「S」と一致するもの

Rezzett - ele-king

 これまで〈The Trilogy Tapes〉からシングルやアルバムを発表してきたUKのエレクトロニック・デュオ、リゼット。ジャクスン・ベイリーとルーク・ブレアからなるこのコンビがニュー・アルバムを送りだす。題して『沸騰する闇のなかへ(Into The Boiling Darks)』。フォーマットはカセットテープのみ、ファッション・ブランド〈C.E〉からのリリースで、南青山の同店舗にて購入可能。なくなる前に急ごう。

アーティスト:REZZETT
アルバム・タイトル:INTO THE BOILING DARKS
価格:1650円(税込)
発売日:10月25日土曜日
販売店:C.E
〒107-0062
東京都港区南青山5-3-10 FROM-1st 201

Call And Response Records - ele-king

 先日もformer_airlineの良作が送りだされたばかり、イアン・F・マーティンが主宰する高円寺のインディペンデント・レーベル、〈Call And Response Records〉が設立20周年を迎えている。それを祝し、アニヴァーサリー・イヴェントが開催される運びとなった。11月2日@東高円寺UFO Club、12月13日@東高円寺二万電圧、12月27日@高円寺SUBstoreの3段構えで、同レーベルになじみのあるアクトが集合。最終日には創設者イアン・F・マーティンやele-kingでもおなじみのジェイムズ・ハッドフィールドらDJをするようです。詳しくは下記を。

CALL AND RESPONSE RECORDS: 20 YEARS OF POP!

DIY精神で歩んだインディーレーベル・Call And Response Records、20周年を記念し高円寺でイベント

Call And Response Recordsは、2005年12月に初のリリースを発表した。カタログナンバーCAR-99でリリースされたコンピレーション『1-2-3-Go!』は、“ゼロまでのカウントダウン”というユニークなコンセプトのもと、100作品のリリースを目標に掲げてスタートした。
これは創設者イアン・F・マーティンの故郷である英国ブリストルの伝説的インディーレーベル、Sarah Recordsからインスピレーションを受けたもである。

2025年末の現在、レーベルはそのゴールに少しずつ近づきながらも歩みを続けている。

この20年間でレーベルが届けてきたのは、日本を中心に、時に海外の“日本とつながりを持つ”アーティストたちも交えた、刺激的でユニーク、そして徹底的にインディペンデントな音楽の数々だ。ジャンルの枠には収まらず、その核にあるのは“3つのポスト”――ポストパンク、ポストハードコア、ポストロック――とDIYポップの交差点。そして、オリコンチャートやRockin’ On Japanが定義する「ポップ」に抗い、自分たちで「ポップ」の意味を決めていく姿勢である。

「Call And Response」という名前が象徴するのは、双方向の関係性だ。音楽がリスナーに届くと同時に、リスナーもまた一歩踏み出し、能動的にその世界に関わってほしい。そんな思いが20年の歴史の中で確かに根付いてきた。

日本では20周年は成人を迎える節目とされる。もはや「子ども」ではなくなったCall And Response Recordsは、このマイルストーンを祝うべく、ホームである高円寺で記念イベントを開催する。ラインナップには、同レーベルから作品をリリースしたアーティスト、数々のコンピレーションを彩ったアーティスト、そして古くからの仲間による新バンドが集結する。

第一弾イベント:
「Call And Response’s End of Innocence」
11月2日 @ 東高円寺UFO Club

レーベルのルーツとも言えるポストパンクとノイズポップにフォーカス。
LIVE: P-iPLE、デーメーテール、DopeDobutu、Jocko、Slowmarico
DJs: Sumire Taya (Girlside)、Daizo

第二弾イベント:
「Call And Response Is Old Enough To Drink」
12月13日 @ 東高円寺二万電圧

20年の歴史を横断する多彩なアクトがステージを飾る。
LIVE: Melt-Banana、Jebiotto、Saladabar、Grandma’s Garden、Looprider、Praha Depart、worst taste & special
magic、Cyber Cherry

第三弾イベント:
「Call And Response is Sorry for What Happened」
12月27日 @ 高円寺SUBstore

2つのイベントを締めくくる小さな“二日酔いパーティ”として、ゲストライブとDJ陣が登場する。
LIVE: Masami Takasima
DJs: Ian Martin (Call And Response)、DJ Rally (Tropical Death)、James Hadfield、Ayumi (Vamp!/Chicks Riot)

Ryan Davis & The Roadhouse Band - ele-king

 ここ数年、アメリカーナの再検証や再定義がかの国の様々なジャンルでなされてきたことは、その年のトピックとして本誌の年間ベスト・アルバム号のインディ・ロックの項で何度か触れてきた。そして、2023年にはブロ・カントリーの系譜にあるマッチョなカントリー・ソングがアメリカのヒット・チャートを席捲したわけだが、2025年に入ってからはその流れが落ち着きつつある(あの戦略家テイラー・スウィフトが、ポップ・カントリーにいっさい回帰しなかったのは逆に不気味だった)。
 そんななか、ザック・ブライアンのような優れたシンガーソングライターがオーヴァーグラウンドで注目を集めた一方で、インディ・ロックのサブジャンル的な領域でも、インディ・フォークやオルタナティヴ・カントリーといったアメリカーナに類するスタイルは存在感を増してきたし、優れた作品がいくつも生みだされてきた。その象徴が、ビッグ・シーフエイドリアン・レンカーであり、直近ではウェンズデイとMJ・レンダーマンである。
 思いだしてみよう。1990~2000年代にも、アンダーグラウンドにそういった潮流がたしかにあったことを。それは、シカゴのレーベル、〈ドラッグ・シティ〉に特に顕著で、ボニー・“プリンス”・ビリーことウィル・オールダム、シルヴァー・ジューズのデイヴィッド・バーマン(彼が亡くなってしまったことはほんとうに残念だった)、スモッグ/ビル・キャラハンといったシンガーたちが多くの充実した作品をリリースしていた。また、ガスター・デル・ソルジム・オルークデイヴィッド・グラブズはフォークと電子音響を接続し、ジョン・フェイヒィやロビー・バショーの再評価を促しもした。スワンズが1997年に解散したあとのマイケル・ジラは、エンジェルズ・オブ・ライトやレーベル、〈ヤング・ゴッド〉での活動によって、ニュー・ウィアード・アメリカ/フリーク・フォークの潮流を準備した。あるいは、若くして亡くなったソングス:オハイアことジェイソン・モリーナの存在も重要である。ウィルコやドライヴ・バイ・トラッカーズとちがってあまり顧みられることのない領域だが、近年、あの時代の音楽がますます意味を持ってきているように感じる。
 その証拠に、オルトカントリー・シーンに颯爽と現れ、実のところ、遅れて注目を浴びたライアン・デイヴィス&ザ・ロードハウス・バンドのニュー・アルバム『New Threats from the Soul』には、同郷の先輩であるオールダムが参加している。バンドでヴィオラを弾くエリザベス・フューシャは、ボニー・“プリンス”・ビリーのバックで演奏してきたプレイヤーだ。そして、キャラハンと生前のバーマンは、デイヴィスの才能を称賛している。

 地元ケンタッキー州ルイヴィルを拠点にしているライアン・デイヴィスは、もともとステイト・チャンピオンというオルトカントリー・バンドをシカゴで結成し、2000年代後半から活動していたが、バンドは5枚のアルバムを残し、あまり注目されないまま、2018年に解散した。その後、彼は、孤独な多重録音の作業によってソロ・アルバムをつくりはじめた一方、パンクを鳴らすトロピカル・トラッシュ、実験的なポストパンク系の音楽をつくっているイクウィップメント・ポインティド・アンクといった、よりアンダーグラウンドなバンドでも活動してきた。サン・ラーもヒップホップも好きだという彼は、とにかく音楽的な嗜好が幅広い。
 デイヴィスが通った大学は、まさにシカゴにあった。〈ドラッグ・シティ〉にインターンしていたといい、その経験が大きかったのだろう、現在の彼は、自身のレーベルである〈ソフォモア・ラウンジ〉を運営し、クロップト・アウトというフェスティヴァルを主催し、テクニーク・ストリートというオンライン・ショップも経営している。つまり、360度で音楽の実業に取りくみ、なおかつ、地域のコミュニティに身を捧げる、ハブのような存在なのだ。
 ドローイングやインストゥルメンタル・ミュージックの制作に没頭していた時期もあり、「もう二度と『歌』のアルバムを作ることはないだろうと思っていた」そうだが、しかし、デイヴィスは再び一人で曲を書きはじめ、仲間たちの助力を得て、ザ・ロードハウス・バンドとのデビュー作『Dancing on the Edge』を2023年に完成させた。その後、アルバムの評判は、じわじわと拡大していった。
『Dancing on the Edge』は2023年10月にリリースされているが、私が聴いたのは、ピッチフォークが載せたレヴューを読んだことがきっかけだったと思う。奇妙なカヴァー・アートとバンド名にも惹かれてアルバムを再生し、幕開けの“Free from the Guillotine”で一瞬にして心を掴まれた。冒頭のギターの音色に一気に持っていかれ、デイヴィスが歌いはじめたとき、私はすぐにバーマンの音楽を思いだした。それからというもの、あのアルバムにのめりこんで聴きつづけていた。

