダードTR-808は、発売から40年以上が経過した今でも、そのサウンドを耳にしない日がないほどです。
'80年代前半にヒップホップ、ハウス、テクノの創始者たちが使いはじめ、新しい音楽誕生のきっかけをもたらしたことから、ダンスミュージックを象徴するアイコンとしても、世界中で愛されています。
本書では、そんなTR-808のこの上なくシンプルなインターフェースをお手本に、カラフルなボタンからなる“808マナー”で、全てのリズムをわかりやすく表しました。

◆「ラムのラブソング」の小林“ミミ”泉美が執筆!

著者は『うる星やつら』『さすがの猿飛』『ストップ!! ひばりくん!』の主題歌で日本に「アニソン革命」を起こし、昨今のシティ・ポップの世界的流行により、あらためて注目を集める、小林“ミミ”泉美。
'70〜'80年代は、自身のバンド・ソロ活動のほか、高中正義、松任谷由実、井上陽水などのライブで腕を鳴らし、'85年に渡英。
ファンク、ラテン、アフロなどのスタイルを得意とする凄腕鍵盤奏者として、ヨーロッパを中心に現在も、ライブ活動を展開中。
そんな小林が、自身の練習法などをもとにリズム遊びを考案、執筆しました。

◆デトロイトのレジェンド、Haqqによる描き下ろしイラスト

ファンキーな表紙をはじめとする本書の全イラストは、なんとデトロイト・テクノの生き証人ともいうべき伝説的ビジュアリスト、A.QadimHaqqの手によるもの。
彼がこれまでに手掛けた数々の名盤のアートワークにも通じる独創的な世界感が、
子どもたちの感性を否が応にも揺さぶります。

◆史上初! 紙製「TR-808」付録つき

16本のバーを上下に動かしてオリジナルのリズムパターンを組むことができる仕掛け付録、その名も「TR-808」が付属します。


著者プロフィール

小林“ミミ”泉美 / 文

アニメ『うる星やつら』『さすがの猿飛』『ストップ!! ひばりくん!』など、数々のテーマ曲の作編曲と、ヴォーカルで知られる鍵盤奏者・作曲家。
1976年にASOCAを結成。1977年にメジャーデビュー後、“小林泉美&Flying Mimi Band”名義でアルバムを2枚、ソロ名義で4枚発表。
セッション・ミュージシャンとして、パラシュートや高中正義のバンドに参加するかたわら、松任谷由実や井上陽水のバックバンドでも活動した。1981年にアニメ『うる星やつら』の主題歌「ラムのラブソング」を作曲して名を広め、その後『うる星やつら』の関連曲を中心に、アニメや映画、ドラマなどの楽曲を手掛ける。
1985年に渡英後は、R&Bユニット、Moves In Motionを結成したほか、Depeche ModeやSwing Out Sisterの音源にも参加。ベルリン・ダブ・テクノのパイオニアMoritz von Oswaldとのバンド活動、Derrick Mayの作品への参加など、クラブ・ミュージックにも接点を持つ。2017年以降は、アフロ・ファンクバンド、The Scorpiosのキーボーディストとして活躍中。
シティ・ポップの世界的な流行によっても、新たな注目を集めている。

アブカディム・ハック

ミシガン州デトロイト生まれ、デトロイト育ちのビジュアル・アーティスト/アフロ・フューチャリスト。デトロイト・テクノの最重要レーベルのひとつ、Transmatでの活動を皮切りに、1989年からテクノ音楽コミュニティに貢献する。
1998年には、Underground Resistanceに加入。
これまでに、数えきれないほど多くのデトロイト・テクノの名盤のアートワークを手掛けてきた彼の活動の歴史は、すなわちデトロイト・テクノの歴史といっても過言ではないほど。彼が手掛けた代表的なアートワークは、Juan Atkins、Metroplex、Derrick May、Transmat、Underground Resistance、Kevin Saunderson、Carl Craig、Drexciyaなど、錚々たるアーティスト、レーベルの作品で目にすることができる。
なお、幼少期に観た日本のアニメ、『Battle of the Planets』(『科学忍者隊ガッチャマン』のアメリカ版)、『Robotech』(『超時空要塞マクロス』『超時空騎団サザンクロス』『機甲創世記モスピーダ』を再編集した海外版)は、彼の想像力の源泉のひとつになっている。
2020年には、ドイツの名門テクノ・レーベルTresorより、グラフィック・ノベル『The Book of DrexciyaVol.1』を刊行した。

R.I.P. Sylvain Sylvain - ele-king

 偉大なるパンクの先駆者、ニューヨーク・ドールズのギタリストとして知られるシルヴェイン・シルヴェインが2年以上におよぶ癌との闘病の末に亡くなった。

 本名はロナルド・ミズラヒ。1951年にカイロで生まれたシリア系ユダヤ人で、1956年のスエズ動乱の際に家族でフランスを経てアメリカに渡り、ニューヨークのクイーンズに落ち着く。渡米して最初におぼえた英語は「ファック・ユー」だったという。
 ドールズのオリジナル・ドラマーだったビリー・マーシアはコロンビアからの移民で、シルヴェインとは近所に住む幼馴染だった。ふたりはやがて服飾関係の仕事に進み、その経験がのちのドールズの斬新な衣装に活かされる。

