ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. 七尾旅人 - Long Voyage (review)
  2. R.I.P. Pharoah Sanders 追悼:ファラオ・サンダース (news)
  3. Pharoah Sanders ——ジャズの巨星、ファラオ・サンダース逝く (news)
  4. The Lounge Society - Tired of Liberty (review)
  5. Natalie Beridze - Of Which One Knows (review)
  6. Coby Sey - Conduit (review)
  7. Tribute to Ras Dasher ——CULTIVATOR『VOICE OF LOVE』LPアルバム再発リリース・パーティ開催決定 (news)
  8. interview with Nils Frahm ポスト・クラシカルのピアニスト、珠玉のアンビエント作品 (interviews)
  9. interview with Danger Mouse デンジャー・マウス、17年ぶりのヒップホップ・アルバムを語る (interviews)
  10. 対談 半世紀を経て蘇る静岡ロックンロール組合 (interviews)
  11. Babylon ——伝説のUKレゲエの映画、40年超しに本邦初上映 (news)
  12. Kendrick Lamar - Mr.Morale & The Big Steppers (review)
  13. Jockstrap ──ロンドンのオルタナティヴ・ポップ・プロジェクトが〈Warp〉と契約 (news)
  14. Jun Togawa ——2022・秋の戸川純、ライヴ告知です! (news)
  15. Plaid ──プラッドがニュー・アルバムをリリース (news)
  16. Spoon × Adrian Sherwood ──テキサスのバンド、スプーンの最新作をエイドリアン・シャーウッドが再構築 (news)
  17. Takuro Okada ——コルトレーンの“至上の愛”からはじまる岡田拓郎の新作 (news)
  18. KANDYTOWN - ADVISORY (review)
  19. 七尾旅人 - Stray Dogs (review)
  20. The Comet Is Coming ──ザ・コメット・イズ・カミングの新作がリリース、来日公演も決定 (news)

Home >  Reviews >  Sound Patrol > [Electronic, House, Dubstep] #7- by Tsutomu Noda

[Electronic, House, Dubstep] #7

[Electronic, House, Dubstep] #7

by Tsutomu Noda

野田 努   Jun 17,2011 UP

1.Holy Other - With U | Tri Angle


amazon iTunes

E王  ハウ・トゥ・ドレス・ウェルでリスナーの度肝を抜いた〈トライ・アングル〉レーベルが送り出す、今年の注目株のひとり。マンチェスターのホリー・アザーによる5曲入りのセカンド・シングルで、ダブステップとチルウェイヴを通過したセイバース・オブ・パラダイスのゴシック・ロマンといった感じに聴こえる。女性ヴォーカルをフィーチャーした"タッチ"に関しては、さしずめジェームス・ブレイク+ジョイ・ディヴィジョンといったところだろうか。
 B面の"ウィズ・ユー"はポーティスヘッドによるダーク・アンビエントのようで、"フィーリング・サムシング"にはブリアルをフェミニンに展開したような甘美がある。12インチ1枚でアルバム並みに大きく騒がれるのはジェームス・ブレイク以来のことだが、たしかに騒がれるに値する内容だ。

2.Ford & Lopatin - Emergency Room | Software


amazon iTunes

 そろそろファースト・アルバム『Channel Pressure』が店頭に並ぶ頃だろう。OPNのダニエル・ロパティンとジョエル・フォードによるチルウェイヴ・ユニット、ゲームスあたらめフォード&ロパティンに改名してからの最初のシングルで、笑ってしまうほどキャッチーな80年代シンセ・ディスコ。な、なんなんだよ~、これは~。ゲームス名義の最初の7インチにあったドロッとした感触は見事に払拭されて、さわやかに聴こえるほどだ。B面では〈DFA〉のギャヴィン・ルッソムによるリミックス、ザ・バグによるダブ・ヴァージョンが収録されている。アルバムは店頭に並んだら買う予定。

