「Nothing」と一致するもの

Flying Lotus × Ras G - ele-king

 去る7月29日、40歳という若さでこの世を去ったラス・Gことグレゴリー・ショーターは、LAビート・シーンの要人であり、縦横無尽にジャズやダブやグリッチを混合する音の魔術師であり、名作10インチ・シリーズで知られる〈Poo-Bah Records〉の共同設立者であり、昨年10周年を迎えた〈Brainfeeder〉の創設者のひとりであり、「ゲットー・サイファイ」の提唱者であり、サン・ラーの強力な支持者であり、すなわちアフロフューチャリズムの継承者でもあった。
 昨日、その彼と親しかったフライング・ロータスが追悼の意を込め、ふたりでコラボした新曲“Black Heaven”を発表している。これは8月3日に BBC Radio 6 で放送された、ジャイルス・ピーターソンによるトリビュート番組「Celebrating Ras G」にフライローが出演した際に公開されたもので、そのときの録音をフライローが自身の SoundCloud ページにアップロードしている。同曲はLAのラス・Gのスタジオ Spacebase で即興的におこなわれたセッションをもとにしているが(タイトルもラス・Gが命名)、それがふたりの最後の対面になってしまったそうだ。R.I.P. Ras G

※〈Brainfeeder〉はラス・Gのアルバムを2枚リリースしている。『別エレ』フライロー号をお持ちの方は66頁と110頁を参照。

Alfa Mist - ele-king

アルファ・ミスト──ライヴから新作『Structuralism』について考える

 アルファ・ミストの音楽には、含みがある。近年のジャズの一部の潮流と並走するように、洗練されたロジカルな音楽的構造と、ヒップホップ由来のグルーヴを併せ持つ。しかし彼の音楽を覆いつくすのは、ダークで思索的、そしてメランコリックなムードだ。新作『Structuralism』のアルバム・カヴァーに描かれているように、ひとり街角に佇んで物思いに沈み込み、やがて歩き出す現代人のためのサウンドトラック。
 2015年リリースのファースト・アルバム『Nocturne』からそのトーンは一貫している。今年2019年にリリースされた最新アルバムは『Structuralism』(=構造主義)と題されている。そう聞くと、レヴィ=ストロースやジャック・ラカンを想起する者もいるかもしれない。アルファはどのような思いでこのタイトルをつけたのだろう。構造主義においては、主体的に行動する個々人よりも、個に先立って個の意味を決定づける関係性が重視される。この関係性こそが個々の意味を決定づける。そしてこの関係性を、構造と呼ぶ。例えば言語は個人に先立って存在する象徴的な存在だ。だから言語は個人の思考や行動を拘束する。しかしすでに誰かのものだった言葉をくり返し使用することで、人は主体性や自立性を獲得する()。これと同じことが、音楽についても言えるだろうか。すでに誰かのものである──過去に誰かもプレイした──フレーズをくり返し演奏することを通して、ミュージシャンは主体性や自立性を獲得していくのだと。
 もっと単純に、このアルバムに様々な「構造」を見出すこともできるだろう。全編を埋め尽くす複雑なハーモニーやリズム、あるいは例えば“Retainer”における組曲形式の構造。それらを踏まえれば、アルファ・ミストは、あえて言うなら、構造主義前後の1950~60年代に活躍したレニー・トリスターノや、アンドリュー・ヒルのような、楽曲や奏法の構造やコンセプトを巡って思索を積み重ねたピアニストたちの姿勢をも思い起こさせる。

 2019年7月4日、BLUE NOTE東京。20時丁度に、セカンドステージのショウが始まる。オープニングの“.44”のテーマが聞こえてきた途端、リラックスした客席の空気は一変する。ステージの左側に陣取るアルファ・ミストは、メインとするフェンダーローズやウーリッツァーの音色でプレイするヤマハのCP-88と思しきキーボードと、アコースティック・ピアノの間に座る格好だ。『Structuralism』の冒頭を飾る同曲は、ドラマーのピーター・アダム・ヒルのビートに先導され、ライヴの緊張感を後押しするように若干アップテンポで演奏される。印象的なテーマをなぞるトランペットのジョン・ウッドハムのミュート・サウンドは、「構造」に焦点を当てるという営為のどこか醒めた視線を象徴しているようでもある。ワウペダルやディレイを活用したジョンのソロが、リズムの隙間を縫うような、短いぶつ切りのパッセージの多用で、静かに場を温めていく。
 間髪入れずに後に続く“Naiyti”では、16分の17拍子という変拍子(ここでは1小節に16分音符のハットが5回、4回、4回、4回の組み合わせ)に、オーディエンスは狐につままれたようなノリ方を余儀なくさせられるが、メンバーたち、特にアルファはお構いなしにガンガン首を振ってノッている。スムースに進行するテーマ部分ではこの特異なリズムを意識させないのだが、各自のソロとなると、途端にこのリズム面での「構造」へのアプローチに耳がいく。ES-335シェイプのギターを抱えるジェイミー・リーミングのソロは、アルファやピーターの音への反応を挟みつつ、決して速弾き──例えば32分音符以上の速さで──はしないと自らに課しているかのようだ。速度や手癖による誤魔化しなし、といった風情。各パッセージ間の隙間を活かした抑え気味の単音のラインから、エフェクトを利用したオクターヴ奏法(オクターヴ上のエフェクト音がティンパニーのサウンドを想起させる)、そしてブロックコードの激しい応酬と、徐々に熱量を増すピーターのプレイとリンクしながら、段階的に場を盛り上げていく。リズム面で耳を引く奇数単位で構成するフレーズ・パターンも交えながら、最後はカッティング中心に激しいダイナミズムの上下を演出した彼のプレイは、オーディエンスから拍手喝采を引き出した。
 アルファ・ミストのバッキングも、濁ったテンション満載の和音爪弾きから、ビートに合わせてキャップを被った頭を振りながら、徐々にスタッカートの効いたリズムを強調したフレーズが目立つようになる。満を持してやってくる彼のソロ・パートでは、ジェイミーとの速弾き禁止の約束事を共有しているかのように、決して速いパッセージは現れない。ソロという独立したパートを技巧のひけらかしの機会とするのではなく、むしろ彼の楽曲自体が持ちうるハーモニーの複雑かつ豊かな構造をつまびらかにするために、ギリギリのスケールアウトを繰り返しながらその輪郭をなぞっていくようなのだ。他者──無数のプレーヤーたち──とフレーズを共有しながら、スケールアウトするノートを彫刻刀のように扱って、独自性を削り出していくこと。

 続いて披露された“Retainer”は字義通りの「構造」を象徴するような、3章から成る組曲だ。ここではストリングスをフィーチャーした中間のパートを省略したふたつの楽章が披露されたが、白眉は後半の変拍子(今度は16分のハットが14回、14回、12回のセットがワンループ)にメランコリックなハーモニーが組み合わさったパートだ。ピーターの肌理の細かいフィルインの嵐に、今夜一番の熱っぽさでソロを回すメンバーたちの熱量に、多くのオーディエンスが掛け声で応答する。
 自分がいかにヒップホップとジャズの影響を等しく受けて生きてきたかを伝えるアルファのMCに続いて披露されたのは、“Glad I Lived”。イントロのエレピリフに続いて、アルファ自身のラップが披露される。ローズ弾き語りラップとでも言うべきその姿は新鮮だ。リリックで発信されるメッセージはタイトルの通りポジティヴなものだが、それだけには留まらない。ヒップホップ由来のグルーヴに支えられるハーモニーが、メランコリックながらも不協和音に力点を置かれていることによる、どこか暗くくぐもった含み。それがループする様は、逡巡する終わりなき思考を想起させられる。エレピのプレーヤーでいうなら、RTF期のチック・コリアのメランコリックな美しさと、エレクトリック・マイルス時代のハービー・ハンコックの呪術的な不協和音とリズミカルなアプローチを両方兼ね備えた上、さらにヒップホップでサンプリングされるボブ・ジェイムズやジョー・ザヴィヌルのビートとのフィット感も持つといったところだろうか。
 この曲もまた、複雑な構造を持つ。最初のラップ・パートから、フックを経て、メランコリックなストリングスをフィーチャーしたブレイクダウンがやって来る。そうして辿り着く後半では、オーヴァードライヴがかったウーリッツァー的なヴォイスでギターのように奏でる和音とベースラインが、J・ディラ──しかもグラスパーの“Dillalude#2”を経由した──を想起させる。さらにはその後、テンポダウンした16ビートを背景に、アルファのエレピが歪んだハープのように掻き鳴らされ、ベースラインが激しい動きを帯びると、今度はフライロー的なコズミックな世界観に包まれる。アルファの作品全般に、ディラやフライローからの大きな影響が見られるというわけではないが、こうした展開からも、ジャズとヒップホップが彼の中で等しいレベルで血肉化されているのを感じる。
ファースト・アルバム『Nocturne』で披露している打ち込みのビートは、その音色も含めどれもヒップホップのビートの「快楽」に慣れ親しんでいる者の所作だ。同郷のラッパー Barney Artist やドイツのビートメイカー Flofilz のアルバム参加曲も素晴らしく、アルファが参加することで彼の鍵盤のハーモニーが楽曲に──もっといえばループに──豊かな響きを与えていることは疑いようがない。トム・ミッシュの『Beat Tape 2』に収録されているコラボ曲“Hark”も、まさにそうだった。

