「IR」と一致するもの

C.E meets PLO Man - ele-king

 Skate ThingとToby Feltwellが率いるファッション・ブランド〈C.E〉のイベントでは国内外のカッティング・エッジなアーティストたちを迎えてきた。3月2日(金)、CIRCUS Tokyoにて開催される今回のイベントにその名を連ねるのは、ベルリンを拠点にミステリアスなリリースを続けるレーベル〈Acting Press〉の主宰者、PLO Man(ピーエルオー・マン)だ。
 〈Acting Press〉はアンダーグラウンドで精力的に活動している謎多きレーベルで、リリースされる12インチ・シングルは毎回すぐに売り切れてしまう。PLO Manは約1年ぶりの来日で、2月24日(土)には今回のイベントに先駆け大阪NOONでもDJを行うとのこと。
 また今回のイベントにはインダストリアル・ミュージック・デュオのCARREと、ここ最近精力的な活動を見せているMori Raも出演予定。来週金曜日は迷うことなく会場へ足を運びましょう!

C.E presents PLO Man

PLO Man
CARRE
Mori Ra

開催日:2018年3月2日金曜日
オープン/スタート:11:00 PM
会場:CIRCUS Tokyo https://circus-tokyo.jp
料金:2,000YEN

※20歳未満の方のご入場はお断り致します。年齢確認のため顔写真付きの公的身分証明書をご持参願います。(Over 20's Only. Photo I.D. Required.)

■PLO Man
インディペンデントでアンダーグラウンドなエージェンシー/音楽レーベル〈Acting Press〉の代表としてワールド・ワイドな展開の指揮を執る、ドイツはベルリンを拠点とするアーティスト/DJ。2015年の発足以降、Acting Pressはじっくりと着実に、一貫した姿勢を崩すことなく、ヨーロッパをはじめ世界中のアンダーグラウンドで活動を続け、有形文化財的な価値すら見出せるような、経年劣化にも耐え得る強靭な作品を世にリリースし続けています。
https://soundcloud.com/plo_sound
https://berlincommunityradio.com/PLO_RADIO

■Carre
インダストリアル・ミュージック・デュオ。
NAG : RHYTHM MACHINE, BASS MACHINE, SYNTHESIZER
MTR : BOX, OSCILLATOR, GUITAR
https://mindgainminddepth.blogspot.jp/

■Mori Ra
TV/ラジオのレコーディングスタジオで培ったオープンリールEDITのスキルとレコーディング知識を武器に大阪を拠点に活動するDJ。 オブスキュアでレフトフィールドなダンスミックスを軸にあらゆるジャンル、年代から独自のコンセプトを基に構成するミックスを得意とし、15年以上続くパーティーPURMOOONを主催する。
2015年からヨーロッパを中心にオーストラリア、韓国など海外DJ公演も多数経験。海外に和モノを知らしめた Japanese Breeze MIXの他、Mori Ra、Oyama Editの名義でEDITをリリース。まもなく、ドイツCockTail d'Amore から12"EP、スペインHivern DiscsからJohn TalabotとのSplit10"がリリース予定。

Discography:
Mori Ra - The Brasserie Heroique Edits Part 3 (Berceuse Heroique,UK,2017)
Mori Ra - Akebono (Balearic Social Records,2017,UK)
Mori Ra - Tasogare (Balearic Social Records,2017,UK)
Mori Ra - Trapped In The Sky (Tracy Island,UK,2017)
Mori Ra - Jongno Edits Vol 4 (Jongno Edits,South Korea,2017)
Mori Ra - Oriental Forest (Forest Jam Records,US,2016)
Mori Ra - Passport To Paradise (Passport To Paradise,2016,UK)
Mori Ra - Sleeping Industry (Macadam Mambo,FRA,2015)
御山△EDIT( Oyama Edit ) - Ghost Guide 12”EP (Most Excellent Unlimited,US,2015)
Mori-Ra & ASN/Tokyo Matt / - Balearico Cosmico Editsu 12”EP (Macadam Mambo,FRA,2014)
Oyama Edit / Sad Ghost – Edits 12”EP (Rotating Souls Records,US,2013)
Various - Magic Wand Vol 5, 6, 8 (12”)

資本主義リアリズム - ele-king

内面は疲れ果て、いまぼくたちは永遠に魂を失う。 ──ジョイ・ディヴィジョン“ディケイド”

資本主義リアリズムがこうも網羅的で、現在の抵抗の形がこうも絶望的かつ無力であるなら、実のある異議申し立てはどこから来るのだろう? 資本主義がいかに苦しみをもたらすかを力説するモラル的な批判は、資本主義リアリズムを増長させるだけだ。貧困、飢餓、戦争は、現実の避けられない一面として描かれ得るが、こうした苦しみを無くせるかもしれないという希望となれば、しばしばナイーブなユートピア主義のレッテルを貼られれてしまう。資本主義リアリズムを揺るがすことができる唯一の方法は、それを一種の矛盾を孕む擁護不可能なものとして示すこと、つまり、資本主義における見せかけの「現実主義(リアリズム)」が実はそれほど現実的ではないことを明らかにすることだ。  ──マーク・フィッシャー『資本主義リアリズム』


 待望の翻訳だ。妥協のない厳しいメッセージではあるが、率直で勇敢な本だ。ある意味気が滅入るかもしれないが、世界を変えようと真剣に考えている。なんにせよ、昨年1月に自害したイギリスの批評家、マーク・フィッシャーが2009年に発表した『資本主義リアリズム』、彼の代表作がついに日本語で読める。
 ジャンル的に言えば、現代思想に精通している人が評すべき本だと思うが、サイモン・レイノルズが嘆くように、音楽についての文章がただ音楽のためだけの文章になってしまった今日、同調主義的かつナルシスティックなFacebookやインスタのようなネット文化ではないそのオルタナティヴにおいて、フィッシャーはただ音楽のためだけではなく音楽についても書き続けた人でもある。読みやすい本だし、音楽好きにも読んでもらいたいと思うがゆえに自分で書くことにした。
 だいたいフィッシャーは、いまのところ公式では最後にURを取材した人である。2007年の『WIRE』誌に掲載されたそのインタヴューの一部分は、拙著『ブラック・マシン・ミュージック』の新装版のあとがきに引用させてもらった。もうひとつ、彼こそはBurialないしはダブステップをを論じた第一人者であり、現代においてジョイ・ディヴィジョンを論じ直した人だ(あるいはリアーナのようなポップスターについてとか)。レディオヘッドについて書いている文章は読んだことはないが、いずれにせよ、この本を避けて通ることはできない。

 が、おそらくぼくたちはそれをいつの間にかずいぶんと避けてきているかもしれない。避けているとういよりは、慣らされてしまったというか、ほぼ盲従しているというか。たとえばの話、ぼくたちはなんとなくハリウッドがろくでもないバビロンかもしれないと思っている。そのハリウッドではいまどきのトピックの社会派の映画が優秀な人材を配して作られる。そして言う。いや、ハリウッドだろうとないよりはマシだと。この「マシ」にはかなりの説得力がある。
 数年前『パレード』という映画があった。80年代の炭坑夫とゲイが共同してデモをするという、言うなれば集団的オルタナティヴの形成に関する美しい実話をもとにしたイギリス映画で、いまでもぼくは人に薦めたいと思っている。が、その物語は、サッチャーから炭坑廃止をめぐって「それしか道はない」と強制/提言されたことで生じた労働者階級の「亀裂」については突っ込んでいない。資本主義リアリズムはその「亀裂」に深く関わっている。それはジェイムス・エルロイの「ノワール」とも、ギャングスタ・ラップにおける「リアル」とも連なる。
 
 ギャングスタ・ラップとは、その支持者がしばしば主張するように、既存の社会状況を単に反映したものでもなければ、その批判者が主張するように、そうした状況をただ引き起こすものでもない。ヒップホップと後期資本主義の社会的フィールドが互いに浸透し合う回路はむしろ、資本主義リアリズムがアンチ・神話的な神話と化すところと通底している。(本書より)

 本書の特徴は、まずは「ポストモダニズム」よりも「資本主義リアリズム」という用語を優先して使っている点にある。フィッシャーは、サラヴォイ・ジジェクのようにいくつかの映画を解読しながら、複数のアングルから「資本主義リアリズム」なるものを暴いてみせる。そのひとつに、ポスト・フォーディズムの問題がある。いま企業で働いている人たちには身近な話で、これから働く人たちにとってもじつにシリアスな問題だ。

 というのも、ごくまっとうな理由からではあるが、四十年間も同じ工場で働き続けるのはごめんだと思ったのは彼らだから、左派はいろいろな意味で、フォーディズム的バランスを崩し、そしてそのことから未だに立ち直れていないままでいる。特に英国では、労働者階級の伝統的な代弁者、つまり労働組合と労働党の幹部らによって、フォーディズムはむしろ都合が良すぎた。安定した階級対立によって彼らの役割は保証されていたというわけだ。しかしその結果、ポスト・フォーディズム的資本主義を唱える者として容易に自己アピールすることができた。(本書より)

