「ele-king」と一致するもの

Koji Nakamura - ele-king

 先日《Hardcore Ambience CH.》の映像作品を公開したばかりのナカコーからまたも嬉しいお知らせです。なんと、ワンマン・ライヴが決定しました。11/24と11/25に下北沢440にて、11/27に茨城は取手Atelier ju-touにて開催。ドラムに沼澤尚、ベースに345を迎えたトリオ編成で、ナカコーはギターとヴォーカルに専念します。セットリストもすでに公開されています(下記参照)。これは楽しみ!

interview with BADBADNOTGOOD (Leland Whitty) - ele-king

 トロント出身の3人組のバンド、バッドバッドノットグッド(以下BBNG)の、5年ぶりとなるニューアルバム『Talk Memory』がリリースされた。
 BBNGは、トロントの有名大学、ハンバーカレッジのジャズ・プログラムで出会った、アレックス・ソウィンスキー(ドラム)、チェスター・ハンセン(ベース)、リーランド・ウィッティ(サックス、ギター)から成るバンドで、数多くのアーティストとのコラボレーション活動で知られている。2010年結成以後、ヒップホップを中心とした楽曲のインストゥルメンタル・カヴァーが注目され、その後自身の作品リリースと並行して、ゴーストフェイス・キラーと共作アルバムを発表し、ケンドリック・ラマーをはじめとする人気アーティストの楽曲プロデュースを手がけるなど、彼らはつねにバンドの外の世界と混じりあいながら活動を進めてきた。MFドゥームダニー・ブラウンサンダーキャットフランク・オーシャンからスヌープ・ドッグ、ブーツィー・コリンズまで、彼らの共演者は枚挙に暇がない。
 2014年、彼らが初めてレーベルと契約したアルバム『III』のリリース時、大阪にある小規模ライヴハウス、CONPASSで彼らのライヴを見た。当時、彼らを形容する新世代ジャズという言葉が指す音楽は、いまほど振り幅が広くなく、ヒップホップのビートを強調する生演奏といったイメージがあったが、実際見たライヴはむしろロック・バンドの印象に近かった。レイドバックするグルーヴよりも、前に前に繰り出す音の波動が、衝動的なエネルギーと同時に発散されていて、演奏する彼らもオーディエンスも同じようなフィーリングを交換し合っていた。終演後もバンド・メンバーは観客と写真を撮り合い、自分たちの写真をコラージュした手作り感満載のステッカーを手渡しで配っていた。
 数年が経ってリリースされた2016年のアルバム『IV』には、作り込まれた緻密な作風があり、ライヴのカジュアルな印象との違いに驚いたが、その後の大規模な世界ツアーの反響を見ると、彼らの演奏は大きな会場になっても以前のライヴと変わらないテンションを持っていることがわかった。そして、なぜここまで多くのアーティストが彼らとコラボレーションしてきたのか合点がいった。
 インタヴューでも答えてくれているが、ツアー中にウッドブロックを紛失してしまったことがあり、空になったウィスキーの瓶を用いた、「ジムビームのパーカッション」の演奏が盛り上がりメディアでも取り上げられていた。その曲はケイトラナダと作った “Lavender” だったのだが、この曲を聴いた筆者の子供たちが、手元にあった割り箸をとっさに掴み、思い思いにリズムを取りはじめたのには驚いた。この様子に、瓶を叩く彼らの姿が重なり同じ音楽を共有するというリアルな感覚を覚えたからだ。なるほど、彼らの音楽には、共に音を出したくなる魅力があるのだろう。今年 TikTok で大ヒットした “Time Move Slow” のリメイク動画も、同じような衝動から生まれたに違いない。BBNGの音楽がここまで広がりを見せるのは、音楽への衝動を引き出す力が、彼らの活動の中に備わっているからなのだと思う。
 さて、今回のニュー・リリースは、どんなメンバーがコラボレーションに加わっているのだろう。過去と現在を繋ぎ新たな文脈で自己を表現する、地域も時代性も異なるアーティストが集結している。ブラジルの伝説的なアレンジャー/プロデューサーのアルトゥール・ヴェロカイ、マンチェスター出身で現代のUKシーンを代表するプロデューサー、フローティング・ポインツ、アンビエント/ニューエイジの巨匠、ララージ、デトロイトのジャズとクラブ・ミュージックを体現するドラマー、カリーム・リギンス、そのデトロイトでハープをジャズに取り入れた先駆者、ドロシー・アシュビーを継承するブランディー・ヤンガー、Pファンクの真髄を知るLAのプロデューサー/サックス奏者、テラス・マーティン。さらに、UKからジョー・アモン・ジョーンズ、日本では Ovall といった世界中のミュージシャンが先行シングルをカヴァーし、このリリースは大きなプロジェクトへと発展しはじめている。
今回のインタヴューは、サックスやギターなど複数の楽器を操るマルチプレイヤー、リーランド・ウィッティが担当してくれた。非常に温和な対応が印象的だった。

メロディに関しては、歌えるようなメロディを作ろうと心がけているよ。歌えるようなら愛着も湧くし、記憶に残りやすいと思うから。その代わりテクスチャやサウンドをユニークなものにしたり、ハーモニーを少し複雑なものにしたりする。

少し前の話からはじめたいのですが、前作の『IV』の成功で世界を飛び回ってツアーをしてきたと思います。その中で印象的な経験を教えてください。

リーランド・ウィッティ(Leland Whitty、以下LW):そうだね、僕たちは確かにツアーで世界各地を回ることができた。その思い出はひとつひとつが特別なものだけど、特に印象に残っているのは、ホームのトロントにある Massey Hall という会場でやったギグ。レッドブルが主催のイベントで、たくさんの友人を誘って彼らと一緒に演奏することができて、弦楽部門も入れることができた。トロントを象徴する、とても美しい会場なんだ。僕たちは今までに Massey Hall で数多くの公演を見てきたから、自分たちがそこでギグをやるということは僕たち全員にとって特別なことだった。もうひとつ印象に残っているのは、サンパウロでアルトゥール・ヴェロカイの前座を務めたとき。彼のセットはオーケストラが入っていて、その最後の4曲で僕たちもジョインして、僕たちがいままでずっと大好きな曲として聴いてきた、アルトゥール・ヴェロカイの曲を、彼のオーケストラと一緒に演奏した。感激するほど素敵な体験だったよ。あの機会があったから、アルトゥール・ヴェロカイとの関係性を確立できたと思う。

この数多くの経験が『Talk Memory』にフィードバックされていると思いますが、曲作りからレコーディングまでのプロセスを教えてください。

LW:様々な場所でライヴをしてきたという経験は、今回のアルバムの大きなインスピレーションになっている。僕たちは、とても長い間、アルバム『IV』のツアーをしていたから、その期間に、アルバムの曲を進化させて、形を変化させていったり、即興演奏を長く取るようにしていった。そうしたことで、曲がさらに自由になっていったという実感があったから、それを今回のアルバムの音楽に反映させたかった。今回のアルバムの考え方としては、全てが前もって作曲され、練習されているということだった。レコーディングの2ヶ月前に曲が完成されていたものが多かったと思う。だから曲は、とても新鮮なもので、かつ、丹念に練習されていたから、レコーディングのプロセスはとても手短に、シームレスにおこなうことができた。自分たちがどういう演奏をして、何を成し遂げたいのかということが既に明確になっていて、自信もついていたからね。だからレコーディングのときは、ライヴでおこなう即興演奏のような感じはあまりなかったんだ。

でも今回のアルバムには即興された部分も収録されていますよね?

LW:その通り。全ての曲は、それぞれメロディ、ハーモニー、形の構成が全てでき上がっているんだけど、そこに大抵、ひとりかふたり分のソロを入れられる余白が残してあるから、そこで即興ができるようになっているんだ。元々の構成をしっかり作って、それに自信を感じられるようになっていたからこそ、即興をするというときに、より自由に演奏することができたと思う。

ツアーのインスピレーションと言えば、新録に収録されている “Open Channels” ではウッドブロックのリズムが印象的でしたが、もしかすると、ツアーでお馴染みになったジムビームのボトルパーカッションを使っていまか?(笑)

LW:ハハハ! アルバムでもそうすれば良かったね! 実際に使ったのは本物のウッドブロックだよ(笑)。“Lavender” という曲をライヴで演奏したときに、曲にはサックスのパートがないから、僕はパーカッションをやったんだけど、パーカッションが行方不明になっちゃったから、ジムビームのボトルをシンバルのスタンドにくっつけて、それを使ったんだ。

盛り上がっていましたよね。BBNGの曲を聴いていると、耳に残るメロディがあって、70年代のレコードと重なるようなときがありますが、過去のそれとは異なる何かが混じって新鮮な響きなり、それがBBNGの個性になっている気がします。曲作りではどんなことを意識していますか?

LW:感情に訴えかけるような音楽を作ろうという意識はある。メロディに関しては、僕たちそれぞれのアプローチがあると思うけれど、僕個人としては、歌えるようなメロディを作ろうと心がけているよ。メロディに関しては、知性に訴えるものである必要はないと思っていて、歌えるようなら愛着も湧くし、記憶に残りやすいと思うから、僕個人はそういう面を大切にしている。その代わりテクスチャやサウンドをユニークなものにしたり、ハーモニーを少し複雑なものにしたりする。それが君の言っていることかもしれないね。メロディを、より現代的で個性的なものへと昇華させる。それにしても、僕たちの音楽が古くて馴染みのある感じに聴こえるというのは嬉しいことだね(笑)

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僕たちはアルトゥール・ヴェロカイの大ファンだから、一切のディレクションをしなかったんだ(笑)。そしたら彼はアレンジの音楽を作曲して、スタジオを予約して、ミュージシャンを雇って、録音した音楽を僕たちに送ってくれた。それを聴いた僕たちは一瞬で圧倒されたよ。

新作について、話を移しますが、今作はBBNGの初期の作品の影響となったアーティストのオマージュとのことですが、まずその点についてお聞きしたいです。

LW:僕たちがアルトゥール・ヴェロカイを知ったのは、MFドゥームが彼をサンプリングしていたのがきっかけだった。だからこのふたつのコネクションは非常に強い影響だと思う。特にBBNGの初期の影響はジャズとヒップホップだからね。ジャズをサンプリングしたという影響も大きかったし、サンプリングという技術のおかげで、僕たちは、ブラジル音楽や、その他のジャンル──MFドゥームを発見していなかったから聴いていなかったかもしれないジャンル──の音楽という世界への扉が開けた。だからアルトゥール・ヴェロカイとMFドゥームからは強い影響を受けている。今作に関して言えば、僕個人としてはブラック・サバスやマハヴィシュヌ・オーケストラ、マイルス・デイヴィス、フローティング・ポインツなどもたくさん聴いていたよ。