3.Fatima - Follow You | Eglo Records


amazon iTunes

E王 ロンドンの〈エグロ〉レーベルは、ポスト・ダブステップにおいてもっとも大人びでいるレーベルだ。ミズ・ビートの「Are We The Dictators?」がそうだったように、このレーベルにはジャズ/ソウルといった明確な音楽的なヴィジョンがある。ドラムンベースで言えば4ヒーローのような役割を果たすのだろう。
 レーベルの運営に関わるフローティング・ポイントがトラックを作っている女性シンガー、ファティマ・ブラム・セイのセカンド・シングルは、このレーベルの底力を見せつける。ファティマの素晴らしいヴォーカリゼーションだけでも充分に魅力だが、フローティング・ポイントによる瑞々しいトラックがこの12インチを特別なものにしている。B面に彫られた"レッド・ライト"はいかにもUKらしいジャズの香気をもったキラー・チューンである。ネオ・ソウルのシーンにおけるエースの登場といったところだろうか。

4.Floating Points - Faruxz / Marilyn | Eglo Records


amazon

 いま出たものすべて買ってもハズレがないのが〈エグロ〉レーベルとフローティング・ポイントで、片面プレスの10インチ「Sais Dub」の前にリリースされたこの12インチは彼らしい、優雅なアンビエント・テイストとポスト・ダブステップのビートとの美しいブレンドとなっている。A面の"Faruxz"は、いわばデトロイティッシュな濃いめの叙情性が広がっている。動くベースライン、メランコリックなストリングス、瑞々しいフルート......アズ・ワンとラマダンマンの溝を埋めるのはこの男だ。

5.Gang Colours - In Your Gut Like A Knife | Brownswood Recordings


amazon iTunes

 これはジャイルス・ピーターソンのレーベルから期待の新星、そのデビュー・シングル。なかなか侮れないというか、素晴らしいほどトロっトロっのネオ・ソウルで、日が暮れてからでなければ聴きたくないような、美しい真夜中の音楽なのだ。確実にポスト・ダブステップを通過した音数の少ないビートが心地よく、そしてジャズ・ピアノはアシッディな電子音とダブの空間的な録音のなかで絡みつく。ギャング・カラーズは、ファティマとともにネオ・ソウルの主役となるのだろう。はっきり言って、期待を抱かせるには充分な出来である。

6.Vessel - Nylon Sunset EP | Left_Blank


amazon iTunes

 ブリストルからダンスフロア直撃の1枚。ユニークなビート・プログラミングとカオスを秘めた、得体の知れないポスト・ダブステップ系だ。いわばハマり系の音だが、インストラ:メンタルのようにノスタルジックではなく、アディソン・グルーヴをディープ・ハウスと掻き混ぜたような感じというか。タイトル曲の"ナイロン・サンセット"などはいわゆるどんキまり系のドラッギーな音で、ちょっと恐いなーという気もするけれど、ビートの細かいアクセントは面白く、ベルリンというよりもシカゴやデトロイトに近いかもしれない。ペヴァリストもリミックスで参加している。

7.Greg Gow - Twilight Soul EP | Transmat


amazon

 カナダのトロント在住のDJ/プロデューサーによる2年前の「The Pilgrimage EP」に続いて〈トランスマット〉からは2枚目となる12インチ。もう一貫してデリック・メイ好みというか、思わず走り出したくなるような真っ直ぐなデトロイト・テクノで、「勇気を持て~持つんだ~」と言われているような気持ちになる。

8.Joker - The Vision | 4AD


amazon iTunes

 大手〈4AD〉と契約を交わしたジョーカーのアルバムに先駆けて発表されたホワイト盤で、SBTRKTでもお馴染みの女性シンガー、ジェシー・ウェアのR&Bヴォーカルををフィーチャーしている。グラスゴーの〈ラッキー・ミー〉やロンドンの〈ナイト・スラッグス〉、日本ではエクシーあたりともリンクするような、派手目のシーケンスが鳴り響くダウンテンポのUKベース・ミュージックで、当たり前だがやっぱ若い。若者の音楽です。

野田 努