 新自由主義が基本的に人の弱みや満たされない欲望につけ込んで入ってくることは、我が国の政治家たちを見れば一目瞭然であり、歴史の分水嶺ともなったサッチャーの言葉=「これしか道はない」は、訳者もあとがきで指摘しているように安倍内閣が執拗に使っているフレーズでもある。フィッシャーが言うように「反国家主義的なレトリックを明示しているにもかかわらず、新自由主義は実際のところ、国家そのものに反対しているのではなく、むしろ公的資金の特定の運用に反対しているのだ」。そして、こうした新自由主義(非道徳的な合理性)と新保守主義(道徳的で規制的な合理性)は、たがいに矛盾しながらも「資本主義リアリズム」のなかで融合する。
 その結果、現在ぼくたちは自由にお買い物を楽しみ、そして自由に転職して失業するという不安定さのなかで生きる/死ぬことを甘受している。ラップのMCバトルは、あらかじめ敗残者に溢れた世界を生きることを前提とする社会、それが当たり前(リアル)だと思わせるという点で「資本主義リアリズム」を補完する。それは起業家ファンタジーとの親和性を高めるはするものの、みんなが勝利する世界をますます想像しづらくする。
 ラップだけのことではない。それはありとあらゆるものに接続可能だ。社会貢献が好きなボノのような人がつい口にしてしまった「パンクやヒップホップは硬派な商業主義」という言葉から漏れている「資本主義しか道はない」という合意にも通じる。
 インディーズやオルタナティヴも他人事ではない。インディーズやオルタナティヴがメインストリームの外部にあるのではなく、「メインストリームに従属しているどころかそのなかでもっとも支配的なスタイルにさえなっている」ことは、Jポップやファッションを見ていてもわかる。それはテクノやレイヴ・カルチャーがEDMや企業イベントに吸収されたことや、リヴァイヴァルと冷笑主義ばかりが繰り返され、新しいモノが生み出せなくなってきている文化的膠着状態ともリンクしている。いや、「新しいモノ」は出てきてはいるかもしれない。が、「経済的効果」を生み出せないがゆえにメディアで紹介されない、されなくて当然となっている、日本ではいまにはじまったことではないが。
 「資本主義リアリズム」におけるこうした文化の衰退、そして誰もが幸せな未来を描けなくなっていることへの無力感、あるいは、健康や禁煙を奨励するいっぽうで、統計的にもその疾患者の増加が目覚ましいのに関わらず、政治経済からは放置され続けるうつ病/情動障害……これら「資本主義リアリズム」の異常さをフィシャーはとことん見逃さない。

 早とちりしないで欲しいのは、本書は「またかよ」の新自由主義批判ではないということだ。最近問題視されている奨学金制度もそうだが、金利の値下げによりまずは人びとを債務者にする新自由主義にもほころびが起きている。フィッシャーが「新自由主義は必然として資本主義リアリズムであったが、資本主義リアリズムは必ずしも新自由主義である必要はない」というように、実際いまぼくたちはトランプ政権やイングランドのEU離脱という出来事を目の当たりにしている。そしてディスピアを量産することはできても(ディストピアを描くことは現状認識という点において重要だと思うが)、ユートピアを想像できないままでいる。
 「Is there no alternative?」、オルタナティヴはないのか?(選択肢はないのか?)が本書の副題となっているが、フィッシャーは彼なりに未来への手がかり(実験的かつ実践的なオルタナティヴ)をある程度まで具体的に書いている。興味深いことに、毛利嘉孝のようにUKのポスト・レイヴ・カルチャーをバックボーンに持つ彼は、東浩紀のようにポストモダニズムの「大きな物語」批判を超克するための、左派の新しい目標として一般意志という概念の再興を説いている。(そして、原書で読んでいる高橋勇人がぼくにしつこく言ってくるのは、ポストモダニズムの限界とうつ病というテーマにおいて、國分功一郎的でもあるということ)

 フィッシャーが48歳で自ら命を絶ったということもあってか、いまUKの大学生のあいだでは、およそ10年前に著されたこの本がさらにまた読まれているという。学生はカスタマー(顧客)ではないし、公的サーヴィスはビジネスであってはならないのにビジネスにすらなっていないという現実。人口減少にも関わらずマンションが新築され続けるように、多国籍企業の店舗を破壊したところで破壊されることのない「資本主義リアリズム」。フィッシャーの意見をすべて肯定する必要はないだろうけれど、手遅れにならないためにも、その実体を確認することは急務だろう。

GEIST - ele-king

 昨年出た YPY 名義のアルバムも記憶に新しい日野浩志郎。バンド goat の牽引者でもある彼が2015年より続けている大所帯のオーケストラ・プロジェクトをさらに発展させた公演が、3月17日と18日、大阪の名村造船所 BLACK CHAMBER にて開催される。イベント名は《GEIST(ガイスト)》。マルチチャンネルを用いた音響により、空間全体を使って曲を体験できる公演となるそうだ。ローレル・ヘイロー最新作への参加も話題となったイーライ・ケスラー、カフカ鼾などでの活動で知られる山本達久らも出演。詳細はこちらから。

GEIST

Virginal Variations で電子音と生楽器の新たなあり方を提示した日野浩志郎(goat、YPY)の新プロジェクトは、自然音と人工音がいっそう響き合い光と音が呼応、多スピーカー採用により観客を未知なる音楽体験へと導く全身聴取ライヴ……字は“Geist

島根の実家は自然豊かな場所にあって、いまは、雨が降っている。その一粒一粒が地面を叩く音をそれぞれ聞き分けることはもちろんできないから、広がりのある「サー」という音を茫と聞く。やがて雨があがり陽が射すと、鳥や虫の声が聞こえてくる。家の前の、山に繋がる小さな道を登っていけば、キリキリキリ、コンコン、と虫の音がはっきりしてくる。好奇心をそそられ、ある葉叢に近づくと音のディテイルがより明瞭に分かる。さらに、たくさんのほかの虫の声や頭上の風巻き、鳥の声、葉擦れ衣擦れなどを耳で遊弋し、小さな音を愛でる自分の〈繊細な感覚〉に満足、俄然興が乗り吟行でもせんかな、いや、ふと我に返る。と、それまで別々に聞いていた音が渾然となって耳朶を打っていることに気づきなおしてぼう然する。小さな音が合わさって、急に山鳴りのように感じる。……。「〈繊細な感覚〉なんてずいぶんいい加減なものだ」と醒めて、ぬかるんだ山道で踵を返す。きっと、あの時すでに“Geist”に肩を叩かれていたのだ――。

【日時】
2018年 3月17日(土)
昼公演 開場:13:30 開演:14:00
夜公演 開場:19:00 開演:19:30

2018年 3月18日(日)
昼公演 開場:13:30 開演:14:00
夜公演 開場:19:00 開演:19:30

【会場】
クリエイティブセンター大阪(名村造船所跡地) BLACK CHAMBER
〒559-0011 大阪市住之江区北加賀屋4-1-55
大阪市営地下鉄四つ橋線 北加賀屋駅4番出口より徒歩10 分
https://www.namura.cc

【料金】
前売り2500円 当⽇3000円

【ウェブサイト】
https://www.hino-projects.com/geist

【作曲】
日野浩志郎

【出演者】
Eli Keszler
山本達久
川端稔 (*17日のみ出演)
中川裕貴
安藤暁彦
島田孝之
中尾眞佐子
石原只寛
亀井奈穂子
淸造理英子
横山祥子
大谷滉
荒木優光

【スタッフ】
舞台監督 大鹿展明
照明 筆谷亮也
美術 OLEO
音響 西川文章
プロデューサー 山崎なし
制作 吉岡友里

【助成】
おおさか創造千島財団

【予約方法】
お名前、メールアドレス、希望公演、人数を記載したメールを hino-projects@gmail.com まで送信ください。またはホームページ上のご予約フォームからも承っております。

【プロフィール】

日野浩志郎
1985年生まれ島根出身。カセットテープ・レーベル〈birdFriend〉主宰。弦楽器も打楽器としてみなし、複合的なリズムの探求を行う goat、bonanzas というバンドのコンポーザー兼プレイヤーとしての活動や、YPY 名義での実験的電子音楽のソロ活動を行う。ヨーロッパを中心に年に数度の海外ツアーを行っており、国内外から様々な作品をリリースをしている。近年では、クラシック楽器や電子音を融合させたハイブリッドな大編成プロジェクト「Virginal Variations」を開始。

Eli Keszler
Eli Keszler(イーライ・ケスラー)はニューヨークを拠点とするアーティスト/作曲家/パーカッション奏者。音楽作品のみならず、インスタレーションやビジュアルアート作品を手がける彼の多岐に渡る活動は、これまでに Lincoln Center や The Kitchen、MoMa PS1、Victoria & Albert Museum など主に欧米で発表され、注目を浴びてきた。〈Empty Editions〉や〈ESP Disk〉、〈PAN〉、そして自身のレーベル〈REL records〉からソロ作品をリリース。ニューイングランド音楽院を卒業し、オーケストラから依頼を受け楽曲を提供するなど作曲家としても高い評価を得る一方で、最近では Rashad Becker や Laurel Halo とのコラボレーションも記憶に新しく、奏者としても独自の色を放ち続けている。

山本達久
1982年10月25日生。2007年まで地元⼭⼝県防府市 bar 印度洋を拠点に、様々な音楽活動と並行して様々なイベントのオーガナイズをするなど精⼒的に活動し、基本となる音楽観、人生観などの礎を築く。現在では、ソロや即興演奏を軸に、Jim O'Rourke/石橋英子/須藤俊明との様々な活動をはじめ、カフカ鼾、石橋英子ともう死んだ⼈たち、坂田明と梵人譚、プラマイゼロ、オハナミ、NATSUMEN、石原洋withFRIENDS などのバンド活動多数。ex. 芸害。青葉市子、UA、カヒミ・カリィ、木村カエラ、柴田聡子、七尾旅人、長谷川健⼀、phew、前野健太、ヤマジカズヒデ、山本精⼀、Gofish など歌手の録音、ライヴ・サポート多数。演劇の生伴奏・音楽担当として、SWANNY、マームとジプシーなど、主に都内を中心に活動。2011 年、ロンドンのバービカン・センターにソロ・パフォーマンスとして招聘されるなど、海外公演、録音物も多数。


Event details - English -

Following “Virginal Variations”, a project which explored a new way of merging electronic and acoustic sounds, Koshiro Hino (from goat and YPY) presents his latest composition, titled “Geist”. Set in an immersive environment with interacting sounds and lightings, “Geist” invites audience to a new world of live music experience which people listen sounds with their whole body.

