「K Á R Y Y N」と一致するもの

Vindicatrix - ele-king

 イギリスでは靴下がかつてなく売れているという。若い人たちが暖房費を節約するために。スペインでは卵子を売る女性が増えているという。精子は安すぎて家計の助けにならないらしい。3回目を数えたササクレフェスティヴァルの帰り道、僕は「悩み無用」とか「来年なんてピンと来ない」といった歌詞を思い出していた。その場では楽しかったけれど、会場を出てから尾を引いたのはどことなくネガティヴな言葉ばかりである。超然としていたのは快速東京だけで、あとはもしかして若い人たちの悲鳴を聴いていたようなものだったのだろうか。アトモスフェリックなムードを強調するザ・オトギバナシズはもうひとつ歌詞がよく聴き取れなかったけれど、三毛猫ホームレスの「金くれ~、仕事もくれ~」はやはり耳に残留しまくっている。聴き損ねてしまったけれど、狐火のラップを聴いて泣きそうになっていた人もいるらしい。

 そうでなくとも今年は暗い音楽のほうがしっくり来ていたので、家に帰ってからもホーリー・アザーベルザーリン・カルテットといったものばかり聴いてしまった。10年前のヤン・イエリネクやアンチコンと暗さの質を聞き比べたあげく、どうせだと思ってデビュー・アルバムを出したばかりのヴェッセルとヴィンディケイトリックスも聴いてみることにした。オーファン・フェアリーテイルイーヴェイドもどちらかといえばその口だったし、今年、もっとも暗い音楽選手権でもやろうかなと思いつつ......(ササクレの2日前に戸川純がやはりライヴで"蛹化の女"を歌う前に「この曲は、昔、本当に辛かったときにつくったものです」とMCで話していたことも頭のどっかにはあったかもしれない。「いま、そういう気持ちでつくられた歌はあるのかな、あるとしたらどれなんだろう」と、終わってからフェミニャンや水越さんと話していたことがササクレから答えとなって返って来たような気さえして)。

 ブリストルのヤング・エコー・コレクティヴからセバスチャン・ゲインズバローによるヴェッセル名義『オーダー・オブ・ノイズ』はいかにも〈トライアングル〉という感じで雰囲気は十分。トリッキーをシャープにしたような感じで、そこかしこに甘美なダークネスが敷き詰められているものの、全体的に手法的な統一感はなく、そのせいなのか、暗さに没頭するところまでは行かなかった。それぞれの文脈ではいい曲もあるんだけれど、むしろ同じ〈トライアングル〉からのデビューだったホーリー・アザーの完成度が際立ってしまったというか。これに対してデヴィッド・エアードによるヴィンディケイトリックスはデムダイク・ステアー周辺やエンプティセットの背後に見え隠れするインダストリアル・ミュージックの残像がベース・ミュージックの文脈に取りついたもので、ある種の恐怖体験をそのまま音楽にしたホーンテッド・ダブステップとでも呼べる......ようなものかと思って聴き続けていると......ダメだ、どうしても笑いがこみ上げてくる。あはは。あーはっは。

 ヴォーカルのせいである。デヴィッド・シルヴィアンにも喩えられているエアードのバリトンは、なるほどグラム・ロックの響きを持っている。僕にはビリー・マッケンジーのほうが近いように思えるけれど、あまりにもうっとりと暗い世界に浸りきっていて、歌いかけるべき相手を見失っているというか、彼が自分自身のためにしか歌っていないことがありありとわかるので、どうしても笑いが誘発されてしまう。暗いといってもここには辛さや悲しみはなく、ライフ・スタイルとしてのゴシック趣味があるだけで、要するにロッキー・ホラー・ショーである。ジェイムズ・ブレイクのパロディとしてもかなり楽しいし、元々、マイケル・ジャクスンのカヴァーで注目を集めた人なので、手法的にはハイプ・ウイリアムスのそれを踏襲している面が多い。ブランド&コープランドがジャパンに手を出したら、きっとこんな感じになることは避けられないはずだし、そもそも悪趣味を洗練させたらイギリス人に適うわけがない。つーか、暗い気持ちを増幅させるつもりで聴きはじめたのに、すっかり気分が変わってしまったw。インドネシア語でつけられたタイトルの意味も調べてみたら「大暴れ」とは......。

