「S」と一致するもの

Lawrence English - ele-king

 ここのところローレンス・イングリッシュのリリースが活発になっている。自身が主宰するエクスペリメンタル・ミュージック・レーベルの老舗〈Room40〉から鈴木昭男、デヴィッド・トゥープとの共演盤『Breathing Spirit Forms』、イングリッシュのソロ作品『A Mirror Holds The Sky』をリリースしたのだ。両作ともフィールド・レコーディングを主体とした音響作品である。環境音に深く没入するようにリスニングすることでリスナーの聴覚の遠近法が刷新されるような見事な音響作品だ。

 今回取り上げるのは、もうひとつのソロ作品『Observation of Breath』である。このアルバムは〈Room40〉からのリリースではない。シアヴァシュ・アミニ、カリ・マローン、FUJI||||||||||TA、ノーマン・ウェストバーグ、ミキ・ユイ、マッツ・アーランドソンなどのアルバムをリリースしてきたスイスの実験音楽レーベル〈Hallow Ground〉からのリリースである。意外に感じるかもしれないが、イングリッシュは同レーベルにおいてマスタリングを手がけてきたので唐突なことではない。
 音楽性は環境音主体の〈Room40〉からの『Breathing Spirit Forms』『A Mirror Holds The Sky』とは異なり、ローレンス・イングリッシュがこれまでリリースしてきた多くのアルバム、特に近年の『Wilderness Of Mirrors』(2014)、『Cruel Optimism』(2017)、『Lassitude』(2020)などで追及されてきたダークなトーンのドローン作品である。ちなみにこれらの作品で用いられたオルガンはブリスベンのミュージアムに収蔵されていた1889年製のオルガンという。

 『Observation of Breath』は、イングリッシュが追求してきた「ドローンという音楽」の達成ともいえるアルバムである。クラシック・オルガンの機能・性能を追求し、人間の呼吸のリズムに深く作用するようなドローン作品に仕上げているのだ。音の持続と循環が呼吸のように持続していると言うべきか。呼吸のように音が生成し、そして変化し、人の感覚の中で音は拡張されていくのだ。
 本作は、シャルルマーニュ・パレスタインの提唱する「マキシマル・ミュージック」に挑戦したドローン作品という。現代的な音響に視点を向ければ、カリ・マローンや FUJI||||||||||TA などのモダンにしてクラシカルなオルガン・ドローン作品の現代的系譜に連なるアルバムともいえよう。ここにあるのはミニマリズムを超えてマキシマリズムに至るドローンである。

 アルバムには全4曲が収録されている。1曲目と4曲目がそれぞれ10分と20分の長尺で、2曲目と3曲目がそれぞれ6分と2分40秒ほどのトラックだ。アルバムの曲は、オルガンの音が中心である。そのアブストラクトなサウンドを聴きこんでいくと、オルガンの音がまるで顕微鏡で拡大されたかのように拡張されていく。
 特にアルバムの最終曲である4曲目 “Observation Of Breath” は、20分に及ぶ長尺の楽曲で、アルバムを象徴するような曲といえよう。オルガンの音色が、柔らかくも霞んだ理想的な音色を生成し、没入的なドローン・リスニングへと誘ってくれる。もちろん1曲目 “A Torso” もアルバム特有のサウンドスケープを鳴らしているし、2分42秒の小曲である3曲目 “And A Twist” では二音の往復によってドローンから旋律へと変化する音楽の原型のようなサウンドを聴かせてくれる。まさにドローン作品の逸品である。

 それにしてもわれわれはなぜアンビエント/ドローンを聴くのか。メロディもリズムも希薄な音響作品になぜ深く魅了されてしまうのか。いろいろな意見があるだろうが、音へのフェティシズムを得る快楽と、心に安らぎと静謐さを与えるためではないか。一定のトーンの持続音の連鎖に耳を澄まし、その微細な変化に耳を澄ますこと。不安定な知覚の揺れを、持続する音によって調整・調律すること。心の平穏を得ること。
 しかしだからこそ、この『Observation of Breath』において各曲が唐突に、途切れるように終わるのはなぜなのかと考えてしまうのだ。ロマン主義的なサウンドを断ち切るような終わり、中断。音という現象の終わり。もしかすると現在のローレンス・イングリッシュは、ドローンを過度に精神的な安定剤のようにするのをどこかで避けたがっているのではないか。音の物質性を追求するマテリアリストのように。

