「Not Waving」と一致するもの

LA Timpa - ele-king

 ブライアン・イーノなら、これも「新しいアンビエント・ミュージックだ」と評するだろうか。ナイジェリア出身でトロント育ちのクリストファー・ソエタン(Christopher Soetan)による通算5作目。クラインが『Loveless』をリミックスしたような『IOX』は様々なループを駆使するのはこれまで通りとして、前4作にはないドローンないしはドローン状のサウンドが全編で取り入れられ、さらにはドローンとループを組み合わせたサウンドを縦横に発展させた上でこれまでになくポップへの道筋も見えている。5年前に〈Halcyon Veil〉からリリースされた2作目『Modern Antics in a Deserted Place』が一部で注目され、トリッキー “I’m in the Doorwaye” のリミックスやスペース・アフリカ『Honest Labour』への客演を経て、昨年はクラインのインダストリアル・アルバム『Marked』など彼女の諸作に様々な形でフィーチャーされている。以前からディーン・ブラントと類似性を指摘する声もあり、5作目はロリーナことインガ・コープランドの〈Relaxin Records〉からとなった。

 これまで様々なフォームの曲を展開してきたティンパ・サウンドから5作目全体の雛形となったのは前々作の “Through Mine” や前作の “Spar” 、あるいはドローンをループさせた “Redo(Etching for Walls)” や雑にギターをかき鳴らす “ornary pt.2” もひと役買っているかもしれない。比較的ヒップホップ寄りだった “Through Mine” のテンポをスローダウンさせて黄昏れたロック・サウンドに近づけたのがオープニングの “Pressure (Don't Show On You)” であり、続く “Remain” となる。リズムもかつてなくパーカッシヴで歯切れのいい叩き方に変えているものの、それを凌駕するようにドローンが様々な強度で吹き荒れ、曲全体はどれもドローンによって性格づけが決まっていく。ほとんどの曲にヴォーカルが入っているものの、霞がかかったようなエフェクトがかけられていて1単語も聞き取れない(言葉は重視していないのか、声を楽器として聞かせるというやつか?)。

  “Brought On” が最初の白眉。ふわふわとした雰囲気のつくり方はマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン “Soon” を思い出すとかいうと杉田元一にぶっ飛ばされるかもしれないけれど、この曲はなかでは珍しくドローンを背景に退かせ、シンプルなギターらしき弦のループを際立たせている。ソウル・ミュージックの破片も混ざり込んでいて、コクトー・ツインズ好きを表明していたプリンスが生きていたらいつかたどり着いた……いや。同趣向ながらリズムを逆回転させているのかなと思うのが “Sk (I Let Them In)” と続く “Deceived” で、この辺りはノイ!が溜めの多いファンキー・サウンドを陰気に演奏したらスライのモデル・チェンジになりました的な印象。最初は気持ち悪いのに、だんだんグルーヴィーに感じられてくるからあら不思議で、そういえばインダストリアル・ボディ・ミュージックにブラック・ミュージックのグルーヴを結びつけたのがジェフ・ミルズだったとしたらシューゲイザーにブラック・ミュージックのグルーヴを持ち込んだ例ってなんかあったっけ? A・R.・ケインも違ったよなー。

 自ら編み出した独特の手触りを裏切るようにアグレッシヴなパッセージで幕をあける “Capture” 。これも杉田元一に殴られるのを覚悟で持ち出すのが “Only Shallow” 。このあたりからドローンよりもループの存在感が増してきて、ここではまったく調和の取れていない3つか4つのループが重ねられている。「シュトックハウゼンの捨て曲です」と言われれば信じてしまうかもしれない煩雑さ。雰囲気をコロっと変えてしれっと終わった後は冒頭に帰ったような “Twin Action” へ。雰囲気を自在に操るというのか、なんか手玉に取られている感じ。ここではくっきりとしたスネアの背後でランダムに打ち鳴らされる複数のドラムが前の曲からイメージを引き継ぎ、悲しげなヴォーカルを引き立てもしなければ足を引っ張りもしない。単なるスキゾフレニアック・ポップ。一転して洪水のようなノイズ・ドローンで始まる “Make It Count” は全体的には妙にクールで誰にも憎しみを抱いていないインダストリアル・ミュージック? フェネスやエメラルズを思わせるノイズのネオアコというか、ハーシュ・ノイズがファシズムではなく優しさに包まれる感じを呼び起こす。ここからの展開は杉田元一を狙い撃ちしているかのような構成で、 “We Must Devisen” がまずは “Brought On” のヴァリエーション。やはりシンプルなギターらしき弦のループが前面に押し出され、半透明な空気をゆっくりと撹拌する。イーノのジェネレイト・ミュージックと同じようにループを重ね合わせた “One Too Many” は “Capture” のヴァリエーションで、この発想だけでアルバム・サイズまで拡大させればエレクトロニカの作品となるんだろうけれど、ここから2000年代前半のティム・ヘッカーやイエロー・スワンなどを思わせる長尺のローファイ・ドローン “Living Moment” へと続く。どこかに意識が飛んでいくようなトリップ感覚はまるでなく、どことなく内省的で疲れていない時に聞くとやや退屈。この曲はこの曲順で聞くよりDJでかけていた時の方が数倍カッコよかった印象がある。ちなみにDJはかなりのフリースタイルで、フリー・アドヴァイスとのB2Bでは実験音楽を16で刻みながらレイヤー化し、音の断片でオーケストレーションを編み出していくのが圧巻。最後におまけみたいな “Wish” で、締めるというよりは別な入り口に立っているような終わり方。

 「IOX」というのはオーディオ・インターフェイスのことでしょうか。音を楽しみ、音楽に終始したアルバムという印象で、これまで孤独や環境の変化をテーマにしてきたLAティンパが内なる平和を模索したということか。

BarChitChat - ele-king

 小田急線沿いの新百合ヶ丘といえば再開発された小綺麗な、無菌室のような駅で、そこに住んでいる勤め人くらいしか用のない街といえばそうなのだが、しかし、ワタクシ=野田は、わざわざここまで、宇宙日本世田谷から新百合へと、暗くなる頃に通っていた時期がある。なぜならこの街には、BarChitChatがあるからだ。
 若さは逞しい、そこがどんな場所だろうと、好きなことをやってしまう。誰にも止められやしない……いまから20年ほど前、この店には新種のボヘミアンたちが集まっていて、忌野清志郎が住んでいた70年代の国立はこんな感じだったのではないかと空想させるような空気が流れていたのである。
 というわけで、BarChitChatが年にいちどのパーティをやるので紹介しましょう。せっかくなので、その店主である渕上零にミニ・インタヴューしました。彼が、日本のロック/ポップス史の美しい流れのなかにいることがわかると思います。


21周年おめでとう! ところで、いまさら言うのもなんですが、そもそもレイ君は何者なの(笑)? 昔、ムロケンさんにご紹介いただき、ご機嫌な音楽がかかかっているんでよく飲みにいかせていただいて、そのまま仲良くなってしまいましたが、いったいこの若い店主が何者なのか、いまだによくわかってないので、この機会に教えてください。

渕上零:10〜20代にギタリスト、映画俳優、詩人、写真家、絵。色々やっていて、天才アーティストと名乗っていました。29歳でBarChitChatを始めました。話し出すと長いですが、これからブレイクする直前の人達に出会う事が多い人生でした。

レイ君自身の音楽遍歴は? お母さんがヒッピーだったんだっけ?

渕上零:ヒッピーというわけではないと思うのですが、まわりにそういう大人が多かったとは思います。日本三大フーテンの一人、通称キリストがBarChitChatの看板を組み木絵で作ってくれました。ぼく自身も18〜19歳の頃彼の助手をしていました。赤ん坊の頃からの付き合いでした。また、まわりに伝説のライヴハウス吉祥寺OZを作った人や店長など、裸のラリーズまわりりの大人たちがいましたね。母はサイケデリックライティングを僕が産まれる前にやっていたようです。父は1970年代前半、横浜根岸でロック喫茶をやっていたようです。
産まれた頃から家ではロックやレゲエが流れていました。母はボブ・マーリーのライヴにも行っていましたね。13歳のときにRCサクセションの発売禁止になったアルバム『COVERS』にヤラれて音楽に目覚めました。いまは、オサムちゃん&RC SESSION with梅津和時という清志郎バンドでギター弾いてます。

BarChitChatのコンセプトは? 

