「AY」と一致するもの

11月のジャズ - ele-king

Omasta
Jazz Report from the Hood

Astigmatic

 昨今のジャズ・シーンではあまり取り上げられることのないポーランドだが、かつて共産時代の1960~70年代には多くのミュージシャンやバンドが活動し、隣国のドイツと並んでヨーロッパの中でもジャズが盛んな国のひとつだった。基本的にジャズの伝統が流れている国と言っていいが、最近は若いミュージシャンもいろいろ出てきている。たとえばテンダーロニアスジャウビと共演し、サン・ラーやポーランド・ジャズ界の伝説的なピアニスト/作曲家であるクシシュトフ・コメダのトリビュート作品をリリースするEABS(イーブス)、UKの〈ゴンドワナ〉から作品をリリースするハニア・ラニといった新しい感性を持つアーティストなどが目につくところだ。イーブスはUKの〈アスティグマティック〉から作品をリリースしているが、このたび同レーベルから登場したオマスタもポーランドの期待のバンドと言える。

 クラクフという町出身の彼らは、その地方の方言で「風味付けのために料理に加える脂」という意味のグループ名を持つクインテットで、ポーランドからイギリス、ベルギーなどヨーロッパ各地でライヴ活動を行っている。そうしたライヴでは地元クラクフ出身のジャズ・サックスのベテランであるレスシェク・ジャンドヴォから、テンダーロニアス、スラム・ヴィレッジなどジャズに限らないいろいろなアーティストとステージを共にしてきた。ジャズにとどまらないミクスチャーな感覚はJ・ディラマッドリブなどに影響を受けたところから導かれており、彼らの作り出すビートをジャズの生演奏へと落とし込むと同時に、ロイ・エアーズ、ロニー・リストン・スミス、ドナルド・バードなど1970年代のジャズ・ファンクのエッセンスも注入している。ファースト・アルバムとなる『Jazz Report from the Hood』は、そんなオマスタの魅力がぎっしりと詰め込まれている。“Cornerstone”はネオ・バップを軸とした楽曲だが、ブロークン・ビーツを咀嚼したようなリズムが現代的で、2000年代半ばのクラブ・ジャズに近い雰囲気もある。“Kazimierz”も基本的には1960~70年代のジャズの骨格を持ちながらも、ソリッドで研ぎ澄まされたビートを持つことによってダンサブルなサウンドとなっている。疾走感に満ちたジャズ・ファンクの“Burner”やジャズ・ボッサ調の“Ankle Breaker”も同様で、全体的にクラブ・サウンドを意識した演奏や楽曲づくりが行われている。“Mandem”や“Who They Was”などダウンビートの作品はヒップホップを意識していて、ドープなジャズ・ファンクの“Dead End”のビートはクエストラヴやクリス・デイヴなどのドラミングを彷彿とさせる。


Anton De Bruin
Sounds of the Eclipse

Sundown Recordings

 4月にオランダのグループのY.O.P.Eを紹介したが、そのキーボード奏者であるアントン・デ・ブルーインのソロ・アルバム『Sounds of the Eclipse』がリリースされた。彼はY.O.P.Eの前にもジャズとヒップホップをミックスしたグループのドラゴンフルーツでもアルバムを出しており、そのほかにアフロビート・バンドのアンタレス・フレアを結成し、ジャズ・トランペット奏者のピーター・ソムアのアルバムに参加するなど、いろいろなキャリアを積むミュージシャン/プロデューサーである。自身のソロ・アルバムとしては2024年に『Imaginarium』を発表していて、これにはY.O.P.Eのリーダーであるヨープ・デ・フラーフ、ドラゴンフルーツのメンバーのティジメン・モレマとシェルド・ヒスーン、ピーター・ソムアなども参加していて、彼が拠点とするロッテルダム周辺の音楽仲間が集まった作品と言える。内容的にはジャズ、ファンク、アフロ、ダブ、ヒップホップなどをミックスした上でエレクトロニクスを加え、UKのジョー・アーモン・ジョーンズあたりに近い印象を受けた。

 それから1年半ぶりとなるニュー・アルバムが『Sounds of the Eclipse』である。今回の演奏もヨープ・デ・フラーフ(ベース)、ピーター・ソムア(トランペット)、ジェシー・シルダーリンク(テナー・サックス)、ミラン・ブーン(ギター)、ティジメン・モレマ(ドラムス)と核になるメンバーは一緒。ほかにルーマニア出身のフルート奏者のファニ・ザハールやストリングス・セクション、シンガーのニア・ラリノヴァ、K.O.G、アジザ・ジェイ、ジャーメイン・パークアウトなどが参加し、ヴァラエティに富むレコーディング・メンバーとなっている。“Running on Slippers”はファニ・ザハールのフルートをフィーチャーし、高速のビートで駆け抜けるコズミック・ジャズとなっている。テクノやブロークン・ビーツなどのクラブ・サウンドの要素やアフロもミックスし、ザ・コメット・イズ・カミングあたりにも通じる作品と言えよう。ニア・ラリノヴァがメランコリックなムードで歌う“Keep Your Distance”は、リチャード・スペイヴンのような人力ダブステップ風ドラミングが印象的なジャズとクラブ・サウンドの折衷的作品。“Same Story”はアフロビートで、“Long Way Around”はレゲエ/ダブの要素が強く、K.O.Gとアジザ・ジェイが歌う“B3sin”はアフロ~カリビアン・ソウルとUKジャズのミクスチャー感覚から影響を受けていて、全体としてジョー・アーモン・ジョーンズからエズラ・コレクティヴ、スティーム・ダウンといったサウス・ロンドンのサウンドに近い印象だ。


Harper Trio
Dialogue of Thoughts

Little Yellow Man

 ハーパー・トリオはギリシャ出身でロンドンを拠点に活動するハープ奏者のマリー・クリスティーナ・ハーパーを中心に、ニール・コウリーのトリオでジャズ、マット・スコフィールドのトリオでブルース・ロックを演奏するエヴァン・ジェンキンス(ドラムス)、コルトレーンを聴いてジャズの道に進んだジョセフィン・デイヴィス(テナー&ソプラノ・サックス)というほかにはあまり類を見ない異色のトリオである。そもそもハープという楽器がジャズの世界ではマイナーだが、近年はニューヨークのブランディ・ヤンガーはじめ、マシュー・ハルソール率いるゴンドワナ・オーケストラのレイチェル・グラッドウィンやアリス・ロバーツ、マシューやチップ・ウィッカムと共演するアマンダ・ウィッティングなど女性ハープ奏者が活躍する場面も増えてきた。彼女たちはドロシー・アシュビー、アリス・コルトレーンというジャズ・ハープ奏者の草分けの影響を受けているが、マリー・クリスティーナ・ハーパーはそれとはやや異なるタイプの演奏家である。ハープは民族音楽にも多く用いられ、古くはクラシックの分野で発展してきたが、マリー・クリスティーナ・ハーパーはハープにエレクトリックなエフェクターをつけた実験性の強いアーティストである。また、ほかのハープ奏者に比べて即興演奏の度合いが高く、フリー・ジャズとロックや民族音楽を融合するようなところも見られる。2023年に『Passing By』というファースト・アルバムをリリースするが、そこではギリシャやエジプト、スペインという地中海周辺の国々をモチーフとする楽曲が収められていた。

 それから2年ぶりの新作となるのが『Dialogue of Thoughts』である。力強いビートにいるジャズ・ロックの“Walk”で、マリー・クリスティーナ・ハーパーのハープは基本的にはベースのような役割を果たしつつ、エフェクトをかけて次第にエレクトロニックな様相を呈していく。エヴァン・ジェンキンスのテナー・サックスはシャバカ・ハッチングスのような演奏で、彼が参加するザ・コメット・イズ・カミングに近いタイプの作品だ。“Sometime in Cairo”はエジプト音楽を取り入れ、ダークでミステリアスな世界を作り出していく。タイトル曲の“Dialogue of Thoughts”はアヴァンギャルド色の強い混沌とした演奏で、“Inner Thoughts”はメンバーのダイアローグ(会話)を楽器の一部のように用いた実験的な作品。“Madness While Trying to Meditate”はハープをまるでエレキ・ギターのように使用しており、非常にアグレッシヴな演奏を展開する。一方で“Quiet Mind”や“In Between Dreams”ではミニマルやアンビエントの影響を受けた抒情的な演奏も行う。ハープという楽器の可能性をさまざまな方向で追及した作品である。


The Cosmic Tones Research Trio
The Cosmic Tones Research Trio

Mississippi

 恐らくサン・ラー・アーケストラのアルバム『Cosmic Tones For Mental Therapy』(1967年)から名前をつけたのではないかと想像されるコズミック・トーンズ・リサーチ・トリオ。サン・ラーのような宇宙観、アフロ・フューチャリズムと同様に、精神的な癒しも彼らの音楽の重要な要素なのだろう。アメリカのポートランドを拠点にローマン・ノーフリート(サックス、フルート、クラリネット、パーカッション、ヴォーカル)、ハーラン・シルバーマン(チェロ、ベース、フルート、ハープ、スティール・ギター、パーカッション、シンセ、エレクトロニクス)、ケネディ・ヴェレット(ピアノ、キーボード、フルート、パーカッション、ヴォーカル)から成るグループで、最初はローマンとハーランがやっているビー・プレゼント・アート・グループというコミュニティ・プロジェクトにケネディが参加し、いろいろとセッションを繰り返す中でコズミック・トーンズ・リサーチ・トリオとなっていった。ジョン&アリス・コルトレーン、サン・ラー、ファラオ・サンダース、アート・アンサンブル・オブ・シカゴ、アンソニー・ブラクストン、ジョージ・ルイス、デューク・エリントン、現役で今も活躍するドワイト・トリブルなどのジャズから、ミニマル/実験音楽のジュリアス・イーストマン、現代音楽のベンジャミン・パターソン、R&Bやブルースのジェイムズ・ブッカーからスティーヴィー・ワンダーに至る幅広いアーティストたちに影響を受け、ブライアン・イーノを通じてアンビエントの分野にも興味を持つという彼ら(ファラオ・サンダースについては実際に会って学ぶ機会があり、アリス・コルトレーンの教えを受けた弟子たちとも交流があるそうだ)。3人が一堂に会したのは〈ミシシッピ・レコーズ〉が主催したレコード・ショップでのコンサートだったが、そのときにドローン・サウンドを取り入れた演奏をしていて、そうした中から瞑想的なヒーリング・ミュージックを志向し、ファースト・アルバムの『All Is Sound』(2024年)が作られた。

