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その次が渋谷慶一郎といろのみ

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Flashback 2009

Flashback 2009

ヨ・ラ・テンゴは圧巻でダントツ、
その次が渋谷慶一郎といろのみ

文:国枝史郎   Dec 17,2009 UP

 手許にある音楽雑誌をパラパラめくる。音楽評論家やライターたちがこんなふうにつぶやく。――音楽が生成し浸透する現場に足を運ばなければ、なにもわからない/いろいろなパーティやライヴに足を運べ/PCでYouTubeとかマイスペースだけ見てわかった気になってしまうのはとても危険だ――や、てことはみごとにぼくは危険なんだな。

 10年くらい前まではたぶんぼくもその音楽評論家と同じような意見を持っていたのかもしれません。アグレッシヴに聴いていた時代があったのです。でも、ここ数年は特に新しい音楽シーン(というものがあれば)とはあまり縁のない世界に席を追いていたおかげで、すっかり世情に疎いアラフィフになってしまったのはまぎれもない事実なのです。だって『スヌーザー』見ても『ロッキング・オン』読んでも『クロスビート』眺めても、さっぱりわからない名前やジャンルばかりになっているじゃないか。

 俺は「グライム」ってわかりません。「ダブステップ」もよく知りません。つか、「エレクトロニカ」って何?ってこないだ奥さんに聞かれたんですけどよくわからないって答えておきました。だって説明できないのです。たとえばそのジャンルで代表的なアーティストは誰?って聞かれても閃かないのですよ。つか、俺って今なにを聴いてるんだろうと自問してしまうくらい、実はなにも考えずに音楽を聴いていたことに最近気づきました。

 でも、ここ1、2年はそれでも数年前に比べたらいいほうだと思うのです。少しは意識的に聴くようになってきたし、誰それが「これがいい」と親切に教えてくれたもののうち、多少は自分でそれを探して聴くということをするようになってきました。

 ......うーん、自分でも情けないね。こんなことを書いてる自分が情けない。だけど事実だからしかたがありません。そんな自分が選んだアルバム20枚(シングルははっきり言いますけど2009年は10枚買ってません......ですのでセレクションは当然割愛せざるをえませんでした)ですが、そういうわけでなにか指標があって選んだものではなく、結局2009年に聴いてフィットした20枚のセレクションなのです。だから、この文のお題目である「2009年を振り返って」と言われても、たぶん編集部が要求しているであろう内容はまったく書けない。だからこんな、自己憐憫みたいな文章をだらだらと綴っている次第なのです。

 よって、ここに選んだアルバム20枚というのは、なんの脈絡もない、単なる自分のコレクションのなかから今年気に入って聴いていたもの(=iPodに入っている率が高かったもの)を選んだだけなのです。まあしかし、それでもele-kingの読者で、ぼくの昔のことを知っている人なら(名前は違いましたけどね)、あのころからあまり趣向が変わっていないことを感じてもらえるかもしれません。結果として、サイケデリックで暗いんだけど、その中に一筋の光が見えるようなアルバムばかりがやはり自分の中で残ってきてるなあと感じています。

 ちなみにベスト20はほとんど順不同。ただしヨ・ラ・テンゴ(特に後半3曲のアンビエント・シンフォニー!)は圧巻でダントツ。その次が渋谷慶一郎といろのみのアルバムで、どちらも生ピアノの音を生かした沁みる内容で、相当な時間をともに過ごしました。感謝します。

■Top 20 Albums of 2009 by Shiro Kunieda

Yo La Tengo / Popular Songs(Matador / Hostess)
Keiichiro Shibuya / for maria(Atak)
いろのみ / ubusuna(涼音堂茶舗)
Kaito / Trust(Kompact)
Moritz von Oswald Trio / Vertical Ascent(Honest Jon/ P-Vine)
Andrew Weatherall / A Pox On The Pioneers(Rotters Golf Club / Beat)
David Sylvian/ Manafon( Samadhisound / P-Vine)
The Field / Yesterday and Today(Kompact)
Atlas Sound/ Logos(Kranky / Hostess)
Gong / 2032(Wakyo)
Jebski & Yogurt / Jebski &Yogurt(Rose)
ASA-CHANG & 巡礼 / 影の無いヒト(Comonds)
The Orb / Baghdad Batteries(Third Ear)
Simian Mobile Disco/Temporary Preasure(Wichita / Hostess)
Prefab Sprout / Let's Change The World With Music(Kitchenware)
Animal Collective / Merriweather Post Pavilion(Domino / Hostess)
Devendra Banhart / What Will We Be(Warner Bros.)
Mum / Sing Along to Songs...(Morr Music / Hostess)
Jackie-O-Motherfucker / Ballad of the Revolution(Fire)
Tim Hecker / An Imaginary Country(Kranky)
Tyondai Braxton / Central Market(Warp / Beat)

文:国枝史郎(2009年12月17日)

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