「S」と一致するもの

Marcus Fischer & Simon Scott - ele-king

 ニューヨークの電子音楽家/アンビエント・アーティスト、テイラー・デュプリー主宰〈12k〉からマーカス・フィッシャーとサイモン・スコットのデュオ・アルバムがリリースされた。2018年型のエレクトロ・アコースティック・アンビエントとして興味深い仕上がりである。

 まず、二人の経歴を簡単に説明しよう。マーカス・フィッシャーはポートランド・オレゴン出身のアンビエント作家である。2010年に〈12k〉より発表された『Monocoastal』でアンビエント・リスナーから高い評価を獲得した。環境音と電子音が霧のように交錯し、空気の中にうっすらと浸透するかのごとき美麗なサウンドを生成している。深く響く音が耳に実に心地よい。リリースから8年ほど経過しているアルバムだが、いまも大切に愛聴しているリスナーが多いのも頷ける名品だ。

 以降、同レーベルからはテイラー・デュプリーとのコラボレーション作品『In A Place Of Such Graceful Shapes』(2011)、『Twine』(2015)、『Lowlands』(フランスの新鋭エクスペリメンタル・ミュージック・レーベル〈IIKKI〉と〈12k〉の共同出版/2017)などの秀作を継続的に発表する。

 加えてUSの〈Tench〉から『Collected Dust』(2012)、ポートランドの〈Optic Echo Records〉からジ・オー・レイ(The OO-Ray)との『Tessellations』(2012)、セルフ・リリースでコリー・アレンとの『Two / Twenty-Two』(2012)、ソロ楽曲をまとめた『Public Works』(2015)などを継続的に送り出す。2017年には久しぶりのソロ作『Loss』を〈12k〉からリリースするに至る。

 フィッシャーの楽曲は、楽器の音と電子音楽の交錯・融解によって時の流れを変えてしまうようなアンビエント/アンビエンスを形成・生成している。アナログな質感とそれから導き出された響きは、聴き手の時間感覚をゆったりとした流れへと変えてしまうのだ。身体に作用し、深い時間の只中に身を浸しているような感覚である。彼のアンビエンスは聴き手の耳と意識の表層と奥底に響く。まさしく「時が揺れる」「時が満たされていく」感覚だ。

 一方、イギリス出身のサイモン・スコットは、あのスロウダイヴのドラマーである。彼は2009年に〈Miasmah〉からリリースしたソロ・アルバム『Navigare』で楽器や電子楽器など様々な音響生成装置を用いて「融解したシューゲイザー・アンビエント」といったサウンドを生み出し、エレクトロニカ以降の音響リスナーの耳を驚愕させた。

 その翌年2010年は、〈Low Point〉からダグ・ローゼンクヴィスト(ジャスパー TX)との『Conformists』、〈Slaapwel Records〉から『Silenne』、〈Immune〉から幽玄なアンビエント作品『Traba』と複数のレーベルから矢継ぎ早にリリースを重ねていく。2011年には再び〈Miasmah〉から、ヴォイス、ギター、ピアノなどを導入したポップな『Bunny』を発表した。

 そして2012年、〈12k〉から『Below Sea Level』をリリース。このアルバムは生楽器、電子音、環境音が溶け合うようにレイヤーされた極めて2010年代的なアンビエント/ドローン作品だ。アコースティック・ギターの瀟洒なフレーズ、柔らかい残響のような電子音、記憶と耳を密やかに刺激する環境音のレイヤーによるアンビエント・コンポジションは洗練の域にまで至っており、スコットの代表作のみならず10年代初頭の〈12k〉を象徴する1作になった。

 『Below Sea Level』以降は、2015年にUKの老舗エクスペリメンタル・レーベル〈Touch〉系列の〈Ash International〉から『Insomni』、2016年に〈Touch〉から『FloodLines』、〈The Tapeworm〉から『STUK』とリリースを重ねていった(2017年はスロウダイヴのメンバーとしてリユニオン作『Slowdive』に参加)。そして2018年は、〈Touch〉からシングル「Grace」をリリースし、待望のニュー・アルバム『Soundings』のリリースも予告されている。

 本作『Shape Memory』は、そんな二人の共作である(競演した録音物としては、2012年に〈12k〉からリリースされたコリー・フラー、伊達伯欣、マーカス・フィッシャー、 サイモン・スコット、テイラー・デュプリーらビトウィーンのEP「Between」を忘れてはならない)。レコーディングは、スロウダイヴのアメリカ・ツアーの合間にポートランドでおこなわれたという。録音日のクレジットは2017年10月27日。

 この録音ではフィッシャーはシンバル、エレクトロニクス、ギターを担当し、スコットはシンバル、エレクトロニクス、テープなどを担当している。ちなみにマスタリングはテイラー・デュプリー。ジャケットに用いられた写真はフィッシャーの作品だ。
 クレジットから分かるようにエレクトロ・アコースティック的なサウンドをこれまで以上に展開している。1曲め“Ferns”でのシンバルの響き(そう、打撃ではなく)からして具体的な音の、その向こうにあるものを鳴らそうとしているように思えた。その意味で、本作のムードはフィッシャーのこれまでの作品と近い。
 とはいえ聴き込んでいくと、ことはそう単純ではないと分かってくる。1曲め“Ferns”から2曲め“Thorns”、そして3曲め“Branches”へ。アルバムのサウンド・テクスチャーは微細に、シームレスに、深く変化し続けるのだ。シンバルと打楽器。弦と電子音。環境録音とノイズ。それらサウンド・モジュールは記憶と密接に結び付き、音楽/音響を生成させていく。微かな音。乾いた音。微細なノイズ。深い響き。音楽の断片。旋律の欠片。これらの音たちはバラバラに存在し鳴っているように聴こえつつ、しかしいくつもの記憶と結びつき、次の瞬間には別の音として生まれてくる。いわば音の連鎖と音の結晶化だ。まさにフィッシャーのゆったりとした融解するような時間感覚とスコットの波のように変化する音響生成の感覚が交錯する見事な演奏/セッションである。

 こういったアンビエント作品で「演奏?」と訝しく思う方もいるだろう。たしかに演奏以降のポストプロダクションにおいてさまざまなエディットが加えられてはいるだろうが、しかし、00年代~10年代以降、つまりエレクトロニカ以降のアンビエント/ドローンは、極めて即興演奏/生成的な音楽であったと思うのだ。そう、音を鳴らすこと。音を生成すること。音で空間を満たすこと。音の時を積み貸せること。ベースにはそれがあった。
 私は3曲め“Branches”を聴き終えたとき耳を浄化されたような感覚を持ったのだが、それは演奏/即興という「自然な流れ」の先に生まれた音を聴取したからではないかと思っている。2010年代以降の環境録音を取り入れた生楽器と電子音を交錯させるエレクトロ・アコースティック・アンビエントの最良の部分を封じ込めた見事なアルバムである。

アート セックス ミュージック - ele-king

ぐにゃりとうなだれた性交後のCOUMのペニスから、屹立し準備万端・完全に勃起したスロッビング・グリッスルへ。一丸になったときのわたしたちは妥協なしのあなどれない力だったし、誰にも止められない、はち切れんばかりに充電されたドクドク脈打つエネルギーの塊だった。 (本書より)

伝説のバンド、スロッビング・グリッスルはいかにして生まれ、どのように倒錯し、なにゆえに死に絶えたのか……、ピッチフォークの2017年度年間ベスト音楽本にも選定された、TGの創設メンバーによる、その内側からの衝撃のレポート

コージー・ファニ・トゥッティは、まさに自分の人生で起きたことすべてを晒しながら、彼女にとっての「自由」「インダストリアル」「セックス産業」の意味を紐解いていく。

ノイズ/インダストリアル・ミュージックのファン、およびクリス&コージーとスロッビング・グリッスルのファンにとってのマスト・アイテムであり、また、ひとりの女性の型破りな人生譚としても非情に興味深いものとなっている。

1960年代~1970年代のもっとも過激なUKアンダーグラウンドを駆け抜けていった、労働者階級出身の彼女の「アーティスト」としての生き様は、読む者に深い余韻を残すだろう。

俺はコージー・ファニ・トゥッティに惚れている。それだけのことだ。 (ニック・ケイヴ)
「Far Out(型破り/斬新な)」というのはかつて視覚・音楽芸術双方における前衛を呼ぶ際に使われたタームだった。わたしの覚えている限り、コージーはそもそも初めからファー・アウトな人だった。限界に向かって押し進めていくアーティストたちも中にはいる──だがコージーのアートは許容されるぎりぎり限界の地点から始まっている。 (ロバート・ワイアット)
わたしたちのアプローチは、ディスコとポップ・ミュージック、排他性のカルチャー、過去もしくは現在起きている残虐行為や「不快な」犯罪を隠蔽する「臭いものにはフタ」の傾向、ストライキの数々が生み出すカオスで人々の日常に影響していた当時の政治的な動乱、操業中の工場・鋸・機械群・地下鉄・公園で遊ぶ子供たちの声といった自分たちのスタジオの周りに常に存在していた周辺音といったものに対する反撃であり、リアクションだった。わたしたちは自分たちにとっての現実、その欠点/汚点も含めた一切合切のサウンドトラックをクリエイトしていた。中途半端な妥協はあり得なかった。 (本書より)


湯浅音楽道の精髄 - ele-king

 ザーッとめくってパッと止まったところで一文抜き出して例証しつつ中身の説明にうつろうかと思いきや、800字あまりのレヴューがほぼ句点なしだったので抜き書きはあきらめた。280ページのマーティン・レヴの項のところで、湯浅学の鉛筆はこのスーサイドの片割れの怪人のソロを、あたかもその音楽のとりとめのなさに擬態するかのように冒頭のレヴが死んだというウワサから書き起こし、概況から音盤の各論に旋回していくのだが、読むには不如意な形式にもかかわらず表現は的確で、私は引用は止めたともうしあげたが、やはり一文引いておきたい。
「スーサイドの秘密は六〇年代ポップの類型をあえて形骸化したスカスカのテクノで色の塗られていないピラモデルのように仕立てたものをどんより暗い色でアクション・ペインティングしつつどんよりした曇り空の下に置き去りにするところにある」
 前半はすでに定説化した――それもまた著者の功績ともいえる――感があるが、批評の観点を視覚的なヴィジョンが補足する、というより、それを拮抗させることで音楽は私たちがふだん接しているのとはちがう側面を唐突にあらわにする。なんなら作品への詩的介入とでもいってもいい、音盤を裏側から聴く行為は、雑誌掲載のレヴュー(音盤解説)という紙幅にかぎりのあるなかで、日々幾万、幾千の書き手を悩ませつづけるが、湯浅学ほどこの難問を逆手にとり濃密な回答を提示したものはいない。ことに90年代、音楽産業が最盛期を迎え、新作から旧作再発まで、毎日がリリースの五月雨であった季節に、ロック(王道傍流を問わず)からポップス(洋邦問わず)、ソウル(甘辛問わず)、R&B(濃淡問わず)、ファンク(硬軟問わず)、ジャズ(寒暖問わず)などを並列に聴取し、作品に光を灯すかのごとき評文をものしているのは圧巻である。著者はあとがきで「俺の中では音楽は音楽として、ひとつの、傘の下、あるいは河の流れ、あるいは港の中にあるというだけのことだ」と書きつけるが、観念ではなく実践でそれをあかすことのむつかしさは、それが批評という対象をもち注文を待つ行為であることを考えれば容易に想像がつく。
 むろんそのようなことを考えなくとも、幾多の音盤を作者の人名を五十音順にならべた本書は聴く人名辞典としても機能するであろうし、気になった作品へのガイドとしてもうってつけである。ニューオーリンズやヒップホップや大韓民国の音楽など、90年代に力を入れていた諸分野、あるいは新聞連載など、通読する機会のすくなかった文章をまとめ読みするまたとない機会でもある。説明がおそくなって恐縮だが、本書は1997年刊行の『音海』の増補改訂版にあたるため原書の補遺を目して90年代の著作が中心をなしている。音の海とは前述の著者の音楽観を裏打ちするものであり、そのような表現はしばしば目にもするが、しかし名が体をあらわす物体がこの世に出現することはなにがしかのことといわねばならない。(松村正人)

湯浅学(著)
『大音海』

目次

まえがき

あ行
愛一郎、艾敬、アイク&ティナ・ターナー、アイス・キューブ、アイス‐T、青江三奈、あがた森魚、阿久悠、アスワド、渥美マリ、阿部薫、アモン・デュール、荒井由実、アレステッド・ディペロップメント、アロウ、アン・ドラム・ミュジカル・アンスタンタネ、アンセイン、アンビシャス・ラヴァーズ、イ・チョンウ、李博士、イ・ベクマン、忌野清志郎、ロマ・イラマ、メルヴィン・ヴァン・ピーブルズ、ハンク・ウィリアムス、ヴードゥー・グロウ・スカルズ、ボビー・ウーマック、植木等、ポール・ウェラー、ヴェルヴェット・モンキーズ、ウォー、梅津和時、ジェームス・ブラッド・ウルマー、エアロスミス、MC5、遠藤賢司、オ・ウンジュ、大竹伸朗、オールマン・ブラザーズ・バンド(グレッグ・オールマン)、岡村靖幸、沖雅也

か行
ミッキー・カーティス、チャカ・カーン、海道はじめ、勝新太郎、かまやつひろし、河内家菊水丸、CAN、姜泰煥、ガンズ・アンド・ローゼズ、ギターウルフ、キッス、金石出、金大煥、金大禮、木村松太郎、ジョニー・キャッシュ、キャプテン・ビーフハート、キャメオ、キャロライナー、キング・クリムゾン、キンクス、筋肉少女帯、金髪のジョージ、アリス・クーパー、クラフトワーク、クリーム(エリック・クラプトン)、ジミー・クリフ、オーティス・クレイ、ロバート・クレイ、グレイトフル・デッド(ジェリー・ガルシア、ネッド・ラジン、フィル・レッシュ)、クレイマー、ゲイシャ・ガールズ、Koji 1200、エルヴィス・コステロ、ブーツィー・コリンズ、ジョン・コルトレーン