 ロマンティシズムとマテリアリズム。彼にはこの二種の顔がある。これは00年代のローレンス・イングリッシュの頃からみられた傾向だ。例えばマテリアリストなサウンド・アーティストとしての側面は『it's Up to Us to Live』(2009)、ロマンティックやアンビエント・コンポーザーとしての側面は『A Color for Autumn』(2009)というように。しかし10年代から20年代にかけて、この二つが融合しはじめているように感じられるのである。自分はその傾向を非常に興味深く思っている。

 10月にリリースされるローレンス・イングリッシュとジェイミー・スチュワートとのユニット、ヘキサの新作アルバム『Material Interstices』は、そのタイトルからしてマテリアストとしての側面が存分に発揮されているアルバムではないか。
 そう、ローレンス・イングリッシュは、音の探求者であり、音のロマン主義者であり、現代的なドローンの実践者であり、音のマテリアリストでもある。そしてレーベル主宰者とし、さまざまなアーティストを繋ぐ存在でもある。
 彼の音の追求は、さながら人生のように出会いと出会いを重ねながら続いていくのだろう。

Porter Ricks / Thomas Köner - ele-king

 この夏、名作『Biokinetics』が25周年記念盤として再発売されたポーター・リックスだが、喜ばしいことに、長らく入手困難だったセカンド『Porter Ricks』も〈Mille Plateaux〉からリイシューされている。

Porter Ricks
Porter Ricks

Mille Plateaux
2021/9/10

https://forceincmilleplateaux.bandcamp.com/album/porter-ricks

 また、トーマス・ケナーのソロ作品の方も相次いで復刻されており、95年にユトレヒトの〈Barooni〉から出ていたドローン作品『Aubrite』と、97年作『Nuuk』もリイシューされている。こちらも入手困難だっただけに非常にありがたい。ダークで凍てつくドローンを思う存分浴びましょう。

Thomas Köner
Aubrite

Mille Plateaux
2021/9/10

https://forceincmilleplateaux.bandcamp.com/album/aubrite

Thomas Köner
Nuuk

Mille Plateaux
2021/7/16

https://forceincmilleplateaux.bandcamp.com/album/nuuk

Tirzah - ele-king

 夏が来る前のこと、年内にティルザの新譜が出る予定だと知ったときには心躍るものがあった。ポップ・ミュージックこそ実験であり、冒険すべき未来がまだあるのだと、そんなヴィジョンを甘美なエレクトロニカR&Bとでも呼べそうな1枚として具現化した2018年の『Devotion』は、これだけ情報過多な今日でもたまに聴きたくなるアルバムだ。幼友だちのミカチュー(広くはオスカーにノミネートされたこともあるMica Leviとして知られる)と作り上げたデビュー・アルバムは、言うなれば90年代後半のビョークを更新する音楽で、レトロな意匠をもったゼロ年代UKのシンガーたちとは対照的に、スタイルよりもテクスチュアに、個人よりもサウンドに重きが置かれている。
 もっとも、歌モノのバックトラックをそうした現代風エレクトロニカにする向きは、ここ数年はとくに他にもたくさんいる。またそれかよ、などと思われた方もいるかもしれない。が、その一群において『Devotion』が頭ひとつ抜けていたのは、ミカチューによるサウンドプロダクトの妙技はさておき、なんと言ってもティルザに歌手としての魅力があるからに他ならない。彼女の声は、自分を思う存分に主張するような性質のものではない。滑らかな優しさを持っているそれは、抽象的でありながら親密で、夜の大気に溶けていく、喩えるならそんな感じだ。というわけで、彼女の新作は楽しみでしかなかった。

 それでまあ、数ヶ月前に先行リリースされた“Tectonic”を聴いたわけだが、これが正直なところぼくには最初ぴんと来なかった。『Devotion』とはずいぶんかけ離れているというか、ミニマル・ビートと語りに近い彼女のヴォーカルとのコンビネーションによる“Tectonic”は、前作がロマンティックな夜風ならこちらはマンホール下の艶めかしい廃棄物ように思われたのだ。身勝手な話だと思うが、それはぼくが彼女の音楽に望んでいたものではななかった。
 しかしながら、人生においてもっともきつかった夏が終わり、“Tectonic”から数ヶ月という時間を経たうえで、ようやく届いたアルバム全曲を最初から通して聴いてみたところ、自分の感性がティルザ&ミカチューの冒険心についていけなかっただけのことだったと、そう思い知った。これはすごいアルバムだ。前作から3年、33才になったティルザはこの間結婚し、二度出産を経験している。人生の幸せな時期にいると言えるだろう。そんなときに彼女が選んだのはサウンドを更新すること、赤ちゃんを寝かしつけた後、友と一緒にさらに夜を冒険をすることだった。
 1曲、彼のパートナーであり、シャバカ・ハッチングスとも共演しているジャズ・ミュージシャンのクウェイク・ベイスと、ロンドンでもっとも謎めいた芸術家のひとり、ディーン・ブランドとの共作がある。その曲“Recipe”は初期のトリッキーのダークサイドを迂回しながら、インダストリアルな響きを持ってアンビエントへと発展する。じっさい彼女はまだ無名だった2014年、トリッキーのアルバムで2曲歌っているわけだが、なるほど本作はブリストル・サウンドにおける暗い揺らめきと共鳴しているように感じる。“Tectonic”だって、そしてまた、前作に引き続いてのゲスト参加のCoby Seyと一緒に歌う“Hive Mind”という曲も、マッシヴ・アタックがやるべきサウンドを彼女たちが先にやってしまった感がある。