 真面目な人がここまで読み続けてるとは思えないけれど、以下は、さらにヒマな人向け。『メンガムク』をリリースしたモーダント・ミュージック(以下、MM)について。

 シャックルトンのデビュー・シングル「ストーカー」をリリースしたことで知られるMMは(ヴィンディケイトリックスが最初に知られたのもシャックルトンのリミックスによる)、レーベルを主催するバロン・モーダントとアドミラル・グレイスケールによる同名のユニットがリリースの中心で、ほかにはあまり手を広げていない(最初のレーベル・コンピレイションはMMとシャックルトン、ヴィンディケイトリックスしか収録されていない)。いまでもその要素は強く残しているけれど、MMは当初、ノイズ・ユニットとしてスタートし、おそらくはシャックルトンの影響でベース・ミュージックやダブステップにも手を広げていったのだろう。とはいえ、モーダント男爵ことイアン・ヒックスは90年代後半にはデッドストックとしてインターナルや、ダニー・ローズとしてレフトフィールドの〈ハード・ハンズ〉から適当なダンス・ミュージックはさんざんリリースしてきた口である。さらに遡れば80年代にはポーション・コントロールのメンバーだったこともあり、セカンド・サマー・オブ・ラヴの時期にもボディ・ミュージックのアルバムを何枚か残している。それらをひと言でまとめると、とにかく要領が悪い、いつまでもシーンの周辺にいて、何がやりたいのかわからない人となる。実際、彼がそれまでにリリースしてきたレーベルは悪くないレーベルが多いし、「機会は与えられてきた」にもかかわらず、それを活かせなかったと言われれば終わりである。返す言葉はないだろう。ただ、僕自身、それと知って彼のことを追いかけてきたわけではないのに、上記した作品はなんとなく買ったり、聴いたりはしていて、作品を手にとらせる力はなくはないし、MMにしても最初は新人だと思って聴いていたぐらいである。つまり、何度でもやり直してきたともいえるわけで、その効果はゼロではないし、諦めの悪さもここまでくれば大したものではある。曲がりなりにもMMは12年も続いているし、90年代と同じ過ちを繰り返していないことはたしかである。

 その彼が、最近、MMから立て続けに2本組みカセットなどをリリースしているエコープレックスと新たなユニットを組んだ。トースティングにアルビーを加えたエムプレックス(eMMplekz)がそれで、これがエコープレックスと同じ手法でありながら、それをさらに上回る完成度を感じさせる。野田努が初期のキャバレ・ヴォルテールを引き合いに出したのもなるほどと思えるニック・エドワーズのダブ・ドローンにヒックスは主にはヴォーカルで参加しているようで、クレジットには動名詞のプロセッシング(?)とか貝(?)とか記されている。よくわからないけれど、いろんな音を出しているのだろう。音数が多い分、エコープレックスの単独作よりもコクがありw、踊れないダンス・ミュージックの世界を広げているというか。後半は歌いまくりのシンセ-ポップ。ダークで、それこそポーション・コントロールに逆戻り。最後はこんな歌詞で締めくくられる。「我々は喜んで払い戻します。取替えも可。期待に応えられなければね。スタッフにお申し付けください。これはあなたの土曜の夜を魅了しないでしょう」

 スポーツウェアのことなのか、衝撃テストを指しているのか、『アイゾット・デイズ』と題されたアルバムにはエディ・コクラン"サマータイム・ブルーズ"のカヴァーも収録されている。スーサイドのようにアレンジされたそれはイライラとした感情が剥き出しにされ、ちょっとカッコいい。この曲にはそういえば、60年以上も前に若い人たちがあげた悲鳴が記録されている。いつでもそれは取り出し可能なのである。そう、これを聴いていて、いままた、ハハノシキュウとドタマが来年のクリスマスをぶっ潰してやるといってササクレ・フェスでキック・ザ・カン・クルーの"クリスマス・イブRap"をメタクソにしたヴァージョンをやりはじめたことを思い出してしまった。あの感覚はもしかすると初期のハイプ・ウイリアムズやヴィンディケイトリックスに通じるものがあったかもしれない。