My home in Shimane is located in a nature-rich environment, and now, it’s raining outside. Needless to say, I cannot hear each of the raindrops hitting the ground, so I hear the rain’s “zaaaaa” sound that spreads in space. Soon after, the rains stopped and sunshine began to pour, and I started to hear the sounds of birds and insects. As I walk up the small path that connects from my home to the mountain, those insects’ buzzing and creaking sounds became more clear. As I get closer to the trees, the sound details became more distinct. With my ears, I observed closely a myriad of sounds from other insects, the wind blowing above, birds, rustling leaves and my own clothing. I enjoyed my ‘delicate sensibility’ that appreciates those little sounds, thinking, “Maybe I suddenly get excited and start composing a poem…” But soon later, I came back to myself. And suddenly, I got stunned, realizing that the sounds I heard separately now forms a harmonious whole and hits my ears. Those little sounds became one, and I hear it as if the mountain is rumbling... “The ‘delicate sensibility’ is so unreliable. “ I recalled myself and walked back the muddy path. — And by then, I now believe that I had already made my encounter with “Geist”.

[Date / Time]
Saturday, March 17, 2018
Day time performance Open: 13:30 Start: 14:00
Night time performance Open: 19:00 Start: 19:30

Sunday, March 18, 2018
Day time performance Open: 13:30 Start: 14:00
Night time performance Open: 19:00 Start: 19:30

[Venue]
Creative Center Osaka (Old Namura Ship Yard) BLACK CHAMBER
4-1-55, Kitakagaya, Suminoe Ward, Osaka City, Osaka 559-0011
https://www.namura.cc

[Price]
Advanced ¥2500 Door ¥3000

[Website]
https://www.hino-projects.com/geist

[Composed by]
Koshiro Hino

[Performers]
Eli Keszler
Tatsuhisa Yamamoto
Minoru Kawabata (*only on the 17th)
Yuuki Nakagawa
Akihiko Ando
Takayuki Shimada
Masako Nakao
Tadahiro Ishihara
Nahoko Kamei
Rieko Seizo
Shoko Yokoyama
Koh Otani
Masamitsu Araki

[Staff]
Stage direction - Nobuaki Oshika
Lighting design - Ryoya Fudetani
Stage art - OLEO
Sound engineering - Bunsho Nishikawa
Co-direction - Nashi Yamazaki
Production - Yuri Yoshioka

[Supported by]
Chishima Foundation for Creative Osaka

[Reservation]
To reserve your seat(s), please send an email to hino-projects@gmail.com with your name, your contact, number of people, and the performance date you wish to visit.

Various Artists - ele-king

野田努

 ま、とりあえずビールでも飲んで……かつてUKは自らのジャズ・シーンを「jazz not jazz」(ジャズではないジャズ)と呼んだことがある。UK音楽の雑食性の高さをいかにも英国らしい捻った言葉づかいであらわしたフレーズだ。これこそジャズ、おまえはジャズをわかっていない……などなど無粋なことは言わない。ジュリアードやバークレーばかりがジャズではないということでもない。何故ならそれはジャズではないジャズなのだから。

 そのジャズではないジャズがいま再燃している。昔からUKは流れを変えるような、インパクトあるコンピレーションを作るのがうまい。編集の勝利というか、ワープの“AI”シリーズやハイパーダブやDMZなどを紹介した『Warrior Dubz 』のように。『We Out Here』もそうした1枚だ。アルバムには、近年「young British jazz」なる言葉をもって紹介されている新世代ジャズ・バンドたちの楽曲が収録されているわけだが、その中心にいるのはシャバカ・ハッチングスである。

 いまやシーンのスポークスマンにもなっているシャバカ・ハッチングスは、同じサックス奏者であることからUK版カマシ・ワシントンなどと形容されているけれど、彼はもっと泥臭いというか、ストリートの匂いがするというか、強いてたとえるならシャバカは21世紀のコートニー・パインだろう。ロンドンに生まれ幼少期をバルバドスで過ごし、16才でブリテン島バーミンガムに移住したときにはクラリネットを手にしていたという彼は、ここ10年、UKジャズ・シーンのさまざまな場面に関わってきている。

 近年ではメルト・ユアセルフ・ダウンでサックスを吹き、ザ・コメット・イズ・カミングやサンズ・オブ・ケメトなどの別プロジェクトも手掛けている。いまもっともロンドンで熱いと思われる街、ペッカムから生まれたYussef Kamaalのアルバムにも参加しているし、2016年は Shabaka And The Ancestors名義のアルバムをリリースしている。そして、21世紀のUKジャズの現場で演奏し続けているシャバカは、自らの大きな影響としてジャズ・ウォリアーズの名を『Wire』誌の取材で挙げている。

 ジャズ・ウォリアーズは、ワーキング・ウィークやシャーデー、ジャズ・レネゲイズら80年代後半にニューウェイヴとリンクしながら注目を集めた、白いUKジャズ・シーンにおいてメンバー全員が黒人という当時としては異色の存在だった……そもそもジャズ・ウォリアーズはUKにおいて初の黒人ジャズ・オーケストラだった。コートニー・パインはそのバンドのリーダーだった人だ。

 ジャズ・ウォリアーズは、伝統的なジャズに囚われず、レゲエやアフロなど雑食的な演奏を展開した。その音楽に対する自由なアプローチがアシッド・ジャズとリンクし、そしてドラムンベース/ブロークンビーツとも共鳴した。こうしたUKにおける黒いジャズ(ノット・ジャズ)──エクレクティックで、マルチカルチュアルなその現在形のドキュメントが『We Out Here』というわけだ。

 アルバムは、2017年8月、3日間に渡って録音されている。ジャケットに貼られたステッカーには「THE NEW SOUND OF LONDON JAZZ」を記されている。参加した9組のうち7組が白黒混合、2組が全員アフリカ系だが、いくつかの演奏ではメンバーは何人か重なっているので、ひとつの音楽コミュニティの記録とも言える(つまり本作もひとつのコミュニティによる1枚のアルバムだと言える)。

 『We Out Here』には伝統と現代性、精神性と政治性が入り混じっている。アルバムはMaishaによるアリス・コルトレーン風のスピリチュアルな曲ではじまるが、続くEzra Collectiveの曲はそのままダンスフロアに繋げることができるだろう。本作には収録されていないが、Ezra Collectiveの昨年のアルバムにはベース・ミュージックを通過した感覚で演奏されるサン・ラーの“Space Is The Place”がある。そして、すでに広く注目を集めているドラマーのMoses Boydのバンドは、エレクトロニクスとアフロビートを組み合わせながらダブの境地へと突き進んでいく──。収録曲の解説は小川充さんにまかせるとして、アルバムの中核となるのはシャバカ・ハッチングの“Black Skin, Black Masks”になるわけだが、そう、この曲名は反植民地主義の先駆的思想家、フランツ・ファノンの『黒い皮膚・白い仮面』のオマージュである。

 『We Out Here』(私たちはここにいる)という、音楽的にも政治的にもどちらにも解釈できるこの堂々たる題名からもわかるように、ここには今日のUKブラックの秘めたる思いが記述されている。昔のラフトレードのコンピレーションにザ・スリッツやザ・レインコーツがいたように、女性3人を中心とするKokorokoのようなバンドもいる。また、ラフトレード時代の比較でもうひとつ言うなら、あの時代のUKはジャマイカだった。『We Out Here』はアフリカである。

 ※シャバカ・ハッチングスによるThe Comet Is Comingの新作『Channel Spirit』は〈リーフ〉からリリース予定。Sons of Kometのアルバム『Your Queen Is A Reptile』(あんたの女王は爬虫類)はユニーバサルから3月に発売。アルバム収録曲のひとつは、“俺の女王はアンジェ・デイヴィス”。また、『We Out Here』に参加した(ポスト・フライグ・ロータスの呼び名高い)Joe Armon-Jonesの新作も春頃には〈ブラウンズウッド〉からリリース予定。

