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interview with Buffalo Daughter

interview with Buffalo Daughter

5次元とTB303の“ニュー・ロック”

――バッファロー・ドーター、ロング・インタヴュー

野田 努    photos by Yano Betty   Jun 24,2010 UP

大手レコード会社が息切れしているなか、インディーズががんばっているわけでしょ。一時は「これで食ってけるのかな」と思っていたけど、意外とみんなしっかりやっている。


大野由美子 (photo by Yano Betty)

■あのー、90年代にくらべてゼロ年代の10年間の音楽シーンにはどんな印象を持っていますか? 僕はバッファロー・ドーターといえば、新宿リキッドルームでコーネリアスと対バンしているのを見たり、あるいは日比谷野音でフィッシュマンズと対バンしているのを見ています。いわゆる"90年代組"と括られてもいいと思うんですね。でも、ゼロ年代は"90年的"なシーンはどんどん小さくなってしまったと。もちろんゆらゆら帝国はいたけれど、たしかに、この10年J-POPはより支配的になって、洋楽は売れなくなったという現実があったと思うし、そのあたり、どういう風に思っていますか?

大野:J-POPを聴いているわけじゃないから......それがいま中心になっているのは認めるけど。まあ、でもいろんな音楽があって良いと思うから、そっちはでそっちでこっちはこっちで良いんじゃないかな。

■両方あればいいんだけど、"こっち"のほうが弱体化したのがゼロ年代じゃないかという意見もあるわけです。90年代は"こっち"が多かったじゃないですか。

大野:でも、意外とそんなに変わらないと思うよ、数自体は。

吉永:90年代は小室の時代だったから、まあ、J-POPの時代といえばJ-POPの時代じゃない。変わってないじゃないの。J-POPを気にしているわけじゃないし、よくわからないけど......。ただ、洋楽は聴かれなくなったとは思う。映画でも字幕がイヤだから吹き替えで見たりとか、そういう意味では時代が変わったなと思う。映画も音楽も、多くの人が外ではなく、国内に向いていると思う。あと......、バンドの形態をとったJ-POPが増えたよね。バンドやってるんだけど、明らかにコーネリアスやゆらゆら帝国とは違う、J-POP的なバンドが目に付くようになった。やたらバンド多いでしょ。

■そうなんですよね。

吉永:でもね、かたやインディーズでも、それなりの動員と売り上げを持っているバンドもいるでしょ。さらに言うなら、最近はインストのバンドも多い。こないだ〈残響レコード〉のイヴェントに出たんだけど、やっぱ中心にいるのがインストのバンドで変則リズムをいっぱい使うんですよ。ザゼンボーイズみたいな。ザゼンはまあ、歌があるけどね。

■そういう意味では、ゼロ年代で大きく変わったとは思わない?

吉永:シーンは変わってきているけどね。ただ、小室がチャットモンチーに代わっただけで、少なくとも小室がいなくなっただけでも、私はまあ、いいかなと。小室よりはいいやと思うけど。

■エグザイルとか嫌じゃない(笑)?

大野:エグザイルねー。

吉永:いや、でも、小室はきついよ。

大野:小室はまだ日本のポップスになってるけど、R&B系は向こうのコピーじゃない。

吉永:いや、小室だってさ......。

■はははは。

吉永:まあ、ふだん気にしてないからよくわからないけど(笑)。ただ、外の世界を見なくなったというのは感じますね。バンド名もなんかさ、横文字じゃないじゃん。私、あの風潮もあんま好きじゃないからさ。

■まあ、ゆらゆら帝国もいますけどね(笑)。解散しちゃったけど。とにかく、音楽の世界があんま良い方向にいってないという感覚はないんですね?

吉永:思ってない。大手レコード会社が息切れしているなか、インディーズががんばっているわけでしょ。一時は「これで食ってけるのかな」と思っていたけど、意外とみんなしっかりやっている。あと、オーディエンスと直に繋がるようなシステムもできているし、大手プロモーターが仕切るのではない、手作りフェスも増えているし。

■そういう意味では、むしろ良くなっていることもあると言えるのかもね。

吉永:音楽を好きな人が減っているわけじゃないと思えるかな。逆に音楽を生で聴きたいと思っている人も増えてきているしさ。たしかに売り上げ的には昔に比べたら落ちているのかもしれないけど、活況としているんじゃないかな。ホントに聴きたい人、やりたい人が、積極的にやっているというか、昔はシステムのなかに入ってやらなければならなかったことが、いまはやりたいと思ったときにできる、発信したいと思ったときに発信できる。だから......健全化しているんじゃないかなと思っていて。