 前作から2年弱経って、デイヴィスとザ・ロードハウス・バンドは、セカンド・アルバム『New Threats from the Soul』をリリースした。「崖っぷちで踊る」から「魂より出できたる新たな脅威」へ。音楽性も、ボブ・ディランやニール・ヤングやドライヴ・バイ・トラッカーズを思わせたシンプルなオルト・カントリーにさりげなく電子音を加えていたスタイルから、自由に広がりを見せている。彼の多様な嗜好や電子音楽への興味を反映させたのだろう、カントリー・ロックにドラムンベースを接ぎ木したかと思えば(“Monte Carlo / No Limits”)、シンセポップのようなインダストリアルなビートの上にバンドアンサンブルをのせてのびのびと歌い(“The Simple Joy”)、アシッド・ハウスのようなTB-303の音がうねるスラッカー・ロックもある(“Mutilation Falls”)。
 6分を超えるエピックな長い曲を書いているのはあいかわらずで、9分台の曲がふたつもあり、“Mutilation Springs”に至っては11分以上もある。長大な曲をシンプルな展開で聴かせるにもかかわらず、だれた冗長な感じがしないのは、彼の語りかけるような歌いくちや長い長いリリックの妙、ペダル・スティール・ギターやコーラスの豊穣で温かな響きゆえだろうか。魅惑的なメロディを書くソングライティングの力も、大いに関係していると思う。

 デイヴィスが批評家たちから高く評価されているのは、ザック・ブライアンやMJ・レンダーマンと同様に、リリックの巧みさによるところも大きい。たとえば、Bandcampのページに掲載されたネイサン・ソールズバーグ(デイヴィスと同郷のギタリスト)のやけに晦渋なテキストでは、こんなふうに書かれている。「ライアンは、ChatGPT対応のタイプライターで、猿が苦労して100年かけて書いても成しとげられなかった不完全韻を踏むことができる。“bromeliad”と“necrophiliac”、“urinal”と“de Chirico”という部分だ。キンキー・フリードマンは、彼の笑える歌が悲しいと捉えられ、悲しい歌がファニーだと思われている、と嘆いたが、その両方が同時に機能している。キンクスターのように、ライアンは、聴き手をむせこむほどに笑わせることができる。たとえば(ひとつだけ例を選ぶのはひじょうに難しいが)、『時間は友だちでも敵でもないことを学んだ/むしろ、職場の仲間の一人のようなものだ』」。
 情けないスラッカー・ロック的なルーザー像の上に、デイヴィスは多層的なレトリックをユーモラスに塗りこんでいく。「でも、風船ガムと流木があればもっといい人生を歩めると思っていた(But I thought that I could make a better life with bubblegum and driftwood)」と、彼は“New Threats from the Soul”で歌う。あるいは、「キリストが好む場所だと言われたあらゆるところで、彼を見つけようと奔走している(I am scrambling to find Christ in all the places I’m told he likes)」。なんじゃそりゃ、となるわけだが、リリカルなおかしみと悲しみがどうにも漂ってきてしかたない。「俺は給料のためにさえずり、鎖のブランコを揺らす籠のなかの鳥でしかない(I will never be (never be) / Anything (anything) / Other than a caged bird swinging from a chain swing, whistlin' for my payseed)」というラインは絶望的だ。人生の“if”を想像し、「魂より出できたる脅威」を宥めてほしいと願う憂鬱や苦悩を、彼は不思議なリリシズムで表す。
 “Mutilation Springs”からは、特にデイヴィスのさびしげな詩情が立ちのぼってくる。「石棺の朝/そして、ヘア・メタルの午後/太陽が引っこむ頃には/月面にニキビが見えるほどだ/俺はいったい何者なんだ?(Sarcophagus mornings / And hair metal afternoon / By the time the sunshinе retracts / We could practically see the acnе / On the face of the moon / What even am I?)」。さらに、「いい時代だったってことに気づかされる/子宮の陰に隠れて/いい時代だったってことに気づかされる/俺が別の人間だった頃は(Better times used to let me find them / Hiding in the shade of the womb / Better times used to let me find them / Back when I was someone else)」からの、「今夜、俺たちはどの過去を追いかけよう?(Which past will we choose to chase tonight?)」。「いい時代だったってことはすごく残念だ/そして結局のところ、これは運命の試練なんだ(It’s too bad about the good times / And all in all, it’s a test of fate)」という嘆きはどうか。「どうしてアメリカなんだ?(Why America?)」というデイヴィスの悲痛な問いは、40歳を迎えた自身の人生の物語にも、過去の栄光を復古せんとするMAGAの思想にも、そしてアメリカーナという音楽にも突きつけられている。
 “The Simple Joy”には、本質的で決定的なラインがある。「痛みに値札を貼ることなんてできない(You can’t put a sticker pricе on hurt)」。陰謀論もネタにしながら、皮肉めいた言葉を吐く冒頭のラインも印象的だ。「俺は、牛の群れが通る道と過去の人生のケムトレイルとの区別がほとんどつかない(I can barely tell the cattle roads from the chemtrails of our past lives)」。デイヴィスの詞が過去という甘美な誘惑に固執しつつもそれに抗い、人生をストーリーテリングすればするほど、アメリカーナの音を通してかの国に対する視座が浮かびあがってくる。デイヴィスの歌は、彼の人生の歌であり、やはり、それと同時に、アメリカの歌でもあるのだ。

 過日、「Improvisation Summit Tokyo」と題したイベントが都内のナイトクラブ、下北沢SPREADで開催された。主な出演者は20代の若手ミュージシャンたちで、大人数が入り乱れた即興ワークショップや、マスコア的でありつつメンバーが楽器を持ち替え鮮烈な即興を連ねていくバンド、覆面集団によるスカムでカオティックな打楽器アンサンブル等々、いずれもユニークであり、熱気に溢れ、即興音楽のニーゼロ年代における新しい波が渦巻いていることを実感させる内容だった。イベントを企画したのは、ワークショップでも出演していた不定形即興集団・野流を率いるHyozo。もともとデュオ・ユニットとして始動した野流はある時期から不定形集団へと変化していったのだが、『OTOTOY』に掲載されたインタビューによれば、そのきっかけとなったのは2022年9月に行われた「増井ビル解体祭」だったという。詳細は省くが、取り壊しが決まったビルの複数フロアを舞台に、2時間以上にわたって多数の参加者が同時多発的に即興パフォーマンスを行うイベントであり、ライヴハウスのように音楽のために設けられたステージのない空間で繰り広げられたこのセッションに参加した経験が、野流の活動形態を新しい方向性へと導くことになった。そしてこのエピソードを知った時にわたしの頭を過ぎったのが、他でもなくアジアン・ミーティング・フェスティバル(AMF)だった。

 大友良英が2005年に最初のアジアン・ミーティングを新宿ピットインで開催して以降、2008年、2009年の開催を経て、2014年からはアンサンブルズ・アジア・プロジェクトの一環としてdj sniffとユエン・チーワイがキュレーターを務める形で、2015年から2017年にかけてAMFは各地で開催されてきた。プロジェクト終了後も2018年には台湾で、2019年には東京で開催された。AMFはテン年代の即興/ノイズ/実験音楽の一側面を形成していた。その意義は大まかに三つあったとわたしは理解している。一つは日本ではまだあまり知られていないアジア近隣諸国の実験的なミュージシャンを紹介すること。もう一つはアジア近隣諸国のミュージシャン同士の交流を促すこと。そして最後に、そうして集ったミュージシャンたちによる新たな音楽的実践を提示すること。つまり紹介/交流/実践がAMFの大きな意義だったと思うのだが、実践面において、AMFはテン年代を通じてその試みを回を重ねるごとにアップデートしていった。とりわけ面白かったのは、ステージと客席が固定された通常のライヴとは異なり、たとえば美術館や小学校跡地、日本家屋など、必ずしも音楽のために設計されたわけではない空間を舞台に、その場所ならではのパフォーマンスを即興的に紡いでいくことだった。イベントに関連して行われたワークショップ等も含めて、演奏と聴取の一方向的ではない関係性や、複数の場所で同時多発的に行われるパフォーマンスが即興的に重なり合うことで多中心的な出来事を生むという試みの、一つの極地へとAMFは踏み込んでいたのではないかとも思う。

