「F」と一致するもの

Beyoncé - ele-king

 ここ何年かTVドラマを観ていて「頼っていいんだよ」というセリフを何度か耳にした(いつ、どのドラマで誰のセリフ?と詰め寄られるとそこで会話は終わりです)。ドラマだけでなく社会的弱者を扱った報道番組でもそれなりに使われていたかもしれない。社会的に孤立した人たちが立て続けに放火事件や無差別の殺傷事件を引き起こしたからだろう、弱者の孤立はめぐりめぐって社会のためにならないという考え方が広がり、そうした人たちに「不審者」というレッテルを貼って終わりではなくなったことが背景をなしていると思われる。「頼っていいんだよ」というフレーズを繰り返し聞いていると、04年に幹事長時代の安倍晋三が国民に刷り込んだ「自己責任」というコンセプトが日本中に根を張り、その呪縛から少しでも逃れようとして列島全体がもがいているような錯覚を覚えてしまう(同じ年に派遣法改正があり、その2年後に公安調査庁の監視対象から統一教会を外したことが絡み合い、めぐりめぐって安倍銃撃事件につながったとしたら世話はないという気もするけれど)。「頼っていい」どころか6年ぶりとなるソロ7作目『Renaissance』のオープニングでクイーン・Bことビヨンセは「I didn’t want this power(わたしはこんなに強くなりたくなかった)」と歌う。ジェイ・Zのおかげでもないし、特別な足がかりがあったわけもなく自分はここまで来たと。そして、自分自身とその虚像をいささか分裂的に描写し、本来の自分はピューリタン的で、スポットライトを浴びる「あの女」は「アメリカ人らしくない」という告発めいたニュアンスを交えて歌詞は続いていく。この辺りから様子がおかしくなる。自分がスターになったのは自分がそれだけがんばってきたからだと歌ったかと思うと「彼らが自分をそうさせた」と疑問形で反転させ、どことなくアイデンティティ・クライシスを漂わせながら、「You know love is my weakness(人を愛してしまうことが自分の弱点だ)」とする部分では自分と虚像のどっちに立っているのかもわからないほど彼女の自我は混乱しているかに見える。“I’m That Girl”はそして、強くなった自分がキリスト教的な原罪を意識するフレーズで締めくくられる。そのために壁にかけられたバスキアの絵がはたき落とされ、そこだけを見ればクイーン・Bはまるで不審者である。この不可解な行動はレディ・ゴディヴァ(アメリカではゴダイヴァ)をモチーフとしたジャケット・デザインにもそのまま投影されている。11世紀のイギリスでゴディヴァ伯爵夫人は貧しい領民から容赦なく税金を取り立てる夫に「お前が裸になって町中を馬で回ることができれば税を下げる」と言われて実行に移したという伝説(史実ではない)を19世紀にジョン・コリアが描いた肖像画の構図を下敷きとしたもので、端的に言えば自分は富裕層だけれど、心は民衆と共にあるというアンビヴァレンツな感覚を視覚化したものといえる。アメリカで富裕層として生きる黒人の現在を描いたTVドラマ『Empire 成功の代償」と同じく、そうした葛藤がここでも繰り返されているのだろう。「I’m that girl(私があのビヨンセ)」「Don’t need drugs for some freak shit(盛り上がるのにドラッグはいらない)」「I don’t need no friends(友だちは必要)」と、クイーン・Bの立脚点はどうにも定まらず、もしかすると、いま、「頼っていいんだよ」という言葉を最も必要としているのはクイーン・Bかもという考えさえ頭をよぎっていく。

 どれだけ社会の底辺にいて金も希望もないとしてもツイッターで罵詈雑言を吐き出すことによって保たれる平衡があるように、クイーン・Bには音楽があり、不安定な感情を平衡状態に戻す方法論は整えられている。パンデミック3部作の1枚目にあたり、エスケーピズムを扱ったという『Renaissance』で彼女は、そして、初めてハウス・ミュージックをその受け皿に選んでいる。クイーン・Bは元々、とんでもなく自我が強く、何を歌っても「私よ!」「私よ!」としか聞こえないシンガーだった。圧倒的なパワーに引き込まれる人もいただろうし、押し付けがましいと感じた人もいただろう。そんな彼女が少し柔らかくなったと僕が感じたのは13年にリリースされた5作目『Beyoncé』で、その次にリリースされた『Lemonade』の方が多くの人にアピールしたと思うけれど、『Beyoncé』の方が僕はなじみやすく、長く聴けるアルバムとなった。子どもが生まれたことが大きく影響したことは明らかで、テーマはフェミニズム、サウンドはヒップホップ・ソウルがメインと内省の要素が絶妙だったのかもしれない(個人の感想です)。BLMと交錯したことでパワーを増した『Lemonade』を脇にどけ、『Beyoncé』でトーン・ダウンした自己アピールをさらに後退させてみたらどうなるだろう。ヒップ・ホップや王道のロックが自己アピールを強く打ち出すのとは対照的に、どちらかと言えば没個性的で、みんなと場をシェアすることが喜びにつながるのがハウスであり、ディスコ・カルチャーである。『Renaissance』でハウス・ミュージックが選択された理由は自己主張を強めることよりも民衆と共にありたいというゴディヴァ夫人と同じような感覚が探り当てたものに近いものがあるからだろうか。先行シングルとなった“Break My Soul”ではマドンナ”Vogue”がサンプリングされ、アジーリア・バンクスを思わせるラップが随所で入ったり、“Energy”では♪ウラララ~とフージーズでおなじみテーナ・マリーのスキャットもインサートされたりするけれど、基本的にはアシッド・ハウス・ムーヴメントの先頭グループにいたラリー・ハードを思わせるカシャッ、カシャッというスネアをフィーチャーした曲が何曲も続いたあげく、最後にドナ・サマー“I Feel Love”を換骨した“Summer Renaissance”で締めくくられるという流れはそのままでディスコ~ハウスの歴史に身を置いているというステートメントになっている(それらを前提としたサンプリングやゲスト・ミュージシャンのリストだけでとんでもない量になるので詳細は省略)。『Renaissance』というタイトルは新型コロナを中世のペストに見立て、ロックダウンによって失われた人間性を回復するという意味を持たせているらしく、それは同時にニーナ・シモンやアレサ・フランクリンが苦渋を歌に込めていた時代を中世にたとえ、ディスコ以降に女性シンガーたちが喜びをストレートに表現する時代が到来したという意味にも取れなくはない。「Voting out 45(45代は再選させない)」(*45代大統領=ドナルド・トランプ)などという歌詞も挟まったりするけれど、基本的に“I’m That Girl”以外は歌って踊ってセックス三昧みたいな歌詞ばかりで、ヴォーカルも実に優しく、たまたま今日の昼間はあいみょん、4s4ki、Miyunaと張り詰めた女性ヴォーカルばかり聴いたせいか、「1996年みたい(That’s that 1996)という歌詞通り、全体にノスタルジックな響きを強く感じるほど素直でハッピーかつアナクロなムードさえあった。90年代にちょっと流行ったボールルームを取り上げた“Move”や“Thique”はしかし、めちゃくちゃ新鮮で、ボールルームというよりは南アのゴムに聞こえる“Cozy”やダンスホールを変形させた“Alien Superstar”とともにフロントラインと結びつけているところはさすがというか。ゴディヴァ伯爵夫人の肖像画は俯いているけれど、それを真似たクイーン・Bはピシッと背筋を伸ばしている。ビヨンセが本当は欲しくなかったという力をパンデミックからの回復のために使うというのは実に真っ当だと思うし、何よりもハウス・ミュージックをやることが自分自身のセラピーになっているのではないだろうか。