野田努

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小川充

 いまから20年ほど前のロンドンでは、北西部のラドブローク・グローヴを中心にブロークンビーツのムーヴメントが盛り上がりはじめ、俗にウェスト・ロンドン・シーンと呼ばれていた。ジャズ、ヒップホップ、ハウス、テクノ、ドラムンベース、レゲエ、アフロ、ファンクなどを立体的に融合したブレイクビーツというのがブロークンビーツだが、それはロンドンの折衷的で雑食的な音楽文化を象徴するものでもあった。そしてここ1、2年、今度は南ロンドンで新たなジャズ・ムーヴメントが注目を集めている。かつてのウェスト・ロンドン・シーンを思い起こさせる動きで、このムーヴメントは南ロンドンにあるペッカムという街を中心としている。もともと治安が悪かったこの地区だが、近年はレコード・ショップやインターネット・ラジオ局、ギャラリーやバーなどが生まれ、アーティストや若者が集まり始めているという状況だ。このペッカムを拠点とするレーベルに〈リズム・セクション・インターナショナル〉があり、ディープ・ハウスを軸にブロークンビーツやジャズなどクロスオーヴァーな音楽性を志向する作品を紹介している。〈リズム・セクション・インターナショナル〉からは鍵盤奏者のヘンリー・ウーことカマール・ウィリアムズが作品を出しているが、彼とユナイテッド・ヴァイブレーションズというバンドのドラマー、ユセフ・デイズの組んだユゼフ・カマールが登場したのが2016年。この頃から南ロンドンのジャズ・シーンがクローズアップされるようになっていく。

 このムーヴメントの代表的なミュージシャンには、ヘンリー・ウーやユセフ・デイズ、ユナイテッド・ヴァイブレーションズ以外に、ドラマーのモーゼス・ボイド、サックス奏者のテンダーロニアス、シャバカ・ハッチングス、ヌブヤ・ガルシア、キーボード奏者のジョー・アーモン=ジョーンズ、ベーシストのマックスウェル・オーウィンなどがいる。
 それぞれのソロ作やプロジェクトのほか、横の交流やセッションも盛んで、なかでもモーゼス・ボイドはもっとも早くから注目を集めていたひとりだ。サックス奏者のビンカー・ゴールディングとフリー・ジャズ・スタイルのデュオを組むほか、エクソダスというクラブ・サウンド寄りのプロジェクトでも活動する。このエクソダスのようにドラマー以外にビートメイカーという側面も持ち、昨年リリースしたEPの『アブソリュート・ゼロ』ではフュージョンとフットワークを融合したような世界を見せている。一方でジャズ・シンガーのザラ・マクファーレンのアルバム『アライズ』をプロデュースし、ジャズとジャマイカ音楽を結ぶなど多彩な音楽性を持つ。テンダーロニアスも同様にビートメイカー/プロデューサーでもあり、〈22a〉というレーベルも運営し、ユセフ・デイズらと組んだルビー・ラシュトンというユニットのアルバムも出している。
 シャバカ・ハッチングスはジ・アンセスターズ、サンズ・オブ・ケメット、ザ・コメット・イズ・カミング、メルト・ユアセルフ・ダウンなど様々なユニットで演奏し、前述のザラ・マクファーレンの『アライズ』やユゼフ・カマールの『ブラック・フォーカス』にも参加していた。サンズ・オブ・ケメットとメルト・ユアセルフ・ダウンではトム・スキナー(ハロー・スキニー)と組むなど幅広い音楽交流を持つ。ジョー・アーモン=ジョーンズはファラオ・モンチのヨーロッパ・ツアーでバックを務めたエズラ・コレクティヴというユニットに参加する。このエズラ・コレクティヴはザラ・マクファーレンを交えた作品のほか、昨年は『ファン・パブロ:ザ・フィロソファー』というEPをリリースし、サン・ラーのカヴァーを披露していた(ちなみに、このEPのエンジニアはフローティング・ポインツのサム・シェパードがやっている)。
 また、ジョー・アーモン=ジョーンズはマックスウェル・オーウィンと共同でEP『イディオム』もリリースしているが、この『イディオム』や『ファン・パブロ:ザ・フィロソファー』には女流サックス奏者のヌブヤ・ガルシアも参加する。彼女もレーベル運営とイベント主催を両立させる〈ジャズ・リフレッシュド〉からリーダー作を出し、そこにはジョー・アーモン=ジョーンズとモーゼス・ボイドも参加するという間柄だ。〈ジャズ・リフレッシュド〉は近年のロンドンのジャズ・シーンを支える存在で、リチャード・スペイヴンやカイディ・テイタムなどキャリア豊富な面々から、マイシャ、トライフォース、トループ、ダニエル・カシミールなど新鋭や若手が作品をリリースしている。

 ジャイルス・ピーターソン監修による新しいコンピ『ウィー・アウト・ヒア』は、こうした南ロンドンの新しいジャズ・ムーヴメントを伝えるものだ。音楽ディレクターをシャバカ・ハッチングスが務め、彼のほかにモーゼス・ボイド、エズラ・コレクティヴ、ジョー・アーモン=ジョーンズ、ヌブヤ・ガルシア、マイシャ、トライフォースらが新曲を披露している。
 マイシャの“インサイド・ジ・アクション”はスピリチュアル・ジャズで、エズラ・コレクティヴの“ピュア・シェイド”はアフロ風味のジャズ・ファンク。モーゼス・ボイドの“ザ・バランス”はコズミックなフューチャー・ジャズで、ヌブヤ・ガルシアの“ワンス”はストイックなモーダル・ジャズと、それぞれジャズと言ってもタイプの異なる作品を演奏しており、こうした間口の広い点がロンドンらしさの表れでもある。ジョー・アーモン=ジョーンズの“ゴー・シー”はフュージョン的な作品だが、そこにはダブやUKクラブ・ミュージックのエッセンスも注ぎ込まれている。
 UKのジャズ・シーンはアシッド・ジャズの昔からクラブやDJサウンドと密接な繋がりを持ち、お互いに作用し合ってきた。かつてのウェスト・ロンドン・シーンに登場したカイディ・テイタムもそうした流れに位置するミュージシャンであるし、近年であればリチャード・スペイヴンがその最たる例だろう。そして、このコンピのモーゼス・ボイドやジョー・アーモン=ジョーンズの作品を聴くと、こうしたUKのジャズの歴史や流れがいまも息衝いていることがわかる。

小川充

vol.96:ラフトレードとDIYシーン - ele-king

 ブルックリンのレコード屋はグリーンポイントやブッシュウィックに多いのだが、家賃の高いウィリアムスバーグにお店を構えるのがUKのレコード店兼音楽会場のラフ・トレード。2013年にオープンしてから騒音問題でクローズしたこともあったが、その後は順調に運営し、最近では中古レコードも置いている。

 場所柄、UKからの観光客が多く、昼はカフェとしても機能していて、2Fはアート本やグッズがあり、Sonos
の音響システムが楽しめる部屋もある。私が行ったのは夜9時頃だったが、中古レコードを10枚くらい購入している人がいた。以前インタヴューしたマネージャーのジョージもレジスターにいた。
 相変わらず、圧倒的にレコードが多かったが、ラフトレのオススメ・コーナーは見る価値ありで、カセット・テープやカセット・デッキも沢山増えていた。ショーはスーパーチャンク、ジョアン・アズ・ポリスウーマン、クリスティン・ハーシュ、モービーなどの中堅バンドから、アンバー・マーク、ガス・ダッパートンなどのニューアーティストまで、全体的にシュッとしている感じのラインナップが揃う。バワリープレゼンツがオーガナイズしているので、どうしてもそうなる。ちなみに今回見たバンドは、リグレット・ジ・アワー。
https://www.roughtrade.com/events/teen-girl-scientist-monthly

 まだ20代前半の、アップステート出身の若いバンドだが、久しぶりに、U2やナショナルなどのバンド・サウンドを地でいっている。目を瞑って聞くと2018年の音とは思えないが、新世代の冷めた感覚で、熱いギターをかき鳴らしているのを見ると応援したくもなる。だってアルバムタイトルが『Better Days』なのだ。20代前半で! 
 オーディエンスは、彼らの両親や従兄弟、友たちでいっぱいだった。同窓会みたいだったが、こういうライヴ・バンドが健在なのを確認したのは今夜の収穫だった。ラフトレードで隣にいた男の子と話していると、彼はロンドンから観光で来ていて、することもないからここに来たと言っていた。バンドでなく、ラフトレードが目的だったらしい。見たバンドも、結構好きだと言っていた。
 ラフトレードは安全なバンドのショーケースで、DIYスペースのように様々なハプニングや感情を剥き出しにする生々しさはほとんどない。至ってクールなのだ。それでも$20を知らないバンドに難なく払うお客さんがいるし、暇な時間には、レコードも買ってくれもする。ちなみにDIYショーはほとんどフリー、もしくは$5ー$10。


Regret the hour @rough trade

 ラフトレの後、違法なブッシュウィックDIYスペースに行ってたくさんのDIYバンドを見て、勝手にブーズを持ち込んで大騒ぎしている人たちを見て、ホッとしている自分もいる。最近のDIYスペースは減っているばかりかすぐに摘発されるので、オンラインで住所を公開していない。外の見張りもかなり徹底しているので、一見が入るのは難しい。それゆえこのシーンを閉鎖的にしているのだが、DIYコミュニティは健在。
 NYは、DIYバンド/会場に優しくなるように、2017年末から少しずつ動き出している。Dr.マーティンやハウス・オブ・ヴァンズのような企業もDIYバンドを使って自分たちの商品をプロモートしているし、DIYバンドがもっと日の目を見るときがくるのではと、いろんなショーを見ながら考える。近い将来ラフトレで、彼らを見ることもあるのかもしれない。


Grace kelly all day @DIY space

yahyel - ele-king

 続報が届きました。ヤイエルが3月7日リリースのセカンド・アルバム『Human』から新曲“Pale”を解禁、MVも公開されています。一見静かで落ち着いた曲に聞こえますが、後ろのほうで色々とおもしろいことが起こっています。ビデオも独特の雰囲気を醸し出していて、ますますアルバムへの期待が高まります。あわせて全国ツアーの詳細も発表されていますので、下記よりチェック。

ヤイエル、待望のセカンド・アルバム『Human』から
新曲“Pale”をミュージック・ビデオとともに解禁!
初となるレコ発ツアーのチケット一般発売は明日から!
新たに仙台公演も決定!

yahyel
- Human Tour -

2016年12月に渋谷WWWにて行われたワンマンは、デビュー・アルバム『Flesh and Blood』の発売日を前に完売。その後も、FUJI ROCK、VIVA LA ROCK、TAICOCLUBなどの音楽フェスへの出演も果たし、ウォーペイント(Warpaint)、マウント・キンビー(MountKimbie)、アルト・ジェイ(alt-J)ら海外アーティストの来日ツアーでサポート・アクトにも抜擢されるなど、活況を迎えるシーンの中で、独特の輝きを放ち続けたyahyel(ヤイエル)が、1年3カ月の時を経て、2度目のワンマン・ライヴ、そしてレコ発ツアーが決定!