 3人ともがマルチ・ミュージシャンで、それぞれパーカッションなどを使って多重のアンサンブルを重ねる姿は、1970年代のファラオ・サンダースやアート・アンサンブル・オブ・シカゴなどにも共通する。特にフルートは3人全員が演奏し、そこから広げて尺八など世界各国の吹奏楽器にも興味を伸ばしている。『All Is Sound』はスピリチュアル・ジャズとアンビエントを繋ぐような作品だが、どちらかと言えば比重はアンビエントの方に寄っていた。それから1年ぶりのグループ名をそのままタイトルとしたニュー・アルバムも、全体的にはノンビートのアンビエント色の強い作品が多い。そして、民族音楽の要素も交えながらオーガニックな色彩も感じさせる。ケネディがアルメニアやアゼルバイジャンなど中央アジアで用いられる木管楽器のドゥドゥクを演奏していて、その優しく円やかな音色がオーガニックなトーンにも一役買っている。そうした中、神秘的なチェロとピアノのハーモニーに原初的なパーカッションがゆったりとしたグルーヴを導き出す“Sonkofa”が、もっともスピリチュアル・ジャズの色合いが強い作品と言えそうだ。

AVYSS Circle 2026 - ele-king

 2018年にCVNことNobuyuki Sakumaによって発足された「時代をアップデートする個性のある音楽やカルチャーを日々記録する」プラットフォーム・AVYSSが、サーキット企画〈AVYSS Circle 2026〉をデイ/ナイトの2部制で2026年1月23日(金)に開催する。

 〈AVYSS Circle〉はこれまで2022年、2024年に下北沢のクラブ・ライヴハウスを舞台に開催されてきた回遊式のイヴェント。先日〈Warp〉より新作『Lick The Lens – Pt. 1』をリリースしたオリ・エクセル(https://www.ele-king.net/review/album/007379/)や韓国在住・アジア圏におけるデジコア・シーンの旗手・エフィー(Effie)、オーストラリアの新星ニーナ・ジラーチとのコラボレーションやチャーリーXCX、100ゲックスのサポートアクトなどで注目を集めるデイン(daine)などを招聘しつつ、日本のアンダーグラウンド・シーンで活躍するローカル・アクトたちを多数ラインナップ。

 舞台となるのは渋谷クアトロ、WWW、WWWβ、R Lounge、SUPER DOMMUNE、PBOX(旧・ComMunE)の5会場・7フロア。過去最大規模となる本企画では「2020年代以降のジャンルやカテゴリーを超越する感覚をAVYSSの視点で包括した」とのことで、ハイパーポップをはじめとするネオ・インディな新世代の感性が集う一日となるか。追加ラインナップも後日発表予定。以下詳細。

 「今回のAVYSS Circleは、ローカルで育まれてきた小さな円環が、ゆっくりと着実に外側へ同心円状に広がっていくのを想像しています。地理や距離を横断する“横軸”と、音楽から周辺のカルチャーへ潜る“縦軸”が交差し、ローカルとワールド、リアルとオンラインが同じような地平で融解します。そこに集まる表現は、わかりやすい線引きではなく、流れついた「個」の感覚の連なりです。雨の日も雪の日も、毎日積み重ねてきたキュレーションの螺旋ループがレイヤーの外側に接続し、静かに拡張していくことを目指します。」
──Nobuyuki Sakuma (CVN)

AVYSS Circle 2026

◆公演日:2026年1月23日(金)
◆開場/開演:【DAY】18:00 【NIGHT】24:00
◆会場:SHIBUYA CLUB QUATTRO 4F・5F / WWW・WWWβ / R Lounge / SUPER DOMMUNE / PBOX (5会場・7フロア)
◆TICKET:https://eplus.jp/avysscircle-2026/
◆価格:
【通し券】前売:10,000円 / 早割:9,000円
【DAY】前売:7,900円 / 早割:6,900円 / U-18:5,900円
【NIGHT】前売:4,800円 / 早割:3,800円
(税込/スタンディング/整理番号付/ドリンク代別)

◆出演者 (A-Z)

■ DAY

【CLUB QUATTRO 5F】
daine (AUS)・ほしのおと・トップシークレットマン・雪国・and more…

【CLUB QUATTRO 4F】
Emma Aibara・ikea・Le Makeup・Lilniina・safmusic・死夏・XAMIYA・諭吉佳作/men・yuzuha

【WWW】
AssToro・dodo・Effie (KR)・iiso (KR)・It’s US!!!!・kegøn・lilbesh ramko・SxC Loser・sysmo・Yoyou

【WWWβ】
Amuxax・荒井優作・iga・LAUSBUB・鯖・Saren・serah trax・宇宙チンチラ・uku kasai

【R Lounge】
AOTO・discordsquad2k・goku sasaki・lazydoll・Mishaguzi・Number Collector・otuyyuto・PAX0・Siero・Yog*

【SUPER DOMMUNE】
cyber milkちゃん・DJ HOSHIMIYA TOTO・ひがしやしき・Magnolia Cacophony・おそロシア革命・and more…
〈TALK〉 千代田修平 + JACKSON kaki + ~離 MC : NordOst ※トークテーマ後日発表

【PBOX】
DjuBumba・eijin・fui w/ innerscape by ITOAOI・百年の孤独・いむ電波.wav・小松成彰 うーたん・うしろ(Ritual Workshop Set)・MON/KU
〈TALK〉 AfterParty 公開収録 ゲスト:つやちゃん ※トークテーマ後日発表
〈AVYSS COLLABORATION〉 BALMUNG・chloma・GB MOUTH ※コラボ内容後日発表


■ NIGHT

【CLUB QUATTRO 5F】
iVy・SleepInside・Texas 3000・and more…
〈VJ〉 Higurashi・JACKSON kaki

【CLUB QUATTRO 4F】
CVN・E.O.U・imai・in the blue shirt・nano odorine・nerdcamp.com・食品まつり a.k.a foodman・and more…

【WWW】
Dos Monos・JUN INAGAWA・music fm・Oli XL (SWE)・釈迦坊主・wagahai is neko
〈VJ〉 naka renya・O.G.I

【WWWβ】
FELINE・okadada・らりる連合・TORIENA
〈AVYSS Cup〉(テーマ:元気)loli主語・前澤・seaketa・ ~離 MC : 徳利

Organize:AVYSS / CLUB QUATTRO
Cooperation:WWW / R Lounge / SUPER DOMMUNE / PBOX
Supported by melting bot
Partner:GALLERIA
Key Visual : QINGYI
Design & Layout : naka renya
Staging : yoh
Food : Geek Eggs Food Team XD

◆注意事項:
※身分証明書は右記いずれかの写真付きのもの(学生証、運転免許証、パスポート、マイナンバーカード等)
※U-18の対象者は公演当日2026.1.23時点で18歳以下の方。ID/身分証の確認ができない場合、当日差額分をいただきます。
※NIGHTは深夜公演です。20歳未満は入場不可。要写真付きID。ID/身分証の確認ができない場合、入場をお断りする場合がございます。
※身分証明書は右記いずれかの写真付きのもの(学生証、運転免許証、パスポート、マイナンバーカード等)
※各種チケットは枚数に制限がございます。上限に達し次第受付を終了します。予めご了承ください。
※DAYとNIGHTは入れ替え制。(通しチケットお持ちのお客様も一度ご退場いただきます。)

◆お問い合わせ:
渋谷クラブクアトロ 03-3477-8750

◆AVYSS:https://avyss-magazine.com

Shintaro Sakamoto - ele-king

 坂本慎太郎が2022年の『物語のように』以来の、通算5枚目となるソロ・アルバムが来年年明けの1月にリリースされると、〈zelone records〉が発表した。タイトルは、『ヤッホー』。発売日は、2026年1月23日(金)、例によって〈zelone records〉からのリリースである。
 なお、すでに「おじいさんへ」を発表している坂本だが、新作からの先行配信シングル「あなたの場所はありますか?」も本日11月19日(水)にリリース。

■デジタル・シングル
あなたの場所はありますか / 坂本慎太郎 (Is There A Place For You There? / Shintaro Sakamoto)

2025年11月19日(水) 配信リリース:
国内再生・購入: https://virginmusic.lnk.to/IsThereAPlaceForYouThere
YouTube (Official Audio): https://www.youtube.com/watch?v=y-Ve_3cUIFQ


■ニュー・アルバム
ヤッホー / 坂本慎太郎 (Yoo-hoo / Shintaro Sakamoto)

2026年1月23日(金) Digital/CD/LP/リリース
国内Pre-save / Pre-add: https://virginmusic.lnk.to/Yoo-hoo_pre
1. おじいさんへ (Dear Grandpa)
2. あなたの場所はありますか? (Is There A Place For You There?)
3. 正義 (Justice)
4. 脳をまもろう (Protect Your Brain)
5. 時の向こうで (On The Other Side Of Time)
6. 時計が動きだした (The Clock Began To Move)
7. 麻痺 (Numb)
8. なぜわざわざ (Why Do This?)
9. ゴーストタウン (Ghost Town)
10. ヤッホー (Yoo-hoo)

Written & Produced by Shintaro Sakamoto
Recorded, Mixed & Mastered by Soichiro Nakamura at Peace Music, Tokyo, Japan 2025

Vocals, Bass (10), Keyboard, Acoustic, Electric & Lap Steel Guitar: Shintaro Sakamoto
Bass & Chorus: AYA
Drums & Percussion: Yuta Suganuma
Flute & Saxophone: Tetsu Nishiuchi
Marimba: Manami Kakudo (8, 9)

●CD (zel-029): 価格: ¥2,600+税 (2枚組/インストBONUS CD付)
●LP (zel-030): 価格: ¥3,200+税
●Digital (DL/ST)