他にもたくさんの共演者がいますが、過去の音楽を継承しながら自分の色を作っている現在のアーティストや、現在の音楽シーンで新たなイメージで活躍しているベテランがいて、地域も世代も幅広い人選になっていますね。

LW:人選についてはその通りだと思うね。実際に会ってレコーディングしたのは、テラス・マーティンカリーム・リギンスのふたりだけで、それは僕たちがロサンゼルスでこのアルバムをレコーディングしていて、彼らがロサンゼルスにいるアーティストたちだったという理由から。元々彼らとはツアーをしているときに知り合って、交友がはじまった。もちろんそのずっと前から彼らのことは知っていたけど、彼らのライヴを実際に聴いてから、より刺激を受けた。だからこのふたりと一緒にレコーディングできたのはラッキーなことだった。その後に、アルバムのメイントラックを全て撮り終えたんだけど、パンデミックが発生してしまったから、残りのゲストたちとのやりとりは全てEメールだったんだ。まあそれもあって、国や地域性を特に意識せずに、誰とコラボレーションしたいかということを自由に考えることができた。でもやっぱり、ゲストたちと仕事をするときは、同じ空間で一緒に音楽をやる方が断然いいよ。今回はララージブランディー・ヤンガー、そしてアルトゥール・ヴェロカイに自分たちの音楽を送ってという形になったけれど、彼らとコラボレーションできたのは素晴らしい体験だった。

ゲストとはそれぞれどんなやり方でレコーディングをしたのでしょうか? コンセプトやイメージを共有するために取った方法を教えてください。

LW:最初に(リモートで)コラボレーションしたのはアルトゥール・ヴェロカイだった。僕たちは当初からストリングスのアレンジを音楽に加えたいと思っていて、自分たちでアレンジをしようかと考えていたんだけど、誰かがアルトゥール・ヴェロカイに頼んでみようと提案したんだ。アルトゥール・ヴェロカイは非常に多作な人で、いまでも数多くのアーティストたちのプロジェクトを手掛けているにもかかわらず、僕たちのプロジェクトに関わることに対しても快諾してくれた。僕たちはアルトゥール・ヴェロカイの大ファンだから、彼に対して「あなたが手がけるものなら何でも、僕たちの音楽にぴったりとはまると思います」と言って一切のディレクションをしなかったんだ(笑)。そしたら彼はアレンジの音楽を作曲して、スタジオを予約して、ミュージシャンを雇って、録音した音楽を僕たちに送ってくれた。それを聴いた僕たちは一瞬で圧倒されたよ。
 その次に依頼したのはララージだったかな。僕たちはララージの音楽もずっと聴いてきていて、今回の “Unfolding” という曲に彼の美しいテクスチャを全体的に加えたら、素敵なアンビエントな曲になって、とても合うと思った。彼とはZoomで連絡を取り合っただけで、実際にはまだ会ったことがないんだ。ララージは自宅にスタジオのセットアップができていたから、そこで録音してもらった。
 ブランディー・ヤンガーも、彼女の自宅でレコーディングしてもらったんだけど、彼女は僕たちにいわゆる「贅沢な悩み」を与えてくれた。彼女は “Talk Meaning” の演奏を3テイク分、送ってくれたんだけど、3つともすごく素晴らしくて、ひとつずつが個性的なものだったから、選ぶのがすごく難しかったんだ。しかもそれが、アルバムを完成させてミックスへ送る直前の、パズルの最後のピースだったんだ。

アルトゥール・ヴェロカイに関しては何の指示もしなかったということですが、他のゲストたちとはコンセプトやイメージを共有したのでしょうか? それとも音楽をゲストに送るだけで後はゲストに任せるという感じでしょうか?

LW:ほとんどの場合、ゆるい感じの指示しかしない。例えば、ララージのときは、彼特有のドローンな感じを曲全体に纏わせてくれたらいいと思って、そういう漠然とした感じを伝えた。僕たちの指示がなくても、ララージは自分で選択した道を歩んで、最終的にあの仕上げ方をしていたと思うけれどね。ブランディーの演奏に関しては、ジャズで言う「コンピング」という、メロディーに合わせて伴奏する形式に近かった。ハープはとても美しい響きを持つ楽器だし、彼女の演奏も素晴らしいから、僕たちの漠然とした指示だけでも良いコラボレーションになった。“Unfolding” と “Talk Meaning” はどちらもオープンな曲というか、余白が十分に残された曲だったから、ララージもブランディーも自分たちが望むような演奏ができたと思う。

アーティストのたまごのような人たちにとって、他の人たちとアイデアを共有したり話し合ったりすることのできるコミュニティがあるということは、お互いの成長を助けるという意味でとても大切だと思う。

前作は自分たちのスタジオでのレコーディングで、今回はLAのヴァレンタイン・スタジオでの録音ですが、どんな違いがありましたか?

LW:前作『IV』は自分たちのスタジオでレコーディングしたから時間的な余裕があった。前作も今作もテープに録音されたものなんだけど、テープ録音をするときは、ある特定の姿勢でその録音方法に取り組まないといけないんだ。だけど、前作は時間的な余裕があったから、細かいことを気にして直したり、セッティングを変えたり、完璧なシンセのトーンを見つけようとしたりして、時間を贅沢に使っていた。僕はオーバーダブを何度もやって、自分のパートや演奏に対して過剰に批判的になって、完璧なものが撮れるまで録音を延々とおこなっていた。でも、LAのヴァレンタイン・スタジオでレコーディングしたときは、状況は全く違うものだった。主な理由としては、スタジオ・エンジニアのニックがものすごく早いペースで仕事をする人で、僕たちがどんな提案や難題を彼に投げても、つねにレコーディングする準備ができているというタイプの人だったからなんだ。だからニックはバンドのもうひとりのメンバーみたいな感じだったよ。さっきも話したように、今回のアルバムでは、曲を事前にしっかりと練習していたから、自分たちがやりたいことが明確になっていた。だから今回のレコーディングの方が、前回よりもずっと少ないテイク数で終了した。通常なら、僕たち全員が満足するものが撮れるまで何度もレコーディングするんだけど、今回は全ての曲が4テイク以下で済んだ。

前回のように、レコーディング機材のセッティングは頻繁に変えて工夫しながら録ったのですか?

LW:セッティングは少し変えたけれど、全ては僕たちがアクセスしやすいようにセッティングされていた。機材に関しては、ヴァレンタインは60年代に作られたスタジオだから、そこにあった機材の多くは、僕たちが最も好きな60年代という時代からのものなんだ。そういう機材に囲まれてレコーディングできたのもアルバムに影響を与えたと思うよ。保存状態が完璧なヴィンテージのマイクや、美しいミキシング・コンソールや外付け型のプレアンプやイコライザーなどは、アルバムのプロダクションに大きな影響を与えたと思う。楽器に関しては、僕たちはトロントからLAに行ったから、必要最低限のものしか持っていかなかった。僕はサックスとフルートを持っていき、チェスターはベースを持っていき、アレックスはシンバルを持っていったけれど、それ以外のものは全てスタジオに完備してあった。ギターやアンプなど素晴らしいコレクションが備わっていたよ。僕がいままでに触ったピアノや聴いたピアノの中で最も美しい音を出すスタインウェイのグランド・ピアノもあったし、フェンダーローズもあった。そういう素晴らしい楽器がたくさんあったから、実際に自分たちでそういう楽器を弾いてみると、とても良い刺激になった。

いまの時代は技術革新が進んでいるから、スマートフォンやノートパソコンを使える人なら誰でも、良い作品を作ることが可能だと思う。でも僕は音楽というものは、それ以上に、コラボレーションが基盤となっている活動だと思っている。様々な人たちと様々な環境で一緒に仕事をしていくという技術を身につけることは非常に重要なことだと思うから、それが将来、不要なものとしてなくならないことを願うよ。

全体の音質作りに関して参考にした作品はありますか?

LW:今回のアルバムのプロダクションや音質作りに関しては、ディアンジェロを参考にした部分があった。だからアルバムをディアンジェロのアルバム『Voodoo』を手掛けたラッセルに仕上げてもらったことはとても重要な意味合いがあった。それから、ブラック・サバスやマハヴィシュヌ・オーケストラ、ジミ・ヘンドリクスといったもう少しヘヴィーな音楽も参考にしたし、ルディ・ヴァン・ゲルダーが手掛けた昔のジャズ、例えばコルトレーンやウェイン・ショーターなどによる素晴らしい音響のレコードも参考にした。プロダクションやアレンジメントやテクスチャや即興に関しては、アルトゥール・ヴェロカイのレコードを今回も参考にしているよ。

ラッセル・エレヴァードはこの新作にどのように関わっていますか?

LW:彼は素晴らしい音楽をたくさん手掛けてきたレジェンドだ。そんな人と一緒に仕事ができたということ自体が光栄で素晴らしい経験だった。彼とスタジオに入って、彼の作業を実際に見ることができたら最高だったんだけど、パンデミックの影響で残念ながら、彼と実際に会って仕事をすることはできなかった。アルトゥール・ヴェロカイとララージとブランディー・ヤンガーがオーバーダブをしたパートはデジタルでレコーディングされたんだけど、それ以外の僕たちのパートは全てアナログでレコーディングされたものだった。それをラッセルに送ることによって、ラッセルはそのプロセスを引き継いでくれた。彼はミキシングのときはプラグインを一切使わないし、素晴らしいアナログ処理の機材を所有している。彼は僕たちの素材を全て上手にまとめ合わせてくれて、温かみのある層を加えてくれた。それにミキシング・エンジニアとしての絶妙さというのにも長けていて、アルバム全体にかけて、テクスチャやトーンのニュアンスを絶妙に調節してくれた。曲を書いて演奏した僕たちでさえあまり気づかない箇所も彼は微妙な処理をしてくれて、音楽全体を素晴らしいものに仕上げてくれた。

ところで、新作から逸れますが、初期の活動場は、アレックスのお父さんが持っていて提供してくれた地下室だったり、チェスターのお父さんがあなたたちの好きなヤマハ・シンセサイザーの CS-60 を探し回って見つけてくれたりと、ファミリーの応援が垣間見られるエピソードを記事で読みました。家族やコミュニティとの関わりもBBNGの活動の重要な点だと感じますが、あなたたちが家族やコミュニティとどのように関わり合ってきたのか教えてください。