(8月31日、追記)
 なお、7月に先行配信が開始された『Renaissance』の11曲目“HEATED“に「Spazzin’ on that ass, spaz on that ass(尻の上で震える)」という歌詞があり、この「spaz」という単語が手足に麻痺があったり、動作の鈍い人をからかう言葉として使用されることが多く、今年の6月にもリゾが“Grrrls”をリリースした際にも非難が殺到し、謝罪して歌詞を変更したばかり。ビヨンセも「意図的に使ったものではないが、歌詞を差し替える」と発表している。「spaz」はリッチー・ホウティンでおなじみ「Spastik(Spastic)」を縮めた言い方で、やはり「けいれん」という意味から俗語では「鈍臭いやつ」という侮蔑表現に転じている。 LAで10年代前半にJ・ポップをやっていたSpazzkidなどはわざと使っていたのだろう。

Larry Heard - ele-king

 ビヨンセの新作はハウス・ミュージックに焦点を当てたものだったが、ハウスの故郷であるシカゴで、1980年代後半に生まれた大名曲のほとんどは〈トラックス〉レーベルからリリースされていた。しかしながら、このレーベルは早くから黒い噂に包まれていた。レコード製造のために中古盤を溶かして再利用した話はその有名なひとつで、もうひとつ有名な話は、アーティストへの印税の支払いがなく、また許可もなくがんがんに再プレスやらライセンス契約をしていたことが挙げられる。(初期のシカゴ・ハウスのシーンは、まだ業界のことなくど何も知らない純粋な若い人たちの集まりだったので、それが商売になることなど考えてもいなかった)
  
 ディープ・ハウスの先駆的作品であり、クラシック中のクラシックとして名高い“Can You Feel It?”や“I'll Be Your Friend”、あるいはアシッド・ハウスの名曲“Washing Machine”や“Beyond The Clouds”などといった、これまでいったいどれほどの枚数が売られ、どれほどの人たちに聴かれてきたのか計り知れないような曲を制作しながら、これまでいっさいのロイヤリティを支払ってもえなかったラリー・ハードとロバート・オウェンスのふたりは、この度、著作権侵害に関する2年におよんだ〈トラックス〉との法廷闘争の末に勝訴したことを昨日『ガーディアン』が報じた。かくして36年目にしてラリー・ハードとロバート・オウェンスのふたりは自分たちの曲の権利を自分たちのものにすることができたのだった。アドニスも2年前から35年以上前の未払いをめぐって法廷闘争の準備をはじめているという。
 
 とはいえ、決して晴れ晴れしい勝利というわけでもない。ラリー・シャーマンが他界し、現在その権利を継承した妻と〈トラックス〉にはすでに支払い能力がなかったため、ディープ・ハウスのオリジネイター2人はこの勝訴によっていっさいの金銭を受け取ることはできなかった。〈トラックス〉は、初期シカゴ・ハウスで何百万ドルの収益を得ているというのに、だ。それでも記事を読む限りでは、ラリー・ハードの態度はさばさばしており、昨今のハウス・ブームに素直に喜んでもいる。また、いまは自身の初期音源を整理していくことにも情熱を持っているようだ。
 今年ラリー・ハードは、〈Alleviated〉からディープ・ハウスの大名盤『Ammnesia』を再リイシューし、また、新作「Around the Sun Pt 1,」もリリースしたばかり。ビヨンセやドレイクのファンにもぜひチェックしてもらいたい。
 

 

The Comet Is Coming - ele-king

 UKジャズ・シーンにおける重要グループのひとつ、ザ・コメット・イズ・カミング。エレクトロニック・ミュージック寄りのデュオ、サッカー96のふたり──シンセ担当のダナログとドラムス担当のベータマックス──に、サックスのシャバカ・ハッチングスを加えたこのトリオの新作が、9月23日に発売される。題して『極超次元拡張ビーム(Hyper-Dimensional Extension Beam)』。録音はピーター・ゲイブリエルのスタジオでおこなわれたそうだ。
 そしてなんと、嬉しいことに来日公演も決定。12月1日から3日にかけ、渋谷と大阪をまわります。前回来日時のフジで素晴らしいパフォーマンスを披露した彼ら、今回の単独公演も必見だ。

ロンドンを拠点にフロアを揺らし続けるコズミック&レイヴなジャズ・トリオ、
名門インパルスから待望のニュー・アルバムをリリース

●シンセサイザーのダナログ(ダン・リーヴァーズ)、サックスのシャバカ(シャバカ・ハッチングス)、ドラムのベータマックス(マックス・ハレット)の3人によるコズミック&レイヴなジャズ・トリオ、ザ・コメット・イズ・カミング。ロンドンを拠点に活動し、マーキュリー賞にノミネートもされている彼らが、待望のニュー・アルバムをリリース

●シンセサイザー、サックス、ドラムという特異な編成でパンクロック、ジャズ、トランス等様々なジャンルを横断しダンスフロアを揺らし続けているザ・コメット・イズ・カミング。本作はイギリスにあるピーター・ガブリエル所有のリアルワールド・スタジオでレコーディングされた。バンドの長年のエンジニアであるクリスチャン・クレイグ・ロビンソンと共に、トリオは4日間のレコーディングを敢行。その後ダナログとベータマックスが録音を入念にサンプリングし、深遠かつ首尾一貫した音楽的メッセージを持つ今回の作品が生み出されたという。

●12月に待望の来日公演も行うことも決定! 2019年以来約3年振り2度目の来日で、12月1日と2日に渋谷WWW、12月3日に大阪の LIVE HOUSE ANIMA での計3公演となっている。


The Comet Is Coming / HYPER DIMENSIONAL EXPANSION BEAM
ザ・コメット・イズ・カミング / ハイパー・ディメンショナル・エクスパンション・ビーム
2022.9.23 リリース Impulse!
配信 / 輸入盤