Rhythim Is Rhythim - ele-king

 1991年か1992年、デリック・メイが、リズム・イズ・リズムとして、トレヴァー・ホーンの〈ZTT〉からデビューするはずだったという話はファンのあいだでは有名だ。しかし、トレヴァー・ホーンの執拗なディレクションにドタマに来たデリック・メイは、テーブルをひっくり返してしまった。こうして、リズム・イズ・リズムのデビュー・アルバム『ザ・ビギニング・オブ・ジ・エンド』は幻となったわけだが、アルバムの先行シングルが、実は「ザ・ビギニング」だったことをデリック・メイから昨晩教えてもらった(そして、その「ザ・ビギニング」の方向性を嫌ったのも、レーベルの側だった)。
 よって、リズム・イズ・リズムのアルバムのために録音された曲は、1993年に"アイコン"として発表され、続いてロング・アゴー名義の"レリックス"として、リズム・イズ・リズム名義では"ケオティック・ハーモニー"、そして同名義で1999年のコンピレーション『タイム:スペース』において"ビフォア・ゼア・アフター"として発表されている。12月5日にリリースされる〈トランスマット〉の新しいコンピレーション・アルバム『BEYOND THE DANCE~TRANSMAT 4』には、さらにまた、『ザ・ビギニング・オブ・ジ・エンド』からの1曲"ハンド・オーヴァー・ハンド"が収録されている。20年かけて、デリック・メイが当時どんなアルバムを作っていたかがようやくわかってきた(笑)。(そして、それは相当に、メランコリックな作品だった)

 以下の映像は、1989年、26歳のデリック・メイ、20歳のカール・クレイグのふたりによる、リズム・イズ・リズムのロンドンのライヴである。遠くで野球帽をかぶっているのがカール・クレイグ、手前でシンセサイザーを弾いているのがデリック・メイ。ファッションが時代を物語っているが、音楽はいまも超越的に聴こえる。

Alex from Tokyo - ele-king

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twitter: @alexfromtokyo

Alex from Tokyo timewarp ele-king chart 11/2012


1
Brawther-Sexy thing remix (My Love Is Underground) from paris underground trax vol.1

2
Deetron featuring Hercules & Love Affair - Crave (Music Man)

3
Land Of Light-Land of Light (ENESP) LP

4
Free Disco featuring Naive Sound Boogie Band-Ghost Boogie 1977 (curved)

5
Dj Kaos-Crosswindlanding (Jolly jams)

6
Henrik Schwarz-Take words in return (Watergate)

7
Jeff Mills-Sequence (Axis records) COMPILATION

8
Brisa-Stay Gold (aubele)

9
L.U.P.O.-Hell or Heaven (Gigolo records)

10
坂本慎太郎-死者より From the dead (zelone records)

TIMEWARP feat. BRAWTHER @eleven - ele-king

 ジョイ・オービソンやボディカ、あるいはジェイミーXXらUKベース・ミュージックの若手がハウス・ミュージックへとアプローチするなか、ラッシュ・アワーのような長年そのシーンをサポートしているレーベルが活気づいたり、シカゴの巨匠のひとり、シェ・ダミエが脚光を浴びたり、ブラック・ジャズ・コンソーティアムのセカンド・アルバムが時間をかけながらじわじわ広まったり、ディープ・ハウスらしく地味ながらも、ここ数年、ソウル/ジャズ・テイストのハウス・ミュージックが活気づいている(井上薫も新作を出したばかりですよね)。そんななかで、アレックス・フロム・トーキョー率いる「TIMEWARPクルー」がよりによって11月23日に夜にハウスの密会を企んでいる。
 今回は、ロンドンのパーティ・シーンを牽引し続ける「secretsundaze」をはじめ、各国のフェスティヴァルでオーディエンスを沸かせている期待の若き才能、ブラウザー(BRAWTHER)がゲストDJで初登場! 
 日本でのプレイは初となる彼ですが、盟友シェ・ダミエも認める古き良きディープ・ハウスをアップデイトさせたような作品、モダンかつトラディショナルなメロディを共存させたようなプレイから広がるサウンドスケープでオーディンスを魅了する。ファンキー&エクレクティックなアレックス・フロム・トーキョーによるロングセットもお聴き逃しなく!!
 VJもフロアに多数のスクリ-ンをセットし会場一面を異空間に彩ります。ラウンジも「TIMEWARP」フレンズのDJ陣に加え、JMCで活躍中のTomouyki YasudaとDJ Stockがグルーヴ感溢れる空間にエスコートしてくれることでしょう。ファンキーなアーバン・サウンド&ヴァイブスがParis・New York・ London・Tokyoを繋ぐ熱い一夜。ディープ&モダンなダンス・パーティにご期待下さい!