Chris Dave And The Drumhedz - ele-king

 ロバート・グラスパー・エクスペリメント(RGE)の成功は、もちろんグラスパーあってこそだが、そこに参加したメンバーたちの個性や才能による部分も大きい。特に初代ドラマーのクリス・デイヴの存在が重要で、実際に彼らのライヴにはクリスのプレイ目当てで来ている人も多かった。現在のジャズを語るとき、グラスパー以前・以後と設定ができると共に、ジャズ・ドラムについてもクリス・デイヴ以前・以後で大きく変わってきている。彼のドラムはJディラのビートを人力で表現しているようだと形容されることがある。クリスのドラミングは非常に手数の多いテクニカルなもので、また独自のシンバルを用いたり、個々のドラムのチューニングも非常に凝っており、それらの組合わせでJディラのようなズレ感や独特の間合いを持つビートを作りだしている。マーク・ジュリアナ、マーク・コレンバーグなど、現在のジャズ界では新しい世代のドラマーが注目を集めるが、そうしたきっかけを作り出したのもクリス・デイヴあってこそと言える。

 もともとケニー・ギャレットのバンドでジャズをやってきたクリスだが、同時にR&B方面でも活躍し、ミント・コンディションの準メンバーでもあった。ザ・ファウンデーションというヒップホップ・バンドも組んでいたこともあり、ザ・ルーツのクエストラヴあたりに近い存在だ。こうした活動の延長線上でディアンジェロのバンドに招聘されたほか、近年ではアデルからエド・シーラン、ジャスティン・ビーバー、宇多田ヒカルなどの作品でも演奏し、世界中のさまざまなアーティストからラヴ・コールを寄せられる存在となっている。そして、彼はいちドラマーだけでなく、プロデューサーやトラックメイカーとしての顔も持ち、今までもいくつかミックステープを出している。ラッパーのスティミュラスと組んだ『サード・ファースト・インプレッション』(2011年)に始まり、『ザ・ドラムヘッズ・ミックステープ』(2013年)、『ザ・ドラムヘッズ・レディオ・ショウ』(2017年)がそれである。『ザ・ドラムヘッズ・ミックステープ』にはグラスパーやRGEのメンバーのほか、ピノ・パラディーノ、ジェイムズ・ポイザー、サンダーキャットなどが、『ザ・ドラムヘッズ・レディオ・ショウ』にはクエストラヴ、カマシ・ワシントンテラス・マーティン、ハイエイタス・カイヨーテなどが参加し、クリスの人脈の広さを窺わせるものだった。こうした多彩で個性豊かな面々を束ねられるのは、クリスに総合プロデューサー的な資質があるからこそで、時代や楽器は異なるが、ジャズ・トランペッターから出発し、ビッグ・バンドのアレンジャーとなり、その後プロデューサーとしてマイケル・ジャクソンらをヒットさせたクインシー・ジョーンズの足跡をダブらせることも可能だ。

 今回、正式なソロ・デビュー・アルバムとして〈ブルーノート〉からリリースされた『クリス・デイヴ・アンド・ザ・ドラムヘッズ』は、こうしたミックステープの延長線上にあるもので、そのスタイルを踏襲している。RGEの出世作『ブラック・レディオ』(2013年)に通じるスタイルでもあり、参加ゲストは大量だ。ざっと挙げると、グラスパーやケイシー・ベンジャミンのRGE陣、ピノ・パラディーノやアイザイア・シェイキーなどディアンジェロ周辺、キーヨン・ハロルドやマーカス・ストリックランドなど気鋭のジャズ・ミュージシャン、ヒップホップ/R&B方面ではビラル、アンダーソン・パーク、DJジャジー・ジェフ、エルザイ、フォンテ、シャフィーク・フセイン(サー・ラー・クリエイティヴ・パートナーズ)、エリック・ロバーソン、ストークリー・ウィリアムズ、そしてジェイムズ・ポイザーからミゲル・アトウッド=ファーガソン、ゴアペレ、アンナ・ワイズ(ソニームーン)といった具合。これらゲストが入れ替わり登場し、音楽的なスタイルもクリスの出発点であるゴスペルからソウル、ファンク、アフロ、ジャズ、ヒップホップ、R&Bなどをフリー・セッション的に繋いでいくものとなっている。それはアメリカの黒人音楽の誕生から、現在に至るまでの流れを俯瞰するような行為であり、『ブラック・レディオ』やディアンジェロの『ブラック・メサイア』(2014年)など、クリスが参加してきた作品と繋がっているところもある。

 そして、ケンドラ・フォスターをフィーチャーした幻想的な“センシティヴ・グラナイト”、仰々しいスペース・オペラ風の“ロックス・クライング”、アンダーソン・パークとSiRをフィーチャーし、まるでレディオヘッドを聴くようなロック調の“クリア・ヴュー”などに顕著なサイケデリックでコズミックな音響。クエストラヴとジェイムズ・ポイザーによるザ・ランディ・ワトソン・エクスペリエンスから、サー・ラー・クリエイティヴ・パートナーズ、フライング・ロータスなどが、ブラック・ミュージックの実験的な側面を追求したそれに通じる世界でもある。エンターテイメント性と実験性を巧みに両立させる点も、クリスのプロデューサーとしての一流たるところだろう。


interview with Kode9 - ele-king


Various Artists
Diggin In The Carts

Hyperdub / ビート

Amazon Tower HMV iTunes

 2004年に設立された〈ハイパーダブ〉はそれ以降、現代のエレクトロニック・ミュージックにおける最重要レーベルとしての地位を堅守し続けてきた。昨年に限定して振り返ってみても、アイコニカやローレル・ヘイローの意欲的なアルバム、クラインおよびリー・ギャンブルという尖鋭的な音楽家との契約、さらには日本のゲーム・ミュージックに特化したコンピレイション『Diggin In The Carts』のリリースと、興味深い動きが続いている。
 その〈ハイパーダブ〉の設立者がコード9ことスティーヴ・グッドマンである。去る11月、LIQUIDROOMにて催された『DITC』のイベントのために来日していた彼は、そのコンピレイションが持つコンセプトについて、昨年の〈ハイパーダブ〉の動きや最近注目している音楽について、そして自身が序文を執筆しているとある重要な本について、われわれの質問に対し真摯に応答してくれた。レーベル・オウナーであると同時にアーティストでもあり、さらには思索する者でもある彼の言葉を以下にお届けする。

僕がいいなと思った音楽のゲームは、じつはものすごくつまらなかったりもしたんだ(笑)。でも音自体は良かったので、それはぜんぶ選んだね。

今回日本のゲーム・ミュージックに特化したコンピレイションがリリースされましたが、〈ハイパーダブ〉はこれまでもクアルタ330のようなチップ・チューンのアーティストを送り出しています。以前から日本の音楽には関心が高かったのでしょうか?

スティーヴ・グッドマン(Steve Goodman、以下SG):〈ハイパーダブ〉はもともと、2005~06年くらいまではダブステップのレーベルだった。でもそういったサウンドにちょっと飽きを感じてしまって、もっと自分の音楽をカラフルなものにしたいと思っていたんだ。そんなときに友人がクアルタ330のリミックスを送ってくれて、それが気に入ったんだよね。それと、自分の音楽としてもう少しキラキラしたサウンドを作るために、ヴィデオ・ゲームの要素を取り入れるようになった。アイコニカゾンビージョーカーダークスターテラー・デンジャーたちもゲームの音楽から影響を受けているアーティストだった。テクスチャーを変えるためにゲーム音楽に興味を持ち始めたのが2005、06年で、その時代にレーベルに入ってきたものを今回また取り戻してリリースした、という感じだね。

日本のゲーム・ミュージックには幼い頃から触れてきたのですか?