収録曲
01. CODE
02. TECHNICOLOUR
03. LUCID DREAMER
04. TOKYO NIGHTS
05. PYRAMIDS
06. FREQUENCY OF FEELING EXPANSION
07. ANGEL OF DARKNESS
08. AFTERMATH
09. ATOMIC WAVE DANCE
10. THE HAMMER
11. MYSTIK


ザ・コメット・イズ・カミング プロフィール
2018年、サンズ・オブ・ケメットで米国インパルスからメジャー・デビュー(アルバムは英国マーキュリー・プライズにノミネートされる快挙)を飾った、現行UKジャズの中心人物シャバカ・ハッチングス(キング・シャバカ)率いる大本命ユニット。
サックスのキング・シャバカ、シンセサイザーのダナログ、ドラムのベータマックスによって2013年に結成。2015年末に12インチとデジタ ル配信のみでリリースされたデビューEP『The Prophecy』は英DJ Mag 誌で10点中9.5点の高評価を獲得し、ジェイミー・カラムも自身のラジオ番組で「最高のニューカマー」と絶賛。翌2016年にはデビュー・フル・アルバム『Channel The Spirits』を発表。そして2019年、満を持してメジャー・デビュー作をドロップ。

シャバカ・ハッチングス プロフィール
シャバカ・ハッチングスは1984年、ロンドン生まれ。6歳の時にカリブ海に浮かぶ西インド諸島の国、バルバドスに移り住むが、その後、イギリスに戻り、以来、ロンドンのジャズ・シーンの中心を担っているサックス奏者。1960年代のジョー・ハリオットやエバン・パーカー以来の創造性を持つと言われ、その独特でパワフルなプレイからしばしば「カリスマ」もしくは「サックスのキング」と評される。
現在、コメット・イズ・カミング、サンズ・オブ・ケメット、そして、シャバカ・アンド・ジ・アンセスターズの3つを主要プロジェクトとしており、プロジェクトを跨いで JazzFM や MOBO のジャズ・アクト・オブ・ジ・イヤーなど数々の賞を受賞している。

■来日公演情報
The Comet is Coming Japan Tour 2022
2022年12月1日(木) 渋谷 WWW
2022年12月2日(金) 渋谷 WWW
2022年12月3日(土) 大阪 LIVE HOUSE ANIMA
チケット情報等詳細は後日発表!

■ザ・コメット・イズ・カミング リンク情報
ユニバーサルミュージック https://www.universal-music.co.jp/the-comet-is-coming/
Twitter: https://twitter.com/cometcoming
Facebook: https://www.facebook.com/thecometiscoming
Instagram: https://www.instagram.com/cometcoming/

■シャバカ・ハッチングス リンク情報
本国公式サイト http://www.shabakahutchings.com/
Twitter: https://twitter.com/shabakah
Facebook: https://www.facebook.com/shabakahutchingsmusic/
Instagram: https://www.instagram.com/shabakahutchings/
YouTube: https://www.youtube.com/user/shabakahutchings/featured

Ezra Collective - ele-king

 ドラムとベースのコレオソ兄弟を中心に、ジョー・アーモン・ジョーンズも名を連ねるロンドンの五人組、エズラ・コレクティヴの新作『Where I'm Meant To Be』が11月4日にリリースされる。ファースト『You Can't Steal My Joy』から3年ぶりのアルバムだ。サンパ・ザ・グレイト、コージー・ラディカルといったゲストも参加。楽しみに待っていよう。

ジャズと様々なジャンルをシームレスに融合させたサウンドでシーンをリードするUKのクインテット、エズラ・コレクティヴ。名門パルチザン・レコードより、待望のセカンド・アルバム『ホェア・アイム・メント・トゥ・ビー』をリリース。

●ゲスト:サンパ・ザ・グレイト、コージー・ラディカル、エミリー・サンデー、ネイオ

アルバムより、「Life Goes On (Feat. Sampa the Great)」のビデオを公開。
★Ezra Collective - Life Goes On (Feat. Sampa the Great) (Official Video)
https://youtu.be/9sS-QEyLycs

2022.11.4 ON SALE[世界同時発売]

アーティスト:EZRA COLLECTIVE(エズラ・コレクティヴ)
タイトル:WHERE I'M MEANT TO BE(ホェア・アイム・メント・トゥ・ビー)
品番:PTKF3020-2J[CD/国内流通仕様]
定価:未定
その他:世界同時発売、解説付
発売元:ビッグ・ナッシング/ウルトラ・ヴァイヴ

収録曲目:
01. Life Goes On (feat. Sampa the Great)
02. Victory Dance
03. No Confusion (feat. Kojey Radical)
04. Welcome To My World
05. Togetherness
06. Ego Killah
07. Smile
08. Live Strong
09. Siesta (feat. Emeli Sandé)
10. Words by Steve
11. Belonging
12. Never The Same Again
13. Words by TJ
14. Love In Outer Space (feat. Nao)

★Ezra Collective - Victory Dance (Official Video)
https://youtu.be/NiZPsN2pbTM

●Ezra Collectiveは11月4日にPartisan Recordsからニュー・アルバム『Where I'm Meant To Be』をリリースする。『Where I'm Meant To Be』は、Ezra Collectiveのハイブリッド・サウンドと洗練された集団としての個性を昇華させた作品だ。Thelonious Monkの『Underground』をモチーフにしたアルバム・ジャケットをはじめ、楽曲はクールな自信と明るいエネルギーに満ちている。アンサンブル・パート間でのコール・アンド・レスポンスによる会話に満ちたこのアルバムは、長年ステージ上で共にインプロヴィゼーションを行ってきた成果である。Sampa The Great、Kojey Radical、Emile Sande、Nao等も参加したこのアルバムは、汗に満ちたダンス・フロアと夏のディナーのサウンドトラックを等しく明るくする。バンドの2019年デビュー・アルバム『You Can't Steal My Joy』は、ジャズの繊細さとクラシックなサウンドをアフロビート、ヒップホップ、ダンスホールのリズムとシームレスに融合させたサウンドで、イギリスでのジャズ復活の中、彼らを最もエキサイティングなアクトの1つとして確立させた。結果、Rolling Stone、Pigeons & Plane、The New York Times(London)は注目すべき新進バンドのひとつとして、彼らを取り上げた。