 『カラーグレード』は真夜中の音楽だ。ゼンマイ仕掛けのドラムンベースが綿のようなシンセ音とともに繰り返されるなか咳払いしながらその美しい歌唱を響かせる“Beating”、歪んだギターに機械の軋みを交えながら歌が流れる“Sleeping”、壊れた8ビート・ドラムと一緒に囁くように歌う“Send Me”、トム・ヴァーレインをトリップホップで再現したかのような“Skin In”……。曲は音数少なく静的で、ときに官能的で、ときにおおらかで夜風のように優しい。聴くたびにイメージが湧き上がり、脆弱な日々のなか、ティルザが音楽に夢中にさせてくれる。ここにはぼくが望んでいた以上のものがあった。

DJ TASAKA - ele-king

 自らのレーベル〈UpRight Rec.〉を立ち上げ、3作目となるアルバム。リリースはデジタルのみで、2020年の『Goodie Bag』から、1年と経たずにリリース。ここ数年の活動を振りかえると、どこか長いインターバルからの再始動……と思っていたが、実際は自身のレーベル第1作目となる2015年のアルバム『UpRight』以前は、2009年『Soul Clap』からのリリースでその間は6年。その前が2005年『Go DJ』ということを考えれば実はマイペースに定期的にリリースしていて、逆に言えば、その5年後の『Goodie Bag』からの本作というのが、異例のインターバルの短さでリリースされたということになる。ちなみに2017年には、長いキャリアでは初となる、実は中学時代からの友人だったという JUZU a.k.a. MOOCHY とのエスノ・サイケデリックな、テクノ・プロジェクト、Hightime Inc.のアルバムもリリースしている。

 と、この勢いを感じるタイミングでリリースされた本作『KICK ON』であるが、デジタルのみという潔いフットワークの軽さも含めて、おそらくだが作品制作の充実感がダイレクトに反映された作品ではないかと思う。個人的には、一連の近作3作品のなかで最も愛聴している作品という感じで、それはもちろんタイミングが全てではなく、自分が思う DJ TASAKA のサウンドのうまみがシンプルに出た作品だからではないかなという。そのうまみとは、具体的に言えば、ファンクやディスコ、ヒップホップが溶け込んだ野太くもしなやかなグルーヴのエレクトロ、ハウス、テクノだが、なんというか、ずっしりと重いファンクネスはあれど、インダストリアルでメカニカルなのに堅くないというのが結構重要で、それこそフロアを笑顔にするような温かなユーモアの感覚とともに、それはある種の「軽さ」となってグルーヴの方向性を決定づけているようにも思うのだ。軽やかな心持ちのヘヴィーなファンクネス。ここ数年でおこなってきた作品の魅力がシンプルに融合して、凝縮している。まぁ、月並みな表現だが、ともかく聴いていて楽しくなるファンキーなテクノやハウスの魅力がこれでもかと襲ってくる。なんとなくだが、ここ数年でリヴァイヴァルしてきている、1990年代初頭のファンキーなハウスやブレイクビーツ・テクノ的なレイヴ・トラックにも通じるようなグルーヴもあって、そのあたりもこの作品を聴きこんでいる理由かもしれない。

 アルバムはゆっくりとブレイクビーツ・ダウンテンポ、そしてセカンド・サマー・オブ・ラヴのパイレーツ・ラジオ集成に着想を得たとおぼしき、メランコリックなブレイクビーツ “'88 RADIO” (名曲)でスタートする。ちょっと意外な感触からスタートするが、まさに前述したようにバウンシーなドラムとベースラインがフロアを笑顔でロックする “Aaahh” で一気にヴォルテージをあげていく。個人的に本アルバムでよく聴いているのが中盤から後半でベースラインが気持ちいいディープ・ハウス “Oh Dear”、レイヴの雰囲気をまとったブレイクビーツ “Whoop”、性急なアシッド・トラック “Touch It” あたりの3曲だ。アップリフティングなディスコ・テクノ “Rulers of the Generation” ときて、アルバムを締めるエレポップ的な “Open the Gate” のエンディング・テーマのように終わっていく感じもいい。