 ジョニー・サンダースをフロントに据えたバンド、アクトレスにビリーとともに参加。ここにデヴィッド・ヨハンセンが加わりニューヨーク・ドールズのラインナップが完成する。マーサー・アーツ・センターという複合施設で定期的にライヴをおこなうようになったドールズは、ド派手な衣装とハイヒール・ブーツにギラギラのメイクという姿でシンプルなロックンロールを演奏するステージが評判を呼び、70年代初頭のニューヨークにおけるもっともホットなバンドとなっていく。アンディ・ウォーホール周辺をはじめとする当時のヒップな面々が集ったという。グラム前夜のデヴィッド・ボウイもしばしば訪れている(ヨハンセンに「その髪型、誰にやってもらったの?」と尋ねたそうだ)。
 ビリーの死後にドールズのドラマーとなるジェリー・ノーランは、初めてドールズを観たときの衝撃を「すげえ! こいつら、他に誰もやってないことをやってる。三分間ソングが戻ってきた!」と表現している。「当時といったら、ドラム・ソロ十分、ギター・ソロ二十分って時代だったから。一曲だけでアルバム片面終わっちゃったりね。そういうのには、もううんざりしてた」(『
プリーズ・キル・ミー』より)。まさにパンクだったのだ。ドールズがロックに取り戻したのは、シャングリラスに代表されるガール・グループのポップスとロックンロール、すなわち五十年代だった。

 デヴィッド・ヨハンセンとジョニー・サンダースという強烈なスターをフロントに擁するドールズだが、ソングライティング面におけるシルヴェインの貢献も見逃せない。デビュー作『ニューヨーク・ドールズ』収録曲の中でも速い “フランケンシュタイン” やエディ・コクランのギター・リフを取り入れた “トラッシュ” はシルヴェインとヨハンセンのペンによるものだし、ソロ・アルバム『シルヴェイン・シルヴェイン』に収録された “ティーンネイジ・ニュース” はパワーポップの名曲として知られている。

 マネージャーとなったマルコム・マクラーレンとの関係悪化などもあり、ジョニーとジェリーはバンドを脱退。シルヴェインとヨハンセンはバンドを続け、75年には内田裕也の招聘で来日もしているが、ロンドンでのパンクの勃興を横目に間もなく解散する。シルヴェインはソロやティアドロップス、クリミナルズといったバンドで80年代に数枚の作品を発表しており、『シルヴェイン・シルヴェイン』をはじめ佳作も多いのだが残念ながら大きな成功を収めるには至らなかった。

 90年代にはジョニー・サンダースとジェリー・ノーランが続けざまに亡くなるが、2004年にまさかのドールズ再結成。きっかけは英国におけるファンクラブ会長だったモリッシーの熱いリクエストによるものである。このときの様子はベースのアーサー・ケインをフィーチャーしたドキュメンタリー映画『ニューヨーク・ドール』に記録されている。ミュージシャンを引退し、図書館員として働いていたアーサーがスタジオを訪れると、そこではまさにシルヴェインがリハーサルを仕切っていた。
 復活ライヴの直後に今度はアーサーも亡くなるがバンドは活動を継続し、再結成後に3枚のアルバムを残している。特に最後のアルバムとなった『ダンシング・バックワード・イン・ハイヒールズ』(2011)は、ヨハンセンのソロ作品でのスウィング・ジャズやキャバレー音楽の雰囲気を取り入れた異色の傑作だった。

 筆者はシルヴェインのステージを3回観ている。最初は2008年、スペインのフェスでのニューヨーク・ドールズ。2回目は2016年のソロ来日。そして最後は2018年、「ザ・ドールズ」という名義でニューヨーク・ドールズの曲を中心に演奏するというものだった。
 3回とも、陽気でチャーミングな姿が印象に残っている。特にオリジナルメンバーがふたりだけとなったニューヨーク・ドールズは、カリスマ性の強いヨハンセンと盛り上げ上手なシルヴェインが好対照だった。


2018年の来日公演(写真:大久保潤)

 最後の来日の際には、『プリーズ・キル・ミー』(2007年に出た邦訳)を持参して終演後に見せたところ、にこやかに「これは素晴らしい本だよね」と言いながらサインをしてくれた。2020年に念願の復刊を果たした本書をもう一度見せたかったのだが、それももう叶わなくなってしまった。

Jesu - ele-king

 イェスーは、ゴッドフレッシュなどインダストリアル・ミュージックでその名を知らしめているジャスティン・ブロードリックによるヘヴィ・ロック・プロジェクトである。ゴッドフレッシュ以降、いわば00年代のジャスティン・ブロードリックのメイン・プロジェクトでもあった。
 10年代以降は、JKフレッシュとしての活動、ゴッドフレッシュの再始動もはじまり、インダストリアル路線での活動も再び火がついたように活発になったが、2016年にはイェスーとしてサン・キル・ムーンとのコラボレーション・アルバム『Jesu / Sun Kil Moon』をリリースした(話題を呼んだことを覚えている方も多いだろう)。ジャスティン・ブロードリックにとってイェスーはゴッドフレッシュの活動停止以降の傷を癒すための「救いと信仰」のような面もあるプロジェクトだが、いまや彼の重要なアルターエゴ(のひとつ)なのかもしれない。

