ele-king Powerd by DOMMUNE

Home >  Columns > Detroit Report- pt.3:interview with Jon Dixon

Columns

Detroit Report

Detroit Report

pt.3:interview with Jon Dixon

ジョン・ディクソン(UR/Timeline)の巻

文:mei Oct 03,2013 UP

いまはタイムラインに集中しているよ。新しいEPもリリースするから。それともうひとつは、自分自身のレーベル〈Forever Forward〉。このレーベルはジャズやエレクトロニックミュージックが主なんだけど、それと同時に僕自身の音楽的なものが凄く表れていると思うよ。

URとタイムラインではキーボードを担当していますが、他の楽器を演奏したりもしますか?

JD:演奏するよ。タイムラインの体制は僕自身がまずキーボード、デシャーン・ジョーンズがサックスとイーウィと小さいキーボード、マイク・バンクスもキーボード、DJ CONSPIRACY、彼はDJとサンプリングも担当している。僕らのタイムラインのライヴは回ごとに違うんだ。デシャーン・ジョーンズと僕のバックグラウンドの音、ジャズやフュージョンの生音を取り込んだり、マイクも生演奏するからその音を取込んでDJのプレイとひとつのものを作り上げてくんだ。DJプレイだけではなくてライヴを体感してもらえるようなセットだ。即興的なものも多くて、金曜のライヴと、次の日の土曜のライヴとは全く違うものになってるんだ。それはオーディエンスのエナジーが僕らのライブの一要素だからふたつと同じものにならない。東京のオーディエンスからのエナジーをもらったライヴと、神戸のオーディエンスのエナジーでのライヴが違うものになるようにね。ひとつひとつの演奏がユニークなんだ。

学生相手に音楽の授業をしていたと思うのですが、あれは大学生相手でしょうか?

JD:そう、授業をしてたよ。最年少は9歳の子供たちから最年長は86歳。自分のスタジオで、プライヴェート・レッスンもしている。一学期に50人から60人の生徒に教えてるよ。クラシックからジャズ、R&B、ブルース、エレクトロニック・ミュージックを制作している生徒は自分の曲を持ってきて、僕がそのアプローチや、僕の意見などを話したりするんだ。ハープを演奏する生徒もいるんだ。彼女はいろんなアプローチを学びたくてレッスンを受けにきているよ。

なぜ音楽を教えているの?

JD:その質問をきいてもらえて嬉しいよ。僕自身の先生となる人はマークとマイク。双方から言われたのは、学んだことを教えることのできる存在になれと。音楽を通して出会うことできる喜びや発見した道を、今度は他の人たち(生徒)に標してあげるんだと。こうして自分が音楽のなかに見つけた人生の喜びを生徒に教えることがとても嬉しい。毎学期、生徒は音楽のなかにいろんなものを発見して、喜びを感じるといってくるんだ。音楽をはじめるには年齢は関係ないと思うんだ。もうはじめるのには遅いなんでことは決して無いと思うんだよ。マイクがデシャーン・ジョーンズや僕らを導いてくれたように、次世代を僕らが導く、この繰り返しが続いていくんだ。デトロイトはメンターシップがとても強いんだ。次世代に教えるため、多くの人が自分の経験や学んだことを惜しまずにすべて与えようとする精神がとても強い場所なんだ。

音楽の授業ってベーシックな授業しかないから、さまざまなジャンルに触れ合える授業があればいいのになと思っていました。

JD:ここデトロイトは、ミュージシャンも人びとも音楽に対して寛容なんだ。将来僕がやりたいのはもっとワークショップを開くこと。もっと若者がエレクトロニック・ミュージックに出会える機会を増やすこと。マイク・ハッカビーがある機関のワークショップで音楽制作を教えていた。カイル・ホールも生徒のひとりだった。マイクがカイル・ホールの先生でもあるんだよ。カイル・ホールは僕の気が合う友人のひとりで、僕も彼に教えていたこともあるんだ。こうして音楽に対しておのおの道を拓いていって、また次世代に教える。こうしてデトロイトでは引き継がれてゆくんだ。生徒たちが音楽に対して寛容で、さまざまなことを受け入れて感じ取れる視野を身につけてゆく。身につけた広い視野で、さらに新しい発見をしたり学んだりしていくんだ。

学生にはどのジャンルの音楽が人気なのでしょうか?

JD:デトロイトは、とっても音楽が溢れてる街だ。僕自身もそのときの気分でジャズを聴いたり、テクノを聴いたりする。ブルースを聴いたり、ロックを聴いたり、ヒップホップを聴いたり。デトロイトの魅力のひとつにひとつのジャンルだけではなく、どのジャンルもとってもいいものが生まれてるということ。新しい〈Forever Forward〉というHi-Tech Jazzのレーベルも近年立ち上げる。自分のジャズのルーツにエレクトロニック・ミュージックを融合させていこうと思っているんだ。

あなたの目から見て、デトロイトの子供たちの音楽に対する状況はどうですか?