 前作『Antiphon』から、アルバムのアートワークも手掛ける多才なカヤ・トーマス=ダイクのヴォーカルがフィーチャーされたエキゾチックな“Breath”と“Keep On”が演奏され、ショウは終盤を迎える。アンコールでは、客席からサプライズ・ゲストのように現れマイクの前に立つキアラ・ノリコをフィーチャーした新作のボーナス・トラック“Silence”を経て、〆の1曲は2018年のシングル「7th October: Epilogue」収録の“Resolve”が披露された。高速テンポならではの、ピーターによる一糸乱れぬ高速ファンクが駆け抜ける同曲では、またもやコーラスのかかった浮遊感溢れるアルファのウーリッツァー・サウンドが印象的だ。トランペットもギターも、BPMが速いためにうねるようにオンビートでソロを刻むのだが、その分調性からはどこまで自由になれるか競い合うような、緊張感に溢れるソロが展開される。高速テンポに体を揺らしながら複雑なパッセージを追うという分裂的な体験によって、オーディエンスがみな異常な集中力でステージを凝視するなか、この特別な一夜は幕を閉じた。
 ダンス・ミュージックを始めとする音楽は、ある種の単調さ──反復されるビートやフレーズ──によって現実逃避を助けてくれるところがある。しかしアルファのようなプレイヤーがもたらしてくれるハーモニーやリズムの含み、あるいは複雑さは、そのままひとりの人間の感情の複雑さ、そしてひとりで歩き、対峙せざるをえない世界の複雑さに目を向けさせてくれるように思える。
 アルファの音楽は、四六時中バックグラウンドに流しておく性質のものではないかもしれない。しかしアルファが、個人に先立って存在する音楽と、それをプレイするミュージシャンとの関係性に着目する意味で「構造主義」という言葉を用いたのだとすれば──彼の音楽が、先人たちによって蓄積されたフレーズをプレイすることでミュージシャンが独自性を獲得していく複雑なプロセスを示しているとするならば──、僕たちオーディエンスもまた、そのビートに自分たちの複雑な歩みを重ねたとしても、不思議ではないだろう。

※ 参考文献:出口顯『ほんとうの構造主義──言語・権力・主体』NHK出版、2013年。


interview with Vityazz - ele-king

インスト・バンドという言葉からはジャンルやサウンド感が伝わるわけではない。でも「インスト=ヴォーカルがいない」、もっと言うと「歌詞がない」という状態を指していて、それである種の線引きができるのでなんとなく納得してしまう。それは、カラオケ文化と無関係ではない気がしていて。

 ヴィチアスのデビュー・アルバム『11034』を私は心待ちにしていた。日本のジャズにまつわる新しい動きを探訪しながら出会ったのがこのヴィチアスで、私は彼らのデモ音源を初期の頃から聴かせてもらい、いつかコンピレーションに収録して世に出せないかと密かに目論んでいた。
 ヴィチアスは、ジャズを学んだメンバー4人からなるグループだが、日本のジャズ・フィールドでの活動は一切していない。その代わりに自らホスト・バンドとなってライヴ企画を打ち、様々なバンドをフィーチャーしたり、映像を駆使した表現方法で新たなジャンルのフィールドを切り開いている。それでもなお彼らの口からは「吉祥寺に今年できたライヴハウス NEPO なんかをみると、ライヴに映像が入ることがデフォルトになってますよね。さらに新しい見せ方を考えないと……」と、常に一歩先を行く話が飛び出してくるのだ。
 また様々な対比が同居した音楽性もヴィチアスの特徴のひとつ。ヴォーカルがある、でもインスト音楽。ジャズの構造でできている、でもメロディーはポップスやロック。印象はというと、密度が詰まって濃い、でも淡い質感。といったように彼らはこの対比を、緻密に計算して楽しんでいるように見える。
 ジャズを学んだ人たちが、様々な経験と人脈を経て生み落とす音楽が、全世界的にいまとても面白いが、彼らの作る音楽は、思えばそんな対比する異なる要素をどう作品に落とし込むか、そのアイディアや処理の仕方が非凡で、音楽理論を踏まえたうえでの遊び心があり大胆だったりすることが多い。面白さのひとつはそんな理由なのかもしれない。彼らの音楽は、ときにどんどん予期しない方向に形を崩していったり、また自身のアイデンティティに立ち戻ってそれを表出させたりと忙しい。それゆえに目が離せない。ヴィチアスはまさにそんなタイプの魅力をもったグループだ。
 6月21日にタワーレコード限定で先行発売された『11034』が反響を集める中、今秋の正規リリースを控え、新たなレコ発の企画も進行中のヴィチアス。リーダーで作編曲を担当する中川能之(ギター)に話をきいた。

本当に理想的な状態だとインスト・バンドという言葉がなくなるくらいになれば良いなと思っています。

まず始めに、バンド結成の経緯を教えていただけますか?

中川能之(以下、中川):僕は音楽学校のメーザーハウスでジャズ・ピアニスト佐藤允彦さんの作・編曲や音楽理論の授業を受けていたんですが、その学校のセッションで知り合ったのがドラムの安倍弘樹くんです。安倍くんは当時、東京キューバンボーイズの2代目のリーダー見砂和照さんにドラムを師事していたり、アントニオ・サンチェスが好きだったり、なんでも叩けるんですけど特にラテンに強いドラマーで。僕はちょうどその頃、曲を作りながらヴィチアスの原型になるような曲をギターのループマシーンを使ってひとりで試行錯誤していた時期で、形が見えてきたので安倍くんと栗山くんというジャズ・ベーシストに声をかけてトリオという形でスタートしたのが2015年くらいですね。その後、いまのベースの笠井トオルさんが入りました。


安倍弘樹(ドラム)

笠井さんもジャズのスキルを持ちながら幅広く活動されている方ですよね。どんなきっかけで出会ったんですか?

中川:僕はメーザーハウスの他にギタリストの市野元彦さんのレッスンも受けていて、笠井さんは市野さんから紹介してもらいました。笠井さんの師匠が、市野さんのバンド(rabbitoo)のベースの千葉広樹さんで、そのつながりもあって。笠井さんは Avocado Boys のメンバーとしても活動されたり、ジャズに限らず色々とサポート仕事も多くされていて、ウッドベースでしっかりジャズが弾ける上で、エレベも弾けてエフェクターの使い方も上手で。シンセベースとか機材系にも強くいろんな引き出しが多い人なので、すごく助かっています。ヴィチアスは楽器隊としてはトリオ編成なので、ベースの持ち替えやエフェクターで曲ごとにヴァリエーションをもたせてくれる笠井さんのスタイルはヴィチアスのサウンドを大きく広げてくれていると思います。あとヴィチアスの曲はリズム的なギミックや複雑なドラムパターンも出てくるので、ベースは一段後ろに下がりつつもツボを押さえたプレイで、バンドの土台をしっかり支えてくれています。


笠井トオル(ベース)

出会いのきっかけになった市野さんのレッスンのことについても伺いたいです。ヴィチアスの音楽はどんな部分で影響をうけていますか?

中川:市野さんは rabbitoo のようにいわゆるジャズだけに収まらない音楽を作られる一方で、レッスンではご自身がバークリー出身ということもあり、オーセンティックなこともしっかり体系立てて教えていただいています。特にコード・ヴォイシングのヴォキャブラリーを増やしてどうプレイに落とし込むかというところの影響が大きいと思います。ヴィチアスの楽曲は、ギターとヴォイスが同じメロディラインをなぞるというところが特徴のひとつとしてあるんですが、編成としてコード楽器がギターしかないという状況で、そういったメロディーとコードをギター1本でどう弾くかがサウンドに直結する部分になっています。コード・ヴォイシングのヴォキャブラリーや、メロディーとポリフォニックに動く内声ラインをどう弾くか、というようなことは、市野さんから学んだことが活かされていますね。

最近では、嘴音杏(しおん・あん)さんがヴォイス担当として加入されましたね。

中川:ヴォイスを入れようとなったときに、何人か候補の方を挙げていったんですが、声質と音域の広さ、楽器的に声を操れるスキルも持っているという点で彼女にお願いしました。杏ちゃんは自身のソロ名義やユニットもいくつかやっていて、安倍くんと笠井さんがサポートで入っていたりしたので、そういうつながりもあって。あと加入後に知ったんですが、彼女はクラシックの声楽の素養もある人なので、まさに楽器的に声を使えるという点でもぴったりでした。
トリオの頃は僕の声をヴォーカル・エフェクターで加工してヴォイスのラインを入れていたのですが、杏ちゃんのおかげで音域という面での自由度がかなり広がったのも大きいですね。ギターで良い音で弾ける音域でメロディーを作ると、メロが盛り上がったところで男では出ない音域になってしまいがちで。僕は男性の中では音域がかなり高い方なんですがそれでも出ないところを杏ちゃんは余裕でピッチも安定して出せるので、作曲上の制約がなくなって広がったということが大きくて、今後の作曲でも新しいものができると思っています。
あとはライヴでの再現性やアレンジの面でも、純粋に人手が増えるのでその部分でも広がっていくだろうなと感じています。4人揃った初ライヴは、8月20日の新宿 MARZ が決まっているので、そこに向けてライヴならではのアレンジなども詰めていきたいですね。


