ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Dolphin Hyperspace ──凄腕エレクトリック・ジャズの新星、ドルフィン・ハイパースペース
  2. KMRU - Kin | カマル
  3. Deadletter - Existence is Bliss | デッドレター
  4. Squarepusher ──スクエアプッシャーのニュー・アルバムがリリース
  5. Free Soul × P-VINE ──コンピレーション・シリーズ「Free Soul」とPヴァイン創立50周年を記念したコラボレーション企画、全50種の新作Tシャツ
  6. Milledenials - Youth, Romance, Shame | ミレディナイアルズ
  7. R.I.P. Steve Cropper 追悼:スティーヴ・クロッパー
  8. ロバート・ジョンスン――その音楽と生涯
  9. Loraine James ──ロレイン・ジェイムズがニュー・アルバムをリリース
  10. Cardinals - Masquerade | カーディナルズ
  11. Jill Scott - To Whom This May Concern | ジル・スコット
  12. interview with Autechre 来日したオウテカ──カラオケと日本、ハイパーポップとリイシュー作品、AI等々について話す
  13. DADDY G(MASSIVE ATTACK) & DON LETTS ——パンキー・レゲエ・パーティのレジェンド、ドン・レッツとマッシヴ・アタックのダディ・Gが揃って来日ツアー
  14. Laraaji × Oneohtrix Point Never ──ララージがワンオートリックス・ポイント・ネヴァーの来日公演に出演
  15. Columns 内田裕也さんへ──その功績と悲劇と
  16. xiexie - zzz | シエシエ
  17. Amanda Whiting - Can You See Me Now? + The Liminality Of Her | アマンダ・ホワイティング
  18. 別冊ele-king 坂本慎太郎の世界
  19. Columns The TIMERS『35周年祝賀記念品』に寄せて
  20. Cindytalk - Sunset and Forever | シンディトーク

Home >  Reviews >  Album Reviews > DJ Taye- Still Trippin’

DJ Taye

FootworkGhettoRap

DJ Taye

Still Trippin’

Hyperdub

Tower HMV Amazon iTunes

野田努   Apr 10,2018 UP

 DJテイがビートを作り、同時にラップをはじめたのは11歳のとき、つまり小学時代のことだった。16歳になると彼は地元のクルー、故DJラシャド、DJスピン、トラックスマン、DJアールらのTeklifeに最年少メンバーとして加入する。

 シカゴのジューク/フットワークが発見されてから、そろそろ10年が経とうとしている。昨年はジェイリンの素晴らしい『ブラック・オリガミ』があって、今年はまずはDJテイの『スティル・トリッピン』というわけだ。DJテイの名は、OPNが3曲も参加したDJアールの『オープン・ユア・アイズ』でもクレジットされているが、わりと早いうちから〈ハイパーダブ〉がEPを出しているので、Teklife期待の若手がいよいよ同レーベルからの初アルバムを発表ということでシーンでは盛り上がっている。

 DJテイは、18歳のときに最初のアルバムを自主で出しているのだが、そのタイトルは『オーヴァードーズ・オン・テックライフ』という、若気の至りに尽きるタイトルを冠している。そして今回は、『スティル・トリッピン』、「まだぶっ飛んでるぜ」というわけだ。
 とはいえ、『スティル・トリッピン』は23歳の若さにまかせてぴょんぴょん跳びはねるというよりは、音楽的にじっくり聴かせる側面を持ち合わせているアルバムだ。ヒップホップ色も強く、ことトラップからの影響も見せてはいる。もちろん、ここ10年で発展したシカゴの革新的なダンスのビートはある。
 しかしたとえばカナダの女性シンガー、オディール・ミルティルをフィーチャーした“Same Sound”における優雅なソウル・テイスト、テンポを落とした“9090”や“Anotha4”におけるドリーミーな叙情、ニュージャージーの女性DJ、UNiiQU3を招いての活気溢れる“Gimme Some Mo”、女性シンガーのファビ・レイナをフィーチャーしたチルアウト・トラックの“I Don't Know”……。
 アルバムには多様性があり、DJペイパルやDJメニーたちに混じって、シカゴのダンスバトルには女性陣もいるんだよと言わんばかりに女性たちも参加し(サンプリングではなく実演として)、早熟なDJテイの音楽的な才能はいろんな意味で光っている。なかでも“Trippin”は最高の出来の曲のひとつ。

 うーん、日本語の「フットワーク」という文字がデザインされたジャンバーも格好いいです。そしてフットワークらしいすばしっこい動きを見せる“Need It”や“I'm Trippin”──。
 「トリップ」という言葉には、もちろん「旅をする」という意味も含まれているわけだが、じっさいにこうしてロンドンの〈ハイパーダブ〉から新作がリリースされているのであり、シカゴのフットワークはいまも世界を旅行中なのだ。シカゴがこの「旅」を止めたことはない。ハウス・ミュージックが生まれたときからずっと、シカゴはいまもなお、アンダーグラウンド・ダンス・ミュージックの王国である。

野田努