Home > Interviews > interview with JAPONICA SONG SUN BUNCH - ハートかっさらう“余興”
俺はラップができないから、そこで5・7・5という言葉の配列、リズム、テンポの川柳をいきなりかましてみようと(笑)。 (千秋)
JAPONICA SONG SUN BUNCH Pヴァイン |
■他の曲とぜんぜんちがう作り方?
千秋:そうですね。
スガナミ:千秋のメロディですごくいい抑揚のついた曲になったよね。
しいね:ずっと繰り返しなのにね。〈(音楽)前夜社〉でやるともう少し単調になるよね。豊かだよね。
スガナミ:川柳パートがすごく斬新なんだよね。間奏の部分の歌詞はぜんぶ5・7・5になっていて。
しいね:いきなり決めてきたんだよね(笑)。
千秋:あはは!
スガナミ:こういうユーモアの投げ方って新鮮。
千秋:俺はラップができないから、そこで5・7・5という言葉の配列、リズム、テンポの川柳をいきなりかましてみようと(笑)。
スガナミ:原始な言葉遊びを(笑)。
しいね:でもさ、25歳でラップができないから川柳ってなかなかないよね(笑)。
(一同笑)
スガナミ:ヒップなスムース・ジャズみたいな曲だからラップは合うんだけどね。
千秋:もしかしたらラップっぽく聞こえるかもしれないんですけど。
■5と7の言葉のリズムだと、やっぱりすごく日本っぽくなって、歌謡感がすごく出ると思う。秋元康の歌詞って、けっこう5と7のリズムだったりするんですよ。だからちょっと歌謡曲っぽさがある。ジャポニカの歌詞って、言葉をさらっと流さないというか。言葉をはっきりと区切っていて、歌詞がそのまま歌として伝わってくる、スッと入ってくるよね。もちろん言葉の選択もすごく工夫しているからだと思うんだけど。ジャポニカの歌詞はどういうふうに書くの?
千秋:素の気持ちで、音、リズムといっしょに(書く)。
■曲が先にあるんだよね?
千秋:曲が先なんですけど。「こういうテーマで書いてみよう」っていうのはあります。このテーマだからこういうリズムで、こういう言葉で、こういうフックで、みたいなものをざっくり決めてやっていますね。
■初期にできた“クライマックス”は歌詞がすごくいいよね。こういう言い方は千秋くんは嫌かもしれないけれど、コピーライター的なひっかかり方がある言葉の選択になっていると思う。「レモンの刺激」と韻を踏んでいるのが「胸に霹靂」とか。直接的な言葉なんだけど、もっと膨らみがあるというか。言葉がスッと入ってきつつも、もっといろいろな意味が喚起される。「眩しい 街中 色彩 パニック」という単語を4つ並べているところもすごくいいと思う。フレーズ、フレーズで勝負している感じがある。
千秋:ありますね。そこはグッと寄って……グッと抱きしめて(笑)。
スガナミ:パンチ力?
千秋:そうですね。どの部分を切り取ってもパンチ力が(あってほしい)、っていう性格なんですよね。BメロでもしっかりBメロとして立つようにしようとか、そういう感じですね。
■好きな作詞家っている?
千秋:安井かずみ先生。
■あー。僕もすごく好きだな。僕は加藤和彦がすごく好きなんだ。
千秋:いいですね。あの(加藤和彦と安井かずみの)タッグがすごく好きで。松山猛さんも好きなんですけど。松山猛さんはもっとおしゃれっていうか、雑誌感、ファッション感があるんですけど。安井かずみ先生は、テーマが小さくて、かつ広いな、と思うんです。あとは……松本(隆)先生かな。松本先生は偉大すぎる。あの人はカッコよすぎる。キザすぎる感じがあるかもしれない(笑)。
■でもジャポニカの歌詞もキザだよね。
千秋:マジっすか?
■そんなことない? ロマンティックだと思う。
取材:天野龍太郎(2014年4月30日)