坂本慎太郎

1989年、ロックバンド、ゆらゆら帝国のボーカル&ギターとして活動を始める。
2010年バンド解散後、2011年に自身のレーベル“zelone records”にてソロ活動をスタート。
2017年、ドイツのケルンでライブ活動を再開。2022年、4thソロアルバム「物語のように (Like A Fable)」を発表。
2024年、USツアー、インドネシア、タイ、台湾、韓国でのLIVEを国内ツアーと並行して展開。
2025年、NetflixにてLIVEフィルム作品「坂本慎太郎LIVE2022@キャバレーニュー白馬」期間限定配信中。グラミー受賞プロデューサーのLeon Michels率いるEl Michels Affairの新作「24Hr Sports」収録の『Indifference』にで歌唱と作詞で参加。 10/15に新曲「おじいさんへ」を配信リリース、3度目のUSツアーとメキシコ公演、12月には中国公演を展開。

また、様々なアーティストへの楽曲提供、アートワーク提供他、活動は多岐に渡る。 

Official Site: https://linktr.ee/shintarosakamoto_official

MODE - ele-king

 Arnold Dreyblatt(アーノルド・ドレイブラット)は、ミニマル・ミュージックの系譜に属しながら、その中心から大きく逸脱する異彩の作曲家。グレン・ブランカやソニック・ユース、あるいはオーレン・アンバーチにも影響を与えているので、オルタナティヴで実験的なロックが好きな人にも知られている。その実験音楽の巨匠が今年最後の「MODE」のために来日し、12月18日(木)、長年の長年のコラボレーターであるジム・オルーク、そして石橋英子を迎えた特別編成のアンサンブル・プロジェクトを披露する。若き日にはアルヴィン・ルシエに師事したこの異彩のパフォーマンスを見逃さないで。

Arnold Dreyblatt
The Orchestra of Excited Strings
WITH Konrad Sprenger / Joachim Schütz

SPECIAL GUESTS
Jim O'Rourke / 石橋英子

実験音楽、オーディオビジュアル、パフォーミングアーツを紹介するプラットフォーム「MODE」は、2025年12月18日(木)、東京・赤坂のゲーテ・インスティトゥート東京にて、Arnold Dreyblatt(アーノルド・ドレイブラット)によるアンサンブル・プロジェクト『The Orchestra of Excited Strings(ジ・オーケストラ・オブ・エキサイテッド・ストリングス)』を発表します。
 『The Orchestra of Excited Strings』は、1979年にニューヨークで設立され、編成の変化や一時的な活動休止を経ながらも、現在まで独自の方法論を更新し続けてきた、Dreyblatt主宰のアンサンブル・プロジェクトです。
 本公演では、Arnold Dreyblatt、現行のアンサンブルメンバーであるベルリン拠点の作曲家/楽器創作者 Konrad Sprenger(コンラッド・スプレンガー)、ギタリスト/即興音楽家 Joachim Schütz(ヨアヒム・シュッツ)に加え、Dreyblattの長年のコラボレーターであるJim O’Rourke(ジム・オルーク)、さらに石橋英子(Eiko Ishibashi)をスペシャルゲストとして迎えた、計5名の特別編成アンサンブルによるパフォーマンスが披露されます。
 本公演はArnold Dreyblattにとって、2017年の東京公演(SuperDeluxe主催)および北九州公演(現代美術センター CCA 北九州主催)以来、8年ぶりとなる来日公演です。Dreyblatt、Sprenger、O’Rourke、石橋の4名が同じステージに立つのも同年の公演以来で、極めて貴重な機会となります。
 またDreyblattは、2023年にArnold Dreyblatt & The Orchestra of Excited Strings名義での最新作『Resolve』を発表し、2025年11月21日にはエクスペリメンタル・バンドHorse Lords(ホース・ローズ)とのコラボレーション作のリリースも控えており、活動の流れとも響き合う、まさに注目すべきタイミングでの来日となります。
 本プログラムは、ドイツ連邦共和国の文化機関として、文化交流、教育、社会的なテーマに関する議論を国際的な文脈で振興し、ドイツ語学習とドイツ語教育を推進するゲーテ・インスティトゥート 東京による協力のもと開催されます。

◾️Arnold Dreyblatt

 Arnold Dreyblattは、ニューヨークのミニマル・ミュージック・シーンの第二世代目を代表する作曲家の一人です。Pauline Oliveros(ポーリン・オリヴェロス)、La Monte Young(ラ・モンテ・ヤング)、Alvin Lucier(アルヴィン・ルシエ)に音楽を、Steina & Woody Vasulka(スタイナ&ウッディ・ヴァスルカ)にメディアアートを師事。Arthur Russell(アーサー・ラッセル)、Julius Eastman(ジュリアス・イーストマン)、Tony Conrad(トニー・コンラッド)といった伝説的アーティストたちと共演してきました。弦を打楽器的に鳴らす独自の楽器「Excited Strings」と、脈動するリズムや倍音構造を軸にした作曲手法により、身体に直接作用する独自の音響世界を築いています。1980年代以降はベルリンを拠点に制作を続け、1990年代には Jim O’Rourke らの世代から再び注目を集め、2010年代にはMegafaunとのコラボレーションなどを通じて活動の幅を拡大。2023年にはArnold Dreyblatt & The Orchestra of Excited Strings名義での最新作『Resolve』を発表し、2025年11月21日には Horse Lords とのコラボ作のリリースも控えるなど、現在も精力的に活動を展開しています。


◾️The Orchestra of Excited Strings

 『The Orchestra of Excited Strings』はDreyblattが1979年、ニューヨークにて自身の作曲作品の発展と演奏を目的に結成したアンサンブルです。アメリカ各地で活動したのち、1984年にベルリンへ拠点を移し、国際的文化センターであるKünstlerhaus Bethanien(キュンストラーハウス・ベタニエン)のレジデンス作曲家として、新たなメンバーでアンサンブルを再編成。欧州各地のフェスティバルや美術館で演奏を重ね、Shelley Hirsch(シェリー・ヒルシュ)やAndy Statman(アンディ・スタットマン)といったアーティストたちとの共演、前衛音楽家John Zorn(ジョン・ゾーン)主宰のレーベルTzadik(ツァディク)からのリリースなどを経て活動の幅を広げました。アンサンブルは1997年に一度解散するも、2000年にBang on a Can All-Stars(バング・オン・ア・カン・オールスターズ)のメンバーやマサチューセッツ工科大学の学生たちとともにニューヨークで再結成。2009年からはKonrad Sprenger、Joachim Schütz、Robin Hayward(ロビン・ヘイワード)と現行編成を結成し、2019年には実験音楽家であり、レーベルBlack Truffle(ブラック・トリュフ)の主宰でもあるOren Ambarchi(オーレン・アンバーチ)も参加しています。


◾️Konrad Sprenger / Joachim Schütz / Jim O'Rourke / 石橋英子

 Konrad Sprengerは、ベルリンを拠点に活動する作曲家、音楽プロデューサー、アーティストであるJoerg Hiller(ヨーグ・ヒラー)の別名義です。長年にわたり、Arnold Dreyblattをはじめとするニューヨークのミニマリズム・ミュージックのアイコンたちとコラボレーションを重ね、パフォーマンス、作曲、サウンド・インスタレーションの制作、楽器の創作など、幅広い活動を展開してきました。近年では、コンピューター制御によるエレクトリックギターの創作・演奏や、2022年1月にCTMフェスティバルで発表された大規模なサウンド・インスタレーションなどで国際的に高い評価を得ています。
Joachim Schützは、ドイツ出身のギタリスト、インプロヴァイザー、プロデューサー、レコーディング・エンジニア。1990年代初頭、ドイツのアンダーグラウンドおよび実験音楽シーンに身を置き、これまでにEllen Fullman(エレン・フルマン)、Pantha du Prince(パンサ・デュ・プリンス)、Phil Niblock(フィル・ニブロック)など、ジャンルを越えて多様なアーティストたちとのコラボレーションを重ねています。

 Jim O’RourkeはArnold Dreyblatt、Konrad Sprengerの双方と長年にわたる交流を持ち、『Sonic Youth(ソニック・ユース)』、『Wilco(ウィルコ)』、『Gastr del Sol(ガスター・デル・ソル)』といったプロジェクトでアメリカのポストパンクシーンを牽引し、マース・カニンガム舞踊団の音楽やTony Conrad、Christian Wolff(クリスチャン・ウォルフ)などの作曲家との共演に加え、日本国内でも数多くのアーティストとのコラボレーションを手がけてきました。

 石橋英子は日本を拠点に活動する音楽家。Drag City、Black Truffle、Editions Mego(エディション・メゴ)といったレーベルより作品をリリースしています。2020年にはシドニーの美術館『Art Gallery of New South Wales』にて開催された展覧会のための音楽を制作し、『Hyakki Yagyo』としてBlack Truffleよりリリース。2021年に濱口竜介監督作『ドライブ・マイ・カー』の音楽を担当し、2022年にはLP『For McCoy』を発表。同年よりNTSのレジデントに参加し、2023年には濱口監督作『悪は存在しない』およびサイレント映画『GIFT』の音楽を手がけ国内外でツアーを敢行。2025年3月にはDrag Cityより7年ぶりの歌のアルバム『Antigone』をリリースしました。


【公演概要】

Arnold Dreyblatt & The Orchestra of Excited Strings

公演日時:12月18日(木) OPEN 18:00 / START 19:00
会場:ゲーテ・インスティトゥート 東京(東京都港区赤坂7-5−56 MAP)
チケット:¥5,500 (e-plusにて販売中)
出演者:Arnold Dreyblatt / Konrad Sprenger / Joachim Schütz / Jim O'Rourke / 石橋英子
公演の詳細はMODE公式インスタグラムをご確認ください。