■ザゼンボーイズだってインディーズだしね。

吉永:そうだよね。

山本:たぶん......2000年から2010年にかけて音楽業界の状況は悪くなってきていたんだけど、「まあ、まだ大丈夫だろう」と、沈んでいく船にみんな乗っていたわけですよ。それって自民党みたいなもので、沈むときにあっという間に沈んでしまう。それで民主党とか新党とか出てきて新しいことやる。で、失敗する人もいるんだけど、少なくとも新党を立ち上げようとしている人たちはなんか元気がある。「じゃあ、なんか新しいやり方を提案しよう」というかね。光明を見出している人たちもいるわけです。まあ、たとえばそれはDOMMUNEや『エレキング』だって、何か新しいやり方を提案しているわけであって、資金力はなくてもアイデアがあればいろんなことはできる。で、それをやってる人は、とりあえずは元気ですよね。お金が潤沢にあるかどうかは別にしてね(笑)。

■まあ、そうかもしれないですね。ちなみにバッファロー・ドーターというバンドはカウンター・カルチャーを信じているバンドだと思っていいんですね(笑)?

一同:ハハハハ。

山本:音楽のシーンは、なんだかんだまだ新しいことをやろうとしている人や実験的なことをやろうとしている人が他のジャンルにくらべていっぱいいるなとは思いますね。だから、やってて良かったなと思うんですよね。

■なるほど。

吉永:「新しいことができるから楽しみだねー」という部分もあるんだよね。うちらはだから、ぜんぜん悲観的になってない。

■バッファロー・ドーターといえば、まあ、90年代らしくボアダムスやコーネリアスとともに海を渡ったバンドのひとつですけど。

吉永:海外とのライセンスもこれから自分たちでやろうと思ってて。海外はもうダウンロード主流になっているから、まあ、それをどうプロモートするかは別にして自分たちでやっていくにはより発展した土壌があるでしょ。

■そうした前向きなエネルギーは今回のアルバムからヒシヒシと感じましたよ。ムーグさんが言ったように、「力強い」作品だと思いました。

大野:作っていながら思ったのは、1曲1曲が濃いなと(笑)。

■1曲の長さが、以前にくらべて短いですよね。

大野:そう。

■そこはロックンロールのマナーに戻ろうとしたんですか?

吉永:たぶん、いまダンス・ミュージックの流れじゃないんですよね。『シャイキック』(2003年)の頃は完全にダンス・ミュージックの流れだったから、「3分じゃ短すぎるよ」と思っていたけど、いまは10分やるよりは3分で簡潔に物事を言いたい。

■ニューウェイヴ/ポスト・パンク・リヴァイヴァルみたいな時代のモードは関係してますか? この10年であの時代のささくれ立った感覚がまた音楽の最前線に戻ってきたじゃないですか。

山本:ある意味では周期的なものですよね。ニューウェイヴの前だって、ザ・フーやストーンズみたいなものがって、それがプログレみたいなものに展開しがら産業も肥大化して、それでパンクでいっかいスパッと切った。そういう流れってつねにありますよね。だから、ちょっと前にはやっぱ、神秘的な音楽やプログレっぽい音楽がたくさんあったし、音楽産業もやっぱ巨大化していたし、それがある程度までいくとまた元に戻るというか、ささくれ立ったものが欲しくなるというか。それはもう......ポスト・パンクみたいな短いことではなく、輪廻のような(笑)。

大野・吉永:ハハハハ。


Buffalo Daughter / Captain Vapour Athletes

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山本:バッファロー・ドーターというか、僕としてはファースト・アルバム、『キャプテン・ヴェイパー・アスリーツ』(1996年)の頃の気持ちに戻ったというか。

吉永:そうだね、『キャプテン・ヴェイパー~』を作っていた頃の実験精神に近いね。いま時代は過渡期だし、逆にいろんなことができるわけだし。

■しかし......、そうは言っても、行き詰まりを感じたことはないんですか?

山本:すごくそれ訊かれるんですよね。「いままで行き詰まりを感じたことはないんですか?」って。それは絶対に訊いている人が行き詰まっているんじゃないかと思うんですけど(笑)。

■まったくそうですね(笑)。

山本:僕はすごく行き詰まるんです(笑)。考え込むとぜんぜんダメで、ネガティヴになって、どうしようもなくなってしまうんですね。何もできなくなるんです。でも、このふたりは行き詰まらないんですね(笑)。考える暇なくやってしまうんですよね。動くと止まらないんです。で、とにかく締め切りを決めるわけです。そうすると、そのときまでにやるしかない。だから、もういちいちネガティヴになる暇なく、がむしゃらにやるわけです。そうすると、何か生まれてくるんですよね。今回のアルバムは本当にそうだった。

文 : 野田 努(2010年6月24日)

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