 2020年以降、新型コロナウイルス禍に見舞われて休止状態にあったアジアン・ミーティングが、6年ぶりに開催される。最初の開催から数えるとちょうど20年の節目でもある。今回は原点に立ち返り、大友良英が再び中心となってキュレーションを行なっている。アジア近隣諸国から訪れる出演者たちは「知られざる」ミュージシャンというより、誰もがすでに来日したことがあり、こうした領域に関心を持つ日本のリスナーにとっては馴染みのある面々だ。ただし日本勢の参加者にはニーゼロ年代以降に頭角を表した人物も少なくなく、単に旧交を温めるイベントというわけではない。皮切りとなる小田原・江之浦測候所でのイベントは、大友が2022年から開催してきた「MUSICS あるいは複数の音楽たち」の第3弾でもある。場所そのものが作品でもあるような独特の地形と構造物からなる江之浦測候所で繰り広げられる試みは、まさにAMFがテン年代に突き詰めてきたサイトスペシフィックなサウンド・パフォーマンスの、さらにその先をいく実践となることだろう。他方、新宿ピットインは20年前にアジアン・ミーティングが誕生したいわばホームである。ここは音楽のために設計されたライヴハウスであり、ステージが設けられている。普段と同じようにステージで演奏を行うのか、特殊なセッティングになるのかはまだわからないが、たとえステージで演奏を行うのだとしても、パフォーマンスの展開は予期し得ないものとなるに違いない。むしろどんな場所でも対応できる手練のミュージシャンたちであればこそ、その即興力がステージ上に凝縮されることで濃密な時間が生まれる。それもまたAMFならではの景色だ。そのほか、京都UrBANGUILD、名古屋今池Tokuzo、さらに移転リニューアル・オープンしたばかりの南青山POLARISでも、「Far East Network Special」と題して来日勢と現地の気鋭ミュージシャンたちとのセッションが行われる。

 6年という時が経ち、テン年代のAMFをリアルタイムでは経験していない若い世代のミュージシャンやリスナーも増えてきた。当時の中高生が今では大学生や社会人になっているのだから当たり前と言えば当たり前である。だが再び始動したAMFは、かつての実践を知る人々だけでなく、そうした新たな世代の人々にとっても、必ずや刺激に満ちた体験をもたらすに違いない。少なくともそう確信させるに足る出来事を、これまでAMFは創出してきたのである。その意味でアジアン・ミーティング20周年記念スペシャルは、AMFの再出発の地点であると同時に、一人ひとりの参加者にとっても即興/ノイズ/実験音楽のこれからを開いていくための、行先の定められていない冒険的な出発点となることだろう。(細田成嗣)


AMF2019 TOKYO DIGEST(映像記録:青山真也)

アジアン・ミーティング20周年

 今から20年前の2005年9月23日から25日にかけて、韓国と香港から8人のミュージシャンを呼んで新宿ピットインで第一回の「アジアン・ミーティング・フェスティバル」が行われました。日本からも10人を超えるミュージシャンが参加し、昼夜5コンサートを行っています。同じ年に中国で反日デモが行われ、上海の日本料理店が襲撃されたニュースがきっかけでした。中国や韓国のミュージシャンたちとの交流がはじまった頃だったこともあり、とてもショックだったのを今でも覚えています。

 当時のブログを引用します。

「(……)何人もの友人のいる中国で反日デモがおこっているのは、私にとってはとても悲しいし、どうにかしたいなと、本当に素朴に思ってしまう。素朴な民族のククリで憎しみ合うような状況を今後絶対につくらないためにも。具体的にオレにできることを、実はもう少し前から準備をしている。多分9月になると思うけど、東京のどこかで、中国語圏、韓国語圏といった近隣諸国で、僕等にちかいような、ノイズなり音響なり、あるいは風変わりなロックなりをやっているミュージシャン何人かを呼んで小さなフェスをやろうと思っているのだ。(……)もちろんそんな小さなことで今の民族間の問題が解決するとはまったく思っていないし、第一そのためにこうしたフェスをやるわけでもない。理由はあくまでも音楽的な話なのだけど、どんなことであれ、そうした無数の無名の人たちの日常の生き方、営みの中からしか歴史は変えられないと思うからだ。(……)現時点ではなんの資金のあてもありませんが……」(ブログ「大友良英のJAMJAM日記」2005年4月17日よりhttp://www.japanimprov.com/yotomo/yotomoj/essays/hannichi.html

 その後、紆余曲折をへながらもこのフェスティバルは続き、2014年から国際交流基金の援助も受けてシンガポールのユエン・チーワイや、当時香港在住、今はアメリカと日本、台湾を行き来するdj sniffにディレクターに入ってもらい、パンデミックが始まるまでの間、アジア各国で、何十人ものミュージシャンやスタッフの手により、いくつものフェスが開かれてきました。2005年のフェスの時から考えたら夢のような展開でした。

 大きな歴史の動きは決してわたしの望むような方向に向かっていないように思えることもしばしばですが、でも、日本を含むアジア各国から数多くの若いミュージシャンたちが出現し、彼ら彼女らが様々な形で草の根的に繋がっていってる様子を見るのは感動的だったし、それが未来への希望、そんなふうに思っていました。そんな中始まってしまったのがパンデミックでした。アジアのミュージシャンの交流の時計の針が戻されたような気持ちでした。

「せっかくあそこまでいったのに」

 パンデミックが明けた2023年から再び、わたしは韓国、シンガポール、マレーシア、ベトナム、中国、台湾、香港、インドネシアとアジア各地を回って、ミュージシャンとの交流を個人的に再開しました。2010年代のように助成を受けた大きなフェスをやるのは難しいかもしれませんが、初心に帰って、個人で動いて再びフェスをやることは可能かもしれない。なにより20年前と違うのは、すでに人脈もあり、協力してくれる人たちや組織もあることです。

 今回は江之浦測候所を運営する小田原文化財団と新宿ピットインの全面的なバックアップのもと、これまで協力してくれたF.M.N. Sound Factoryや、Little Stone Records、P-hourほか多くのみなさんの手弁当の協力もあって、パンデミック以降、最初のアジアン・ミーティング・フェスティバルが実現します。しかも20周年記念のフェスティバルです。

 11月2〜3日の江之浦測候所での2日間は、これまでやってきたアジアン・ミーティングを象徴するかのように、ひろい庭園の各所で、夕暮れまでの3時間の間、即興的にさまざまな出会いと共演が同時多発的に起こります。あらかじめ計画されたものではなく、参加ミュージシャンたちが江之浦測候所という稀有な空間に反応しながら、その場で状況を作り出していく2日間です。当然2日間の内容は、全く異なるものになります。参加者は皆さんの足で、会場で起こるさまざまなハプニングや出来事、音楽を探し発見する旅になります。

 杉本博司が設計した江之浦測候所の壮大なランドスケープと、日本を含むアジア各国のアーティストたちとの予期せぬ邂逅をどうかお楽しみください。(大友良英)

参考文献
横井一江「大友良英によるアジアン・ネットワーキングの軌跡」(JazzTokyo、2025年3月1日公開)https://jazztokyo.org/interviews/post-109331/

■公演情報

小田原・江之浦測候所「MUSICS あるいは複数の音楽たち その3」
日程:2025年11月2日(日)・3日(月・祝)13:20受付開始 13:30開場 13:45開演(予定) 16:30終演
会場:小田原文化財団 江之浦測候所(https://www.odawara-af.com/ja/programs/otomo_yoshihide_ensembles2025/
料金:9,900円(江之浦測候所入館料含む)
出演:大友良英(percussion, objects)、リュウ・ハンキル(electronics)、イェン・ジュン(objects, voice)、ユエン・チーワイ(electronics)、コック・シューワイ(voice)、シェリル・オン(percussion)、吉増剛造(poet)、山崎阿弥(voice)、Sachiko M(objects)、松本一哉(percussion, objects)、石原雄治(percussion)、高岡大祐(tuba)、本藤美咲(sax/11月3日のみ)
ゲスト:巻上公一(voice)、細井美裕+岩田拓朗(sound installation)、小暮香帆(dance/11月3日のみ)

京都・UrBANGUILD「Far East Network Special」
日程:2025年11月4日(火)18:30開場 19:30開演
会場:京都・UrBANGUILD(https://urbanguild.net/event/20251104_fareastnetworkspecial/
料金:[前売]5,000円+1ドリンク [当日]5,500円+1ドリンク [23歳以下]3,000円+1ドリンク(要身分証明書提示)
出演:大友良英(guitar/東京)、ユエン・チーワイ(electronics/シンガポール)、リュウ・ハンキル(electronics/ソウル)、イェン・ジュン(objects, voice/北京)、コック・シューワイ(voice/クアラルンプール)、シェリル・オン(percussion/シンガポール)、Sachiko M(sinewave/東京)、立石雷(篠笛等/滋賀)、中川裕貴(violoncello/京都)、山内弘太(guitar/京都)

名古屋・今池Tokuzo -得三-「Far East Network Special」
日程:2025年11月5日(水)18:30開場 19:30開演
会場:名古屋・今池Tokuzo -得三-(https://www.tokuzo.com/2025Nov/20251105
料金:[前売]5,000円 [当日]5,500円
出演:大友良英(guitar/東京)、ユエン・チーワイ(electronics/シンガポール)、リュウ・ハンキル(electronics/ソウル)、イェン・ジュン(objects, voice/北京)、コック・シューワイ(voice/クアラルンプール)、シェリル・オン(percussion/シンガポール)、臼井康浩(guitar/名古屋)、小埜涼子(sax/名古屋)、服部正嗣(drums/東京、岐阜)