プレスお問合せ先:
MODE:info@mode.exchange
MODE公式Instagram

主催:MODE/協力:ゲーテ・インスティトゥート 東京

The Bug vs Ghost Dubs - ele-king

 UKのザ・バグことケヴィン・マーティンが、ドイツのゴースト・ダブズ(ミヒャエル・フィードラー)との共作『Implosion』を11月21日にリリースする(デジタル音源はバンドキャンプで先行発売中)。イギリスとドイツ、それぞれ異なるバックボーンを持つ両者のトラックが交互に登場する本作、ふたりはサウンドを「生々しく」(フィードラー)「残酷なほどミニマル」(マーティン)に仕上げることをが目指したという。そしてダブの時代は続く、と。

artist : The Bug vs Ghost Dubs
title : Implosion
label : PRESSURE
Format : LP / CD / Digital
Release : 2025.11.21 (LP / CD)
Buy / Stream (bandcamp) : https://thebugvsghostdubs.bandcamp.com/album/implosion

Tracklist:

01. The Bug - Hooked (Hyams Gym, Leytonstone)
02. Ghost Dubs - In The Zone
03. The Bug - Believers (Imperial Gardens, Camberwell)
04. Ghost Dubs - Hope
05. The Bug - Burial Skank (Mass, Brixton)
06. Ghost Dubs - Dub Remote
07. The Bug - Alien Virus (West Indian Centre, Leeds)
08. Ghost Dubs - Down
09. The Bug - Militants (The Rocket, Holloway)
10. Ghost Dubs - Into The Mystic
11. The Bug - Dread (The End, London)
13. The Bug - Spectres (Plastic People, Shoreditch)
14. Ghost Dubs - Waterhouse
15. The Bug - Duppied (Brixton Rec)
16. Ghost Dubs - No Words

Music / Production :
The Bug tracks : The Bug (Kevin Richard Martin)
Ghost Dubs tracks : Ghost Dubs (Michael Fiedler)

Mastered : Stefan Betke (Scape Mastering)
Artwork : Simon Fowler
Gatefold inner photography : Eric Audoubert

最近のGroove-Diggersでのマイティー・ライダース関連リリース

山崎:Groove-Diggersでは、2007年に『Help Us Spread The Message』をCD化して以来、これまでにマイティー・ライダース関連で6タイトルをリリースしています。2023年には同作をCD再プレスするとともに、アナログ盤をリリース。続く2024年には、10インチ・シングルとして「Evil Vibrations」のエクステンデッド・エディットとインストゥルメンタル・エディットを発表しました。 その後、ほぼ連続する形で、「Let There Be Peace(Single Version)」と「Evil Vibrations(Muro Edit)」をカップリングした7インチをリリース。この作品が大きな反響を呼び、さらにA面とB面を入れ替えたPHYGITAL VINYL仕様の7インチも新たに登場しました。
そして今回、いよいよ待望の2枚組LP仕様のアルバムとしてリリースされることになります。

現時点でのマイティー・ライダース作品と関連リリース

水谷:2023年に再発したCDのライナーノーツでは、『Help Us Spread The Message』は、CDとLPを合わせて14ヴァージョンが存在すると書きました。そこからうちのリリースが2枚加わり、あとはLuv N' HaightのCDが重複して加わっているようなので、2025年11月現在、Discogs上ではすでに17ヴァージョンにまで増えています。

山崎:そうですね。今回の2LP盤を加えると、実質18ヴァージョンになりますね。

水谷:人気ロック作品ならともかく、レア・グルーヴ系の作品でこれだけヴァージョンがあるのはかなり珍しいと思います。それだけ、このアルバムが長く愛され、再評価され続けている証拠でしょうね。

山崎:前回のCDライナーでは、オリジナル盤ごとの違いを細かく解説しましたが、収録曲そのものの紹介はあえて割愛しました。そこで今回はあらためて、『Mighty Ryeders – Help Us Spread The Message』収録曲の詳細解説から入っていきたいと思います。

Mighty Ryeders – Help Us Spread The Message 曲詳細解説

水谷:ではまず、1曲目「The Mighty Ryeders」から聴いていきましょう。

山崎:疾走感のあるギターカッティングで始まるファンク・チューンです。

水谷:この曲は、彼らの最初のリリース・シングル曲でもありますね。

山崎:そうですね。シングル盤では、曲名のスペルが 「The Mighty Riders」になっているんです。Ryedersではなく。

水谷:そもそも “Ryeders” という綴りは、どこから来たんでしたっけ?

山崎:ロドニーさんによると、マイアミの運送会社 “Ryder社” からヒントを得たそうです。

水谷:しかも、アーティスト名が “Mighty” ではなく “Might Ryeders” になっている。何か意図があるのか、単なる表記ミスなのかは不明ですが。

山崎:シングルとアルバムのテイクは同じなんですか?

水谷:演奏テイク自体は同じだと思いますが、ミックスが明らかに違いますね。

山崎:マイティー・ライダースは、こういう細かい違いがマニア心をくすぐりますね。

水谷:そうですね、なので僕は全ての作品をコンプリートしましたが、入手には本当に苦労しました。マイティー関連はとにかくレアです。

山崎:曲の話に戻ると、シンプルなファンクですが、ベースがうねっていてリズムも分厚い。それでいて、全体が暑苦しくならないんですよね。ロドニーさんの中性的な声質や歌い方、そしてホーン・セクションの軽やかさも大きいと思います。

水谷:これはアルバム全体にも言えることですが、マイティ・ライダースは当時のファンクのエッセンスを吸収しながらも、大所帯バンドとは違って、ぎりぎりの編成で勝負している感じがかっこいいんですよね。

山崎:8人編成なので少なくはないですが、アース・ウィンド&ファイアーやクール&ザ・ギャングのような大編成バンドに比べると、音の重ね方はずっとシンプルです。70年代中期以前のスタイルに近いというか。ただ、70年代初期のファンクのように単調でもない。ディスコやアース・ウィンド・アンド・ファイヤー以降のギラついた時代のサウンドでもない。そのちょうど“間”にいるような絶妙なバランスが特徴ですね。

水谷:続いては、セカンド・シングルにもなった「Let There Be Peace」です。

山崎:これはアルバムとシングルで完全にテイクが異なる曲ですね。アルバム・ヴァージョンには中盤でサックスが入ってくる。詳細はCDライナーノーツに詳しく書いてあるので、ぜひチェックしてもらいたいです。

水谷: これもファンクですが、キーボードの音色がとても洗練されていて、全体が重くならない。いわゆる“コテコテ”なサウンドではないですね。
それにしても、この曲は「Evil Vibrations」という絶対的存在があることで、長らくその影に隠れてきた印象があります。あちらはサンプリングされたこともあり知名度は抜群ですが、レア・グルーヴという観点では、この「Let There Be Peace」は本アルバムにおいて“Evil Vibrationsと双璧を成す楽曲”といっていいほどの存在感があるんです。
しかもシングル・ヴァージョンは、アルバムにあるスウィンギーなサックスが入っていない分、よりプログレッシヴに疾走する。これはこれでまったく別物として素晴らしい仕上がりです。シングル盤が極めて入手困難だったこともあり、「アルバムとシングルでテイクが違う」という事実自体、今回我々がリイシューするまで世間ではほとんど気づかれていなかったように思います。
その超レアなシングル盤ですが、先日久しぶりにオークションに出ているのを見かけまして、40万円ほどで取引されていました。今や本当に手に入れるのは難しいですね。

山崎: シングル・ヴァージョンは7インチ盤にて再発しておりますので、ぜひチェックしていただければと思います。

山崎:次はミドルテンポのバラード曲、「Lovery」です。

水谷:エレピ(エレクトリック・ピアノ)の入り方からして、とても洗練されていますよね。こういう70年代のレアなソウルやファンク作品――今では高額盤になってしまっているもの――に共通するのは、音楽的な実力が非常に高いのに、金銭的な制約や録音環境の影響で、サウンドが“コテコテ”になっていない点なんです。本来ならもっと派手に作れたはずなのに、そこに至れなかった。だからこそ、当時は売れなかった作品が多いんですよね。

山崎:それは確かに、“レアグルーヴ”全般に共通している要素かもしれません。ある種の条件のような。

水谷:そうですね。レアグルーヴって、やっぱり“そこ”なんだと思います。レアグルーヴ以前に人気があったソウルやファンクは、もっとこってりしていて重たかった。そこから少し外れた、削ぎ落とされた部分にこそ魅力があるんですよね。

山崎:確かに。以前、当時からブラック・ミュージックに精通していたある方が、「80年代の終わりから90年代初頭にレアグルーヴで人気になった曲を聴いたとき、正直、何がいいのか分からなかった」と話していたのを思い出します。時代によって“良さ”の感じ方が変わるというか、音楽の進化と共に価値が再発見される。
そして、そんな“時代を超えて再評価された魅力”が最も象徴的に現れているのが、次の「Evil Vibrations」です。

水谷:まあ、この曲はもはや説明不要だと思いますが、一応、楽曲の背景を整理しておきましょう。デ・ラ・ソウルの「Saturdays」でサンプリングされたことで一躍注目を集め、レアグルーヴ史に燦然と輝く金字塔となった一曲です。

山崎:UKではそれ以前から、このアルバム自体がレア盤として人気があったようですね。特に1989年にリリースされたコンピレーション『Rare』シリーズに「Evil Vibrations」が収録されたことで、再評価が一気に進みました。この『Rare』シリーズは当時のイギリスでチャート入りするほどの人気を誇り、やはりレアグルーヴの総本山・ロンドンでは、かなり早い段階からマイティー・ライダースが注目されていたことが分かります。

曲調は、とても70年代の作品とは思えないほど洗練されています。デ・ラ・ソウルのサンプリングでも印象的な、あのエレピの反復リフと、そしてマイナー調へと展開していくコーラス・パートのメロディ。これらが一体となって、独特の浮遊感とグルーヴを生み出しているダンス・チューンですね。

水谷:そうですね。あとはリズムの粒立ちが綺麗ですね。ファンクというよりも、むしろもうアシッドジャズに近いグルーヴ感もあり、この洗練という点でとても70年代の音のように思えない。UKアシッドジャズ勢も影響されているのではないでしょうか?
ドラムの抜けが良くて、全体の音像もすごく明るい。けれど、決して派手ではなく、バンドとしてのバランスが絶妙なんです。
70年代後半のファンクって、もう少し圧が強いというか、音が詰め込まれている印象があるんですが、マイティー・ライダースはその“軽やかさ=洗練”が独特ですよね。

山崎:そうですね。まさに“軽やかさの中に芯がある”というか。演奏そのものが余白を活かしていて、そこが後の時代の耳にも響いたんでしょうね。

水谷:しかも曲調があんなダンスチューンなのだがタイトルからもわかる通り決してカラッとした内容ではない。詩も結構、陰というか内省的でスピリチュアルなモノを感じます。

山崎: そうなんですよね。あの高揚感と内省性が同居している感じが、まさにマイティーらしさでもあると思います。

水谷: だからこそ、この曲が後の世代にサンプリングされ、レアグルーヴとして再発見されたのも自然な流れだったのかもしれません。だからやっぱり、レアグルーヴって面白い現象なんですよね。たとえるなら、今の時代に「トライブ・コールド・クエスト」や「デ・ラ・ソウル」をあえて否定してみるような感覚に近いのかもしれません。

山崎: 確かに、今もしそういう動きが起きるとしたら、そんな感じでしょうね。

水谷: 「トライブとかデ・ラなんて、あんなコテコテのラップもう聴けないよ」と言い出して、もっとチープでストリート感の強い音を掘るような・・・。ただ、今ちょっと話していて思ったんですが、ランダム・ラップを“ヒップホップのレアグルーヴ”と呼ぶのは、少し違う気がしますね。

山崎: どういうことでしょうか?

