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interview with iLL

interview with iLL

膨張するイルな宇宙は夢を見るか……

――アジカンからDJノブまでが参加する、中村弘二の新たなる試み

野田 努    Jun 11,2010 UP

会ったこともない人といっしょにやるのがスリリングなんですよ。向井くんとも会ったことなかったし、ポリシックスにも会ったことなかったし。ベースボールベアーも、ノブくんも、アジカンも、クラムボンも......ほとんど会ったことがなかった。

いろんな日本のミュージシャンやDJとコラボして、良かったところは何ですか?

ナカコー:やる前に、自分はきっと柔軟に違いないと思っていたんだけど、実際にやってみて柔軟だった。

はははは。なにそれ?

ナカコー:ちゃんと相手に合わせることができる。チューニングができる。それはコミュニケーションが取れるってことだから。

なるほどねー。最初にこの企画の話を聞いたときに思ったことがあるのね。たとえばDJやクラブというのはシーンがあると思うのね。DJだけではなく、オーガナイザーやクラバーをふくめて、自分はこのシーンのいちぶであることを自覚していると思うのね。多少の音楽性は違ってもだよ。やはりそこには風営法だったり、社会的に自分たちの"シーン"ということを自覚しなければやっていけないところがあると思うのね。翻ってロックはどうかと言うと、シーンという意識がすごく希薄に思えるんだよね。日本のロック・シーンと言われても、もうわけわからないでしょ? 

ナカコー:まあ、でも、下北のシーンとかありますけどね。秋葉とか。

ああ、そうか。ハードコアのシーンもあるよね。でも、UKやUSなんかと比較すると、この国のロックは何が最良であって、どんなバンドに未来が託されているのかよくわからないし、どのシーンにいま注目したらいいのかっていうのもない。向こうはロラパルーザとかさ、あるいはビースティーのチベット支援とかさ、なにか理想があってそれでバンドが集まるじゃん。日本でそういうのって知らないし......。だから、ナカコーが持っていた"距離感"は他のバンドも持っていたかもしれないなと思うの。だって、これだけたくさんのロック・バンドがいて、そして、言ってしまえばバラバラなわけでさ。だからね、そういう意味で、ナカコーが今回やっている試みは、極論すればシーンがないなかでやっているわけだからさ......すごいことだよ(笑)。

ナカコー:はははは。

甘くはないというか、そう簡単に理解されるものじゃないと思うんだよね。

ナカコー:ただ、今回ここにいるのが日本の音楽のすべてじゃないからね。これが日本の音楽シーンだとも思っていないし。

そうだよね。ナカコーがキュレーターを務めたプチ・フェスティヴァルみたいな。

ナカコー:そうですね。それはあるかも。海外の人に、これはいまの日本の音楽のひとつの姿ですって、そういう感じでは出せるかな。

iLLやっていて、対バンに困ることはある?

ナカコー:まあ。

正直なところ、仲間が欲しいって気持ちはあったのかな?

ナカコー:仲間というか......、まず何を考えているかわからないし、だけど、いっしょに音を出してみて、で、何を考えているかわかったという(笑)。

なるほど(笑)。あのー、今回の企画は、本当に冒険的なことをやっていると思うんだよ。こんなこといまどき誰もやらないし、自分が興味のない外の世界とはまったく関わりたくないというのがいまの日本社会だから、すごく世のなかに逆らっているとも思うんだよ。だけどさ......ポリシックス聴いている子がDJノブに興味を持つかな? アブラハム・クロスを聴いている子がアジカンを聴くかな? おたがいはなっから「自分とは違う」という意識でいるのがいまなんじゃない?

ナカコー:うーん、そうなんだけど、そこは聴いている人の感性によるし、ひょっとしたら"アリ"かもしれないし。うん、たしかにそうなんだけど、聴いてみないとわからない。

それはたしかにそうだね。

ナカコー:聴く前から、もうイメージで聴かないという人が多いでしょ。まずは聴いて欲しい......というのがありますけどね。知らないっていうだけで、価値のないモノとされるような感じはあんま好きじゃないので。ああいうモノもあるけど、別のモノもある、それは面白いけどな、それにどっぷり浸からなくても......。

そうだよね。やってみて、このコラボした人たち全員に共通しているモノって何だと思う?

ナカコー:うーん。

DJノブからベースボールベアーまで。

ナカコー::「すげー、わからない」ということと「すげー、わかる」ということが共存している。なんて言うか......「聴けばわかる、でも、聴かないとどうやって作っているのかわからない」、そういうところがあって。ベースボールベアーの音楽も何かをやろうとしていることはわかる。みんなに「わかる」と「わからない」がある。

"分断化された10年"という言葉があるんだけど、いまはとにかくみんなバラバラだと。たとえばアブラハム・クロスの小さなシーンとアジカンのシーンには回路がないでしょ。ナカコーはそこを繋げたいと思っているの?

ナカコー:できれば繋げたいと思っている。

それは夢のある話だね(笑)。

ナカコー:はははは。フェスとかで......、ロッキングオンのフェスでもなんでもいいんですけど、このメンツでやったらお客は揺れ動くよなーとは思うんですけどね。

揺れ動くって?

ナカコー:まあ、それが良いか悪いか別にして、こっちのほうが健全というか、同じようなバンドばかりが続くよりは、むしろこっちのほうが繋がるんじゃないかなと思うんですけどね。

野田 努(2010年6月11日)

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