東京・新宿ピットイン
日程:2025年11月6日(木)19:00開場 19:30開演
会場:東京・新宿ピットイン(http://pit-inn.com/artist_live_info/251106asian/
料金:[前売]5,500円(税込/1DRINK付) [当日]6,050円(税込/1DRINK付)
出演:大友良英(g/東京)、dj sniff(turntable/LA)、ユエン・チーワイ(electronics/シンガポール)、リュウ・ハンキル(electronics/ソウル)、イェン・ジュン(objects, voice/北京)、コック・シューワイ(voice/クアラルンプール)、シェリル・オン(percussion/シンガポール)、類家心平(tp/東京)、細井徳太郎(g/東京)、荒川淳(electronics/郡山)

東京・南青山POLARIS「Far East Network Special」
日程:2025年11月7日(金)19:00開場 19:30開演
会場:東京・南青山POLARIS(https://polaristokyo.com/schedule/20251107
料金:[前売]5,500円+1ドリンク700円 [当日]6,000円+1ドリンク700円
出演:大友良英(g/東京)、dj sniff(turntable/LA)、ユエン・チーワイ(electronics/シンガポール)、リュウ・ハンキル(electronics/ソウル)、イェン・ジュン(objects, voice/北京)、コック・シューワイ(voice/クアラルンプール)、シェリル・オン(percussion/シンガポール)、Sachiko M(sine waves/東京)、Evicshen a.k.a. Victoria Shen(turntable/SF)

MSC - ele-king

 MSCの登場は衝撃的だった。彼らがそのダークなサウンドとことばで切りとってみせた新宿のストリートは、以降の日本のヒップホップに新たな風景をもたらしたのではないだろうか。KAN(漢 a.k.a. GAMI)、TA-BOO(TABOO1)、PRIMAL、O2、GO a.k.a.G-PRINCEから成る彼らのデビューEP「帝都崩壊」(2002/MS CRU名義)、そしてファースト・アルバム『MATADOR』(2003)が初めてアナログ化される。後者はカセットテープもアリ。伝説を、いまふたたび。

Artist:MS CRU
Title:帝都崩壊(EP)
Label:P-VINE
Release: 2026.1.21
Format:Vinyl(帯付き仕様/完全限定プレス)
Product Number:PLP-8290
Stream / Download / Purchase:https://p-vine.lnk.to/qAsYHEBB

Tracklist:

SIDE A
1 INTRO
2 幻影
3 満月の挽歌

SIDE B
1 快感
2 構造改革 Remix

Artist:MSC
Title:MATADOR
Label:P-VINE
Release: 2026.1.21
Format:Vinyl / Cassette(帯付き2枚組仕様/完全限定プレス)
Product Number:TAPE / PCT-77 LP / PLP-8291/2
Stream / Download / Purchase:https://p-vine.lnk.to/XoBDhVKf

Tracklist:

SIDE A
1. INTRO
2. 無言の蓄積 / PRIMAL, TA-BOO, O2, KAN
3. 新宿 Running dogs / KAN, PRIMAL
4. 新宿 U.G.A remix 03' / MIC SPACE

SIDE B
1. 甲斐性 / O2
2. スペース・ペース / SIDE RIDE and Ah-
3. INTERLUDE
4. ALERGY / KAN, O2 feat 志人

SIDE C
1. MASTA PIECE (TO MILITIA) / TA-BOO feat DJ BAKU
2. 支離滅裂 / PRIMAL
3. For S / MSC feat Red Rice & 若旦那 from 湘南の風
4. FREAKY 風紀委員 / MIC SPACE feat DJ BAKU

SIDE D
1. MATADOR OFFICE feat DJ BAKU
2. 反面教師 / KAN
3. MATADOR / MSC
4. OUTRO

※TAPEは上記のSIDE-AとBがSIDE-A、上記のSIDE-CとDがSIDE-Bになります。

東京・新宿を拠点に活動していたKAN(漢 a.k.a. GAMI)、TA-BOO(TABOO1)、PRIMAL、O2、GO a.k.a.G-PRINCEによる伝説的なグループ、MSCの2003年にリリースされた衝撃の1stアルバム『MATADOR』とその前年の2002年にMS CRU名義でリリースされた1st EP『帝都崩壊』が待望の初アナログ化!
デモCD-R『M.S.C.D.001』やヒップホップ専門雑誌「blast」の連載から生まれたコンピレーション『homebrewer's vol.1』への参加で注目を集める中、2002年に前身のMS CRU名義で1stEP『帝都崩壊』、翌2003年にMSC名義で1stアルバム『MATADOR』をリリース。過激で生々しい描写や日本語を駆使した巧みなライミングなどでシーンに大きなインパクトを与え、どちらも00年代のストリートミュージックを代表する作品として今でも語り継がれている名盤中の名盤であり、そのリリースから20数年の時を経て、ついに帯付き仕様/完全限定プレスでの初アナログ化が実現。『MATADOR』は2枚組仕様でのリリースで同時にカセットテープもリリースになります。

RCサクセション - ele-king

 彼らはそのころ交差点に立っていた。だが、舞台は寂しく、かつていた大勢はどこか別のところに行ってしまったようだった。無理もない。1976年4月23日にはラモーンズのデビュー・アルバムがお目見えとなるのだ。激流はロンドンに伝播し、同年10月にはダムドの「ニュー・ローズ」、そのよく月には「アナーキー・イン・ザ・UK」が世界を襲う。まさに、いまここから歴史的に、まだ誰もが見たことのない場所でその後の音楽に決定的な影響を与える大きなことがはじまろうとしているそのとき、“大きな春子ちゃん”に感情移入する人が少なかったことは容易に想像できる。
 が、しかしそんな逆境のなか、いちどは激流に流されながら蘇った極めて希有な作品がRCサクセションの『シングル・マン』だった。先日、新曲“おじいちゃん”を発表したばかりの坂本慎太郎と話す機会があった。そのときRCの話になったのは、『暮らしの手帖』36号の「わたしの大好きな音楽」コーナーにフィーチャーされた彼の選んだ「歌詞が好きな日本の音楽」10曲のうちの1曲がRCの“わかってもらえるさ”だったからだ。それで、RCでいちばん好きなアルバムは? という話題になったとき、酔っていたので記憶はおぼろげだが、たしか『シングル・マン』で話は落ち着いたと思う。
 まあ、「いちばん好きなアルバム」とは、そのときどきの心情や状況によって変わるものではあるが、RCのなかでこのアルバムがいちばん好きだという人は多いだろう。いまではすっかり名盤として広く認識されているが、しかし、ラモーンズのデビュー・アルバムの2日前にリリースされた『シングル・マン』は、リアルタイムではみごとな三球三振だった(すぐに廃盤になった)がゆえに、『シングル・マン』が1970年代なかばの日本(東京)という文脈のなかで書かれた文章、その社会においていかなる存在だったのかという評価の痕跡をぼくは見たことがない。いまにして振り返ればヒッピー的なるものの痛切な末期症状という解釈もできるかもしれない——、いや、しかし、これは時代から切り離され、リリースから数年後にタイムレスな音楽として広く評価された作品である。音楽もそうだが、このアートワークもタイムレスな魅力がある。だから、その出会いは十人十色で、感じる魅力、好きな度合いというのは人によって異なっていてしかるべきなのだろう。以下に書くのは、ぼくの感想文である。
 ぼくは、ライヴのクライマックスで“スロー・バラード”を歌っていた時代にファンになったひとりなので、最初はそのスタジオ録音が収録されているから聴いてみたいと思って高校生のときに買った。そして、聴いているうちにほかの曲もどんどん好きになっていった。感情がとめどなく噴出する“ヒッピーに捧ぐ”がいちばん好きだったときもある。“やさしさ”や“甲州街道はもう秋なのさ”のようなヘルマン・ヘッセ風の屈折した内面を歌った曲も好きだったし、ここ数年はずっと“うわの空”が好きでいる。
 “スロー・バラード”が入っているからといって、『シングル・マン』はまったく楽天的な作品ではない。アルバムを通して、不信、気まずさ、悲観、辛辣さ、そして愛情と憎悪が独白される。他者との関係に戸惑い、ときに苛立っているのは“ぼくはぼくの為に”や“やさしさ”、同時期に録音された“お墓”(のちに『OK』に収録)からうかがえる。なにしろ“ファンからの贈りもの”という、他者を拒絶する歌からアルバムははじまっているのだ。