水谷: たとえばデ・ラ・ソウルの「Saturdays」では、「Evil Vibrations」のサンプリングから突然「Light My Fire」が挟み込まれたりする。ネタが頻繁に変わることで、全体がカラフルで展開的になるんです。ラージ・プロフェッサーもそうですが、彼らはネタを重ねることで独自の構築美を生んでいた。そこには明確な作曲力とクリエイティビティがあったと思うんです。
それに、90年代以降のニュースクール新世代は“誰も知らないレコードを掘ってサンプリングする”ことに一種の美徳を見出していた時代でもありました。そうして掘り出されたレアグルーヴ盤の、あの洗練された音こそが、ごっついオールドスクールからヒップホップをネクスト・レベルへと押し上げていった――それはもう、サダメというか必然だったように思います。そして、その典型例こそが「Evil Vibrations」から生まれた「A Roller Skating Jam Named Saturdays」なんですよね。
一方で、ランダム・ラップは“ネタ一発で作っただけ”という印象が強い。そこに広がりがなく、アイデアや構築の妙が感じられない。だから僕は、どうしてもあのムードには入り込めなかったんですよね。

山崎:なんか今の話を聞いて思ったんですけど、ヒップホップ――特にメジャーなヒップホップに対する“レアグルーヴ”って何だろうって考えたときに、ひとつ感じたのは、90年代というのはすでに“レアグルーヴ”という概念そのものが存在していた時代だったということなんですよね。つまり、有名なものだけじゃなくて、もっとマイナーで変なことをやっている作品を探そうぜ、という哲学がちゃんと共有されていた時代だった。

水谷:確かに、だからアンダーグラウンドなヒップホップも、当時は“良ければ必ず誰かが引き上げてくれる”という構造がどこかにあったと。

山崎:そういう意味で言うと、メジャーなヒップホップやR&Bに対する“レアグルーヴ的存在”は、僕にとってはムーディーマンやセオ・パリッシュなんじゃないかなという気がするんです。彼らもやっぱり、そうした“レアグルーヴ的な価値観”の延長線上にあったからこそ、しっかり評価されて、ちゃんと売れていったんじゃないかと思いますね。

水谷:確かにそうかもしれないですね。あの辺の人たちは、一応サンプリングを使いながらも、基本的には自主制作で、自分たちのセンス一発でやっていたようなところがありますよね。

山崎:例えば、マッドリブなんかはまさにそういう存在になっていたのかもしれません。でも彼だって、結局は〈Stones Throw〉という土壌に引き上げられている。そのあたりも含めて、やっぱり“時代のネットワーク”や“文脈の力”を強く感じます。そう考えると、70年代ってまだローカル・シーンから外へ出ていくのが本当に難しい時代だったんだと思います。

水谷:話が少し脱線しましたが、アルバムの話に戻しましょう。「Evil Vibrations」は、サンプリングされたことで再発見された……という側面は確かにありますが、曲そのものが持つ強度は、レアグルーヴという視点で見ても圧倒的で、まさに“これぞレアグルーヴ”という一曲です。
もし仮に誰にもサンプリングされていなかったとしても、どこかのタイミングで必ず誰かが発見して、評価が高まっていたと思います。それくらい、この曲には時代を超えて人を惹きつける完成度と魅力がありますね。

山崎:次はアルバムのタイトル曲、「Help Us Spread The Message」ですね。この曲、地味なんですけど僕はすごく好きなんです。

水谷:低いテンションのバラードから徐々に盛り上がっていく感じが素晴らしいですよね。あと、サビのメロディがとても印象的です。

山崎:そうなんですよ。「Evil Vibrations」と同じくマイナー調で、その“暗さ”がいい。もちろんネガティヴな意味ではなくて、この時代特有の空気感というか……。

水谷:先ほども申しましたが、マイティーにはどこかスピリチュアルな深みがありますよね。マッチョなファンクにはない、知的で内省的なインテリジェンスを感じます。

山崎:まさにそうですね。精神性がサウンドににじみ出ている感じがします。「Help Us Spread The Message」というタイトル自体も象徴的で、単に宗教的というより、“音楽を通して何かを伝えたい”という純粋な祈りのようなニュアンスを感じます。当時の時代背景を考えると、社会の中で音楽が担っていた役割や、メッセージを届けることへの切実さが、こういう曲に自然と滲み出ていたのかもしれません。

水谷:そうですね。派手さはまったくないけれど、アルバム全体のテーマを静かに支えている曲ですよね。
マイティー・ライダースって、グルーヴやメロディのセンスももちろん素晴らしいんですけど、それ以上に“音楽に込める意志”のようなものがしっかりある。「Help Us Spread The Message」はまさにその象徴で、聴くたびに心の奥のほうに響く曲だと思います。

山崎:アルバムの流れとしても、この曲がA面の最後にあることで全体が締まりますよね。
というわけで、次はB面に移ります。「Everybody Groove」。シンプルなディスコ・ファンクですね。反復するギターのフレーズやチョッパー気味のベース、そしてあえて展開しない構成は、どこかCHICっぽい雰囲気もあります。

水谷:地味にいい曲ですよね。そして次の曲も、ノリのいいファンクですね。

山崎:「I've Really Got The Feeling」ですね。なんというか、ジャミロクワイがやっていたことを、その20年も前にすでにやっていたような――そんな感覚のかっこいい曲ですよね。

水谷:このあたりの楽曲って、あまり表立って取り上げられることはないんですが、よく聴くと本当によくできている。アレンジも演奏も、完成度が高いんです。

山崎:次は高速インスト・ファンクの「Fly Away With Me(Instrumental)」です。アルバムの中ではちょっと異色な曲でもあります。

水谷:カーチェイス・シーンのサウンドトラックのような雰囲気がありますね。スピード感があって、すごくかっこいい曲です。
異色ですが、でもカウベルの効き方が実にマイティーらしいというか、彼らのグルーヴ感を象徴しているように感じます。

山崎:次は上質なバラード、「Star Children」から、「Ain’t That Away (To Spend Our Day)」でアルバムは締めくくられます。

水谷:どちらもバラードですが、いわゆる70年代のスウィート・ソウルの流れではないですよね。どこかとても洗練されていて、ネチっこさがない。やっぱりエレピの存在が大きいと思います。あとは音のバランスも素晴らしいし、メロディの展開にも品があります。

山崎:最後の「Ain’t That Away (To Spend Our Day)」は、“僕らの一日を過ごすなら、こんなふうがいいじゃないか”という穏やかな呼びかけのような曲ですが、全体的にこのアルバム、当時のブラック・ミュージックにしては恋愛的な要素がかなり希薄なんです――いい意味で。グルーヴ、メッセージ、共同体、そしてスピリチュアルな意志をテーマに据えた楽曲が並んでいる。だからこそ、これほどまでに洗練されて聴こえるのかもしれません。

水谷:本当にそうですね。どの曲にも“魂のこもった演奏”があるのに、決して重たくならない。今聴いてもまったく古びないし、むしろ今の時代にこそ響くアルバムだと思います。

マイティー・ライダースの関連作とRivageについて

水谷:マイティー・ライダースは、中心人物であるロドニー・マシューズさん曰く、かなり即席的な形でメンバーが集められたバンドだったそうですが、ただ、そのロドニーさん以外のメンバーの何人かは、後に〈SUN-GLO〉レーベルの傘下の〈Tempus〉から、Rivage(リヴァージュ)という別バンド名義でアルバムを一枚とシングルを一枚リリースしています。

山崎:このレコードのオリジナル盤も、相当なレア盤ですよね。中古市場ではかなりの高値で取引されています。

水谷:そうですね。音の方向性としては、マイティー・ライダースよりも少しアーバンで、洗練された80年代初期のソウルに近い印象があります。マイティーが持っていたファンク的なグルーヴ感や土っぽさをやや抑えて、よりメロウでメロディアスな作風にシフトしている。でも、コーラスの重ね方やリズムの組み立てには、やっぱりマイティーの影が感じられますね。

山崎:確かに。時代の空気をしっかり取り込みながらも、地続きのセンスがありますよね。マイティー・ライダースからRivageへとつながる流れは、まさに“70年代から80年代への橋渡し”のようで、聴くとどこかマイティーっぽさに納得してしまう。

水谷:本当にそうですね。でも、こうして改めて聴くと、やっぱりマイティー・ライダースは唯一無二だと思います。
Rivageも素晴らしいんですが、モダン・ソウルとしては他にも似た作品がある気がしてしまう。

山崎:そうですね。クオリティは抜群に高いけれど、どこかで聴いたことあるというか、オリジナリティの面ではMighty Ryedersほどの個性は感じないかもしれませんね。

水谷:あとはFormula 1というバンドの7インチのB面曲「Life Is A Beautiful Feeling」に、ロドニーさん(Rodney K. Mathews)の名前がクレジットされています。