LW:そうだね、家族は僕たちにとってものすごく重要な存在だ。アレックスの父親のビルは、昔からバンドのいちばんの支援者だった。ビルはいつも僕たちのことをライヴ会場まで車で連れていってくれたんだ。ライヴのときは、機材を車に積んだり、降ろしたり、会場内へ運んだりしないといけないから、彼のサポートは本当に心強かったよ。最近はパンデミックの影響であまりバンドの家族と会うことができなくなってしまったけれどね。僕の両親はカナダにいるんだけれど、かなり遠く離れているから、ここ2年くらい会っていないんだ。でも今度トロントにまた引っ越してくるからもうすぐ会える。僕の両親も僕の音楽活動をずっとサポートしてくれているよ。コミュニティに関しては、アーティストのたまごのような人たちにとって、他の人たちとアイデアを共有したり話し合ったりすることのできるコミュニティがあるということは、お互いの成長を助けるという意味でとても大切だと思う。ただそれも最近のパンデミックのせいで、ライヴが開催されなくなってしまったから、友人に会う機会も減ってしまったし、友人のアーティスト活動をサポートするのも難しくなってしまった。でも、通常の状況においては、そういうコミュニティ内でサポートをし合って、成長していくということが僕にとってはとても大切なことだったね。

最後に、これからの音楽シーンに関して思うことを教えてください。

LW:いまの時代は技術革新が進んでいるから、スマートフォンやノートパソコンを使える人なら誰でも、良い作品を作ることが可能だと思う。それはすごいことだと思うし、多くの人にそのアクセスがあるということは良いことだと思う。でも僕は音楽というものは、それ以上に、コラボレーションが基盤となっている活動だと思っている。様々な人たちと様々な環境で一緒に仕事をしていくという技術を身につけることは非常に重要なことだと思うから、それが将来、不要なものとしてなくならないことを願うよ。人と一緒に音楽をやることの良い点というのは、コミュニティが育まれ、広がっていくということ。そのコミュニティが、個人やアーティストとして成長できる場になるし、活躍する機会も増えて行くと思う。お互いの成長や発展をサポートし合っているコミュニティに多く広く所属している方が、成功する機会も増えていくと思うんだ。音楽業界で成功するのは難しいことだと思うけど、人と関わっていく技術や、コミュニティを大切にするということは成功する上でとても役に立つと思うよ。

Bonobo - ele-king

 ジャンルとしてのダウンテンポがある。90年代初頭に生まれたクラブ・ミュージックのサブジャンルで、スロー・テンポ(90bpmほど)のビートと雰囲気のあるメロディアスな上物、そして折衷的な構造に特徴を持ち、トリップホップからチルウェイヴ、ヴェイパーウェイヴなんかもそれに該当するものがあったりする。日本ではサイレント・ポエツが有名だが、欧州にはたくさんのダウンテンポ作家がいて、UKのボノブはその代表格のひとり。2017年の『マイグレーション』はダウンテンポの高みにある作品で、全英チャートでトップ5入り、米ビルボードのダンス・アルバム・チャートでは1位を記録した。
 このたび、このダウンテンポの真打ちが、5年ぶりとなる待望の最新作『Fragments』を年明けの2022年1月14日にリリースすることを発表した。
 合わせて新曲“Rosewood”のMVも公開。
 
Bonobo - Rosewood

https://bonobo.lnk.to/fragments/youtube

 最新アルバム『Fragments』には、シカゴ発の新世代R&Bシンガー、ジャミーラ・ウッズ、88risingの日系R&Bシンガー、Joji(ジョージ)、ジョーダン・ラカイ、LAのシンガー‏/マルチインストゥルメンタリスト、カディア・ボネイなどのゲストがフィーチャーされている。
 また、新曲“Rosewood”を聴いても察することができるように、『Fragments』はなんでもダンス寄りの内容らしい。数曲のバラードもあるようだが、アルバム全体としてはダンスフロアに向けて作られているという。ボノボいわく「自分がどれほど、満杯のオーディエンスとその律動、互いにつながっている人々が大好きだったか、何度も思いだした」
 ってことは、ダウテンポを極めた達人の新たなる挑戦になるのだろうか……

 なお、『Fragments』は2022年1月14日 (金)にCD、数量限定のCD+Tシャツセット(ニール・クラッグが手がけたアートワークを採用)、LP、デジタルでリリース。国内盤CDには解説が封入され、ボーナストラック「Landforms」が収録。また、Oカード付きのamazon限定CDも発売予定。LPはブラック・ヴァイナルの通常盤、レッド・マーブル・ヴァイナルの限定盤、特殊パッケージにアートプリントが封入されたクリスタル・クリア・ヴァイナルのデラックス盤、限られたお店だけで手にはいるゴールド・ヴァイナルのストア限定盤で発売。さらに、レッド・マーブル・ヴァイナルの限定盤は数量限定でサイン入りの発売も予定されている。



Bonobo
Fragments

Ninja Tune / Beat Records
release: 2022/01/14

https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=12132
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=12133

tracklist:
国内盤CD
1. Polyghost (feat. Miguel Atwood-Ferguson)
2. Shadows (feat. Jordan Rakei)
3. Rosewood
4. Otomo (feat. O’Flynn)
5. Tides (feat. Jamila Woods)
6. Elysian
7. Closer
8. Age of Phase
9. From You (feat. Joji)
10. Counterpart
11. Sapien
12. Day by Day (feat. Kadhja Bonet)
13. Landforms (Bonus Track)

CAN - ele-king

 〈ミュート〉からCANのライヴ・シリーズ第二弾の詳細が発表された。今回の音源は1975年のイギリスのブライトンでのライヴから。『ライヴ・イン・ブライトン 1975』(LIVE IN BRIGHTON 1975)として、12月3日にCD2枚組のフォーマットで発売される。
 レーベルによるとアルバムには、ミヒャエル・カローリのヴォーカルがあり、ヤキ・リーベツァイトの信じがたいドラムがあり、彼らのヒット曲“Vitamin C”のジャム・セッションがあるそうだ。現代だから可能になったライヴ盤。楽しみに待ちましょう。

 


 
CAN
LIVE IN BRIGHTON 1975

2021年12月3日発売
解説: 松村正人 / 海外ライナーノーツ訳

Tracklist
[CD-1]
1. Brighton 75 Eins
2. Brighton 75 Zwei
3. Brighton 75 Drei
4. Brighton 75 Vier
[CD-2]
1. Brighton 75 Fünf
2. Brighton 75 Sechs
3. Brighton 75 Sieben

Radiohead - ele-king

 本日10月2日は『Kid A』リリース21周年。ということで、11月5日に発売を控える話題のリイシュー盤『Kid A Mnesia』の、高音質ライヴ上映会の開催がアナウンスされている。
 発売日の前日に当たる11月4日、東京のヒューマントラストシネマ渋谷、大阪のシネリーブル梅田の2館で開催。完全招待制とのことで、詳しくは下記を。

RADIOHEAD
今日は何の日?

世紀の名盤『Kid A』発売21周年!!
話題の再発盤『Kid A Mnesia』リリースを記念して
東京/大阪の超高音質映画館でライヴ上映イベント開催決定!!

レディオヘッド4thアルバムにして “音楽史における20世紀最後の名盤” とも謳われる『Kid A』が本日10月2日に発売21周年を迎えた。

来月11月5日には『Kid A』とその双子作品である『Amnesiac』の発売20/21周年を記念して、未発表/レア音源を追加したひとつの3枚組作品『Kid A Mnesia』のリリースが控える中、発売日前日の11月4日に東京はヒューマントラストシネマ渋谷、大阪はシネリーブル梅田の映画館2館でライヴ上映イベント(無料/完全招待制)が開催されることが決定。本日よりBEATINKのTwitterにて参加者の募集が開始。当選した来場者には当日非売品ポスターがプレゼントされる。

なお、ヒューマントラスト渋谷およびシネリーブル梅田に導入されている音響システム「odessa」は、映画の魅力を最大限引き出すため専用に開発されたカスタムメイドのスピーカーシステム。音の輪郭はもちろんのこと、音の余韻・消え際まで繊細に再現できるのが特徴となる。映画館の音を最適に調整するプロ集団ジーベックス協力のもと、今回の条件下でレディオヘッドのライヴが映画館上映されるのは世界初となっており、ファン必見のイベントとなっている。

[イベント内容]
RADIOHEADライヴ上映会
○日時
2021年11月4日(木)*スタート時間は会場によって異なる
○場所
・東京:ヒューマントラストシネマ渋谷
〒150-0002東京都渋谷区渋谷1-23-16 cocotiビル 8F
*上映開始時間は決定次第ご案内

・大阪:シネ・リーブル梅田
〒531-6003 大阪府大阪市北区大淀中1丁目1-88 梅田スカイビルタワー イースト 3F・4F
*上映開始時間は決定次第ご案内

○上映内容
未定

○応募方法
BEATINKのTwitterアカウントの該当ツイートにて募集
https://twitter.com/beatink_jp?s=21

11【注意事項】
※ご来場の際は、当館にて行われているマスク着用をはじめとした新型コロナウイルス感染症予防対策へのご協力をお願いいたします。
ご協力いただけない場合には、ご鑑賞をお断りさせていただく場合がございます。
※当館の『新型コロナウイルス感染予防の取り組み』については下記URLをご覧ください
https://ttcg.jp/topics/2020/05201300_10996.html

※新型コロナウイルス感染拡大の状況によって、開催日時を変更させていただく場合がございます。予めご了承ください。

※イベント内容は、予告なく変更または中止になる場合がございますので、予めご了承ください。

■その他、混雑状況など詳細につきましては、劇場までお問い合わせ下さい
ヒューマントラストシネマ渋谷 TEL:03-5468-5551
シネリーブル梅田 TEL:06-6440-5930

HTC渋谷
https://ttcg.jp/human_shibuya/topics/2021/07272157_13653.html  

CL梅田
https://ttcg.jp/cinelibre_umeda/topics/2021/03121449_13989.html

label: XL Recordings / Beat Records
artist: RADIOHEAD
title: KID A MNESIA
release date: 2021.11.05 FRI ON SALE


国内盤3CD:
XL1166CDJP ¥3,500+税(税込 ¥3,850)
[国内盤特典]歌詞対訳・解説付/ボーナス・トラック5曲収録
高音質UHQCD仕様

輸入盤3CD:XL1166CD
限定盤3LP(レッド・ヴァイナル):XL1166LPE
通常盤3LP(ブラック・ヴァイナル):XL1166LP

日本盤3CD+Tシャツ:
XL1166CDJPT1(日本盤3CD+Tシャツ)*サイズS-XL ¥7,500+税

限定レッド・ヴァイナル+Tシャツ:
XL1166LPET1(限定レッド・ヴァイナル+Tシャツ)*サイズ S-XL ¥11,250+税

BEATINK.COM
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=12094

Seimei - ele-king

 東京を拠点に精力的に活動をつづけるコレクティヴ/レーベルの〈TREKKIE TRAX〉。この夏は仮想空間サーヴィスの VRChat 内でワールド・ツアーを敢行したことも話題になった彼らだが、旗揚げからの中核メンバーである Seimei がなんと、キャリア初のソロ・アルバムをリリースする。
 タイトルは『A Diary From The Crossing』、レーベルはカナダの〈WET TRAX〉で、本日10月1日発売。パンデミック下で書き溜められたトラック9曲が収録され、オールドスクールなテクノやハウスなど4つ打ちがメインの内容になっている。10月24日にはリリース・パーティも開催予定。
 ちなみに、10月29日発売の『ele-king臨時増刊号 仮想空間への招待──メタヴァース入門』では Seimei(&futatsuki)のインタヴューを掲載しています。ぜひそちらもチェックを。

Seimeiがキャリア初の1stテクノアルバム「A Diary From The Crossing (ア・ダイアリー・フロム・ザ・クロッシング)」をカナダのWET TRAXからリリース!