 ラモーンズのデビュー・アルバムとほとんど同時期に出てしまった『シングル・マン』は、その前年に出るべきアルバムだった。録音は1974年の秋からはじまって1975年の春には終わってる。しかしながら、所属事務所内のトラブルによってバンドは干され、完成から1年以上経ってからのリリースになってしまった。また、RC史上ではドラムをフィーチャーした最初のアルバムであり、音楽性を高めるべく200%の力を注いだ作品だったのに拘わらず、楽曲のアレンジやミックスに関してバンドは納得していなかったようで(編曲は井上陽水のミリオンセラー作『氷の世界』を手がけた元モップスの星勝)、そもそもこのリリースにいたる経緯自体も幸福とは言えなかった。しかしながら『シングル・マン』は、RC/清志郎の全作品のなかでも——ぼくの主観的な印象だが——5本の指に入る人気作だと思われる。
 廃盤になったアルバムが音楽評論家の吉見佑子による再発運動によって正式に再発されたのは、日本のポスト・パンクが絶頂を迎える1980年のことだった。強烈な個人主義的告白——外面的な事件よりも内面的な心理への没入——を同調圧力の国に叩きつけているこのアルバムを、ぼくは聴き入ったものだった。そこには、集団の価値観や社会規範に打ち解けることのできない個人が世界とどう折り合いをつけるか、という葛藤が描かれている。そしてここが、ポスト・パンクに夢中だった高校生も入り込める、作ったほうでも予期しなかった共鳴点のようなものだったのだろう。“甲州街道はもう秋なのさ”におけるむき出しの疎外感は言うに及ばず、“ヒッピーに捧ぐ”における「豚どものを乗せて」というフレーズは、じつはパンクがヒッピーの改良版という説を裏付けてもいる。アルバム全体からは──初期のRCからバンドが解散するまで通底した反抗心とともに──どうにもならないやり切れなさが滲み出ているし、その救済として最後に“スロー・バラード”がある。それは美しい、無垢な恋愛感情かもしれないけれど、駐車場に停まった車のなかという閉ざされた空間における個人的なできごとに過ぎない。パンクやヒッピーにあった連帯(ソリダリティー)は『シングル・マン』においては排除されている。そしてそれを排除し、閉じていることが、この音楽作品に力を与えてもいるのだろう。

 音楽的には、高校生のぼくにはひと世代前の「大人の音楽」に思えた。 “冷たくした訳は” や“ファンからの贈りもの”、“スロー・バラード”といった曲の背後にある清志郎にとっての重要な影響源=メンフィス・ソウルをぼくが本格的に聴くようになるのは、もっとずっと後のことだった。換言すれば、ぼくは清志郎から南部のソウル・ミュージックを教えられたことになる。もちろん自分の人生で最初に買ったソウルのアルバムは『Otis Blue』だった。(*)
 高橋康治の『忌野清志郎さん』の巻末対談で言っていることだけれど、清志郎は、喩えるならシカゴ時代のフランキー・ナックルズのように、ひと時代前の音楽も、音楽に力があればどんな流行のなかでも通用することを身をもって教えてくれた人でもあった。これはリヴァイヴァル現象のことではない。リヴァイヴァル現象とは流行のことであって、そこに当てはまらない音楽、流行に敏感な人なら鼻にもかけないような音楽であっても光り輝くことができる……フランキー・ナックルズが1980年代の欧州ニューウェイヴに夢中な黒人の子どもたちに過去のものとされていたフィラデルフィア・ソウルの輝きを教えたように、ニューウェイヴに夢中な日本人の子どもたちに1960年代のメンフィス・ソウルのすばらしい光沢を伝えたのだった。(**)

 サザン・ソウルとは「ゴスペルに根ざし、感情をむき出しにした音楽のことである」、「それは完全にヴォーカルの芸術である。ソウルは共通の経験、つまり聴き手との関係を前提としている。これはブルースにも見られることであり、歌い手が聴衆の感情を確認し、それを展開してゆく」、こう説明するのは高名な黒人音楽評論家のピーター・ギュラルニックが引用したイギリスの作家クライヴ・アンダーソンだ。
 アンダーソンが定義する「ヴォーカルの芸術」という観点でいえば、忌野清志郎はまごうことなきソウル・ミュージシャンだったと言える。「世俗化されたゴスペルがブルースの“冒涜”を取り込み、ただひとつのもっとも重要な主題——愛の気まぐれ(the vagaries of love)——だけを扱った」音楽、しかしそれはリズム・アンド・ブルースの発展型で、すなわち魂の告白であると同時に、世俗的で作為的なものでもある。「ホーンが鳴り響き、二重の意味を含む歌詞があり、絶叫する歌手がいて、打ち鳴らされるリズムがある、そういう音楽」——オリジナルのソウル・ミュージックは「黒人の連帯を明確に表現していた」が、ただ先にも書いたように『シングル・マン』のそれは連帯を拒絶するものだった(「」内はすべてPeter Guralnick『Sweet Soul Music』からの引用)。
 とはいえ、ぼくが高校時代に観た二回のライヴ公演は、政治的には無色で、曖昧な叫びだったかもしれないけれど、それゆえ大多数に対して連帯を呼びかけるものだった(19世紀のフランスの詩人にして蓄音機の発明者、シャルル・クロス風に言えば「大人たちを怒らせるため、子どもたちを喜ばせるため」である)。『シングル・マン』の内的葛藤が、外の世界に向けての力強いエネルギーへと転換されていった話は、先述の『忌野清志郎さん』に詳しい。人と違っていることは良きことだとされるその世界のなかで、ぼくたちは熱狂し、舞い上がった。ステージで熱唱している人が、その数年前に『シングル・マン』をつくっていたことは、ぼくにとっては切り札のカードのようなものだった。あんな寒々しさと熱い情熱を孕んだアルバムをつくった人がど派手なロックンロールをやっているのだから、ここにはその表面上の派手さ以上のなにかがあるに違いないと思わせたのだ。

 『シングル・マン』で残念なのは、 “レコーディング・マン(のんびりしたり結論急いだり)” があまりにも短いことだ。RC史上もっとも実験的な曲、ビートルズにおける “レヴォリューションNo9” 、ファンカデリックにおける “Wars of Armageddon” になりえた曲だったが、1分ちょっとしかないからインタールードのようになってしまった。
 それはそうだが、この時代のバンドの音楽的な野心の高さの証跡でもある。ほかにも “夜の散歩をしないかね” という基本はブルース・ロックだが、RCには珍しくジャズ風にテンションコードを加味した曲もあって(ピアノを弾いているのは加入前のGee2wo)、これがまたじつにムードのある良い曲なのだ。“大きな春子ちゃん” は “ぼくの好きな先生” 路線のRC流フォーク・ソングのユーモアと牧歌性のある曲で、“うわの空” は“ぼくの自転車のうしろに乗りなよ” 路線のRC流サイケデリック・ソングだ。自分の好みという点で言えば、この4曲はほんとうに好きな4曲である。メロディが好きだし、後者2曲の日常的な非日常チルアウト・フォーク・ソングに関しては、そこはかとない寂しさがぼくには心地よく感じられる。“うわの空” の後半の展開はややピンク・フロイドっぽいとは思うのだが、この曲の歌い出しの「君は〜空を飛んでぇえ〜」という歌詞とメロディのコンビネーションはすばらしいとしか言いようがない。

 今回発売された「デラックス・エディション」、2枚組のうち1枚はオリジナル盤で、ZAKによるリマスター。もう1枚には、“スロー・バラード”と“やさしさ”のシングル・ヴァージョンをはじめ、“わかってもらえるさ”(そして“よごれた顔でこんにちわ”)のZAKによるリマスターほか、“恐るべきジェネレーションの違い (Oh,Ya)”と“甲州街道はもう秋なのさ~ANOTHER MIX~”の未発表ヴァージョンに加え、テレビ神奈川の番組「ヤングインパルス」における1976年4月25日のスタジオ・ライヴ(三田格編集の『生卵』には、この番組のことをチャボ宛てに綴った清志郎の手紙が掲載されているのだが、そうか、このことだったのか!)から6曲がZAKによるミキシングのもと収録されている。そのなかには“ぼくの眠るところ”という未発表曲がある。このライヴ演奏が思いのほか良かった。冬の時代のRCに思い入れがある人には興味深い内容かもしれない。ぼくは『シングル・マン』の録音がはじまる前——たいした活動もなかった頃——に清志郎が書いた日記、『十年ゴム消し』を愛読したひとりだ。あんな風に生きられたらいいなぁと憧憬したものだった。

(*)永遠の青年、ニック・ヘイワードが在籍したことで知られるヘアカット100なるUKニューウェイヴ・バンドのファースト・アルバムのジャケットに、メンバーのなかでひとりだけアフリカ系がいるが、彼こそは、1967年12月10日のオーティス・レディングら7名を死亡させた飛行機墜落事故における犠牲者のひとり、オーティスのバックバンド、バー・ケイズのドラマー、カール・カニンガムの実弟、ブレア・カニンガムである。ちなみにバー・ケイズのメンバーはこのとき全員まだ10代だった。ブレア・カニンガムも一流のドラマーとなって、渡英し、ヘアカット100での活動を経ると、一時期プリテンダーズでも叩き、なんと再結成したギャング・オブ・フォーでも演奏した。その後は、ポール・マッカートニーのバックバンドに加入し、数年にわたって活動をともにしている。