 そのイェスーが『Every Day I Get Closer to the Light From Which I Came』以来、7年ぶりのアルバム『Terminus』を2020年にリリースした。この待望の新作において、ポストメタルとシューゲイズ、ポストロックとエレクトロニックの要素が、オーセンティックなロック・アンサンブルによって見事にミックスされていた。加えてケヴィン・リチャード・マーティンとのテクノ・アニマル以降のプロジェクトであるゾウナルで展開していたインダストリアル路線や、ディルク・セリーズとのコラボレーションによるアンビエント路線も結実したハイブリッドなアルバムでもある。聴き込んでいくとまるで透明な冬の世界をスキャンするような感動を得ることができたほどである。聴くほどに味わいが深くなるポスト・シューゲイズ・ロック・アルバムの極北とでもいうべきか。

 じじつ、『Terminus』は、これまでのアルバムに比べて重厚さよりも、サウンドが醸し出すムードや質感に重点をおいて録音された作品に思えた。コンピューターメインのJKフレッシュからのフィードバックもあるのだろう。アルバムは「拒絶、依存、ノスタルジア、究極の孤独というコンセプトにインスパイアされ」制作されたという。そこには2020年の世界を覆った危機、いわば「コロナ禍」の影響もあるだろう。コロナ禍でさまざま予定がキャンセルされたことで、かえってジャスティンの創作意欲に火がついたのではないかと勝手に想像してしまう。そのせいかこのようなコンセプトであるにもかかわらず、アルバムは閉塞的ではなく、むしろ「雪に覆われた白い世界の空気」のように透明で解放的な仕上がりなのだ。特に楽曲全体に鳴り響くギターのトーン・コントロールの絶妙さに注目したい。このトーンの卓抜なコントロールによってアルバム/曲のアンビエンスを統一しているのではないかという印象を持った。

 アルバムは、ジャスティン・ブロードリックによって演奏・録音された(1、3、7曲目のみドラムのテッド・パーソンズが参加)。そのせいかどこかジャスティン・ブロードリックの個人プロジェクトのような様相にもなっている。パーソナルな感覚はそこにも由来しているのかもしれない。
 全8曲収録というコンパクトな構成だが曲はヴァリエーションに富んでいる。1曲目 “When I Was Small” は軽やかなドラムとポストロック風味のエレクリック・ギターで幕を開ける(トータスのようだとは言いすぎか?)。リフレインされるノイジーなギターとリズムに、空間を引き裂くような深い残響のヴォーカルが重なり、楽曲世界を一気に完成させる。アルバム全体に共通する「重厚なのに浮遊感がある」という両極の状態を鳴らしている。2曲目 “Alone” は曲名に相反するかのように開放感のあるメジャーコードの曲だ。しかしギターは1曲目よりもシューゲイズ・モードである。3曲目 “Terminus” はヘヴィ・ムードな曲調へと変化する。シューゲイズ的なギターと重く打ち込むドラムスのコントラストが実に見事だ。4曲目 “Sleeping In” は静謐なアンビエンスから一転し、アルバム中もっともヘヴィなアンサンブルを聴かせるトラックである。ゆったりとしたテンポの中、世界の楔を打ち込むようなビートと繊細にコントロールされたノイズ・ギターが刻まれていく。インダストリアルなムードが濃厚な楽曲でもある。
 折り返し地点である5曲目(アナログ盤B1曲目)“Consciousness” と6曲目 “Disintegrating Wings” はアンビエントな楽曲だ。スローなテンポのもとで深く響くサウンドが聴き手の心身に綺麗な空気のように浸透していく。7曲目 “Don't Wake Me Up” は乾いたリズムとクリーンなギターのミニマルなアンサンブルがポストロック的なムードを醸し出す。アルバム最終曲(8曲目)の “Give Up...” は機械的なビートと透明なアトモスフィアを放つ電子音に、エレクトリック・ギターのミニマルなフレーズが交錯し、アンビエント・テクノ的な世界観を展開する。この“Give Up” の静かな高揚感には、この混沌とした世界を生き抜くようなポジティヴな意志を感じたほどである。イェスーとしては異色な曲だが、アルバム中、もっとも重要なトラックではないか。
 こうして全曲を通して聴いてみると、ポストロック的なアンサンブルの前半(A面)、シンセサイザーなどを導入し、アンビエントなムードを放つ後半(B面)とに大きく分かれる構成になっていることに気がつく。印象的な真っ白な景色のアートワークはアルバム後半のムードを象徴するようなものだろうか。
 全曲に共通するのは「トーン」だ。スローで鋭く凍てつくようなギターと硬質で柔らかなアトモスフィア、そして楔のようなドラムやビートがリズムを刻み、そのサウンドのなかに霧のようにかすれ消えゆく声が聴こえてくる。その響きはまるで雪の結晶が冷たい鉄に降り注ぐかのようだ。冬の孤独と世界の混沌。微かな明日への希望。その状態/感覚が交錯するアルバムなのである。

 最後に日本盤CDは同年リリースされたEP「Never」と二枚組になっていることに注目したい。『Terminus』の前哨戦的な、もしくは兄弟のようなEP「Never」ではより明確にシューゲイズとエレクトロニック・ミュージックの交錯が実践されている。EP「Never」とアルバム『Terminus』の二作を聴くことでジャスティン・ブロードリック「いまのモード」をより深く体感できるだろう。