渕上零:庶民派Barでありながら、いろいろなことを発信していけるお店でありたいと。そして何より出会いの場。そして想像の場。実験の場でもあると思います。

ぼくが行っていた頃は、東京郊外の(じっさいは川崎?)若いヒッピー的な感性がある子たちが集まっていたような印象なんだけど、それはぼくの勘違い? あんま好きなことじゃないけど、オーガニック系とか? わりとザ・バンドとか、キャロル・キングやジェームス・テイラーのようなSSW、70年代の西海岸(クロスビー、スティルス&ナッシュ、ジョニ・ミッチェルほか)みたいなイメージだったんだけど、最近お店のなかはどんな感じなの?

渕上零:川崎市ですが、反対側はすぐ東京都、こっち側も少し行くと横浜市という川崎の端っこになります。そうですね、ヒッピー感性の人たちも来ますが、最近はHip Hop好きの若い子たちも来てくれます。ジャンルにとらわれず、自分がいいと思う音楽をセレクトしています。ぼく自身は1975年くらいまでの音楽を聴いてきましたが、最近はHip Hopも若い子たちに教わって少し聞くようになりました。

Anniversary Party!のテーマみたいなものは何でしょう?

渕上零:ここ10年くらいは年に一度、ぼくがかつて働いていた横浜の老舗THUMBS UPで開催させていただいているのですが、よそでなかなか一緒にならないような組み合わせですし、BarChitChatでライヴしてくれてるアーティストたちが集います。インディーからメジャーまで様々に。知らなきゃモグリなアーティストを毎年呼んでいます。

いま人気上昇中の井上園子さんについてコメントください。

渕上零:歌う前からBarChitChatに来てくれていたのですが、ある日再会したら、私歌いはじめました! と。そこから毎月のようにBarChitChatで歌ってもらうようになりました。音はカントリー、メロディはポップだけど、歌詞はするどくて尖っていたり、そして文学的。なかなか出てこない才能の持ち主のひとりだと思っています。アニバーサリーでは、毎回トップバッターに光る才能の新人を起用するのですが、20周年の昨年は彼女でした。今年はこの日限りの7人編成です。ぼくもギター弾きます。

最後に、いま現在のChitChatのフェイヴァリット・アルバム10枚を挙げてください。

(順不同)
・松倉如子『パンパラハラッパ 』
・Circles Around The Sun『Interludes For The Dead』
・MARC RIBOT&JAKOB ILJA『17 HIPPIES PLAY GUITAR』
・Fishmans『Long Season』
・ハバナエキゾチカ『踊ってばかりの国』
・La Lom『The Los Angeles League Of Musicians』
・Srirajah Rockers『ENDURO』
・ラブワンダーランド『永い昼』
・ 与世山澄子『Interlude』
・ ADRIAN YOUNGE & ALI SHAHEED MUHAMMAD『JAZZ IS DEAD 011』

ありがとう。じゃ、またビールを飲みに行くよ!

渕上零:久々乾杯しましょう!

 2004年春、アーティスト渕上零が新百合ヶ丘で始めた唯一無二のMusic Bar。 “小さなお店で、大きな奇跡を ” をモットーに。
この春21周年を迎えるBarChitChatで巣立ってきたアーティスト達が集結する。渕上零の古巣THUMBS UPにて、年に一度の祝祭が今年も開催される。

BarChitChat 21st Anniversary Party!

2025.420.Sun.
at 横浜THUMBS UP
【出演者】
✳︎ASOUND
✳︎光風&GREEN MASSIVE
✳︎井上園子楽団
(井上園子/gnkosai/大澤逸人/長尾豪大/西内徹/Chaka/渕上零)

✳︎ F.I.B JOURNAL DUO+2
(山崎円城/沼直也/Guest :Little Woody/ハタヤテツヤ)

✳︎junnos
✳︎禅座DUBNESS
(小林洋太/越野竜太(らぞく)/大角兼作(らぞく) &dub mix)

✳︎ COSMIC JUNGLE
(MONKY/TOMOHIKO HEAVYLOOPER/小林洋太)
DJ:HOMERUN SOUND

VJ:Oshoz

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open15:30 Live16:20

※限定200名
前売4200円/当日5000円

■チケット
⚫︎TEL予約 045-314-8705
⚫︎ネット予約
https://www.stovesyokohama.com/thumbsup/

THUMBS UP
神奈川県横浜市西区南幸2-1-22
相鉄Movil3F

いったいどのようにして、猿、サイボーグ、女性の本質……について理解する作業を通じて、不可能なのに目の前に溢れかえるリアリティから、可能なのに目の前ではないどこか別の場所へと辿り着くことができるだろうか?怪物たる我々は、もっとちがった記号化の秩序を提示してゆくことができるだろうか?サイボーグたちがこの世を生き延びんことを! ――ダナ・ハラウェイ『猿と女とサイボーグ』
魑魅とか妖怪変化とかの跳躍するのはけだしこういう闇であろうが、その中に深い帳を垂れ、屏風や襖を幾重にも囲って住んでいた女というのも、やはりその魑魅の眷属ではなかったか ――谷崎潤一郎『陰翳礼讃』

 目下クラブ・カルチャーに関わる人たち、少なくとも私が観測する限りでは政治的意識を普段から持っているコミュニティを少し超えた範囲でも議論の対象となっている事柄のひとつがBoiler Roomだ。ele-kingの読者に対してBoiler Roomとは何かを説明する必要はないとは思うが、なぜいまBoiler Roomが議論の対象になっているのかは、簡単にまとめておきたいと思う。
 Boiler Roomはつい最近、SonarやDGTL、Thunderdomeなど世界各地の大規模な有名フェスを運営する会社であるSuperstructに買収された。そのSuperstructを所有しているKKRという会社は、他にも多数の会社と所有や投資という形で繋がっているのだが、その会社というのが軍需産業であったりイスラエルの違法な植民地政策を支える会社であったりするということらしい。要するにBoiler Roomで生まれた利益は川を辿ってKKRへ向かい、KKRによる投資という形で軍需産業や植民地政策のための企業へと流れ着くということである。
 批判を受けたBoiler Roomは、我々は親パレスチナであり、親会社とは価値観を共にしないという声明を出した。そしてPACBI(イスラエルに対する学問・文化ボイコットのためのパレスチナ・キャンペーン)は、BDSガイドラインを参照した上でBoiler Roomが出した声明に対して勇気あるものとして好意を示した。しかし、多くの親パレスチナや反アパルトヘイトの立場をとるアーティストからは、声明を出したところで利益が植民地政策のために使われることには変わらず、ただ親パレスチナだという声明を出しただけであることを含めてアートウォッシングであると批判されている。これが大まかなBoiler Roomを取り巻く現状である。
 Boiler Roomそのものに関しては親パレスチナであることは間違いないだろう。イスラエルによる大規模な空爆があった2018年にBoiler Roomは、パレスチナでローカルの音楽シーンを扱ったドキュメンタリーフィルムを撮り、Boiler Room Palestineを開催。FC Palestinaと組んで基金を集めるキャンペーンをおこなった。自分たちが持つ影響力をパレスチナのために使ってきたBoiler Roomがパレスチナやアパルトヘイトを巡って批判される対象になるのはじつに悲しいことであるが、問題はなぜそうなってしまったのかと、ではどうするのかである。
 前者に関しては極めて資本主義的な動機がある。Boiler Roomが成功し、広告効果のあるプラットフォームになったこと。そして投資会社(今回はKKR)は何かを買収するにあたって、イメージアップに使えるかどうかや、利益を産むか否かを価値判断の材料としているということ。これは資本主義が文化を破壊する典型的なメカニズムのひとつだろう。そして後者については様々なコメントがBoiler Roomのインスタグラムのポストなどに寄せられているが、必然的に資本主義に抵抗するための戦術として知られているアイデアが多かった。代表的なものはBoiler Roomスタッフによる大規模なストライキや、Boiler Roomから去ってノウハウを持つ者たちが再集結して新しいプラットフォームを立ち上げることなどである。Boiler Roomで何度も司会をつとめたことのあるOpium Humは、彼のコネクションを使ってBoiler Roomのスタッフに対して、Boiler Roomから去って再集結することを呼びかけたり、コミュニティによってプラットフォームを運営することが可能であるというメッセージを発信している。資本主義リアリズムの中で発せられる「コミュニティによる運営が可能である」というメッセージは、私の目にはとても希望のあるものとして映った。