山崎:確かに、これにも少しマイティーっぽいところがありますね。ただこれは更に“ありそうなファンク”的な感じもあり、あのマイティーの独特さはないかもしれません。あとはLove, Unity And Virtue Featuring Howard Johnson という名義で「Let Love Shine」という7インチが2018年にUKからリリースされており、このレコードは両面とも作曲者がRodney K. Mathewsとなっていますが、真相は不明です。

水谷: Howard JohnsonってNiteflyteの片割れですよね。同じマイアミですからね。Niteflyteとマイティー・ライダースに接点なんて考えたこともなかったですが、これが本当なら少しワクワクしますね。
ただし、これらのクレジットや関係性については、現時点で明確な裏付け資料が存在していません。しかし、こうした断片的な情報や未確認のリンクこそが、マイティー・ライダースというバンドの“謎めいた魅力”をさらに深めているとも言えると思います。

山崎:確かに。そうした“手がかりの断片”を辿る楽しみも、レアグルーヴ文化の醍醐味ですよね。
マイティー・ライダースは、再発やサンプリングを通じて語り継がれてきたバンドですが、いまだに解き明かされていない部分が多い。そこがまた、彼らを特別な存在にしている気がします。

水谷:本当にそう思います。50年近く経った今でも、まだ掘り下げる余地があるというのはすごいことですよね。
そのうえ、ライナーノーツでも書きましたが、“レコード盤”そのものにも謎が多い。
だからこそマイティー・ライダースは、単なる“レア盤”という枠を超えて、時代を越えて人を惹きつける“物語性”を持ったバンドだと思います。

山崎:ライナーノーツの一部は、現在ウェブでも公開しています。ご興味のある方はぜひこちらもご覧ください。
👉 https://www.ele-king.net/vga/vga_column/010155/

水谷:そして最後に——マイティー・ライダース「Evil Vibrations」から派生したプロジェクト、「Saturdays Vibrations」もありますね。

そのお話は、次回あらためてお届けしたいと思います。

ARCHANGEL & Janus Rose - ele-king

 万人にとっての安全なスペースの構築をめざすクィア・パーティ〈WAIFU〉が11月30日に中目黒のHVENで開催される。
 ゲストとして、ニューヨークで〈BODY HACK〉というクィア・パーティをオーガナイズしているDJ/プロデューサーのアークエンジェル、おなじくNYの電子音楽家で、Boiler Roomのボイコット・ムーヴメント「Boycott Room」にも関わっているヤヌス・ローズが来日。加えて日本のlilmofo、カナダ拠点のsoratora、そして先日ele-kingで連載がスタートした若手のheykazmaらとともにDJプレイを披露する予定だ。
 トーク・セッションの時間も設けられており、NYのクラブ・シーンにおけるパレスチナ連帯アクションについて話し合われるという。詳細は下記より。

# WAIFU 25.11.30

❤️️❤️️️❤️️❤️️️❤️️️❤️️️❤️️️❤️️️

WAIFU 🦄🪩 TRANS JOY IS RESISTANCE 🍉❤️‍🔥

📅DATE: 2025.11.30.SUN 15:00-23:30

🏪VENUE: HVEN (中目黒)

[@hven.tokyo]

📌ADDRESS: 1-6-10 Kamimeguro Meguro-ku Tokyo

💱ENTRANCE: 3000yen (door only)

♿車いすユーザーまたは障害者手帳対象の方は入場無料(何らかの事情で手帳をお持ちでない場合は開催前日までにSNSのDMかメールでご連絡ください)

Wheelchair users and those otherwise eligible for a disability certificate enter free. Please show your certificate at the door if you have one. If you do not, please send us a dm by the day before the event.

❤️️❤️️️❤️️❤️️️❤️️️❤️️️❤️️️❤️️️

クィアパーティBODY HACK [@_bodyhack_]のオーガナイザーARCHANGEL [@archangeldj]、Boiler RoomボイコットムーブメントBoycott Room [@boycottroom]にも関わるJanus Rose [@janus.rose]がNYから来日⚡ DJプレイとともに、トークセッションではNYのクラブシーンでのパレスチナ連帯アクションなどについて訊きます🍉🎥️❤️‍🔥

🌐Special Guest DJs:

ARCHANGEL [@archangeldj]

Janus Rose [@janus.rose]

🌹Performance

Andromeda [@luna.andromeda.jp]

🔊Liveshow

MONSTERFUCKER [@mnstrfckr_doom]

🎧DJs:

heykazma [@heykazma]

lilmofo [@lilmofobusiness]

soratora [@soratora]

💻Visual

eetee [@eetee]

🎤Talk Session

🦄<Part 1> 15:30-16:20

Andromeda [@luna.andromeda.jp]

heykazma [@heykazma]

Hikari [@hhhhhikariiiii]

🍉<Part 2> 16:30-17:30

ARCHANGEL [@archangeldj]

Janus Rose [@janus.rose]

WAIFU [@waifu_party]

🛒POP-UP

super-KIKI [@super_kiki_shop]

在日フェミニスト連帯会 [@feministchina_jp]

QUEER ASYLUM: JUSTICE FOR AIKO [@qajfa.info]

WAIFU

⚠️Policy

このパーティは、ジェンダー/セクシュアリティ/人種/年齢などにかかわらず、オープンで他者と寄り添う気持ちのある様々な方が安心して楽しめるセーファースペースを、参加者とともにつくりあげていくことを目指しております。トランス女性を含めた女性を軽視する様な行為や人種差別的な行動は退場して頂く場合がございますのでご注意下さい。

This party has the goal of creating a safer space for everybody of any gender, sexuality and ethnicity. We have a simple but strict code of conduct: abusive, misogynistic, transphobic or racist behavior will get you kicked out. Please be conscious of everyone.

🎨illustration

super-KIKI [@super.kik]

【本書推薦人】
川淵三郎 (初代Jリーグチェアマン)
高倉麻子 (元日本女子サッカー代表監督)
北川航也 (清水エスパルス)

リフティングができるお母さん達がいる素敵なサッカーの街。とても興味深い本です。 ──倉敷保雄(フリー・アナウンサー)

1970年代、人口わずか20万余りの地方の町全体がサッカーを愛した……
小学校を舞台に、その教員や生徒たちが、
当時の日本ではありえないスケールでサッカーと向き合う
のちに、多くのJリーガー/日本代表選手を育て、
女性初の日本サッカー協会理事にもなったひとりの元・小学校教員の人生から
フットボール文化の広大な魅力を伝える待望の書籍

【取材協力】
佐々木則夫、風間八宏、大榎克己、半田悦子、本田美登里、遠藤友則、遠藤文朗、牛木素吉郎、豊島吉博、瀬戸脇正勝、日本サッカー協会ほか

 サッカー未経験の女性小学校教員が少年サッカー優勝監督となり、多くのJリーガー/日本代表選手を育て、女性初の日本サッカー協会理事にもなった。精神論だけに終始するのではなく、創造力の研磨に注力し、グローバルな視点でサッカーに取り組んでいった小学校の教員たち。保護者にもその楽しさを伝え、サッカー新聞も創刊、市民たちにサッカーの魅力と知識が叩き込まれていく……。
 いつしか清水は、子連れの母親がリフティングするような、高齢者から子どもまでが少年サッカー/高校サッカーの試合結果を気にするような、まるでひとつの町そのものがフットボール・クラブのごとき様相を呈することになった。
 本書は、綾部美知枝の人生を通して日本サッカーのひとつの故郷を温ねる。清水の奇跡、綾部美知枝の軌跡、そこには日本サッカーの歴史が刻まれている。

四六判並製/256頁

綾部美知枝(あやべ・みちえ)
1946年11月に清水市内で生まれる。旧姓は押見。小学校の教員、清水市役所サッカーのまち室長、女性初の日本サッカー協会の理事などを歴任。女性公認サッカー監督第1号である彼女は、清水FC監督として、チームの全国優勝を達成するとともに、後に日本代表となる選手を多数育成した。また、子どもや父兄、特に女性のアマチュア・サッカーの普及、未就学児のサッカー活動の普及、女子サッカーの発展にも寄与した。2022年に女性初の日本サッカー殿堂入りをしている。現在は、静岡県サッカー協会評議員、清水サッカー協会参与。

【著者】矢野透(やの・とおる)
講談社に勤務しながら多くのサッカー関係の書籍を制作する。そのなかには佐々木則夫『なでしこ力:さあ、一緒に世界一になろう!』、『新なでしこゴール!!』などベストセラーも含まれる。また、2002年の日韓ワールドカップの公式ガイドとパンフレット類のすべてを編集/制作している。現在はフリーのサッカー・ジャーナリスト/ライターとして活動中。毎週末はサッカー競技場で過ごしている。

〝サッカーの子〟を育てる——綾部美知枝と清水のキセキ



第1章 60年代——始まりの時代

堀田哲爾との出会いに始まる/小学校を舞台に/大声で怒鳴ることはない/女子サッカーが始動、メディアも創刊/江尻サッカースポーツ少年/清水の選手たちが模範演技をする/小学生リーグ戦を解禁/大澤英雄の功績/全清水の結成/今でも通用するクラマーの提言


第2章 70年代——清水サッカーの基礎ができる

サッカー素人だからこその指導法/天才児・遠藤の回想/前例のない、音楽を流してのサッカー練習/全清水の監督に/サッカーを好きでいること/日本を変えたコーチングスクール/堀田が考究した指導者養成法/「静岡県コーチングスクール」開催/清水が新〝サッカーのまち〟に!/選手の母親たちもサッカーを始める/女子のサッカー人口も急増/本田美登里と半田悦子/日本女子サッカー、その後の発展/サッカーの練習で歌を歌う/進歩的だった全清水のチーム編成システム/教育者であること、コーチであること/『静岡ユースサッカー』の創刊/ペレを呼ぶ/「日本にもブラジルがあった」、とセルジオ越後は言った/韓国遠征——「全清水」の初めての海外挑戦/1975年ヨーロッパ遠征——西ドイツ&イングランド


第3章 70年代後半~80年代——ゆりかごから息つづくまでのサッカー

幼稚園でもサッカー、年老いても/75メートルをリフティングする小学生たち/「ケンタ、泣くじゃねぇだよ」/監督というより教育者/負けることを体験させたい/サンバとフットボールを知らない日本人がブラジルに勝つ/エスパルスへの夢/大榎克己が回想する/サッカーで生き方を学んで欲しい/妊娠を隠してブラジルへ/佐々木則夫が語る綾部美知枝/静岡サッカーの興隆と〝それから〟/草サッカー大会も始まる