コロナ時代だからこそ読みたい刺激的な本 - ele-king

 これはコロナ時代だからこそ読みたい1冊だ。いつも紙版エレキングの臨時増刊号(最新号は「コロナが変えた世界」)でご尽力いただいているジャーナリストの土田修氏が、去る12月末、哲学・神学者の稲垣久和氏との共著を刊行している。題して『日本型新自由主義の破綻──アベノミクスとポスト・コロナの時代』。
 昨年退いた安倍による政治経済とコロナ・パンデミックはどういう関係にあったのか、「Go To トラベル」は良いのか悪いのか、なぜPCR検査体制ができないのか、などなど、ものすごく旬な話題がつぎつぎと俎上に載せられていく。
 あるいは、オリンピック。海外の状況を考えればどう考えたってムリなのに、現政権はいまなお強く開催に固執しているが(日本だけ参加して全競技で金メダルをとるつもりなのだろうか?)、なぜ彼らがこれほど五輪にこだわるのか、それについても本書は一章を割いて論じている。
 そしてもちろんタイトルどおり、ネオリベラリズムそれじたいの問題についても、日本と海外、過去と現在を往復しながら再検証されている。
 と、そんな感じで考えるヒントがいっぱい詰まっているので、スリーフォード・モッズを聴きながら読みましょう。

新自由主義の病理と政権の欺瞞をアベノミクス、東京五輪、羽田都心ルートなどを例に痛烈批判。デモクラシーを再考させる好著。

稲垣久和+土田修(著)
『日本型新自由主義の破綻──アベノミクスとポスト・コロナの時代』
春秋社
2020/12/22
判型・頁数:四六判・344頁
ISBN:9784393333822
定価:本体1,800円+税

顕わになった新自由主義の病理。東京五輪や羽田都心ルート、さらには新型コロナウイルスをめぐるガバナンスなどを例にとりあげ、経済成長至上主義の代償を描き、国民の眼をあざむく政権中枢を痛烈に批判。デモクラシーの基礎を考えるために必読の一冊。

東京新聞社会部記者・望月衣塑子氏推薦!

目次
第1章 日本をむしばむ新自由主義
第2章 アベノミクスと新型コロナウイルス拡大
第3章 「東京五輪二〇二〇」の不安
第4章 羽田都心ルートの謎
第5章 克服の道はあるか──ポスト・コロナの経済・政治・社会
終 章 新たな地球環境文明を目ざして

https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393333822.html

Jahari Massamba Unit - ele-king

 ヒップホップの世界でもっともジャズに接近したアプローチを見せるひとりが、マッドリブことオーティス・ジャクソン・ジュニアだろう。ジャズのネタをサンプリングするヒップホップDJやプロデューサーは多いが、彼の場合は実際に楽器を演奏してジャズ・ミュージシャンさながらの作品を作ってしまう。父親のオーティス・ジャクソン・シニアはR&Bシンガーで、ジャズ・サックス奏者のジョン・ファディスが叔父など音楽一族出身ということも、そうした演奏能力に影響を及ぼしているだろう(もっとも彼の場合は譜面を読んで演奏を学んできたのではなく、もっぱらレコードを聴いて耳でコピーしてきた口だが)。
 マッドリブがジャズの才能を開花させたのは、もうかれこれ20年ほど昔のイエスタデイズ・ニュー・クインテット(YNQ)だ。5人のミュージシャンが集まったこの架空のバンドは、実はマッドリブが全ての楽器をひとりで多重録音したプロジェクト。ここから発展してマッドリブ名義で〈ブルーノート〉の音源と自身の生演奏を融合したトリビュート・アルバムも作ったし、モンク・ヒューズ名義でウェルドン・アーヴィンのカヴァー・アルバムも作った。ほかにも〈ストーンズ・スロー〉を舞台にジョー・マクダーフィー・エクスペリエンス、オーティス・ジャクソン・ジュニア・トリオ、ヤング・ジャズ・レベルズ、ザ・ジャジスティックス、ザ・エディ・プリンス・フュージョン・バンド、ザ・ラスト・エレクトロ=アコースティック・スペース・ジャズ&パーカッション・アンサンブルなど、さまざまな名義のジャズ・プロジェクトをやってきた(これらも基本的にYNQと同じくマッドリブがひとりでやっている)。こうした活動は本物のジャズ・ミュージシャンからも一目置かれ、アジムスのイヴァン・コンティとジャクソン・コンティというユニットを組んでアルバムも出している。

 一方、カリーム・リギンズもジャズとヒップホップの両方の草鞋を履くアーティスト。ロイ・ハーグローヴやレイ・ブラウンのジャズ・バンドでドラマーとして活動する一方、ザ・ルーツ、コモン、スラム・ヴィレッジ、Jディラなどとも仕事をするなどヒップホップ・プロデューサー/ビートメイカーとしての顔も持つ。そんな彼の名が広く知られるようになったものに、カール・クレイグによるザ・デトロイト・エクスペリメントへの参加があり、近年はロバート・グラスパーとコモンと組んだオーガスト・グリーンも話題を呼んだ。ソロ・アーティストとしては〈ストーンズ・スロー〉からソロ・ドラムとビートメイクを融合したビート・アルバムをいくつか出しており、そうしたところでマッドリブとはレーベル・メイトでもあった。
 マッドリブも『ビート・コンダクター』などさまざまなビート・アルバムを作ってきたが、そうしたひとつの『メディシン・ショー』を制作するために〈マッドリブ・インヴェイジョン〉を立ち上げたのが2010年。〈マッドリブ・インヴェイジョン〉からはラッパーのフレディ・ギブズと組んだ作品をいろいろリリースしてきているが、そうした中にカリーム・リギンズも参加することがあり、今回マッドリブとカリームのプロジェクトであるジャハリ・マッサンバ・ユニットが興された。