「TIMEWARP- feat. BRAWTHER -」
日時:2012年11月23日(金) 22:00~
会場:西麻布eleven
東京都港区西麻布1-10-11セソーラス西麻布B1/B2
https://go-to-eleven.com/
料金:3,500円 / 3,000円(w/f) /
1000円(first 50 people before 23:30)
★11月生まれの方は入場無料!
(※ドリンクチャージとして1000円頂戴します。
要写真付き身分証明書)

Guest DJ:
Brawther(The Secret Agency/Balance)

DJ:
Alex from Tokyo(Tokyo Black Star/Innervisions/Worldfamous NYC)
Ryo Watanabe(FACE/ESCAPE)
TR(:SYNTHESIZE)

VJ:
SATI. (HUEMM)、 KOCCI & VJ HAJIME

Lounge DJ:
CANA (MOON'S A BALLOON)
Alixkun(Konnekt)
T.B. Brothers
Tomoyuki Yasuda(JMC/WAVE MUSIC)
DJ Stock(WORLD SPIN/JMC)

Photo:
Kenjiro Abe

Food:
OSTERIA SCHUMACHER

https://go-to-eleven.com/schedule/detail/761/2012/11

Produced by :Synthesize inc.
https://www.synthesize-inc.com/

Supported by adidas originals
https://www.adidas.com/jp/originals/

BBH - ele-king

 膨大なレコードからざっくりスライスして、さくさくと展開するところはJディラの『ドーナッツ』を彷彿させるが、『ジ・アルバム』はソウルというよりも『サージェント・ペパー~』の側だ。ヒップホップというよりはカクテル・ラウンジとさえ呼べる。とくに前半は、洒落ている。つまり、フライング・ロータスの新作以上に、こちらのほうがジェントル・ピープルだ。
 そんなわけで、『ジ・アルバム』が『ファンタズマ』や砂原良徳の隣に並んでいても驚かない。アートワークのデザインの方向性次第では、このアルバムはウータン・クランよりもディック・ハイマンさもなければドリーム・ポップのコーナーに分類されていたかもしれない。

 BBHとは、Bushmind + starrBurst + dj Highschoolの3人組で、日本のアンダーグラウンドなヒップホップ・シーンの......もはやベテランと呼べるのだろうか。ブッシュマインドは昨年、通算2枚目となるソロ・アルバムを出している。そのアルバム『Good Days Comin'』では、ラッパーたちの協力のもと、ここではとても書けないある種の真実を描いているが、BBHはそのインストゥルメンタルな展開とも言えるかもしれない。
 彼らは本当にいろいろなところから音を持ってきている。イージー・リスニング、サントラ、レゲエ、パンク、ロービットの効果音......雑多な音のなかから彼らいうところの「サイケデリック」を表現している。ここには、厳しいストリートの生存競争や都会の感傷、お決まりのメッセージやリアリズムなどから遠く離れた、桃源郷的とも言える心地よさがある。たとえば20曲目の"THENEONLIGHTSGLITTERSANDCHANTSTHROUGHTHENIGHT"などは、ソニック・ブームのヒップホップ・ヴァージョンとも呼べるようなもっとも印象的曲のひとつだが、いきなり20曲目に飛ばして聴くよりは、最初から順番に聴いていったほうが良い感じのアルバムだ。