東京を拠点に活動するレーベルTREKKIE TRAXを主宰する傍ら、DJ/トラックメーカーとして日本のみならず、これまでアメリカや中国、韓国など世界各国でDJを行い、自身のレーベルナイトのオーガナイズや、OUTLOOK FESTIVAL JAPAN LAUNCH PARTY、EDC Japan等のフェスに出演してきた『Seimei (セイメイ)』。block.fmでのTREKKIE TRAX RADIOやイギリスのGilles Petersonがスタートしたラジオステーション、Worldwide FMでのマンスリープログラムのホストを務め、さらに直近のニュースではロンドンのラジオ局Rinse FMのBen UFOがホストを務めるプログラムにゲストミックスの提供も行ったそんな彼が、2021年10月1日(金)満を辞してデビューアルバム『A Diary From The Crossing (ア・ダイアリー・フロム・ザ・クロッシング)』を自身のレーベルではなくカナダの『WET TRAX (ウェット・トラックス)』からリリースした。

Nina KravizやEllen Allienといった著名なDJも楽曲をサポートするWET TRAXとSeimeiの交流は、Seimeiが書くマンスリーチャート内で同レーベルの看板アーティストであるdj genderfluidの楽曲をレビューしたことから始まった。コロナ禍でDJのブッキングが次々とキャンセルされる中、作りためていたというDJユースなテクノトラックをWET TRAXのA&Rにデモとして送ったところ、アルバムリリースを提案され、今回のリリースへと繋がった。

タイトル通り、コロナ禍における社会の閉塞感を打開したいというアーティストの気持ちが込められた『Don’t Bend My Life (ドント・ベンド・マイ・ライフ)』や、本人に多大な影響を与えたというデトロイトテクノのシンセワークを彷彿とさせる『Kaleidoscope (カレイドスコープ)』、SeimeiのDJスタイルにも通ずるエモーショナルかつトランシーなハードテクノの『Log In Log Out (ログイン・ログアウト)』、『Another Dimension (アナザー・ディメンション)』など、今年始めのロックダウン中に彼が感じ取った想いや情緒が反映されたアルバムとなっている。また、シカゴゲットーテックの要素を含んだミニマルトラック『Clap Your 808 (クラップ・ユア・エイト・オー・エイト)』や硬いヨーロピアンテクノを思い起こさせるアシッドチューン『HABK (エイチ・エー・ビー・ケー)』など、オールドスクールなハードテクノやハードハウス、そしてアップリフティング・トランスに影響を受けた四つ打ちダンストラックが9曲収録されている。

10月24日には、レーベル公認のアルバムリリースパーティーをCarpainterと主催するハードテクノパーティー『Lost Memories (ロスト・メモリーズ)』の第二回を兼ねて『渋谷Another Dimension (アナザー・ディメンション)』にて開催されるのでこちらも要チェックだ。

Seimeiからのリリースコメント

このアルバムは、2021年頭に宣言された緊急事態宣言とそれに伴うロックダウン中に作られました。タイトルにもある通り、渋谷近くの自宅でコツコツ日記的に作った曲をコンパイルしています。そもそもSeimei名義でテクノをリリースするのが初めてでリリースしてくれるレーベルがなかなか見つからなかったんですが、WET TRAXという素晴らしいレーベルがサポートしてくれることになり、本当に感謝です。閉塞感にまみれた昨今ですが、ぜひ楽しんで聴いて下されば幸いです。

interview with Jordan Rakei - ele-king

すでにハッピーな人をもっとハッピーにすることができる、そう信じているんだ。セラピーは何も、鬱や、PTSDといったものの治療ばかりとは限らない。あれは実は、この世界をもっとより客観的に眺めるのを助けてくれる、アメイジングな道具なんだよ。

 これまで3枚のアルバムをリリースし、新世代のシンガー・ソングライターとしてのポジションを確立させたジョーダン・ラカイ。もともとニュージーランド出身で、オーストラリアで活動基盤を築いた後にロンドンへ渡り、そこでトム・ミッシュロイル・カーナーアルファ・ミストリチャード・スペイヴンといった面々とコラボし、さらなる成功を収めていく。さらにはアメリカのコモンとも共演するなどワールドワイドに活躍の場を広げているジョーダンだが、そうした活動の華々しさに対して音楽そのものには非常に繊細で内省的な面がある。セカンド・アルバムの『ウォールフラワー』(2017年)がそうした一枚で、ネオ・ソウルの新星と持てはやされたファースト・アルバムの『クローク』(2016年)とは違う世界を見せてくれた。「AIシステムに立ち向かう人間の未来」を描いたサード・アルバムの『オリジン』(2019年)では、テクノロジーやネット社会が進化したゆえのディストピアへの警鐘を鳴らし、一方でディスコやAORテイストのダンサブルなサウンドも目立っていた。

 3枚のアルバムでそれぞれ異なる世界や音楽性を披露してきたジョーダンだが、ニュー・アルバムの『ワット・ウィ・コール・ライフ』もまた、いままでとは違う作品となっている。録音スタイルで見ると、いままではひとりでスタジオに入ってトラック制作をすることが多かったのだが、今作はすべてバンドとリハーサルしながら曲作りをおこなっている。そして、歌詞の世界を見ると実体験に基づくパーソナルな作品が多く、より深みとリアリティを増したものとなっている。結果として『ウォールフラワー』のように内省的でアコースティックな質感の楽曲が多いのだが、そこにはセラピーによって自己の振り返りをおこなったこと、ブラック・ライヴズ・マター運動を通じて自身のルーツに思いを馳せたこと、そしてコロナ禍での生活など、さまざまな経験が『ワット・ウィ・コール・ライフ』を作っている。音楽家としてはもちろん、ひとりの人間としてのジョーダン・ラカイの成長が『ワット・ウィ・コール・ライフ』にはあるのだ。

振り返ってみると、実は非常に多くのアドヴァンテージを与えられてきたじゃないか、と。単に自分の肌の色、そして自分のジェンダーのおかげでね。自分の特権を理解することを通じて、格差をもっと縮めようとし、できるだけ誰にとっても平等なフィールドをもたらしたい。

今日は、お時間いただきありがとうございます。

ジョーダン・ラカイ(Jordan Rakei、以下JR):いやいや、こちらこそ、取材してくれてありがとう!

いまはどんな感じですか?

JR:うん、アルバムが出たところでハッピーだし、エネルギーの波に乗ってる感じ(笑)。エキサイトしていて、アルバム・リリースのドーパミンが出てるよ。フフフフッ!

(笑)。近年のあなたを振り返ると、2019年にリリースしたサード・アルバムの『オリジン』のリリース後、日本公演も含むワールド・ツアーやアメリカの公共ラジオNPRがおこなうライヴ企画「タイニー・デスク・コンサート」への出演、『オリジン』を絶賛したコモンとの共演、別名義のハウス・プロジェクトであるダン・カイによるアルバム『スモール・モーメンツ』のリリース、コンピ・シリーズの『レイト・ナイト・テールズ』や〈ブルーノート〉のカヴァー・プロジェクトである『ブルーノート・リ:イマジンド 2020』への参加など、忙しい活動が続いていました。

JR:うんうん。

そうした中でコロナ禍があり、以前とは日常生活や社会、そして音楽業界も変化してきていると思います。あなた自身や周りではいろいろ変化はありましたか?

JR:いい質問だね。うん、あれで僕は……コロナが(昨年春)ロンドンに広まったとき、あそこから確か、僕たちは4ヶ月近くロックダウン状態に入ったんだ。で、あの状況のおかげで僕は、自分に音楽があるってことをありがたく思うようになったね。音楽は僕にとってホビーであり、と同時に自分のキャリアでもある。もちろん、自分の家にこもってばかりいたから、ロックダウン期はやっぱりとても退屈ではあったんだ。ただ、僕はアルバムを作っていたし、サイド・プロジェクトとしてダン・カイ名義で『スモール・モーメンツ』を作ったり。だからあのロックダウン期間中の多くを、自己投資する時間を見出しながら過ごしていた、というのかな? これがパンデミック状況じゃなかったら、僕は大抵他の人びとの作品をプロデュースしたり、ツアーをやったり、他のアーティストのために曲を書いて過ごしているわけで、今回はほんと、自分自身にフォーカスできる滅多にない機会だった、みたいな。だからなんだ(笑)、ここしばらくとても生産的だったのは! コンピレーションをまとめることもできたし、〈ブルーノート〉のプロジェクトにも参加でき、『スモール・モーメンツ』に今回のアルバム、と。うん、ほんと創作にいそしんでいたなぁ自分、みたいな(笑)。そんなわけで音楽的な面で言えば、自分のために時間を割くことができるようになったのは本当に良かったし、一方でパーソナルな面では、些細なことにもっと感謝するようになった。たとえば友人に会う機会を以前より大事に思うようになったし、それだとかディナーで外食に出かけることとか。外食はいままで別に大したことないと思っていたんだけど、ロックダウン中はそうした機会はすべて僕たちから取り去られてしまったわけで。だからいまの自分は、人生全般に対してもっとありがたさを感じるようになった。

ニュー・アルバムの『ワット・ウィ・コール・ライフ』は、そうしたコロナ禍によって変わってしまった世界と結びつく部分はありますか?