●Ezra CollectiveはUKのジャズ・シーンをリードするバンドだ。メンバーはドラムのFemi Koleoso、ベースのTJ Koleoso、キーボードのJoe Armon-Jones、サックスのJames Mollison、トランペットのIfe Ogunjobiの5人。イギリスの音楽教育機関、トゥモローズ・ウォリアーズで出会ったことにより、活動がスタートした。2枚のEPをリリース後、2019年にデビュー・アルバム『You Can't Steal My Joy』をリリース。高い評価を博した。バンドは事実上のスーパーグループで、Ezra Collectiveとしての活動以外でも多忙を極める。ドラマーでバンド・リーダーのFemi Koleosoは今やGorillazのラインナップに欠かせない存在だ。ベースのTJ KoleosoはYazmin Laceyと共演。キーボードのJoe Armon-JonesはMick Jenkinのニュー・アルバムに参加。Nubya Garciaとツアーをおこない、FatimaとのコラボレーションEPをリリースする予定である。サックスのJames MollisonはNala Sinephroのバンドでプレイし、トランペットのIfe OgunjobiはBurna Boyと共に、ソールドアウトのスタジアムでプレイしている。

■More info: https://bignothing.net/ezracollective.html

interview with Black Country, New Road - ele-king

 デビューしてからの3年間、ブラック・カントリー・ニューロードの活動の歴史は激動だった。ヴォーカルを担当していたメンバーの性的暴行が告発されたことによって前身バンド、ナーヴァス・コンディションズの解散が余儀なくされたとき、残ったメンバーのほとんどは再び集まりバンド活動を続けることを決意した。ステージの端でギターを弾いていたアイザック・ウッドの前にマイクが置かれ、ツイン・ドラムだったドラムは一台になり、サウス・ロンドン・シーンの新しいバンド、ブラック・カントリー・ニューロードはそんなふうにして姿を現した。喋るように唄うアイザック・ウッドのヴォーカルは鬼気迫るような迫力で、スリリングなポストパンクのサウンドと絡むそれは最初のライヴから何かとんでないことが起きていると感じさせ、ライヴを重ねるごとにその評価はどんどん高まっていった。熱を帯びるサウス・ロンドンのシーンのさなか、2020年にリリースされた1stアルバム『For the first time』はそんな狂気に充ちたライヴを続けていた時期を封じ込めたアルバムで、ファンもその熱を真っ向から受け止め、より一層に大きな評判を呼んだ。次に何が起きるのかわからないというスリルがそこに存在し、もしかしたらいま、この瞬間こそが歴史に残るような瞬間になるのではないかと小さな世界の中でそう大げさに思わせるようなドキドキと期待感が確かにそこに存在していたのだ。

 そしてパンデミックがあった。2022年2月に発表された2ndアルバム『Ants From Up There』はライヴの熱狂を受けて制作された1stアルバムと打って変わって、観客のいない彼ら7人の間で作られたアルバムだった。ワイト島での3週間に渡った共同生活の中でレコーディングされた2ndアルバムは危険なポストパンクの匂いが消え柔らかくノスタルジックに響く、まるで違ったバンドになったみたいな新しいブラック・カントリー・ニューロードの姿がそこにあった。
 だがこれらの曲が観客のもとに届けられるツアーがおこなわれることはなかった。2ndアルバムがリリースされる直前にヴォーカル/ギターのアイザック・ウッドがバンドを脱退するという発表があったのだ。「精神的な問題で、これ以上ステージに立つことは難しい」。Facebook上でそんなメッセージを受け取ったバンドは彼の意思を尊重した。そして長い話し合いの末に、残された6人のメンバーはこの活動を継続することを決めた。予定されていたツアーをキャンセルし、その後に出るライヴでは1stアルバムと2ndアルバムの曲は演奏しない。誰も見たことのない、新しいブラック・カントリー・ニューロードの姿で再びスタートを切ると彼らは決めたのだ。

 ここにあるのはリアルタイムのドラマだ。その判断がどのような結果を生んだのか、それをいまの時点で考えるのは早すぎる。だが後から結果を見ただけではわからない、その過程にだけ存在する特別な何かがあるのだ(それはこれまでのBC,NRの活動が証明していることでもある)。6人でバンドを続けるという選択、アイザックひとりが担当していたヴォーカルを分け、新たに作った曲、新たな姿のバンドでこの夏のライヴに彼らは臨んだ。フジロックで初来日を果たしたブラック・カントリー・ニューロードのドラム、チャーリー・ウェインとキーボードのメイ・カーショウのふたりにバンドのこれまでと、そしてこれからについて話を聞いた。


向かって左がチャーリー・ウェイン(ドラム)、右がメイ・カーショウ(キーボード)

ロンドンのシーンのトレンドっていうのは僕らよりもうちょっと若いとか、あるいはもうちょっと多くロンドンでプレイしているバンドたちによって作られているって思っている(ウェイン)

初来日のフジロックはどんな印象でしたか?

カーショウ:凄く良かったと思う。日本でプレイしたかったというのが叶ったのも良かったし、やってみてもっとプレイしたいってふうにも思って。何よりお客さんがリスペクトしてくれているっていうか曲をしっかり聞いてくれているみたいな感じがして嬉しかったな。他のフェスだとけっこう隣の人と話しながらだったりするんだけど全然そんなことなくて。

今回、プレイする曲はすべて新曲ということで、かなり特殊で難しいシチュエーションだったと思いますが、その点はどうでしたか?

ウェイン:曲作りってことでいうと、いまもってありとあらゆるものを集めているって感じなんだ。1月にブッキング・エージェントから夏のフェスティヴァルの話が来て、新曲を持っていくこともできるって話になって、それで僕たちはそうすることを選んで曲を書きはじめた。でも、全部を新曲にするっていうのは本当に難しかったのは確かで、明らかにいまも発展途上。まだ曲は完成していないんだけど、でもその期間は楽しかったしエキサイティングな時間でもあったと思うよ。期限までに曲をプレイ可能な状態にしなきゃいけないってプレッシャーから来るストレスも同時にあったんだけどね。でも凄くエキサイティングだった。

現在はタイラー(・ハイド)とメイ(・カーショウ)とルイス(・エヴァンス)の3人がそれぞれヴォーカルを担当していますよね? その3人がヴォーカルを担当することになった経緯を教えてください。

カーショウ:最初はみんなで唄うってプランもあって。っていうのは誰かひとりがメインでヴォーカルを担当するとその人のプレッシャーが凄いことになると思ったからで。みんな唄えるんだからそうしたらいいじゃないって。でもライヴまでの準備期間が4ヶ月しかなかったから、一から曲を作るんじゃなくてメンバーが個人で作っていた曲を膨らませる方向にシフトして。で、その曲はタイラーが持ってきたのもあればルイスや私が持ってきたのもあって、自然とそのまま元の曲を作った人が唄うことになったって感じかな。

編集部:バンドにブレインみたいな人はいないんですか? 方向性を決めたりする。

カーショウ:ブレインはいないかな。みんなで決める感じで。

ウェイン:うん。そういう誰かひとりがいると違うんじゃないかってなっちゃうし、演奏してても楽しくなくなっちゃうかもしれないし。だからお互いのパートを尊重して任せる感じかな。

カーショウ:その分話し合いは凄くするよね。友好的な口論みたいな「ちょっとちょっと、ここさぁ~」みたいな感じで。

今後も確たるメイン・ヴァーカルを決めないこのスタイルでやっていくのですか?