JD:現状は決していいものとは言えないね。公立の学校では音楽の授業が廃止になって音楽に接する機会がなくなったり。だけど、校外で受けられる音楽のクラスがデトロイトにあるのはとてもデトロイトにとってポジティヴなものだとおもう。学校で授業がなくても、こうして音楽のプログラムに参加する生徒が毎年増えているんだ。音楽がどれだけデトロイトでは大きな存在なのかを再認識させられたよ。子供たちが音楽をもっと学びたいときに学べる環境を与えられるようになってほしい。

子供たちにテクノは人気なの?

JD:正直にいうと、、それはどうかなと思う。でも将来は人気になる可能性はあるよ。いろいろな学校で音楽を教えてるし、僕とデシャーン・ジョーンズなんかはワークショップをするときに自分たちの自己紹介をするんだけど、僕たちの起源はジャズにあって、そこからはじまっていまURで試みていることとか、ホアン・アトキンスやデリック・メイなんかが成し得たことなんかも話したりしているしね。

URやタイムラインのライヴで演奏するとき、大切にしていることがあれば教えてください。

JD:まず第一には、僕たちはみんなに踊ってもらうことをとても大切に考えてるよ。ときどきそのことを忘れちゃうこともあるけど、基本はみんなが踊って楽しめるダンス・ミュージックだってことをいちばんに考えてるね。そしてふたつめは、僕たち自身がステージの上で楽しむこと。みんなが踊り続けて、僕たちも楽しみながら演奏する。そして、僕たちはそこに何か新しいアイデアを盛り込んでいけるようにする。毎回毎回が新しく新鮮であるように、いろいろな方法を試したり、何か違うことにトライしている。キーターを使ったり、ライヴがもっともっとよくなってみんなに楽しんでもらえるように、これからも新しいことに挑戦し続けていきたいね。

今後自分の曲をリリースしたりすることも考えている? 他にもこれからやりたいこととか目標とかあれば聞かせてください。

JD:いまはタイムラインに集中しているよ。新しいEPもリリースするから。それともうひとつは、自分自身のレーベル〈Forever Forward〉。このレーベルはジャズやエレクトロニックミュージックが主なんだけど、それと同時に僕自身の音楽的なものが凄く表れていると思うよ。時が進むなかで僕の感じたことだったり、振り返ったり、前をみたり、現在僕のなかで起こってるいろいろなことを含んでいる気がするね。あとはやっぱり、若い子に限らずだけど、デトロイトで音楽がもっとみんなに身近なものになってほしいと思う。もちろんデトロイトには多くのネガティヴな問題があるけど、それでも音楽のシーンは絶対に死なないと僕は思う。いまでも力強くたくさんの才能ある人たちがデトロイトから生まれてきているし、これからも僕は年齢問わず多くの人に音楽を教えて、みんなにきっかけを与えていけたらと思っている。マークやマイクが僕にそうしてくれたようにね。間違った道に進みそうなとき、「君なら出来るって」、そんなふうに少しでもいい方向へ道しるべが出来たらなって思う。これからもUR、タイムラインとしていい音楽を世界中に発信していくのはもちろんだけど、こういった活動もずっと続けていきたいね。

新しく出るEPについて詳細を教えていただけますか?

JD:次に出るEPは3曲収録される予定なんだけど、メインは"new step forward"って曲だね。今回はとりわけ僕とデシャーン・ジョーンズが多くの責任を与えられて取り組んだんだけど、エレクロニック・ミュージックのネクストレベルっていうか、全体を通して、何か新しい次の段階っていうのを意識しているかな。"High Tech Jazz" の未来形って表現するとわかりやすいと思うんだけど、他とは異なった、先の考えみたいなものを表現したいと思っている。今回は僕にとってのタイムラインとしての二番目のEPになるんだけど、前回とはまた少し違った作品に仕上がってるんじゃないかな。
 日本のみんなはいつも本当にすばらしくて、音楽に対してもとても寛容でいてくれてる気がする。僕に限らずデトロイトのアーティストはみんな本当に日本が大好きで、僕もまた早く日本でライヴをしたいと思っているよ。とっても日本が恋しいね。次のEPもみんなが楽しんでくれることを願っているよ。

12

Profile

meimei
3月13日生まれ。多摩美術大学卒。
町田で、未成年も入れるテクノ・ハウスのパーティ「SIGNAL」を不定期開催中。

COLUMNS