さ行
13th フロア・エレヴェーターズ(ロッキー・エリクソン)、斉藤徹、サイプレス・ヒル、ジョン・サイモン、スカイ・サクソン、フランク・ザッパ(ワイルドマン・フィッシャー、Z、サンディ・ハーヴィッツ)、サニーデイ・サービス、サヌリム、スティーヴィー・サラス、サン・ラー、サンタナ、ZZトップ(ムーヴィング・サイドウォークス)、ジェファーソン・エアプレイン、シブがき隊、シミー・ディスク、じゃがたら、ジャネット・ジャクソン、マイケル・ジャクソン、ジャックス(早川義夫)、シャンプー、城ヶ崎一也、城卓也、キザイア・ジョーンズ、ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョン(ボス・ホッグ)、申重鉉、スイサイダル・テンデンシーズ、スーサイド(マーティン・レヴ)、ギル・スコット=ヘロン、スター・クラブ、スターリン、ストゥージズ(イギー・ポップ)、砂川捨丸、頭脳警察、フィル・スペクター(チェックメイツ・リミテッド)、パティ・スミス、スライ&ザ・ファミリー・ストーン、スレイヤー、ゼイ・マイト・ビー・ジャイアンツ、赤痢、セックス・ピストルズ(ジョン・ライドン)、セッちゃんとぼく、セント・ミカエル、ソウル・チルドレン(J・ブラックフット)、ソウルⅡソウル、ジョン・ゾーン、ソテジ ワ アイドル、ソニック・ユース

た行
ターボ、ダイナソー・Jr.(J・マスキス)、高木完、高田渡、モーリン・タッカー、ちあきなおみ、ボビー・チャールズ、チャコとアップリーズ、崔健、津山篤、マイルス・デイヴィス、DEVO、ディスチャージ、マヌ・ディバンゴ、ディム・スターズ、ボブ・ディラン、ディック・デイル、デヴィアンツ、デストロイ・オール・モンスターズ、鉄人28号、デフ・レパード、デ・ラ・ソウル、鄧麗君、10cc(ゴドレイ&クレーム)、テンプル・シティ・カズー・オーケストラ、ドアーズ、アラン・トゥーサン、東京キューバン・ボーイズ、東京ビートルズ、ドクター・ジョン、ドラッグ・シティ、ドロマイト

な行
仲井戸麗市、中島みゆき、ロジャー・ニコルス、ニューエスト・モデル、テッド・ニュージェント、ネヴィル・ブラザーズ、ネーネーズ、ノー・ネック・ブルース・バンド

は行
バーニング・フレイムス、ハーフ・ジャパニーズ、パール・ジャム、萩原健一、バケットヘッド、裸のラリーズ、ティム・バックリィ、ジェフ・バックリィ、バッド・ブレインズ、はっぴいえんど、ハッピーエンド、ハナタラシ、パブリック・エネミー、パンゴ、パンテラ、ザ・バンパイヤ、ピーター、ビーチ・ボーイズ、ビートルズ(ジョン・レノン、ジョージ・ハリソン、オノ・ヨーコ)、ビーバー、Pファンク、HIS、ピチカート・ファイヴ、一節太郎、トゥーツ・ヒバート、ピンク・フロイド、ファウスト、ファット・ポッサム、ファン・シネ・バンド、アントン・フィア、フィッシュボーン、フードゥー・フシミ、フールズ、49アメリカンズ、ブギ・ダウン・プロダクションズ、藤本卓也、ジェームス・ブラウン、ボビー・ブラウン、プリンス、ブルー・チアー、ブルータス・トゥルース、フレーミング・リップス、ジャン=ポール・ブレリー、フレンチ、フリス、カイザー、トンプソン、プロフェッサー・ロングヘア、ベック、トム・ペティ、チャック・ベリー、リー・スクラッチ・ペリー、ペル・ユビュ、リチャード・へル、ベンチャーズ、ジミ・ヘンドリックス、ボ・ガンボス、ボアダムス、暴力温泉芸者、ホール、ポップ・グループ、ほぶらきん

ま行
マーキュリー・レヴ、ボブ・マーリー、マイガールズ、マルコム・マクラーレン、町田康+グローリー、ヴァン・マッコイ、マッドハニー、松野浩司、マドンナ、マリア四郎、マルコムX、ハービー・マン、チャールズ・マンソン、マンモス(マンモス楽団)、ミーターズ、三上寛、美川憲一、三木鶏郎、三波春夫、南正人、ミミ、宮崎一男とI・O・N、ミュート・ビート、ミラクル・ヴォイス、メイズ、カーティス・メイフィールド、メルヴィンズ、セルジオ・メンデス、某某人、モーターヘッド、モダン・ジャズ・クァルテット、森高千里、モンキーズ

や行
ヤードバーズ、矢野顕子、山口冨士夫、 山瀬まみ、ニール・ヤング、ユートピア、吉田美奈子

ら行
ラスト・ポエッツ、オーティス・ラッシュ、レオン・ラッセル、スパイク・リー、リヴィング・カラー、ジョナサン・リッチマン、リトル・フィート、ルシャス・ジャクソン、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン、レインコーツ、レーナード・スキナード、レッド・クレイオラ、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、ニック・ロウ、ローリング・ストーンズ(キース・リチャーズ、ビル・ワイマン、ブライアン・ジョーンズ)、ロサンゼルス・フリー・ミュージック・ソサエティ、ロジャー、ロリンズ・バンド

わ行
マイク・ワット、ジョニー・ギター・ワトソン、スティーヴィー・ワンダー

論考
第1節 ロック
ロック時代における南部幻想覚え書き/私のとってのThe Roots of Rock/UKサイケデリック・ロック10選/黒く飛べ~ブラック・サイケデリック
第2節 ソウル、R&B、ファンク
ファンクとは正統派のブルース・マナーの最も総合的でラジカルな意志のスタイルである/ニューオーリンズ/The History Of Black Culture/ソウルの最左翼として登場したファンク
第3節 ラップ、テクノ
ラップだっ。100選(抜粋)/ラップは、もともとニューヨークのローカルな民族音楽だった/ニュー・スクール以後のラップの動向/テクノの発生、テクノの進化
第4節 大韓民国
弔いの場で発する歌舞伎曲の効能について/韓国の音楽とヴェトナム戦争/今こそ“大韓復古調”の臓腑を抉る
第5節 地域
ニューヨークって前傾姿勢で楽しめるところだ/ニューヨークで考えさせられてしまった

目録と選出
ニッポンのクリスマスはいかにして過ごすか、ということについてのちょっとした提案/大汗音楽で暑気払い(洋楽、邦楽編)/イキっぱなしのファズの花/硬派な音楽/身体の芯にくる音楽/人情20選/電妄ベスト10/私が選んだライヴ・ベスト・ファイヴ(70年代)/プログレ・ベスト10/私が愛聴した25年間の25枚(1969~93年)/年間ベスト・アルバム 1987~2017

連載
ニッポン うたう地図(関東編、中部編)
音盤からエロス

あとがき

Amazon

Dorian Concept - ele-king

 ドリアン・コンセプトことオリヴァー・ジョンソンは、インタヴューで自身のことを「インプロヴァイズされた音楽とエレクトロニック・ミュージックの真んなかあたりのどこか」に位置すると述べている。「イン・ビトウィーン(中間)」というのは、彼が音楽をやるにあたって常々存在しているもので、デビュー・アルバムの『ホエン・プラネッツ・エクスプロード』(2009年)でのメタリックでインダストリアルなグリッチ・サウンドとアヴァンギャルドなフリー・ジャズ、セカンド・アルバムの『ジョインド・エンズ』(2014年)でのミニマルなエレクトロニカとクラシックや室内楽といった具合に、それぞれ異なる世界の狭間に自身を置いてきた。サンプリングなどのエレクトリックなプロダクション、シンセイサイザーやエイブルトンなどの電子楽器を用いつつ、人間が生の楽器で演奏するアコースティックな世界にインスピレーションを得て作られる彼の音楽は、ジャズの軸となる即興演奏をエレクトロニック・ミュージックの分野で展開するもので、たとえばゴー・ゴー・ペンギンがエレクトロニック・ミュージックをアコースティックな手法で生演奏するのとまったく逆のアプローチで、でも本質的には同じ視点を持つ音楽をやっていると言える。

 そうしたドリアン・コンセプトのイノヴェーターである点にフライング・ロータスは共感を示し、これまでも彼のバンドに招へいするなど親交を深めてきた。〈ブレインフィーダー〉で作品をリリースするテイラー・マクファーリンジェイムスズーも、ドリアン・コンセプト同様に「イン・ビトウィーン」な視点を持つアーティストであり、イノヴェーターたちである。近年はサンダーキャットなどジャズの分野との「イン・ビトウィーン」な作品が目立つ〈ブレインフィーダー〉だが、いまのレーベルの方向性はドリアン・コンセプトのそれにとても合致しており、新作の『ザ・ネイチャー・オブ・イミテーション』がリリースされることになった。『ジョインド・エンズ』から4年ぶりのアルバムで、“ア・マザーズ・ラメント”や“ザ・スペース”のように、『ジョインド・エンズ』で見られた緻密で繊細なアプローチを引き継ぐところもありつつ、“Jバイヤーズ”などでは初期作品で見られた大胆でダイナミックなビート感の強いアプローチもあり、彼自身で振り返るようにドリアン・コンセプトの音楽を総括するような作品集となっている。そして、ドラマチックに幕開けするオープニング曲の“プロミセス”に見られるように、これまで以上にポップな感覚が表れているアルバムだ。もちろん、ドリアン・コンセプトにとってポップであることは実験的なことであり、楽曲は予測不能な方向へとトリッキーに展開していく。“エンジェル・シャーク”のメロディもとてもポップであるが、その実リズムは非常に複雑なもので、楽器演奏など含めてとても高度なところで楽曲が作られている。“E13”はキーボードの生演奏がサンプリングを介して、さらに即興的に構築されていく。エレクトロニクスによるインプロヴィゼイションを示す好例と言えるだろう。

 ドリアン・コンセプトは『ジョインド・エンズ』からヴォーカルを披露していて、それはテクスチャーとして人間的な要素を加えるために用いていたわけだが、『ザ・ネイチャー・オブ・イミテーション』においては“ペデストリアンズ”や“ユー・ギヴ・アンド・ギヴ”のように、感情や感覚をより豊かに表現するものとなっている。ただし、それだけが突出することなく、あくまで楽器の一部として作られている。エレクトロニックな要素とアコースティックな要素の中間的な音楽というのは、こうしたところから生まれてくるのだろう。倍速のビートの中で行き来する“セルフ・シミラリティ”では、リズムをポップに展開させることにより楽曲に生命力を与えている。ビートから作品のモチーフを膨らませることの多い彼の真骨頂と言える作品だ。同様にファンク・ビートを基調とする“ノー・タイム・ノット・マイン”や“ディッシュウォーター”も、ドリアン・コンセプトのビート・サイエンティストぶりが際立っている。ポップな感性と高度な技術、実験性を兼ね備えたアルバムが『ザ・ネイチャー・オブ・イミテーション』だ。

Serpentwithfeet - ele-king

 やはりアルカの影響力は絶大だったということだろう。いや、もちろん、ビョークやアノーニの存在も無視できないとは思うのだけれど、こと近年のエレクトロニック・ミュージックにおけるクィアネスの増殖に関しては、アルカこそがその土壌を開墾した先駆者であると言っても過言ではない。たとえば音のタイプは異なれど、ソフィーの野心的な試みだって、すでにその地平が切り拓かれていたからこそ成立可能になったのだとも言える。
 ただここで忘れてはならないのは、よりアンダーグラウンドなレヴェルでもその流れを後押しする動きはあったということだ。人種やセクシュアリティにおける「異端」が次々と表舞台へとなだれ込んでいく近年の傾向には、アルカほど華々しい形ではないにせよ、ブラック・ディアスポラの新たな集合のあり方を探っていたコレクティヴ=〈NON〉もまた一役買っている。最近目覚しい活躍を見せているイヴ・テューマーにせよガイカにせよ、〈NON〉の最初のコンピレイションに名を連ねていたメンバーだし、サーペントウィズフィートことジョサイア・ワイズも〈NON〉と接触しつつ登場してきたアーティストのひとりである。
 近年は「ブラック」に限定せず、「ノン」という否定形のもと世界じゅうに散らばった異端者たちを接合させながら、果敢にエレクトロニック・ミュージックのオルタナティヴを模索し続けている彼らは、レーベルを起ち上げた2015年に、まずは共同設立者の3人であるエンジェル・ホ、ンキシ、チーノ・アモービのトラックをリリースしている。そのうちの1曲、アモービによる“Calcified (Remix)”にフィーチャーされていたのがサーペントウィズフィートだった。ダークなインダストリアル・サウンドのうえを漂流するその歪んだ音声はアモービの音楽と相性が良かったのだろう、両者は同年“Total Freedom”でも再度手を組んでおり、一転して艶やかさを打ち出したジョサイア・ワイズのヴォーカルは、背後で砕け散るトラックに抗うかのような気高き聖性を獲得するに至っていた。

 まさにその聖性こそがサーペントウィズフィートの特異性となる。アモービとのコラボを経た2016年、ワイズは〈トライ・アングル〉と契約を交わし、時の人だったハクサン・クロークとともに初のEP「Blisters」を編み上げる。静謐さによって聖なるものを喚起させるそのサウンドは「ペイガン・ゴスペル」と呼称されることになるが、なるほど、たしかに「異教」であることは〈NON〉のコンセプトとも共振するし、ということはサーペントウィズフィートの個性的なヴォーカルについて、異端であるがゆえに声を奪われてきた者たちの声ならざる声、と捉えることも可能だろう。そのように声なき者たちの声を響かせる「ペイガン・ゴスペル」は、冒頭“Whisper”でいくつも重ねられるヴォーカルや、あるいはクロージング“Bless Ur Heart”のバラードによく表れているように、2年のときを経て届けられたファースト・アルバム『Soil』でも全篇にわたって展開されている。崇高、ここに極まれり?
 他方、「Blisters」では控えめだったビート~パーカッションの部分が己の主張を強めているのもこのアルバムの特徴だろう。脇を固めるプロデューサーたちも堅実に仕事をこなしていて、4曲を手がけるクラムス・カシーノは、“Messy”に顕著なように自身の特性をするりと流し込みつつ、ワイズのヴォーカルのためにゆとりある空間を残してもいる。それとは対照的に、6曲を担当した同じ〈トライ・アングル〉のケイティ・ゲイトリーは、自身のトラックとワイズのヴォーカルを溶け合わせるようなプロダクションを聞かせてくれる(まあ、どこからどこまでが彼女の手によるものかはわからないけれど)。なかでも、吐息が刻むビートのうえで、声にならない声を伝達しようともがいているかのようにメイン・ヴォーカルが揺れ動く“Cherubim”は、本作のハイライトと言っていい。