カーショウ:いまのところはこの形だけど、アルバムを作るときはどうなるかな?

ウェイン:いまはまだ全然アルバムの曲を書いていなくて、そのときになったら考えようって。でも歌詞を書いて頭に描いたコンセプトをそこに落とし込んで、それを複数人でやると感情的に分散してしまうような、一貫したスルーラインが見えない音楽になってしまう危険性があると思うんだ。それを避けるっていうのは今後凄く重要になってくる。

僕たちは結局、ある意味でバラバラになってしまったんだと思う。忙しくなっていろんなことをやらなきゃいけなくなって、妥協しなきゃいけないこともあって。(ウェイン)

まだアルバムの曲作りをしていないとのことで難しい質問になってしまうかもしれませんが、これから3rdアルバムはどんな方向性に進んでいくと思いますか。

ウェイン:いいアルバムになる方向(笑)。

カーショウ:これから作るから探していかなきゃね。

ウェイン:けど全然違う感じになると思う。1stアルバムと2ndアルバムも全然違ったものになったし。2ndアルバムはそのときの状況もあったけど1stとは違うものを作りたいっていうのが出発点だったから。だから今度のアルバムもいろんな理由で全然違う感じになると思う。でも聞いていて楽しめなかったりプレイして良くないって僕らが信じられないようなアルバムを出す気はないから……うん、だからやっぱり良いアルバムになるな(笑)。

(配信で)ライヴを見ていて思ったのですが、いまはフルートを多用していますよね? 2ndアルバムでも使っていましたけどより比率があがったような印象で。

ウェイン:実のところルイスはもともとフルート奏者なんだよね。

カーショウ:そうそう。だから曲の雰囲気に合うって彼が思ったから使っているって感じじゃない?

そのフルートが合うような感じに2ndアルバムで曲が変わったというのはなぜだったのでしょうか?

カーショウ:それはなんだろう? そのときに聞いている音楽の影響だったのかな。あとはロックダウンのときに感じたことの影響とか。

ウェイン:うん、いろいろな状況の影響はあるよ。1stアルバムの曲を書いてたときはライヴをいっぱいやってた時期で、尖ってて奇妙で魅力的な、グルーヴィな音楽を作りたかったんだ。でも2ndアルバムには恐れる観客はいなくて、代わりにみんなで集まって集中してアルバムを作れるって状況だった。その点についてはとてもラッキーだと思ってて。同じようなアルバムを作るのはつまらないって思いもあったし、こうやってみんなで集まって音楽を作れるってことは幸せだって感じるような、そういう感情になったってことが2ndアルバムの曲作りにも反映されたんだと思う。

編集部:2ndアルバムから似た雰囲気を感じたのですが、70年代のプログレッシヴ・ロック・バンド、ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーターは聴いたことがありますか?

ウェイン:聞いたことはあるけど影響を受けたかっていわれるとどうだろう? でもメンバーの誰かが聞いて影響を受けていてそれが反映されたっていうのはあるかもしれない。僕らみんな全然違う音楽から影響を受けていて、それがこのバンドをユニークにうまく機能させているってところがあるから。

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でも同時に全員これからも一緒にやっていこうっていう気持ちも強く持っていたと思う。(カーショウ)

ちなみにいまはどんなバンドがお気に入りなんですか?

カーショウ:ジョアンナ・ニューサムが好き。

あぁそれはライヴを見て感じました。メイのヴォーカルの曲はそんな感じがするなって。

カーショウ:本当? 良かった。

そのことについて聞きたいのですが、メイのヴォーカルの曲で “The Boy” という曲がありますよね? チャプターがあって寓話を元にした劇みたいで、いままでのBC,NRの曲とは全然違う感じの印象の曲で。この曲はいつ頃作られたのですか?

カーショウ:いつだったかな? 今年のはじめの方? 曲のベースをそのくらいの時期に作って。バンドに持っていく前はもっとフォークっぽかったんだよね。ピアノで作ってて、そこからまたいろいろと変わっていったんだけど。

じゃあまさにジョアンナ・ニューサムにハマってた頃?

カーショウ:(日本語で)はい。そうです。ふふっ。

それこそこの曲はフルートに合うような音楽で。 最近UKのバンドでフルートを使っている人たちが増えてきている印象があって。ルイスがフルートを吹いてるマーサ・スカイ・マーフィーとかイーサン・P・フリンとか、あとはブルー・ベンディとか。その流れに沿っている部分もあるのかなと感じたのですが、いかがでしょう? BC,NRの1stアルバムが出た頃と2ndアルバムが出た頃ではロンドンのシーンの空気もだいぶ変わったんじゃないかと思うのですが。

ウェイン:うん。でも僕らはロンドンのミュージック・シーンのバンドだとは思うけど、でもそれに答えるのに適したチームとは言えないんじゃないかって。っていうのはロンドンのシーンのトレンドっていうのは僕らよりもうちょっと若いとか、あるいはもうちょっと多くロンドンでプレイしているバンドたちによって作られているって思っているからで。僕たちもロンドンでプレイするのは本当に大好きなんだけど、でもいまは充分にロンドンでプレイできてるとは言えなくて。ロンドンのバンドは僕たちに影響を与えてるし、僕たちもその一翼を担っているって思ってもいるけれど、ロンドンのシーンがどうかって説明するのはちょっと難しいかな。それは中にいるせいで俯瞰して全体像をとらえるのが難しいっていうのもあるのかもしれないけど。

ありがとうございます。それでこれは何度も聞かれてうんざりかもしれませんが、アイザックがバンドを脱退するとわかったときに解散せずにこのままバンドを続けると決断したときの状況を教えていただける嬉しいです。

カーショウ:とても長い話し合いがあって……名前を変えて新しいバンドとしてスタートした方がプレッシャーが少ないんじゃないか、そうした方が比べられることもないんじゃないかって、私とジョージア(・エラリー)はそんなふうに考えてた。でも他のみんなはそうじゃなくて。みんなで決めて、もちろんいまは私もこれで良かったって思っているんだけど。

ウェイン:僕たちは結局、ある意味でバラバラになってしまったんだと思う。忙しくなっていろんなことをやらなきゃいけなくなって、妥協しなきゃいけないこともあって。

カーショウ:でも同時に全員これからも一緒にやっていこうっていう気持ちも強く持っていたと思う。

ウェイン:うん、どちらにしても間違いなく僕たちは一緒にプレイし続けただろうね。でも新しいバンドとしてスタートしたとしても比較されることは避けられなかった。名前を変えなかったからより直接的に比較されるわけだけど。でもなんていうか僕たちはまったく違うバンドじゃなくて、音楽的にも同じような世界観を持ち続けているバンドで……。難しいけど。でも名前を変えないってことに決めて、いまはそれがうまく機能していてその点では嬉しく思っているんだ。

明確なものとかパーソナルなものとか具体的な歌詞は書きたくなくて、それで自分が出てくるような話じゃなくて、ハリネズミとかモグラとか動物が出てくるストーリーを書いたんだと思う。(カーショウ)

1stアルバムのインタヴューでルイスが「音楽よりも友情の方が大切さ」と言っていてそれが印象に残っています。ライヴの最初に披露された “Up Song” でメンバー6人全員が声を合わせて「BC,NR friends forever」と唄っていて、ある種の決意表明みたいにも思えたのですが、この部分を全員で唄うというのはどういう意図があったのですか?

