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interview with DIVORCE Music (Darcy Spidle)

interview with DIVORCE Music (Darcy Spidle)

北大西洋沿い、音響実験場

──〈ダイヴァース〉レーベル、インタヴュー

野田 努    Feb 18,2013 UP

大量生産の果てに生まれたCDは、いまや無限に複製されるデジタル音楽となっている。ゆえに、アナログ盤とカセットが限定盤(有限)としてリリースされることには意義がある。リスナーにとっても、100個しか作られないカセットのひとつを買うことは、急進的で、冒険的な行為なんだ。

グルーパー、USガールズ、ゲイリー・ウォーなどといった僕らの大好きな実験的なアーティストと〈ダイヴァース〉はとても友好的な関係にあるようですね。

D:僕はハリファックスでその人たちがやるときはいつもサポートしている。その人たちの演奏を聴いたときは、本当にぶっ飛ばされた。彼らはすでに世界的クラスのアーティストだった。
 僕が彼らの音楽を好きな理由は、音楽のなかで自分の本当の感情を伝えるために実験的な手法を取っているというところにある。進歩的な考えと感情との組み合わせが、僕は彼らの音楽のなかでもっとも惹きつけられる点だ。

いままでどのくらいリリースしているんですか?

D:正確な数はもう憶えていない。カタログ上では、いま52枚リリースしたことになっている。そこには、2~3のデジタル・リリース、アナログ盤、カセット、それからジンも含まれる。あともうすぐ発表される『Lowlife』という映画との関連作品もある。


映画『Lowlife』から

インターネットの普及がいろいろなものを破壊的なまでに変えてしまいました。カナダはいかがでしょうか?

D:カナダも日本と同じだと思う。ほとんどの音楽はネット上にある。音楽リスナーにとっては良い時代だと言えるだろう。アーティストにとっても自分の露出が増えたわけだから、ポジティヴな効果もあると言えばある。だが、供給は増え、需要は減少している。しかも、多くのリスナーは、アルバムが商品だった時代にくらべて、音楽にありがたみを感じていないかもしれない。
 とはいえ、こうしたなかで前向きな活路を見いだしているアーティストもいる。たとえばティム・ヘッカー。ツアーをして、限定盤を発表する。グルーパーもそういうタイプだ。彼らは実験的なやり方で生計を立てている。10年前、彼らのような規格外のアーティストが世界的な支持を得ていたとは思えない。これは、自分たちが本当に尊重したいアーティストとレーベルを自分たち自身でサポートするという、リスナーの純粋な気持ちがもたらしている事態だ。実際、多くのリスナーはその選択を選んでいるし、ますますそのようになると僕は思っている。

オンライン・マガジンの『Weird Canada』を見ると、多くのレーベルやアーティスト、たくさんのカセットのリリースも見つけることができます。カナダのアンダーグラウンド・シーンは健康な状態だと言えますか?

D:そう思う。多くの、そして小さなレーベルがカナダにはある。それらレーベルはこの国に、強いシーンを育てようとしている。君が知っているようなカナダのアーティストは、最初はみんなカナダの小さなレーベルからデビューしている。『Weird Canada』は、アンダーグラウンド・コミュニティを育て、そして繋ぐ役割をしている。この数年で、カナダの音楽シーンはとんでもない成長を遂げている。

今日、アンダーグラウンド・シーンでは、アナログ盤とカセットでのリリースが主流になっています。こうした傾向に対するあなたの意見を聞かせてください。

D:デジタルの飽和状態が続くなか、アナログ盤のリリースは有益だと思う。単純な話、音楽リスナーにとって本当に好きな盤であるなら、手元に置きたいと思うだろう。そして、アナログ盤があって欲しいと願うと思う。大量生産の果てに生まれたCDは、いまやデジタル音楽として無限に複製されている。ゆえに、アナログ盤とカセットが限定盤(有限)としてリリースされることには意義がある。リスナーにとっても、100個しか作られないカセットのひとつを買うことは、急進的で、冒険的な行為なんだ。
 作品とリスナーとの関与の仕方についても、こうしたリリースには考えさせられるものがあるんじゃないかな。デジタルに複製され、ばらまかれたものを「黙って買え」と言われるより、よほど身体的な関係性が生まれるわけだから。

あなたが昨年出したYou'll Never Get To Heavenのデビュー・アルバムがとても気に入りました。あなたは彼らのどこが好きなんですか?

D:YNGTHは、その実験性と感情へのアクセスがスムーズなところが良いと思う。実に珍しい混合の仕方をしている。初めて聴いたとき、瞬く間にその世界にハマってしまった。従来のポップス構造の範囲内で、彼らのような合成の仕方でアンビエントの組成物を利用することは、珍しいと思っているんだ。彼らは大きなバンドだと思っている。この先、将来、彼らといっしょに何かできると良いと思っている。

この先の予定について教えてください。

D:4月は、トロント電子音楽とヴィジュアル・アーティスト、JfmのためのLPを控えている。そして我々は、ベルリン/トロント作曲家エイダン・ベーカーによるとびきり重たいドローンのLPも出すよ。



最後に、あなたのオールタイム・トップ10を教えてください。

D:それはタフな質問だ。以下、大きな影響をもらった作品を挙げておく。これらの作品はつねに聴いている音楽ではない。しかし、明らかに自分が取り憑かれたように聴いた作品だ。僕に新しい世界の扉を開けてくれた作品なんだ。

Alice Coltrane - Journey in Satchidananda
Kraftwerk - Radio Activity
Ornette Coleman - The Shape of Jazz to Come
John Fahey - Days Have Gone By Vol. 6
Black Flag - In My Head
Pharoah Sanders - Karma
The Boredoms - Vision Creation Newsun
Merzbow - Pulse Demon
Discharge - Hear Nothing See Nothing Say Nothing
Peter Brötzmann - Machine Gun


ダーシー・スパイドル

文:野田 努(2013年2月18日)

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