 ゴスペルとクラシック音楽の文法を流用しつつ優雅にさまざまな声を重ね合わせていくサーペントウィズフィートの聖性は、一見コンテンポラリR&Bの意匠をまといながらも、そこには回収されえない差分を多分に含んでいる。その数々の微細な不和こそ、彼の音楽が「ペイガン」と呼び表されるゆえんなのだろう。アモービと組んでいた頃のようなインダストリアルな路線とはまた異なるアプローチで、しかしその頃と同じように自身の声をもって彼は、世界じゅうの異端者たちに祝福を届けようとしているに違いない。

interview with Serpentwithfeet - ele-king


Serpentwithfeet
Soil

Tri Angle / Secretly Canadian / ホステス

R&BExperimental

Amazon Tower HMV iTunes

 アルカ以降の重々しくインダストリアルな感覚のビートがあり、フランク・オーシャン以降のオルタナティヴR&Bがあり、それらをオペラのようにシアトリカルなオーケストラが華麗に彩っている。そしてジェンダーに縛られないエモーショナルで甘美な歌……サーペントウィズフィートを名乗るボルチモア出身の新鋭、ジョサイア・ワイズの音楽を要約するとそうなるのだろうが、ここで問題にしたいのは、この自然体の広範さがどこから来たのかということである。
 その異物的だが艶やかなヴィジュアルを一目見ればわかるように、サーペントウィズフィートは新世代のクィア・アーティストである。それはニューヨークのアンダーグラウンド・パーティが育んだものだ。そこに集まった彼ら/彼女らは奇抜なファッションに身を包み、エッジーな音をたっぷり取りこんで、社会常識や規範を撹乱するダンスを踊ろうとした。エレキングに日々アップされるディスク・レヴューを見ていると意図せずしてクィアなミュージシャンが増えているように感じられるが、いまはクィアネスがサウンドも価値観も拡張している時代ということなのだろう。サーペントウィズフィートに関して言えば、昨年ビョークの“Blissing Me”のリミックス版のヴォーカルに招かれたことが話題になったが、クィア・ミュージシャンを寵愛し続けてきたビョークが彼の存在それ自体の先鋭性と華を見落とすはずがなかった、というわけだ。
 5曲入りEP『ブリスターズ』ではハクサン・クロークがプロデュースを務めているが、デビュー・アルバム『ソイル』にはケイティ・ゲイトリー、mmph、クラムス・カジノといった名前が並ぶ。ポール・エプワースという大物プロデューサーも参加しているが、ジョサイア・ワイズはそちらよりも明らかにアンダーグラウンドのエレクトロニック・ミュージックとの回路を保持しようとしているように思える。自分がどこから来たのかを忘れていないのだ(リリースはEPに引き続き〈トライ・アングル〉から)。そこに管弦楽の絢爛なアレンジを加えて、ワイズ自身が中心で歌い、舞い踊っている。アルバムはときに過剰にドラマティックな展開を通過しながら、聴き手の美的価値観を揺るがし、更新しようと促しているようである。彼自身の言葉を借りれば、その境界を押し広げようと。とりわけラスト、“Bless Ur Heart”の眩い恍惚が圧倒的だ。

 驚くほどミニマルだったフジロックのステージから数日後、ジョサイア・ワイズに会って話を聞いた。意外とシンプルな服装だが、銀色に光る鼻ピアスの存在感にどうしても目を奪われる。饒舌なタイプではなかったが、質問に答える度に楽しそうに笑う姿がなんともチャーミングだった。


僕にとって音楽はセラピーや癒しではないんだ。僕が音楽で扱っているのはいま直面している問題ではなくて、整理できている過去についてなんだよ。だから内面を出すことに居心地の悪さを感じたことはなかったよ。

フジロックでのステージを観ましたが、短い時間で濃密な空気が生み出されていて圧倒されました。で、どんな服装で出てくるかを楽しみにしていたんですが――

ジョサイア・ワイズ(Josiah Wise、以下JW):ふふふ。

赤いポンポンのようなものを腕につけているのが印象的でした。あなたのこれまでのヴィデオでも赤が印象的に使われていますが、あなたにとって赤とはどういう意味を持つ色なのでしょうか?

JW:フジロックではとくに赤を使うプランを立てていたわけではないんだけど、赤が僕にとって重要な色だというのはたしかだね。赤はパワーがある色だし、行動を促すものだと思う。動きが表現できるんだよね。

ライヴではサウンドは比較的シンプルにして歌にフォーカスしている印象だったのですが、これは意図的でしたか。

JW:うん、やっぱりヴォーカルはすごく自分にとって重要だから。

シンガーとしてお手本にしているひとはいますか?

JW:フェイヴァリットはブランディだね。

へえ! ブランディのどういうところが好きですか?

JW:やっぱりヴォーカル。甘くて優しい感じがするし、健康的なところもいいね。

今回のステージはあなたひとりでミニマルな構成でしたが、今後、たとえばビョークみたいにクワイアやオーケストラを入れるようなもっと大きい編成のものもやってみたいと思いますか?

JW:予算がかかるからね(笑)。可能性はあるけど、様子見だね。

個人的には、ダンサーが入るようなシアトリカルなステージも観てみたいと思います。

JW:それも様子見だね(笑)。

なるほど(笑)。いまいきなりステージの話からしてしまったのですが、今回はじめてのインタヴューなので、少し基本的な質問もさせてもらいますね。

JW:オッケー。

サーペントウィズフィートの音楽にはすごくたくさんの要素がありますが、それに影響を与えた欠かせないミュージシャンを3人挙げるとしたら誰になりますか?

JW:ブランディ、ビョーク、ニーナ・シモンだね。

全員女性アーティストというのは何か理由がありますか?

JW:いや、女性だからということは関係なくて、純粋に彼女たちが素晴らしいと思うからだね。

聖歌隊にいたそうですが、ゴスペル・ミュージックから受けた影響はありますか? あなたの音楽にはホーリーな響きもあるので、宗教的な意味合いもあるのかと思ったのですが。

JW:宗教的な部分ではないかな、僕は宗教的な人間じゃないしね(笑)。宗教的な言葉を使ってはいるけどね。ただ、クワイアにいるのは本当に好きだったんだ。すごく影響を受けたし、自分を変えてくれたと思う。

影響を受けたと言えば、ニューヨークのクィア・カルチャーやクィア・パーティにもインスパイアされたとお話されていたのを読みました。それらのどういった部分が刺激的だったのでしょうか?

JW:何と言っても、その自由な感覚だね。ニューヨークのクィア・カルチャーに属しているひとたちは、誰もが自分の境界を押し広げようとしているんだ。僕もそれにインスパイアされて、そういった姿勢を実践しようとしているよ。

なるほど。何か具体的なエピソードはありますか?

JW:僕は昔、すごく静かなほうだったんだ。だけど、ニューヨークのクィア・カルチャーに関わっているたくさんのアーティスト――ミッキー・ブランコやケレラなんかはとくに、自分自身をラウドに表現していると思ったんだよね。彼らの姿を見て、自分も深い感情というものを表現できるようになったと思う。

クィア文化からはヴィジュアル面でも影響を受けたように感じますが、ファッションも含め、何かポリシーはありますか?

JW:ファッションに関しては、出身のボルチモアのカルチャーから影響を受けているんだ。すごくオリジナルで。あとはサンフランシスコ。アーバンなファッションに煌びやかさが加わったようなところだね。あとストリート・ウェアが好き。楽だからね(笑)。

そうなんですか。どっちかと言うと、気合いが入ったファッションをするほうなのかなと思っていました(笑)。

JW:全然(笑)。カジュアルなほうがいいね。

そうだったんですね。ではサウンドについても訊きたいのですが、EPではハクサン・クロークを起用していたり、アルバムではケイティ・ゲイトリーやクラムス・カジノ、mmphが参加していたりと、アンダーグラウンドのプロデューサーが活躍していますよね。こうした人選の基準はどこにあるのでしょうか?

JW:EPに関しては、僕がハクサン(・クローク)といっしょに仕事がしたかったから。アルバムではレーベルからの推薦と僕の希望のミックスなんだけど、自分が選ぶときは、自分がそのひとの音楽を聴いて良いと思ったらプロデューサーを調べて、それで決めるようにしているよ。

アルバムではとくにケイディ・ゲイトリーの貢献が大きかったそうですが、彼女のどういったところが良かったのでしょう?

JW:彼女はイカれてるんだ(笑)! これはいい意味でね。彼女の作るトラックは何もかも燃えているようで、僕はそれが欲しかった。クレイジーだよ。

僕は音楽だけじゃなくて、ライフそのものに官能性は重要だと思うんだ。鳥のさえずり、花、木の揺らぎ……そういったもののすべてが、僕にとってはセンシュアルなんだ。

あなたの音楽はエクスペリメンタルなエレクトロニック・ミュージックの要素も重要ですが、そうした音楽もハードに聴くほうなのですか?

JW:そうだね、けっこう聴くほうだと思う。革新的でエキサイティングなプロダクションというのはいつも気にしてる。とくにティンバランドやトータル・フリーダムのサウンドが好きだね。

アルカはどうですか? あなたと近いところにいるアーティストだと思いますが。

JW:うん、すごくいい作品を作っていると思う。彼の音楽が出てきたとき、たくさんのひとが新しいと感じたと思う。そこがいいよね。僕と似ているかについては、彼以外にもゲイのアーティストが同時期に出てきたと思うんだけど、(自分たちは)場所に関係なく共通して持っているものがあるかもしれないね。

他に、とくにシンパシーを感じるミュージシャンはいますか?

JW:フランク・オーシャンソランジュ、SZA、ブロックハンプトン……たくさんいるよ。

いままっさきにフランク・オーシャンが出てきましたが、やっぱり彼の存在は大きかったんですね。

JW:うん、そうだね。フランク・オーシャンの成功があったからブロックハンプトンの成功があったんだと思う。ただ、これはゲイとストレート関係なく、タイラー・ザ・クリエイター、SZA、ウィロー・スミス、ジ・インターネットみたいなひとたちも共通しているけど、彼らに影響を与えたのはファレルだと思う。ゲイ/ストレート関係なく、自分自身を表現するという点でね。

もうひとつ、あなたのサウンドではオーケストラの要素が重要ですね。これはオペラや演劇からの影響ですか?

JW:子どもの頃からオペラがすごく好きだったら、そういった部分が出ているのかもしれないね。

子どもの頃っていうのは、本当に小さいときからですか?

JW:ええと、たぶんそうだね。小学生くらいのときだから。

へえー! オペラを聴いてる小学生ってけっこう珍しいと思いますけど(笑)、どういったところが好きだったんですか?

JW:両親の影響なんだ。もうただただ、美しいと思ったよ。

それは早熟ですねー。それで、いまお話したようなこと――ソウル/ゴスペル、R&B、アンダーグランドのエレクトロニック・ミュージック、クィア・カルチャー、オペラ――がアルバムには全部入っていますよね。基本的なところなのですが、アルバムの最も重要な課題は何だったのでしょうか?

JW:『ソイル』についてはその言葉通り、泥や土みたいにすごく「詰まった」アルバムにしたかったんだ。ものすごく濃密なもの。

ええ、本当に濃密なアルバムだと感じました。サウンド面でも感情面でもそうですよね。内容もけっこう生々しいと思いますが、そんな風に自分をさらけ出すことに恐れや不安はなかったですか?

JW:いや、僕にとって音楽はセラピーや癒しではないんだ。僕が音楽で扱っているのはいま直面している問題ではなくて、整理できている過去についてなんだよ。だから内面を出すことに居心地の悪さを感じたことはなかったよ。

それは面白いですね。それからすごく官能的でもありますが、なぜなぜあなたの音楽にエロスが必要なのでしょう?

JW:うん、重要だね(笑)。僕は音楽だけじゃなくて、ライフそのものに官能性は重要だと思うんだ。鳥のさえずり、花、木の揺らぎ……そういったもののすべてが、僕にとってはセンシュアルなんだ。

なるほど。とくにアルバムの最後の“Bless Ur Heart”は官能性も濃密ですし、非常に重要な一曲だと思います。歌詞に「Boy」や「Child」という言葉が出てきて、これはあなた自身のことを指していると思ったのですが、あなたにとっては何を象徴するものなのでしょう?

JW:その通りだよ。あの曲では、いまの僕自身に向けて語りかけている。テーマは優しい心を持ち続けることについてなんだ。雲とか木や幽霊が、(そうしたメッセージを)僕に語りかけているイメージなんだ。

すごく美しい曲ですが、なぜラスト・ナンバーに置いたのでしょう?

JW:僕にとってはすごくスウィートな曲で、アルバムもそういうムードで終えたかったんだ。それにピッタリな曲だと感じたからね。

ええ、本当にそう思います。では、クィア・カルチャーについてももう少し訊きたいのですが、最近は、アノーニ、アルカ、フランク・オーシャン、ソフィーなど、たくさんのクィアなアーティストがそれぞれの表現で活躍していて、日本から見ていてもすごく勢いがあるように思えます。ただ、あなたからすると、いまのアメリカでもクィア・アーティストとして表現することに困難はあると思いますか?

JW:いや、あまり感じないね。日本ではどう?

いやあ、まだまだ難しいと思います。

JW:そうなんだね。僕の場合は、単純に自分がクィアだからそれ以外の選択肢がないんだよ(笑)。

あなたの音楽には、クィアに対する祝福があるのでしょうか。

JW:もちろん。それはアルバムを通してつねに感じていることだよ。音を作っているときからね。

あなたの言葉でクィアを定義するとどうなりますか?