嘴音杏(ヴォイス)

いまジャズは大学などでもアカデミックに研究されているし、YouTube にも山ほど解説動画があって、共通スキル化しやすくなっていると思うんですが、そうなるとそこがスタートラインになってしまうので、そこから先の部分での分化を考えるとジャンルを越えたものになりやすい。

ヴィチアスのコンセプトのひとつとして、いわゆる歌詞が入るヴォーカルとは違うところを目指していますよね。

中川:そうですね。楽器的な声の使い方、スキャットというか歌詞がないスタイルには色々な可能性があると思っているので、今後も追求していきたいです。

ジャズというフィールドとの関係性は意識しますか?

中川:声の楽器的な使い方という点では、いわゆるジャズ的なスキャットや、現代的なジャズ・ヴォーカル、例えばアントニオ・サンチェスのバンドでのタナ・アレクサのヴォイスとサックスとでユニゾンするスタイルや、タチアナ・パーハがピアノと声だけのユニゾンで歌ってるようなスタイルはジャズ・フィールドではもちろん例が多くあるんですが、ヴィチアスは少し立ち位置が違うかなと思っています。
僕たちのやっているものは、曲のフォーム構成やメロディーをポップス寄りなところに落とし込んでいるので、そういうバランスとしてもジャズのスキャットともちょっと違うし、一方で主メロを歌うパートがいるという意味でもいわゆるインスト・バンドとも違うバランスを目指していて。そういった指向性の中でサウンドを構成する要素として、ジャズのコード感であったりポリリズムであったりを作曲の構造の中に取り入れているので、あまりジャズ・シーンに対してどういう立ち位置でいようか、というようなことは考えていないですね。

ヴィチアスは、ジャズというより、新しいインスト音楽という方向性ですね?

中川:自ら新しいインストと名乗るのはおこがましいですが、インスト・バンドってなんだろう? と以前からよく考えることはあって、インスト・バンドっていうのは改めて考えると少し変な言葉なんですよね。僕自身、人に自分の音楽を説明するときに「インスト・バンドやってます」って言っちゃうことが多いんですが、一口にインストと言ってもロックなインストもあればファンクやソウルなインストもあって、インスト・バンドという言葉からはジャンルやサウンド感が伝わるわけではないですよね。でも訊いた方も「あ~そうなんですね」となんとなく納得するという不思議な便利さもあるがゆえに僕もついつい使っちゃうんですけど。でもそれってつまり、「インスト=ヴォーカルがいない」、もっと言うと「歌詞がない」という状態を指していて、訊いた方もそれである種の線引きができるのでなんとなく納得してしまうのではないかと。それは、インスト・バンドという言い方が日本独特なものか分からないですが、いわゆるカラオケ文化と無関係ではない気がしていて。

要するに、リスナーが「歌えるかどうか」、という線引きを音楽に対してしていると。

中川:はい。そういうある種線引きされている、いまインストといわれる音楽の領域をいかに広げられるかということを大げさに言うと考えていて、本当に理想的な状態だとインスト・バンドという言葉がなくなるくらいになれば良いなと思っています。それは歌詞をつけないという僕たちのコンセプトに続いている部分なんですが、「声が入っている状態でリスナーも歌えるようなメロディーがあり、実際に声がメロディーを歌っているんだけど歌詞がないインスト的なサウンド」、という僕たちの音楽をどう聴いてもらえるか、いまの日本の音楽シーンの中でどう評価されるか。それが新しいインストになれるかどうかにつながるんだと思います。

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中川能之(ギター)

自分が日本のインディー、オルタナな音楽シーン、特にライヴハウスで身近に触れていた音楽から得た美意識というか。「これはアリ、これはナシ」といった肌感覚はミクロ的には個人史であり、マクロ的には日本の音楽史の一部でもありという意味ではオリジンになりうるのかなと思っています。

海外の動きは意識していますか?

中川:ゴーゴー・ペンギンはサウンド感やリズムの仕掛けが好きでよく聴きますね。直接的にそこから何か分析して取り入れたりっていうのはしていないんですが、彼らのインタヴューを見るとDAW上で作ったものを生演奏に置き換えるというプロセスを経ているみたいで、ヴィチアスと似ている部分があるかなと思っています。自分の作曲のやり方として、僕はギタリストですけれど作るときはピアノで作るんですね。ピアノの方がギターよりもヴォイシングや音域の制約が少ないので。なので、ヴォイシング含めてDAW上でスケッチを書いて、そのコード・ヴォイシングとメロディーの流れをギターで置き換えるという作業をしています。もちろんピアノのヴォイシング全てをギターに置き換えるのは構造上無理なので、再現と言うより翻訳に近いですが、一度作品としてカチッと作り上げたものを生に置き換えるというプロセスは似ているかなと思います。

ゴーゴー・ペンギンはアドリブ主体のジャズとはちょっと違って、作品性が先に来ているという感じがしますよね。

中川:そうですね。ものすごく大雑把に、個人のスキル同士がぶつかるというタイプをアメリカ的、構築された作品をどう演奏するかというタイプをUK的とするなら、僕たちも後者なのかなと思います。ゴーゴー・ペンギンとかを聴いていると音響面のテクスチャーのこだわりがすごくあって、リヴァーブ感のこだわりとか録音後のミックス感も含めてかなり詰めてるんだろうなと思います。そういうところの音響的なテクスチャーへのこだわりは、僕たちが声を入れていることにつながるんですが、ヴォイスというのはすごく音響的なテクスチャ・コントロールに優れている楽器だと思っていて、それは他の楽器にはない部分だと思うんです。そういった意味で音響的なテクスチャー含めた作品性を重視するヴィチアスのコンセプトにも近しいものを感じます。

ヴィチアスの音響のこだわりはある種UKっぽいですよね。他にいま盛り上がっているジャズについてどう見ていますか?

中川:UKに限らずですが、折衷感があるものがいま多いですよね。いま、現代的なジャズは大学などでもアカデミックに研究されているし、YouTube にも山ほど解説動画とかあって、それゆえに吸収、共通スキル化しやすくなっていると部分もあると思うんですが、そうなるとそこがスタートラインになってしまうので、そこから先の部分での分化を考えるとジャンルを越えたものになりやすいという側面はあるのかなと思います。そういったジャズをインプットしやすくなっているという状況にあって、自分の中にあるオリジンの部分というのをどうミックスするのか、ジャズにある種のレガシーとして接する人が共通して取り組んでいるところなのかなと思います。

なるぼど。では、ヴィチアスにとっての「オリジンの部分」というのは何ですか?

中川:やはり、楽器を始める前の頃も含めて、僕がいままで聴いてきたポップスやロックのフィールドからの影響がいちばん自然に出るのかな。例えばヴィチアスの曲だとハーモニーの部分では、ポリモーダルや調性を薄めてあったりと、かなりジャズの要素が強いんですが、メロディー自体はポップス的に気持ちいいと思うラインを追っていたり、曲のフォーム構成はポップス的なA‐B‐サビのくくりになっていたりします。あとこれはなかなか言葉では表現しにくいのですが、自分が日本のインディー、オルタナな音楽シーン、特にライヴハウスで身近に触れていた音楽から得た美意識というか。「これはアリ、これはナシ」といった肌感覚はミクロ的には個人史であり、マクロ的には日本の音楽史の一部でもありという意味ではオリジンになりうるのかなと思っています。そういったところをジャズ・プラスアルファのオリジンの部分として追求していきたいと思っています。

歌詞が入っていて音量が小さいと聴いている方としてはストレスになると思うんです。どうしても言葉や内容を聞き取ろうとしてしまうから。僕たちの音楽は歌詞がないので、声とそれ以外の音のミックス・バランスを普通の歌モノとは変えて工夫することができます。

ロックやポップスはどんなものを聴いてきたんですか?