 全体的に、いわゆる12インチ的なダンス・トラックのようなストリクトリーにミニマルな構成という感覚よりも、アルバム1枚として飽きさせずに「フロアの感覚」のリスニング体験が持ち込まれていて、そのあたりはなんというか、石野卓球のソロ・ワークにも通じるもので、テクノとしてのツボを充分に押さえつつも、いわゆるわかりやすい「歌」や「メロディ」にそこまで頼ることなく、そこはあくまでもテクノという表現に自覚的というか、それでいてポップにその作品を聴かすという明確な意志を感じる作品でもある(もちろんこれはいまにはじまったことではないが)。前述のような彼のサウンド・カラーのうまみを伝えるサウンドの感覚も良い。現在のスピーカーや他のリリースのなかにあっても、確実に自身のサウンドのそうしたうまみを「聴かす」処理がなされている感覚がしていて、自らのカラーとそうしたアップデート感が絶妙なる塩梅で迫ってくる。そのあたりの采配も本作をより魅力的なものにしている。作品を良作に至らしめる、ある種の余裕と、それまでの着実なキャリアが無意識ながら強固に結びついたサウンドの説得力、それが本作品にもびっちりと溢れていると言えるだろう。

新時代の扉がいま開かれる──
ビジネス、社会、ゲーム……私たちの生活はどう変わるのか?

最近ニュースなどでよく見かけるようになった “メタヴァース”。
オンライン上の3D仮想空間のことを指すそれは、“インターネットの後継” とまで呼ばれている。
はたしてそれは私たちにどのような影響を及ぼすのか?

セカンドライフ、VRChat、cluster、「バーチャル渋谷」、フェイスブック、Oculus Quest 2、ブロックチェーン、NFT、『フォートナイト』、『Roblox』、MMORPG、『竜とそばかすの姫』、『ソードアート・オンライン』……

いま多方面から注目を集める “メタヴァース” を初心者向けに解説、
様々な角度からその魅力に迫る!

インタヴュー:三淵啓自、宇川直宏(DOMMUNE)、國光宏尚&新清士(Thirdverse)、今井晋、TREKKIE TRAX、池上英子、藤嶋咲子
コラム:飯田一史、小谷真理、斉藤賢爾、白石嘉治、巽孝之、田中 “hally” 治久、藤田直哉、三田格、エフゲニー・モロゾフ


contents

◆interview
三淵啓自 メタヴァースが変える世界──先駆者セカンドライフの持続性から未来を探る
宇川直宏 無限の幻想を共有すること──ヒッピー・ムーヴメントが果たせなかった夢の続き
國光宏尚&新清士 来るべき「オアシス」への道筋──SNSとゲーム、VR、ブロックチェーンの交差がメタヴァースを実現する (取材:葛西祝)
今井晋 スラングと身振り手振りの重要性──『フォートナイト』が脚光を浴びた理由
TREKKIE TRAX クラブ・カルチャーをもう一回やり直している感覚──VRChatでワールド・ツアーを敢行、DJ集団が目撃した景色とは
池上英子 人間は古来よりずっとアヴァターを使ってきた──文明そのものを成り立たせるヴァーチャルの力
藤嶋咲子 「声」の熱量を、意志を表現する──ヴァーチャル・デモの可能性

◆how-to
メタヴァースを体験するには何が必要? 事前に用意しておきたいもの
実際にメタヴァースを体験してみよう① ヴァーチャルSNS/ソーシャルVR編
実際にメタヴァースを体験してみよう② オンライン・ゲーム/ゲーム型コンテンツ編

◆column
巽孝之 『スノウ・クラッシュ』使用前後──ニール・スティーヴンスンのSF的想像力
斉藤賢爾 ブロックチェーン、NFTと個別に構築されるメタヴァース
田中 “hally” 治久 プレヒストリック・メタヴァース──「ごっこ遊び」はいかにして「メタヴァース」へと至ったか
藤田直哉 『竜とそばかすの姫』と日本的メタヴァース
飯田一史 アインクラッドはなぜ特別なのか──『ソードアート・オンライン』におけるアヴァターの「顔」
白石嘉治 「分身」の夜のうた──VRの淵源、アルトーの「潜在的現実」によせて
小谷真理 現実における性差の歪さをいかに変えることができるか──漫画『ルサンチマン』が突破した壁
三田格 異世界へ転生すると何が起きる?──メタヴァースの先にあるもの
エフゲニー・モロゾフ もうひとつのデジタル世界は可能だ──プライヴァシーの向こう側 (訳:土田修)