JW:expansive(拡張的な、展開的な)。

ああ、それはすごくしっくり来る定義だと思います。では最後の質問ですが、いまの目標を教えてください。

JW:これもexpansive、だね(笑)。

interview with Autechre - ele-king


Autechre
NTS Sessions

Warp/ビート

Avant-Techno

  このインタヴューは去る6月15日13時30分からおよそ50分にわたって、渋谷のカフェでおこなわれた。来日ライヴの翌々日。梅雨のまっただなかで、朝から雨が降っていた。当日の通訳は原口美穂さんがやってくれたが、細かいところを訳すために片岡彩子さんにお願いして、英文起こしをしていただいた。せっかくなので英文のほうも(いちぶ聞き取りできない箇所もアリ)も掲載する。
 PCとインターネットが普及したことで、ベッドルーム・エレクトロニック・ミュージックの飽和状態はさらに過密化している今日この頃、専制的な均質化への抵抗としてのオウテカはいまだ健在だ。物語を持たない音の粉砕機械は、『Chiastic Slide』(1997年)でいっきに加速し、方向性すらもたない音のうごめきと複雑なテクスチャー、音の微粒子は『Confield』(2001年)でさらにまたギアが入っている。なんのことかわらないって? そう、まさに。そのなんのことかわからないことをオウテカは追求しているのだからしょーがない。誰もが慣れ親しんでいないことを、しかし親しんでもらうという矛盾で彼らを言い直すこともできるだろう。反エリート主義であり、徹底した反ポピュリズム。以下の取材でも彼らはSpotifyを激しく罵っているが、あらかじめ定められた目的別に音楽が消費されていく様は、彼らからしたらジョージ・オーウェル的な悪夢でしかないだろう。
 そういう意味でオウテカは、いま現在も長いものに巻かれないでいるし、逆らっていると言える。10人聴いたら10人が違う感想文を書くであろう音楽。この現実のようにカオスな音楽。それは感じる音楽であり、体験する音楽だ。先頃リリースされた8枚組(アナログ盤では12枚組)『NTS Sessions』でも同じことが言えるかもしれない。4つのセクションからなるこの大作だが、ぼくが驚いたのは、彼らがこのおよそ16時間をひとつの作品として考えていることだった。まあ、型破りな彼ららしい考えとも言えるが。
 90年代後半において、オウテカがビョークやレディオヘッドに影響を与えた作品は、『LP5』(1998年)や「EP7」(1999年)の頃で、そしてこれら『Chiastic Slide』以降のオウテカのひとつの節目としてリリースされたのが「Peel Session」(1999年)と「Peel Session2」(2000年)だったことを思い出す。『Confield』(2001年)以降を第三期オウテカと言えるなら、『NTS Sessions』はそれから『Exai』(2013年)までのオウテカ、近年の彼らの節目となりうる作品と見ることができるだろう。そしてそれは次なる段階へのドラフト(草案)なのだ。
 オウテカの2人と会ったのはものすごく久しぶり、ヘタしたら2000年代前半に、田中宗一郎と同じ車に乗って田舎の彼らのスタジオまで行ったとき以来ではないだろうか。それでもロブ・ブラウンとショーン・ブースは「あー、久しぶりだねー」みたいな感じで、1995年に彼らが初めて(ライヴのためではなく)来日したときに取材した頃とあんまり変わっていない。気さくで、オネストで、飾らず、良い奴らのままだった。

いまはそ完全に新しいものをいきなり出してもオーディエンスは付いてきてくれる。シュトックハウゼンが昔、オーディエンスは進化すると言っていたけど、それは本当だった。オーディエンスは進化したんだ。

この前のショウはとても良かったです。フロアは真っ暗で何も見えませんでしたが、ステージからフロアの様子は見えましたか?

ショーン:ぼくたちには(会場にいる)誰よりも見えているんだ。でも、耳を使っているんだ。観客が何をしてるか、耳で聞いている。
Sean:We see much better than everybody else. And.. But you can.. Mainly ears, you know, because you can hear what crowd are doing, what I think, you know... and...

ロブ:知覚を使って、場を感覚的に捉えることができる。会場の皆も、最初の真っ暗で何も見えない状態から、だんだん目が慣れてきて、最後の頃にはかなり見えていると思うよ。
Rob:You definitely get a feel for what it is. That’s more senses working part(?), but I think your initial feeling of the absolute darkness goes away all the time because people can see it by the end. People may get used it  

ショーン:少しはね、だって本当に暗いから……。
Sean:A little bit. Its very dark...

ロブ:リキッドルームはブラック・ボックスに向いている会場だね。
Rob: Liquid Room is good for black, box.

ライヴをしているほうからしてもオーディエンスの顔が見ないと思いますけれど、歓声やその場の雰囲気によってライヴの演奏は変わっていくものですか?

ショーン:そう、いろいろ変えることができる。リキッドルームでやったセットでは、オーディエンスを焦らしに焦らしたような気がする。このセットは、クラブでも着席するような場所でも、できるものだけれど……。このセットでヨーロッパをツアーしたんだけど、会場は(着席型の)コンサートホールが多かったんだ。
Sean:Yeah, we can change lots of things. It’s like the set in the Liquid Room, I had a sense that we were teasing the audience a lot, and it was.. we originally brought out the set so we could play either in clubs or a seated...In Europe, when we toured with the set, we played a lot in concert halls.

クラブやライヴハウスではなくコンサートホールってことですね?

ショーン:そう。クラブでも対応できるようにフレキシブルに作ってあるセットだけど、日本ならぼくたちが自由にやってもわかってくれると思ったし、リキッドルームはトラディショナルなクラブ・スペースだから、オーディエンスをどこまでプッシュできるか試してみたかったんだ。最後の最後まで、ビートがあるトラックはかけなかった。ビートを入れてからもそれを覆すようなことをした。オーディエンスを、できるだけ遠くまでプッシュしたかったんだ。それから、東京に来るのは久しぶりで、最後に来たときよりも、ぼくたちは進化していて、変化した部分がたくさんあるんだ。(あのセットは)それを短い時間でオーディエンスに伝える、ぼくたちなりのコミュニケーションの仕方だったと思う。
Sean:Yeah, so we made it so we can flex a little bit and play it in clubs, but for Liquid Room gig, because we felt like in Japan we can get away with more. And we thought it would be ok to play it in Liquid Room as a..., which is really a traditional, more of a club space, but to try and push the audience as far as we could. We left it until really close to the end before we gave them some tracks with beats. Even then, once we delivered that beat, we started to subvert it. We wanted to push the audience as far as we could. And, I think, it’s been a while since we’ve been to Tokyo, we have kind of evolved quite a bit since we were last here, and I guess it was our way of communicating very quickly.. a lot of changes to the audience.

ロブ:そうそう。
Rob: Yeah.

ショーン:Subvert (サブヴァート)したかったんだ。ぼくにとって、リキッドルームはトラディショナルなクラブ・スペースというイメージがある。ジェフ・ミルズを連想させるようなね。ジェフは、彼独特の方向に(ディレクション)にオーディエンスをプッシュするアーティストだ。ぼくたちはぼくたちの、オウテカのディレクションに、オーディエンスを出来るだけ遠くにプッシュしたいんだ。彼らが普段リキッドルームで体験するものとは、まったく違うものを聴かせたかった。
Sean:We wanted to.. subvert.. I think traditional Liquid Room is a club space, I mean, for me, I‘m in UK, so I don’t see every Liquid Room. I would associate Liquid Room with Jeff Mills. And Jeff is an artist who pushes audience in his direction very particularly. I think we want to push the audience in Autechre direction, as far as we can. Not give them what they traditionally get in Liquid Room. Give them something really really different.

ロブ:ヨーロッパで同じセットをやったけれど、オーディエンスは着席しているあいだなら静かにしている傾向にあった。東京のクラウド(観客)は、いつも静かだ。本当に聴き入ってるから。だから、リキッドルームはトラディショナルなクラブ・スペースだけれど、東京のクラウドならぼくたちのやりたい両方のことができると思ったんだ。
Rob:When we did the same set in Europe, like shows with more seated people, they tend to be quieter. Straight way. Tokyo crowd is always quiet, because they are really listening. So we knew the Liquid Room space would be the traditional club, but with Tokyo audience, so we could do both of our things.

ショーン:ヨーロッパだとオーディエンスに静かにしていてもらいたい場合は、彼らを座らせなきゃいけない。
Sean:In Europe, if you want people to be quiet, you have to sit them down.

ていうか、日本はマニアックなファンがすごく多いんですよ。欧米でもそうかもしれませんが。

ロブ:抑制が聴いていて、きちんと待っていてくれる。聴こえているんだ。
Rob: They are restrain and they wait. Because they would hear it.

ショーン:本当に静かだった。ベース(低音)も、かなり低いところまで持っていった。ダイナミック・レンジでいう低いところだ。
Sean:They were really quiet. There were some bass in the set, we were really trying to push it far down. Down in the dynamic range.

ベースにもいろいろあると?

ショーン:ラウドなベースとクワイエットなベースのどちらもが欲しいんだ。最近は、デプス(深度・奥行き)に惹かれている。だから、この辺りまでくるベースもあれば(ジェスチャーあり)、遠くて静かなものもある。コントラストがあるものが最近は多いんだ。
Sean:We wanted loud bass and wanted quiet bass. And at the moment I’m really into depth. So there are some bass that are really here, some bass kind of distant and very quiet. A lot of contrast at the moment.

ロブ:でも、空の両端にあるものとして結果は同じなんだ。静かだけれども、遠くないこともある。
Rob:But the resolution is the same at both ends of sky, you know? It’s quiet but not distant, as in, you just...but still perceivable.

ショーン:最近の音楽は、すべての音を同じように全面に押し出してミックスされている曲が多い。全部のレヴェルが同じで、どの音もよく聴こえる。何もかもが同じで、5分あったら5分、ずっとすべての音がダダダダダって同じような感じさ。正直言って、つまらないと思う。ぼくはすべてのエレメントがあからさまではない、シネマティックな奥行きにに惹かれるんだ。遠くにあるがゆえに、気配を気付けないものだってあるんだ。何て言うんだろう、いまのぼくはが興味があるのは、そういうことなんだ。
Sean:There are a lot of modern music.. is all about...the way a lot of modern music is mixed is about having every sound as close to.. very up front, all same level, every sound is very audible. Everything is the same, almost. It’s almost like for five minutes every sound is dididididi. And I’m bored with it, to be honest. I’m interested in most cinematic depth, where not every element is obvious. Some things are really in the background, and you might not notice it, you know. I guess that’s just where I am. It’s less about making a consumer product, and more like artistic thing, I don’t know .. I don’t know if that sounds bad. That’s where I am.

なるほど。

ショーン:いまのオーディエンスはとても洗練されている。インターネットを通して、さまざまなことを知ることができるから。でも、多くのアーティストが保身的だ。一般的な消費品を作りたがっている。インターネットの悪い面は、多くの人びとがフィット・インしたがるというか、いわゆるスタンダードなものを受け入れてしまうところだと思う。だから、規格品のような音楽になってしまうんだ。例えば、『ツイン・ピークス』の新作、もしあれがデイビッド・リンチではない誰かが作った作品だとしたら、ネット(ネットフリックス?)は受け入れなかったと思うんだ。でも彼には名声がある。だからできたんだ。それはオーディエンスにもわかっていたことだ。でも、オーディエンスのああいう反応の仕方、あれは誰にも(ネットも)予測がつかなかったものだと思う。
Sean:I think audiences now are actually quite sophisticated. We have the Internet, everybody can know about lots of things, but a lot of artists are very safe. And they want to make very broad spectrum consumer products. Because, the flip side of internet is that everybody wants to fit in, everybody wants to reach some standard, so this is standardized music. And I feel, at the moment, audiences are sophisticated enough to understand - you look at this, say, why Twin Peaks, the new series of Twin Peaks, if anybody other than David Lynch had made that, the net would have rejected it, but because he has the reputation, it can make the (estate?) and the audience understood it, they actually responded in the way that, may be the networks, that wouldn’t have predicted it....

ロブ:自信、自己肯定の話だね。
Rob:It’s a confident thing.

ショーン:企業もアーティストも人びとも、選択肢も消費者も多いから仕方ないけれど、完璧な消費音楽を作ろうとしているけど、もっといろいろできるはずなんだ。オーディエンスはインターネットを通してエデュケートされているんだから。だから、ぼくたちは最近はインタヴューをあまりやらないんだ。ただ音楽を作り発表する、それだけ。パトロン的なことは、もう一切しなくていい。
Sean:We have this thing where companies and artists and people are making music, and trying desperately...because there so much choice, consumers, everybody wants to make a perfect consumer product but actually the audience are very educated now because of internet, so you can do much more. And I guess, we kind of realized this now... this is why we do less interviews now and just do music and just put music out, because you don’t need to patronized the audience, at all anymore.

ロブ:アーティストは自分自身を満たそうしているように見える。そうする必要はないのに。ぼくたちはふたり組みだから、さまざまな意見を交換し合うことができる。ラッキーだよ。もしひとりだったら、ぼくたちがよくやるように、(同じ事柄に対する意見を)反映できる相手がいないじゃないか。
Rob: It is like artists are trying to fulfill their own self need for that... kind of..... they don’t have to. We are (lucky?) we are just two of us - we can perhaps… let’s do this and if it was just one person, there is no one to foil against. No one to reflect the same things and we do that a lot with our work.

ショーン:自信を持てないでいることはイージーだよ。さっきも言ったように多くの人(アーティストたち)がオーディエンスをひいき (patronize)している。それがどういうことかっていうと、ピッチフォークで良いスコアを取ることだったりするんだ。たぶんね。音楽をレート(採点)するアイディア自体が変だよ、五つ星、四つ星というように。音楽はケトルやトースターやラジオじゃない、機能品じゃないんだ。それにスコアをつけるなんて馬鹿げてる。
Sean:It’s easy to not be confident, with the audience and to think you need to... Like I say, a lot of people now patronize the audience, and what that going for is actually a good score on Pitchfolk, maybe. They are going for this, so...This whole idea of rating music with score and stars, like 5 stars and 4 stars, it’s kind of weird. Music isn’t a kettle, or toaster, or it’s not a radio .. it’s not functional in this way (?) and you don’t, you get out with a score is stupid.

ロブ:(音楽の)話をすること自体が難しいのに。それにスコアをつけるなんて……。
Rob:It’s hard enough to even just talk about it. Let alone (?) what you’ve said into 5 star...

ショーン:それによって音楽が変わっていってしまっている。ぼくにはそれが聴こえるよ。そんなことを気にしていたら、オーディエンスをプッシュすることはできないのに。
Sean:But it’s changing music, I can hear it’s changing music I think a lot about it - it’s a scare to push the audience.