第4章 90年代——日本サッカー変革のとき

Jリーグがもたらしたもの/エスパルス、そして清水とサンバ/エスパルス存続の危機/清水ナショナルトレーニングセンター/より強く根付いていったファン文化


第5章 21世紀——未来のための新ビジョン

女子代表と子どものための改革/どこでも誰でもいつでもサッカー/育成・女子部門での日本サッカー殿堂入り


年表


参考文献/取材協力一覧

オンラインにてお買い求めいただける店舗一覧
amazon
Rakuten ブックス
7net(セブンネットショッピング)
ヨドバシ・ドット・コム
Yahoo!ショッピング
HMV
TOWER RECORDS
紀伊國屋書店
MARUZEN JUNKUDO
e-hon
Honya Club

全国実店舗の在庫状況
紀伊國屋書店
三省堂書店
丸善/ジュンク堂書店/戸田書店、ほか
有隣堂
くまざわ書店
TSUTAYA
大垣書店
未来屋書店/アシーネ

 2025年11月4日、200万人を超える有権者が、民主社会主義者ゾーハラン・マムダニをニューヨーク市の新市長に選出した。
 街の空気は歓喜に満ちていた。深夜を過ぎても人びとの歓声が響き、ブルックリンの自室からさえ聞こえたほどだ。おそらく、それはマムダニが多くの人にとって「消極的選択」ではなく、理想的な候補だったからだろう。
 じっさい彼の主な対立候補は、腐敗し、女癖が悪く、性的加害者でもあるアンドリュー・クオモだった。彼はCOVID政策によって1万5千人もの高齢者を死に追いやった人物である。クオモは「SAY NO TO ZO(ゾーにノーを)」という露骨なスローガンを掲げ、無所属として出馬した。言うまでもなく、この失墜した元州知事は9%の大差で敗れ、共和党の牙城であるスタテン島でのみ辛うじて過半数を得ただけだった。
 だが、そもそもなぜ共和党員たち──ドナルド・トランプ本人を含めて──は、じっさいの共和党候補(第三の奇策候補、カーティス・スリワ)を批判し、三代にわたってニューヨーク州民主党政治に深く関わってきた「無所属」候補クオモに投票するよう呼びかけたのだろうか?1
 ニューヨーク市において、民主党と共和党のあいだの従来の党派の境界線が正式に崩壊しつつあるいま、真の政治的分断が明らかになっている——それは、富裕層の利益を守る金権政治に深く根ざした候補者たち(クオモやトランプのような)と、労働者階級を守るためにアメリカの政治的体制そのものを真剣に脅かす候補者たち(マムダーニ、そして言うまでもなく2016年の大統領選におけるバーニー・サンダースのような)との対立である。

 多くのアメリカ人は、民主主義と資本主義を混同している。制限なく富を追求できることこそが民主社会における自由の証だと信じているのだ──たとえ自分たちの生活がつつましいものであっても。
 私はかつて父にこの混同を問いただしたことを覚えている。私はこう説明した。資本主義は必然的に独占に行き着く。独占は「選択」という民主主義の根本理念を狭めてしまうのだと。父は笑い、心を開いたようで、ただ一言こう返した。「A+だな」
 アメリカの政治もまた同じように独占されている。「よりマシな悪を選ぶ」というお決まりの構図だけでなく、共和党と民主党がじつは同じ企業支配のコインの表裏に過ぎない、というあまりに明白な現実によってもそれは表れている。両党は献金者やロビイストの利益を守り、その結果、アメリカ国民の大多数が犠牲になっている。
 たとえば、アンドリュー・クオモの選挙資金の多くは億万長者のスーパーPACから供給されていた。一方、マムダニの選挙運動は、彼のために戸別訪問を行った10万人以上の草の根ボランティア集団によって支えられていた。
 さらに、マムダニの掲げた「私たちが住める都市(A City We Can Afford)」というメッセージは、ニューヨークが直面するもっとも差し迫った問題──すなわち、800万人の住民のうち200万人が貧困ライン以下で暮らし、ワンルームアパートの平均家賃が月4,000ドル(約61万6千円)に達しているという「手の届かない都市」の危機──をまさに突いていた。これはまさしく「アフォーダビリティ・クライシス(生活費危機)」である。
 金持ちへの課税、保育の無償化、無料のバス運行──こうしたマムダニの主要な公約は、本来であれば「急進的」と見なされるべきではない(なぜなら、これらの施策は他の多くの国々ではすでに実現しているものだからだ)。
 だが、資本主義と民主主義をいまだに同一視し、「トリクルダウン経済」の約束にすがる多くのアメリカ人にとっては、マムダニの構想は「成功者への罰」のように映るかもしれない。じっさい、「悪しき政府が勤勉な民間市民の財産を奪う」という観念こそ、アメリカに長らく根づいてきた社会主義への恐怖の中核をなしている。
 選挙後、保守系メディアはすでに「富裕層のニューヨーカーたちはマムダニの課税案を避けるために街を脱出し、結果的に西洋世界の金融首都は壊滅的な経済的打撃を受けるだろう」と騒ぎ立てている。
 しかしマムダニ自身が人気番組『ザ・デイリー・ショー』の司会者でありコメディアンでもあるジョン・スチュワートに説明したところによれば、彼の意図はきわめて穏当だ。年収100万ドル以上の人たちに対してわずか2%の増税をおこない、法人税率を11.6%に引き上げるだけだという。そして彼は冗談めかしてこう指摘した──その税率は「社会主義共和国ニュージャージー(お隣の州)」とまったく同じだ、と。
 母の言葉を借りれば──「分かち合えない成功に、いったい何の意味があるの?」
 それに、あの億万長者たちは自分たちの労働者のおかげで金持ちになったんじゃないの?

 はぁ……悲しいことに、「富裕層の1%よりも労働者階級を優先する政治家」という発想は、現実にはいまもなお“急進的”な逸脱と見なされている──おそらくだからこそ、マムダニの構想は、(もちろんそのマスメディアは例によってあのうるさい億万長者たちの所有物なのだが)「せいぜい実現不可能な夢」「最悪の場合は危険思想」としてこき下ろされているのだ……。
 いや、そこに「古典的な人種差別」も加えておこう。
 率直に言って、イスラム教徒の移民が、政教分離の理念をほとんど忘れ去ったこの国で(マムダニがどの神を信仰していようと、そんなことどうでもいいはずだ)市長の座を勝ち取ったことを、私たちは祝うべきだ。
 しかもここは、自由の女神像を擁する都市なのだ。

 さて、ここで私は白状しよう。私は政治との関係に複雑な思いを抱いている。
 というのも、私がこれまで出会ったなかでもっとも不寛容な人びとの一部は、進歩主義者たちだった──これは誇張ではない。ほんの数か月前のことだ。私は敬愛する進歩派の友人に、97歳になる私の大叔母の話を嬉々として語った。彼女は生涯を通じて共和党支持者だったのだが、「トランプはアメリカに起こった最悪の出来事だ」と宣言したのだ。私は興奮していたし、これは良い兆候だと考えた。アメリカ(および資本主義社会全体)を蝕む問題が、もはや単純に「共和党」対「民主党」という二分法では整理できなくなっている証だと思ったのだ。だが、友人の反応はこうだった。「ふうん。でも彼女がそのほかの人生で共和党に投票し続けたなら、別に希望は感じないけどね」
 また別の「超」進歩派の(元)友人にはこう言われたこともある。
 「白人であるあなたは、奴隷制に対してカルマ的責任を負っているのよ。」
 ……それって、「進歩的」というよりも「懲罰的」じゃない?
 私はまた、進歩派の政策がしばしば、学歴的にも経済的にも恵まれた人びとの閉じた共鳴空間のなかで構想され、理論上は「正しいこと」を目指していても、現実的な実行への配慮が欠けているのではないか、とも恐れている。たとえば「警察予算を削減せよ(Defund the Police)」運動は、アメリカの都市部に住む有色人種のあいだで驚くほど物議を醸した。なぜなら、十分な社会改革が伴わないまま警察の役割を縮小すれば、犯罪が増加するのではという不安があったからだ。
 そして2023年の『ニューヨーク・タイムズ』によれば、まさにその懸念は現実となった(注目すべきは、マムダニ自身も選挙が近づくにつれて警察批判をやや穏健なトーンへと修正した点だ)。
 さらに言えば、マムダニは移民ではあるが、彼自身こう語っている──映画監督と大学教授の両親に支えられ、裕福で一流の教育を受けて育った、と。
 だから、正直に言おう。貧困ライン以下で育った私としては、「一生セーフティ・ネットのなかにいた裕福な子どもが労働者階級を代表する」と自任することに、どこか懐疑的で、あるいは反感すら覚える部分もある。
  だが、いっぽうで──少なくとも誰かが、ニューヨーク(そしてアメリカ)における富と権力の不均衡に真正面から取り組もうとしている。そのこと自体は、称賛すべきことではないだろうか。私自身の境遇はさておき、もっと大きな部分で、私はこの政治家を誇りに思っている。その名はゾーハラン・マムダニだ。
 ……いや、カーティス・スリワも、少しだけ。
 二人の候補はすべての点で意見が一致していたわけではないが、どちらの選挙運動も生活費の高騰を中心課題とし、どちらもドナルド・トランプから攻撃を受け、そしてどちらも「ホームレス問題など、地域社会の課題を警察が過剰に負担している」という認識で一致していた。
 ただし、スリワは「警察官を増やすことが解決策だ」と考えているのに対し、マムダニは彼の最良の政策だと私が思う構想を掲げている──すなわち、「行動的健康緊急支援課(Behavioral Health Emergency Assistance Response Division)」を新設し、精神衛生の危機に対処する専門チームを配置することで、十分な訓練を受けていない警察の負担を軽減するという計画だ。政策上の違いはあれど、この“昔ながらの共和党員”と“民主社会主義者”は、ニューヨークが直面する主要な問題について──とくに「いわゆる穏健派」アンドリュー・クオモへの共通の嫌悪──で一致している。