オンラインにてお買い求めいただける店舗一覧
amazon
TSUTAYAオンライン
Rakuten ブックス
7net(セブンネットショッピング)
ヨドバシ・ドット・コム
Yahoo!ショッピング
HMV
TOWER RECORDS
紀伊國屋書店
honto
e-hon
Honya Club
mibon本の通販(未来屋書店)

P-VINE OFFICIAL SHOP
SPECIAL DELIVERY

全国実店舗の在庫状況
紀伊國屋書店
三省堂書店
丸善/ジュンク堂書店/文教堂/戸田書店/啓林堂書店/ブックスモア
旭屋書店
有隣堂
TSUTAYA
未来屋書店/アシーネ

Koji Nakamura - ele-king

 先日《Hardcore Ambience CH.》の映像作品を公開したばかりのナカコーからまたも嬉しいお知らせです。なんと、ワンマン・ライヴが決定しました。11/24と11/25に下北沢440にて、11/27に茨城は取手Atelier ju-touにて開催。ドラムに沼澤尚、ベースに345を迎えたトリオ編成で、ナカコーはギターとヴォーカルに専念します。セットリストもすでに公開されています(下記参照)。これは楽しみ!

interview with BADBADNOTGOOD (Leland Whitty) - ele-king

 トロント出身の3人組のバンド、バッドバッドノットグッド(以下BBNG)の、5年ぶりとなるニューアルバム『Talk Memory』がリリースされた。
 BBNGは、トロントの有名大学、ハンバーカレッジのジャズ・プログラムで出会った、アレックス・ソウィンスキー(ドラム)、チェスター・ハンセン(ベース)、リーランド・ウィッティ(サックス、ギター)から成るバンドで、数多くのアーティストとのコラボレーション活動で知られている。2010年結成以後、ヒップホップを中心とした楽曲のインストゥルメンタル・カヴァーが注目され、その後自身の作品リリースと並行して、ゴーストフェイス・キラーと共作アルバムを発表し、ケンドリック・ラマーをはじめとする人気アーティストの楽曲プロデュースを手がけるなど、彼らはつねにバンドの外の世界と混じりあいながら活動を進めてきた。MFドゥームダニー・ブラウンサンダーキャットフランク・オーシャンからスヌープ・ドッグ、ブーツィー・コリンズまで、彼らの共演者は枚挙に暇がない。
 2014年、彼らが初めてレーベルと契約したアルバム『III』のリリース時、大阪にある小規模ライヴハウス、CONPASSで彼らのライヴを見た。当時、彼らを形容する新世代ジャズという言葉が指す音楽は、いまほど振り幅が広くなく、ヒップホップのビートを強調する生演奏といったイメージがあったが、実際見たライヴはむしろロック・バンドの印象に近かった。レイドバックするグルーヴよりも、前に前に繰り出す音の波動が、衝動的なエネルギーと同時に発散されていて、演奏する彼らもオーディエンスも同じようなフィーリングを交換し合っていた。終演後もバンド・メンバーは観客と写真を撮り合い、自分たちの写真をコラージュした手作り感満載のステッカーを手渡しで配っていた。
 数年が経ってリリースされた2016年のアルバム『IV』には、作り込まれた緻密な作風があり、ライヴのカジュアルな印象との違いに驚いたが、その後の大規模な世界ツアーの反響を見ると、彼らの演奏は大きな会場になっても以前のライヴと変わらないテンションを持っていることがわかった。そして、なぜここまで多くのアーティストが彼らとコラボレーションしてきたのか合点がいった。
 インタヴューでも答えてくれているが、ツアー中にウッドブロックを紛失してしまったことがあり、空になったウィスキーの瓶を用いた、「ジムビームのパーカッション」の演奏が盛り上がりメディアでも取り上げられていた。その曲はケイトラナダと作った “Lavender” だったのだが、この曲を聴いた筆者の子供たちが、手元にあった割り箸をとっさに掴み、思い思いにリズムを取りはじめたのには驚いた。この様子に、瓶を叩く彼らの姿が重なり同じ音楽を共有するというリアルな感覚を覚えたからだ。なるほど、彼らの音楽には、共に音を出したくなる魅力があるのだろう。今年 TikTok で大ヒットした “Time Move Slow” のリメイク動画も、同じような衝動から生まれたに違いない。BBNGの音楽がここまで広がりを見せるのは、音楽への衝動を引き出す力が、彼らの活動の中に備わっているからなのだと思う。
 さて、今回のニュー・リリースは、どんなメンバーがコラボレーションに加わっているのだろう。過去と現在を繋ぎ新たな文脈で自己を表現する、地域も時代性も異なるアーティストが集結している。ブラジルの伝説的なアレンジャー/プロデューサーのアルトゥール・ヴェロカイ、マンチェスター出身で現代のUKシーンを代表するプロデューサー、フローティング・ポインツ、アンビエント/ニューエイジの巨匠、ララージ、デトロイトのジャズとクラブ・ミュージックを体現するドラマー、カリーム・リギンス、そのデトロイトでハープをジャズに取り入れた先駆者、ドロシー・アシュビーを継承するブランディー・ヤンガー、Pファンクの真髄を知るLAのプロデューサー/サックス奏者、テラス・マーティン。さらに、UKからジョー・アモン・ジョーンズ、日本では Ovall といった世界中のミュージシャンが先行シングルをカヴァーし、このリリースは大きなプロジェクトへと発展しはじめている。
今回のインタヴューは、サックスやギターなど複数の楽器を操るマルチプレイヤー、リーランド・ウィッティが担当してくれた。非常に温和な対応が印象的だった。