 いまでは配信メディアの定番となったDJブースのレイアウト・スタイルはBoiler Roomの特徴のひとつであり、始まった当時はとても新鮮だったことを覚えている。Ustreamが始まり、Dommuneが開局した時代だった。Boiler RoomもDommuneも、宇川直宏氏の言葉を借りるなら「覗き見」だった。ウェブカムという名の覗き穴を通して、アンダーグラウンドのカルチャーを覗き見る、好奇心と背徳感を合わせた魅力を持っていた。配信の有無とは関係なくフロアの中心にDJブースをレイアウトするパーティも増えた。フロアとDJの関係が、ステージに置かれたDJブース越しの関係ではなく、フロアにいる人たちと一体になってパーティを楽しみながらプレイするスタイルは、DJとしてもフロアのクラウドのひとりとしても好きだった。Boiler Roomの狙いとしては、パーティの雰囲気を伝えつつDJにフォーカスを当てるためのレイアウトだったのだろうが、その副産物として生まれた一体感は楽しいものだった。
 そして時は経ち2019年末、私はBoiler Roomに出演することになった。それまでに同じレイアウトのパーティで何度もDJしていたこともあって、特に構えたりすることもなかった。しかし、そのころには十分に成長していたBoiler Roomは、もはや「覗き見」ではなくなっていた。壁に空いた穴に付けられたガラスの小窓は、大通りに向けられたショーウィンドウへと変化していた。堂々とした広告だった。映像をしっかりと収録するためにDJブースの周辺は異様に明るかった。ショーウィンドウなのだから、商品がよく見えるようにするのは当然だ。しかし明るいというただそれだけで私はナーバスになった。「プロモーションにもなれば」といってオファーを受け、「今後のプロモーションツールになれば良いか」と思って引き受けたので、自分もその「広告」を理解して積極的に乗っかったのではあるが、それまでに出演してきたブースのレイアウトが同じなだけのパーティとBoiler Roomは全く違っていた。明るいというのはとても大きな違いだった。初期のBoiler Roomでは、画質の悪さもあってか、よく見えないという覗き見の魅力が機能していた。DJカルチャーの成長はテクノロジーの成長と共にあったが、配信技術の向上がその魅力を失わせたとしたら皮肉なことである。

 資本主義と植民地主義が必然的に結びついているのと同様に、ショーウィンドウ化に成功したことが植民地主義と結びついてしまったのは、もしかしたら当然の帰結なのかも知れない。インスタグラム上でクラブ・カルチャーから親パレスチナを訴えるアカウントであるRavers for Palestineによる投稿には、クラブ・カルチャーを唯物論的な資本主義のもとで商品化することは、その神聖さを傷つける行為であるというテキストが書かれていた。実際、商品化/ショーウィンドウ化のために明るくされたフロアからは、確かに神聖さは失われていたように思う。ここで谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』から一節を引用したい。「夜光の珠も暗中に置けば光彩を放つが、白日の下に曝せば宝石の魅力を失う如く、陰翳の作用を離れて美はない」のである。私が愛するクラブ、パーティ、レイヴは、その陰翳のなかに存在し、陰翳のなかにあるからこそ美しく神聖で、開放的で、創造的なのである。

 そもそもクラブとは、パーティとは、レイヴとはなんだろうかと考えてみる。ハキム・ベイの「一時的自律ゾーン」、あるいはミシェル・フーコーの「ヘテロトピア」。私が思うクラブとは、パーティとは、レイヴとは、という考えはほとんどこのふたつのアイデアで説明ができる。「朝日の出現と共に消える、現実世界に異議申し立てを行う空間/ゾーン」である。パーティもレイヴも現実世界の延長として始まって、現実世界への異議申し立てをする空間として機能し、儚く終わる。その現実/リアルとは資本主義リアリズムのリアルであり、パーティやレイヴは、その内側に存在しながらも一時的にその外側にリーチできるゾーンとしての能力を持っている。Burialが2022年に発表した楽曲『Antidawn』は、そのゾーンが儚く終わっていく悲しさを表した優れた楽曲だろう。遠くから聞こえてくる低音を頼りに森を抜けて、日没と共にどことも知れない平原へと繰り出す。暗闇の中、全てが遠く、全てが近く、永遠のような一瞬のような時間をダンス・ミュージックと共に過ごす。しかし、遠くから昇ってくる朝日が、その終わりを知らせに来る。徐々に太陽の光が私たちを現実に引き戻す。全方向から自分を包んでくれていた音は前方からのステレオに変わり、スピーカーの存在が急に歪なものに思えてくる。足元は見慣れた草原に変わり、泥に汚れたスニーカーの履き心地も急に悪く感じる。
 なんで朝日なんて昇るんだろう。ずっと夜でいたいのに。

Black Country, New Road - ele-king

 まもなく最新アルバム、新体制となって初めてのスタジオ盤『Forever Howlong』を送り出すブラック・カントリー・ニュー・ロード。嬉しいことに、2023年4月以来となる二度目の単独来日ツアーが12月に決定した。今回は12/8(月)大阪 BIGCAT、12/9(火)名古屋 JAMMIN’、12/10(水)東京 EX THEATERの3公演。新たな音楽性を確立した彼らの現在をその目で確かめにいこう。

Black Country, New Road

ブラック・カントリー・ニュー・ロード、来日ツアー決定!
最新アルバム『Forever Howlong』 は、いよいよ明日発売!

儚さと力強さが共存する唯一無二のアンサンブルで、高い評価と人気を誇るブラック・カントリー・ニュー・ロード(以下BC,NR)が、待望の3rdアルバム 『Forever Howlong』 を4月4日 (金) に〈Ninja Tune〉よりリリースする。

2010年代後半、南ロンドンのインディー・ロック・シーンの音楽的聖地となっているThe Windmillでブラック・ミディやスクイッドらと共にステージ経験を重ね、The Quietus誌から「世界最高のバンド」と称賛されるまでに成長したBC,NR。2021年のデビューアルバム『For the first time』が全英チャート4位&マーキュリー・プライズにノミネート、翌年の2ndアルバム『Ants From Up There』 は全英3位を記録。そして強固な結束を築き、更なる進化を遂げ成し遂げ、今も語り継がれる全曲新曲で臨んだフジロック/ホワイトステージでの感動のライブを経て、翌2023年には新曲のみで構成されたライブアルバム『Live at Bush Hall』 を発表し、バンドの実力を証明してきた。そして遂に届けられたスタジオ録音の3rdアルバム『Forever Howlong』 で、またしても彼らは新たな音楽的地平へと到達した。タイラー・ハイド、ジョージア・エラリー、メイ・カーショーのという女性メンバー3人でほとんどの曲のリード・ヴォーカルとソングライティングを分担し、彼らの豊かな才能と、6人それぞれが卓越したミュージシャンだからこそ生み出せる極上のハーモニーと一体感が楽曲の魅力を最大限に引き出している。

果敢にチャレンジし歩み続ける我らがBC,NRが、遂にここ日本に帰って来る。彼らにとって2度目の単独ジャパンツアー、チケットの確保はお早めに!