(**)メンフィス・ソウルの奥深さに触れることができたのは清志郎を聴いていたからだ。いつか鈴木啓志さんにあらためて書いてもらいたいところだが、ここは若い読者のために少しだけ註釈を。1955年2月にメンフィスのメシック高校で10代のエルヴィス・プレスリーが演奏したときを、グリール・マーカスは、その後のティーンエイジャーの世界の風景を完璧に変えた「ビッグバン」と呼んでいる。そして、その何年後かあとにメシック高校の舞台に立っていたのが、スティーヴ・クロッパーやウェイン・ジャクソン、ドナルド・ダンたちだった。また、人種差別/分離が根強かったメンフィスにおいては、黒人用のブッカー・T・ワシトン高校があった。ここの卒業生に、〈スタックス〉が誇る天才オルガン奏者、ブッカー・T・ジョーンズがいた(ほかにもアイザック・ヘイズ、デイヴィッド・ポーター、ウィリアム・ベル等々)。やがて彼らが交わって、人種差別を公然と批判するバンド、ブッカー・T・アンド・ザ・MGズが生まれる。政治的ユートピアとしてのレーベルとバンドがいるなか、デイヴ・マーシュが「卓越したバラード歌手であり、リトル・リチャードの精神を受け継ぐ真のロッカー」と最大限の賛辞を送ったオーティス・レディングが、1956年から頂点にいたエルヴィスを引きずり下ろすかのように登場する。ちなみに、「ガッタ、ガッタ、ガッタ」というリフレインはオーティスの真似だと言われているが、そもそもこれはオーティスのジェイムズ・ブラウンの模倣にはじまっている。

Wang One - ele-king

 インターネットはインディ・アーティストと彼ら/彼女らをサポートする人々に大きな恩恵を与えてきた。ネットがなければ〈Maltine Records〉や〈TREKKIE TRAX〉の台頭はあり得ず、『Pitchfork』が「日本の重要なインターネット・レーベル10選」という特集を組むこともなかったかもしれない。我々リスナーも、ほとんど週替わりで出現するスターたちに心を躍らせた。

 中国でもそれは同じらしく、南京出身のLola Oneと上海出身のCase Wangによるインディ・エレクトロニック・ユニット “Wang One” も、それに類する経験を経てきた。音楽コンシェルジュ・ふくりゅう氏によるインタヴューの中で、ふたりは「ほとんどの曲をNetEaseから学んだ」と認めている。そこではダフト・パンクやYMOの楽曲が次々とサジェストされ、自身がサイトにアップロードした自作曲がコミュニティ内で高い評価を獲得した。

 陰謀論が跳梁跋扈し、今日も元気にヘイトが駆け回っている電脳空間。けれども、そこにはまだ見ぬ音楽を求めてさまよう者とそれに応えようとするコミュニティの蜜月の関係があった。この大海から誕生したスターも枚挙に暇がない。

 日本ではハチP(米津玄師)をはじめ多くのプロデューサーがニコニコ動画から羽ばたいていったが、それぞれシグネチャーなサウンドは確認できるものの、音楽ジャンルとして「これ」と特定できるケースは少なかった。1曲の中にロック的な要素があり、パンクっぽいニュアンスがあり、エレクトロの手触りがある。

 Wang Oneはユニットとしてこれまで4曲発表してきたが、いずれも異なる世界観とテクスチャーで構成されている。デビュー・シングル “Walk On Shame” はファンキーなディスコ・チューンで、2曲目の “Oh Young Boy” はチャーチズとラナ・デル・レイが共にスタジオ入りを果たしたような内容だ。そして最新シングル “IDK - idontknowwhatyoutalkingabout-” では、アシッド・ハウスの上でLolaのパンク・ヴォーカルが響いている。ダンスフロアに根差しながら、射程はもっと長い。鳴らされてるのが真夜中のクラブだけでなく、そこは夕方のライヴ・ハウスかもしれないし、野外フェスのステージかもしれない。手探りの部分もあるだろうが、ふたりのサウンドはさまざまなポテンシャルを秘めている。

 そういった紆余曲折をレーベルとして続けたのが、まさしく〈TREKKIE TRAX〉だ。彼らが “IDK - idontknowwhatyoutalkingabout-” のリミックスを手掛けたのは、なかば必然めいたものを感じられる。その上、彼らはULTRA JAPAN 2025のメインステージでこの曲をプレイした。レーベル・クルーであるFellsiusの “Boss House” や、彼らがここぞというときにかけるOutlanderの “The Vamp (TTC Kick Rebuild)” など、〈TREKKIE TRAX〉総集編のようなDJセットの中で燦然と輝く “IDK (TREKKIE TRAX CREW Remix)”。“Strings of Life” が香るピアノのリフに、脱構築されたビートがお台場の空に舞った。

 同じく “IDK” のリミキサーとして、ベルリンを拠点に音楽シーンで暗躍するマーク・リーダーもクレジットに名を連ねている。マンチェスター育ちの彼は、ニュー・オーダーの “Blue Monday” の誕生に立ち会い、石野卓球をベルリンへ送り込んだ。また彼は、Wang Oneと同郷のインディ・バンド “STOLEN” の世界デビュー・アルバム『Fragment』のプロデューサーを務め、自身のレーベル〈MFS〉からリリースさせた。大陸間を横断しながら活動する様はまさに “密輸人”。なお、彼は『Fragment』に収録された “Chaos” のリミックスVer.も提供しており、そちらも大変クールだった。

 今回の “IDK -idontknowwhatyoutalkingabout-(Mark Reeder's Got You Remix)”では原曲にみられるTB-303のニュアンスを尊重しつつ、妖しげなシンセのサウンドをまぶした。ちなみにSTOLENが2024年1月30日と2月1日に大阪と東京でライブを行った際、Wang Oneはスペシャル・アクトとして抜擢されている。このとき披露したのは5曲程度だったが、インパクトは十分だった。

 そしてもうひとり、“IDK” のリミキサーがいる。それが10代なかばのDJ/作曲家・heykazma。“音に溶ける” パーティ〈yuu.ten〉のオーガナイザーでもあるheykazmaは、バイレファンキやジューク/フットワークのようなアブストラクなビートで老獪な音のジャーニーを紡ぎ出す。個人的な体感ではheykazmaのリミックスが最もフロアライクで、構成も明確だったように感じる。

 先のインタヴューによれば、Caseのルーツのひとつにゲーム音楽があるという。作中で流れるサウンドトラックによって、ダンス・ミュージックをはじめとする海外の音楽に開眼していった。昨今の中国ではオーセンティックなテクノやハウスがゲーム音楽として実装されるケースもあり、多くの才能あるトラックメイカーがビッグ・タイトルに関わっている。たとえばTSARなどはYellow Clawのレーベル〈Barong Family〉からのリリースで知られるChaceと共に中国の音楽ファンの間で並べて語られることもあったが、いまや『崩壊:スターレイル』をけん引する存在だ。

 インターネットを介して未知の音楽を発見し、自作曲を発表する。そしてゲームへと回帰。つまりいま、ダンス・ミュージックと接触するのに生身の空間でパーティを開く必要もないのだが、我々はフロアへと誘われてゆく。10代のパーティ・オーガナイザーが率先してイベントをうつのだから、やはりそこには特別な磁場があるのだ。マーク・リーダー、〈TREKKIE TRAX〉、heykazma。3世代にわたって証明されたのは、ネットの有象無象から生まれた情熱の行方なのかもしれない。

 そして中国の大海にも、我々が獲得してきた熱量や憧れと同じ類のものがただよっていた。それらがひとつ形として結実したのが、今回のリミックス盤だ。混沌とする昨今、音楽に世界や社会を背負わせるのは重すぎるかもしれない。だが、本作にはかつて我々がみたユートピアの片鱗がある。

Sleaford Mods - ele-king

 前作『UK Grim』からおよそ3年。スリーフォード・モッズのニュー・アルバム『The Demise of Planet X』が1月16日にリリースされる。先日発表された戦争孤児を支援するための曲 “Megaton” が話題となった彼らだけれど、新作はこの困難な現代で生きることがテーマとなっているようで、ゲストにはオルダス・ハーディングやグライム・ラッパーのスノーウィーの名も見える。
 ちなみにジェイソン・ウィリアムソンは先月、映画『GAME』で主演を務めることがアナウンスされたばかり(UKでは11月21日公開)。この夏日本でも上映された『バード ここから羽ばたく』にもちょい訳で出演していた彼だが、いよいよ本格的に銀幕デビュー、と。
 なおその『GAME』はなかなか興味深い経緯から生まれている。ポーティスヘッドのジェフ・バロウが自身の〈Invada Records〉内に新たに立ち上げた部門、〈Invada Films〉の第一作で、監督のジョン・ミントンはこれまでベス・ギボンズやスリーフォード・モッズ、ガゼル・ツインのMVを手がけてきた人物だ(『GAME』が長編第一作。バロウも共同脚本とプロデュースで参加)。ブリストルで撮影された同作は、1993年の英レイヴ・シーンを背景としたスリラー(!)とのことで、いやこれはかなり観たいでしょ。合わせてチェックしておきたい。