JR:ああ、そうなんだろうね。今回のアルバムの響きには、もうちょっとこう、静観的というのか、内省的な要素がある。自分に言わせればよりダークというか、かなり楽しくダンスフロア向けだった『オリジン』に較べて、もう少しエモーショナルかつダークなんだよ。だから、そうした面は部分的にインパクトを受けたと思う。けれども、実際に僕がこのアルバムを作っていた間は、僕のスピリットそのものはかなりポジティヴだったんだ。先ほども話したように、ロックダウン中は時間をすべて自分のために使えたわけだし、アルバムを作ることに対して相当エキサイトしてもいた。だから、やや入り混じっているというのかな、アルバムには明るくポジティヴな面もあるし、一方でかなりダークな部分もある。僕自身としてはかなり良いミックスになったと思ってるよ。

『オリジン』のテーマには「AIシステムに立ち向かう人間の未来」があり、テクノロジーやネット社会が進化したがゆえのディストピアを描いていましたが、『ワット・ウィ・コール・ライフ』におけるテーマは何でしょうか?

JR:主たるテーマと言えば、心理セラピーを受けに行き、そこで自分が学んだ教訓すべて、だったね。自分の子供時代について、結婚したこと、オーストラリアからロンドンへの移住、自分の両親、そして兄弟との関係についてなどなど、セラピーを通じて学んだ教訓のすべて。というわけで基本的にアルバムの全体的なストーリーは僕が自分自身について学んだことだし、それらを聴き手とシェアしようとしている。だから歌詞の面での表現も、いわゆる内面で観念化したものより、もっとずっとパーソナルになっているっていう。

具体的にどのようなセラピーだったのですか? いわゆる「セラピストのもとに通い、寝椅子に横たわって過去を語る」というもの?

JR:(笑)その通り。そもそもは実験として、面白そうだからやってみよう、ということだったんだ。というのも、セラピーを受けた当時の自分はかなりハッピーな状態だったし、とにかくセラピストがどんなことをやるのか興味があった。自分はそういったことに詳しくなかったから、実際はどんなものなんだろう? と。そんなわけで、とてもオープン・マインドかつハッピーな状態でセラピーを受けにいったところ、セラピストの女性からあれこれ質問されていくうちに、この(苦笑)、自分の心の内側にフタをしてあった邪悪な部分みたいなものをいろいろ明かしている自分に気がついた、というか。

へえ、そうなんですか!

JR:うん、かなり驚異的な体験だった。セラピーの過程をナビゲートしていくのを手伝ってくれる、いわば第三者的な存在の人と一緒に自分自身の人生を振り返る、という行為は。そうだな、おかげで自分の子供時代にも戻ることになったし、学校で起こった様々な出来事だとか、もっと小さかった頃の兄弟との思い出なども出てきて……あれはかなりいろんなことを明かしてくれる体験だったし、僕はセラピーをみんなに勧めているんだ。そうは言っても、中には自らの過去に改めて深く潜っていくのがとても難しい、と感じる人も確実にいるだろうし、無理にではないよ。ただ、いま現在の自分を人間として理解するのに、セラピーは非常に役に立つと思う。

でも、あなたはセラピーを受けるには若過ぎじゃないかと思うんですが(笑)?

JR:ハハハハハッ!

実験や興味半分でやってみたとはいえ、普通セラピーと言えば、メンタル面で問題があるとか、「中年の危機」に際して受けるものではないかと?

JR:フフフッ! それは、僕がいわゆる「ポジティヴ・サイコロジー」というコンセプトを信じている、というところから来ている。どういうことかと言えば、メンタル・ヘルスの療法や心理学で用いられるツールを使い、悲しい状態からノーマルな状態に持っていくのではなく、通常の状態からハッピーな状態へ、そしてハッピーな状態からさらにハッピーな状態に人間を導いていく、というもので。だから僕はセラピーを利用することで、すでにハッピーな人をもっとハッピーにすることができる、そう信じているんだ。セラピーは何も、鬱や、PTSDといったものの治療ばかりとは限らない。あれは実は、この世界をもっとより客観的に眺めるのを助けてくれる、アメイジングな道具なんだよ。

そうやってセラピーを通じて子供の頃のこと、両親や兄弟との関係、ロンドンに移住して自立したこと、結婚生活について、両親の夫婦関係と自身の夫婦関係との比較や理解など、いろいろなことに考えを巡らせました。また、幼い頃からの鳥恐怖症や――

JR:うん、フフフッ!(苦笑)

その根源となる予測不可能なものに対する恐怖など、自身の内面にあった疑問がいろいろわかってきたと聞きます。恐れは克服できました?

JR:(うなずきながら)あれはおかしな話でね。僕のこれまでの人生ずっと、鳥は恐れる対象だった、みたいな。バカげた、根拠のない恐怖なんだよ。自分では説明がつくんだけど、ただ、いまだに鳥はおっかない。ほんとバカらしいよね、でも、なんとか克服しようとがんばっているところだよ。でまあ、僕が気づいたのは、鳥は……僕のいろんな恐れの中心めいた対象だったんだけど、いまやそれを、予測のつかないものに対して抱く恐れを象徴するものとして捉えている、みたいな? 僕はルーティンを守ったり、前もって計画を立てるのがかなり好きな方だし、けれどもたとえば、誰かに立ち向かうといった予測不可能な事柄、知らない人に面と向かうのは本当に怖い。それだとか社交面で感じる不安もあって、他の人びとと接して社交する状況にもビビる。そういったものはどうなるか予測できないし、何につけても、予測不可能なものには苦戦してしまうんだね。というのも……そうだなぁ、自分の中に何らかの反応が引き起こされてしまう、というか? セラピーに通って気づいたことのひとつも、僕はそういう体験には困難を感じるってことだったね。

ライヴ・パフォーマンスの場ではどうなんでしょう? あれも見知らぬ人が多く集まる、ある意味予測不可能な状況だと思うんですが。

JR:(笑)確かに。ただ、ライヴは対処できるんだ。おもしろいことに、僕はアガることがまったくなくてね。ステージに上がるのが怖いってことは一切ない。どうしてかと言えば、自分は本当にしっかり練習してきたし、リハーサルもよくやって、観客に向けて自分がどんなことをやりたいかきちっと把握している、という感覚があるからで。それに大抵は、観客もこちらのやることに拍手を送ってくれるわけで(笑)。ある意味、観客が喝采してくれ、僕が何か語りかけるとみんなが笑いを返してくれる、というのはある程度は予想可能だし、その状況を自分も理解している、と。とは言っても、(単独公演ではなく)フェスティヴァルでプレイするのは少し勝手が違って、状況を予測するのがやや難しくなるね。お客さんも僕が何者か知らないし、だからフェス出演では普段より少しだけナーヴァスになる。うん、それは自然な成り行きだし……とは言っても、基本的に僕はステージではアガらない。

そうしたセラピーによって音楽制作も影響されるところは大きかったのでしょうか?

JR:ああ、確実に作詞面では影響された。どの曲も、歌詞に関してはあのセラピー体験について、みたいなものだから。ただし音楽面で言えば、「たぶんそうじゃないか」ってところかな……? たぶん影響されたんだろうな、僕はあのムードにマッチするような音のパレットを作り出そうとしていたわけだし。そうしたムードの多くは生々しくエモーショナル、かつアトモスフェリックなものだったし、僕はあれらのストーリーを運び伝える詩的な媒体を与えたかった。そうだね、セラピーは僕に、歌詞そして音楽の両面で大きく影響したと思う。

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自分の傷つきやすさを捨てて、誰かに対してやっとオープンになれた自分についての歌だし……それはほんと、メタファーを使って書けることではない。

昨今の社会情勢が『ワット・ウィ・コール・ライフ』にも反映されていて、たとえば“クラウズ”はブラック・ライヴズ・マター運動に触発された曲です。あなたのルーツを辿ると、父親はクック諸島のマオリ族出身で、母親はニュージーランドの白人という混血ですが、肌は白かったので白人としての扱い、いわゆる「ホワイト・プリヴィレッジ」を受けてきた。で、オーストラリアという白人が大半の国で育ち、その後イギリスへ渡った。BLM運動によってそれまであまり気にしてこなかった自身の肌の色やルーツを見つめ直し、それによって受けてきた経験に思いを馳せて書いたのが“クラウズ”というわけです。改めてこの曲にこめたメッセージについて教えてください。

JR:うん、いま言われたことは基本的にあの曲をよく要約してくれている。ただ、あの曲で僕が話しているのは……まず、自分は人種が混じっていると自覚した、というのがあって。だから、これまで成長してきた間に、人種が混じっているということすら忘れてしまっていたんだよね、というのも僕の肌の色はご覧の通り白人のそれなわけで。で、ああした(BLM運動の)様々なことが起きていた中で考えていたんだ、「ああ、自分の父親の肌の色がブラウンだったことをすっかり忘れてたな!」と。父親はニュージーランド、そしてオーストラリアで暮らしてきた人生の間ずっと、ああした経験に対処してきたに違いないし、でも僕はそれについて彼と話し合ったことがなかった。彼がこうむったかもしれない人種差別に、僕はちゃんと共感したことがなかった、というか。で、先ほど言われたような自分が受けてきた特別扱い、純粋に自分の肌の色ゆえに与えられた特権について僕も考えさせられたし、白人の多い国オーストラリアで育ったことについて考え、また現在もロンドンのような場所で暮らしているし──ロンドンはもちろん多文化社会とはいえ、やはり白人が多いわけで。だから僕はとにかく、「ちょっと待てよ」と思った。というのも、僕はこれまでずっと一所懸命働いてきたし、自分が成功できたのはその努力の賜物だよ。ところがそんな自分のこれまでを振り返ってみると、実は非常に多くのアドヴァンテージを与えられてきたじゃないか、と。単に自分の肌の色、そして自分のジェンダーのおかげでね。白人の男性であるおかげで自分は成功を収めることができたというか、ハード・ワークに由来するものではなく、自分は最初の段階から得をしてきたんだな、と。で、あの曲は一種、そこから来る自分の罪悪感というか、その点を理解し、自ら認め、その上で問題に取り組みつつ前に進んでいこうとする歌なんだ。自分の特権を理解することを通じて、格差をもっと縮めようとし、できるだけ誰にとっても平等なフィールドをもたらしたい、そういうことだと思う。

そうしたリアリティと向き合うのは難しいことですよね。あなたが非常に努力して現在の立場にいるのは我々も理解していますが、現在の社会では「白人男性」のアイデンティティはとても多くの角度から敵視されてもいて。

