MOST READ

  1. Shobaleader One──スクエアプッシャー率いる覆面バンドがアルバムをリリース、来日公演も決定 (news)
  2. Call And Response Records ──日本はじつはインディ・ロックの宝庫 (news)
  3. interview with SHOBALERDER ONE音楽を破壊すべし (interviews)
  4. 弟の夫 - 田亀源五郎 (review)
  5. Columns Oneohtrix Point Never『Good Time』を聴く (columns)
  6. interview with Arca 夏休み特別企画:アルカ、ロング・ロング・インタヴュー(2) (interviews)
  7. !!! (Chk Chk Chk)──チック・チック・チックがニュー・アルバムをリリース (news)
  8. 子どもたちの階級闘争――ブロークン・ブリテンの無料託児所から - ブレイディみかこ (review)
  9. Columns Oneohtrix Point Never『Good Time』を聴く (columns)
  10. Juana Molina──フアナ・モリーナの来日が決定 (news)
  11. Shobaleader One──スクエアプッシャー率いるショバリーダー・ワンの新たなインタヴューが公開 (news)
  12. special talk : Shota Shimizu × YOUNG JUJU 特別対談:清水翔太 × YOUNG JUJU (interviews)
  13. KANDYTOWN - ──キャンディタウンがついにメジャー・デビュー (news)
  14. interview with Arca 痛み&&&電子&&音響 (interviews)
  15. Peaking Lights - The Fifth State Of Consciousness (review)
  16. special talk : ジョン・グラント × 田亀源五郎 - 何を歌い、どう描くか──ゲイ・アーティストたちのリアリティ (interviews)
  17. Lorde - Melodrama (review)
  18. Declan McKenna - What Do You Think About The Car? (review)
  19. Blanck Mass - World Eater (review)
  20. interview with Jeff Paker 話題作『The New Breed』のメンバーとの来日ライヴ直前スペシャル (interviews)

Home >  Reviews >  Album Reviews > Young Echo- Nexus

Album Reviews

AmbientDowntempoDubstepExperimentalGrime

Young Echo

Young Echo

Nexus

Ramp Recordings

Amazon iTunes

E王

Kahn

Kahn

Kahn EP

BlackBox

DISC SHOP ZERO Amazon iTunes

E王

Jabu

Jabu

Move In Circles / You & I (Kahn Remix)

No Corner

DISC SHOP ZERO

E王

野田 努   Nov 15,2013 UP

このエントリーをはてなブックマークに追加

 これはブリストル・トリップホップの最新型ですよ。マッシヴ・アタックが、トリッキーが、ポーティスヘッドが、ブリストルのミームが新世代によってアップデートしている。ひとつのコレクティヴにいろいろな才能が集結しているという点では、ワイルド・バンチ/マッシヴ・アタックの現代版と言えばいいのかもしれないけれど、とにかくヤング・エコーときたら、複数のメンバーによる多様な個性が絡み合い、まったく素晴らしい混乱を創造する。アルバムには、ダブステップ、グライム、〈トライ・アングル〉系の薄気味悪さ、インダストリアル・ミニマルの陶酔からダーク・アンビエントにいたるまで、ここ数年のアンダーグラウンド・ミュージックの良いところを全部持っていっている。もちろんブリストルらしくダブもある。過去を受け継ぎながらリフォームし、躍進する。さまざまなフォームが混ざっているので、間口は広い。
 そして、ハイならずにハイになる、ステイ・ロウの美学も……。景気後退を受けながら、『NME』はキング・クルエルのレヴューに次のような言葉を書いている。「先細りする雇用と増える負債の、UKの緊縮財務下で育った幻滅した世代がいる。怒るのは簡単だし、悲しむのはさらに簡単だ」
 ただ闇雲に悲しみを表現されるだけでは満足できないというリスナーの心情をここに読み取るのなら、ヤング・エコーの『ネクサス』には怒りでも悲しみでもない何か別の感情がギシギシ音を立てていると言えるかもしれない。いや、しかし、やはりこれは怒りだろう。かつてジャーヴス・コッカーは、ブレア政権を「コカイン社会主義」なんて言葉で揶揄したものだが、この音楽はどう考えても、多幸的で、イケイケで、アッパーな文化に対する一種の抗いだと思える。敢えて叫んだり、怒鳴ったりしない、それがブリストル・トリップホップのマナーというものだろう。

 ヤング・エコーは、昨年〈トライ・アングル〉からアルバムを出したヴェッセル(Vessel)、ヴェッセルとともにキリング・サウンドとしても活動するジャブ(Jabu)、メンバーのなかでもっとも多作で〈ディープ・メディ〉からも作品を出しているカーン(Kahn)、ペヴの〈パンチ・ドランク〉から出しているズー(Zhou)、注目レーベル〈Peng Sound〉から出しているイシャン・サウンド(Ishan Sound)らがメンバーにいる。ヴェッセルはテクノよりで、ジャブはダブより、カーンはグライムよりだったり、同じポッセながら個々の作風は違っている。詳しく知りたい方は、下北沢ZEROの飯島店長に訊いて下さい。僕も2年前に店長に薦められてヴェッセルの1枚目を買ったのが最初だったけれど、この2年のあいだにこのコレクティヴはさまざまな掛け合わせを繰り返しながらとんでもない発展を遂げていたのだ。
 ロール・ディープ・クルーのフローダウンも参加しているカーンの2枚組12インチ「カーンEP」(DLコード入り)は、トリッキーの最高の瞬間を受け継いでいるように思える(https://soundcloud.com/blackbox-boxclever/kahn-snake-eyes-feat-jabu/s-na48b)。ジャブの7インチは、マッシヴ・アタックの美学がポスト・ダブステップにおいて展開されている。いったい、何がどうしてこうなったのか、次号の紙エレキングでは、小特集を組む予定。ブリストルのニュー・スクール、いま注目すべきシーンのひとつではないだろうか。

野田 努