中川:普通に生活していて耳に入るような、いわゆる J-Pop ももちろん聴いていましたが、やはり自分が音楽をやるようになってからライヴハウスとかで生で見たバンドの影響も大きいと思います。地元にはライヴハウスがあんまりなかったので、東京に来て J-Pop とは別のインディー、オルタナな音楽シーンを体感したときの衝撃は大きかったです。初めて Ryo Hamamoto さんや Peridots さんのライヴを生で見たときは衝撃を受けましたし、そんなにライヴは観れてないですがベベチオさんとかも好きでよく聴いてました。シンプルに声とメロディーがいい人が好きで。最近知った方だと阿部芙蓉美さんがとても素晴らしかったです。

中川さんは色々な音楽をインプットしていますよね。ボン・イヴェールの作品をDJでかけたときに好きだとお話したことも印象に残っています。

中川:ボン・イヴェールはエフェクティヴな加工やアレンジが素晴らしい面もありつつ、コアになっているフォーキーな感じも好きです。シンプルに良い声とメロディーが好きってのは、多分いちばん最初まで遡ると親が聴いていたカーペンターズが好きだったみたいなところもあると思います。良い声と良いメロディーってのがコアにあるので、弾き語りスタイルから大胆にアレンジやテクスチャーを変えても通底する良さがある人というのに魅かれているというところはあると思います。

最近はケイトリン・オーレリア・スミスも聴いているんですよね? オーガニックな要素をもつ声とエレクトロニックな人工的な音という対比したサウンドの処理についてはヴィチアスにとってもテーマだと思うのですが、その点で工夫されていることはありますか?

中川:彼女は声とモジュラーシンセを主体にする中での、作曲性とミニマル・ループ感のバランスが素晴らしいなと思います。モジュラーシンセに比べると僕たちは基本はアコースティック寄りではあるんですけと、ギターのエフェクトで高域の倍音成分を出して Pad っぽい音を入れたり、ベースにオクターヴァーをかけて低域を拡張したりといったサウンド処理はしています。

今回のアルバム『11034』についてはどうですか。作品トータルの聴かせ方で意識されていることはありますか?

中川:アルバムに関していえば、いちばん気を使ったのはヴォーカルとのミックス・バランス処理ですね。それをどうするかエンジニアさんと何度もやりとりして詰めていきました。ヴォーカルのリヴァーブ感と音量・音響的なバランスの取り方というのはいちばん気を使っていて、どうしても声が入ると声をメインに聴こうとしてしまうと思うんですよね。そうなったとき、ギターも同じ主旋律を弾いているので、ギターの中にある声と他の音とのバランス感覚が大事になってきます。
あと、先ほど話した歌詞を入れていないことにも通じるのですが、歌詞が入っていて音量が小さいと聴いている方としてはある種ストレスになると思うんです。どうしても言葉や内容を聞き取ろうとしてしまいますから。僕たちの音楽は歌詞がないので、声とそれ以外の音のミックス・バランスを普通の歌モノとは変えて工夫することができます。

曲の構成についての聴きどころや、アルバムのなかで思い入れのある曲について教えてください。

中川:1曲目の“How days slided”はバンドで最初に合わせた曲なのですが、この曲はいわゆる初期モードと呼ばれるワンモード主体の構造になっていて、マイルス・デイヴィスの“So What”とかと作りが似ているんですけど、そういったモーダルな感じともうひとつ、この曲は、5と4のポリリズムになっているのが特徴で。そういった自分の中で実現したかった音楽的な要素を、初めて曲の形にできたという意味では、この曲でユニットの方向性が見えた部分でもあるので思い入れがありますね。

歌詞って映像喚起力が強いと思うんですが、それゆえに歌詞が入るとどうしても言葉の映像喚起力に音楽が勝てないというか、音楽自体が持つ微細な映像喚起力がマスキングされてしまう気がして。

やはりジャズの構造が入っているんですね。影響を受けているジャズはどのあたりです?

中川:ジャズの中でも自分がいちばん好きで影響を受けたのはマイルス・デイヴィスの『ネフェルティティ』あたりのサウンドで、いまでもよく聴き返してます。特にウェイン・ショーター作曲の“Fall”が好きで素晴らしく美しい曲なんですが、その曲のハーモニー、音楽的な用語でいうと4度和音を主体とした非機能的なハーモニーの連結といった部分はヴィチアスの作曲にもかなり影響を受けていると思います。

ポリリズムにこだわっているということですが、ヴィチアス独特のリズムを生み出すドラムについての注目ポイントはありますか?

中川:変拍子やポリリズムを取り入れると勢いプレイヤー視点でのドラミングになりがちだと思うんです。でもドラムの安倍くんはそういったリズム遊びを楽しみつつも、ドラマーのエゴにならないようにあくまで音楽的な流れを重視したプレイができるので、そういったトータルのバランス感がポイントかなと思います。ドラムの音質についてですが、今回のレコーディングでは、60年代のヴィンテージのドラムセットにシンバルはいまっぽい音色のものを組み合わせることで、いまの時代のサウンドの中にも伝統的なジャズっぽさも少し匂わせる工夫をしています。

躍動感を出すためにこだわっている部分や、ダンス・ミュージックとの接点についてはどうでしょう?

中川:5と4のポリリズムを使った曲がいくつかあって、その中でキックの4つ打ちではなく5つ打ちというのをやっていて、それはダンス要素のひとつとして意識的に使っている部分ではあります。キックの4つ打ちはダンス・ミュージックに限らず一時期のロックなどでも多用されたこともあり、ある種の定型感すらありますが、ポリリズム、メトリック・モジュレーションを入れることで新鮮さを出せると思っていて。つまり、定型による既視感と、何か違うぞという違和感が同居するので、5に限らずポリリズムから出てくるキックの変拍子打ちにはまだ掘られていない音楽的な鉱脈があるのではと思っています。

ポリリズムについても以前から研究されていたんですか?

中川:特別ポリリズムの研究をしていたわけではないですが、サークルの先輩ギタリストが元ティポグラフィカの今堀恒雄さんのローディーをしていたり、周りにそういう音楽が好きな人がたくさんいたので音楽的なトピックとしてポリリズムの構造についての知識はありました。その時点では知識として理解していただけなので、実際にポリリズムの乗り換えができるとか、身についたと言えるようになったのは作曲の中に取り入れてからですね。

ヴィチアスは映像をライヴで取り入れていますよね。そのあたりのこだわりについても教えてください。

中川:そうですね。ライヴVJはチーム内に担当してくれる人がいて結成当初から一緒に活動しています。映像というかライヴでの視覚的な演出との関係は今後も追求したいなと思っています。歌詞って映像喚起力が強いと思うんですが、それゆえに歌詞が入るとどうしても言葉の映像喚起力に音楽が勝てないというか、音楽自体が持つ微細な映像喚起力がマスキングされてしまう気がして。歌詞を付けていないのはそういう意味でもあるんです。音楽の持つ微細な映像喚起力とライヴの視覚的な演出と、どういう形がベストなのかというのは常に摸索しています。

ヴィチアスのネーミングも視覚的な要素と関連しています?

中川:ライヴを見てくれた人から、曲から連想するイメージが青っぽいと言われたことが多かったので、そこから連想して決めました。ちなみに今回のアルバム名は、「ビチアス海淵」の深海の深度から取っています。

対バンはどんなタイプのバンドとやりたいですか?

中川:安倍くんの尊敬するアントニオ・サンチェスの前座をやりたいねというのは冗談ながら話したことはありますが(笑)、サンチェスは無理にしても、そういった編成やスタイルに共通項のあるジャズ系の人たちともやってみたいですし、逆にがっつり歌モノの人ともやってみたいですね。たとえば個人的に青葉市子さんが大好きなんですが、そういった歌がコアにある人たちと並びでやらせてもらっても遜色ないくらいに、ヴィチアスのスタイル=「声が入っているインスト」という音楽性が広く聴いてもらえるようになりたいなと思います。

ポストロックのバンドも良さそうですよね。

中川:そうですね。ベースの笠井さんがポストロック好きで色々詳しくて。僕も downy さんとか大好きで、奇数連符ノリなど凝ったリズムの仕掛けも自然にロックマナーの中でグルーヴさせているのはすごいし、かっこいいなと思います。ヴィチアスも結成当初からポストロックっぽいという感想をいただくことも多いですし、リズムや音響面でこだわりがあるかっこいいバンドも多いので機会あればぜひポストロックの方々ともご一緒したいです。

ヴィチアスは、ポストロックやジャズの要素もあるし、メンバーそれぞれの素養が形になっていますよね。

中川:バンドでの曲のアレンジにしてもやはり自分にないものが入ってくることで良い意味で自分がデモで作ったものとはかなり違う仕上がりになるので、そういう意味ではすごくバンドっぽいなと思います。各メンバーの音楽的なカヴァー領域が共通項もありつつ重なってない部分がかなり広くて。若干宣伝になりますが(笑)、アルバムCD帯から登録できるファンの方々に向けた限定メルマガの中で、メンバーが好きな曲をコメント付きでオススメするっていうのをやっているんですが、僕自身も知らないアーティストや曲がたくさんあっていつも楽しんで聴いています。

最近のギタリストで中川さんが注目している人は誰ですか?