 オウル・ビーツやブン、ブダモンク、フラグメントイーライ・ウォークスなどなど、2010年はドイツのレーベルが、そして2012年はフランスのネット・レーベルが日本以上に日本のビートメイカーを評価しているかのようなコンピを発表、オリーヴ・オイル以降の......と呼ぶのが的確なのかどうかはさておき、ビート・シーンにはたくさんの才能がごろごろしているようだ。他方では、クロックワイズも再活動すると宣言しているし、女性ビートメイカーのクレプトマニアックにも他ジャンルからの注目が集まっている。メインストリームではDJフミヤが楽しいアルバムを発表したばかりだ。そういうなかにあって、BBHは、他の誰とも違った、温かくドリーミーなアプローチを見せている。やや幻覚気味のイージー・リスニングだと思う。ある意味、いままでブッシュマインドとは縁のなかったリスナーにこそ聴いてもらいたい。

DJ mew (恥骨粉砕) - ele-king

2012.12.15 恥骨粉砕@Star Pine's Cafe!!!!!
久々やります!皆様どうぞよろしくお願いします!
more info https://chikotsu-funsai.tumblr.com/
blog https://djmew.exblog.jp/

今秋のベストヒット 2012.11.07


1
Laid Back - Cosyland - Brother Music

2
Traxman - Itz Crack - PLANET MU

3
LV feat. Ruffest - Ultando Lwaka - Hyperdub

4
Junip - Howl - MUTE

5
blur - She's So High - EMI / PARLOPHONE

6
Jon Hassel - Toucan Ocean - Lovely Music

7
Coldplay - High Speed - EMI

8
DJ Krush - 蒼い雨 - Es.U.Es Corporation

9
Nick Cave & The Bad Seeds - Red Right Hand - Mute Records

10
DJ Rashad - Kush Ain't Loud - Lit City Trax

Chart Meditations 2012.11.12 - ele-king

Chart


1

Andrew Chalk - 狂詩曲の波間に浮かぶ四十九の風景 (Faraway Press)
英ドローンの重鎮Andrew Chalk待望の新作は、なんと49のランドスケープを49曲で表現した54分に渡る至福のラプソディー集。現実世界が薄らいでいく事間違いなしの紛うこと無き傑作です!

2

Bernard Gagnon - Musique Electronique (1975-1983) (Tenzier)
Xenakisに師事していたカナダの電子音楽家によるコンクレート集。どれもこれも鋭利な金属摩擦のようで完成度が凄まじい。間違いなく2012年の重要発掘作でしょう!

3

Cut Hands - Black Mamba (Very Friendly)
アフロノイズ・プロジェクトCut Hands待望の2nd。重い打撃の岩石パーカス、暗黒アフロな辺境リズム、髪が逆立つ鋭いノイズはここでも炸裂。アンビエント要素も増えて更に暗黒界を制覇してます!

4

Twinsistermoon - Bogyrealm Vessels (Handmade Birds)
世紀末ドローンと、男性の声とは思えない程にボーカルの甘さが際立つフォークを演奏する仏作家の新作。混沌と至福の境界線が曖昧になって深くなってます! ジャケも素晴らしい。

5

Sympathy Nervous - Plastic Love (Minimal Wave)
ここMWにより再評価が高まった国産シンセポップ・ユニットの編集盤第2弾。80sテクノポップにテクノの原型やインダストリアル、日本語詞と、電子音が跳ねまくる絶妙な格好良さです!

6

Bee Mask - Vaporware / Scanops (Room40)
奇跡の来日も記憶に新しい電子音楽家Bee Mask。長尺2曲構成にて、宇宙の漆黒や星々の光を巻き付けながら神秘的な電子音がグングンと上昇。抜群のSF世界を構築しています! 完成度高いです。

7

V.A. - Tomorrow's Achievements - Parry Music Library 1976 - 86 (Public Information)
カナダの電子音楽レーベルParry Musicの音源集。瑠璃色にの柔らかいアンビエンスや近未来/宇宙色なロマンスが備わった展開でどれも高品質。OPN以降のアンビエント時代にガッツリ食らいつく1枚です!

8

Discoverer - Tunnels (Digitalis Recordings)
カセット1本出したっきりだったシンセシストですが、これがどっこい人気のレーベルから好作を発表。出す音1つ1つから近未来の町並みが出来上がって行くようなロマンス、宇宙リゾートな日差しが広がる抜群の心地良さです!