 イスラム系の人名のジャハリ・マッサンバ、『下手なフランス語ですみません』というアルバム・タイトル、赤・黒・緑の汎アフリカン・カラーをあしらったアルバム・ジャケット(ちょっとア・トライブ・コールド・クエスト風でもある)と、いかにも思わせぶりな要素が並ぶが、これらはマッドリブらしい遊び心に富んだもの。曲名は全てフランス語となっていて、フランス語を公用語に用いる国が多いアフリカ大陸を関連付けているのだろうか。
 ドラムをカリーム・リギンズが担当し、それ以外の全ての楽器をマッドリブが演奏するという役割で、当初カテゴリー的にはスピリチュアル・ジャズ・アルバムと呼ぶはずだったところ、〈トライブ〉の創設者であるジャズ・トロンボーンのレジェンド・ミュージシャンのフィル・ラネリンから、「これはブラック・クラシック・ミュージックと呼ぶべきだ」とアドバイスされ、そう呼ぶようになったとのこと。未来へのジャズの遺産となるような作品を残したい、そんなマッドリブの想いが込められたものとなっている。

 祖父のジャズ・レコード・コレクションからジャズを学んできたマッドリブは、たとえばサン・ラー、ジョン・コルトレーン、マイルス・デイヴィス、デヴィッド・アクセルロッドなどの作品に魅せられ、本作でもそうした1960年代から1970年代にかけてのジャズの影響が端々から伺える。全てがインスト曲で、フリー・ジャズ調の “ジュ・プランドレ・ル・ロマネ・コンティ(ピュタン・ドゥ・リロイ)” は、1960~70年代のジャズ・ミュージシャンにも多大な影響を及ぼした黒人詩人のアミリ・バラカ(リロイ・ジョーンズ)をモチーフにしているのだろうか。ヴィブラフォンの音色が神秘的な “デュ・モーゴン・オ・ムーラン・ナ・ヴァン(プール・デューク)” はデューク・エリントンに捧げているのだろうか、でも実際はボビー・ハッチャーソンやハービー・ハンコックの新主流派ジャズ的だったりする。
 誰かの演奏に寄せつつも、単なる物真似に留まらないオリジナルな作品にまで昇華させている点は、マッドリブとカリームの昔のジャズに対する知識や研究の深さと、それをベースに音楽を造形してしまう応用力の高さを物語る。アイドリス・ムハマッドの “ローランズ・ダンス” を下敷きにしたと思われる “オマージュ・ア・ラ・ヴィエール・ガルド” などはその典型と言えよう。そして、ヒップホップというビート・ミュージックに関わってきたふたりだけあって、“リスリング・プール・ロベール” におけるソリッドなリズム・セクションはさすがだ。

φonon - ele-king

 この1月で設立3周年を迎えた EP-4 の佐藤薫によるエレクトロニック・ノイズ系レーベル、〈φonon(フォノン)〉。2月19日に新たな作品が2枚、同時発売される。ひと組は、家口成樹と Singū によるユニット、Singū-IEGUTI (シングーイエグチ)で、もうひと組は、岸野一之、田畑満、フィリップ・ブロフィからなる KISHINO TABATA BROPHY だ。それぞれキャリアのある東西の重鎮がエクスペリメンタルで危険なサウンドを轟かせる。チェックしておきましょう。

〈φonon(フォノン)〉のニュー・リリース 2タイトル
2021年2月19日(金)同時発売

◆Singū-IEGUTI (シングーイエグチ)
『エピタクソフォン』

(SPF-019 2,000円+税)

——結晶化する幻影と響き——
佐藤薫(EP-4)監修による〈φonon (フォノン)〉レーベルの2021年の序幕に登場する1組は、関西アンダーグラウンド・シーンの最重要人物・家口成樹が、KIYO と KETA RA の兄弟エクスペリメンタル・ユニット “Singū” (シングー)と合体したプロジェクト “Singū-IEGUTI” (シングーイエグチ)、待望3年ぶりのセカンド・アルバム。

アーティスト:Singū-IEGUTI (シングーイエグチ)
アルバムタイトル:エピタクソフォン
発売日:19/2/2021
定価:¥2,000(+税)
品番:SPF-019
JANコード:4562293384275
発売元:φonon (フォノン) div. of SKATING PEARS
流通:インパートメント


◆KISHINO TABATA BROPHY
『デンジャラス・オービッツ』

(SPF-020 2,000円+税)

迫り来る軌道上のデンジャー・ポイント
佐藤薫(EP-4)監修による〈φonon (フォノン)〉レーベルの2021年の序幕に登場する1組は、岸野一之、田畑満、フィリップ・ブロフィ──豊富なキャリアと確かなパーソナリティをもつ3人のグループ「KISHINO TABATA BROPHY (KTB)」。四半世紀におよぶ交流反応から無為自然に生み出されたハイパーリミナル・エレクトロ・ロックの危険なサウンドが、新たなる激動の時代とその時空を貫く。