中川:やっぱりジュリアン・レイジや、ニア・フェルダー、ギラッド・ヘクセルマンあたりはすごいなと思います。音楽的に素晴らしいのはもちろんですし、生でライヴとか見ると単純に「楽器が上手いって素晴らしいことなんだ」と改めて思います。その上で、オーセンティックなジャズ・プラスアルファの自分の音楽的なオリジンの部分をちゃんと融合させていて素晴らしいと思います。あと最近ライヴで観た人だと、チック・コリアのバンドにも抜擢されてたチャールズ・アルトゥラもすごかったです。音の粒の揃い方が尋常じゃなく綺麗でした。
特にギラッド・ヘクセルマンはジョン・レイモンド、コリン・ストラナハンとやっているリアル・フィールズも大好きで。フリューゲルホルン、ドラム、ギターのトリオ編成でボン・イヴェールやトム・ヨークの曲もやっているんですがエフェクトのアイディア、ポリフォニックなラインアプローチなどギタリスト目線でも楽しめますし、全体での構成やアレンジもとても素晴らしいと思います。

では最後に、今後の予定を教えてください。

中川:まだ詳細な時期は決まってないですが、アルバムの一般発売とレコ発に向けて色々と進めています。あとは次の作品にむけての楽曲制作も始めているので、ぜひSNS等で続報チェックしてもらえると嬉しいです。

WXAXRXP - ele-king

 今年で設立30周年を迎えるということで、大きな盛り上がりを見せているUK屈指の優良レーベル、〈Warp〉。先日のオンライン・フェスもどえらいことになっていましたが(とくに良かったのはケレラ)、ついに30周年特設サイトがオープン。各種Tシャツやら小物やら、よだれだらだらのグッズが山ほど……これまで日本ではオンライン販売されなかったエイフェックスのグッズも陳列。こいつはやばいぜ!

https://www.beatink.com/user_data/wxaxrxp.php

〈WARP〉30周年特設サイトが本日オープン!
これまでオンラインでは手に入らなかった
エイフェックス・ツインのレアグッズを含む
〈WARP〉グッズの販売がスタート!

音楽史に計り知れない功績を刻み続ける偉大なる音楽レーベル〈WARP〉。設立30周年を迎えた今年は、『WXAXRXP』(ワープ・サーティー)と題した様々な企画を実施中。6月には東京、大阪、京都でポップアップストアが行われ、カッティング・エッジなキュレーションで音楽ファンから絶大な支持を集める「NTS Radio」とのコラボレート企画では、100時間以上に渡って貴重な音源をオンエア。エイフェックス・ツインやボーズ・オブ・カナダ、ブライアン・イーノ、フライング・ロータス、バトルス、チック・チック・チック、オウテカ、スクエアプッシャー、Bibio ら、人気の所属アーティストのみならず、坂本龍一やエイドリアン・シャーウッドら豪華なゲスト陣の参加もファンを喜ばせた。

次なる展開に期待が集まる中、本日〈WARP〉30周年特設サイトがオープン! それに合わせ、これまで国内ではオンライン販売されてこなかったエイフェックス・ツインの『Donkey Rhubarb』テディベアや『Windowlicker』傘などのグッズや、大竹伸朗によるデザインTシャツを含む30周年記念グッズらが販売開始! アイテムによって、販売数に制限があるため、この機会をぜひお見逃しなく!

https://www.beatink.com/user_data/wxaxrxp.php

またサイトでは、今後の〈WARP〉リリースやイベントの情報も随時更新されていく予定。8月30日には、チック・チック・チックの最新アルバム『Wallop』のリリースが控え、フライング・ロータスの単独公演が9月に、チック・チック・チックの単独公演が10月に開催決定している。

Shuhari × ALTZ.P - ele-king

 2008年に結成され、海外公演も多くこなしてきた東京のインストゥルメンタル・バンド= Shuhari が活動休止を決定、その最後となるライヴを8月12日に表参道 WALL&WALL にておこなう。ポストロックやアンビエントなどを折衷する彼らの競演相手に選ばれたのは、大阪から独特のディスコ・ダブを編み出してきた ALTZ によるバンド・プロジェクト= ALTZ.P (今年頭にアルバム『La Toue』をリリース)。いまたまたま手元に2006年の『リミックス』誌があるのだけど、そこでアルツは「あっち(東京)がああなら、こっち(大阪)はこうだ」と、熱く語っている。両者の掛け算でいったいどんなマジックが生まれるのか?? DJとして hiro と eRee の2組も参加するとのことで、夏休みは WALL&WALL へGOです。

インストゥルメンタルバンド Shuhari の活動休止前ラストライブが競演に ALTZ.P を迎え表参道WALL&WALLにて実現!!

都内ライブハウスを中心に、カナダ・台湾・北京など海外でのツアーや野外イベント「剣乃舞」の主催など精力的に活動してきたインストゥルメンタルバンド、Shuhari。
奇しくも WALL&WALL 初登場であるこのライブを以て無期限の活動休止を発表した。

彼らの新たなる始まりを共に彩るのは、奇才ALTZによるフルバンドユニット、ALTZ.P。
リリースしたばかりのフルアルバム『La Toue』を引っ提げてのステージとなる予定だ。

さらにはDJとして都内クラブや音楽フェスなどでも活躍する hiro と eRee が加わり、空間や時間帯の枠を取り払ったダンスフロアへと誘う。

【公演情報】
- Shuhari x Altz.P -
日時:2019年8月12日(月、祝日)18:00開場/開演
前売り券:2,500円(1D別)https://t.livepocket.jp/e/0812wallwall
当日券:3,000円(1D別)

出演:
LIVE: ALTZ.P / Shuhari
DJ: hiro / eRee

WALL&WALL: https://wallwall.tokyo/schedule/shuhari-x-altz-p/

会場:WALL&WALL (https://wallwall.tokyo/)
東京都港区南青山3-18-19 フェスタ表参道ビルB1F(表参道交差点)

Félicia Atkinson - ele-king

 ASMR(Autonomous Sensory Meridian Response)とは、さまざまな心地よい音をヘッドフォンやイヤフォンで聴くことで「脳が溶けるような」感覚を得ることを指す。たとえばタッピング音、囁くようなヴォイス、雨の音、川の音、水の音、紙を丸める音、炭酸水の音、エアコンの発する音、工場の音などなどASMRで摂取される音の種類はさまざまだ(なかには咀嚼音や髪を洗う音まである)。ユーチューブにはそれらの音・動画が無数にアップされていて、自分の好みの音(動画)をみつけることで、たとえば就寝時などに摂取・聴取することで快楽を経て安眠を得たりするらしい。さらにはスマートフォンのアプリにもASMRを摂取/聴取できるアプリがある。ASMRが人気のいま、「どんな音楽を聴いているのですか?」という質問に、「ビリー・アイリッシュです」ではなく、「チョコレートを食べるときの咀嚼音です」とかいう返答も帰ってきても不思議ではない。つまり一音へのフェティシズムを喚起することで快楽を得る聴取行為なのだ。エクスペリメンタル・ミュージック・ファン/リスナーであれば、例えばフィールド・レコーディングやアンビエント、ノイズなどの聴取を思い浮かべるかもしれない。音それ自体への快楽である。
 しかしエクスペリメンタル・ミュージックが「意志と方法論と技法の結晶」=「音楽作品」として流通していることに対して、ASMRはそのような「音楽」ではない。ASMRの聴き手はただ脳が溶けるような音の快楽を求めている。おそらくスマートフォンの普及により(ということはネットのイヤフォン聴取の普及)、ノイズやエクスペリメンタル・ミュージック・リスナーではない層が、「音の快楽的摂取」に接する機会が増えた結果と思うのだが、同時に現代のリスナーのサウンド嗜好や音響の聴取に対する重要なヒントがあるような気がする。(私見だが)ビリー・アイリッシュ(ばかり例に挙げてしまって恐縮だが)の囁くようなヴォーカルとミニマル・トラックにもイヤフォンで聴くことから生まれる音の気持ちよさは、つまりASMRからの影響もあるのではないか、とか。

 トーマス・アンカーシュミットイーライ・ケスラーKTLJABブラック・ゾーン・ミス・チャントなどのエクスペリメンタル・ミュージック・アルバムをコンスタントにリリースし、まさに現在絶好調ともいえるフランスの電子音楽/エクスペリメンタル・ミュージック・レーベル〈Shelter Press〉だが、同レーベルの中心的アーティストであり、かつレーベル・オーナーでもある電子音楽家フェリシア・アトキンソンの音楽作品は電子音響の現在形だが、ときに「ASMR的」とも評される(じじつレーベルもそう紹介している)。その音は囁き声や細やかなノイズ音が交錯するものだが、ASMRと関連付けられていることは興味深い。
 そんなフェリシア・アトキンソンの『Hand In Hand』以来、2年ぶりのソロ・アルバム『The Flower And The Vessel』がリリースされた(2018年〈Shelter Press〉はジェフリー・キャントゥ=レデスマとのコラボレーション・アルバム『Limpid As The Solitudes』をリリース)。本作はレーベルにとって重要作であるだけではなく、音響音楽の現在形を考える上で極めて重要なアルバムだ。理由はノイズとミュージックの交錯と融解と聴取の快楽性の問題である。