メロディに関しては、歌えるようなメロディを作ろうと心がけているよ。歌えるようなら愛着も湧くし、記憶に残りやすいと思うから。その代わりテクスチャやサウンドをユニークなものにしたり、ハーモニーを少し複雑なものにしたりする。

少し前の話からはじめたいのですが、前作の『IV』の成功で世界を飛び回ってツアーをしてきたと思います。その中で印象的な経験を教えてください。

リーランド・ウィッティ(Leland Whitty、以下LW):そうだね、僕たちは確かにツアーで世界各地を回ることができた。その思い出はひとつひとつが特別なものだけど、特に印象に残っているのは、ホームのトロントにある Massey Hall という会場でやったギグ。レッドブルが主催のイベントで、たくさんの友人を誘って彼らと一緒に演奏することができて、弦楽部門も入れることができた。トロントを象徴する、とても美しい会場なんだ。僕たちは今までに Massey Hall で数多くの公演を見てきたから、自分たちがそこでギグをやるということは僕たち全員にとって特別なことだった。もうひとつ印象に残っているのは、サンパウロでアルトゥール・ヴェロカイの前座を務めたとき。彼のセットはオーケストラが入っていて、その最後の4曲で僕たちもジョインして、僕たちがいままでずっと大好きな曲として聴いてきた、アルトゥール・ヴェロカイの曲を、彼のオーケストラと一緒に演奏した。感激するほど素敵な体験だったよ。あの機会があったから、アルトゥール・ヴェロカイとの関係性を確立できたと思う。

この数多くの経験が『Talk Memory』にフィードバックされていると思いますが、曲作りからレコーディングまでのプロセスを教えてください。

LW:様々な場所でライヴをしてきたという経験は、今回のアルバムの大きなインスピレーションになっている。僕たちは、とても長い間、アルバム『IV』のツアーをしていたから、その期間に、アルバムの曲を進化させて、形を変化させていったり、即興演奏を長く取るようにしていった。そうしたことで、曲がさらに自由になっていったという実感があったから、それを今回のアルバムの音楽に反映させたかった。今回のアルバムの考え方としては、全てが前もって作曲され、練習されているということだった。レコーディングの2ヶ月前に曲が完成されていたものが多かったと思う。だから曲は、とても新鮮なもので、かつ、丹念に練習されていたから、レコーディングのプロセスはとても手短に、シームレスにおこなうことができた。自分たちがどういう演奏をして、何を成し遂げたいのかということが既に明確になっていて、自信もついていたからね。だからレコーディングのときは、ライヴでおこなう即興演奏のような感じはあまりなかったんだ。

でも今回のアルバムには即興された部分も収録されていますよね?