Black Country, New Road
JAPAN TOUR 2025

12/08(MON) 大阪 BIGCAT
12/09(TUE) 名古屋 JAMMIN’
12/10(WED) 東京 EX THEATER

OPEN 18:00 / START 19:00
前売:8,800円(税込 / 別途1ドリンク代) ※未就学児童入場不可

INFO:[ WWW.BEATINK.COM] / E-mail: info@beatink.com

【チケット詳細】
前売:8,800円 (税込 / 別途1ドリンク代) ※未就学児童入場不可

先行発売:
★BEATINK主催者先行:4/5(sat)10:00 → [ https://beatink.zaiko.io/e/BCNR2025] (※限定枚数・先着、Eチケットのみ)
★イープラス・プレイガイド最速先行受付:4/9(wed)10:00~4/13(sun)23:59 → [ https://eplus.jp/BCNR2025/](抽選)

[東京]
LAWSONプレリクエスト:4/14(mon)10:00~4/22(tue)23:59
イープラス・プレオーダー:4/14(mon)10:00~4/20(sun)23:59

[名古屋]
イープラス ジェイルハウスHP先行:4/14(mon)12:00~4/16(wed)23:59
イープラス・プレオーダー:4/14(mon)12:00~4/21(mon)23:59
チケットぴあプレリザーブ:4/14(mon)11:00~4/21(mon)11:00
LAWSONプレリクエスト:4/14(mon)12:00~4/21(mon)23:59

[大阪]
イープラス・プレオーダー:4/14(mon)10:00~4/17(thu)23:59
LAWSONプレリクエスト:4/14(mon)10:00~4/21(mon)23:59
ぴあプレリザーブ:4/14(mon)10:00~4/22(tue)23:59
イープラス・2次プレオーダー:4/19(sat)10:00~4/22(tue)23:59

一般発売:4月26日(土)10:00~

[東京]
イープラスLAWSON TICKETBEATINK
INFO: BEATINK 03-5768-1277 www.beatink.com

[名古屋]
イープラス [ https://eplus.jp/BCNR2025/]、チケットぴあLAWSON TICKETBEATINK
INFO: JAILHOUSE 052-936-6041 www.jailhouse.jp

[大阪]
イープラスチケットぴあLAWSON TICKETBEATINK
INFO: SMASH WEST 06-6535-5569 https://smash-jpn.com/

イベント詳細: https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=14883


発売日4/4(金)に世界各国でリスニングパーティーが開催!


アルバムリリースを記念し、世界各国でリスニングパーティーが開催されることが発表され、日本では発売日の4月4日 (金) にBig Love Records (東京) とAlffo Records (大阪) にて開催決定!来場者には特別なBC,NRグッズを詰め込んだグッディーバッグを先着順でプレゼント! 各バッグには、オリジナルのクレヨンや折りたたみ式の塗り絵シート、その他のアイテムが含まれる。

アルバムを聴きながら塗り絵を楽しんでもらい、以下のフォームから写真をアップロードすると、バンドが気に入った作品を選んでBC,NRの公式アカウントから発表される。
https://blackcountrynewroad.os.fan/listening-party-images

Big Love Records
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前2-31-3 3F-A
日時:4/4(金)18:30~

Alffo Records
〒550-0013 大阪府大阪市西区新町1-2-6 3F
日時:4/4(金)20:30~

本アルバムはタワーヴァイナル渋谷/梅田のマンスリープッシュアイテムに選出に決定!!アルバムリリースから店頭にてコラボポスターが掲出される。

BC,NR待望のニューアルバム『Forever Howlong』は、CD、LP、カセット、デジタル/ストリーミング配信で4月4日 (金)に世界同時リリース。国内盤CDにはボーナストラック「Forever Howlong - Live at The Cornish Bank, Falmouth」が追加収録される。LPは、リサイクル・ブラック・ヴァイナルの通常盤2LPに加え、反転カラーのアートワークを採用したエコ・ジャズ・トランスパレント・ブルーのインディー限定2LPおよび初回生産限定日本語帯付インディー限定2LP、油絵キャンバス風加工を施した箔押しゲートフォールドスリーブ仕様のトランスルーセント・エコ・ジャズ・レッドのコレクターズ・エディション2LPが発売され、コレクターズ・エディション・カセットも発売される。コレクターズ・エディション2LPとコレクターズ・エディション・カセットではオリジナル・バージョンとは異なるトラックリストが採用されている。さらに、国内では原宿BIG LOVE RECORDS限定となるブルー・スパークル2LPも発売される。国内盤CDと日本語帯付き仕様盤LPには、歌詞対訳と解説書が封入され、それぞれ異なるデザインのTシャツ付きセットが発売される。購入者特典として、今作で採用された新しいロゴ・ラバーキーホルダーを先着でプレゼント!


CDセットのTシャツ


LPセットのTシャツ


先着特典:ラバーキーホルダー


BEAT RECORDS / NINJA TUNE
artist: Black Country, New Road
title: Forever Howlong
release: 2025.4.4
TRACKLISTING
01. Besties
02. The Big Spin
03. Socks
04. Salem Sisters
05. Two Horses
06. Mary
07. Happy Birthday
08. For the Cold Country
09. Nancy Tries to Take the Night
10. Forever Howlong
11. Goodbye (Don’t Tell Me) 
12. Forever Howlong - Live at The Cornish Bank, Falmouth *Bonus Track
商品ページ
各種予約リンク: https://bcnr.lnk.to/forever-howlong


CD+Tシャツセット


LP+Tシャツセット


CD


コレクターズ・エディション2LP
(Beatink.com限定)


通常盤2LP


限定盤2LP


カセット

釈迦坊主 - ele-king

 この記事を書くにあたって、釈迦坊主について調べていて驚いてしまった。作品のレヴューらしいレヴューが存在せず、表向きにはほとんど語られていない状況になっているのだ。SNSやYouTubeのコメント欄を見てみても、語りの多くはネタ化されたものばかりで、釈迦坊主という人物は、どこか口承でしかニュアンスが伝えられない奇妙な存在になってしまっている。確かに、彼のリリックやサウンドは意味にも物語にも回収できない断片の集積に近いし、それゆえ、言葉で語ろうとするとかえってその音楽が持つ輪郭がこぼれ落ちてしまう気もする。語りにくいというより、語ろうとすればするほど、感覚がするりと逃げていくようなタイプなのだと思う。とはいえ、「アンダーグラウンドの神」などという安易な枠に押し込んで長らくすませておくのもいかがなものか──だからこそ無粋を承知で、彼の打ち立ててきた偉業を振り返りつつ、およそ7年ぶりとなる(!)アルバム『CHAOS』について書き残しておきたい。

 まず結論から言うと、釈迦坊主のすごさとは「先駆性」である。だからこそ、それは「いま」語られなければならない。彼が切り拓いてきた感性や手法はいまや多くのアーティストが当然のように身につけており、それが当たり前ではなかった時代に、先んじて形にしていたのが彼だったからだ。

 筆頭に挙げられるのは、精神世界とサブカルチャーを結びつけるような美学の展開だろう。アルバム『HEISEI』(2018年)などで表現されていたアンダーグラウンドとスピリチュアルを橋渡しするようなアプローチは、「病み」「闇」「天使」「瞑想」「死生観」といった形に変容したうえで、2020年代のオルタナティヴ・ヒップホップにおいてもはや前提の共有テーマとなっている。しかも彼の場合、自らトラックメイキングを手がけてきたという点も重要だ。それもいまとなっては特段珍しいことではないが、釈迦坊主は早熟なトラックメイカー兼ラッパーとして、クラウド・ラップ~トラップ~アンビエントを横断しながら、自身の感性をオカルト的宗教性へと結びつけてきた。当時としては先駆的であり、クラウド・ラップ~トラップ〜アンビエントを横断するビートに詩的で断片的なリリック、エフェクトのかかった声が重なり、トラックとラップの分業制では生まれえない美学先行のアウトプットを実現していた。あのとき異端とされていたものが、いまでは感覚的なスタンダードになっているというわけだ。

 さらに画期的なのは、そういった感覚を場所性と接続させてきた点である。元ホストという出自の延長線上として作品を新宿・歌舞伎町と重ね合わせ、青年と都市の境界線的なまどろみを表現してきたことはもちろん、彼の自主企画〈TOKIO SHAMAN〉が果たしてきた功績も語り尽くせない。初期の頃、Tohjiらとともに作り上げていたあの空間は、個人という枠を超えたある種の思想・集合体としての文化的磁場だった。言うまでもなく、前者はトー横キッズ的トライブの感性へ、後者は多様なオルタナティヴ・パーティ文化へと、それぞれ形式を膨らませている。

