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interview with Purity Ring

interview with Purity Ring

すべては独学

――ピュリティ・リング、インタヴュー

橋元優歩    通訳:染谷和美   Aug 07,2012 UP

Purity Ring - Shrines
4AD/ホステス

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 ピュリティ・リングは、いわゆるR&Bのシーンにとっては招かれざる客かもしれないが、その外にあってあたらしいR&Bをかたちづくる存在である。ウイークエンド、ナスカ・ラインズ、インク、アヴァ・ルナ、ファースト・パーソン・シューター......そのようなアーティストはいま次々と現れてきつつある。招かれざる客だというのは、たとえば〈4AD〉や〈ロー〉、〈レフス〉、〈メキシカン・サマー〉といったレーベルからリリースされているということだ。彼らはチルウェイヴや昨今のインディ・ダンス・ブームとつよく結びついた流れのなかから派生してきている。ジャケットからして「R&B」的ではないが、ジェイムス・ブレイクが鮮やかにシーンを縫い合わせたように、彼らもそれぞれR&Bとはべつの個性やルーツからそれへと接近し、思い思いの世界を構築している。

 コリン・ロディックとミーガン・ジェイムズによるこのカナダの男女デュオは、ホーリー・アザーやセーラムのようなダークなウィッチハウスを、ドリーミーなシンセ・ポップとして噛みくだき、R&Bやヒップホップのリズムでくびれのある音楽に仕上げた。ドーリーでエアリーなヴォーカルは、なみいるディーヴァとはイメージにおいてかけ離れるが、やっていることはそう変わらない。ポップスとしてイノヴェイティヴであり、リリース元の〈4AD〉とは音楽性から言ってもとてもフィットしている。
 
 もとはふたりともゴブル・ゴブルというエクスペリメンタルなエレクトロニック・バンドのメンバーだったようだ。いつしか単独での楽曲制作に目覚めたコリン・ロディックが本ユニットを始動させた。90年代のR&Bに大きな影響を受けたという彼はおもにトラック作りを、読書や物を書くのを好むというミーガン・ジェイムズは詞とヴォーカルを担当し、互いのアイディアは遠距離でやりとりされている。

 今回取材できたのはコリンひとりだったが、とてもおっとりとした人柄である。オンラインで公開された"アンガースド"1曲のために、彼らはまたたく間に大きな注目を浴びるようになったわけだが、そんなに突っ込んだ音楽リスナーというふうでもないらしく、のんびりと、正直に回答してくれた。たくさんの姉たちと少年時代に聴いた音楽が、しぜんと「にじみでてきた」という彼のトラックは、機材やソフトの機能をたのしみ、工夫することで生まれてきたもののようだ。こうした態度もとてもいまらしい。

自分自身もそういうD.I.Yな環境に身をおいていると思ってて、ミーガンなんかも服はほとんど手作りしちゃうんだ。僕の今日のこのズボンだってそうだよ! 基本的には独学なんだよ。ていうか、実際のところ自分でも何をどうしたらああなったのかよくわかってないんだよね。

■フジロックが終了したところですが、どうでした? あなたがたはとても凝ったライヴをされるとうかがっています。

コリン:日本は初めてだったし、あんなに大勢の前でやれるなんてね! すくなくとも思ったよりぜんぜんたくさんのオーディエンスだったよ。とっても楽しかった。フェスティヴァル自体もいままで行ったなかでも最高にきれいな、すばらしいものだったし。

■ステージに立たれたのはふたり? 機材とヴォーカルっていうセットですか。

コリン:そうだね。ミーガンが歌って、たまに太鼓もたたくんだけど、僕が使ってる楽器っていうのは手作りで、ランタン型のものがたくさんぶら下がってて、それを叩くことでシンセサイザーの音を再現するというものなんだけど......

■名前はあります?

コリン:いや、ないんだ(笑)。

■えー。電子楽器ってことになりますか。音階が出せるような?

コリン:そうだなあ......。いちおう楽器です。よりクリエイティヴになれる電子楽器ってところかな。音階は、出せるよ! ここに移し出したシンセの音はぜんぶ出せるんだ。

■へえー。イクイップメントについてもうすこし教えてもらえます?

コリン:あとはMIDIコントローラーが置いてあって、パッドが付いてるやつだけど、それでミーガンが歌ってるのをその場でサンプリングして切り貼りしたり、ちょっと声の質を変えてみたり、分断させたり。それから、繭型の照明を20個くらい用意して、それを僕の楽器と連結させて音といっしょにライティングが変わるような、そういうものを作って工夫してみたんだ。見た目も演出するような感じでさ、ミーガンの声なんかにもあわせて変化していくんです。

■ああ、それはすごい。シンセ好きなんですね。そういうアイディアとか技術はどこかで学んだものなんですか?

コリン:基本的には独学なんだよ。ていうか、実際のところ自分でも何をどうしたらああなったのかよくわかってないんだよね。けどこんなパフォーマンスをしたいっていうイメージがあって、そのためにどういう楽器があったらいいのかっていう必要から、なんとなく自分でできるなりに作っちゃったものだから、いまだにほんとに思い通りのことができない部分があるんだけどね。

■すごくD.I.Y.なかたちですよね。なにか、あなたのまわりにそうした雰囲気の仲間やシーンがあったりするわけではないんでしょうか。

コリン:そうなんだよね。前のバンド(ゴブル・ゴブル)もそうだったんだけど、自分自身もそういうD.I.Yな環境に身をおいていると思ってて、ミーガンなんかも服はほとんど手作りしちゃうんだ。僕の今日のこのズボンだってそうだよ(※ステッチのかわいらしい、おちついた黄色のズボンでした)! ステージ衣装も彼女がやってくれてるし、それを含めて、僕たちのやってることはなんでもD.I.Y.だね。

文:橋元優歩(2012年8月07日)

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