SG:少しは遊んでいたね。でもそれが日本のものという意識はあまりなかった。自分がプレイしていたものが日本のゲームかどうかもわからなかった。ゲームはやっていたとはいえゲーマーではなかったし、今回のコンピレイションもけっして自分がゲームをしていた頃を懐かしむようなノスタルジックな作品ではないんだ。
〈ハイパーダブ〉というレーベルの目線で言うと、2010年に日本の80年代のエレクトロニック・ミュージックに注目するようになった。YMOや、YMOのメンバーそれぞれのソロ作品などから影響を受けていたから、(ゲーム音楽を)ゲームというよりもエレクトロニック・ミュージックとして見ているんだよね。伝統音楽とエレクトロニックのブレンドのようなところに魅力を感じている。5、6年前にスペンサーD(Spencer Doran)の『Fairlights, Mallets and Bamboo: Fourth-World Japan, Years 1980-1986』というDJミックスを聴いたんだけど、それでより興味を持つようになって、今回のコンピもそういう内容になっている。そのミックスにはマライア、坂本龍一や細野晴臣、高田みどり、ロジック・システム、清水靖晃、あとは越美晴なんかが入っていて、そこから日本の80年代の音楽をいろいろと学んだ。もちろんそういう音楽とゲーム・ミュージックは違うものではあるけれど、チップというものを使っている点は共通しているし、おもしろい時代の音楽だと思う。

先日監修者のニック・ドワイヤーさんに取材したのですが、『DITC』はゲーム・ミュージックのなかでもサウンドとしておもしろいものを選んでいると言っていました。つまり今回のコンピは、ゲーム音楽のファンよりもふだんから〈ハイパーダブ〉の音楽を聴いているような層に向けて、「ゲーム・ミュージックにもおもしろいものがあるんだよ」ということを伝える、というような意図で制作されたのでしょうか?

SG:その両方と言えるね。僕もゲームは好きだけれど、そこまでゲーマーではない。そういう両方の人たちが楽しめる作品になっていると思う。ニックがすごく深いリサーチをして、フィルターをかけた上で何百もの曲を送ってくれたんだけど、それまで自分が聴いたことのない音楽ばかりだった。それらのゲームに関して僕はいっさい思い入れがないんだ。ただたんに曲が良かったから選んだ。ゲームのプレイヤーがどうのというよりも、音としてベストだと思ったものを使った。やっぱり人気のあったゲームって、先にゲームがあってそれに合わせて音楽が作られているわけで、(音楽は)優先順位としては二番目のものだったと思うんだよ。それもあってか、人気のゲームのBGMにはあまりいいと思えるものがなかった。コマーシャルっぽいものもあるだろうし。だから、僕がいいなと思った音楽のゲームは、じつはものすごくつまらなかったりもしたんだ(笑)。でも音自体は良かったので、それはぜんぶ選んだね。

ヒップホップやクラシック音楽にはなりえない、ゲーム・ミュージックとしてだけ存在していたものを捉えるのが今回の目的だった。

先ほど「ノスタルジックな作品ではない」と仰っていましたが、送り手と受け手とのあいだである程度ギャップは生じると思うんですね。このコンピに先駆けて公開されたドキュメンタリーにはフライング・ロータスファティマ・アル・ケイディリらが出演していて、どちらかというといわゆる音楽ファンに向けて作られているように感じました。ですが、日本で今回のコンピを手にとってくれる人の多くは、懐かしさを求めているのではないかという気もします。そういう方たちがこのコンピをきっかけに、たとえば他の〈ハイパーダブ〉の作品を聴くようになってほしいと思いますか?

SG:それはすごく難しいところで、もちろんゲーム好きの人たちにも聴いてほしいとは思うし、他方でエレクトロニックな世界ともオーヴァーラップしているんだけれども、やっぱり同時に違う世界でもあるんだよね。ただ、いまはテクノロジーの進化でよりオーヴァーラップしているかもしれない。ニックが言っていたように、僕が捉えたかったのはメモリーやチップという制限のある時代のゲーム・ミュージックなんだ。質問への答えにはなっていないかもしれないけど、ゲームがそれ自身だけのゾーンのなかに存在していた時代のゲーム・ミュージックというものを捉えたかった。ヒップホップやクラシック音楽にはなりえない、ゲーム・ミュージックとしてだけ存在していたものを捉えるのが今回の目的だった。

今回のコンピには80年代後期から90年代中期までの音源が収められていますが、それはデトロイト・テクノやアシッド・ハウス、レイヴ・カルチャーやジャングルが出てきた時期と重なります。その時代に日本でこのような音楽が作られていたこと、その同時代性についてはどう思いますか?

SG:僕にとってデトロイト・テクノはデトロイトから来ているものだし、同時期に流行っていたアシッド・ハウスはシカゴから、ジャングルはロンドンから出てきたものだよね。日本ではそれがチップ・ミュージックだったということだね。そうやってそれぞれの場所から違うエレクトロニック・ミュージックが流行っていったんだと思う。それがお互いに影響し合っていた、いい時代だったと思う。

ゲーム・ミュージックには「音がメインではない、音が主張しすぎてはいけない」という側面があると思うのですが、それもある意味では8ビットや16ビットといったテクノロジーの問題と同じように制約と捉えることもできます。そういう側面についてはどう思いますか?

SG:音楽が第二に来るというのは映画音楽と同じだと思う。やっぱりまず映像があっての音楽だし、そのぶん予算も削られるし、音楽はいつも最後のギリギリのところで付けられるから、そこは共通していると思う。テクノロジーに限界があることと、音楽が第二に来ることは繋がっていると思うんだよね。音楽が第二だったからこそ、予算があるにもかかわらずそれが使われない、だから制限が生まれたんだと思う。お金をかければ音楽のためにすごくいい機材を使うことだってできたはずなんだ。でもヴィジュアルが最初にあるからこそ、音楽が第二のものになってしまった。だからこそ制作に使われるものに制限ができた。そのことによって逆にユニークなものが偶然生まれたという点がおもしろいと思うし、僕たちはそのユニークさに惹かれたんだ。

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僕はブリアルっぽいサウンドはいっさい聴かないんだ。だからぜんぜん知らない。10年くらい前から彼の影響を受けたアーティストがたくさん出てきていると思うんだけど、その頃からいっさい聴いていない


Various Artists
Diggin In The Carts

Hyperdub / ビート

Amazon Tower HMV iTunes

2017年、〈ハイパーダブ〉はクラインと契約してEPをリリースしました。彼女のEPを出すことになった経緯や、彼女の音楽の魅力について教えてください。

SG:彼女はすごくユニークなアーティストなんだけど……この質問は難しいね。

通訳:難しいのはなぜですか?

SG:なぜ難しいかって、彼女が特別でユニークだからなんだけど、それがどこにもフィットしないので、言葉で表現するのが難しいということ。あと彼女は歌声がとても美しいんだけど、音楽はちょっと奇妙で本当に予想がつかないから、これから彼女がどう進化していくかがすごく楽しみだね。彼女の音楽からはすごく即興性が感じられて、何か計画して作ったものではなく、自分がいま思ったことを外に表現している、そういう音楽だと思う。

同じく2017年、〈ハイパーダブ〉はリー・ギャンブルとも契約しました。彼の作品を出そうと思ったのはなぜですか?

SG:僕も彼もジャングルが大好きで、その意味ではふたりとも同じバックグラウンドを持っているんだ。音楽性は少し違うけど、ジャングルの要素は彼の曲のなかに活かされているし、彼は哲学が本当に好きでそれを表現しようともしている。それについても僕と似ているから、シェアできるものがたくさんあるんだよね。彼のことはリスペクトしている。それはなぜかというと、サウンドの扱い方やエレクトロニック・ミュージックに対する姿勢などにすごく共感できたからなんだ。

そういったクラインやリー・ギャンブルとの契約のあとにこの『DITC』のリリースの話が入ってきたので、とても驚きました。サウンドの種類はまったく異なると思うのですが、今回のコンピもクラインやリー・ギャンブルと同じ地平に連なるものと考えているのでしょうか?

SG:共通点はないね(笑)。

なるほど(笑)。共通点はないがそれぞれ個別におもしろい、と。

SG:そのとおり。互いに違うからこそユニークなんだよ。

2017年はブリアルの『Untrue』がリリースされてからちょうど10年ということもあってか、ヴェイカントや〈フェント・プレイツ〉の諸作など、ブリアルから影響を受けた音楽が盛り上がりましたが――

SG:ヴェイカントは知らないね。僕はブリアルっぽいサウンドはいっさい聴かないんだ。だからぜんぜん知らない。10年くらい前から彼の影響を受けたアーティストがたくさん出てきていると思うんだけど、その頃からいっさい聴いていないので、知らないんだ。

そうなんですね。近年はフェイク・ニュースが横行したり「ポスト・トゥルース」という言葉が取り沙汰されたりしていますが、いま振り返ると『Untrue』というアルバム・タイトルは意味深長で、そういった昨今の情況を先取りしていたようにも思えます。

SG:いいセオリーだと思う。そうだと思うよ。

『Untrue』はいまでも聴き返しますか?

SG:やっぱりリリース10周年ということで、みんなが盛り上がっているのを見たり聞いたりして聴き返すことはあるんだけど、僕もブリアル当人も10周年というのは気にしていないんだ。僕たちが気にしているのは「彼が次に何をやるか」ということ。だからリリース10周年ということに関してはあまり意識していない。ファンだけが盛り上がっているような感じだね。

南アフリカで生まれたゴム(gqom)という音楽は、あなたがDJセットに取り入れたことで世界中に広がりましたが――

SG:(「ごむ」という日本語の発音を受けて)コッ(と口のなかで舌を鳴らす)。コッ、コッ(と「gqo」の部分の音を実演してくれる)。本当はこう発音するんだ。

へえ! そのゴムの魅力はどこにあると思いますか?