 こうした彼の先駆的試みは、「神秘性の再発見」とも言うべき現在の動きと地続きだ。宗教的な信仰というよりは、魂や霊、宇宙、死後といった目に見えないものへの畏れ・憧れ、自分という存在の輪郭が溶けていくような体験、またはそれを求める欲望──によって、自己を定義していくこと。それは、「私とはまだわからない存在」であり「何かとつながっていて変化しうる存在」であるという、未定義性の肯定である。そういった2010年後半を起点とした潮流が、いま実を結びはじめているのはとても興味深い。先日のTohjiのアリーナ単独公演の成功はその物理的・動員的な到達点だと言えるし、今回の釈迦坊主のアルバム・リリースは、預言者としての帰還とも言えるだろう。

 そう考えると、アルバム・タイトルが『CHAOS』であり、音楽性も混沌としているのは、「未定義性の肯定」が釈迦坊主流に爆発した結果だと言える。ダンス・ミュージックの要素が強まったものの、躍れる曲がほとんどないというのも重要だ。ただただドラッギーに鳴る、彼の内的宇宙がそのまま詰まったようなサウンドは、現行シーンを騒がせているエレクトロの再燃やハイパーポップ的BPM感とは明らかに異なるアンサーとして、オーディエンスを「躍らせる」というよりも「溶かす」役割を果たしているように見える。捻じれたダンス・ミュージックを密度低い音数で表現することによって80sニューウェーヴの香りも漂っているし、エロ・グロ・ナンセンスのなかに突如ふと「愛」や「祈り」といった言葉が挿入される歌詞も含めて、どこか90s後半のBUCK-TICKらヴィジュアル系バンドのルーツも感じられる。どの曲も冗談とマジが次から次に押し寄せる展開の中で、ふと優し気な歌を聴かせる “Metropolis” などは、不意打ちの感動だ。解釈よりも没入が先立ち、意味と無意味を交互に織り成すことによって「この世」と「あの世」を行き来する、まさしくそれが本作の醍醐味。釈迦坊主が提案するのは「踊ろう」というアクションではなく、「踊るとはどういうことか?」「ダンス・ミュージックとは肉体的なものなのか、精神的なものなのか?」「そもそも私は何者なのか?」といった問いかけなのかもしれない。

 ゆえに、2025年の派手なビートの喧騒のなかにおいて、『CHAOS』は静かな中毒性を持つ作品であると言えよう。ここには、わかりやすいフックや爆発的な展開はない。音のアタックや音圧よりも余白が際立ち、空間と残響で構築されている。ラップはあくまでトラックと一体化していて、ヴォーカルが主役という構造にはなっていない。釈迦坊主というアーティストは、やはりラッパーである前にトラックメイカーなのだと改めて思うし、「曲」というよりも、「状態」としてデカダンスな音が存在している。そう考えると、音像の演出美学にも、やはり一部のアヴァンギャルドなヴィジュアル系の影響を感じ取ってしまう。本作は一見するとヒップホップの形式を取っているが、その深層にはニューウェーヴ寄りのヴィジュアル系が持っていた幻想性と退廃美が脈打っているのだ。ポスト・ヴィジュアル系を体現する(sic)boyとの共作 “Agares” は、その象徴のような楽曲だろう。

 つまり『CHAOS』は、2020年代のオルタナティヴ・ヒップホップが持つ神秘性の再発見という動きを回収しながら、未定義性の肯定をさらに突き詰め、釈迦坊主自身のルーツのひとつであるヴィジュアル系にまで遡行する作品として聴くことができる。この国の30年にわたるサブカルチャーを見通すような視座こそ、彼が「アンダーグラウンドの神」と呼ばれる内実なのだ。

Lust For Youth & Croatian Amor - ele-king

 2025年の2月6日〈Posh Isolation〉の終了が発表された。16年間の歳月に渡る活動の終わり、コペンハーゲンでクリスチャン・スタズガードとローク・ラーベクによって設立されたレーベルが送り出す電子音楽はどこか未来的で儚さを感じるような美学があった。いつの間にかリリースがなくなり自然消滅的になくなってしまうレーベルも少なくないなかでこうやって区切りがつくというのはある意味で幸せなのかもしれない(少なくともこんな風に考える時間と機会が与えられるのだから)。このニュースを見て寂しく思うのと同時に移ろいゆく時の、もののあわれを感じた。それは〈Posh Isolation〉がリリースしていた音楽にもあった美しさなのだと思う。2010年代を振り返ろうとしたならば、僕の頭にはきっと間違いなく〈Posh Isolation〉のことが浮かぶだろう。10年代の半ば、アイス・エイジのエリアス・ベンダー・ロネンフェルトのプロジェクト・マーチングチャーチにCTM、コミュニオンズ、メイヘイムでスタジオを共有していたコペンハーゲンのギター・バンドのシーンから入って、そこからレーベル・オーナーであるローク・ラーベクのクロアチアン・アモールラスト・フォー・ユースのハネス・ノーヴィドとフレデリック・ヴァレンティンのユニットKYO、ソロとしてのフレデリック・ヴァレンティンらの電子音楽の方に流れるというようなルートで自分は〈Posh Isolation〉に触れ、新たな領域が接続されるように音楽的嗜好が広がっていった。硬く繊細な電子音楽とギターバンドからこぼれ落ちた感性を拾い上げたような音楽がそこにはあったのだ。
 コペンハーゲンのシーンとサウス・ロンドンのインディ・シーンの類似性を指摘されることもあるが、いまこうやって考えてみるとやはり似たところがあったのかもしれない。〈Posh Isolation〉の美学と姿勢はロンドンの〈Slow Dance Records〉に通じるところがある。電子音楽とギター・ミュージックの両方が境目なくそこにあり、電子音楽作家であるレーベルの創始者のひとりがポップ・ミュージックを奏でるギター・バンドに参加しているというのも同じだからなおさらだ。

 クロアチアン・アモールことローク・ラーベクはかってラスト・フォー・ユースのメンバーだった。2014年『International』と2016年『Compassion』この2枚のアルバムのリリース時ローク・ラーベクは確かにそこにいたのだ。甘さと切なさが混じったようなシンセ・ポップ、あるいはセンチメンタルなダンス、そのどちらのアルバムも色あせない青春の記憶が封じ込められたような音楽だった。そうしてロークが自身の活動に専念するために袂を分かった。その後それぞれの活動を続けるなかで2023年のシドニーのオペラハウスでの公演をきっかけにラスト・フォー・ユースのハネス・ノーヴィド、マルテ・フィッシャーのふたりと再び音楽を作るようになったのだという。しかしなぜ再びラスト・フォー・ユースのメンバーに加わるのではなくクロアチアン・アモールとして共作名義の音楽を作ろうとしたのだろう? アルバムを聞く前にそんなそんな疑問が浮かんだが、しかしアルバムを聞いた後ではそうするのが当然だと感じられた。なぜならアルバムのコンセプトがまさにクロアチアン・アモールとラスト・フォー・ユースを結びつける感覚そのものだったからだ。

 1977年に打ち上げられた2機のボイジャー探査機に搭載されたゴールデン・レコード、地球外知的生命体や未来の人類が見つけて解読することを期待し作られたそのレコードにインスピレーションを得て制作したという本作『All Worlds』はまさにかつてそこにあった世界の記録の音楽といった様相をていしている。ここにあるのは、ひとつひとつが独立した10の世界の断片のその記録だ。クロアチアン・アモールの美しく硬いオーロラのようなサウンドスケープにラスト・フォー・ユースのセンチメンタリズムが載る。電子の海にポップネスと物語性が加えられ、メランコリックな青春に記憶のヴェールがかけられる。両者の良さがそのまま出て、かつテーマに沿って補完されたようなこのアルバムは理想的なコラボレーション・アルバムだろう。記憶の断片をつなぎ合わせたような不鮮明なアンビエントのサウンド・コラージュ “Light In The Center”、アルコールが抜けかけた夜明け前の陰鬱で感傷的なダンス “Kokiri”、これまでのラスト・フォー・ユースの色がより濃く出ている影のあるリゾート・ディスコの祝祭 “Dummy”、アルバムの楽曲のジャンルはバラバラで統一感には少しかけるが、しかしそれがかえってゴールデン・レコードのコンセプトを際立たせている。「私たちの死後も、本記録だけは生き延び、皆さんの元に届くことで、皆さんの想像のなかに再び私たちがよみがえることができれば幸いです」ボイジャー計画のジミー・カーターの言葉のように『All Worlds』はヘッドフォンのなかに遠く離れた世界の記憶を浮かばせる。記憶のチップを差し込み、誰かが生きた日々を再生するSF映画のような未来の出来事、ラスト・フォー・ユースとクロアチアン・アモールの3人が作り出したこの音楽はそこにある世界がここには存在しないという薄ぼんやりとした喪失感を伝えてくる。だけどもそれは決して不快な感覚ではない。柔らかい光に包まれた終焉の音楽は同時に新たな始まりを感じさせる希望の音楽でもあるのだ。寂しさはあるが、その先にある未来の世界を夢見ている。ある意味でこれは時を隔てた10年代のコペンハーゲン・シーン、あるいは〈Posh Isolation〉の時間を締めくくるようなアルバムなのかもしれない。