アーティスト:KISHINO TABATA BROPHY
アルバムタイトル:デンジャラス・オービッツ
発売日:19/2/2021
定価:¥2,000(+税)
品番:SPF-020
JANコード:4562293384282
発売元:φonon (フォノン) div. of SKATING PEARS
流通:インパートメント

Stereolab - ele-king

 2019年、10年ぶりに再始動を果たしたステレオラブ。彼らのなにが偉大だったのか、その功績についてはこちらのコラムをお読みいただくとして、オリジナル・アルバムのリイシュー企画に続き、今度は98年を最後に止まっていたシングル集シリーズの最新作『Electrically Possessed』が2月26日にリリースされる。入手困難なツアー7インチの曲や未発表曲も収録されるとのことで、これは楽しみ。現在同作より “Dimension M2” が先行公開中です。

STEREOLAB

再始動したステレオラブが23年振りにシングル集シリーズの最新作
『Electrically Possessed [Switched On Volume 4]』を
2月26日にリリース決定!
数量限定のTシャツ・セットも同時発売決定!
先行シングル「Dimension M2」を解禁!

90年代に結成され、クラウト・ロック、ポスト・パンク、ポップ・ミュージック、ラウンジ、ポスト・ロックなど、様々な音楽を網羅した幅広い音楽性でオルタナティブ・ミュージックを語るのに欠かせないステレオラブ。

2019年に10年ぶりに本格再始動した彼らは、音楽史に燦然と輝く7タイトルのリマスター盤再発企画をスタートさせ、音楽ファンを喜ばせたが、今回は1992年の第一弾『Switched On』、1995年の第二弾『Refried Ectoplasm』、1998年の第三弾『Aluminum Tunes』と続いたシングル集シリーズの実に23年振りとなる第四弾『Electrically Possessed』を2月26日にリリースすることを発表した。

再発タイトル同様、〈Warp Records〉と〈Duophonic UHF Disks〉のダブルネームでリリースされる本作には、1999年から2008年までのステレオラブの歩みを網羅した25曲を収録。ほとんどの音源において、メンバーのティム・ゲインの監修の元、電気グルーヴのマスタリングも手掛けるボー・コンドレンの手によってリマスタリングが施されている。

廃盤となったミニアルバム『The First Of The Microbe Hunters』の全曲を収録しており、入手困難なツアー7インチ、コンピレーション曲、アート・インスタレーション作品、アルバム『Mars Audiac Quintet』と『Dots and Loops』のレコーディング・セッションからの未発表曲も収録される。

Stereolab - Dimension M2 (Official Audio)
https://youtu.be/HPKQgMGWot0

今回の発表と合わせてシングル「Dimension M2」が公開されている。本楽曲は、2005年にコンピレーション作品『Disco Cabine』に提供された楽曲で、ティム・ゲインは次のように解説している。

コンピュータを使ったレコーディングが楽しかった『Dots and Loops』の制作の後、自分たちの小さなホームレコーディングスタジオを作りたいと思ったんだ。AppleのデスクトップとMOTUサウンドカード、Logic 2を買って、主にサンプルを使ってシンプルなトラックを録音し始めたんだけど、それにギターやキーボード、そしてレティシアとメアリーが歌詞のない歌声を加えたりもした。個人的には、音やリズムをカットしたり、切り刻んだりするのが好きで、ステレオラブのメインのレコーディング作品よりも、ずっと小さくてシンプルな信号音のような曲を作ろうとしたんだ。そうやって作ったトラックのほとんどはツアー限定シングルかコンピレーション作品に提供した。「Dimension M2」は、Cabineというデザイン会社を持ってた友人のPaul & Hervéが手がけたコンピレーションに収録された。彼らのために何かアップビートでパーティーっぽいものを作りたくて、なるべくそのイメージに近づけたんだ。それでもまだクールで冷めた感じがするけどね。

初回盤特殊パッケージ

通常盤CD

Tシャツ

本作『Electrically Possessed [Switched On Volume 4]』は、CD、LP、デジタルのフォーマットで2月26日に世界同時リリースされる。国内流通仕様盤CDとLPの初回盤は、ミラーボード仕様の特殊パッケージを採用し、ステッカーが封入される。数量限定の国内流通仕様盤+Tシャツ・セットも同時発売される。さらに対象店舗でCDおよびLPを購入すると、先着でジャケットのデザインを起用した缶バッヂがもらえる。

なお公演延期となっていたステレオラブの来日公演は、2021年9月に振替日程が決定している。
https://smash-jpn.com/live/?id=3304

label: BEAT RECORDS / DUOPHONIC UHF DISKS / WARP RECORDS
artist: STEREOLAB
title: ELECTRICALLY POSSESSED [SWITCHED ON VOL. 4]
release date: 2021/02/26 FRI ON SALE

国内流通仕様盤CD
解説書+ステッカー封入
BRDUHF42 ¥2,400+税

国内流通仕様盤CD+Tシャツセット
BRDUHF42S~XL ¥5,900+税

BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=11675

Tracklist:

DISK 1
01 - Outer Bongolia
02 - Intervals
03 - Barock-Plastic
04 - Nomus Et Phusis
05 - I Feel The Air {Of Another Planet}
06 - Household Names
07 - Retrograde Mirror Form
08 - Solar Throw-Away [Original version]
09 - Pandora's Box Of Worms
10 - L'exotisme Interieur