ヨーロッパで同じセットをやったけれど、オーディエンスは着席しているあいだなら静かにしている傾向にあった。東京のクラウドは、いつも静かだ。本当に聴き入ってるから。

オウテカのライヴを聴いていると、距離の感覚がだんだんと崩れていって、普段自分が感じているような空間ではないような感覚を覚え、違う感覚が呼び起こされます。これまでも何度かライヴを拝見しましたが、オウテカのライヴがすごいのは、いまでもオウテカの音楽は未来の音楽ということです。90年代のノスタルジーにはならない。

ロブ:ノスタルジアで昔の曲をかけたことはいちどもないよ。
Rob:I don’t believe we have ever played our old tracks (out of nostalgy).

ショーン:もちろん、ぼくたちの仲間のなかには、昔はよかったなんて言う奴もいるよ、もうミドル・エイジだからね、自分たちも含めて(笑)。ノスタルジアばかりさ、周りはね。
Sean:Ok, so the artists I (grew), got along side, complain about this, who are middle aged now, like we are, and they have enjoyed early part of their lives more, so that ...(laugh). There is a lot of nostalgia around, basically.

あなたがたはまったくノスタルジーを感じないんですか?

ショーン:皆、少なからず、それはあると思うよ。年を取ったということだよ。でも、ぼくがノスタルジアを感じるのは、そういうことじゃないんだ。他のエレクトリック・ミュージシャンは、そういう音を作りたがるけど……。ぼくたちに常に完璧を求めてきてたんだ。
Sean:Well, we are all bit like that. We all got old. But I think I am nostalgic to different things, electronic musicians.. I think they want to make sound from them. which is we must be perfect all the time.

ロブ:まさしくそうだよ!
Rob: This is it, this is it.

ショーン:いまはそうでもなくなってきたけど。皆、型にハマりたがる。ぼくたちは、常に型破りでいたいと思っていた。
Sean:It’s becoming less so now.. everybody wants to fit in. We always wanted to not fit in.

ロブ:その通りだよ。ぼくたちがいまノスタルジックに感じているもの、それはある意味いまでも進行形なんだ。
Rob:Exactly, the idea is what we are nostalgic about now is that we are still doing it in a way. We are not nostalgic and presenting our old work. We are not really nostalgic in that sense, but what we would do is, still, not the....

ショーン:ぼくはときどき、音楽をたくさん買ってきて聴きまくることがあるんだけど、似たようなものが多いなと感じる。それがどんなものであれ。そして飽きてしまう。そして違うことがやりたくなる、自然とね。とくにこれらとは違うものを作ろう! と意気込んでいるわけじゃない。ただ、ああ、こういうものは、もうお腹がいっぱいって思うだけ。そして、スタジオに入ると全然違うものができあがってくる。ぼくたちは多かれ少なかれいつもこんな感じでやってきた。
Sean:I always kind of, if I listen to, if I buy a lot of music, which happens, sometimes I just buy a lot of music, they’d be kind of sameness, you know, similarity there, and usually I get bored of that. Whatever it is. And kind of wanna do something else. It’s just a natural thing. I don’t think, you know “I must make the opposite to this”, I just get… just (fatigue?) .. I just think “Ah I’ve had enough of that. But when I go into studio, something else comes out. That’s … kind of we have been always that way. 

ロブ:さっき君がオーディエンスとの距離のことを言っていたけど、それについて話してもいいかい? ぼくたちはフロアの端っこの方、DJたちがよくやる場所だよね、そこで十分ハッピーなんだ。ステージは人工的なバリアを作ってしまうメカニズムのようなもので、それを好むアーティストもいるけれど、ぼくたちはそうではないんだ。
Rob:Can I say .. you mentioned first the distance between the audience and us. I think we are often quite happy to be in the corner on the floor, like where a dj might be. So sometimes a stage is an artificial barrier-making-mechanism artists prefer. We are not really that way.

ショーン:で、いまのオーディエンスはとてもスマートだと心から思うよ。知識がある。ぼくたちがスタートした頃は、オリジナリティーを受け入れてもらうのは難しかったんだ。少しずつ少しずつオリジナリティーを出していくというか。いまはそんなことはなくて、完全に新しいものをいきなり出してもオーディエンスは付いてきてくれる。それを生かすべきだと思うんだ。シュトックハウゼンが昔、オーディエンスは進化すると言っていたけど、それは本当だった。オーディエンスは進化したんだ。いまは、皆、シュトックハウゼンが誰か知っている。ぼくたちがはじめたころは、シュトックハウゼンを知っている人なんてひと握りだった。シュトックハウゼンに限らずね、例をあげればの話しだよ。オーディエンスは本当に知識があって、柔軟だ。つねに多様な音楽に触れていると思う。
Sean:I really do believe that the audiences now are incredibly smart. They know way more. When we started out, the audiences was…you know, you had have to make small moves, you made small moves of originality back then. Whereas now you can do huge moves in the originality. You can make completely new things. But the audiences are still there with you. I think this is something you can work with. It’s like .. some of what Stockhausen said back in the day about audience would evolve, is true. Audiences have evolved. People now days know who Stockhausen is. When we started out, you’d meet may be three people who know Stockhausen. Not Stockhausen particularly.. I’m just using him as an example. I think, in general, I think audiences are far more educated and far more flexible. They are more exposed to more different things all the time.

ロブ:ダイナミック・レンジについてもっと言えば、とても大きな音を出すことはオーディエンスとの間にバリアをつくるようなものだ。でも、音量を下げることによって聴こえてくるディテイルを大切にすると、そのバリアから流れ出ることができるんだ。最近はオーディエンスと親密なコミュニケーションができると思っている。昔はできなかったように思う。
Rob:There is something more about the dynamic range as well. I guess people can play really loud. It almost presents senses of barrier, between the artists and the people. When you bring things low, and with detail, it’s almost like you flow over that barrier as well as you.. We find now that we can communicate with intimacy with the audience, and which wasn’t possible.. 

ショーン:以前はもっと難しかった、不可能ではなかったけど。いまは、ストレンジなことをしてもオーディエンスはオープンでいてくれる。奥行き、ダイナミック・レンジ、インティマシー、そういったものは互いに作用しあうんだ。
Sean:It was possible but it was more difficult before. I think now you can bring the audience in and exposed them to stranger thing and they are more open to it. And yeah its kind of depth and dynamic range and intimacy, they all relate to each other.

思い通りの展開をしない音楽に対してオープンないまの状況というのがあるとしたら、あなた方が開拓したと思います。

ショーン:本当にそう思うよ。インターネットによって、あらゆるものが入手できるようになった。インターネット上で20代前半の人たちと話すことがあるけど、本当に驚くよ。なんでも知っているんだ、アカデミックでストレンジな音楽のことをね。以前から知っている人はいたけれど、いまは誰もが知っているようなものになってきている。
Sean:Yeah I really think so, Internet has made everything available. You’d be surprised that you speak to the people through the internet, may be they are in their early 20’s, they know about loads of academic, strange music. I mean there was some before, but now it’s becoming like a thing that everybody knows..

ロブ:昔だったら、そういうものを知るためには人生体験が必要だったんだよ。ぼくらはラッキーだった、年上の友だちがいたから。コイルやクラフトワークの前身のような音楽やアーティストたちのことを教えてくれたんだ。それをリアルタイムで知るには、ぼくたちは若すぎたからね。インターネットを通すと、そういった知識を凝縮することができる、もちろん、きちんとした説明や、信用できる引用元や照合、貴重なメモなんかがあってのことだけれど。
Rob:You’d need a life experience to know about these things. We were lucky the older people we became friends with, would show us who coil was, would show us who early, pre-Kraftwerk artist … because were too young for experiencing it when it was alive. So I think some people can condense that now with Internet, as long as there are trusted report and trusted explanations, and interesting notes and verifications, or citations… that helps but..

ショーン:何もかも入手できる場所に皆が競って入っていこうとする。でも注目されるのは困難だ。なぜなら、多様なすべてのものがそこにあるから。逆を言えば、皆がさまざまなものに触れることができ、洗練され、新しいものにもオープンになっていく。
Sean:It has two things .. on one end, you got this huge array of.. everything is available and artists are competing to be in the space.. it’s very difficult to get someone’s attention, because there are so many (?) now and so much music and everything is all there. But the other side of that is people are exposed to all these different things, and so they become more sophisticated, and more (?) and more open to new things.

ロブ:ひとつのことが次のことにつながるんだ。
Rob:One thing lead to another..

ショーン:ぼくはポジティヴな側面に惹かれるよ、オーディエンスが洗練されているという部分にね。
Sean:I am more interested in the positive aspect, which is the audience is sophisticated.

ロブ:かなり若い頃からクラフトワークのことは知っていたけれど、年上の友だちのおかげだな。その人から良い音楽のことをいろいろ教わったんだ。
Rob:Yeah, I remember knowing Kraftwerk when I was really young, but It took an old friend.. It was an old friend that explained the finest earlier work.

ショーン:良い音楽を見つけ出すのに昔は時間がかかったよね。
Sean:It used to take time to discover too…

もちろんインターネットにはポジティヴな面とネガティヴな面があると思います。ネガティヴな面というのは情報量が多いところです。例えば、今の若い人はいろいろな情報をチェックしてどんどん頭でっかちになってしまい、肝心なところが抜けてしまっていると感じるときがあります。今日の最高におもしろい音楽のひとつにシカゴのフットワークがあると思いますが、彼らはそんなにインターネットをチェックせず、自分たちで作り上げたからあのようなものができたんじゃないかなと思います。インターネットによってフラットになった世界の怖さについてどう思いますか?

ショーン:フットワークのように、閉ざされた環境で育つシーンを見つけるのは難しいし、レアなことだよ。フットワークは、ある意味、ハウス・ミュージックの再資本化に対する、シカゴ独特のリアクションだと思うんだ。ハウスを作っていた多くの人がフットワークに携わっていて、いまは大勢のヨーロッパ人もハウスを作っているけど、それに対して彼らは「これは俺たちのゲームなんだ、俺たちがフットワークを作って、俺たちがやっていることなんだ」と思っている。ドリルなんかもそうだよね。
Sean:Ok, so, yeah, you do have these things where that it’s difficult and it’s very rare to find as a scene that’s developed in an isolation like Footwork. I think Footwork in a way, this, very Chicago reaction to the recapitalization of house music. A lot of the guys who are involved in the Footwork scene were making House, but now every European is making House, and they just got, “No no no, this is our game. We are doing this and make Footwork, which is almost inaccessible to white European audience, right? You get the similar thing out of Drill music in Chicago as well.

ロブ:ダンス・シーンとペアになったとき、アメリカ人とヨーロッパ人はコインの反対同士なんだ。
Rob:I think when it’s twined with dance scene, Americans and Europeans are the another sides of the coin - because… you can’t, they’re doing footwork dance, and in Europe, they’d be listening to it (embarrassed?) with backpack on going like this….

ショーン:音楽的にフットワークはとても面白いと思うけどね。 
Sean:I mean I really like Footwork from the music part of the perspective, I think it’s very interesting ..

ロブ:ダンスとペアにしてクリエイトするからね、ストリートで、子供たちも、年寄りも、皆フットワークで踊っている。イギリスではそんな幅広い年齢層では聴かれていないかな。
Rob: It’s just as nice but at the same time, it becomes exclusive to people to create it, because they create with the dancing, in the back of (car park?), on the street, young children, older people, you know, if you think of it all the ages dancing to Footwork. In England, or in Europe, there is a very narrow band of age listening to that (shit?)..

ショーン:フットワークは音楽的にとても面白いから、ヨーロッパ人に受けるんだ。それに、近づきがたいものだっていうのもヨーロッパ人好みなんだよ。
Sean:It’s also that, yeah, Footwork is one of those things where it’s musically very interesting and Europeans are going to response that because there is always.. almost a conversation between people in the UK and people in America. And it’s always like things like Footwork are more interesting to Europeans, because it’s otherwise unaccessible, so we…

そこは日本人もそうかも。

ショーン:手の届かないものであるべきだよね。
Sean:It shouldn’t be accessible ..

ロブ:手に届くとは思っていなかったというか。
Rob:You wouldn’t expect it to be accessible.

ショーン:ハウス・ミュージックのときも同じだった。80年代にハウスが出てきたときに、イギリスなんでハウスに夢中になったかと言うと、アメリカの文化のなかハウスのようなものは他にひとつもなかったからだよ。80年代のアメリカ文化といえば、ブラック・ラップ・ミュージックがあるけど、ハウスはメインストリームでは理解されなかった。フットワークは、ある意味現代のハウスだよ、アメリカのメインストリームが理解しないもの。売りつけられるものと買いたいものが違うようなものと言えばいいのかな。イギリスはアメリカのメインストリーム音楽を認めてないんだよ、ビヨンセのような大物以外はね。イギリスでグランジやハウスが受けたのは、イギリスはあまり知られていないアメリカものを好むからなんだ。
Sean:Same thing with House Music, when it came in the 80’s. The reason UK liked House Music so much in the 80’s was that there was nothing like that anywhere else in American culture. Predominantly in the 80’s American culture was Black Rap Music. And suddenly there was (?) which was coming from America but mainstream America didn’t seem to understand. Footwork is the modern House Music in a way - it’s the thing the mainstream America doesn’t understand. It’s kind of like a difference between somebody obviously selling you something, and you wanting to buy something, you know? For Europeans, for whatever reason, you want to pick and chose things that are like… kind of a.. it (?) you a sense of agency. It’s like… the reason Grunge music was popular and House music was popular - obscure American things are always more popular in UK than mainstream American things. UK does not buy mainstream American music apart of huge acts like Beyonce.

ロブ:(イギリス人は)誰にも指図されずに好きなものを選びたいのさ。
Rob:It’s like we want to retain our independent right to choose what we want…

ショーン:人種の問題ではないし、そうしたくもない、でも、イギリスはアメリカの白人音楽よりも黒人音楽を好むんだ。つねにそうだった。なんでかって……、単純に言うと、(黒人音楽の方が)良い音楽だからだろう。1994年、ぼくたちが初めてアメリカに行ったとき、取材でどんな音楽に影響を受けてきたか訊かれた。「エレクトロやハウス」と答えたら、ジャーナリストたちは理解してくれなかった。
Sean:I mean I don’t want to make this about race, because I don’t want it to be about race, but UK prefers Black American music to White American music. We always have, I don’t understand why. I think may be it’s just better music. When we first to went to America, and they said “What are your influences?” and we said “Electro. House Music”. This is in 1994. Most of the journalists, couldn’t understand.

