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BIM

Hip Hop

BIM

Boston Bag

SUMMIT

大前至   Oct 20,2020 UP

 THE OTOGIBANASHI'S の一員としての活動を経てソロ・デビューを果たした BIM。2018年にリリースされた 1st ソロ・アルバム『The Beam』では、アルバム中約半数の曲で自らがプロデューサーとしてトラックも手がけながら、自身のソロ・アーティストしての個性を明確に打ち出し、作品としても日本語ラップ・ファンを中心に高く評価された。アルバム全体で一定のトーンをキープし、どちらかと言えば内向的な印象が残った『The Beam』であったが、今年2月にリリースされたミニ・アルバム『NOT BUSY』では、『The Beam』にも参加していたドイツ人プロデューサーの Rascal が全曲プロデュースを手がけ、さらにスチャダラパーの Bose をゲストに迎えたことも相乗効果となりながら、外側へと向かっていくようなイメージの作品であった。そして『NOT BUSY』から約半年後に今回の 2nd アルバム『Boston Bag』がリリースされたわけだが、『NOT BUSY』の延長上にありながら、様々なスタイルのプロデューサーを迎え入れたことで表現の幅はさらに広まり、実に多面的な魅力を持つ作品に仕上がっている。

 本作の軸になっているのが前出の Rascal、そしてもうひとりが STUTS だ。CreativeDrugStore から in-d、JUBEE、VaVa をゲスト迎えたイントロ曲 “Get Gas (Hey You Guys)” や “三日坊主” などアルバム前半に集中している Rascal プロデュース曲はストレートなヒップホップ・トラックが特徴で、アルバムのヒップホップ濃度を上げている。なかでもテディ・ペンダグラス “Close The Door” のサンプリングにハードなビートを重ねたメロー・チューン “Jealous” は90年代的なテイストも醸し出しつつ、そこに乗る BIM と KEIJU (KANDYTOWN)の絡みが凄まじく格好良く、さらに男の色気も強く滲み出ている。一方、昨年リリースされた RYO-Z (RIP SLYME)との共演曲でもあるシングル “マジックアワー” でも素晴らしい相性を見せていた STUTSは、先行シングル曲である “Veranda” を筆頭に3曲のプロデュースを担当。STUTS の持つポップなセンスとダンサブルなスタイルがアルバム全体に上手く溶け込み、cero の高城晶平をフィーチャしたアーバンなダンス・チューン “Tokyo Motion” はその中でも最高峰とも言える一曲だろう。ダンス・チューンと言えば G.RINA がプロデュースを手がけ、kZm をフィーチャした “One Love” は “Tokyo Motion” とはまた異なる方向性のシンプルな抑えたムードの作りで、それぞれのプロデューサーの異なる個性が実にバランス良く溶け合っている。全11曲、32分というコンパクトなサイズ感ではあるが、楽曲の流れも実に巧みで、No Buses というバンドをゲストに迎えた80sニューウェーヴ的なテイストも感じられる “Non Fiction” で締めくくるというラストへの流れも含めて、アルバム単位で頭から最後までじっくり味わって欲しい作品だ。


大前至