ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Helen - Linda's Head | ヘレン
  2. interview with Adrian Sherwood and Nightmares On Wax UKダブ・“トーク”・セッション | ――エイドリアン・シャーウッド×ナイトメアズ・オン・ワックス特別対談
  3. 別冊ele-king パンク50周年記念号──それは何だったのか、何でありえるのか
  4. Black Marble - Life in Small Spaces | ブラック・マーブル
  5. Gaku Kiishi ──『サイコ』『オーメン』『シャイニング』『リング』から『8番出口』『バックルームズ』まで、ホラー映画の音楽を分析する1冊が刊行
  6. AMBIENT KYOTO ──2027年春、レイ・ハラカミの展示が決定
  7. 細野晴臣 - Yours Sincerely | Haruomi Hosono
  8. Horse Lords - Demand to Be Taken to Heaven Alive!  | ホース・ローズ
  9. アンビエント/ジャズ マイルス・デイヴィスとブライアン・イーノから始まる音の系譜
  10. 食品まつり a.k.a foodman - HIKARIGASASHIKOMU
  11. Columns ♯17:もしもパンクがなかったら ——その基礎知識と『パンク50周年記念号』刊行のお知らせ
  12. The Clash ——ザ・クラッシュ、結成50周年記念ベストがリリース
  13. Bicep ——バイセップが3つの新曲で、フリー・パーティ、レイヴ、サウンドシステム文化を主張する
  14. Klara Lewis - Opening | クララ・ルイス
  15. interview with Actress UKテクノ界の奇才が語るみずからの哲学 | ──アクトレス、インタヴュー
  16. RYUICHI SAKAMOTO + SHIRO TAKATANI AMBIENT KYOTO - TOKYO -
  17. Robert Del Naja ──マッシヴ・アタックの3D、二度目の逮捕
  18. Malaria! ——80年代初頭の西ベルリンから、ポスト・パンク/アヴァンギャルド・シーンを象徴する最重要バンド、マラリア!再発
  19. Arca - XXXXX
  20. Helen - The Original Faces  | Grouper、グルーパー、ヘレン

Home >  Reviews >  Album Reviews > THE OTOGIBANASHI'S- Toy Box

THE OTOGIBANASHI'S

THE OTOGIBANASHI'S

Toy Box

Summit

Amazon

巻紗葉 a.k.a. KEY Apr 02,2013 UP

 bim、in-d、PalBedStockの3人からなるTHE OTOGIBANASHI'S(以下、OTG)は、昨年YouTubeで発表した"Pool"で一気に好事家たちの話題をかっさらった。"Pool"はあらべぇという気鋭の若手プロデューサーが制作したナンバーで、BUNの『Adieu a X』に影響を受けたと語るその言葉通り、非常にエディット感/クリック感の強いトラックの上で3人が浮遊感というより、フワフワとしたラップを繰り広げるナンバーだった。しかしOTGがユニークだったのは、そのビデオクリップをただのPVとして仕上げるのではなく、自分たちのカルチャーをゲットー・ハリウッドイズムあふれるスタイルでぶち込んだことだろう。フォスター・ザ・ピープルにデヴィッド・ボウイ、SUPREME×Comme des Garcons SHIRTのキャップ、ピスト、スケートボード、代官山、カフェ......。ストリートのしがらみa.k.a.縦社会から完全に自由なOTGのスマートさ、というかボンボン感。それはついにRIP SLYMEの後継者が現れたことを感じさせた。

 今回リリースされるアルバム『TOY BOX』はPUNPEEの登場以降、徐々に声を上げはじめた文科系B-BOYというサイレント・マジョリティたちにとってはたまらない一枚と言えるだろう。内容は彼らが"Pool"のPVで見せた東京の(怖くないほうの)ストリート・カルチャーのごった煮感と、ディズニーのような寓話をミックスしたようなコンセプト・アルバムの体がとられている。リリックでも"Frozen Beer"では「NBの997でも履いてろ」、"kutibue"では「泥がオールデンに付いた / 味が出ると俺は許す」、"Fountain Mountain"では「映画館で観た映画が / 今の俺を作ってるとしたら / このTシャツもスナップバックもあいつの影響なのかな」などなど、露骨なまでに自分たちの嗜好を詳らかにしている。

 OTGはシングルやEPですら1枚もリリースしてないのに雑誌「POPEYE」や「WARP」などに登場しており、すでにファッション方面からも熱視線を注がれている。このあたりも、どんなに捻くれた作品をリリースしても、やたらとメジャー感だけは醸し出るRIP SLYMEに似ていると言えなくもない。前述の"Fountain Mountain"のトラックなどは明らかに"楽園ベイベー"へのオマージュを感じさせるし、OTGもRIP SLYMEのようにヒップホップセレブ化していってほしいものである。

巻紗葉 a.k.a. KEY