ウェイン:ルイスはそんなこと言ってたんだ? でも僕だったら「音楽よりもお金の方が重要だ」って言うな(笑)。もちろん冗談だけど。

カーショウ:「BC,NR friends forever」っていうのもはじめはジョークだったんだよね。最初にやる曲としてちょっと面白いかなって。

ウェイン:結構こういうのってあるんだよね。ジョークからはじまった音楽的エフェクトが長く続けていくうちに音楽的にも感情的にも意味を持っていくみたいな。ほんと馬鹿なんだけどスタジオで練習しているときに誰かがやりはじめて。で、いざそれをステージに持ってくとみんな「イェー!」って盛り上がってくれて。最初にこれを披露したのはブライトンだったんだけど、初めて聞いたのにみんな「あぁああっー」って感じで超盛り上がってくれて、それでこれ凄いクールじゃんみたいな。

カーショウ:最初はその部分違ったよね? あれ? なんだっけBC,NRの後? 「BC,NR ~」(歌い出すメイ)……ダメ思い出せない。でもとにかく最初は全然違う文脈だった。

ウェイン:僕らはしばしば感情をハイジャックされるシチュエーションにおちいるんだ。

カーショウ:“Up Song” はもともとはタイラーが作った曲で歌詞もタイラーが書いたんだけど、そこにみんなで言葉を付け加える感じで。

ウェイン:そうそう。曲の構成を考えるとき、最初のラインが凄く響いたんだ。それでここのヴォーカル・ブレークに何か追加しようとして……アーケイド・ファイアに “Neighborhood #3 (Power Out)” って曲があるよね? 1stアルバムの。その曲に「we find a way!」って叫ぶ小さなセクションがあるんだけど、そんな感じにしたかったんだ。

歌詞でいうと、メイの “The Boy” はどんなところから歌詞が出てきたんですか? 何かインスピレーションのもとになったようなお話があったんですか?

カーショウ:具体的にはないな。(日本語で)わかんない。なんだろう、頭の中にあったものを出したって感じだったから。でもとにかくこの曲を書いたときは明確なものとかパーソナルなものとか具体的な歌詞は書きたくなくて、それで自分が出てくるような話じゃなくて、ハリネズミとかモグラとか動物が出てくるストーリーを書いたんだと思う。

編集部:ちなみにここ(取材場所)は日本のすばらしいレコード店のひとつで、BIG LOVEというお店ですが、ふだん音楽を聴くときは配信やストリーミング、デジタルで聞くことが多いですか?

カーショウ:Spotifyで聞くことが多いかな。アーティストにとっては良くないのかもしれないけど、それで聞いちゃう。YouTubeでも聞くし。ジョアンナ・ニューサムはストリーミングで配信してないから、それは買って聞くみたいな。そんな感じ。

ウェイン:僕もそうだな。アーティストに支払われる金額が少ないからSpotifyで聞くのはあんまりよくないのかもしれないって思ってはいるんだけど。でもルイスはプレイヤーを持っているから、ルイスの家に行ってみんなでレコードを聞くこともあるよ。みんなで聞くときはそっちの方が良いし。でもほとんどデジタルだなぁ。

編集部:自分たちはアナログ盤を出していて複雑な気持ちになりません?

カーショウ:Spotifyがもっとお金を払ってくれたら自分たちもレコード買えるのに。(日本語で)冗談。

最後にここまでの活動を振り返るという意味で、1stと2ndアルバムの曲でそれぞれ好きな曲を教えてもらえますか?

カーショウ:1stは演奏するのが楽しい曲が多いよね。

ウェイン:うん楽しかった。

カーショウ:でも “Track X” は別。あの曲はちょっと演奏するのがストレスだった。私とルイスとアイザックがそれぞれ違うビートで演奏するから、あの人たちの演奏を聞かないようにしようってするのが本当に大変で。好きなのは “Science Fair”、2ndアルバムの曲だと “Haldern” が好きだな。

ウェイン:そうだな、僕のお気に入りは……ちょっと定番過ぎて言うの恥ずかしいんだけど、でも1stだとやっぱり “Sunglasses” が好きだな。で、2ndだと “Basketball Shoes”(笑)。

カーショウ:ほんと定番(笑)。

ウェイン:うん(笑)。でも、本当に曲として素晴らしいんだよ!

FN Meka - ele-king

 いやはや、少し前にAIが感情を持っただのなんだのという話題がありましたが、次世代音楽企業を自称する「Factory New」の共同創業者、アンソニー・マーティーニ(白人)とブランドン・ル(アジア人)によって開発され、アメリカの大手レコード会社キャピトル(その傘下にはブルーノートもあります)がデビューさせたAIラッパー、TikTokで1000万人以上のフォロワーを誇る、人工知能を一部搭載したヴァーチャルな「ロボットラッパー」、その名もFN Meka。去る8月12日にデビュー・シングル「Florida Water」をリリースしばかりですが、早々と降板が決定したようです。
 というのも、AIラッパーの黒人の外面、そしてNワード連発、刑務所で警察から暴行されるインスタ投稿など、“黒人ラッパー”のステレオタイプ化がひどかったそうで、さっそくブラック・コミュニティから猛反発を受けることに。これにはキャピトルも速やかに謝罪を表明し、このプロジェクトの中止を発表した。なお、楽曲と歌詞はポピュラー音楽を分析するAIシステムによって生成させたもの、楽曲は人間が演奏していたそうだ。

Noda & Wolfers - ele-king

 ニヤけが止まらないダブ・アルバムといいますか、ある種のプライベートなトリップのための「セット」にこれほど最適な作品はないのではという。どちらかといえばホーム・オーディオから心地よく聞こえてきて欲しいダブ・アルバムといいますか(もちろんサウンドシステムの轟音でも最高ではないでしょうか)。ダッチ・エレクトロの雄、レゴヴェルトことダニー・ウォルファース、そして日本のエレクトロニック・ダブのアーティスト、ミスティカ・トライブことノダタカフミによるユニットの作品のご紹介です。リリースはレゴヴェルトの自主レーベルで、Bandcamp 上で活発にリリースをおこなっている〈Nightwind〉より(なんとこれが name your price ですって)。