ロブ:予想通りの答えじゃなかったのさ。
Rob:They expected us be to into…

ショーン:彼らにとって、(エレクトロやハウスは)どうでもいい音楽だった。インテリジェントだと言われている音楽をやっているはずのオウテカが影響を受けるほど、(エレクトロやハウスは)洗練されている音楽だとは思っていなかったんだ。黒人音楽がメインストリームの白人音楽よりも洗練されていると認めたくなかったんだ。でも、時代は変わった。インターネットがヒップホップをいまのメインストリームにのし上げた。それをアダプトしてみればいいんだよ。フットワークやジューク、ドリルみたいなジャンルが、いまはメインストリームに成りつつある。アメリカよりもヨーロッパで受け入れられているよ。インターネットがそのプロセスを早めているんだ。
Sean:They just didn’t … to them that sort of music was rubbish. It wasn’t sophisticated enough to influence a band like Autechre, which they thought very intelligent and all that. It’s kind of like the same reason that Americans invented the term IDM. Because they didn’t want to admit, that the local black music was more sophisticated than mainstream American which was very white, at the time, music. But things change and Internet forced Hiphop into the mainstream in America now. So, try and adapt that. And Footwork, genres like Footwork, things like Juke and Drill are now becoming mainstream because of the acceptance in Europe rather than in America. Internet is speeding up the process.

ロブ:そうだね。
Rob:Yeah

ショーン:90年代とは違うんだ。いまはインターネットがあるから、ヨーロッパ人にうけているってすぐわかる。さっきから言っているように、オーディエンスもシャープだし洗練されている。
Sean:In the 90’s that wasn’t really the case. But now, if the genre.. like yeah you can make those genres big in America now because Europeans like them. If Americans are on Internet, and if Americans see Europeans like it on the Internet, it’s this quick things now. And like I said, audiences are so sharp and sophisticated now, it’s different.

[[SplitPage]]

1994年、ぼくたちが初めてアメリカに行ったとき、取材でどんな音楽に影響を受けてきたか訊かれた。「エレクトロやハウス」と答えたら、ジャーナリストたちは理解してくれなかった。彼らにとって、それらはどうでもいい音楽だったからね。

次の質問です。『Exai』というCD2枚組のアルバムを2013年にだして、その後CD5枚組の『elseq 1-5』を自分たちのサイトから出していて、今回の『NTS Sessions』 はCDなら8枚組ということで、なんだかどんどん作品の尺が長くなっています。それは自分たちが表現したいこと、作品に出したいことが1枚のCDではおさまりきらなくなっているということでしょうか?

ショーン:あれは偶然の産物なんだ。2年前頃、NTSでたんなるミックスだけれどDJをした。そうしたら、次は(8時間の)レジデンシーをやらないかと。普通のラジオのDJのようなものをね。8時間、DJをする時間はなかったし、やりたいとは思わなかった。でも、自分たちのマテリアルでなら面白いものが8時間できるだろうと考えた。だからそうしたんだ。8時間のDJをやらないかって言われたからこそ、発展したというか。
Sean:NTS thing happened by accident. About two years ago, we did a dj set for NTS. It was just a mix, you know. And they came back and said if we would do a residency. And the first this was just a regular radio dj thing they were asking us. But I didn’t want to do it, I didn’t have enough time to do 8 hours to dj mixes, you know. But we sat and thought about it, and we realized we could make 8 hours of material - because, that would be more interesting. So we did that. So it just happened just because they asked us....They asked us 8hrs of mixes and...

ロブ:2時間のセッションを4回ね。彼ら(NTS)のレジデンシーが、そういう仕組みなんだ。
Rob:Four two-hour sessions. Four two-hour shows in the most. It was their idea to stage this residency, because that’s how they work with the residency…

ショーン:時間はかかったよ。これをやるには時間がかかるけど、できるだろうか? ああ、できるよって(話し合って)取り組んだ。
Sean:So it took a while - I thought ok if we do this, it would be a long thing. It requires a lot of time, but we can do it. It’s one of these... “Can we do this? yeah, we can do it.” And we tried. I think we did it.

ロブ:NTSのレジデンシーだったら、DJをするのだろうと思うだろ? 今までも新しいアルバムを出す度にそうしてきていたしね。プロモーションの一環として、ラジオ番組で大きいプログラムを組んで、影響を受けたアーティストの曲をかけたりしてきた。自分達の曲ではなくてね。ぼくたちがラジオでオウテカの曲をかけるとは、誰も思っていなかったんだ。だから、あれ? この曲は? まさかオウテカじゃないよねって。でも、2時間もしたら、当然わかるよね。次のセッションまでの1週間、皆が興味深々でいてくれたのがわかったよ。
Rob::What makes it more special is that, if we did a residency like that for NTS’ invitation, you’d expect us to be djing for the people’s music. Like we had every time we put cd of our music. We would prep us a big radio show, playing influences, play tracks that are never ours. Hardly ever played our own tracks. So suddenly the idea that.. the radio show, what you will hear is still secret. You know with an album, it’s gonna be an Autechre album, but with a radio show, a lot of people might expect others’ music, so it was that really the nice thing that the revelation that.. “I have not heard this tune before, they are playing some new record of somebody.. Is this Autechre? Oh...” And after two hours, it’s very obvious it’s Autechre and it was another week to wait. Will this be… They are not doing Autechre, they are playing somebody else’s. And that lasted almost a week. (We knew in an advance, it was saying we were talking about ideas - you could expect this constant reawakening of the people, the interests?)

ショーン:ワープと契約する前の、1990~1991年頃、マンチェスターで3~4年、パイレート・ラジオをやっていたんだ。他のアーティストのレコードをかけていたけど、ときどき自分たちの曲も滑り込ませた。
Sean:Before we signed to Warp, in 1990, 1991, we played on a pirate radio station in Manchester. We did this for three years, four years. We would play other people’s record, but every now and then, we’d slip in our own track of ours.

ロブ:デモをね。
Rob: A demo.

ショーン:かけてみて、それに気づく人がいるか試していた。それに近い精神というか、何をやらかすかわらない遊び心というか。
Sean:Just play.. you know, see if anybody notices. And it was a little bit in that spirit, where the audience would not know what we would do, so we could play around..

ロブ:予測できないこと何かをね。
Rob: It’s unpredictable

ショーン:ぼくたちが新しいオウテカの曲を8時間もかけるなんて、誰も思わないだろうと考えたんだ。だって、馬鹿げているだろ。だからやったんだ(笑)。
Sean:Yeah so we thought nobody would expect us to play 8 hours of new Autechre. It was kind of absurd, you know, ridiculous. But.. so we did that.

ロブ:ぼくたちがラジオのブロードキャスティングのことをよく理解しているということ、それがショーンが言っていることの本質だよ。ラジオを聴くという行為、皆が一体になって聴いている瞬間というのかな、ある瞬間に、この曲誰だろうって思っている人は君ひとりじゃない。皆をシンクロさせるんだ。ライヴ・ストリームだったから世界のどこかで君と一緒に聴いている人がいたんだよ。深夜2時頃にやるのがぼくたちの定番だけどね、昼間じゃくて。夜、心に響く音楽だと思うんだ。世界のどこかでは、深夜のベストの時間帯になるから、(ストリーミングを)何時にやってもいいのかもしれないね。さざ波のように広がるのが面白かったよ。ある場所では夜中で、別の場所では仕事から帰ってきたばかりの時間。でも、少しはお互いにシンクロし合うんだ。皆がライヴ・チャットしていたのを見ていたよ。「いま帰ってきてばかりだけど、聴き入ってるよ!」とか「いま東京! 東京で聴いてる!」とかね。そうやって感情が反映されて広がっていくんだ。
Rob:It’s the nature of Sean talking about how we are very familiar with radio broadcasting, the idea of how people are actually listening together, is a combined moment where everyone knows, even if they don’t know - “who is that?” - then at least there is one more person is like that. Doing what they are doing. And.. Because it synchronizes everyone. What was quick with this was, they streamed this live, normally we would play it 2AM or it’s better earlier in the evening, not in the mid afternoon, but you knew this somewhere around the world, there are somebody (?) that, in that ideal window. At night time, that kind of music works a little better. And it meant that the radio show could be played almost (?) time of the day, because somewhere globally the stream is arriving at the ideal time for someone… They are kind of this funny ripply effect of people being accepting it later night and some people are like “no i’m just coming home from work, it’s not my ideal time” but they would synchronize each other a little bit. You could see people chatting live and say “I’m just coming home and suddenly immersed in this thing”. And some other people are like “I’m in Tokyo listening to this, oh man!” and you spread to reflect the feeling ..

ショーン:捉え方としては、ラジオ番組のプログラムと一緒なんだ。リリースはラジオをドキュメントしたものなんだ。だからタイトルがある。『NTS Session』と。
Sean:It’s conceived as programmed as the radio show. It’s very much… the release is a document of a radio show, which is why it has a title. NTS session because...

ロブ:アーカイブだね。
Rob: It’s an archival.

ショーン:そう、ラジオのアーカイブ・リリースだよ。
Sean:Yeah, it’s an archival release of a radio show. Yeah, it’s a...I guess that is what it is.

これはいつ放送されたものですか?

ショーン:4月だよ。やったばかり。
Sean:April. It’s very fresh, yeah.

ロブ:4月に4回、毎週木曜日だった。
Rob:It was every week , four Thursdays in April.

ショーン:前もって用意した作品だよ。スタジオでやった長いセッションを元にしているんだ。ピール・セッションを作った時のプロセスと同じようなやり方なんだ。
Sean:And it was prepared in an advance. But it was made.. originally from the long live sessions in the studio. It was a similar process to how we made the Peel Sessions. It was a very similar process to this.

4つのセッションはそれぞれテーマが決められているように感じました。セッション1はダンス・ミュージック、エレクトロ的なオウテカのルーツを感じるようなセッションで、セッション2は近年の『Exai』や『Oversteps』などすごくエクスペリメンタルで複雑なことをやっていた近年のオウテカというものがすごく出ているように感じました。セッション3は今までやっていなかったことをやろうとしているのかなという印象を受けて、セッション4はアンビエントやドローンなど聴いたことがないオウテカという印象を持ちました。それぞれのセッションはどのように作り分けているのですか?

ショーン:興味深い。
Sean:It’s interesting...

ロブ:ペース間隔が大切だったんだ。ラジオ・ステーションがベースになる作品であることはわかっていた。
Rob:They have to be paced, and we knew the pace had to work in a... we knew the records were gonna come out as well as the radio station was gonna be its basis.

ショーン:部分的には……、頭のなかのどこかで、経験として8時間の音が成り立っていたから。
Sean:It’s partly... as well, somewhere in the back of my mind, I had kind of 8-hour experience..

ロブ:頭のなかで。
Rob: In mind.

ショーン:そう、だから、全体的な流れがある。8時間通しで聴くことは、誰にも期待していないよ、でも可能にしたかった。(音の)旅だと思う。大まかなナレティヴもあると思う。そうだね、最初は直球にしたかった、ある意味、入って行きやすいもの。2番目は、ディープにしたかった。2番目のセッションは、ブシュシューと深いところに沈み込むような感じだ。そして3番目は、2番目の展開。4番目はディープな未来。なんて表現すればいいのかな、アイディアとして、深い深い未来、物事がありすぎるようで少なすぎるような……。
Sean:Yeah. So there is an overall flow. I don’t expect many people would listen to 8 hours all while they are sitting but I want it to be possible. And it’s kind of a journey. There is kind of a rough narrative...And yeah, it’s true, in the beginning I wanted it to be more straight forward.. Not necessarily... I guess “accessible” to a certain extent, and the second one, I want it to be deep. The session two was kind of a deep plunge, almost like an “boonpfft.... “, you know. And then three is a kind of like a development of two. Four is kind of a deep future. I don’t know how to describe it, kind of...idea is a deep deep future where it almost you can’t ... there is almost too much and too little at the same time..

ロブ:ぼくは個別に捉えている。1番目は……狭いところから始まり、だんだん広がっていく。アルバムにはイントロがよくあるように。2番目はもう少しわかりやすくて(入っていきやすい)、皆がどこまで遠くまで行けるか探っている。3番目は、とてつもなく広く、何でも起こり得るような場所。4番目は、ショーンが言ったように、ガスなのかアトミック・レベルなのかわからないけど、互いにコズミックな関係性のあるものが沈みこむような……引力と重力のある……
Rob: I see it individually in a way...the first one... it starts out narrow and widens out and widens out, and second one, yeah slightly more accessible for a reason, because some albums were with an introduction, yeah? And then, second one, exploring how far people can go. Third, you got so much width now, almost anything is possible. The fourth one, like Sean said, you don’t know what they are doing with the gas, or atomic level stuff or, and just as important, cosmic with one another. There is gravity and heaviness ..

セッション4最後の1時間近くあるトラック、“all end”のことですが、このような長尺のドローンはいままでなかったと思のですが……

ショーン:長いトラックを作ったことは前にもあった。ドローンのようなものも、「Quaristice.Quadrange.ep.ae」(2008年)というね、『Quaristice』の頃だよ。
Sean:Yeah, we’ve done long tracks before. We’ve done drone tracks.. We did the thing called Quadrange, around the time of Quaristice.

ロブ:レコード4枚分、ダウンロードのみのリリースでね。
Rob: It was a range of four records. Download only.

ショーン:『Quaristice』の頃のデジタル・リリースで、1時間あるトラックだった。だから、初めてじゃない。ドローンとは呼びたくないけど、こういったトラックはずっと作っていた。ドローンじゃないんだ、別物だよ、でも、まあ長い間、こういうものは作ってきていたんだ。
Sean:It was a digital release around the time of Quaristice, and was an hour long track. So it wasn't the first time, but it was very limited.We’ve been making this kind of tracks...I don’t want to call it drone.. It’s not really drone, it’s something else, but we have been doing this kind of stuff for a while.

ロブ:その曲は世界のようなものなんだ。複雑な……。文明のある天体球で、そのなかを覗くとひとつの完全な世界がある。あって欲しいと望んでいる。
Rob: It’s like they are worlds.. it’s complicated.. it’s a civilized sphere, but if you look inside it, there is a whole world.. I mean there is, hopefully.

ショーン:その表現はすごくいい。
Sean:That’s a really good way to say it.

ロブ:こうとしか言い表せないな。
Rob: I don't’ know what else to say it..