 実はフェリシア・アトキンソンの経歴は長い。2008年にシルヴァン・ショヴォーとの共作『Roman Anglais』、2009年に〈Spekk〉からソロ・アルバム『La La La』をリリースして以来、ジェフリー・キャントゥ=レデスマとのコラボレーション作品を含めてコンスタントに9枚のアルバムをリリースしてきた。本作『The Flower And The Vessel』は記念すべき(?)10作目のアルバムである。じっさい本盤『The Flower And The Vessel』には、フェリシア・アトキンソンの音楽技法の粋を集めた傑作に仕上がっていた。声、電子音、ピアノなどが端正に、かつ逸脱的に重なりあい、それぞれが別の時空間から呼応しているようなサウンドを生成・構成しているのだ。
 前作『Hand In Hand』よりも、2015年の『A Readymade Ceremony』的な音に思えるが、その音響はさらに繊細になりつつ、ミュジーク・コンクレートを継承するような大胆なコンポジションも同時に展開する。エレガントなムードのなか不穏さすらも感じさせるサウンドは見事の一言。しかも今回はピアノが大きく取り入れられており、電子音とノイズとピアノの静謐なレイヤーはとにかく美しい。またゲストに『Life Metal』をリリースしたばかりである Sunn O))) のスティーヴン・オマリーが19分におよぶ“Des Pierres ”に参加。まるで KTL にフェリシア・アトキンソンが参加したような硬質かつ静謐な音響作品になっていた。本作の重要曲だ。
 ほかにもピアノの断片的な旋律と高音の電子音が絡み合う“Moderato Cantabile”、アンビエンスなギターとヴォイスが白昼夢のようにレイヤーされる“Shirley To Shirley”、砂時計のごとき電子音の粒子と声が流れ落ちる“Un Ovale Vert”、繊細なエレクトロニクスと不協和音を奏でるピアノに、童謡のような不安定な声が重なる現代音楽的な“Linguistics Of Atoms”、ライヒ的なミニマルなマリンバ音と細やかに蠢く“Lush”、複数の声と言葉がエディット/レイヤーされるサウンド・アート的な“L'Enfant Et Le Poulpe”など、アトキンソンは独自の音響美学と方法論によって、美麗かつ逸脱的なサウンドを繊細に組み上げらる。中でも“Un Ovale Vert”は、声と電子音とミニマルなフレーズが揺らめく光のカーテンのようにレイヤーされ、本作を代表する曲に思えた。

 本作『The Flower And The Vessel』で展開されるサウンドの緻密さ、繊細さ、運動性、多層性、そして気持ち良さは、2000年代以降のコンピューター内でノイズやサウンドを生成する電子音響作品の系譜を継ぐものだ。電子音響などのコンピューター生成音響音楽は00年代以降のもっとも革新的な音楽のひとつだが、それらがいわゆるエレクトロニカとして大衆化した現在、ゼロ年代初頭の革新性を継承するアーティストは稀になった。
 アトキンソンの音楽はピエール・シェフェール~リュック・フェラーリの音を継承するフランスのミュジーク・コンクレートの現在形だが、00年代以降のコンピューター生成の電子音響、10年代的な音の快楽的(ASMR的)聴取という二つのモードもレイヤーされているのだ。彼女の音響音楽の重要性はそこにある。音楽が音響のなかに融解する感覚が横溢している。
 この00年代から10年代は、インターネットによって情報量が増大化きた結果、音楽とノイズとの境界線が少しずつ溶けていっていった時代であった。ASMRの人気もそれに付随するものだろう。フェリシア・アトキンソンの新作『The Flower And The Vessel』は、そんな現代のリスニング・モードに呼応するアルバムに思えてならない。

OOIOO - ele-king

 日本でもっともオルタナティヴなバンド、ボアダムスの一員であり、昨年はロバート・アイキ・オーブリー・ロウ、スージー・イバラとともに素晴らしいライヴ録音盤『Flower Of Sulphur』を発表している YoshimiO。彼女の率いるバンド OOIOO が6年ぶりにアルバムをリリースする。タイトルは『nijimusi』で、10月10日に〈SHOCHY〉より発売。年明けには〈Thrill Jockey〉よりワールドワイドで発売されることも決定している。また、それに合わせて全国ツアー《OOIOO 滲ム ON 2019》もスタート、京都・大阪・宮城・東京をまわる。もしあなたが刺戟的なサウンドを求めているなら、この機会を逃してはならない。

OOIOO 滲ム On 2019

Thursday 3 October
In KYOTO @ Club Metro

京都市左京区川端丸太町下ル下堤町82 恵美須ビルB1F
B1F Ebisu Bldg. 82 Simodutsumi-cho Kawabata Marutamachi Sagaru Sakyoku Kyoto Japan
京阪・神宮丸太町駅2番口直通

Open 18:30 / Start 19:15
adv. 3000yen / door 3500yen (+1Drink)

w / 山本精一 & アリマサリ Seiichi Yamamoto and ARimasaLLi
α area (Sojirou from Abraham Cross)
DJ ALTZ

sound / kabamix

total info.
Kyoto Club Metro
phone: 075-752-4765

ticket
・ mail reserve
件名に「10/3 OOIOO 前売予約」と記入し、枚数、代表者さまのお名前と連絡先をお書きの上、ticket@metro.ne.jp に送信してください。*基本的にキャンセルはご遠慮くださいませ。
・ チケットぴあ (Pコード:159-428)
・ ローソンチケット (Lコード:56003)
e+

Friday 4 October
In OSAKA @ NOON+CAFE

大阪市北区中崎西3-3-8JR京都線高架下
3-3-8 Nakazakinishi Kitaku Osaka Japan

Open 18:00 / Start 19:00
adv. 3000yen / door 3500yen (+1Drink)

w/ α area ( Soojiro from Abraham Cross )
CROSSBRED
DJ YAMA

sound / kabamix

food : WOOST engine meals
アジアの食卓と地球エネルギーをイメージして、今の気分と食感のリズムを大切にお料理する亜細亜的移動食堂屋

total info.
NOON+CAFE
phone: 06-6373-4919
email: info@noon-cafe.com

ticket
・ mail reserve
件名に「10/4 OOIOO 前売予約」と記入し、枚数、代表者さまのお名前と連絡先をお書きの上、info@noon-web.com に送信してください。*基本的にキャンセルはご遠慮くださいませ。
・ ローソンチケット (Lコード:55265)
e+

Sunday 6 October
In MIYAZAKI @ Wandern

宮崎県都城市中町1-9
1-9 Nakamachi Miyakonojo Miyazaki

Open 18:00 / Start 19:00
4000yen (Includes 1drink)

live / OOIOO
sound / kabamix

total info. & ticket
・ tel.reservation
phone: 090 4601 8653 (セキ リョウタロウ)
・ mail reserve
件名に『OOIOO』と記入し、お名前・枚数・連絡先を書いて、wwd.ryotaro518@gmail.com に送信してください。確認後、返信メールをお送りします。
*電話 / eMAIL 予約、いずれの場合もキャンセルされる場合は必ずご連絡をお願い致します

Thursday 7 November
In TOKYO @ O-WEST, Shibuya

東京都渋谷区円山町2-3 2F
2-3 2F Maruyamachi Shibuya, Tokyo

Open 18:30 / Start 19:15
早割 early bird rate 2500yen / advance 3500yen (+1drink)

abura derabu 2019
live / GEZAN, FUCKER, OOIOO
sound / ZAK

ticket info
early bird rate O-WEST店頭早割 2019/7/21 13:00 - 2019/8/5 17:00 (03-5428-8793)
advance 一般販売 2019/8/10 11:00 e+

total info
シブヤテレビジョン 03-5428-8793 (mon to fri 12:00-18:00)

Bibio - ele-king

 春先に喚起力豊かなニュー・アルバム『Ribbons』をリリースしたばかりのビビオが、未発表の新曲“Spruce Tops”を公開した。同作に収録されたサックスの映える素敵な1曲“The Art Of Living”のシングルカットに伴い、B面として採用された次第である。フルートとギターの対比がじつに麗しい。ビビオの旅路はまだまだ続くのだ……

BIBIO

最新アルバム『Ribbons』未収録の新曲“Spruce Tops”をカップリングした2曲入りシングル「The Art Of Living」をリリース!