Special Conversation - ele-king

 この春、発売された編集者・伊藤ガビン(61歳)によるエッセイ『はじめての老い』。本書は、薄毛や老眼、ブランコが怖い、筋力の低下や免許の返納について、らくらくホン問題、老害側に立って見えてきた景色……。60代を手前に、自身の体から刻々ともたらされる身体的・感覚的な老いによる変化をつぶさに見つめ、驚き、記録したもの。ポジティブ/ネガティブといった二極化で老いを語るのではなく、俯瞰した視点で老いを綴ったnoteの連載に、書下ろしを加えたエッセイです。
 今回は、本の発売を記念して25年来の付き合いであり、帯にコメントを寄せてくれたマンガ家のタナカカツキ氏(58歳)と伊藤ガビン氏のオンライン対談を実施。本が立ち上がるきっかけとなったnote版「はじめての老い」の題字を担当するなど、ガビン氏とは前からの間柄だからこそ話せる老い以前/以後のこと、人生をどう終えたいかなど……前期高齢者(65歳~)という区分が迫りつつある初老の2人が語ります。
 「年を重ねて体力も気力もますますパワーダウン」!

タナカカツキ
1966年、大阪府生まれ。85年に小学館『週刊ビッグコミックスピリッツ』誌にて新人漫画賞を受賞し、マンガ家デビュー。89年、初のマンガ単行本 『逆光の頃』を刊行。主な著書に『オッス!トン子ちゃん』、『サ道』シリーズ、天久聖一との共著『バカドリル』シリーズなどがある。また、カプセルトイ「コップのフチ子」の企画・原案も手がけるほか、水槽内に水草や流木、石などをレイアウトして楽しむ「水草水槽」の第一人者。近著に『はじめてのウィスキング』がある。『はじめての老い』note版の題字を担当し、書籍では帯の推薦コメントを担当。

伊藤ガビン
編集者/京都精華大学メディア表現学部教授
1963年 神奈川県生まれ。学生時代に(株)アスキーの発行するパソコン誌LOGiNにライター/編集者として参加する。1993年にボストーク社を仲間たちと起業。編集的手法を使い、書籍、雑誌のほか、映像、webサイト、広告キャンペーンのディレクション、展覧会のプロデュース、ゲーム制作などを行う。またデザインチームNNNNYをいすたえこなどと組織し、デザインや映像ディレクションなどを行う。主な仕事に「あたらしいたましい」MVのディレクション、Redbull Music Academy 2014のPRキャンペーンのクリエイティブディレクションなどがある。また個人としては、201年9あいちトリエンナーレや、2021年東京ビエンナーレなどにインスタレーション作品を発表するなど、現代美術家としても活動。編著書に、『魔窟ちゃん訪問』(アスペクト)、『パラッパラッパー公式ガイドブック』(ソニー・マガジンズ)など。現在は京都に在住し、京都精華大学の「メディア表現学部」で新しい表現について、研究・指導している。近年のテーマに自身の「老い」があり、国立長寿医療研究センター『あたまとからだを元気にするMCIハンドブック』の編集ディレクション、日本科学未来館の常設展示「老いパーク」に関わるなど活動範囲を広げている。


60代といえども我々はまだ働かなきゃならないわけですし ——タナカカツキ

そうですね、『はじめての老い』も、ある種のサバイバル戦略として書きはじめましたものではありますからね ——伊藤ガビン

文章の大天才がついに動き出した!


はじめての老い
伊藤ガビン(著)

Amazon

伊藤ガビン(以下ガビン):帯のコメントありがとうございました。カツキさんが帯に「文章の大天才が動き出した!」と書いてくれたことに驚きました。内容やテーマではなくそこを褒めるんかーい! となりました(笑)。余談ですが、最初amazonに本の紹介文が載ったときは「大天才」ではなく「天才」って書かれてたんですよ。それで版元に「あのー、カツキさんの帯文では“天才”ではなく、“大天才”なんですけど」と自ら訂正した経緯があって……え、何だこの時間? 自分に「大」を付ける時間がやって来るとは! とちょっと面映ゆかったです(笑)。自分では「文章の大天才」とは思っていないですしね。

タナカカツキ(以下カツキ):ガビンさんは文章の人ですよ。この本にしたって「老い」はモチーフじゃないですか。ガビンさんが書くなら何だって絶対に面白くなるから。もうね、私的には、『はじめての老い』はやっと大きな山が動いた! と感激していますよ。これまで表に出てこなかった大天才がやっと単著を出したって。これは世の中的にも大事件ですよ!
 とにかくこの記事を読んでいる人に言いたいのは『はじめての老い』が発売に至った背景には長い歴史があるってことです。知り合って25年、ガビンさんの仕事を近くでみてきましたが、いろいろなプロジェクトはやってきたけれど単著だけは書いてこなかった。本のあとがきに、noteを始めた理由は嫁に言われたからとありましたけども。本当にそれこそ私も、ずいぶん前から散々、これだけ文章がうまいんだから書いてくださいよ! とすすめてきましたし、周りからもずっと言われ続けていた。それはある意味ガビンさんの中で、単著を出すというのは大切にしてきた部分でもあったはずです。だからこそ、そうやすやすと書いてこなかった。それがこの度、ようやくまとまった1冊の本になったことは、本当に世の中的にも大事件だなと。

ガビン:はい。やっと出しました。これは言い訳になっちゃうけど……自分の性格的なのかなんなのか、自分のことを後回しにしちゃうんですよ。たぶんそれを理由としたモラトリアムなんだと思うけど。ここ10年は、定期的に文章を書いて発表をすることから離れていたので、3年前にはじめたnoteは久々に取り組んだ文章の連載だったんですよね。
 それで久しぶりに腰を据えて文章を書こうと思ったときにテーマをどうするか、どんな文体にするかはいろいろ考えたんです。で、あれこれ考えて、なんというか80〜90年代の自分が非常に影響を受けた文章のスタイルについて考えたような、そうでもないような。僕の文章には明らかに昭和軽薄体の影響があるし、自分はそういう風にしか書けないっていうのもあるのに、なんか、世の中的にはなかったことになっているなというのはあって、そういう文章は書きたいと思ったんですよね。そんな経緯があり、いままで共著とか編集者としてはいろいろと本を作ってきたけれどソロ・アルバムを出すタイミングが来たってことですね。で、本を出したからにはこれから執筆活動を活発にしなきゃいけないんですけど、どうしよう(笑)。

カツキ:60代といえども我々はまだ働かなきゃならないわけですし。

ガビン:そうですね、『はじめての老い』も、ある種のサバイバル戦略として書きはじめましたものではありますからね。ちなみに本にはカツキさん絡みの話もいろいろ書いているんですよ。戸田誠司さんの「濃霧が来るぞ」っていう発言もカツキさんと一緒にいたときの話だし。

カツキ:立ち会っていましたね(笑)。

ガビン:戸田さんが急に40代は濃霧が来るって言い出して、2人で「えっ、濃霧?」って顔を見合わせたよね(笑)。これは最終的には書きませんでしたが、カツキさんのお父さんのお話に影響を受けて、「カツラ」について書く予定もあったんです。「おもてなしとしてのカツラ」ってタイトルで。昔カツキさんが話していたじゃないですか。家で寛いでいたらお父さんがおもむろにカツラを脱いで机の横に置いてびっくりしたって話。