JR:(うなずきつつ聞いている)。

そうしたアイデンティティの持ち主というだけで批判されてしまうのは、フェアではないんじゃないか? という気持ちも抱きます。たとえばの話、私からすれば旧型の「白人男性の特権」の象徴と言えばドナルド・トランプで。

JR:フハハッ!(苦笑)

彼は親からビジネスを受け継いだだけで、まさに父系社会の産物ですが、あなたはそうではなく自力でここまで来た。そんなあなたが罪悪感を抱くのは、逆にこちらもモヤモヤしてしまいます。とても複雑な話なので仕方ないとはいえ……。

JR:そうだね、複雑だ。だから、さっきも話したように、自分の中でも入り混じっているんだと思う。これまでずっと、本当に努力を重ねてきたのは自分でも承知しているからね。ただ、それと同時に、たとえば……キャリア初期の頃、僕はもっとトラディショナルなソウル・ミュージックを作っていたわけだよね。ところが、UKはもちろんアメリカ、いやそれ以外の世界中にも、とんでもなく優れた黒人のソウル・シンガーで、成功していない人たちはいる。でも、僕は白人でそれをやっていたからちょっとした存在になったというか、アウトサイダーながらソウル・ミュージックをやっている風変わりな奴みたいなものになって、人びとから「おっ、彼は白人なのにこういう音楽をやってて変わってるぞ、クールだ、彼の音楽を流そう」と注目された。その点ひとつとってすら、伝統的なソウルのコミュニティの中では僕には違いがあり、それが有利に作用して初期の自分が他の人より成功することに繫がった、というか。間違いなく僕は努力したし、練習も多く重ねて歌もさんざん歌い、少ないお客相手に何年も演奏するなどの下積みはやってきた。けれども、一方で、それとは別の側面では恩恵を受けてもきたんだよ。

“ファミリー”をはじめ家族や兄弟などについて書かれた曲もいろいろあります。家族や兄弟などプライヴェートな部分を歌詞にするのはとても勇気がいることかと思います。また歌詞も以前のように曖昧で比喩的なものではなく、“ファミリー”や“アンガーディッド”では直接的な言葉を使ってストレートに表現している場面もあります。ソングライティングをする上でいろいろ心境の変化があったのでしょうか? 以前に比べて自分をさらけ出すことを恥ずかしく思わなくなったそうですが。

JR:うん、それは確かにある。特に、君の言う通り“ファミリー”のようなトラックはそうだね。以前の僕は両義的な曖昧さ、そしてメタファーを用いて歌詞の意味合いを隠すのが好きだった。それはきっと僕自身に、ストーリーをオープンにさらけ出す自信が充分なかったからだろうね。ところが“ファミリー”では、あのストーリーを語る唯一の手段は本当に、比喩を用いずダイレクトに語ることだけだろう、そう思えた。その方が、もっと理解しやすいからね。そうは言っても、アルバム曲のいくつかにはやっぱり抽象的というか、比喩を用いたものもあるけどね、僕はああいう曲の書き方のスタイルも好きだから。ただ、数曲は、自分がこの内容を本当に語りたいのならばダイレクトに書くしかない、というものだね。たとえばさっき君の挙げた“アンガーディッド”、あれは妻との出会い、そしてそこで自分の傷つきやすさを捨てて、誰かに対してやっとオープンになれた自分についての歌だし……それはほんと、メタファーを使って書けることではないし、どんな風だったか、とにかくありのままに書く以外になかった(笑)。だから、そうしたふたつの書き方の混ざったものだし、おそらくそれは自分も成長した、人間として以前より成熟しつつあるってことなんだろうね。おかげで、場合によってはもっとオープンになった方がいいこともあると気づかされたっていう。

そうやって歌詞の中で自分を出し、弱さも見せることには勇気が必要だと思います。

JR:うん、僕もそう思う。妙な話だけれども、僕の場合、歌を通じてそれをやる方がずっと楽に感じられるんだ。たとえばどこかで友人と会って、そこで「お前の子供時代がどうだったか教えてよ」と友人に言われたら、面と向かって話す方がずっとやりにくいだろうな、みたいな?(苦笑)

(笑)確かに。

JR:いざ話そうとすると難しい。でも、それを歌に書くとなったら、曲作りは僕自身のスペースの中でやれるし、ある意味音楽の後ろに隠れて語ることができる、という面もあるからね。んー、まあ、音楽の中での方がほんと、自分をさらけ出すのがずっと楽なんだ。で、いまの自分としては、その方向にもっと進んでいきたいな、と。

サウンド面を見ると、いままでのようにあなたがある程度のベース・トラックを作った上で必要に応じてゲスト・ミュージシャンを入れて録音していくのではなく、バンドとしてスタジオに入っていちからサウンドを作り上げていくレコーディングがおこなわれています。あなたのバンドはいろいろツアーをしてきて結束も強くなり、今回はそうしたバンド・サウンドを求めてレコーディングに入ったのですか?

JR:その通り、まさにそう。僕がこの作品で捉えたかったのは……以前は、音楽はすべて自分で書いて、ライヴの準備のためにそれをリハーサル場に持ち込んで皆でプレイする、というものだった。で、彼ら(=バンド)は毎回、さらに良いサウンドにしてくれるんだよ。というわけで僕も「彼らと一緒に書かなくちゃいけないな」と思ったんだ、そうすれば、レコーディングする前の段階で彼らにもっと良いサウンドにしてもらえるから(笑)。というわけでスタジオに入って──うん、これまた混ざっているんだよね。彼らバンド側の出してきたアイデアをすべて享受しつつ、でも、自分自身にも挑戦を課したかったから、僕は今回は典型的な、オールドスクールなプロデューサーの役割を自分にもっと割り当てたんだ。ある意味少し後ろに退いて、耳を傾けた。キーボード、ギター、といった具合に各パートに集中するよりも、むしろもっと音楽全体の視界を聴くというか、音楽そのものと、そこからどんなフィーリングを受け取るかに耳を傾けていった。だから実際、今回はスタジオのコントロール・ルームで過ごすことが多かったんだ、他のみんながレコーディングしている間も、自分は昔気質なプロデューサー役をやっていたっていう。あれをやるのはチャレンジだったけれども、とても楽しんだし、これまでとはまた別のやり方で音楽について多くを学んだ、という気がしている。僕はアルバムごとに音楽作りのプロセスを変えていくのが好きだし、だから次のアルバムではまた違う創作過程を踏むかもしれないよ(苦笑)、まあ、どうなるかわからないけれども。ただ、今回のようなアルバムの作り方は素晴らしかったね、うん。

ウェールズの田舎で友人のミュージシャンたちと作ったそうですが、利便性の高いロンドンではなくウェールズを選んだのは何か理由がありますか?

JR:(笑)それは、僕たちは気を散らされるあれこれから逃れたかったからなんだ。僕としては、このレコーディング・セッションを一種の曲作りのために向かう小旅行とか休暇、それとも田舎の隠遁所で過ごす経験、みたいなものにしたかった。でも、いつもとは違う空間にいると、なんというか、自分の頭を別の働き方のモードに置くことになる、というのかな? たとえば、ロンドンにいたとしようか。僕たち全員がロンドンでこのアルバムを制作していたとして、ある日ひとつトラックを仕上げたら、みんな「さーて、どうやって家に帰ろうかな。夕飯は何を食べよう?」と考えなくちゃならない。日常生活のあれこれも考えながらやっているわけ。ところが田舎に滞在していると、日常は忘れて音楽だけに集中することになる。散歩に出かけて、木立の中を歩いて樹々を眺めているうちにインスピレーションが湧いて、スタジオに戻ってまた別のトラックに取り組んで、それで“ファミリー”ができ上がった、とか。だからあれは本当にオープンで、かつリラックスした音楽の作り方だった。と同時に、プレッシャーもあったけどね、自分たちが何をやろうとしているのか、僕たちにはまったくわかっていなかったから。でもその一方で、ああやってスタジオにいられるのはとても解放的な体験だった。だからあの2週間は本当に、くつろぎながらあの環境に入っていった、というか。

バンドのメンバーが全員揃って強制的にスタートするのではなく、ジャム・セッション的なことをしていく中でメンバーからいろいろなアイデアが生まれ、そうした自然発生的でクリエイティヴな雰囲気の中で楽曲が磨かれていったと聞きます。ただ、前もって何も決まっていないと、「さて、どうしようか?」と途方にくれてうまくいかない場合もたまにあったんじゃないかと……。

JR:(苦笑)。

自由だったセッションを、どんな風に舵取りしていったんでしょうか?

JR:いや、意外なことに、そういう困った場面に僕たちはあまり出くわさなかったよ(笑)。それにはクールな逸話があって……ある朝、僕たちは作業をはじめて1曲仕上げたんだ。アルバムの6曲目の“ワット・ウィ・コール・ライフ”、あれをその朝に録り終えた。よし、ということで、ランチを食べ昼休みをとって、作業再開になった。ところがみんな腹一杯ランチを食べたせいで、かなり無気力になってしまって。

(笑)。

JR:(苦笑)おかげで、みんなやる気を起こそうと必死だった。僕はそうじゃなかったけどね、そもそも、普段からそんなに食べない方だから(笑)。で、自分はまだエネルギーが余っていたし、一方でバンドの連中は満腹で不活発になっていて、でも僕は「よし、あのシンセサイザーで何かやろう」って感じで。そこで、“アンガーディッド”のイントロになっていくベース・ラインを弾きはじめた。だからなんだ、あの曲の冒頭部がとても剥き出しな感じになったのは。そういう風に自分が淡々と弾いていたベース・ラインに過ぎなかったからだし、でも、弾いているうちにこれはいいぞ、レコーディングしよう、と思い立った。そこからはじまったようなものだったし、徐々に僕はあの曲、“アンガーディッド”へと組み立てていった。ああした素敵な、ゆったり動いていく歌が生まれたのは、僕たちがみんなパスタを腹一杯食べてダルくなっていたからだった、という(苦笑)。

(笑)。

JR:(笑)あのときくらいだったかな、僕たちが作業を進めるのにてこずったのは。でも、ある意味あれはあれで良かったんだ、だってあそこから“アンガーディッド”が生まれたんだからね。

ビートメイカー的で、よりプロセスの細部まで突っ込んでいくタイプのプロデューサーではなくて、今回の僕はもっと俯瞰するプロデューサーをやってみたんだ。

メンバー間の意思疎通が豊かであるからこそ生まれる雰囲気ですし、先ほどもおっしゃっていたように、今回あなたはいわばクインシー・ジョーンズ的に全体像を見るアプローチをとった、と。やはり、そこにはあなた自身のミュージシャンとしての成長もあったわけですか?