LW:その通り。全ての曲は、それぞれメロディ、ハーモニー、形の構成が全てでき上がっているんだけど、そこに大抵、ひとりかふたり分のソロを入れられる余白が残してあるから、そこで即興ができるようになっているんだ。元々の構成をしっかり作って、それに自信を感じられるようになっていたからこそ、即興をするというときに、より自由に演奏することができたと思う。

ツアーのインスピレーションと言えば、新録に収録されている “Open Channels” ではウッドブロックのリズムが印象的でしたが、もしかすると、ツアーでお馴染みになったジムビームのボトルパーカッションを使っていまか?(笑)

LW:ハハハ! アルバムでもそうすれば良かったね! 実際に使ったのは本物のウッドブロックだよ(笑)。“Lavender” という曲をライヴで演奏したときに、曲にはサックスのパートがないから、僕はパーカッションをやったんだけど、パーカッションが行方不明になっちゃったから、ジムビームのボトルをシンバルのスタンドにくっつけて、それを使ったんだ。

盛り上がっていましたよね。BBNGの曲を聴いていると、耳に残るメロディがあって、70年代のレコードと重なるようなときがありますが、過去のそれとは異なる何かが混じって新鮮な響きなり、それがBBNGの個性になっている気がします。曲作りではどんなことを意識していますか?

LW:感情に訴えかけるような音楽を作ろうという意識はある。メロディに関しては、僕たちそれぞれのアプローチがあると思うけれど、僕個人としては、歌えるようなメロディを作ろうと心がけているよ。メロディに関しては、知性に訴えるものである必要はないと思っていて、歌えるようなら愛着も湧くし、記憶に残りやすいと思うから、僕個人はそういう面を大切にしている。その代わりテクスチャやサウンドをユニークなものにしたり、ハーモニーを少し複雑なものにしたりする。それが君の言っていることかもしれないね。メロディを、より現代的で個性的なものへと昇華させる。それにしても、僕たちの音楽が古くて馴染みのある感じに聴こえるというのは嬉しいことだね(笑)

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僕たちはアルトゥール・ヴェロカイの大ファンだから、一切のディレクションをしなかったんだ(笑)。そしたら彼はアレンジの音楽を作曲して、スタジオを予約して、ミュージシャンを雇って、録音した音楽を僕たちに送ってくれた。それを聴いた僕たちは一瞬で圧倒されたよ。

新作について、話を移しますが、今作はBBNGの初期の作品の影響となったアーティストのオマージュとのことですが、まずその点についてお聞きしたいです。

LW:僕たちがアルトゥール・ヴェロカイを知ったのは、MFドゥームが彼をサンプリングしていたのがきっかけだった。だからこのふたつのコネクションは非常に強い影響だと思う。特にBBNGの初期の影響はジャズとヒップホップだからね。ジャズをサンプリングしたという影響も大きかったし、サンプリングという技術のおかげで、僕たちは、ブラジル音楽や、その他のジャンル──MFドゥームを発見していなかったから聴いていなかったかもしれないジャンル──の音楽という世界への扉が開けた。だからアルトゥール・ヴェロカイとMFドゥームからは強い影響を受けている。今作に関して言えば、僕個人としてはブラック・サバスやマハヴィシュヌ・オーケストラ、マイルス・デイヴィス、フローティング・ポインツなどもたくさん聴いていたよ。

他にもたくさんの共演者がいますが、過去の音楽を継承しながら自分の色を作っている現在のアーティストや、現在の音楽シーンで新たなイメージで活躍しているベテランがいて、地域も世代も幅広い人選になっていますね。

LW:人選についてはその通りだと思うね。実際に会ってレコーディングしたのは、テラス・マーティンカリーム・リギンスのふたりだけで、それは僕たちがロサンゼルスでこのアルバムをレコーディングしていて、彼らがロサンゼルスにいるアーティストたちだったという理由から。元々彼らとはツアーをしているときに知り合って、交友がはじまった。もちろんそのずっと前から彼らのことは知っていたけど、彼らのライヴを実際に聴いてから、より刺激を受けた。だからこのふたりと一緒にレコーディングできたのはラッキーなことだった。その後に、アルバムのメイントラックを全て撮り終えたんだけど、パンデミックが発生してしまったから、残りのゲストたちとのやりとりは全てEメールだったんだ。まあそれもあって、国や地域性を特に意識せずに、誰とコラボレーションしたいかということを自由に考えることができた。でもやっぱり、ゲストたちと仕事をするときは、同じ空間で一緒に音楽をやる方が断然いいよ。今回はララージブランディー・ヤンガー、そしてアルトゥール・ヴェロカイに自分たちの音楽を送ってという形になったけれど、彼らとコラボレーションできたのは素晴らしい体験だった。