カツキ:ありましたね。あれは50年ぐらい前の話かな。当時、弟はまだ1歳で上手に発語はできないし、主語も述語もめちゃくちゃだった頃です。そんな弟が、目の前でカツラを脱ぐ父の姿を見て、「髪の毛ちょっとしかないね」って(笑)。人生で初めてちゃんとした文章になっている言葉を口にしましたから。あまりの衝撃で言語野に電気が走ったのかもしれない。

ガビン:いい話。

カツキ:そもそもなぜ父がカツラだったかというと、当時うちの父親はシャンプーやコンディショナーなどを、美容院に卸す美容業界の仕事をしていたんです。それなのに、髪が薄いと自分が営業している商品の信用にも関わるじゃないですか。

ガビン:取引先も「地肌にいいシャンプーなんですね(お父さんの頭に視線がいって)……???」ってなるよね。

カツキ:そう、信用がない(笑)。「お前が地肌にいいシャンプーを売っているのか」ってツッコまれちゃう。だからあくまで父としては、仕事のためにかぶっていたカツラだったんですけど、当時にしてはすごく自然な仕上がりで、至近距離で見ても絶対にバレないぐらいいい商品だったんですよね。なんでも、仕事の縁で知り合ったカツラメーカーに勤める友人のコネがあって、当時の新技術をつぎ込んだカツラ産業の黎明期の産物みたいなサンプルを特別にもらったそうです。今では当たり前かもしれませんが、白髪が絶妙なバランスで混ざっているカツラでしたから。

ガビン:50年前の話ですもんね。当時、カツキさんからその話を聞いたときは、世の中的にはまだカツラは揶揄の対象でしたよね。でも、もしかしたら自分の美的センスのためではなく対社会とか業務を円滑に進めるためにとか、礼儀として使っている人はけっこういるんじゃないかと思ったんです。まあそんな感じで、これまでカツキさんと交わしたいろんなやりとりから生まれた文章が、本の中にけっこう入っているよって話です。
 一応、読者のために、我々がどういう関係かを話しておくと、いやべつにそんな特別な関係って言うわけでもないですけど(笑)。2人で初めて会ったのは30代の頃、僕がカツキさんの仕事を知っていて、いつか一緒に仕事するかもしれないなーと思っていたんだけど待てど暮らせど誰も紹介してくれないんですよ(笑)。で、「どうせいつか会うやろ」っていうことで、友人からカツキさんの連絡先を聞いて僕から直接連絡したんですよね。渋谷で2人で会いましょうって言って、初めて会って、なんかそのまま卓球しましたよね。

カツキ:初めて2人で会ったその日にね。

ガビン:カツキさんはすごく卓球していましたよね、その頃。

カツキ:2000年ぐらいでしたっけ?

ガビン:無言で卓球して、それを機にそれで僕がやってるゲームのプロジェクトに入ってもらって、ゲーム制作っていうことで毎日顔合わすようになり、気が付けばカツキさんの弟子筋の人たちもスタッフに入るようになり……。それがどんどんつながっていって、なんなら今も一緒に仕事していますしね。

カツキ:僕はもともと、純粋にガビンさんのファンだったんです。ガビンさんがやっている展覧会とかも見に行ったりしてて。それに当時、自分の読んでいる本とかにも名前が出てきますからね。だからそれで、なんとなくどんな人なのかイメージはできてたんですよ。だから、初めて2人きりで会うといってもいきなり旧知の感じでできないかな、って思って(笑)。

ガビン:それで初対面で卓球(笑)?

カツキ:同級生と久々に再会したぐらいの感じで(笑)。実際そんな感じだったよね?

ガビン:お互いに、どんな人でどんな仕事をしていて、何が好きで、好みとか嫌いなものとか、なんとなく自分と方向性が一緒というか、気が合うぞっていうのは、本とかで読んでいるからもう分かっていたから。

カツキ:初めて会ったのにもう「よそよそしい感じはやめましょう」ぐらいの(笑)。

ガビン:時間のムダですもんね。探り合いはショートカットで。僕は普段、完全に社交性ゼロの人間なんですけど、カツキさんのような「いずれ会うやろ」っていう人には直接会いに行くんですよ。まあその渋谷で卓球をした日から本当に毎日のようにいろいろ一緒にやっていた。ジャグリングしたりね。VJチームでLA行ったり。アレいまにして思えば一体なんの時間だったんだっていう。それで、これちょっと老いの話に関係あるかもしれないと思って思い出したのが、あの頃、カツキさんって年を上にサバ読んでましたよね?(笑)アレなんだったんですか?

カツキ:そうそう(笑)。あの頃、ちょっとだけサバを読んで35歳を38って言ってましたね。そうすると実際に38になったとき、「あれ? まだ38か」って心持になるから。対外的に貫禄を出すためとかじゃなくて、あくまで自分の心構えとしてサバを読む。

ガビン:ちょっとした老いへのシミュレーションね(笑)。その話もだし、カツキさんはもともと自分の人生の全体像を俯瞰するところがありますよね。子どものころにマンガ描き始めたのも晩年の回顧録のためなんでしょう?

カツキ:自分の回顧展をやる体でいろいろ作品を残してましたね、幼い頃から。

ガビン:人生を俯瞰してるところありますよね。人の人生まで俯瞰してるでしょ? なんとなく苦手な人と対峙しないとならない時、相手を勝手に「生前のこの人」ってテイにしてましたよね。「あー、このひとは嫌なやつだったけど、もう亡くなっちゃったしな……」みたいな視線で(笑)。サルバドール・ダリが相手の頭の上にうんこを乗せていたように。

カツキ:いや、鳩ね。

ガビン:あれ、うんこじゃなかったっけ? 俺、最近も何回かうんこって言っちゃってるかもしれない(笑)。

カツキ:鳩を頭と接着するときにうんこを使う……いや、フクロウだ! フクロウを乗せてさらに人を白塗りにするとなにも怖くなくなる、っていうことをダリは発見したんですよね。とまぁ横道にそれましたが、たとえ相手が嫌な奴でも、脳内で「生前の人」として受け止めたり、脳内イメージで相手の頭の上にフクロウを乗せたりすれば、大体のことは許せるというか。

ガビン:ビジネス書にかかれてない「なんとか思考」ですね。

カツキ:そうですね、ものごとをフラットに受け止めるライフハックとしてやってましたね(笑)。

ガビン:当時からお互いに今でいうメタ認知っていうか、いろんなことを俯瞰して考えてること、話していましたよね。たとえばすごく嫌な人から酷いことを言われて、怒らなくちゃいけないタイミングがあったとして、相手に怒りのメールを送る際にbccにカツキさんを入れたりとかしてました。関係ないのに。

カツキ:ccだと相手にバレちゃうからね。

ガビン:こっちとしてはカツキさんにメールを見てもらうことで、怒っている自分を一回俯瞰できるし他人事として見ることができる。「うわあ、この人本気で怒ってるわ」みたいな。そういえば一緒に会社やっていた人に送る決別メールも転送しましたよね(笑)。

カツキ:ありましたね。

ガビン:しかもそれはカツキさんに限った話じゃなくて、一時期、周りの人達に「怒っているメールがあったらちょうだい」と言ってメールを転送してもらっていました。第三者に感情が爆発したメールを送ることでその人への怒りをお焚き上げするみたいな。

カツキ:怒りを成仏できますからね。

ガビン:「嫌いな人誰?」って会話もよくしていましたよね(笑)。

カツキ:してた。好きな人じゃなくて嫌いな人の話。

ガビン:やっぱり「嫌いな人」って、ある種の同族嫌悪じゃないけど、どこかで自分と何らかの関わり合いというか被る部分があるから。そういったことをカツキさんと根掘り葉掘り聞きあったのはすごく面白かった。お互いの言動を俯瞰しながら観察して。

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老いに関してはこちらから何かアクションを起こさなくても、ただ待っているだけで、生活をしているだけで日々思いもよらなかった方向からいろいろ起きるから。その都度びっくりして、じっと観察をして、文章にする
——伊藤ガビン