9

V.A. - The Instructional Media Guide To Mindful Internet Exploration (Instructional Media)
南国ニューエイジな世界観で、一部のカセット狂に大きな爪痕を残したレーベルの第2作。レーベルの代表作家Mother Gangやそのうち大きなレーベルからデビューしそうなMagic Eyeなどなど。ここは装丁が良いです。

10

Diseno Corbusier - El Alma De La Estrella (ViNiLiSSSiMO)
スペインのニューウェーヴバンドの86年作が再発。脱力奇怪ボーカルと太いミニマルシンセが暴れる1曲目が素晴らし過ぎます。近年のこの手の再発の中でもかなりキレた1枚でしょう!

Chart JET SET 2012.11.12 - ele-king

Chart


1

Visitors - Night Fever - Idjut Boys Rmx (Disques Sinthomme)
Dj Harvey, David Mancuso, Prins Thomasら大御所が挙ってプレイ中!!姉妹レーベル"Ghost Town"と共に注目が集る"Disques Sinthomme"からの最新作。未だ謎多きユニットVisitorsによるリリース第二弾。Idjut Boysによるリミックスを収録した注目の一作が遂に解禁!!

2

Lusty Zanzibar - Empress Wu Hu Ep (Glenview)
Nangや"Bear Funk"といったニューディスコ・レーベルからのリリースで知られるUkプロデューサーAlex Cordiner A.k.a. Lusty Zanzibarが"Glenview"初参戦。収録4作品漏れなくお薦めです!!

3

Fudge Fingas - Untytled Ep (Firecracker)
エジンバラのプロデューサー/キーボードディストFudge Fingasによるオリジナルトラックと、レーベル・オーナーLinkwoodによる作品をリミックスした作品をコンパイルした大注目Ep作品!

4

Aeroplane Feat. Jamie Principle - In Her Eyes (Aeropop)
ベルギー名門"Eskimo"を拠点に素晴しいリリースを繰り広げてきたAeroplaneによる最新作。ヴォーカルにシカゴ・レジェンドJamie Principle、リミキサーにはTiger & WoodsとChopstick & Johnjon (Suol)の人気アクト2組を抜擢。ニューディスコ・ファン必聴の一枚が遂に解禁です!!

5

Falty Dl - Straight & Arrow (Ninja Tune)
ご存じNinja Tune/Planet Muが誇るNy在住の美麗Ukベース人気者Falty Dlがジャズ薫るコードワークを散りばめて完成させた、Swindle越えアーバン・ベース名曲がこちら。素敵過ぎます!!

6

Darkstar - Timeaway (Warp)
Hyperdubからの'10年作『North』が超ロングセラーとなった大人気トリオがWarpから挨拶代りにお届けする極上美麗なポスト・ダブステップ・ポップ名曲です!!

7

Kidkanevil & Daisuke Tanabe - Kidsuke (Project Mooncircle)
ご存じNinja Tuneが誇るバンドStatelessのトラックメイカーKidkanevilと、Mike Gaoとのスプリット盤も爆裂ヒットしたDaisuke Tanabeによる電撃コラボ・アルバムが登場しました!!

8

Amen Brother Disco Band - Volume 1 (Amen Brother)
まるでIncredible Bongo Bandなパーカッシヴ&ブレイキン・ファンク!!アイルランドから大注目ファンク~ディスコ・バンドが登場です!!

9

Ital - Dream Pn (Planet Mu)
もはや説明不要のインディ・シンセ・ダンス最重要アクト。Daniel Martin-Mccormickによるソロ・ユニットの2枚目のアルバム!!前作同様Planet Muからのリリースです!!

10

Azymuth - Avenida Das Mangeurias / Partido Alto (Far Out)
今も高い人気を誇る孤高のブラジリアン・フュージョン・バンド、Azymuthの1979年作『Light As A Feather』収録の2曲を、Theo ParrishとLtj Xperienceがリミックス!!