JR:その通りだ。おそらく、5年くらい前の自分にこの作品は作れていなかっただろうと思う。ロンドンで過去数年、実に多くのミュージシャンをプロデュースし一緒に仕事してきたし、いろいろな人びとのために曲もたくさん書いてきた。そうやって僕はある意味、制作プロセスへの異なるアプローチの仕方を学んできた。そこで考えたんだ、これと同じことを自分のアルバムでやってみたらどうだろう? と。プレイヤーとして演奏の多くをこなすというより、むしろもっと総合プロデューサー的にあらゆる面に目を配る、というね。で、アーティストでありつつ自分でそれをやれるのは本当にラッキーだと思っているよ、セッションそのもの、あるいはクリエイティヴなプロセスを前進させるためにプロデューサーに頼らざるを得ないアーティストをたくさん知っているからね。でも、僕には自分の音楽をどんなサウンドにしたいか、そのヴィジョンがちゃんとあるし、と同時に曲を書いてもいる。だから非常にラッキーというのかな、曲を書くことができ、かつ、それをどう仕上げるか、プロセスの最後まで見通すこともできるのは。自分の頭の中にヴィジョンが存在するからね。で、それはこれまでの経験を通じて学んだことだったし、クインシー・ジョーンズ的な全体を見るスタイルのプロデューサーという意味で、確実に自分ももっと進歩したと思う。たとえばそうだなぁ、フライング・ロータスのようなビートメイカー的で、よりプロセスの細部まで突っ込んでいくタイプのプロデューサーではなくて、今回の僕はもっと俯瞰するプロデューサーをやってみたんだ。

『オリジン』では曲作りにおいてスティーヴィー・ワンダーやスティーリー・ダンからの影響を述べていましたが、『ワット・ウィ・コール・ライフ』を作る上で聴いていたのはローラ・マーリング、スコット・マシューズ、ジョニ・ミッチェル、ジョン・マーティンだそうですね。新旧のフォークやフォーク・ロック系のシンガー・ソングライターたちですが、彼らのどのような部分があなたの音楽に影響を与えているのでしょうか?

JR:彼らみたいな人たちは、音楽の中でもっとストーリー・テリングを基盤にしているからだと思うし、それに音楽的にもはるかにそぎ落とされて簡潔だよね。もちろん僕のアルバムはそぎ落としたものではないし、実に多く幾層も音が重なっている。とはいえ、思うに自分は、彼らの歌詞の書き方、そしてその歌詞の伝え方からインスピレーションをもらったんだろうね。それから、ハーモニーとメロディに対する彼らのアプローチの仕方にも。たとえば、スティーヴィー・ワンダーは非常にエキサイティングなハーモニーを使うんだ、非常にジャズ・ベースなハーモニー、あるいはファンクが強く基盤になったハーモニー、といった具合に。でも、今回のアルバムで僕はあまりそれはやっていなくて、それよりもっとソングライターがベースの、非常に多くレイヤーを重ねたものになっている。うん、そういったことに自分は足を踏み入れていったんだね、より歌がベースの、フォークが基盤の音楽へと。で、「このフォークがベースになっている音楽を、どうやったらもう少しモダンな、エレクトロニックな響きを持つものにできるだろう?」と自問していた。だからこのアルバムは新旧の世界の間に架かった橋、そこに存在するものだと思う。

以前のインタヴューではボン・イヴェールとも共演したいといったことも述べていました。世間からはネオ・ソウルというイメージで捉えられがちなあなたですが、いま述べたようなアーティストたちや『ワット・ウィ・コール・ライフ』のサウンドからは、よりアコースティックでフォーキーな世界を指向しているのかなという気がしますが、いかがでしょうか?

JR:そうだね。以前の自分は……いや、誰もが僕のことをこの、「ソウル・シンガーの新星が登場」みたいに評してくれたこと、それはとても感謝しているんだよ。ただ、僕はいつだって非常に幅広く音楽を聴いてきたし、たとえば昔作った「ソウル」なレコードにしても、他に較べて少しオルタナな曲がいくつか混じっていたこともあった。要するに僕の中には常に、異なる領域を探ってみようとする側面があるっていう。ダンス・ミュージックのプロジェクトであるダン・カイをやったり、あるいはセカンドの『ウォールフラワー』ではもっとアコギ寄りだったりしたのはだからだし、僕はアルバムごとに異なるサウンドを探究している。本当にたくさんいろんなタイプの音楽を聴いているから、毎回、それらすべてを聴き手とシェアしたいと思う。だから次のアルバムではまた、もしかしたらガラッと違うサウンドをやるかもしれない(笑)。とはいっても、現時点ではどうなるかまだわからないけどね! ただ、自分はきっと違うことをやるだろう、それは確信しているし、それが楽しみでもあるんだ。というのも僕はアルバム作りを、ファンや人びとに対して自分の持つ音楽的に異なる側面を見せる場であると同時に、ある種の学びのプロセスとして考えているから。僕は決して「これ」という風に、たとえば「僕はソウル・シンガー」と狭いひとつの箱に分類されたくないし、それは自身について「ソウル・シンガー」のレッテルだけに留まらない、もっとずっと多くのことをやる人間だと感じているからであって。そうだな、それが僕のキャリアのゴールみたいなものかな、(ジャンルや名称の区分云々を越えて)もっと「アーティスト」になりたい。

あなたの数多くの側面をパッケージした総合的な存在を目指す、と。

JR:そういうことだね。

先ほども「次はどうなるか」という話がありましたが、今後の予定やプロジェクト、やってみたいことなどお聞かせください。まずは、可能になったところで本作向けのツアーがあるでしょうが、それを終えたら?

JR:うん、やってみたいと思っていることはいくつかある。とはいっても現時点ではまだ歌詞のコンセプトはちゃんと考えていないんだけどね、僕は前もって歌詞コンセプトを想定するのが好きだから。でも、そうだね、やりたいと思っていることがふたつあって、まずひとつはクック諸島に戻ること、なんらかの形で自分の家系的な遺産を受け入れる、ということで。だからたぶん、何ヶ月かクック諸島に滞在して、地元ミュージシャンとコラボしながら曲を書く、みたいな。それができたら本当に素晴らしいだろうと思うんだ、自分自身のカルチャーと再び触れ合うということだからね。でも、それと同時に……発表したばかりの今回のアルバムは、音の重ね方やアレンジという意味で自分としてはかなり密度の濃い作品だと思っていて。だからぜひそれとはまったく逆の、思いっきりそぎ落とした作品、ミニマル調なものをやりたいと思っているんだ(笑)。

(笑)なるほど。

JR:(笑)僕はずっとこういう感じでやっているんだよ。ファースト・アルバムを作って、あれはかなりファンキーな作品だったから、次はもっとスローなものを作る必要があると思ったし、それでセカンドはスローなものになった。で、サードはまたファンキーな内容だったし、対して今回のアルバムはものすごく密度が濃い……という具合で、自分は作品を作りながら何もかものつり合いをとっている、そういう感覚がある。でもまあ、現時点でやりたいと考えているのはそのふたつだね。クック諸島でのなんらかのコラボレーション、そしてもっとシンプルな美しい音楽をやる。とにかくシンプルで、聴いていてリラックスできるような音楽を。というのも、いまちょうど、アンビエント・ミュージックにハマっているところでね。だからもしかしたら、2時間近い長さのアンビエントな曲をやる、とか?(笑)

それはいいですね。たまたまですが、私もアンビエント音楽はここ最近よく聴いています。

JR:いいよね、美しい音楽だ。

アンビエントの古典、ブライアン・イーノ作品だとか……

JR:うんうん、ブライアン・イーノね! 瞑想をやっているときや電車に乗って移動中に、僕もブライアン・イーノの『ミュージック・フォア・インスタレーションズ』なんかを聴いている。とにかく美しい経験というか、一種のムードを、心を落ち着けるムードを感じさせてくれる音楽だ。

もう時間ですので、終了させていただきます。今日はお時間いただきありがとうございます。また、あなたとバンドの皆さんが日本にツアーに来られる日を楽しみにしています。

JR:うん、できれば来年、日本に行くつもりだよ!

YOUNG JUJU - ele-king

 この春にEP「LOCAL SERVICE 2」をリリースしたKANDYTOWN。同クルーのYOUNG JUJU、現在はKEIJUとして活動するラッパーが2016年に発表した記念すべきファースト・ソロ・アルバム『juzzy 92'』がアナログ化される。オレンジのクリア・ヴァイナル仕様で完全限定プレスとのこと。客演にもプロデュースにも豪華面子が集結した1枚を、いま改めてヴァイナルで楽しもう。

KANDYTOWNのYOUNG JUJU(現KEIJU)が2016年に発表したファースト・ソロ・アルバム『juzzy 92'』がオレンジのクリア・ヴァイナル/帯付きジャケット/完全限定プレスで待望のアナログ化!

◆ KANDYTOWNのラッパー、YOUNG JUJU(現KEIJU)が2016年に発表したファースト・ソロ・アルバム『juzzy 92'』が待望のアナログ化! 客演にはIO、DONY
JOINT、Neetz、Ryohu、GottzのKANDYTOWN勢に加えてB.D.やFEBB、プロデュースにはKANDYTOWNからNeetzにRyohu、MIKI、Fla$hBackSからFEBBとJJJ、さらにはJashwon、Jazadocument、MASS-HOLE、DJ Scratch Nice、U-LEEが参加! MASS-HOLEのプロデュースで先行カットされた "The Way" やIOとNeetzが参加した "Angel Dust" といったライブでもお馴染みな楽曲や縁の深いB.D.とのコラボによる"Live Now"(プロデュースはJJJ)等を収録した傑作!
◆ 親交の深かったFEBBのレコメンにより、ミックス&マスタリングはベニー・ザ・ブッチャーやカレンシー、スモーク・DZAら多くのドープな作品を手掛けている名エンジニア、ジョン・スパークス(John Sparkz)が担当!
◆ フォトグラファー、嶌村吉祥丸氏が撮影し、イラストレーター/グラフィック・デザイナー、上岡拓也氏とIOがディレクションしたアートワークをベースに、CDにはなかった日本語帯を付属したアナログ盤がオレンジのクリア・ヴァイナル/完全限定プレスでリリース!