 一瞬、この二組の組み合わせ、意外な感じもありますが、その結び付きの痕跡はアンダーグラウンドなオランダのエレクトロ・シーンに見つけることができます。レゴヴェルトは、それこそその筋の代表的なアーティストですが、デビューもその筋のパイオニア的レーベル〈Bunker〉。そしてミスティカ・トライブの初期作12インチをリリースしてきたのは同じくオランダの〈SD Records〉。でもって、その主宰のシンコム・データというユニットがまさに〈Bunker〉出身ということで、レゴヴェルトにしても周辺のレーベルから多数リリースしていたりと、ローカルのシーンはそれぞれつながってそうなので、そのあたりのオランダのエレクトロ・シーンから縁が生まれたのではないかと。また少し前にレゴヴェルトが自主編纂しているデジタル・ジン『Shadow Wolf Cyberzine』にもミスティカ・トライブのインタヴューが、付録のコンピにはミスティカ・トライブによるレゴヴェルトのカヴァーも収録されているので、ある程度の距離感は想像できそうです。
 ちなみにですが、この〈Bunker〉と言えば、スクワット・パーティをおこなうパンクスたちによって設立されたDIYを突き詰めたようなそのスタイルが、ローファイ・ハウスの牙城、NYの〈L.I.E.S〉に強い影響を与えたことでもよく知られている、ある種の伝説的なレーベルですね(1998年にあえなく倒産)。と、おそらくこうした人脈から、かたやオランダのローファイなヴィンテージ感のあるエレクトロ~ハウス~テクノの代表的アーティスト、かたやメロディカ(鍵盤ハーモニカ)を操るデジタル・ダブのマスターによる、このコラボが結実したのではないかと。

 そんなふたりの作品はデジタル化した初期のダンスホールを若干ピッチダウンしたかのようなマシン・リディムにゆらゆらとメロディカやシンセが揺らめく、サイケデリックな電子ダブ。いわゆるべーチャン由来のもはやフォーマットと化したミニマル・ダブやニュールーツとも違ったローファイな音質/リズムで、ヴィンテージなドラムマシン的なサウンドということで言えば、テープスあたりにも近い感覚とも言えそうです。が、その音響処理はもっともっとくぐもったローファイ感があり、ビシャビシャなリヴァーブ、エコーで強烈にサイケな音像を作っています。ダブと、ローファイなアナログ・サウンドの魔術師たちのコラボならではという音像ではないでしょうか。ここ数年、レゴヴェルトが特に自身の Bandcamp にて、Smackos 名義で展開しているドリーミーなアンビエントの感覚を見事にローファイなダブ方面へと拡張しているとも。アシッディーなベースラインがブリブリと力強くスウィングするリディムの上を軽やかにメロディカがエコーに消えていく4曲目 “奇妙な秋 Strange Autumn”、もしくは5曲目 “未知なるもののラジカルな形態 Radical Forms of the Unknown” は、お互いのサウンドが混じりあった「らしい」コラボといいますか。これらの音響を聴いて真っ先に思い出した作品は、やはりリー・ペリーのブラック・アーク末期のスタイル、ザ・コンゴス “Congoman”、さらに凶暴な1977年のジャマイカ・オリジナル・ミックス(2017年のリイシューで簡単に聴けるようになりました、サブスクにもあり)、そしてヨンキーのこれまたローファイなエレクトロ・ダブの名盤『Asian Zombie』あたりでしょうか。

 レゴヴェルトが描いた、おそらく制作時のふたりのやりとり(それが例えネットを介したものであっても)がにじみ出ている、ユーモラスでキュートなジャケット・アートワークも含めて、これはLP、いやカセットもいいかもという妄想も生まれる作品です。ともかくアレです、ニヤニヤしながら、うっひょーってなるダブ・アルバムです。

Kali Malone - ele-king

 ドローン音楽やミニマル音楽の、その先はあるのか。ミニマリズムの拡張は可能なのか。もしかするとこの矛盾を孕んだ不可能な問いに対する実践こそが00年代末期から2010年代以降のエクスペリメンタルな電子音楽家やドローン/アンビエント音楽家たちの重要な試みだったのかもしれない。ドローンやミニマリズムという手法を援用しつつ、音響・音楽的な諸要素を加味していくという、なかば矛盾を孕んだ実践を果敢に、しなやかに挑戦するアーティストが多数あらわれたのだ。たとえばサラ・ダヴァーチ、エレン・アークブロパン・ダイジンKMRUウラフェリシア・アトキンソンカテリーナ・バルビエリなどの現代のドローン、アンビエント、電子音楽作家たちである。今回、紹介するカリ・マローンもそのひとりだ。彼女のドローンには不思議とクラシカルな風格が漂っているのである。
 カリ・マローンは米国出身、スウェーデンはストックホルムを拠点とする音楽家だ。その作風はドローンを基調としつつも、電子音楽、モダン・クラシカル、バロック、即興演奏など多様な要素を併せ持ったものである。彼女が目指している音楽はおそらく形式やフォームではないはず。響きの拡張、ミニマリズムの拡張こそがその目的ではないかと思うのだ。じっさいどのレコードもひとつの型に落とし込まれはいない。
 マローンの前作『The Sacrificial Code』もパイプオルガンを用いたドローン作品で素晴らしいアルバムだった。2019年のベストを選ぶならこのアルバムを入れるだろう。オルガンの響きが知覚の遠近法を変え、優雅な音楽性が時代を越える。類稀なアルバムである。
 だがカリ・マローンのドローンは、ドローンとしても、アンビエント的なドローンとしてもかなり異質の音響ではないかとも思う。『The Sacrificial Code』はたしかにオルガン・ドローンといえるのが、その持続にはどこか変化への意志が明確にあり、ドローンと思って聴いていくと不思議な居心地の悪さがある。おそらくそれが彼女の「作曲家」「演奏家」としての意志、もしくは無意識なのかもしれない。
 そして今年リリースされた本作もまた期待以上の出来栄えであった。電子音楽家/作曲家としてのマローンにおける最上の音響が記録されているといっても過言ではない。
 〈Portraits GRM〉からリリースされた本作はフランスのGRMのアクースモニウム・マルチ・チャンネル・セット・アップを用いた作品であり、GRMより委託された作品だ。いわば現代音楽作品に近い立ち位置といえる。ちなみにアクースモニウムの解説は私の手には余るので、こちらのサイトにある檜垣智也氏の解説をせび読んでほしい(https://musicircus.net/ih-plus/acousmonium.html)。
 本作は2020年から2021年の間にパリのGRMで作曲された。用いられているのはトロンボーン、バスクラリネット、正弦波発生器などに加え、電子音楽界のレジェンド、エリアーヌ・ラディーグが用いたARP 2500モジュラーシンセサイザーを用いている。カリ・マローンには偉大なるレジェンドを継承するという意志があるのかもしれない。
 ともあれもともとマルチチャンネル作品だった本作がステレオミックスへと生まれ変わるに当たって、マローンは実に繊細かつ大胆なミックスを施している。本アルバムに収録された音を聴いていると深い内省と音響の快楽が同時に押し寄せてくる。同時に1曲目を聴きすめていくとさながら管楽器のアンサンブルのように音やトーンを変化させていく手法をはっきりと聴き取ることができた。電子音の響きが目立つため、前作『The Sacrificial Code』よりもストレートにドローンをやっているように感じられる点も見事だ。鎮静効果という意味では『The Sacrificial Code』以上かもしれない。微細なトーン・コントールも完璧なので聴き込むほどに音の海に没入していける。
 さらに様相が変化してくるのは2曲目だ。音響は次第に拡張し旋律に近いものも聴こえてくる。ARP 2500と思える電子音が暴風のように、その音を掻き消し、まるで電子音ドローンによるシューゲイザーのような音響を展開する。サイケデリックなとでも形容したいほどの圧倒的なサウンドである。
 全体的なサウンドとしては2018年にリリースされた『Cast of mind』に近いともいえるが、その音はより洗練され練り上げられているように感じられた。端的に進化しているのだ。
 このアルバムには、ドローンと変化、持続と拡張、静謐とノイズ、鎮静と覚醒など、相反するものがエネルギーの奔流のように渦巻いている。だがそもそもドローンとはそのようなものなのではないか。例えばラ・モンテ・ヤングのドローンを聴くと単なる静謐でも鎮静でもない力を感じるときがある。永遠、持続、力。不思議なエネルギーに満ちているのだ。私見だがカリ・マローンにもそんな真のドローンの系譜を感じるときがある。異質にして正当? しかしそれが彼女のドローン・サウンドの本質ではないか。
 じっさいマローンの新作からはエリーナ・ラディーグやGRMなど実験音楽、電子音楽、ドローン音楽の継承の意志を読み取ることができるだろう。同時に、ほかのどのドローンとも異なる変化への意志がある。エクスペリメンタル/ドローン、電子音楽の継承から未来へ。本作はまさにそんなアルバムなのである。

