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野田努   Aug 24,2017 UP

 ヴェイカントなる名前からも察することができよう。完全にベルリアル・フォロワー。10数年前はアルファやファーリーズのメンバーなんかとも一緒にやっているので、新人というわけではなさそうだ。配信のみだが“High Rise”なる曲も発表しており、J.G.バラーディアンぶりもしっかり見せている。『アントゥルー』の続きを聴きたかった……という人にはオススメである。
 UKアンダーグラウンド・シーンも過渡期の真っ直中にあり、こうした寄り戻し、バック・トゥ・ベーシックがそれを物語っている。ハウス・ミュージックと同じように、2ステップ・ガラージのリズムも汎用性が高く、雑食的な展開が可能で、なおかつメロディも載せやすく、とにかく型としての応用がきく。ベリアルは敢えてそれをやらない試練/苦行を自らに課したわけだが、殺風景な都会のランドスケープのサウンドによる描写は、今日の厭世的な動きとリンクする。ヴェイカントの12"と同時にリリースされたエイサー(Aether)の12"、ないしはこのレーベル、〈Fent Plates〉のコンピレーションを聴けばわかることだが、それら作品にはベリアルを教科書にしながら、この5年のあいだに起きた厭世派が好むところのダーク・アンビエントやチルウェイヴをはじめ、トリップホップ、ウェイトレス、ディープ・ハウス、ブロークンビート・リヴァイヴァル、IDMリヴァイヴァルがミックスされている。まあいかにもUKらしい折衷ぷりで、ハウスを基本とする〈Rhythm Section International〉が〝陽〟といえるなら、〈Fent Plates〉は徹底した〝陰〟であり、終末的な雰囲気を弄んでいるようですらある。エイサーの12"の題名は「私たちがかつて持っていた未来」……だ。

 ちなみに〈Fent Plates〉傘下には〈White Peach〉なるサブレーベルがあり、ここからはパワフルなグライムの12"が精力的にリリースされている。今年に入ってからもすでに8枚も出しているようだから、すごい勢いである。ぼくがゲットしたのはOpusという新人の「 Marbles EP」だが、ダンス・ミュージックへのパッションのなかに初期ダブステップの見直しがあり、また、インストゥルメンタル・グライムがいま音楽の実験場にもなっていることも示している。もっと詳しいことが知りたければ、下北沢の階段を上がってZEROのドアを開けることだ。

野田努