もうね、サウナは15年ぐらいやっているけど、その間に体はどんどん老いていっているから正直なところ作業のペースは落ちていますね。でも今それをやってしまうと、身体がついていかなくなるし確実に後でガタがくる。
——タナカカツキ

加齢によってクリエイティビティは変化するのか


はじめての老い
伊藤ガビン(著)

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ガビン:クリエイティビティの話でいうと、正直どうですか? 僕はもうね、だいぶ枯渇しています(笑)。今はもう、枯渇したままどうやって生きるかっていうことですよね。今回、文章を久しぶりに書いて、もちろん原稿自体は書けるんだけど、特に面白いことは言ってないっていうか。本の中では路上観察という言葉を使っていますけど、基本的に自分を取材対象者に�

レコード収集、そして音楽文化を愛するすべての人に――
奥深きアナログ盤の世界にもう一歩踏み込むための案内

ストリーミング全盛の今日、他方でレコードが大いに脚光を浴びてもいる。
アナログ盤はなぜかくも音楽愛好家たちを惹きつけてやまないのか?
その買い方から聴き方、歴史、そして未来への展望まで、いまあらためてレコードならではの魅力を徹底解剖する!

・MURO、エヂ・モッタら究極のレコード・コレクターたちが語るその収集哲学
・レコード好きのライフスタイル
・海外レコード買い付け紀行
・未知なる場所での新たな1枚との出会い
・購入時のことが鮮明に記憶に残るレコード5選(JAZZMANジェラルド、マシュー・ハルソール、メイヤー・ホーソーン、坂本慎太郎、MOODMAN、角張渉、イハラカンタロウ、スヴェン・ワンダー、水原佑果、岡田拓郎、Licaxxx、塩田正幸、T-Groove、ほか)
・VINYL GOES AROUND PRESSING:プレス工場潜入レポート
・アナログ愛好家が営む異業種名店
・レコードにまつわる映画紹介
・コレクター道を極めるための心得
・ヴァイナルで音楽を楽しむためのオーディオ環境
など、さまざまな角度からレコードの魅力に迫る完全保存版ガイド。

菊判/160頁

目次

はじめに

MURO、いまあらためてレコード愛を語る――プレス工場見学からレコード遍歴、そしてコレクティングの現在(by 野田努)
エヂ・モッタ、インタヴュー――レコードは手にとって味わえる芸術作品(by Jun Fukunaga)

●#1 レコードを探し求めて
レコード買付は悲喜こもごも――とあるバイヤーのアメリカ紀行
あるレコード店主の一日 永友慎(Upstairs Records & Bar)
レコードを探しに訪れたインドネシアで起こった出来事 馬場正道(KIKI RECORD)
VINYLVERSEのアプリ/フィジタル・ヴァイナルの楽しみ方――ヴァイナル中毒者たちのコミュニティを創造する
鈴木啓志のレコード蒐集術――ネットもなく、レコード店も少なかった時代、音楽好きはいかにして情報を入手し、盤と出会っていたのか

●#2 購入時のことが記憶に残るレコード5選
ジャズマン・ジェラルド/MOODMAN/坂本慎太郎/マシュー・ハルソール/メイヤー・ホーソーン/角張渉/イハラカンタロウ/スヴェン・ワンダー/岡田拓郎/水原佑果/T-GROOVE/塩田正幸/Licaxxx/田之上剛

●#3 レコードの作り方
レコード・プレス工場見学記――VINYL GOES AROUND PRESSING(by 小林拓音)
78RPMレコードを作ってみました。~VINYL GOES AROUNDチームによる78回転への道 其の一~ 水谷聡男×山崎真央×イハラカンタロウ

●#4 レコードのもっと深い話
SP盤を集める魅力は戦前ブルースにあり 高地明
オリジナル盤入門――その魔力とディグのススメ 山中明
ライトハウス・レコーズ店主が語るオーディオが引き出すレコード体験の真髄(by Jun Fukunaga)
SL-1200がDJの定番機材になるまで――Technics×VINYL GOES AROUND特別座談会
針先に広がるスクリーン――レコードと映画の出会い 鶴谷聡平(サントラ・ブラザース)
美容室TANGRAMオーナー坂本龍彦が語る希少レコードと出会いの物語(by Jun Fukunaga)
BIG LOVE RECORDSオーナー、仲真史が追求するレコード店のあるべき姿(by Jun Fukunaga)
私的90~ゼロ年代レコ袋ガイド TOMITA
なんでこんなに不便なものに時間と金をかけ続けるのだろう 野村訓市

after talk レコードは飾りじゃない 水谷聡男×山崎真央×小林拓音
プロフィール

cover photo by SUGINO TERUKAZU (TONPETTY Inc.)

オンラインにてお買い求めいただける店舗一覧
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* 発売日以降にリンク先を追加予定。

Shinichiro Watanabe - ele-king

 カマシ・ワシントンボノボフローティング・ポインツの起用でも話題の渡辺信一郎監督最新アニメ『LAZARUS ラザロ』。放送開始がいよいよ迫ってきている。4月6日よりテレ東系にて、毎週日曜夜11時45分から放送開始(各配信プラットフォームでも配信予定)。随時、公式サイトはチェックしておきましょう。

 なお、現在制作中の『別冊ele-king』は「『LAZARUS ラザロ』と渡辺信一郎の世界」と題し、同作を大特集。渡辺監督自身の超ロング・インタヴューをはじめ、監督のマニアっぷりが発揮された細野晴臣との特別対談も掲載予定です。カマシ・ワシントンやボノボに加え、サンダーキャットフライング・ロータスのインタヴューもあり。そちらは5月下旬発売、乞うご期待!

●期待高まるオープニング映像、曲はカマシ・ワシントン

●公式トレイラー、迫りくる世界の終わりを止めるには?



Chaos In The CBD - ele-king

 開催迫る〈Rainbow Disco Club〉への来日も発表されているエレクトロニック・デュオ、カオス・イン・ザ・CBDが2025年5月9日に待望のデビュー・アルバム『A DEEPER LIFE』を〈DUST WE TRUST〉よりリリース。Josh Milan(Blaze)、Lee Pearson Jr.、Stephanie Cooke、UKグライムのMC・Novelistなどを迎えた、未来のクラシックとも言える1枚に仕上がっているようだ。また先行シングルとして、新曲 “MARLBORO SOUNDS” が3月26日(水)に配信された。

 バレアリックなライフスタイルへのオマージュであるという本楽曲は、ニュージーランドのマールボロ・サウンズと、幼少期にそこで過ごした夏の日々にインスピレーションを受け制作されたとのこと。90年代イビサのチルアウト・ミュージックに特別な親和性を感じているというカオス・イン・ザ・CBDによる、軽やかさとダンスフロアのエネルギーが両立されたトラックだ。

 プレスリリースによればアルバム『A Deeper Life』も、本日配信の先行シングルと同様にバレアリックの精神性をキーにアンビエント、ソウルフル・ハウス、R&B、ジャズといった音楽的要素を融合した作品に仕上げられているとのこと。4月18日~20日の3日間、東伊豆で開催される〈Rainbow Disco Club〉でその一端に触れられるのだろうか。ぜひ目撃されたし。

label: DUST WE TRUST
artist: Chaos In The CBD
title: A DEEPER LIFE
format: Digital / LP / CD
release date: 2025.05.09

Tracklist:

1. Down By The Cove
2. Mountain Mover Ft. Alex Cosmo Blake
3. Maintaining My Peace Ft. Novelist & Stephanie Cooke
4. Tears Ft. Saucy Lady
5. Brain Gymnasium
6. I Wanna Tell Somebody Ft. Josh Milan
7. Ōtaki Ft. Finn Rees
8. Love Language Ft. Nathan Haines
9. A Deeper Life Ft. Isaac Aesili
10. More Time Ft. Lee Pearson Jr Collective
11. Tongariro Crossing Ft. Nathan Haines
12. Barefoot On The Tarmac
12. Marlboro Sounds
13. The Eternal Checkout Ft. Cenk Esen

https://chaosinthecbd.lnk.to/ADeeperLife

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