ショーン:こういうのはしばらくやってきていたよ。でも、ワープに(1曲で)1時間もあるアルバムを持っていったら、何考えているんだ? って言われるよ。でも、8時間分のリリースなら、そのなかに1曲、1時間のトラックがあってもOKだろ。
Sean:We’ve been doing this for a while.. but if we go to Warp with an hour long album, they’d be like “What?”. In an 8-hour release, it’s ok to have a track that’s an hour long.

ロブ:昔、パイレート・ラジオだけじゃなく、キス・マンシェスターでもやっていたんだ。毎週ね。ディスエンゲージドという番組で、キス(ラジオ)でやっていた。FM局のキスは、イギリス全国にあるサテライトステーションだから、ぼくたちもブライトンでやったり、ロンドンでやったりしたけど、マンシェスターではレジデントみたいな感じで何年もやっていた。毎週日曜、真夜中の番組。友だちを呼んで、GescomとかAndy Waddocks, Skam, Rob Hall, Darrell Fittonとか、皆でやったんだ。みんな、変わったものを持ってくるんだよ。それに近いフィーリングだよ、ラジオでいろいろなものを聴く(かける)というものに。
Rob:We used to do, not just a pirate radio, we did a legitimate radio on Kiss Manchester. Every week… It was called Disengaged, on Kiss Radio. Kiss FM spread out as Satellite stations in UK, so sometimes we’d be in Brighten, London, and then we had almost like a resident in Manchester, for years. We had friends involved, Gescom gang, we did a lot of Disengaged in Manchester, because they came regularly every Sunday. And it was really late at night. So we did a lot of late night radio. Gescom, Andy Waddocks, Skam, Rob Hall, Darrell Fitton, all contributed and we all did this together. But they (?) very weird wonderful kind of program material, so.. it’s similar to that kind of the feel that things could be… it’s radio so we could explore lots of different things.

Spotifyはクズだよ! なんでかって? アクティヴィティー・プレイリストなんてものがある、リラクゼーション・プレイリストとか? 最悪だよ。音楽を滅ぼしてしまっている。最低さ。ストリーミング・サービスは、ゆっくりと音楽を破壊の道へ導いている。

『NTS Sessions』のすべての曲にちゃんと曲名がありますよね。その1時間の曲は“all end”という曲で、曲名に意味を持たせようとしないオウテカにしては意味を感じる曲名だなと思いました。

ショーン:うーん、ピンとくるタイトルはあるよね。これの場合は、最後の曲で尺の長い作品だし……。
Sean:I don’t know...sometimes titles just feels right. It was the end, and it was long and all..

ロブ:他のトラックでも、こんな感じのサウンドが聴けるものはあるんだ。でも、これは最後のトラックでこの独特の音の世界を追求したものだね。
Rob:There is a moment where you can hear this kind of sound in another track and it was an end of this track, and this is all but it, it is all that stuff, it’s all the end as well..

ってことは、過去にやってきたことの集大成的な意味合いもあるんですか?

ロブ:ピール・セッションについて話すと良いのかな。ピール・セッションの場合は、──ジョン・ピールはUKのラジオDJで、もう亡くなっているんだけれど──、アーティストたちは、3、4曲、ジョン・ピールに曲を渡していたんだ。1~2曲の新しいトラックと、それらのオルタナティヴ・ヴァージョンのものをね。コクトー・ツインズやザ・フォールなど、皆、すでにあった曲のオルタナティヴ・ヴァージョンをピール・セッションとして提供した。よく知られたマテリアル、有名なトラックのものを。
Rob:I should say.. With Peel Sessions.. In the UK, we have.. he’s died, John Peel, was a radio DJ in UK, he is now dead. And.. what used to (?) with the Peel Session, so the artists would give him, say, four tracks, or whatever, three.. It’s traditional to give may be one or two new tracks, then some alternative versions of new material… Most of Peel Sessions back then .. Cocteau Twins, The Fall, all these different artists did the Peel Sessions, most track they did were alternative versions of existing material. Well known material - almost famous tracks, even.

ショーン:『NTS Sessions』を思いついたとき、オウテカのマテリアルを展開させた、オルタナティヴ・ヴァージョンを作りたいと考えたんだ。すでにあるトラックのエレメンツやパーツ、アイディアに言及するような作品を。そういったことはいままでにもやってきていたけれど、そのやり方で厳密に取り組んだのが『NTS Sessions』なんだ。
Sean:When we conceived this NTS Session, we wanted to make what we would do as developed alternative versions of existing Autechre material. So it’s kind of.. it refers to previous work of other tracks, elements, or parts, or ideas from previous work in the same way. Strictly for NTS Sessions, we kind of did that more. We always did that a bit, but with this we did that a lot. 

ロブ:それは大きいね。
Rob:Real big parts of it.

ショーン:“all end”は、『Exai』の“Bladelores”というトラックに似ている。そして、最後のセッションだ。“all end”は、『Exai』の“Bladelores”のアイディアのいくつかを展開したもので、NTSのためのスペシャル・ヴァージョンと言えるよ。だから“Bladlores”の終章、終りということだね。
Sean:All End is similar to a track called Bladelores from Exai. And it was the end session. All End is an expansion of some ideas from a track on Exai. Bladelores. Kind of a special NTS version of that track. So the name is about, how it’s the end of Bladlores.

ロブ:終りのすべて、全部。
Rob:And it’s all of it.

今回の『NTS Sessions』もそうですし、ひとつ前の『elseq 1?5』など、さらにその前にライヴ音源をいっきに自分たちのサイトでリリースするようになったと思いますが、さきほどの「インターネット」や「スマートなリスナー」を想定したリリースの仕方をしているのですか?

ショーン:ああ、インターネットを通して、オーディエンスとは直に繋がることができる。メディアは物事を簡略化しすぎるから。売るためにね。
Sean:Yeah, with the Internet, we can just go straight to the audience. So the media, which is always trying to oversimplify things to sell things.

ロブ:インターネットは、完成していないスペースだから常に余白がある。だから、ぼくたちも物質的なリミット無しで、ようやくライヴ音源を出すことができたんだ。(ライヴ音源は)本当にたくさんあるんだ。1時間ある1曲は出せたけれど、音源はもっとある。それを皆に届けるには、無制限のスペースが必要なんだ。
Rob:Internet is a non-finished space, there is always a room. So we could put our recordings of the live shows finally without any limitation of physical so… Because there are a lot of them. To put one item out that’s one hour long, is I guess ok but we have a lot more of those, so we need an infinitive space to provide them to people.

Spotifyでオウテカのアルバムが聴けると思いますが、入っているアルバムと入っていないアルバムがあります。どうでしてでしょうか?

ショーン:Spotifyはクズだよ! なんでかって? アクティヴィティー・プレイリストなんてものがある、リラクゼーション・プレイリストとか? 最悪だよ。音楽を滅ぼしてしまっている。最低さ。ストリーミング・サービスは、ゆっくりと音楽を破壊の道へ導いている。作った音楽を聴いてほしいのはわかる。でも、ぼくらの古くからの友人たちにもいるんだ、Spotifyのプレイリストにあげるためだけの音楽を作るようになってしまった。ぼくたちは、オルタナティヴなものを作りたい。
Sean:Spotify is Garbage! Why? Because they have activity playlists. You have relaxation playlists, everybody makes fucking (?) music. It’s just the worst thing. It’s destroying music. I hate it. I think streaming services are slowing destroying music. And.. I mean, ok, I understand people want to have their music heard. But now I actually know artists, who are my friends, I know them for years, they are now making music just so they can get them on Spotify playlists. It’s just so different to what we …. we wanna alternatively make what we want.

ロブ:ワープがSpotifyに渡す曲については、ぼくたちで厳選している。(ワープは)理解してくれているよ、ぼくたちがこういう事については選択的でうるさいということを
Rob:We are strict what Warp will give to Spotify. And they understand why. They understand how.. selective.

ショーン:だから、ぼくたちのサイトで視聴できるようにしたんだよ。ぼくたちのプロダクトを買いたくなくても聴くことはできる。
Sean:Yeah, and we made it so if people don’t want to buy our product, they can just listen on our site for free, so there are still streaming available… We don’t have to worry about Spotify (?) us in the background. We can just put it there.

今後AIが音楽をつくれるようになったら、人が作った音楽とAIが作った音楽とで区別する必要はあると思いますか?

ショーン:すべての音楽は人間が作ったものだよ。鳥の囀り以外はね。
Sean:All music is made by humans. I mean apart from birds song.

ロブ:それでもヒューマン・メイドだよ。
Rob:Still human made.

ショーン:ぼくはつねにアーティフィシャルなものに興味を持っていた。こういっては何だけれど、アーティフィシャルってマンメイドっていう意味だと思う。人間が人工的なものを作ったということを忘れがちだけれど。コンピュータもとても人間的だ。テクノロジーのことを人間がどう考えるかということ自体、とても人間的だと思うんだ。人間がつくったから劣るものだという考え方はやめたほうがいい。個人的に、ぼくはArt、Artificialなものが好きなんだ。なんて言ったら良いかな、ぼくにとって、アーティフィシャルのコンセプトは、人間がつくったものだということ。ロボットだって人間が作ったもの。ArtはArtificialの言葉のなかにもあるよね、関係しあうものだよ。
Sean:I’ve been always interested in Artificial things. I feel bad to pointing this out. Artificial means Manmade. I think it is easy to forget Artificial means humans made it. It means, you know, computers are very human thing. This whole… you know, what we think about our technology, it’s uniquely human. I think, we need to get over with this idea, that because human made something, it is somewhat not good. Personally, I like art, I like artificial things, I like... you know, I don’t know how to explain this. This is difficult because for me, the concept of artificial means people made it. People made robot. I know it is kind of obvious, but, it’s like word “Art”. It’s part of the word “Artificial”. There is a related concept.

ロブ:ツールだね。ロボットだって人間が作ったツールだ。
Rob: I guess they are still tools. Robots are still tools made by people.

ショーン:言語とテクノロジーによって人間的なものが生まれるんだ。それらをどう使うかによって。70年代に、メカニカル・マシン・ミュージックやエレクトロニック・ミュージックは人間的ではないと言われていたけれど、人間以外のどの動物がマシンを使って音楽を作る? 人間的ではないという意味がわからない。とても人間的だ。人びとが音楽を人間的だと形容するとき、ナチュラルだという意味で言っているんだと思う。ナチュラルって、人間が作ったものではないということだよ。ナチュラルの反対はアーティフィシャルだよ。だから、アーティフィシャルとは人間的ということ。皆、意味をあべこべに捉えてしまっている。なぜだかね。
Sean:I think humans… hrm, Because of language and technology, there are human things. Particularly by the way we use it. Often when we talk about mechanical machine music or electronic music.. In 1970’s, people would say it’s not human. What other animals use machines to make music. I don’t understand how that’s not human. That’s the most human ....I think people often say, with music, with regard to music, people often say human, when they mean natural. Natural means, not made by not human.. Natural opposites to Artificial. Artificial means human. Yeah it’s almost like people having it backwards. I don’t know why.

ロブ:ミステイクだね。
Rob:It's a mistake.

Laurel Halo - ele-king

 イタリアのテクノ系プロデューサー、シェヴェル(シュヴェール?)ことダリオ・トロンシャンによるダブルパック『In A Rush And Mercurial』が興味深かった。これは4月にリリースされた彼の5thアルバム『Always Yours(いつもあなたを思っています)』がどのようにしてつくられたかを想像させる内容だったのである。彼は3年前までダブ・テクノにグライムを持ち込むことで大きな興味を引いた存在だった。その彼がマムダンスのレーヴェルに移り、さらにウエイトレスと呼ばれるジャンルにチャレンジし、またしても大きな飛躍を見せたのが『Always Yours』であった。個人的にはいまのところ今年のベスト・スリーに入る充実作である。2枚のEPから構成された『In A Rush And Mercurial』は一聴すると『Always Yours』よりも以前のスタイルに揺り戻したかのような印象を与える。実際にそうだったのかもしれない。しかし、『In A Rush And Mercurial』は『Always Yours』を作り上げる段階で捨てられた曲をまとめて出したと考えた方が得心のいく曲が多い。彼はダブ・テクノにもウエイトレスに通じる部分はあると考えているようだけれど、それまで彼の重心部分であったダブ・テクノの比重を減らし、グライムからウエイトレスを抽出して後者の方法論を肥大させていく過程でダブ・テクノから充分に脱却できなかったものを一度は捨てたのではないかというストーリーを勝手に組み上げてみたくなるのである。『In A Rush And Mercurial』もよくできてはいる。しかし、先に『Always Yours』を聴いてしまった耳には『In A Rush And Mercurial』は物足りなくなる部分があるし、逆に言えば『Always Yours』がどれだけ跳躍力が高かったかをあらためて実感できたともいえる。
 
 マーラのDJがUKサウンドとの出会いだったというトロンシャンはウエイトレスに進路を定める上でとくに参考にした曲としてフランコ・バティアトーの6thアルバムから「Za」を挙げている。バティアトーは70年代のイタリアン・プログレッシヴ・ロックでもけっこうな異端児で、「Za」はとくにストレンジでコンセプチュアルな曲といえる(『アンビエント・ディフィニティヴ』P152)。そして、これとまったく同じ発想で作ったとしか思えない曲がローレル・ヘイローの5thアルバムにもフィーチャーされていた。“Quietude”である。スカしたタイトルはヴァンガード・ジャズ・オーケストラが60年代に録音していた曲と同じだけれど、それとは関係がないようで、バティアトーを飛び越えて、さらにその向こうにいるジョン・ケージやプリペアード・ピアノから着想を得たものなのだろう。トロンシャンでいえば『In A Rush And Mercurial』に収録された”Faded”にかなり近いものがあり、ふたりが同じところをウロウロしているのは間違いない。
 『Raw Silk Uncut Wood』は、そう、オリヴァー・コーツのチェロをフィーチャーしたタイトル曲からしてモロだし、全体にミュジーク・コンクレートからのフィードバックが濃厚な1枚で、イーライ・ケッセラーのドラムを使い倒した“Mercury”ではフリー・ジャズ、“The Sick Mind”ではリュック・フェラーリのような名前がどうしても浮かんでしまう。あるいは例によって解体されたデトロイト・テクノのリズムにも強く注意が払われ、そのことによってトロンシャンとも同じく現在形の表現になっていることも保障されている(デリック・メイたちに“Mercury”の感想を訊いてみたい!)。テーマ的にはオランダのデザイン・スタジオ、メタヘヴンとアーシュラ・ル・グインが訳した道教の本からインスピレーションを得たそうで、音楽とイメージをどう結びつけるかはなんとでも言えるし、ああそうですかとしか言えないので、観念的な側面は省略。イージーにいえば瞑想的で静謐な曲が多い。