Sleaford Mods
ウィットに富みながらも辛辣に彼らはこの社会を批判する
現代UKパンクの真骨頂にして、労働者階級の代弁者であるスリーフォード・モッズ。
ニュー・アルバム『The Demise of Planet X』を1月16日にリリースすることを発表!
グウェンドリン・クリスティー、オルダス・ハーディング、スー・トンプキンズが参加!
アルバムのオープニング・トラック「The Good Life」をMVと共に公開。

『The Demise of Planet X』は、未来を予測することが非常に困難な状態の中で生きる人生、そして集団的トラウマによって形づくられた人生を表している。前作を書いたときは、停滞――まるで死体のように息をしていない国――についての作品だった。あれから3年、その死体は戦争とジェノサイド、そしてコロナ禍の長引く心理的影響によって切り裂かれ、SNSはグロテスクで歪んだデジタル操作の場へと変貌した。まるで廃墟の中で生きているような感覚。それは俺たちの集団的な精神に刻み込まれた、多層的でおぞましい異形のようなものだ。世界がクソみたいな状況に落ちていく中で自分を褒めるのもどうかと思うけど、『The Demise of Planet X』には本当に満足している。ただ突きつけるだけの作品じゃなくて、ちゃんとメガネをかけて中身を覗き込むように、じっくり味わう必要があるんだ。 - ジェイソン・ウィリアムソン(Sleaford Mods)

社会に対する不満や怒りを、DIYなパンク・サウンドとメッセージ性の強い歌詞と共に表現するスリーフォード・モッズが、ニュー・アルバム『The Demise of Planet X』を2026年1月16日(金)に〈Rough Trade Records〉よりリリースすることを発表した。アンドリュー・フェーンとジェイソン・ウィリアムソンによるこれまでで最もスケールが大きく野心的な作品である本作には、俳優グウェンドリン・クリスティー(『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』『ゲーム・オブ・スローンズ』)が初となる音楽作品への参加及び出演を果たし、さらにはライフ・ウィズアウト・ビルディングスの元フロント・ウーマン、スー・トンプキンスという稀少なゲスト参加に加え、〈4AD〉に所属するオルダス・ハーディング、ソウル・シンガーのリアム・ベイリー、そしてグライムMCのスノーウィーとのコラボレーションを収録。後者2人はどちらもバンドの地元ノッティンガム出身である。そして本日のアルバムの発表に合わせて、アルバムのオープニング・トラックである「The Good Life」がMVと共に公開された。ミュージック・ビデオは、ベン・ウィートリー(『イン・ジ・アース』『MEG ザ・モンスターズ2』)が監督を務め、先述したグウェンドリン・クリスティーとミッドランズ出身のバンド、ビッグ・スペシャルが出演している。

「The Good Life」は、社会的な崩壊と個人的な崩壊が入り混じった感覚を描いている。アンドリュー・フェーンよる切迫感のあるビートと魅惑的なメロディに乗せて、ウィリアムソンがマシンガンのような語り口で、音楽シーンに波紋を呼んだ自身の発言の影響を描き出している。ビッグ・スペシャルとグウェンドリン・クリスティーは、その発言によって生まれた混乱の中で揺れる、彼の内なる葛藤と苦悩の声を代弁している。「“The Good Life”は、他のバンドをけなすこと、そしてそれが自分にもたらす喜びと苦しみについて歌っている。自分自身に問いかけているんだ――なぜ自分はバンドをけなすのか?なぜそんなことをずっと続けているのか?グウェンドリンとビッグ・スペシャルは、俺の心の声を具現化してくれていて、“良い人生(=Good Life)”を楽しむべきなのか、それとも混沌に身を委ねるのかという、内なる葛藤をめぐって議論しているんだ」とウィリアムソンは語る。

Sleaford Mods Ft. Gwendoline Christie & Big Special - The Good Life (Official Video)
配信リンク >>> https://sleafordmods.ffm.to/goodlife

アルバムには、ありきたりな表現を打ち破る先日リリースされたシングル「Megaton」、オルダス・ハーディングによる雲のように軽やかなゲスト・ボーカルをフィーチャーした「Elitest G.O.A.T.」、有害な男らしさを鋭く突く内省的な「Bad Santa」、そしてBBCで60-70年代に放送されていた子ども向け番組『The Magic Roundabout』に着想を得た軽快なラップ・チューンであるタイトル曲などが収録されている。ノッティンガム出身のSSW、リアム・ベイリーは疲れきった世界を嘆くようなソウルフルな歌声で「Flood the Zone」に参加。トランプ主義への痛烈な批判を歌い上げている。グライム・ラッパーのスノーウィーは、「Kill List」で鋭いラップを披露。この曲はベン・ウィートリー監督の同名映画から着想を得たホラー・ヒップホップとなっている。さらに「No Touch」では、スリーフォード・モッズが、惜しまれつつ解散したライフ・ウィズアウト・ビルディングスのスー・トンプキンスをスタジオに招き、ウィリアムソンとのデュエットを実現。ふたりの人間味あふれる声がしなやかなベースラインとオルゴールのようなキーボードのモチーフの上で美しく絡み合っている。

『The Demise of Planet X』は、これまでで最も幅広く、表現力に富んだ音楽的アプローチを見せる作品だ。現代社会を描き出し、批判し、風刺しながら、広がりゆく社会の閉塞感に抗うように、普遍的な怒りとエネルギーの解放を叫んでいる。世界の終焉を大爆発ではなくじわじわと押し寄せる退屈で苛立たしい日常の波として見つめている今作は、鮮烈なサウンド、辛辣な言葉、包み込むような空気感、そして心を惹きつけるウィットによって反撃を繰り広げる。全13曲を通して、聴く者の心と頭、そして足をも揺り動かす作品となっている。

スリーフォード・モッズのニュー・アルバム『The Demise of Planet X』は、CD、LP、デジタル/ストリーミングで2026年1月16日(金)に世界同時リリース。国内盤CDには歌詞対訳・解説書が封入され、ボーナストラックとして先日発売された「Megaton」 7インチのB面に収録された曲「Give ‘Em What They Want」が収録される。輸入盤はCDとLPが発売され、LPは数量限定盤LP(ネオングリーン・マーブル・ヴァイナル)も発売される。また、数量限定のカセットも発売される。

label: Rough Trade Records / Beat Records
artist: Sleaford Mods
title: The Demise of Planet X
release date: 2026.01.16
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=15448

・国内盤CD
(解説書/歌詞対訳付き/ボーナストラック追加収録)
・輸入盤CD
・限定盤LP
(数量限定/ネオングリーン・マーブル・ヴァイナル)
・輸入盤LP
・輸入盤カセット

Tracklist
01. The Good Life feat. Gwendoline Christie & Big Special
02. Double Diamond
03. Elitest G.O.A.T. feat. Aldous Harding
04. Megaton
05. No Touch feat. Sue Tompkins
06. Bad Santa
07. The Demise of Planet X
08. Don Draper
09. Gina Was
10. Shoving the Images
11. Flood the Zone feat. Liam Bailey
12. Kill List feat. Snowy
13. The Unwrap
14. Give ‘Em What They Want (bonus track for Japan)

CD

輸入盤LP

限定盤LP

カセット

Wolf Eyes x Anthony Braxton - ele-king

 〈ESPディスク〉と言えばアルバート・アイラーをはじめ1960年代のアメリカのフリー・ジャズおよびアンダーグラウンドなロックの名盤(奇盤?)を多々残したレーベルとして有名だが、21世紀以降も新録をたびたび世に送り出していることは案外知られていないのかもしれない。たとえば2010年にはイーライ・ケスラーの『Oxtirn』をリリースしているし、米澤めぐみらアメリカ在住の日本人ピアノ・トリオによる『Boundary』(2018年)も〈ESPディスク〉だ。近年活況を呈する韓国のジャズ・アヴァンギャルドからはピアニストのチョン・ウンヘのソロ作『Nolda』(2021年)が出ており、韓国人初の〈ESPディスク〉からのリリースということで現地で話題を呼んだ。そのような歴史ある現在進行形のレーベルから出た2025年の新作の一つがウルフ・アイズとアンソニー・ブラクストンのコラボレーション・ライヴを収めた『Live at pioneer works, 26 october 2023』である。

