Home > Interviews > interview with Richard Russell - 古きUSソウルが新しきUKクラブと出会うとき
僕自身はMPCとロジック、そしてCDJを使うよ。僕が20年以上かけて集めている膨大な量のサンプルやサウンドのライブラリがあって、それらを自分の手で実際に操作して使っている。
■昔と同じように、いまの音楽シーンも愛していますか?
RR:僕は現在の音楽シーンが大好きだよ。驚くほどエキサイティングだし、音楽シーンっていうのはいつだってそうだ。本当に独創性のある音楽というのを探し続けることが大事だよ。
■ラナ・デル・レイの起用は誰のアイデアですか? リスキーな起用とも言えますよね?
RR:〈XL〉のImran Ahmed(ヴァンパイア・ウィークエンドのマネージャー)が提案したことだよ。それまで僕は彼女(ラナ・デル・レイ)のことを知らなかった。彼女はスタジオで素晴らしい仕事をしてくれたよ、ボビーは彼女に感銘を受けていたね。でき上がったアルバムでも彼女の歌は素晴らしく聴こえていると思う。
■アルバムのタイトルはあなたが付けたんですよね? どういう経緯で生まれたのですか?
RR:ボビーが書いて来た歌詞の中のフレーズで、ボビー自身それをアルバムのタイトルにしたいと思っていたんだ。
■ギル・スコット・ヘロンのときのようにリミックスは当然考えてらっしゃるでしょうけど、もしも、すでにミキサーが決まっていたら教えてください。
RR:しばらくは時間をおいて、いいアイデアが出てくるのを待つよ。まずは人びとに僕らがアルバムとして作ったものを聴いてもらって理解してもらうのが大事なんだ。
■〈XL・レコーディングス〉は今後もこうしたリジェンドとの共同制作を続ける予定はありますか?
RR:あまり先のことを予測はしないようにしているよ。いままで一緒にやったアーティストもみんな、もともとはそうなるとは予期していなかったしね。
■実は自分は〈XL・レコーディングス〉がプロディジーの「チャーリー」がヒットしていた頃、1992年ですが、ロンドンのオフィスまで行って取材をお願いしたことがあります。たしか住宅街の坂を上ったか、下がったところあったように記憶しています。あの頃、〈XL・レコーディングス〉がギル・スコット・ヘロンやボビー・ウーマックのアルバムを出すことになるとは誰も想像できなかったと思います。しかし、あなた自身のなかには、いつかはこういうことをやりたいという夢がずっと前からあったんでしょうか?
RR:僕自身、元々ソウル・ミュージックに大して深い情熱を持っていた。その情熱が僕の血に流れているんだ。でもどの音楽のジャンルにも、何かしら好きな部分があるよ。そこに流れるスピリットが何より大事だね。
■〈XL・レコーディングス〉はこの20年、なんだかんだとダンス・カルチャーと関わっていますが、20年前の良かったところ、そして現在の良いところとふたつについて話してください。
RR:いつの時代も誰かしら他と違っていてエキサイティングなものを作っている人がいるよ、いまならジェイミー・XXみたいにね。
■レーベルのこの20年の歩みについてどのような感想を持っているのか話してください。
RR:昔を振り返ったりはしないよ、そしてできる限り先のことも考えないんだ。なるべくいま現在に集中して、いま自分がやっていることをやっている最中にしっかり体験するようにしている。
■ここ1~2年のUKのインディ・シーンについてはどのような感想を持っていますか? ノスタルジックな空気も感じますし、ダブステップ以降のクラブ・ミュージックの勢いも感じます。
RR:どんなときも、どんなジャンルでも、必ず誰かマジカルなことをやっている人間がいるし、誰かしら純粋に独創的な人はいる。個人的には、ザ・ホラーズやジ・XXは素晴らしいと思うよ。
■最後に、もういちど生まれたら、またレーベル経営をやりたいですか?
RR:いや、鳥になりたいな。彼らはすごく自由に見えるからね。
取材:野田 努(2012年6月21日)
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