聴く者の記憶や、心に浮かぶ情景に寄り添う心温まるサウンドで幅広い音楽ファンから支持を集める Bibio が、待望の最新アルバム『Ribbons』に収録された“The Art Of Living”に、アルバム未収録の新曲“Spruce Tops”をカップリングした2曲入りシングルをデジタル・ダウンロードとストリーミングでリリースした。

The Art Of Living
https://youtu.be/NMZ7NKj0wMw

Spruce Tops
https://youtu.be/Q41voFN0e5c

Bibio ことスティーヴン・ウィルキンソンは“The Art Of Living”を制作した際のインスピレーションを次のように語っている。

人生は目的のない旅だ。経験が素晴らしい師となり得る。その経験が辛いものであればあるほど。感動っていうのは、自分の足元にあるものだ。最もインスピレーションを与えてくれるものは、シンプルで身近にあるものだと思う。僕らの体や心には、順応し、回復する機能が備わっている。人生の旅っていうのはAからBに行くっていうようなものではなくて、もっと大きくて、曖昧なものなんだ。それは音楽に関しても言える。この曲は、個人的な経験や観察、そして哲学の教え、詩、その他の僕に影響を与えた色々な考え方を通して感じた可能性というのを反映している。 ──スティーヴン・ウィルキンソン (BIBIO)

新曲となる“Spruce Tops”は、控えめで美しいギターのサウンドが、それとは対照的に優雅なフルートのサウンドと重なり合った、瞑想的でのびのびとしたグルーヴを感じるインストゥルメンタルの楽曲だ。

作曲作詞はもちろん、歌唱、そしてほぼすべての楽器を自ら演奏する Bibio だが、最新作『Ribbons』はさらに独学で学んだマンドリンやバイオリンなどにも挑戦し、作品に新たな色を与えている。国内盤にはボーナストラック“Violet”が追加収録され、歌詞対訳、さらに本人によるセルフライナーノーツを含む解説書が封入される。

電気じかけのサイケデリックな田園空間が花開いていく。家にいながらにして春を味わえる1枚。 ──rockin'on

ビビオのつくりだす手工芸品のような細部は聴くものを魅了し、その儚くも美しい世界がたしかに存在するのを感じさせる ──intoxicate vol:139

フォークミュージックと西海岸のドリーミーさを詰め込んだ力作~。 ──POPEYE 5月号

美しく詩情ゆたかなサウンドは、新たらしい季節をより鮮やかに彩ってくれる ──FUDGE 5月号

label: WARP RECORDS
artist: Bibio
title: The Art Of Living
release: 2019.08.02 FRI ON SALE


label: WARP RECORDS/BEAT RECORDS
artist: Bibio
title: Ribbons

【CD】
cat no.: BRC-593
国内盤CD ボーナストラック追加収録/解説・歌詞対訳冊子封入
2019.04.12 FRI ON SALE

【カセット】
cat no.: BRC-593CS
国内盤カセット ボーナストラック収録
2019.04.12 FRI ON SALE

BEATINK.COM: https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10210

The Mauskovic Dance Band - ele-king

 かつて1950年代から1960年代にかけて、ダンスホールやクラブには専属のバンドやオーケストラがいて、その頃のダンス音楽の主流であるラテンやアフロ・キューバンの生演奏を繰り広げる時代があった。その後1970年代に入り、ダンスホールはディスコティークに取って替わられて、バンドの役割も次第にDJへと変換していくわけだが、当時のディスコ時代でもMFSBやサルソウル・オーケストラなどはそうしたダンス・バンドの系譜を受け継ぐ存在で、バンドからDJカルチャーへの橋渡しをおこなった。ヨーロッパにおいても同様で、1950年代から1970年代にかけては多くのラテン・バンドが存在していた。ベルギーやオランダではニコ・ゴメス楽団、チャカチャス、エル・チックルズ、ショコラッツといったグループが活動していて、チャカチャスの“ジャングル・フィーヴァー”はムード・ラテンにディスコを取り入れた最初の例として世界中で大ヒットした。ベルギーとフランスの混成バンドのショコラッツは、セローンやドン・レイがいたコンガスと共にアフロ/ラテン~トロピカル・ディスコを確立した。オランダを拠点とするニック・マウスコヴィッチ率いるダンス・バンドは、それらかつてのラテン・ディスコ・バンドの現代版と言える存在だ。

 ニック・マウスコヴィッチはアムステルダムで活動するマルチ・ミュージシャン/プロデューサーで、トルコ系のミュージシャンたちによるサイケ/フォーク・バンドのアルティン・ガンに参加する一方で、マルチ・ミュージシャンのジャコ・ガードナーとニューウェイヴ/バレアリック・ディスコ・ユニットのブラクサスを組んでいる。そんなニックによる5人組ダンス・バンドは、彼の兄弟のチョコレート・スペース・ドニー(キーボード、エフェクト)、マーニックス(ギター、シンセ、パーカッション)、マノ(ベース)が中心となり、そこにクンビア・ミュージシャンのフアン・ハンドレッド(ドラムス)が加わっている。2017年にデビューしてスイスのレーベル〈ボンゴ・ジョー〉からシングルを2枚リリースし、その後2018年にアフロやカリビアンなどワールド・ミュージック/辺境音楽系に強いUKの〈サウンドウェイ〉から「ダウン・イン・ザ・ベースメント」というEPをリリース。この中の“コンティニュー・ザ・ファン(スペース・ヴァージョン)”という曲がジャイルス・ピーターソンのコンピ『ブラウンズウッド・バブラーズ・13』に収録され、彼の催す「ワールドワイド・アワーズ・2018」の“トラック・オブ・ザ・イヤー”にノミネートされるなどして注目を集める。そして7インチの“シングス・トゥ・ドゥ”を経て、ファースト・アルバムとなる本作を〈サウンドウェイ〉からリリースという流れとなる。アムステルダムのスタジオで録音された本作は、現在ポルトガルのリズボン在住のジャコ・ガードナーによってミックスされた。

 ザ・マウスコヴィッチ・ダンス・バンドのサウンドは、直接的には1980年代前半頃のアフロやラテン・ジャズと結びついたオルタナティヴ・ディスコやエレクトロ、ポストパンク~ニューウェイヴ・ディスコの中でも特にパーカッシヴでトライバルなサウンド、あるいはファンクとラテンが結びついたファンカラティーナなどの影響が強い。具体名を挙げればUSならアーサー・ラッセルによるダイナソー・Lやインディアン・オーシャン、オーガスト・ダーネルによるキッド・クレオール&ザ・ココナッツやサヴァンナ・バンド、リキッド・リキッド、コンク、ワズ・ノット・ワズ、UKならファンカポリタン、モダン・ロマンス、ブルー・ロンド・ア・ラ・ターク、ファンボーイ・スリー、ピッグバッグ、リップ・リグ&パニックなどだろうか。彼らのサウンドに共通するのは、どこか特定の国の本格的な民族音楽に倣うのではなく、世界の様々な民族音楽や辺境音楽をゴチャ混ぜにしたような無国籍感が漂うもので、ある意味で本場のサウンドではない偽物ならではの怪しさが漂うものだった(さらにそれらの源にあるのは、マーティン・デニーやレス・バクスターなど1950~60年代のエキゾティック・サウンドだろう)。
 ザ・マウスコヴィッチ・ダンス・バンドもそうしたB級感覚を継承していて、それこそがダンス・バンドといういかがわしい存在を体現している。チープなドラムマシーンやアナログ・シンセにキーを外したヴォーカルがフィーチャーされる“ドリンクス・バイ・ザ・シー”や“セイム・ヘッズ”がまさにそうで、1980年代のレトロ感満載のサウンドだ。性急なビートの“スペース・ドラム・マシーン”やファンカラティーナ調の“ダンス・プレイス・ガレージ”は、パラダイス・ガレージでラリー・レヴァンがプレイしていたようなアンダーグラウンド感一杯のもの。“パーカッション・アンド・スパジオ・サウンズ”は文字通りマッドでコズミックなパーカッション・トラック。スティールパンのようなパーカッションの音色が印象的な“アルト・イン・ヴァカンザ”では、このバンドにとってダビーなテイストも重要な要素であることを示していいて、“レイト・ナイト・ピープル”や“イッツ・ザ・ロング・グッディ”にもそうしたディスコ・ダブの要素が表われている。レトロなラテン・バンド・スタイルを下敷きにしつつ、ニューウェイヴ・ディスコやディスコ・ダブの要素を交えて現代的にアップデートさせた彼らは、2010年代以降のヴェイパーウェイヴの流れの中にも位置づけられる存在と言えるだろう。

反緊縮候補たちの参院選 - ele-king

 反緊縮候補たちの参院選が終わった。
 選挙結果と今後の反緊縮ポピュリズムの動きを考える。


 参院選が終わった。選挙前の予測どおり大勢に影響はなかったと言えるだろう。自民党の議席は微減し、立憲民主党は議席数を倍増させた。しかし、この立憲の躍進に見える結果も、実情は比例票を約300万票も減らす形で、16年の参院選前に民進党の保有していた議席が立憲と国民民主党とに割り振られたかっこうになっただけとも言える。依然として参議院での過半数は与党に抑えられ、「ねじれ国会」を作るには至らなかった。(https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201907/CK2019072202000321.html

