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interview with Jon Hopkins

interview with Jon Hopkins

美しき免疫体──ジョン・ホプキンス、インタヴュー

木津 毅    翻訳:Hikari Hakozaki   May 23,2014 UP

何年も使いつづけてきて、このピアノでの弾き方が僕の作曲方法自体を形づくってきたから、アルバムに入れるのはごく自然な感覚だね。

■なかでも強烈に耳を引くのはピアノの音とそのメロディです。あなたが一貫してピアノの音色を重要なところで使うのはどうしてでしょうか?

JH:たぶん僕自身が子どものころからピアノといっしょに成長したからだね。今回のアルバムで使っているピアノは、まさに僕が8歳のころから持っているものなんだ。18歳で実家を離れてからどこに引っ越すときもいっしょに持ってきて、7年前にやっと自分のスタジオを持ったとき、そこにマイクといっしょに設置したんだ。スタジオで自分のデスクからくるっと振り返るとそこにそのピアノがあって、頭の中にメロディーが浮かぶと、すぐにそこで形にできるんだ。ピアノの音に関してはこれまで映画のサウンドトラックでもかなり使ったし、これからはもっと減らす方向でいこうと思っているけど。でもやっぱりピアノは僕の楽器なんだよ。

通訳:ちなみにその8歳から持っているのはどんなピアノですか?

JH:ヤマハのアップライト・ピアノだよ。とくに高いものだったり、特別なピアノってわけじゃないけど、子どものときにピアノを売っている店でいくつも試してみて、そのすごくソフトなタッチが気に入ったんだ。何年も使いつづけてきて、このピアノでの弾き方が僕の作曲方法自体を形づくってきたから、アルバムに入れるのはごく自然な感覚だね。

■“イミュニティ”は、あなたのトラックの特徴がよく出た、ムーディで、光溢れるような感動的なクローザーとなっています。この曲のタイトルが意味するところは?

JH:かなりシンプルな意味あいだよ。“イミュニティ”っていうのは作曲をしていると感じるものなんだ。曲を作るときは自分のなかの世界に入り込んでいて、何も自分には触れられないような感じ――とくにうまくいっているときは世界のすべてのこともうまくいっていて、何も自分に害を及ぼすものはないように感じられる。素晴らしい感覚で、それは音楽を聴いているときにも感じられる、保護されていて、力づけられるような感じさ。

■それをアルバム・タイトルにしたのは?

JH:なんだろう、ただたんにしっくりきたからさ。アルバム全体のコンセプトにもなっているし、最後のトラックがアルバム・タイトルになるっていうのはいろんな意味で理にかなっていると感じるんだ。それにアルバムの前半の曲がかなりアグレッシヴでダークな雰囲気なのに対して、あの曲はかなりはっきりと対極にあるピースフルなものだからイメージにも合っているしね。

通訳:トラックのタイトルを先につけてからそれをアルバムのタイトルにしたのでしょうか? それとも逆?

JH:どっちだったっけ……(笑)。いや、間違いなくあのトラックができるよりも前にアルバムのタイトルは『イミュニティ』だって決めていたから、アルバム・タイトルが先だね。誇りに思えるしっかりしたアルバムのタイトルを決めるっていうのは、作曲をする上でも最終的な目標や方向性が見えるようになるから、重要なことだよ。

■ヴィデオでもコラボレートしていたピュリティ・リングとは、そもそもどうやって繋がったんですか?

JH:2011年、まだ彼らがレーベルと契約もしていなかったときに、彼らのマネジメントが僕のマネージャーに、このバンドをプロデュースするというか、アルバムの制作に協力することに興味はないかって打診してきたんだ。その当時かなり忙しかったから、他のことをやる余裕はほとんどなかったんだけど、1曲だけ聴いてみたらすごくよかったから、何かしなきゃって思った。でもどうしても時間がなかったから、アルバムのうち1曲だけミックスをすることになったのさ。そのときのミックスをどんな風にやったかを彼らに説明して、彼ら自身がアルバムの残りをミックスするときに、それを参考にしたらしい。そのあとやっと時間ができたときに彼らのシングルのリミックスをして、そのお返しにミーガンが僕のトラックにヴォーカルとして参加してくれた。だから、全体的に自然な流れだったよ。

■『イミュニティ』はヨーロッパのエレクトロニック・ミュージックの感性を引き継ぎつつ、アンビエントなムードなどは現在の北米のシーンともシンクロするところがあるかと思ったのですが、実際のところ、あなたは現在のシーンの状況を意識するほうですか?

JH:うーん、シーンのトレンドを意識してしまうと、いたるところで使われているようなサウンドとかテクニックにどうしても影響されてしまうし、僕はDJじゃないからとくに新しいものをチェックしたりもしないんだ。だから騒がれているミュージシャンの名前とかもあまり覚えていないよ。そのときに目新しくて「いまっぽい」ものを作っても長くは残らないから、もし自分の作る音楽にそのときのシーンと共通するところがあるとすれば、それは純粋に偶然の問題であるべきだよ。だから僕の作ったものにいまの世界の流行と似通ったところがあるなら、それはただの幸運だね。もちろん流行と合ったものを作ることでより多くの人が取り上げてくれて、有名になることはラッキーでいいことだけど、意識的にそうしようと思ってするものじゃないな。

■曲名も暗示的ですし、何よりもあなたの楽曲はムードが非常にイメージを喚起しやすいですよね。楽曲を作りながら、あるいはアルバムとしてまとめながら、浮かんでいた具体的なイメージはどのようなものなのでしょうか。

JH:うーん、とくに具体的なイメージがあったというよりは、自分自身の心理状態とかを反映してるという方が近いかな。曲名を決めるのには、ブライアン・イーノとも共作したことのある詩人のリック・ホランドの力を借りたんだ。僕はそういうのがあまり得意じゃないから、僕らはときどき会ってまず僕が彼にそれぞれのトラックについてひたすら説明して、彼がそれをノートにとったりトラックを聴き込んだりして、名前を思い浮かべたりする、という方法でいくつかのタイトルは生まれたんだ。自分だけでできない部分は、コラボレーションをしながらやるのがいちばんいいよ。

質問作成:木津毅(2014年5月23日)

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Profile

木津 毅木津 毅/Tsuyoshi Kizu
ライター。1984年大阪生まれ。2011年web版ele-kingで執筆活動を始め、以降、各メディアに音楽、映画、ゲイ・カルチャーを中心に寄稿している。著書に『ニュー・ダッド あたらしい時代のあたらしいおっさん』(筑摩書房)、編書に田亀源五郎『ゲイ・カルチャーの未来へ』(ele-king books)がある。

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