DISK 2
01 - The Super-It
02 - Jump Drive Shut-Out
03 - Explosante Fixe
04 - Fried Monkey Eggs [Instrumental version]
05 - Monkey Jelly
06 - B.U.A
07 - Free Witch and No Bra Queen
08 - Heavy Denim Loop Pt 2
09 - Variation One
10 - Monkey Jelly [Beats]
11 - Dimension M2
12 - Solar Throw-Away
13 - Calimero
14 - Fried Monkey Eggs [Vocal]
15 - Speck Voice

SOPHIE × Autechre - ele-king

 2010年代半ば、いわゆるバブルガム・ベースの立役者のひとりとして頭角をあらわしたスコットランドのプロデューサー、ソフィー。去る1月14日、彼女の出世作となった “BIPP”(2015)の、オウテカによるリミックスが公開されている。リリース元は、彼女を世に認知せしめたグラスゴーのベース系レーベル、〈Numbers〉。

 なんでも、ソフィーは「じぶんの曲のリミックスはやらせない。ただし、オウテカを除いて」というスタンスを掲げていたらしい。そんなわけでレーベルは『PRODUCT』が出た2015年、オウテカにコンタクトを試みるも、彼らがほかのプロジェクトにとらわれていたため実現には至らず。
 諦めきれなかった〈Numbers〉は『Oil Of Every Pearl's Un-Insides』が出た2018年、あらためて『PRODUCT』から可能な限りの素材を集めてオウテカに送りつけたそうだが、このときかのデュオはライヴに集中していたのだった。
 そして2020年。ようやくオウテカから「遅くなってごめん、まだ使う機会があればいいんだけど」と、今回のリミックスのWAVが送られてきたのだという。

 じつは、さらに物語がある。遡ること18年前。オウテカとなにかをやりたい、という今回の〈Numbers〉のアイディアはもともと、オウテカがキュレイターを務めた2003年の《オール・トゥモロウズ・パーティーズ》(紙エレ最新号をお持ちの方は55頁を参照)の際に浮かんだものだったそうだ。その2年後、〈Numbers〉は──共同設立者の Calum が当時〈Warp〉で働いていたことも手伝って──グラスゴーのアートスクールでのショウにオウテカをブッキングすることに成功。そのときひっそり録音されたライヴ音源は、『Untilted』と『Quaristice』の中間のようなサウンドだったという。
 同2005年、ソフィーはその音源がネットにアップされているのを発見し、大いに触発される。彼女はそこでオウテカが使用していたエクイップメントをすぐさま購入、それらの機材によって “Nothing More To Say” や “BIPP”、“LEMONADE” といった初期代表曲が生み落とされることになった。つまり、ソフィーの登場そのものがオウテカによってもたらされたとも言えるのだ。

 オウテカ側の話もつけ加えておこう。『SIGN』リリース時のオフィシャル・インタヴューのなかでショーンは、ずいぶんまえにソフィーのリミックスを依頼されたものの、送られてきた大量のステムをじぶんたちのシステムで作動・再生させることができなかった、と語っている。Maxの処理があまりにもリアルタイムすぎて、リミックスのために必要な作業ができなかったのだ。ゆえに彼らはエイブルトンにモジュールを移殖することを決意するも、今度はその作業だけで半年もの時間を食ってしまうことになる。かくしてソフィーのリミックスは一度は頓挫してしまう……のだが、その移殖作業によってもたらされた新たなセットアップのおかげで『SIGN』が完成したのだから、じつはソフィーもオウテカに影響を与えていたということになる。
 おもしろい相互作用でしょう?

 というわけで、「BIPP (Autechre Mx)」のアナログ盤は2021年1月28日にリリースされる。B面には、『PRODUCT』の録音中に制作された未発表音源 “UNISIL” を収録。ソフィーの初期成功作がオウテカ流ファンクによって転生させられる様を聴きながら、アーティスト同士の不思議なコレスポンダンスに想いを馳せようではないか。

SOPHIE
BIPP (Autechre Mx)

Numbers
NMBRS67
Vinyl out 28th January, 2021

A. BIPP (Autechre Mx)
B. UNISIL

https://nmbrs.net/releases/sophie-bipp-autechre-mx-nmbrs67/

New Age Steppers - ele-king

 細かく震えるあまりに特異なヴォーカル。久しぶりに彼女の声を聴いてこちらまで打ち震えてしまった。そしてもちろん、信じられないような独創的な発想のミックス。3月19日、ニュー・エイジ・ステッパーズの全キャリアを総括するボックスセットが発売される。
 エイドリアン・シャーウッドがおそらくはもっともキレていた時期、ダブの実験を極めたファースト『The New Age Steppers』(81)や、ダンスホールの時代にルーツ・レゲエを尖ったサウンドでカヴァーしたセカンド『Action Battlefield』(81)~サード『Foundation Steppers』(83)はもちろんのこと、2012年の最終作にして、その2年前に他界してしまったアリ・アップ最後の録音が収められた『Love Forever』、そして今回の目玉だろう、レア音源や未発表音源をコンパイルした『Avant Gardening』から構成される、CD5枚組の仕様だ。
 一家に一箱。問答無用です。

ポストパンク/UKダブの伝説、
ニュー・エイジ・ステッパーズの歩みをここに凝縮!
全アルバムに加え、アウトテイクや未発表レア音源を収めた
コレクション盤を含む5枚組CDボックスセット
『Stepping Into A New Age 1980 - 2012』を3月19日にリリース!
〈On-U Sound〉の数多くの写真を手がけたキシ・ヤマモト撮影の
オリジナル・フォトTシャツ・セットも数量限定で同時発売決定!