Andy Stott - ele-king

 カタログ本というのはこれがあるからキリがない。あと数週間早くアンディ・ストットのセカンド・アルバム『ラグジュアリー・プロブレムズ』を聴いていたら、最後の1ページに加えた。

 アンディ・ストットはマンチェスターの〈モダン・ラヴ〉を拠点に活動しているDJで、デムダイク・ステアの(レコード蒐集家として知られる)マイルズ・ウィテカーとのコンビでダブステップの作品も出している。ストットは、2011年には「We Stay Together」と「Passed Me By」の2枚のシングルによって、デムダイク・ステア(紙ele-king vol.5参照)や〈ブラッケスト・エヴァー・ブラック〉のレイムあたりとも共振しながら、マンネリ気味だったミニマル・ダブに「ダーク・アンビエント/ポスト・インダストリアル」なるテイストを見せたひとりだった。
 彼らの怪奇趣味の先人にはサム・シャックルトンがいて、新作『ミュージック・フォー・ザ・クワイエット・アワー』......これがホントに、「ここまでやるのか」と、正直、聴覚体験でそれほどの驚きを感じにくくなっている中年の耳を充分に震え上がらせた。今年のテクノの大きな衝撃だ。こんなに怖い音響を他に知らない。
 アンディ・ストットの音響/残響には『ミュージック・フォー・ザ・クウィエット・アワー』のような、1枚通してヘッドフォンで聴くと頭がおかしくなるようなことはないが、それでも充分に面白い。クラウトロックの巨星のひとつ、ファウストの最初のアルバムの幻覚性の高いカット・アップを彷彿させながら、ミニマルとダブとインダストリアルの3点を結んでいるようだ。ニック・エドワーズのソロもキャバレ・ヴォルテールがダブをやったみたいだったけれど、彼らにはどこかしら共通する感覚がある。数字のような正確性ではなく、曖昧で比喩的な表現に逃げながら、何か確実な声を発しているように見受けられる。

 1曲目の"Numb"が良い。歌声の断片の残響を巧妙に反復させ、霊妙なループをミキシングしながら、空間を広げていく。曲の終わりでは、歌の断片の反復にあらたに言葉の断片が繋がる。その美しい瞬間は見事で、ある意味ダブのネクストとも言えよう。
 リズムのアクセントにダブステップの痕跡も見られる。スクリューを混ぜながら、ダンス・ビートとしての機能も見失わない。気体のような女性ヴォーカルとの絡みはイヴェイドを思わせるが、タイトル曲の"Luxury Problems"ではしっかりハウスのビートを取り入れつつ、やはりシャックルトン的な音響的な倒錯を試みている。この曲がまた良くて、カール・クレイグの"クラックダウン"をスクリューしながらダブミキシングしたようだ。
 正直言って、10月のあいだ350枚以上のアルバムを聴いたので、テクノはしばらく聴きたくないと思っていたのだが、無理だった。"Up The Box"のリズム・エディットも実に新鮮。素晴らしいことに、テクノにはまだ前進する余地がある。まったく贅沢な問題だ。

DJ Nature - ele-king

 レゲエやヒップホップ、レアグルーヴなどを内包したストーン・フリーなヘヴィ・ダウンテンポをして、90年代初頭にトリップ・ホップとして知られることになるブリストル・サウンド。そのオリジネーターであるワイルド・バンチ・サウンドシステム設立メンバーのDJマイロは、1988年に〈メジャー・フォース〉からリリースしたHiroshi+K.U.D.O feat. D.J. Milo名義のシングル「D.J. Mix」がヒップホップ史におけるメガミックス・クラシックスとして殿堂入りを果たしたという意味においても紛うことなきリヴィング・レジェンドである。
 しかし、ワイルド・バンチの他のメンバーはマッシュルームとダディ・G、3Dがマッシヴ・アタックを結成。ネリー・フーパーはビョークやマドンナを手掛ける人気プロデューサーとなり、トリッキーがソロ・アーティストとして世界的な成功を収めたのに対して、DJマイロは華やかなシーンの表舞台から距離を置くように、1989年にニューヨークへ渡った。そして、一時滞在したことで生まれた日本とのつながりから、その後、スチャダラパーやエリ+ヒロシなどのリミックスを散発的に手掛け、2003年には日本発のソロ・アルバム『SUNTOUCHER』をリリースするものの、ブリストルのレジェントという形容が常に付いて回る境遇にあった。たしかに彼が音楽シーンに与えた影響を考えれば、そうした形容も至極当然なものであるが、ニューヨーク移住から20年以上を経て、彼のプロフィールはそろそろ加筆の必要があるように思う。

