ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. 大友良英スペシャルビッグバンド - そらとみらいと
  2. Teresa Winter, Birthmark, Guest,A Childs - Teresa Winter, Birthmark, Guest,A Childs | テレサ・ウィンター、バースマーク、ゲスト、エイモス・チャイルズ
  3. Jeff Mills with Hiromi Uehara and LEO ──手塚治虫「火の鳥」から着想を得たジェフ・ミルズの一夜限りの特別公演、ゲストに上原ひろみと箏奏者LEO
  4. Columns 大友良英「MUSICS あるいは複数の音楽たち」を振り返って
  5. Dual Experience in Ambient/Jazz ──『アンビエント/ジャズ』から広がるリスニング会@野口晴哉記念音楽室、第2回のゲストは岡田拓郎
  6. 別冊ele-king 音楽が世界を変える──プロテスト・ミュージック・スペシャル
  7. DADDY G(MASSIVE ATTACK) & DON LETTS ——パンキー・レゲエ・パーティのレジェンド、ドン・レッツとマッシヴ・アタックのダディ・Gが揃って来日ツアー
  8. Milledenials - Youth, Romance, Shame | ミレディナイアルズ
  9. Dolphin Hyperspace ──凄腕エレクトリック・ジャズの新星、ドルフィン・ハイパースペース
  10. Young Echo - Nexus  / Kahn - Kahn EP / Jabu - Move In Circles / You & I (Kahn Remix) | ヤング・エコー
  11. Deadletter - Existence is Bliss | デッドレター
  12. Jabu - A Soft and Gatherable Star | ジャブー
  13. interview with Autechre 来日したオウテカ──カラオケと日本、ハイパーポップとリイシュー作品、AI等々について話す
  14. LIQUIDROOM 30周年 ──新宿時代の歴史を紐解くアーカイヴ展が開催
  15. Jill Scott - To Whom This May Concern | ジル・スコット
  16. KMRU - Kin | カマル
  17. Loraine James ──ロレイン・ジェイムズがニュー・アルバムをリリース
  18. Cardinals - Masquerade | カーディナルズ
  19. ぼくはこんな音楽を聴いて育った - 大友良英

Home >  Reviews >  Album Reviews > THE OTOGIBANASHI'S- Toy Box

THE OTOGIBANASHI'S

THE OTOGIBANASHI'S

Toy Box

Summit

Amazon

巻紗葉 a.k.a. KEY Apr 02,2013 UP

 bim、in-d、PalBedStockの3人からなるTHE OTOGIBANASHI'S(以下、OTG)は、昨年YouTubeで発表した"Pool"で一気に好事家たちの話題をかっさらった。"Pool"はあらべぇという気鋭の若手プロデューサーが制作したナンバーで、BUNの『Adieu a X』に影響を受けたと語るその言葉通り、非常にエディット感/クリック感の強いトラックの上で3人が浮遊感というより、フワフワとしたラップを繰り広げるナンバーだった。しかしOTGがユニークだったのは、そのビデオクリップをただのPVとして仕上げるのではなく、自分たちのカルチャーをゲットー・ハリウッドイズムあふれるスタイルでぶち込んだことだろう。フォスター・ザ・ピープルにデヴィッド・ボウイ、SUPREME×Comme des Garcons SHIRTのキャップ、ピスト、スケートボード、代官山、カフェ......。ストリートのしがらみa.k.a.縦社会から完全に自由なOTGのスマートさ、というかボンボン感。それはついにRIP SLYMEの後継者が現れたことを感じさせた。

 今回リリースされるアルバム『TOY BOX』はPUNPEEの登場以降、徐々に声を上げはじめた文科系B-BOYというサイレント・マジョリティたちにとってはたまらない一枚と言えるだろう。内容は彼らが"Pool"のPVで見せた東京の(怖くないほうの)ストリート・カルチャーのごった煮感と、ディズニーのような寓話をミックスしたようなコンセプト・アルバムの体がとられている。リリックでも"Frozen Beer"では「NBの997でも履いてろ」、"kutibue"では「泥がオールデンに付いた / 味が出ると俺は許す」、"Fountain Mountain"では「映画館で観た映画が / 今の俺を作ってるとしたら / このTシャツもスナップバックもあいつの影響なのかな」などなど、露骨なまでに自分たちの嗜好を詳らかにしている。

 OTGはシングルやEPですら1枚もリリースしてないのに雑誌「POPEYE」や「WARP」などに登場しており、すでにファッション方面からも熱視線を注がれている。このあたりも、どんなに捻くれた作品をリリースしても、やたらとメジャー感だけは醸し出るRIP SLYMEに似ていると言えなくもない。前述の"Fountain Mountain"のトラックなどは明らかに"楽園ベイベー"へのオマージュを感じさせるし、OTGもRIP SLYMEのようにヒップホップセレブ化していってほしいものである。

巻紗葉 a.k.a. KEY