ザ・スリッツのアリ・アップとUKダブの最重要プロデューサー、エイドリアン・シャーウッドを中心として、マーク・スチュワート率いるザ・ポップ・グループやザ・レインコーツ、ネナ・チェリー、フライング・リザーズといったポストパンク・シーンを象徴する前衛的シンガーやプレイヤーが参加し、ビム・シャーマン、スタイル・スコット、ジョージ・オーバンといった世界的レゲエ・アーティストを掛け合わせた衝撃のサウンドでその後の音楽シーンに多大なる影響を及ぼした伝説的グループ、ニュー・エイジ・ステッパーズ。彼らの全歴史を凝縮したCDボックスセット『Stepping Into A New Age 1980 - 2012』が3月19日に発売決定!

New Age Steppers - Stepping Into A New Age 1980 - 2012
https://youtu.be/m4WDA7XYuZM

エイドリアン・シャーウッドが〈On-U Sound〉を立ち上げるきっかけともなったニュー・エイジ・ステッパーズのすべてがわかる本作。1981年の1stアルバム『New Age Steppers』は、レゲエ・クラシックに乗って、アリ・アップのヴォーカルが80年代初頭の新しい音楽を創造しようとする熱気に溢れたヴァイブスを見事に表現した真のポストパンク/UKダブの金字塔。アリ・アップがほとんどの曲でリードボーカルを担当し、若き日のネナ・チェリーも参加した2ndアルバム『Action Battlefield』は、混沌とした世界がより洗練され、ポップさを増したサウンドによって、ニューウェイヴ期のUKで生まれた最高傑作。1983年の『Foundation Steppers』は、ジャマイカに移住したアリ・アップが伝説的ドラマー、スタイル・スコットともにレコーディング、カラフルなサウンドとポストパンクなプロダクションのセンスで伝統を壊しながらも、アリ・アップのレゲエ愛に溢れたアルバムとして高く評価されている。そして2012年にリリースされた最終アルバム『Love Forever』には、2010年に亡くなったアリ・アップの最後のレコーディング音源が収められ、自由を貫いたアリの感性でジャマイカ音楽をアップデートしたサウンドがファンに愛されている。レアなダブ・ヴァージョンやアウトテイク、未発表音源などをコンパイルしたコレクション・アルバム『Avant Gardening』では、BBC Radio 1 ジョン・ピール・セッションで収録された “Send For Me” をはじめ、『Foundation Steppers』収録のチャカ・カーンのカバー “Some Love” のダブ・ヴァージョンなど未発表音源を収録。またエイドリアン・シャーウッドやその他のコントリビューターたちとの会話や当時の写真をもとにグループの歴史を辿る32ページにおよぶブックレットが加えられている。国内流通仕様盤には、ブックレットの対訳も封入される。また、〈On-U Sound〉の数多くの写真を手がけたキシ・ヤマモトによる写真を起用したオリジナル・フォトTシャツ・セットも同時発売される。


また今作のリリースに合わせて、初めてLPでリリースされる2012年作品『Love Forever』を含め、それぞれのアルバムがLPでも再発される。

label: BEAT RECORDS / ON-U SOUND
artist: New Age Steppers
title: Stepping Into A New Age 1980-2012
release date: 2021/03/19 FRI ON SALE

国内仕様盤5CD
32ページ・ブックレットの対訳(別冊)封入
BRONU149 ¥4,300+税

国内仕様盤5CD+Tシャツセット
BRONU149S~XL ¥8,000+税

BEATINK.COM
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=11672

Tracklist:

DISC1: NEW AGE STEPPERS (1981)
01. Fade Away
02. Radial Drill
03. State Assembly
04. Crazy Dreams and High Ideals
05. Abderhamane’s Demise
06. Animal Space
07. Love Forever
08. Private Armies

DISC2: ACTION BATTLEFIELD (1981)
01. My Whole World
02. Observe Life
03. Got To Get Away
04. My Love
05. Problems
06. Nuclear Zulu
07. Guiding Star

DISC3: FOUNDATION STEPPERS (1983)
01. Some Love
02. Memories
03. 5 Dog Race
04. Misplaced Love
05. Dreamers
06. Stabilizer
07. Stormy Weather
08. Vice Of My Enemies
09. Mandarin

DISC4: LOVE FOREVER (2012)
01. Conquer
02. My Nerves
03. Love Me Nights
04. The Scheisse Song
05. Musical Terrorist
06. The Fury Of Ari
07. Wounded Animal
08. The Worst Of Me
09. Revelation
10. The Last Times
11. Death Of Trees

DISC5: AVANT GARDENING (2021)
01. Aggro Dub Version
02. Send For Me
03. Izalize
04. Unclear
05. Singing Love
06. I Scream (Rimshot)
07. Avante Gardening
08. Wide World Version
09. Some Dub
10. May I Version

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