 ローレル・ヘイローのサウンドはそれにしても完成度が高く、女子高生言葉でいうところの「雑味」がまったくない。だからといって息苦しいわけでもなく、冒険のセンスにもあふれている。リリース元はエナ『Distillation』や今年に入ってイヴ・デ・メイ『Bleak Comfor』をリリースしたフランスの〈レイテンシ〉。当初はシカゴ・ハウスやデトロイト・テクノを発していたものが、すぐにも実験的な作品ばかり扱うようになったレーベルである。『Raw Silk Uncut Wood』のエンディング、“Nahbarkeit(親しみやすさ)”をヴォルフガング・フォイト(マイク・インク)のガス名義に喩えたレヴューがいくつかあったので、たまたま同時期にリリースされたガス名義の6作目『Rausch(酩酊)』を聴いてみたら、まあ、確かにそうかなとも思いつつ、意外にもヘイローの方が快楽的だったので、クラブ・ミュージックの連続性も切り捨てられてはいないといえる。ちなみにトロンシャンも『Flowers From The Ashes: Contemporary Italian Electronic Music』でリュック・フェラーリを思わせる極上のアンビエント・チューンを聞かせくれる。


Sophie - ele-king

 ずっとオウテカがヒーローだった。5月に公開された『クラック・マガジン』のインタヴューで彼女はそう明かしている。この発言が意外に感じられるのは、これまでの彼女が盟友のA・G・クックあるいは彼の主宰する〈PCミュージック〉のポリシーに則って、何よりもまずポップであることを希求し続けてきたアーティストだからだろう。自身の楽曲はもちろんのこと、チャーリー・XCXをはじめとする数々のアーティストとのコラボをとおして、いわゆる「バブルガム・ベース」の第一人者としてその地位を確立したソフィー。その初期の音源は2015年にリリースされた編集盤『Product』にまとめられているが、それに続くフルレングスとして発表されたこのファースト・アルバム『Oil Of Every Pearl's Un-Insides』は、しかし、「バブルガム・ベース」のある種の到達点を示した『Product』とはずいぶん異なる様相を呈している。

 その変化はまずアートワークやリリックに、あるいはシングルカットされた3曲のMVに如実に表れ出ている。これまでどちらかといえば匿名的ないし記号的なイメージを堅持してきた彼女が、今回は自身のクィアネスを全面に押し出しているのである。たしかに、性の自由や多様性といったテーマは彼女のカラフルなサウンドと相性がいい。じっさい、本作中もっともポップな“Immaterial”は、安室奈美恵と初音ミクのコラボ曲にもつうじる躍動的なトラックのうえで、「私は私が望む何にだってなれる」と盛大に宣言しており、ある種のクィア・アンセムと捉えることも可能だろう。
 けれどもこのアルバムがおもしろいのは、その“Immaterial”のほかにいわゆる「バブルガム・ベース」らしい楽曲が見当たらないところだ。クィアのプレゼンテイションとしては、“Immaterial”のようなポップ・チューンを(あるいは、初めて自身の歌声を披露したファースト・シングル曲“It's Okay To Cry”のようなバラードを)できるだけ多く収録したほうがより効果的だと思うのだけれど、彼女はそれでアルバム全篇を覆い尽くすような真似はしなかった。まさにそのようなアティテュードにこそ、クリエイターとしてのソフィーの本懐が宿っているのではないか。

 ベース・ミュージックらしい低音を堪能させてくれるセカンド・シングル曲“Ponyboy”には、他方で90年代テクノを思わせる旋律が織り交ぜられてもおり、ソフィーの音楽的なバックグラウンドの多彩さを垣間見ることができる。そのインダストリアルな意匠はそのままシームレスにサード・シングル曲“Faceshopping”へと引き継がれ、ベースやらヴォイスやらアシッドやらがスリリングな応酬を繰り広げる。そして同曲はなぜか、次のトラックへ移ったと錯覚させるようなタイミングで唐突にポップな展開を挟み込んでもくる。音楽的冒険を突き詰めたこの2曲こそが本作全体の方向性を決定づけているといっていい。
 そのような尖鋭性はほかのトラックにも滲み出ていて、ぶりぶりと唸るベースの間隙にレイヴの断片が貼り付けられる“Not Okay”は、まるで死体をダンスさせているかのような奇妙な仕上がりだし、“Pretending”のドローンもどこかティム・ヘッカーを想起させる静性を具えている。極めつきは最後の“Whole New World/Pretend World”だろう。もしもアレック・エンパイアがポップ・ソングを作ったら……といった按配で幕を開けるこの曲は、中盤以降うっすらとウェイトレスなシンセを忍ばせつつ、ある時期のエイフェックスとオウテカを掛け合わせたような強烈なアヴァン・テクノへと変貌を遂げるのである。

 風船ガムのように弾けては消えるライトな音楽を標榜し、それこそJポップまで取り入れるに至った彼女はいま、なぜこのように尖ったアルバムを送り出したのだろうか。
 件のインタヴューにおいて彼女は、メインストリームの音楽の持つ長所として、それが排他的ではなく、またエリート主義的でもない点を挙げている。資本のど真ん中を流れゆく音楽たちがほんとうに排他的でないかどうかは議論の余地のあるところだけれど、仮にそれらの音楽が「万人に開かれている」という前提のうえに成り立っているのだとしたら、彼女はそのど真ん中めがけて爆弾を投げつけようとしているのかもしれない。すなわち、「開かれた」ポップのフィールドにアヴァン・テクノの遺産を反映させつつ、さらにそこにクィアというテーマを重ね合わせることはいかにして可能となるのか、そしてそれはいかなる未来を呼び込むことになるのか。まさにそれこそがこの『Oil Of Every Pearl's Un-Insides』の賭金であり、たしかにそれはオウテカにはとることのできなかった選択だろう。つまりソフィーはいま、かつての自らのヒーローを超えるような試みを為そうと大いに奮闘しているのである。


Various Artists - ele-king

 日本のカセット・レーベル〈ダエン・レーベル(duennlabel)〉が、リリース45作でついにクローズする。あのニャントラ(中村弘二)、リョウ・アライ、メルツバウ、畠山地平、ショータヒラマ、フォーカラー(杉本圭一)、糸魚健一、食品まつり、勝井祐二 、セラー(ウィル・ロング)、ミキ・ユイ、オヴァル、浅野忠信、フルカワミキ、イクエ・モリなど世代や領域を超えた独創的な音響作家、音楽家、アーティストたちの作品を、カセットというメディアでリリースし、われわれの耳にエクスペリメンタル・ミュージックの「今」を提供してくれた貴重なレーベルであった。それがついに終了する。

 ラスト・リリースとなる本作『深遠SHINEN』は、レーベルにおいて重要な役割を果たしてきたコンピレーション・アルバムの最新作である。前作コンピレーション・アルバム『ランドスケープ・ペインティング』は、絵画をテーマとしてコンピレーションで、マシーン・ファブリック、メアリー・ラティモア、リーヴォン・マーティンス・モアーナ、レーベル・オーナーのダエンなど今の時代を象徴するような個性的なエクスペリメンタル・アーティスト/音楽家が参加していた。
 本作のキュレーションもまた絶妙である。イタリアのロゼート・デッリ・アブルッツィを拠点とし、音響レーベルの老舗〈ライン〉からのリリースで知られるサウンド・アーティストの俊英ファビオ・ペルレッタ(Fabio Perletta)。フランスはパリの知られざる音響作家ジュリー・ルース(Julie Rousse)。ウルトラ・ミニマルな作風で知られるアメリカはロサンゼルスのベテラン・サウンド・アーティスト、スティーヴ・ロデン(Steven roden)。そしてレーベル主宰者であり日本を代表するアンビエント/ドローン作家のダエン(duenn)。

https://duenn.bandcamp.com/album/v-a-shinen

 冒頭1曲め(A1)はファビオ・ペルレッタの“Eventi”という曲である。印象的な物音と乾いた電子音とノイズの絶妙なコンポジションに惹かれる。非反復と非連続的な打撃感など、どこか日本の雅楽のようなムードを醸し出す。この物音の深い響きこそ、まさに「深遠」の象徴ではないか。
 2曲め(A2)はジュリー・ルースのトラック。持続音と環境音によるインダストリアル/ノイズ・ドローン作品。
 3曲め(A3)はダエンによる“gagaku”。その清潔な朝霧の深淵のようなドローンは圧倒的で、まさに日本の雅楽を思わせる出来だ。どこか心身を綺麗に洗い流してくれるようなドローン作品に仕上がっている。その深い音響的質感は、ソロ・アルバム『モナド』(2017)以降のサウンドであり、彼が現在、別次元のアンビエント・アーティスト/ドローン作家に変貌しつつあることを示している楽曲だ。
 4曲め(B1)は、巨匠スティーヴ・ロデンの“skyskygroundgroud”である。次第に変化していくミニマルな電子音に恍惚となる。12分33秒というアルバム一の長尺トラックである。
 ラスト5曲め(B2)はレーベル・オーナー、ダエンの“gagaku2”。2分16秒という短い時間だが、アルバム名「深遠」を見事に表現する曲といえる。今のダエンは、音の深遠を捕まえつつあるのではないか。
 むろんそれはダエンの曲のみに留まらない。ファビオ・ペルレッタの非連続性・非反復性、ジュリー・ルースの多層的な音響空間性、スティーヴ・ロデンのミニマリズムなど、このコンピレーション・アルバムは、アンビエント/ドローンという00年代以降の音楽形式の到達点を密やかに提示する。
 ペルレッタの日本の雅楽を思わせる音、ダエンの曲名、ロデンの反復、ルセの自然と融解するような音、そして何より「深遠」というアルバム名。この符号に私は日本的な自然観と人工物の融解を聴いた。このレーベルの音が行き着いた音は、そこにあるような気がしてならない。深く、遠く、音と音が混じり合い、そして鳴り続けること。持続反復。逸脱と生成。
 それは聴く人(の耳)によって結晶のように常に変化をし続ける音響持続でもある。現代アンビエントやドローンはそういった環境と状況を聴き手に提供する音響装置ともいえよう。本アルバムもまさにそうである。聴取環境・状況によって、音への認識が多様に変化するミニマルな音の結晶体としてのアンビエント/ドローン。その認識の変化こそ豊穣な聴取体験なのだ。

 本コンピレーション・アルバムをもって、〈ダエン・レーベル〉は幕を下ろす。先に書いたようにこれは2010年代のエクスペリメンタル・ミュージック・シーンにおいて極めて重要な「事件」ではある。だが同時に「とりあえずの終わり」に過ぎないとも思えるのだ。音は終らない。鳴りやまない。じじつダエンはニャントラとの「ハードコア・アンビエンス」の開催・活動を続けているし、メルツバウやニャントラらと「3RENSA」としてアルバムをリリースする。今後、さらなるリリースも期待できるはずだ。彼は音の深淵/時間の深淵を追及するアンビエント/ドローン作家として、さらなる高みに到達するに違いない。プリズムと逸脱の持続と生成のように。音は鳴り続けるのだ。

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443 444 445 446 447 448 449 450 451 452 453 454 455 456 457 458 459 460 461 462 463 464 465 466 467 468 469 470 471 472 473 474 475 476 477 478 479 480 481 482 483 484 485 486 487 488 489 490 491 492 493 494 495 496 497 498 499 500 501 502 503 504 505 506 507 508 509 510 511 512 513 514 515 516 517 518 519 520 521 522 523 524 525 526 527 528 529 530 531 532 533 534 535 536 537 538 539 540 541 542 543 544 545 546 547 548 549 550 551 552 553 554 555 556 557 558 559 560 561 562 563 564 565 566 567 568 569 570 571 572 573 574 575 576 577 578 579 580 581 582 583 584 585 586 587 588 589 590 591 592 593 594 595 596 597 598 599 600 601 602 603 604 605 606 607 608 609 610 611 612 613 614 615 616 617 618 619 620 621 622 623 624 625 626 627 628 629 630 631 632 633 634 635 636 637 638 639 640 641 642 643 644 645 646 647 648 649 650 651 652 653 654 655 656 657 658 659 660 661 662 663 664 665 666 667 668 669 670 671 672 673 674 675 676 677 678 679 680 681 682 683 684 685 686 687 688 689 690 691 692 693 694 695 696 697 698 699 700 701 702 703 704 705 706 707 708 709 710 711 712 713 714 715 716 717 718 719 720 721 722 723 724 725 726 727 728 729 730 731 732 733 734 735 736 737 738 739 740 741 742 743 744 745 746 747 748 749 750 751 752 753 754 755 756 757 758 759 760 761 762 763 764 765 766 767 768 769 770 771 772 773 774 775 776 777 778 779 780 781 782 783 784 785 786 787 788 789 790 791 792 793 794 795 796 797 798 799 800 801 802 803 804 805 806 807 808 809 810 811 812 813 814 815 816 817 818 819 820 821 822 823 824 825 826 827 828 829 830 831 832 833 834 835 836 837 838 839 840 841 842 843 844 845 846 847 848 849 850 851 852 853 854 855 856 857 858 859 860 861 862 863 864 865 866 867 868 869 870 871 872 873 874 875 876 877 878 879 880 881 882 883 884 885 886 887 888 889 890 891 892 893 894 895 896 897 898 899 900 901 902 903 904 905 906 907 908 909 910 911 912 913 914 915 916 917 918 919 920 921 922 923 924 925 926 927 928 929 930 931 932 933 934 935 936 937 938 939 940 941 942 943 944 945 946 947 948 949 950 951 952 953 954 955 956 957 958 959 960 961 962 963 964 965 966 967 968 969 970 971 972 973 974 975 976 977 978 979 980 981 982 983 984 985 986 987 988 989 990 991 992 993 994 995 996 997 998 999 1000 1001 1002 1003 1004 1005 1006 1007 1008 1009 1010 1011 1012 1013 1014 1015 1016 1017 1018 1019 1020 1021 1022 1023 1024 1025 1026