 それって、すごいことだ。

 マムダニの当選によって、「左」と「右」を分ける線は、これまでになく刺激的な形でぼやけはじめている。新しいニューヨークの夜明けにあたって、私はマムダニが、自らの歴史的勝利を正当に導いた理想を現実のものにしてくれることを願っている。また、進歩派が、これから拡大していく「二項対立を超えた政治的基盤」と真摯に結びつく機会を大切にしてほしい。
 そして──民主社会主義者として史上初めてニューヨーク市長に選ばれ、かつ前例のない草の根運動で勝利したこの人物が、「富豪支配は避けられない運命ではない」という事実を、他の民主主義国家にも示してくれることを願っている。

¹ トランプの公式な支持声明によれば:「私は、成功の実績を持つ民主党員が勝つ方がはるかに望ましい。あなたが個人的にアンドリュー・クオモを好きであろうとなかろうと、他に選択肢はない。彼に投票し、素晴らしい仕事をしてくれることを願うべきだ。彼にはそれができる。マムダニにはできない」


Bridging the Political Divide: On Zohran Mamdani Winning New York’s Mayoral Election


by Jillian Marshall, PhD

On November 4th, 2025, over two million voters elected Zohran Mamdani — a Democratic Socialist — as the new mayor of the New York.
The mood in the city was ebullient: I heard people cheering well past midnight, even from inside my Brooklyn apartment. Perhaps this is because Mamdani was many people’s ideal choice, rather than the mere “lesser of two evils.” Indeed, his primary opposition — the corrupt, philandering sexual predator Andrew Cuomo, who sent fifteen thousand seniors to their deaths with his covid policies — ran as an Independent, and with the explicit campaign slogan of “SAY NO TO ZO.” Needless to say, the disgraced former governor lost by a hefty 9% margin, and only gained a majority of votes in Staten Island: New York’s Republican stronghold.
But why did Republicans, including Donald Trump himself, denounce an actual Republican (the wild card third candidate of Curtis Sliwa), and urge people to vote for an “Independent” candidate who’s actually steeped in three generations of Democratic New York State politics?1
With the traditional party lines between Democrats and Republicans in New York City officially crumbling, the real political divide is revealed: candidates entrenched in the plutocracy who protect the interests of the rich (like Cuomo and Trump), and those who seriously threaten the American political establishment to protect the working class (like Mamdani— and Bernie Sanders before him in the 2016 presidential election, for that matter).
Many Americans confuse democracy with capitalism, believing that the ability to pursue wealth without restriction represents the freedom afforded by a democratic society— even if they themselves live modest lifestyles. I remember challenging my father on this conflation. I explained that capitalism inevitably leads to monopoly, which limits the principles of “choice” on which democratic ideals hinge. He laughed and, with his mind successfully opened, said just one thing in response: “A+.”
American politics are similarly monopolized, as expressed not only with the “lesser of two evils” conundrum, but also with the increasingly obvious truth that the Republican and Democratic parties are two sides of the same corporate coin that protect donor and lobbyist interests, at the (literal) expense of the American majority. For instance, Andrew Cuomo’s campaign received much of its funding from billionaire super PACS, while Mamdani’s campaign was defined by its grassroots troupe over 100,000 volunteers who canvassed on his behalf. What’s more, Mamdani’s message of making this “A City We Can Afford” addresses arguably the most pressing issue facing New York: two of its eight million residents live in poverty, and the average rent for a one bedroom apartment is $4000 (about 616,000 JPY) a month. This is nothing short of an
1 As per Trump’s official endorsement: “I would much rather see a Democrat, who has had a Record of Success, WIN. Whether you personally like Andrew Cuomo or not, you really have no choice. You must vote for him, and hope he does a fantastic job. He is capable of it, Mamdani is not.”

affordability crisis.
Taxing the rich, offering universal childcare, and providing free bus services — among Mamdani’s biggest promises — shouldn’t be considered radical proposals (especially when such amenities exist in many other countries). Yet for the many Americans who still equate capitalism with democracy (and cling to the promises of “trickle down economics”), Mamdani’s ideas may seem like punishing the successful. In fact, the notion that an evil government will steal hard- working private citizens’ riches defines the US’s long-standing fear of socialism. Post-election, conservative media outlets are already claiming that wealthy New Yorkers will flee the city to avoid Mamdani’s proposed tax hikes, which they predict will economically devastate the financial capital of the Western World. But as Mamdani explained to Jon Stewart — a comedian news anchor who hosts a popular program called The Daily Show — he only wants to raise taxes 2% for people making over a million dollars a year, and raise the corporate tax rate to 11.6%— which, he jokingly points out, is identical to those in “the socialist republic of New Jersey,” New York’s neighboring state.
To quote my mother: what’s success if you can’t share it? And didn’t those billionaires get rich off their workers?
Sigh... the sad truth is that it IS a radical departure for a politician to prioritize the working class above the 1%— and maybe that’s why media outlets (owned by those pesky billionaires, naturally) are smearing Mamdani’s vision as unattainable at best, and dangerous at worst ... well, alongside the media’s ol’ fashioned racism. Full stop: we should celebrate that a Muslim immigrant won the mayoral seat in a country that’s all but forgotten about the separation of church and state (who cares what God Mamdani worships?), and in a city home to the Statue of Liberty.
Now, I’ll admit that I have a complicated relationship with politics. I’ve found progressives to be some of the most intolerant people I’ve ever met— and that’s not an exaggeration. Just a few months ago, I shared with a dear progressive friend of mine how proud I was that my 97 year- old, lifelong Republican great aunt declared Trump the worst thing to ever happen to America. I was excited, and considered this a positive sign that the issues plaguing the US (and capitalistic societies more generally) are no longer neatly divided into “Republican” and “Democrat”. But my friend simply remarked, “Well, since she voted Republican for the rest of her life, I’m not exactly encouraged.” Another time, an ultra-progressive (former) friend told me that, as a white person, I’m “karmically responsible for slavery.”
This is more punitive than progressive, no?
I also fear that progressive policies, so often conceived in an echo chamber of the academically and socioeconomically privileged, strive to do the right thing in theory, but have limited regard with practice. The Defund the Police movement, for example, was surprisingly controversial amongst people of color in American cities because of the fear that crime would spike without adequate social reform to take policing’s place— and according to the New York Times in 2023, that’s exactly what happened (worth noting is Mamdani adopted a more moderate critique of police closer to the election). And while Mamdani is an immigrant, he openly admits that, with

supportive filmmaker/professor parents, he was raised with money and access to first-class education. So, I won’t lie: as someone who grew up below the poverty line, a part of me is skeptical or even resentful of a rich kid with a life-long safety net taking it upon himself to represent the working class.
But on the other hand... at least someone’s committed to taking on the imbalance of wealth and power in New York (and the US) in a meaningful, direct, way. My personal background aside, an even bigger part of me proudly recognizes that politician as Zohran Mamdani.
Well, him and Curtis Sliwa, in a weird way. While the two candidates didn’t see eye-to-eye on everything, both centered their campaigns around the cost of living, both were attacked by Donald Trump, and both agree that police are overburdened with tackling homelessness and other community issues. But whereas Sliwa believes that more police are the solution, Mamdani plans to implement what I think is his best policy: creating a Behavioral Health Emergency Assistance Response Division to address mental health crises and take the burden off woefully unequipped police officers. Their policy differences aside, the old school Republican and the Democratic Socialist agree on key issues facing New York — starting with their mutual disdain for the so-called “moderate” Andrew Cuomo.
And that is amazing.
With Mamdani’s election, the lines between Left and Right are beginning to blur in an exciting new way. In the dawn of a new New York City, I hope Mamdani can bring to life the visions that rightfully earned him his historic win. I also hope that progressives embrace opportunities to connect with a growing, post-binary political base— regardless of what, hopefully, are increasingly irrelevant party lines. And I hope that the incumbent Democratic Socialist mayor of New York City, who won with his unprecedented grassroots campaign, inspires other democracies that plutocracy need not be inevitable.

『マザーシップ・コネクション』50周年記念号
Pファンク研究の第一人者、河地依子監修による永久保存版

パーラメント/ファンカデリックのほぼ全ディスクをはじめ、メンバーのソロ作品もほとんど網羅。総数200枚近くのPファンクの宇宙を大紹介!

ジョージ・クリントンの貴重なインタヴューも2本再録

執筆:河地依子、春日正信、新田晋平、野田努、二木信、ニール・オリヴィエラ、小林拓音
写真:石田昌隆、ほか

菊判/224ページ

刊行に寄せて

目次

【ディスクガイド・ヒストリーほか】
文:河地依子・新田晋平・春日正信・野田努・二木信・小林拓音

Chapter 1 前史 1955~
Chapter 2 ファンカデリック始動 1970~
Chapter 3 黄金時代 1974~
Chapter 4 ジョージのソロ活動 1981~
Chapter 5 Pファンクの復活 1989~
Chapter 6 再評価の波 1996~
Chapter 7 新世代との融合 2009~
Chapter 8 主要メンバーたちのソロ活動

【コラム】
楽しいPファンク(河地依子)
Pファンクとデトロイト・テクノ、あるいはメタ化されたファンク(野田努)
ヒップホップ世代に継承されるPファンク(二木信)
ジョージの自宅訪問記(河地依子)
Pファンクが解放したもの、身をもって変革したこと(ニール・オリヴィエラ)

【インタヴュー】
ジョージ・クリントン 1992(河地依子)
ジョージ・クリントン 1994(河地依子)

人物紹介(河地依子)

著者プロフィール

オンラインにてお買い求めいただける店舗一覧
amazon
Rakuten ブックス
7net(セブンネットショッピング)
ヨドバシ・ドット・コム
Yahoo!ショッピング
HMV
TOWER RECORDS
disk union
紀伊國屋書店
MARUZEN JUNKUDO
e-hon
Honya Club

全国実店舗の在庫状況
紀伊國屋書店
三省堂書店
丸善/ジュンク堂書店/戸田書店、ほか
有隣堂
くまざわ書店
TSUTAYA
大垣書店
未来屋書店/アシーネ

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377