 アルバムとしては実に9年振りとなる彼のDJネイチャー名義による『Return Of The Savege』は、その大きなきっかけとなる1枚だ。前作『SUNTOUCHER』では厚いスモークのその先でアブストラクトなロービートと生音を挿したディープ・ハウスを共存させていた彼の作風は、2010年にジャジー・スポートや本作のリリース元であるNYのレーベル、ゴルフ・チャンネルでの作品リリースを通じた活動再開後、その軸足はディスコ、ハウスに移行。12曲がすべて新曲となる本作のビートはよりスロウに、そして、エレクトリック・ピアノやトランペット、オルガンやサックスといった生楽器を交えながら、低速のグルーヴがテンションを緩めることなく足元に絡みつく。さらにストリングスやヴォーカルなどのローファイなサンプル・フレーズを重層的に重ね、その揺らぎやほころびにブラック・スピリチュアリティを宿すプロダクションはラフなメロウネスに貫かれており、そこにはブリストルから日本経由で、NYへ渡った彼の30年に及ぶキャリアを通じて育まれた揺るぎないものが確かに息づいている。

 そして、このアルバムと共に筆者が知ることになった話はこれまで見聞きしてきたストーリーとは異なるマイロの素顔を伝えるものだ。1985年にリリースされたファーリー・キースの"Funkin With The Drum"でシカゴ・ハウスの洗礼を受けた彼は、ワイルド・バンチとして活動をおこないながら、実は長らくハウス・ミュージックへの情熱を募らせていたのだという。ワイルド・バンチ時代からマイロのことをよく知る荏開津広氏に直接聞いたところによると、当時から彼のDJは、ヒップハウスを交えたハウス・セットが独立して存在していたとのことで、1989年にニューヨークへ渡ったのも、当時のヒップホップはもちろんのこと、NYハウス・シーンへのシンパシーが大きな原動力だったという。
 そして、当時、その治安の悪さから悪名高かったマンハッタンのアルファベット・シティに住み、チョイス時代のラリー・レヴァンやザンジバルでのトニー・ハンフリーズのプレイを体験し、サウンド・ファクトリーやレッド・ゾーン、ベター・デイズ、シェルターといったクラブに足繁く通っていた彼は、念願だったネイチャー・ボーイ名義での音楽制作を開始。シングル・リリースを重ねた末、92年に発表した(そして、その存在がほとんど知られていない)初のアルバム『Ruff Disco Volume One』は、荒々しいサンプリング・フレーズのループとプリミティヴなドラムマシーンの組み合わせから生み出されたダーティーなハウス・トラックに、当時、親交が深かったというNYハウスの代表的なレーベル、〈ニュー・グルーヴ〉の影響が色濃く反映されている。その後、プライヴェートで営むヴァイナルやストリート・ウェアの輸入会社が多忙になり、彼の作品リリースは途絶えるものの、断続的に音楽制作を行い、それが2003年の『SUNTOUCHER』となり、2010年以降の本格的な復活へとつながったようだ。
 そうした経緯を踏まえたうえで、"野蛮人の帰還"という意味のタイトルを戴いた本作に、彼が込めた思いとはいかなるものなのか。ここではもちろんその全てを推し量ることは出来ない。しかし、ブリストルのゲットー、セント・ポールズで結成されたワイルド・バンチから現在まで、彼が音楽を通じて体現するラフネスが、執念のように青く燃え続けていることは確かだ。そして、すぐそこにあった成功には目もくれず、ブリストルのレジェンドという評価に甘んじることもなく、はたまた、ニューヨークの街が浄化されようとも、彼が時を超えて音楽の理想を追い求める荒ぶる情熱は、NYハウスがリヴァイヴァルしつつある時代にあって、この作品を特別なものにしている。

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