SG:リズムがすごく好きなんだ。3連符のリズムやダークなところが好きだし、あとはミニマルなんだけどダンサブルなところもすごく魅力的だと思う。

彼は左翼だったんだけど、いまは右翼になってしまった。当時彼の考え方に賛同していた人たちはいまはもう彼とは正反対で、嫌ってしまっているというか。僕も彼の90年代の考え方のほうに興味がある。

ゴム以降、非欧米の音楽で何かおもしろいものを発見しましたか?

SG:僕はここ最近ずっと中国でDJをしていて、中国の音楽にすごく興味を持っている。上海には〈Genome 6.66 Mbp〉というおもしろいレーベルもあるし、クラブ・イベントもどんどん増えてきていて、キッズたちが外の音楽を吸収するのはもちろん、それだけではなく、いま彼らは自分たちのエレクトロニック・ミュージックを作ろうとしている時期なんだと思う。これから中国のエレクトロニック・シーンはすごくおもしろくなっていくと思う。
もうひとつ、最近気になっているのはロンドンで「UKドリル」と呼ばれている音楽だね。これはグライムから進化したジャンルなんだけど、いまサウス・ロンドンのラッパーがすごく人気なんだ。ギグスというラッパーはすごく人気だし、あと67やハーレム・スパルタンズ(Harlem Spartans)といったクルーもとてもいい。やっぱりロンドンは自分が育った場所だから、僕にとってはローカル・ミュージックなんだよね。ブリクストンやペックハム、キャンバーウェルあたりの音楽はいまアンダーグラウンド・シーンが盛況で、メインにはスケプタストームジーがいるんだけど、そうじゃないもっとアンダーグラウンドなところも盛り上がってきている。

スケプタやストームジーはマーキュリー・プライズを受賞したりチャートの上位に食いこんだりと、オーヴァーグラウンドで彼らの人気が高いことは情報としては伝わってくるんですが、ここ日本にいると実感としてはわかりづらいんですよね。UKの若者たちはやはり日常的に彼らの音楽を聴いているのでしょうか?

SG:ロンドンではポップ・スターだね。ロンドンに限らず、イギリス全土でもアメリカでもポップ・スターだよ。まさにオーヴァーグラウンドなんだよね。それが影響して、これからヨーロッパでもポップ・スターになると思う。

日本でスケプタやストームジーを聴いていたら、おそらく「アンダーグラウンドな音楽好き」ということになります。

SG:はははは。やっぱりヴォーカルが何を言っているかということが重要な音楽だから、言語が理解できないと人気にはならないよね。難しいと思う。

ベルリンでもグライムはぜんぜん人気がないという話を聞いたことがあるのですが、それも変わっていくと思いますか?

SG:たしかにアンダーグラウンドだね。やっぱりそれも言語の壁があって、行けたとしても「ビッグなアンダーグラウンド」までだろうね。オーヴァーグラウンドまでは行けないと思う。たとえばフェスティヴァルで何千人もを前にしてプレイする、ということにはなるだろうけど、オーヴァーグラウンドのチャートに入れるかというと、入れないと思う。英語圏ではない国ではね。

2年前に『Nothing』がリリースされたときのインタヴューで、「加速主義に関心がある」と仰っていましたが(紙版『ele-king vol.17』掲載)、それ(accelerationism)に影響を与えたとされる哲学者ニック・ランド(Nick Land)は、UKではどのようなポジションにいるのでしょう? オルト=ライト(オルタナ右翼)にも影響を与えているそうですが。

SG:彼はいま上海に住んでいるよ。

通訳:ロンドンでは知られていないのでしょうか?

SG:そうだね。僕が90年代に勉強をしていたとき、彼は僕のスーパーヴァイザーだったんだよ。彼は左翼だったんだけど、いまは右翼になってしまった。当時彼の考え方に賛同していた人たちはいまはもう彼とは正反対で、嫌ってしまっているというか。僕も彼の90年代の考え方のほうに興味がある。いまはもう変わってしまったけれど、その政治論のオリジナルが90年代の彼の考え方だったんだよね。

私たちは2018年の秋頃に、コドウォ・エシュン(Kodwo Eshun)の『More Brilliant than the Sun』の翻訳を出版する予定です。

SG:ああ、その本の翻訳者がいまロンドンに住んでいてね、彼を知っているよ。マンスリー・イベントにいつも来てくれるんだ。

髙橋勇人くんですよね?

SG:そう。彼はいつも僕のインスタグラムを見てくれているしね(笑)。

彼はイギリスへ渡る前、ele-king編集部にいたんですよ。

SG:彼を知っているよ。ゴールドスミス大学で勉強していたね。その本を書いたコドウォ・エシュンがそこで教えていて、彼はエシュンのもとで研究しているんだ。

『More Brilliant than the Sun』は新版が発売される予定で、あなたがその序文を書いているんですよね。

SG:そのイントロダクションを書くために彼(コドウォ・エシュン)にインタヴューする予定なんだけど、まだできていないんだよね。

『More Brilliant than the Sun』の重要性について教えてください。

SG:僕にとってすごく影響力のある本で、本当にいろいろなアイデアが詰まっている。1000冊もの本がひとつになったような濃い内容の本なんだ。ソニック・フィクションからアフロフューチャリズムまで、エレクトロニック・ミュージックの歴史が詰まっていて、サン・ラやジョージ・クリントン、リー・スクラッチ・ペリーから始まって、ブラック・エレクトロのことも書いてあるんだけど、90年代の本だからジャングルで止まっているんだよね。〈ハイパーダブ〉はそのあとにできたレーベルだから、僕たちがその本のあとを辿っているような感じだね。

φonon - ele-king

 その特異な音楽性とDIYな活動で80年代に大きな足跡を残した伝説のユニット、EP-4。その中心人物・佐藤薫が新たにレーベルを始動する。その名も〈φonon(フォノン)〉。まずは2月18日に EP-4 [fn.ψ] と Radio ensembles Aiida のCD作品2タイトルがリリースされる。EP-4 [fn.ψ] は EP-4 の別働ユニットで、佐藤薫と家口成樹のふたりから成る。Radio ensembles Aiida は A.Mizuki のソロ・ユニットで、今回発売されるのは昨秋リリースされた初作品集の続編にあたるもの。かつて EP-4 はサウンドだけでなくその発信の方法に関しても独自の実践をおこなっていただけに、今後この新レーベルがどのような動きを見せていくのか目が離せない。

φonon (フォノン) について

新レーベル〈φonon (フォノン)〉は、EP-4の佐藤薫が80年代に立ち上げたインディー・レーベル〈SKATING PEARS〉のサブレーベルとして始動する。〈SKATING PEARS〉は当初カセットテープ・メディアを中心に多彩な作品をリリースしてきたが、φononは佐藤薫のディレクションによって主にエレクトリック/ノイズ系の作品を中心にリリースする尖鋭的なレーベルだ。

EP-4 [fn.ψ]
OBLIQUES

作品概要
EP-4 の別動ユニット EP-4 [fn.ψ] の初CDとなる『OBLIQUES』。EP-4 の佐藤薫と PARA や EP-4 のサポートなどマルチに活動する家口成樹の2人によって2015年に組まれたユニット EP-4 [fn.ψ]。ラップトップ・ガジェット、シンセサイザー、エフェクターなどが織りなす即興的音の立体空間は、ノイズでありアンビエントでもあるという対語的多面的要素を見事に融合した音のアマルガムを構成する。
本作は2017年6月大阪で行われたライヴの演奏を収録した作品だ。フィールド録音の変調や現実音を切り取って即興編集される佐藤のソニックスコープと純正律チューニングを自在に操る家口の重畳的シンセサイザーが、ときにストリームのように、ときにはフィルミーに立体的な音空間を織りなす。安易なリズムやビートを徹底して排除したかのような音の洪水が空間を切り裂く、約60分間のシームレスなライヴ録音となっている。※ [fn.ψ] = [ファンクション サイ]

アーティスト:EP-4 [fn.ψ]
アルバム・タイトル:OBLIQUES
発売日:2018年2月18日(日)
定価:¥2,000+税
品番:SPF-001
JAN:4562293382516
発売元:φonon (フォノン) div. of SKATING PEARS
流通:p*dis / 株式会社インパートメント
Tel: 03-5467-7277・Fax: 03-5467-3207

〈トラックリスト〉
01. Panmagic
02. Enantiomorphs
03. Sonic Agglomeration
04. Pluralism
05. Pogo Beans
06. Hyperbola
07. Diagonal
08. Flyby Observations
09. Plural (outro)

Radio ensembles Aiida (ラヂオ Ensembles アイーダ)
From ASIA (Radio of the Day #2)

作品概要
A.Mizuki のソロ・ユニットであるラヂオ Ensembles アイーダ『From ASIA (Radio of the Day #2)』。2017年11月に発表された初作品集『IN A ROOM (Radio of the Day #1)』の続編であり、Radio of the Day シリーズの第2作となる。複数のBCLラジオが偶然織り成す一期一会の受信音と、リレースイッチの電流制御などによって生まれるビート/グルーヴをコンダクトし、類のないサウンドスケープ的な音世界を紡ぐ。前作では自室の音風景を切りとり繊細かつ大胆な不思議空間を表現していたが、本作ではタイトルどおり、BCLチューナーを抱えて訪れたアジアの街角でのフィールド・レコーディングで構成された不思議空間を創出している。つまりその不思議が、待ち受け開放から本来の開放を求める不品行な能動へとシフトしたのがこの作品集だ。彼女とラヂオの出会う世界をひとはラヂオデリアと喚ぶ!