 メディアから「台風の目」とも称された反緊縮・れいわ新選組は、山本太郎代表はどうなっただろう。れいわ新選組は228万票を獲得し政党要件を獲得、山本氏自身も99万もの比例票を獲得したが、新設された特定枠で擁立した重度障がい者の2人を優先的に当選させ、3議席目を得られなかったため落選した。01年以降の現行選挙制度で落選者の最高得票も更新した形となり話題を呼んだが、 山本氏は自分の保身のための参議院での1議席など、ハナから捨てる覚悟でいたんじゃないかとも感じる。彼が次期衆院選について、「政権選択なので、立候補者100人ぐらいの規模でやらなければいけない」と発している(https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190722-00000009-mai-pol)通り、「本丸」はあくまで政権奪取であり、現在は「一の門」である参議院の門を突破したに過ぎない。実際に、欧州の反緊縮ポピュリズム政党は、結党からわずか数年で政権の座に手をかけるほどに急速に巨大化していて、れいわに限っても非現実的な目標と言い切れないのだ。

 選挙結果を伝える各テレビ報道でも、リベラル系メディアはこぞって当選した重度障がい者の舩後靖彦氏と木村英子氏を特集した。元郵政・金融大臣の亀井静香をして「戦術家」と言わしめる山本氏の作戦勝ちだろう。山本氏が「障がいのある政治家を国会に送り込むことが、障害に関連する政策を進めるための効果的な一歩になる」とロイター・国際版に語った(https://www.reuters.com/article/us-japan-election-disabled/japan-disabled-challenge-stigma-barriers-to-run-for-upper-house-seat-idUSKCN1UC0ZL)ように、この世界初の試みは、国会のバリアフリー化のみならず、社会福祉分野への財政拡大に繋がる経済政策ともなりえる。人口の8%にも及ぶ身体的および知的障がい者の代表の誕生が、山本氏の掲げる「生産性で人間の価値をはからせない世界」の構築にどう影響を与えるか、今後の活躍が期待される。

 さて、今参院選では不名誉な記録も作られた。投票率が48.8%で戦後2番目の低さになった(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190722/k10012002661000.html)というのだ。マスコミ報道によると「関心がなく盛り上がりに欠ける選挙」だったそうで、「与党支持に大きな広がりはみられないものの、低投票率に支えられた」そうだ。しかしこの低投票率と無関心、与党の安定を支えたのは、「大本営発表」とも揶揄されるマスコミ自身であることは言うまでもない。(https://www.asahi.com/articles/DA3S14102991.html

 「スポンサーであるグローバル企業や大企業の顔色を伺い、忖度をすることによるスピンコントロールが行われている」とは、投開票日の山本太郎氏の言だ。筆者の知る限り、これほど国民対マスコミの対立が表面化した選挙は他に類を見ない。既得権者たるマスコミは、ネットユーザーから「上級国民」と疎まれるが、この構造も欧州のポピュリスト政党をめぐる状況とよく似ている。投開票日における、れいわ新選組の候補者たちによるマスコミ批判(https://www.youtube.com/watch?v=5Fr8h28yPYE)が大変興味深かったので拾ってみたい。

 新聞やテレビなどの主流メディアが、れいわ新選組を扱わない状況について、マスコミの記者から質問された山本氏は「メディアもガチンコで喧嘩してほしい。明らかにおかしな報道が続いている。言葉を選ばずに言うと、“どこまで自民党のお尻を舐めるんだろう”みたいな。争点がまったく見えない、それだけを観ていれば自民党に入れてしまうような報道」と表現し、れいわ候補の安冨歩氏(東京大学教授)も「インターネットの力がなかったられいわは2議席取れなかった。メディアの皆さんの存在基盤がまもなく失われることを認識してほしい」と続いた。

 同党候補で、財政・金融システムに詳しい大西つねき氏(元J.P.モルガン銀行)は「メディアのみなさんは、税収で借金を返済したらどうなるかわかりますか? それを理解していない。私たちが消費税ゼロと言ったときにはちゃんとロジックがある。皆さんの仕事は真実を知って暴くことだが、その根本的な能力が足りていない。なぜアメリカからMMTのようなものが出てきたのか皆さん理解してないでしょう? それでよく報道機関だといえますよね。お金の発行の仕組みを知ることが日本を、世界を良くすることにつながる。レクチャーするのでぜひ取材に来てください」と発破をかけた。

 同じく候補で、コンビニのブラック問題で闘う三井よしふみ氏は、「コンビニ問題を、長年マスコミの人に話していますが、現場ではわかったと言いながら、なんで本社に帰ったら話が消えるんですか?皆さんはジャーナリストになった時には真実を伝えたいと思ってこの職業を選んでないですか?いつからサラリーマンになっちゃったんですか。コンビニの本部はマスコミなんかいくらでも操作できると思っている、ナメられてるのは貴方たちだ。俺たちと世界を変えようじゃないか」と奮起を促した。

 筆者も現場で一部始終を見守っていたが、彼らが本気で政権を取り、このぶっ壊れた日本を変えようとガチンコでケンカをしかけているのだと再認識した次第だ。こうして「天才!たろうの元気が出る選挙・シーズン1」は幕を閉じることになったが、いかに批判者が冷笑し、誹謗中傷を加えてもれいわ新選組の躍進は止まりそうにない。MMTのファウンダーの1人、L・ランダル・レイの言葉を引用する。「現代貨幣理論(MMT)は、3つの段階を経るだろう。まず、馬鹿にされる。 第二に、激しく反対される。 第三に、それが自明のものだと認められる。 MMTの教義の多くは、すでに第三段階に入っている。元批評家達は現在、それらを”最初から知っていた”と主張している」。MMTに対する評価に限らず、れいわの評価も同じ道を歩むことが予想される。

 さて、他野党の反緊縮候補たちはどうなっただろう。反緊縮候補を認定・推薦する団体、薔薇マーク・キャンペーンによると、認定した反緊縮候補の50人中10人が当選(https://rosemark.jp/2019/07/22/02-19/)した。その中でも注目したいのが立憲民主党の石垣のりこ氏だ。石垣氏は野党統一候補として挑み、自民現職の愛知治郎氏との接戦を制し、1人区で立憲の公認唯一の当選者となった。選挙戦中も党議拘束になかば反する形で「消費税ゼロ」の主張を発し続けたが、皮肉にも、国民生活の底上げを訴えるその声が有権者に届くかっこうとなり、当選を成し遂げたといえるだろう。山本太郎氏と行ったジョイント街宣では、仙台駅西口を1000人以上もの聴衆で埋め尽くした。「1枚目の投票用紙(選挙区)には石垣のりこと、2枚目の投票用紙に(比例)は山本太郎とお書きください」と訴えた石垣氏、山本氏双方の演説が、野党共闘のうねりをより大きく共振させた。従前の参院・衆院選の結果から野党が強い土壌であることは知られるところだが、経済評論家の池戸万作氏は「野党が東北の4県を制したのはこの街宣の影響が大きい」と評している。

 前回コラムで、筆者が注目していた社民党の相原りんこ候補は、激戦区・神奈川で健闘したが、惜しくも敗れた。選挙中もブレることなく財政出動、消費減税を訴え続ける姿勢は、多くの反緊縮派から賞賛を得たが、社民党の脆弱な組織力も背景に、望みどおりの選挙戦を闘うことができなかった印象だ。選挙後、筆者がヒアリングしたところ、本人は反緊縮活動を行うため新たな道を歩むということだったが、多くのネット市民からは、1年以内に行われると予想される衆院選には、れいわからの出馬を望まれているようだ。

 薔薇マークを認定された候補も、その認定自体が当選に結びついたとは言えず、まだまだ反緊縮が市民権を得るような状況には至ってはいない。しかし反緊縮の波は確実に拡がっている。今年の初めから、立命館大学教授・松尾匡氏の薔薇マークをはじめ、京都大学大学院教授・藤井聡氏の主宰する「令和の政策ピボット」、山本太郎氏のれいわ新選組などの反緊縮グループが次々に立ち上がり、2019年は日本での反緊縮元年といえる年になった。年初からわずかながらではあるけど、メディア報道も増えていった。まさか、MMTerのランダル・レイ教授やステファニー・ケルトン教授が、テレビのゴールデンタイムで特集されようなど、つい半年前まで想像さえしていなかった状況だ。イタリアの反緊縮ポピュリズム政党・五つ星は、結党からわずか9年で政権の座についたが、このトレンドが止まることはないだろう。次の衆院選が勝負となる。

 今回、反緊縮派候補やれいわの躍進を支えたのは、大衆だ。普段政治に興味のなかった層が初めて自発的に投票したという話も聞く。しかし、日本では、民主主義とは投票行動のことであり、国会での多数決のことだと勘違いしている人たちも多い。首相自らが「憲法は国の理想を語ったもの」だと、誤った認識にもとづく発言を重ね、テレビはそれを無批判に垂れ流すような国だ。

 今後、消費増税で消費が落ち込み、オリンピック特需も終了、さらには外国人労働者の流入や働き方改革により、労働者全体の賃金が引き下げられるような事態にならないとは限らない。まだまだ状況を楽観視することなどできないが、掃き溜めにえんどう豆の芽が顔を出し、沼地にも蓮の葉が育とうとしていることに希望を見出したい。

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