[商品情報]
アーティスト:YOUNG JUJU
タイトル: juzzy 92'
レーベル:KANDYTOWN LIFE / BCDMG / P-VINE, Inc.
発売日:2021年11月23日(火)
仕様:LP(オレンジ・クリア・ヴァイナル/帯付きジャケット/完全限定プレス)
品番:PLP-7193
定価:3.740円(税抜3.400円)
Stream/Download/Purchase:
https://p-vine.lnk.to/OAG7L0bu

[トラックリスト]


1. Hallelujah
 Produced by DJ Scratch Nice
2. The Way
 Produced by MASS-HOLE
3. Angel Dust feat. Neetz, IO
 Produced by Neetz
4. Tap This feat. FEBB
 Produced by FEBB
5. First Things First
 Produced by FEBB
6. Skit 24/7
 Produced by MIKI
 Backing Vocal by IO
7. Live Now feat. B.D.
 Produced by JJJ
 Contain a sample from Shota Shimizu "Overflow" (JPSR01200783).
 Licensed by Sony Music Records.
 (P)2012 Sony Music Records


1. Ready
 Produced by JASHWON
2. Prrrr. feat. DONY JOINT
 Produced by Jazadocument
3. Speed Up
 Produced by Ryohu
 Backing Vocal by Ryohu
4. Til I
 Produced by U-LEE
5. DownTown Boyz feat. Ryohu
 Produced by Ryohu
6. Worldpeace feat. Gottz
 Produced by JJJ
 Backing Vocal by Ryohu
7. Outro
 Produced by Jazadocument

All Songs Mixed & Mastered by John Sparkz

Ryoji Ikeda - ele-king

 電子音楽家、池田亮司による東京では5年ぶりのソロ・ライヴ・パフォーマンスと、2012年から各地で上演が続けられている作品「superposition」の上映が、10月23日(土)WWWとWWW Xにて開催される。両会場を舞台に、ライヴ・パフォーマンスは2回、上映は3回の計5公演が実施。
 そしてこのタイミングで、「superposition」のサウンドトラックCDもリリースされる。「superposition」とは、情報の新たな概念である「量子情報」についての、池田による芸術的探求プロジェクトとして始動したもの。これまでイギリス、アメリカ、コロンビア、ロシアなど世界各地で上演されてきた。初演から10年近くのときを経て、このたびパフォーマンスの音源がCD化される。
 同梱のブックレットには、舞台全体をオペレイトする全シーンのスコア、パーカッショニストが奏でるテキストソースなど、「superposition」を構成する全要素がアーカイヴされている。10月25日発売、限定999部とのことなので、これは逃せません。
 また、10月25日より京都公演の収録映像がcodex | editionのオンラインショップにてオンデマンド配信(有料)される。詳しくは下記より。

池田亮司、東京にて5年ぶりのソロライブパフォーマンスと「superposition」映像上映が決定。
周年を迎えるWWW、WWW Xの両会場を舞台に、知覚の極地へ向かう1日・計5公演を実施。

日本を代表する電子音楽作曲家/アーティスト、池田亮司によるソロライブパフォーマンスと
東京未上演のパフォーマンス作品「superposition」の特別スクリーニングが決定した。

東京でのソロライブパフォーマンスは2016年WWW Xで行われたMerzbowとの共演以来となる。

「superposition」は池田の作品では唯一となる生身の身体(2名のパフォーマー)がステージに登場する作品。
2012年から世界各地で上演され、東京では未上演となっていた。
CD+ブックレットと映像配信の全世界リリースを10月25日に控えており、世界に先駆けてその映像をWWWで特別上映する。

この日は、ライブパフォーマンス2回/上映3回の計5公演を実施。
音そのものの持つ本質的な特性とその視覚化を、数学的精度と徹底した美学で追及する池田亮司。
そのライブパフォーマンスと作品を1日で堪能できる、またとない機会となる。

●WWW & WWW X Anniversaries
 Ryoji Ikeda superposition special screening

日程:2021年10月23日(土)
会場:WWW
料金:各回 前売 ¥1,800 / 当日¥2,300(自由席)

開場/開演:
-1st 12:00/12:30
-2nd 16:00/16:30
-3rd 18:30/19:00
*上映時間は約60分となります。
*3rd setのみ、WWW Xで行われるlive set(2nd)と同時間帯の上映となります。

チケット情報(全公演共通):
先行予約 9月22日(水)18:00 - 9月26日(日)23:59 (先着受付)
一般発売 10月2日(土)10:00
受付URL:https://eplus.jp/ryoji-ikeda-1023/

公演詳細:https://www-shibuya.jp/schedule/013788.php
問い合わせ:WWW 03-5458-7685

●WWW & WWW X Anniversaries
 Ryoji Ikeda live set

会場:WWW X
出演:池田亮司 / Ryoji Ikeda
料金:各回 前売 ¥5,000 / 当日¥5,500(オールスタンディング/ドリンク代別)

開場/開演:
-1st 13:30/14:30
-2nd 17:30/18:30

チケット情報(全公演共通):
先行予約 9月22日(水)18:00 - 9月26日(日)23:59 (先着受付)
一般発売 10月2日(土)10:00
受付URL:https://eplus.jp/ryoji-ikeda-1023/

公演詳細:https://www-shibuya.jp/schedule/013790.php
問い合わせ:WWW X 03-5458-7688

※本公演は「ライブハウス・ライブホールにおける新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」に基づいた対策を講じ、お客様、出演者、スタッフの安全に最大限配慮した上で、従前の50%以下のキャパシティにて実施いたします。チケットのご購入、ご来場の際は必ず「新型コロナウィルス感染拡大予防に関する注意事項」(https://www-shibuya.jp/news/013186.php)にてご注意事項の確認をお願いいたします。

Ryoji Ikeda
1966年岐阜生まれ、パリ、京都を拠点に活動。 日本を代表する電子音楽作曲家/アーティストとして、音そのものの持つ本質的な特性とその視覚化を、数学的精度と徹底した美学で追及している。視覚メディアとサウンドメディアの領域を横断して活動する数少ないアーティストとして、その活動は世界中から注目されている。音楽活動に加え、「datamatics」シリーズ(2006-)、「test pattern」プロジェクト(2008-)、「spectra」シリーズ(2001-)、カールステン・ニコライとのコラボレーション・プロジェクト「cyclo.」(2000-)、「superposition」(2012-)、「supersymmetry」(2014-)、「micro | macro」(2015-)など、音/イメージ/物質/物理的現象/数学的概念を素材に、見る者/聞く者の存在を包みこむ様なライブとインスタレーションを展開する。これまで、世界中の美術館や劇場、芸術祭などで作品を発表している。2016年には、スイスのパーカッション集団「Eklekto」と共に電子音源や映像を用いないアコースティック楽器の曲を作曲した新たな音楽プロジェクト「music for percussion」を手がけ、2018年にCDをリリース。2001年アルス・エレクトロニカのデジタル音楽部門にてゴールデン・ニカ賞を受賞。2014年にはアルス・エレクトロニカがCERN(欧州原子核研究機構)と共同創設したCollide @ CERN Award受賞。
www.ryojiikeda.com

2012年から世界各地で上演を続けている池田亮司のパフォーマンス作品『superposition』のサウンドトラックCDとブックレットをcodex|editionから限定999部でリリース、2021年9月22日よりプレオーダー開始。10月25日より公演収録映像をオンデマンド配信。

アーティスト:Ryoji Ikeda
タイトル:superposition [cd+booklet]
レーベル:codex | edition
品番:CD-003
税込価格:5,500円
発売日:2021年10月25日(月)
(デジタル音源も同日リリース予定)

●superposition [cd+booklet] (2021.10.25 リリース)
*12トラック収録(全54分)のCDと96ページのブックレットのセット
*限定999部、エディションナンバー入りカード付き
*9月22日(水)20時(JST)よりcodex | editionのオンラインショップ(www.codexedition.com)にてプレオーダー開始
*10月23日(土)WWWにて先行販売実施予定(要入場チケット)

●superposition [video on demand] (2021.10.25 リリース)
*2013年10月のKYOTO EXPERIMENTでの公演(於 京都芸術劇場 春秋座)を収録、編集した4K映像をオンデマンド配信開始(有料)
*10月25日(月)よりcodex | editionのオンラインショップ(www.codexedition.com)にて配信開始予定

Jamire Williams - ele-king

 新世代のジャズ・ドラマーとして頭角を現し、ジェフ・パーカーやヴルフペックの作品に参加、プロデューサーとしてもソランジュなど、多くの作品に関わってきたジャマイア・ウィリアムス。彼の5年ぶりとなるソロ・アルバム『But Only After You Have Suffered』が11月24日にリリースされる。ここ5年の彼の試みを凝縮した、集大成に仕上がっているようだ。カルロス・ニーニョやサム・ゲンデルらも参加。チェックしておきましょう。

JAMIRE WILLIAMS『But Only After You Have Suffered』

ソランジュ、モーゼス・サムニー、ブラッド・オレンジ等の作品にも名を連ね、パット・メセニ ーからロバート・グラスパー・トリオまで、数々のライヴで圧巻のプレイを見せてきた現在のジャズ・シーンでも圧倒的な存在感を誇るジャマイア・ウィリアムス。自身のサウンドの頂点を目指した、音楽の旅の集大成となる5年振りのアルバムが、日本限定盤ハイレゾMQA対応仕様のCDでリリース!!

Brandon Owens – bass guitar / Carlos Niño – percussion / Chassol – keyboards, synthesizer, programming / Corey King – vocals / Jason Moran – piano / Josh Johnson – mellotron, synthesizer, programming / Matthew Stevens – lead guitar / Sam Gendel – guitar synthesizer, alto saxophone / etc.......

ジャズ・ドラマーとしてNYで活躍していた頃から、ジャマイア・ウィリアムスは自身の表現領域を拡張し、深化させてきた。このアルバムには、作曲家/プロデューサーとしての彼が到達した、複合的で美しいアートが刻まれている。ジェイソン・モランやコーリー・キングからサム・ゲンデルやシャソルまで、彼が歩んできた音楽の旅で出会った才能が、このアルバムを更に輝かせている。(原雅明ringsプロデューサー)

アーティスト : JAMIRE WILLIAMS(ジャマイア・ウィリアムス)
タイトル : But Only After You Have Suffered(バット・オンリー ・アフター・ユー・ハヴ・サファード)
発売日 : 2021/11/24
価格 : 2,800円 + 税
レーベル/品番 : rings (RINC81)
フォーマット : MQA-CD
バーコード : 4988044070271

*MQA-CDとは?
通常のプレーヤーで再生できるCDでありながら、MQAフォーマット対応機器で再生することにより、元となっているマスター・クオリティのハイレゾ音源をお楽しみいただけるCDです。

Official HP : https://www.ringstokyo.com/jamirewilliams

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