アーティスト:Radio ensembles Aiida(ラヂオ Ensembles アイーダ)
アルバム・タイトル:From ASIA (Radio of the Day #2)
発売日:2018年2月18日(日)
定価:¥2,000+税
品番:SPF-002
JAN:4562293382523
発売元:φonon (フォノン) div. of SKATINGPEARS
流通:p*dis / 株式会社インパートメント
Tel: 03-5467-7277・Fax: 03-5467-3207

〈トラックリスト〉
01. Secret SW - Singapore
02. Market - Singapore
03. Restaurant - Singapore
04. Square - Singapore
05. Changi Airport - Singapore
06. Secret MW - Japan
07. Revolve! - Japan
08. Specter × Festival - Japan
09. Radio TUK-TUK - Thailand
10. Squall - Thailand
11. T-Rap announcer - Thailand
12. Radio Free Bangkok - Thailand


Filastine & Nova - ele-king

 いまエレクトロニック/クラブ・ミュージックはどんどんワールド・ミュージックと交錯していっている。とはいえ、一言で「ワールド・ミュージック」といってもそのあり方はじつに多岐にわたる。その多様性や複雑さを損なうことなく新たな形で示してくれるアクトのひとつが、世界各地の音楽を実験精神をもって表現しているデュオ、フィラスティン&ノヴァだ。バルセロナを拠点としているフィラスティンとインドネシア出身のノヴァから成るこのユニット、詳しくは下記のバイオを読んでいただきたいが、なかなかに尖っている(ちなみにフィラスティンは先日亡くなったECDこんな曲を共作してもいる)。そんな彼らの久しぶりの日本ツアーが開催されるとのことで、これは足を運ばずにはいられない。東京公演には KILLER-BONG や ZVIZMO(伊東篤宏×テンテンコ)らも出演。要チェック。

越境するマルチメディア・デュオ、FILASTINE & NOVAのジャパン・ツアー決定!
東京公演は2/11(sun)に代官山のSALOONにて開催!

 2月にバルセロナを拠点とする作曲家/映像作家フィラスティンと、インドネシア出身のネオ・ソウル・ヴォーカリスト、ノヴァ・ルスによるデュオが来日、ジャパン・ツアーを敢行する。「都市の未来を崩壊させるようなベース・ミュージック(Spin)」、「ワールド・ミュージックというよりも、もう一つの世界から来た音楽(Pitchfork)」と評される、映像、音楽、デザイン、ダンスを駆使したダイナミックなライヴ・パフォーマンスは必見だ。

FILASTINE & NOVA
Drapetomania Japan Tour 2018

2/6 福岡 art space tetra
2/7 尾道 浄泉寺
2/8 名古屋 K.D Japon
2/9 京都 octave
2/11 東京 SALOON
2/12 札幌 第2三谷ビル6F 特設会場

 2/11(sun)に代官山のSALOONにて開催される東京公演では、“最も黒い男” KILLER-BONG、アヴァン・エレポップ/ストレンジ・テクノイズを響かせる ZVIZMO(伊東篤宏×テンテンコ)がライヴを披露、また、オリジナルなワールド・ミュージック/伝統伝承の発掘活動も展開する Shhhhh、空族の映画『バンコクナイツ』への参加でも知られる Soi48、ヒップホップやアンビエントを行き来しながら活動を展開する YAMAAN といった独創的なDJたちがスペシャルなプレイをくり広げる。VJとして rokapenis の参加も決定している。世界各地域の音楽、文化を実験精神をもって独自に表現する面々によるクレイジーでダンサンブルな一夜になるだろう。

FILASTINE & NOVA
Drapetomania Japan Tour 2018 in Tokyo

2018.02.11 (sun)
@代官山 SALOON
Open/Start 18:00
Adv 2500yen(1D付き)/ Door 3000yen(1D付き)

| Live |
FILASTINE & NOVA
KILLER-BONG
ZVIZMO

| DJ |
Shhhhh
Soi48
YAMAAN

| VJ |
rokapenis

| Ticket |
前売りチケット取扱い店
・IRREGULAR RHYTHM ASYLUM
・disk union
└ 渋谷クラブミュージックショップ
└ 下北沢クラブミュージックショップ
└ 新宿クラブミュージックショップ
└ 新宿ラテン・ブラジル館
└ 吉祥寺店
└ 池袋店

・予約 filastine.tokyo2018@gmail.com

| Info |
IRREGULAR RHYTHM ASYLUM
https://ira.tokyo/filastine-nova-tokyo/ | 03-3352-6916


【PROFILE】

●FILASTINE & NOVA

バルセロナを拠点とする作曲家/映像作家フィラスティンと、インドネシア出身のネオ・ソウル・ヴォーカリスト、ノヴァ・ルスによるデュオ。ブラジルのカーニバルのバトゥカーダやモロッコの神秘主義者たちとの関わりから打楽器を学び、ラディカル・マーチングバンド The Infernal Noise Brigade を率いたフィラスティンと、幼い頃からペンテコステ派の霊歌やコーランを歌い、ガムラン・パーカッションを演奏し、インドネシアのヒップホップ・シーン草創期にラッパーとしても活躍したノヴァが生み出す音楽は、まさに「ワールド・ミュージックというよりも、もう一つの世界から来た音楽(Pitchfork)」である。世界各地の音楽フェスティバルに出演する以外にも、ドキュメンタリー映画『アクト・オブ・キリング』の公式ミックステープ制作や、フランス・カレーの巨大難民キャンプ「ジャングル」でのライヴ、掃除婦や鉱夫などの底辺の労働者がダンスによって解放される映像シリーズの制作など、音楽を通して「もう一つの世界」の実現を目指すラディカルな表現活動を続けている。2017年に最新アルバム『Drapetomania』を発表した。
https://soundcloud.com/filastine

●KILLER-BONG

〈BLACK SMOKER RECORDS〉主宰、最も黒い男。

●ZVIZMO

蛍光灯音具 OPTRON (オプトロン) プレイヤーの伊東篤宏と、アンダーグラウンド⇔メジャーを縦横無尽に行き来する テンテンコ によるデュオ・ユニット。テンテンコの聴き易いが意外に重たいエレクトロ・ビートと伊東のフリーキーだが意外とキャッチーな OPTRON が作り出すその音世界は「奇天烈だが何故かフレンドリー」な響きに満ちている。2017年11月に〈BLACK SMOKER RECORDS〉より1st アルバムをリリースした。

●Shhhhh(El Folclore Paradox)

DJ/東京出身。オリジナルなワールド・ミュージック/伝統伝承の発掘活動。フロアでは民族音楽から最新の電子音楽全般を操るフリースタイル・グルーヴを発明。13年に発表したオフィシャルミックスCD、『EL FOLCLORE PARADOX』のコンセプトを発展させた同名レーベルを2017年から始動し、南米から Nicola Cruz、DJ Spaniol らを招聘。アート/パーティ・コレクティヴ、Voodoohop のコンピレーションLPのリリースなど。dublab.jp のレギュラーや、オトナとコドモのニュー・サマー・キャンプ“NU VILLAGE”のオーガナイズ・チーム。ライナーノーツ、ディスク・レヴューなど執筆活動やジャンルを跨いだ海外アーティストとの共演や招聘活動のサポート。全国各地のカルト野外パーティー/奇祭からフェス。はたまた町の酒場で幅広く活動中。
https://soundcloud.com/shhhhhsunhouse
https://twitter.com/shhhhhsunhouse
https://www.facebook.com/kanekosunhouse

●Soi48(KEIICHI UTSUKI & SHINSUKE TAKAGI)

旅行先で出会ったレコード、カセット、CD、VCD、USBなどフォーマットを問わないスタイルで音楽発掘し、再発する2人組DJユニット。空族の新作映画『バンコクナイツ』にDJとして参加、〈EM Records〉タイ作品の監修、『爆音映画祭タイ・イサーン特集』主催。フジロックや海外でのDJツアー、トークショーやラジオなどでタイ音楽や旅の魅力を伝えている。その活動の様子はNHKのTV番組にも取り上げられ大きな話題となった。CDジャーナル、boidマガジンにて連載中。英Wire Magazineにも紹介された、『Soi48』というパーティーを新宿歌舞伎町にて不定期開催中。Brian Shimkovitz (AWESOME TAPES FROM AFRICA)、Zack Bar (FORTUNA RECORDS) からモーラム歌手アンカナーン・クンチャイ、弓神楽ただ一人の後継者、田中律子宮司など個性的なゲストを招いてのパーティーは大きな反響を呼んでいる。タイ音楽と旅についての書籍『TRIP TO ISAN: 旅するタイ・イサーン音楽ディスクガイド』好評発売中。
https://soi48.blogspot.jp/
https://www.instagram.com/soi48/

●YAMAAN

HIPHOPやAMBIENTを行き来しながら活動中。2017年2月に“NN EP”をリリースした。
@Mirage______

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