Björk - ele-king

 しかし、なんでいま“ガバ”なんでしょう。このところ気になっていたんです。例のThe Ephemeron Loopとその変名Petronn Spheneもそうだけど、話題のLady Neptuneなんか聴いてもガバじゃないかと。そういえば、以前yukinoiseも書いていたな。かといって自分はもうガバを聴く年齢でもないし……とか。で、ビョークの新作もガバだって???

 この、世界規模で影響力のあるアイスランドのアーティストにとって10枚目のスタジオ録音盤となるアルバムの内容が、ガーディアンの取材で少し明らかになった。見出しにいわく「いかにして、悲しみ、帰郷、そしてガバが彼女の新作を作ったのか」
 手短に言えば、コロナ禍で帰省中、自宅で「クレイジーなDJナイト」を開いたときにハードコア・レイヴ・サウンドに魅了されてしまったと。「地面に穴を掘るような」「きのこのアルバム」という新作には、ガバとトライバルを融合させるインドネシア人デュオ、Gabber Modus Operandiが参加していることも明らかにされている。
 なんにせよ楽しみだし、これで世界にガバが拡散されてしまうのかと思うと、なんだか変な気持ちになったりもする。2017年の『Utopia』以来のスタジオ・アルバム『Fossora』は、〈One Little Independent〉から秋に発売。

[8月25日追記]
 ビョークの来日公演が決定した。来年2023年の3月、東京と神戸で開催。どうやら上記の新作とは異なるコンセプトのようで、「オーケストラル」と題されたコンサートは、ビョーク+32人のオーケストラという編成。「コーニュコピ」と題されたほうは海外ではすでに披露されているもので、ステージ・デザイナー Chiara Stephenson やメディア・アーティスト Tobias Gremmler とのコラボレイションになっている模様。最新のビョークのステージ、ぜひ体験してみたいですね。

■orchestral(オーケストラル)

björkの肉声と32人のオーケストラだけで構成され、スピリチュアルな空間を創りだす。まさにbjörkの原点がここに在る。

tokyo march 20 (mon) 東京 ガーデンシアター
kobe march 25 (sat) 神戸ワールド記念ホール

■cornucopia(コーニュコピ)

Lucrecia MartelとBiörkが監督し、James Merryを共同演出として迎え入れ制作された作品で、2019年春、NYのThe Shed で行われたワールドプレミア公演にてその幕を開けた。ステージデザイナーのChiara Stephenson が編み出す環境デザインの中にメディア アーティストTobias Gremmler が創作するデジタルビジュアルデザインが映える。NY誌はこれを「街のステージを飾る最も素晴らしい光と音の展示」と呼び、The New Yorker誌は「ファンタジーを変遷するための武器」として表現したビョークを称賛した。Björk自身の音楽を今まで以上に深く掘り下げ追求したコーニュコピアが日本でも遂に披露される。

tokyo march 28 (tue) 東京 ガーデンシアター
tokyo march 31 (fri) 東京 ガーデンシアター

Japan official HP:https://smash-jpn.com/bjork2023
Info:SMASH(03-3444-6751)

Waajeed - ele-king

 Waajeed(ワージード)といえば、デトロイト・ヒップホップを代表するプロデューサーのひとりで、J Dillaとともにスラム・ヴィレッジのメンバーであり、PPP(Platinum Pied Pipers)としての作品も知られている。ワージードが、来る11月、ベルリンの〈トレゾア〉からソロ・アルバム『Memoirs of Hi-Tech Jazz』をリリース。まずはアルバムに先駆けて、シングル曲“Motor City Madness”が発表された。ヒップホップとテクノとジャズがブレンドされた素晴らしい曲だ



以下、資料より抜粋。

『Memoirs of Hi-Tech Jazz』は、デトロイトや世界中の黒人居住区における抑圧的なヘゲモニーに対する革命的な取り組みからインスピレーションを得た、レジスタンスを想起させるサウンドスコアである。このアルバムを抗議運動と並行してプレイすることはできるが、音楽は、抑圧の視線の外側に存在する平凡な瞬間により適している。暴力や不正義がまかり通っているが、それは私たちによっての唯一の物語ではない。私たちは、私たちを抑圧するモノどもよりも遙かに多くのものだ。このアルバムは、黒人の余暇と遊びを称えるもので、枯渇する現実にもかかわらず持続する平凡な喜びを表現している。


Waajeed
Memoirs of Hi-Tech Jazz

Tresor


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