 ウルフ・アイズは1996年にネイト・ヤングを中心に結成されたアメリカのノイズ系グループ。もともとヤングのソロ・プロジェクトとして始動したが、メンバー変遷を経て現在はジョン・オルソンとのデュオとして活動している。他方のアンソニー・ブラクストンは1960年代後半からキャリアを始め、シカゴのAACM(創造的音楽家たちの進歩のための協会)の初期からのメンバーであり、アルトサックスをはじめ多種類の楽器を扱う演奏家としても作曲家としても膨大かつ独創的な足跡を残してきたレジェンドだ。1994年にマッカーサー財団の「天才賞(Genius Grant)」を受賞したほか多数の賞も受賞している。理論家/教育者としての影響力も大きい。そうした両者がコラボレートするのは今回が初めてではなく、20年前に共演を果たしている。きっかけは2004年にスウェーデンのフェスティバルでブラクストンがウルフ・アイズを聴いたことだったそうで、ライヴ後にブラクストンは彼らのすべてのCD(当時すでに50枚以上は出ていたはずなのだが!)を購入、翌2005年にサーストン・ムーアが企画に関わったイベントでステージを共にし、その模様がアルバム『Black Vomit』として2006年にリリースされた。すなわち今回ESPディスクから出たアルバムは、20年近くの時を経て再び録音作品の制作が実現したことになる。

 正確には『Live at pioneer works, 26 october 2023』が出る前に、ウルフ・アイズが主導するコラボレーション・シリーズの一環として、自主制作で『Difficult Messages Vol. 5 Live in Los Angeles』が2024年にリリースされているが、25分ほどのミニ・アルバムだった。同作の録音が2023年10月4日のロサンゼルス公演で、それから約3週間後の10月26日、ニューヨークの文化センター「パイオニア・ワークス」でのライヴを録音したのが今回のESP盤である。ライヴはパイオニア・ワークスが主催する「False Harmonics」シリーズの第18回として行われ、4組の出演者のうちウルフ・アイズとアンソニー・ブラクストンはイベントのトリを飾った。約20年前の『Black Vomit』が、丁々発止のやり取りだけでなく、微弱な電子音響から耳を聾する轟音、そのノイズの嵐を掻き分けてサックスが浮かび上がるダイナミックな熱気に満ちていたのに対し、新録のESP盤はまさに円熟と呼びたくなる変化を遂げている。そもそも20年前の共演ではウルフ・アイズのメンバーはネイト・ヤング、ジョン・オルソン、マイク・コネリーの3人だったのに対し、コネリーが脱退して(入れ替わるように参加したジェイムス・バルジョーも抜け)、ヤングとオルソンのデュオになったという違いはあるのだが、むしろ音のヴァリエーションはESP盤のほうが豊かに感じるのである。強烈なハーシュノイズ、うねるような電子音、スペーシーなエフェクト音に加え、パイプや電子ノイズがまるでサックスのようなフリーキーな響きを奏でる。そこにブラクストンがソプラニーノ、アルト、さらにバスとサックスを持ち替えながら、時に朗々と、時に素早く、あるいは雑味を交えてフレーズを挟んでいく。場面によってはまるで多重録音された複数のサックスが複層的に絡み合っていくかのようだ。ここにはノイズの海をサックスが泳ぐような構図はないものの、そのことによってかえって、ウルフ・アイズとアンソニー・ブラクストンがさらに一体となっているようにも思うのだ。

 それにしてもブラクストンのサックス演奏は耳を惹きつける。とりわけ今回のESP盤では熱が入る場面も多々あり、唸り声を上げながら息を吹き込む様子には鬼気迫るものを感じた。思えば名盤『For Alto』(1971年)でサックス奏者としての音楽言語を披瀝したブラクストンだったが、近年は演奏家というよりも作曲家/理論家/教育者としての存在感が強かった。実際、今年80歳を迎えたブラクストンを祝してリリースされた8枚組大作アルバム『Trillium X』は彼が取り組んでいるオペラの作品であるし、書籍『Anthony Braxton - 50+ Years of Creative Music』の付属CDである『2 Comp (2023)』もタイトル通りコンポジション作品だった。彼が独自に開発してきた音楽システムを、下の世代のミュージシャンを交えて実践/発展させてきたのが近年のブラクストンの活動の特徴でもあった。あるいは、やはり生誕80周年を記念してサックス奏者スティーヴ・リーマンが捧げたアルバム『The Music of Anthony Braxton』は、現代のジャズ・ミュージシャンが作曲家としてのブラクストンを解釈することに重きが置かれていた。日本でも、新世代を中心とした刮目すべき即興音楽コンピレーション・アルバム『1,000,000 CHARGE OF PSYCHIC YOUTH』に、サックス奏者の山田光が、演歌のようなテーマから始まるブラクストン作曲の “Composition No.77 E” の演奏を寄せていた。そうした状況を踏まえても、今回のESP盤における、声を漏らしながら迫真のパフォーマンスを繰り広げるブラクストンの姿は、演奏家としての現在の彼にあらためて耳を傾けるという意味でも重要だろう。

Miru Shinoda - ele-king

 バンド・yahyelでの活動、〈Protest Rave〉運営メンバーといった一面でも知られる音楽家・篠田ミルが、ソロ・デビュー作となるEP「Pressure Field」を昨年リリース作『epoch』のプロデュースなどで関係を深めた松永拓馬と共同運営するレーベル〈ECP〉より10月22日にリリース。

 映画音楽やサウンド・アートの領域までを広く行き来する傍ら政治的アクションにも積極的にかかわる彼によるEP「Pressure Field」は、変容する社会への疑問を投げかけるかのようなメッセージと、実験性とポップセンスが同居する巧みなサウンド・デザインによって構成された6曲入の作品。音楽家として社会を見つめ、音で問題提起を続けてきたかれなりの、現況へのアンサーか。以下詳細。

Artist:Miru Shinoda
Title:Pressure Field(EP)
Label:ecp
Format:Digital
Release: 2025.11.5
Streaming:https://linkco.re/nBDz4muE

Tracklist:

1. Big Site
2. Hottest Summer
3. Good Morning Mr.Kishida
4. Power Plant - Fukushima 250117
5. Sine Waves in The Rain
6. Path

All songs written/produced/mixed by Miru Shinoda
Mastering: Wax Alchemy
Artwork: Atsushi Yamanaka
Label: ecp
Artist Photo: Kenta Yamamoto
PR: Masayuki Okamoto
Production: スタジオ さ組

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これまで松永拓馬、ACE COOL、Rinsaga、May J.ら多彩なアーティストとの楽曲制作や、yahyelメンバーとしての国内外での活動、また舞台・映画音楽、ファッションムービーのサウンドデザイン、サウンドアートの領域まで、様々な創作の場を越境してきた音楽家・篠田ミルが、ソロデビューとなるEP《Pressure Field》を発表する。

更新され続ける猛暑、身体に染みついた新自由主義、福島の発電所が放つノイズ、雨の中でゆらぐ正弦波。
『Pressure Field』は、圧力変化の個人的な備忘録であり、その音響的な軌跡である。

篠田ミルはこれまで、コロナ禍のライブハウス・クラブカルチャーを守るムーブメント『#SaveOurSpace』や、クラブカルチャーに根ざしたサウンドデモ『プロテストレイヴ』を企画するなど、政治的アクションにも深く関わってきた。

また、2024年には相模原市藤野の自然環境を舞台とした野外イベント『by this river』を開催し、自然環境の中で音楽と観客が一体化するような実験的空間を創り上げた。2025年には、被災地支援を行うbeatfic experimentとのコラボレーションのもと、福島県で開催された『rural 2025』にて、「被災の記憶に耳を澄ますこと」を主題に、ポータブルラジオを使ったサウンドパフォーマンス“Tuning for Pray”を初演。さらに、音楽家・原摩利彦の声がけのもと、パレスチナ・ガザでレコーディングした音を元にした楽曲の購買で支援に繋げる『THEY ARE HERE』プロジェクトへ共同発起人として参加している。

こうした実践に共通するのは、「音と場」の関係性を通じて、社会に対する聴覚的な応答を試みる姿勢である。

今回のソロデビューEPは、これら長年のコラボレーションと分野横断的な経験を凝縮し、個人的なステートメントとして結実させるもの。ポップな感覚とアヴァンギャルドな質感、そして社会や環境への鋭敏な感受性が交差する作品となっている。

また、本作品は2024年に篠田ミルと松永拓馬が設立したレーベル/プラットフォーム「ecp」よりリリースされる。

●篠田ミル / Miru Shinoda

1992年生まれ。音楽家。
2015年にyahyelのメンバーとしてデビュー。以降、松永拓馬やACE COOL、Rinsagaなど多くのアーティストと楽曲提供やプロデュースを行う。また、ファッションブランドのルックムービーや映画音楽、舞台音楽の作曲、サウンドインスタレーションやパフォーマンスの制作にも携わる。
2024年には松永拓馬と共にレーベル・プラットフォーム《ecp》を設立、神奈川県藤野にてイベント《by this river》の開催に携わる。
また、これまでに《プロテストレイヴ》や《D2021》などの表現活動を通じたアクティビズムにも、企画や運営を通じて積極的に参加している。

近年の主な参加作品:
・サウンドパフォーマンス “Tuning for Pray”(2025)
・ACE COOL『明暗』(2024)
・松永拓馬『Epoch』(2024)
・橋本ロマンス『饗宴』(2024)
・Rinsaga『Saga』(2022)
・May J.『Silver Lining』(2021)

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