ゲストとはそれぞれどんなやり方でレコーディングをしたのでしょうか? コンセプトやイメージを共有するために取った方法を教えてください。

LW:最初に(リモートで)コラボレーションしたのはアルトゥール・ヴェロカイだった。僕たちは当初からストリングスのアレンジを音楽に加えたいと思っていて、自分たちでアレンジをしようかと考えていたんだけど、誰かがアルトゥール・ヴェロカイに頼んでみようと提案したんだ。アルトゥール・ヴェロカイは非常に多作な人で、いまでも数多くのアーティストたちのプロジェクトを手掛けているにもかかわらず、僕たちのプロジェクトに関わることに対しても快諾してくれた。僕たちはアルトゥール・ヴェロカイの大ファンだから、彼に対して「あなたが手がけるものなら何でも、僕たちの音楽にぴったりとはまると思います」と言って一切のディレクションをしなかったんだ(笑)。そしたら彼はアレンジの音楽を作曲して、スタジオを予約して、ミュージシャンを雇って、録音した音楽を僕たちに送ってくれた。それを聴いた僕たちは一瞬で圧倒されたよ。
 その次に依頼したのはララージだったかな。僕たちはララージの音楽もずっと聴いてきていて、今回の “Unfolding” という曲に彼の美しいテクスチャを全体的に加えたら、素敵なアンビエントな曲になって、とても合うと思った。彼とはZoomで連絡を取り合っただけで、実際にはまだ会ったことがないんだ。ララージは自宅にスタジオのセットアップができていたから、そこで録音してもらった。
 ブランディー・ヤンガーも、彼女の自宅でレコーディングしてもらったんだけど、彼女は僕たちにいわゆる「贅沢な悩み」を与えてくれた。彼女は “Talk Meaning” の演奏を3テイク分、送ってくれたんだけど、3つともすごく素晴らしくて、ひとつずつが個性的なものだったから、選ぶのがすごく難しかったんだ。しかもそれが、アルバムを完成させてミックスへ送る直前の、パズルの最後のピースだったんだ。

アルトゥール・ヴェロカイに関しては何の指示もしなかったということですが、他のゲストたちとはコンセプトやイメージを共有したのでしょうか? それとも音楽をゲストに送るだけで後はゲストに任せるという感じでしょうか?

LW:ほとんどの場合、ゆるい感じの指示しかしない。例えば、ララージのときは、彼特有のドローンな感じを曲全体に纏わせてくれたらいいと思って、そういう漠然とした感じを伝えた。僕たちの指示がなくても、ララージは自分で選択した道を歩んで、最終的にあの仕上げ方をしていたと思うけれどね。ブランディーの演奏に関しては、ジャズで言う「コンピング」という、メロディーに合わせて伴奏する形式に近かった。ハープはとても美しい響きを持つ楽器だし、彼女の演奏も素晴らしいから、僕たちの漠然とした指示だけでも良いコラボレーションになった。“Unfolding” と “Talk Meaning” はどちらもオープンな曲というか、余白が十分に残された曲だったから、ララージもブランディーも自分たちが望むような演奏ができたと思う。

アーティストのたまごのような人たちにとって、他の人たちとアイデアを共有したり話し合ったりすることのできるコミュニティがあるということは、お互いの成長を助けるという意味でとても大切だと思う。

前作は自分たちのスタジオでのレコーディングで、今回はLAのヴァレンタイン・スタジオでの録音ですが、どんな違いがありましたか?

LW:前作『IV』は自分たちのスタジオでレコーディングしたから時間的な余裕があった。前作も今作もテープに録音されたものなんだけど、テープ録音をするときは、ある特定の姿勢でその録音方法に取り組まないといけないんだ。だけど、前作は時間的な余裕があったから、細かいことを気にして直したり、セッティングを変えたり、完璧なシンセのトーンを見つけようとしたりして、時間を贅沢に使っていた。僕はオーバーダブを何度もやって、自分のパートや演奏に対して過剰に批判的になって、完璧なものが撮れるまで録音を延々とおこなっていた。でも、LAのヴァレンタイン・スタジオでレコーディングしたときは、状況は全く違うものだった。主な理由としては、スタジオ・エンジニアのニックがものすごく早いペースで仕事をする人で、僕たちがどんな提案や難題を彼に投げても、つねにレコーディングする準備ができているというタイプの人だったからなんだ。だからニックはバンドのもうひとりのメンバーみたいな感じだったよ。さっきも話したように、今回のアルバムでは、曲を事前にしっかりと練習していたから、自分たちがやりたいことが明確になっていた。だから今回のレコーディングの方が、前回よりもずっと少ないテイク数で終了した。通常なら、僕たち全員が満足するものが撮れるまで何度もレコーディングするんだけど、今回は全ての曲が4テイク以下で済んだ。

前回のように、レコーディング機材のセッティングは頻繁に変えて工夫しながら録ったのですか?

LW:セッティングは少し変えたけれど、全ては僕たちがアクセスしやすいようにセッティングされていた。機材に関しては、ヴァレンタインは60年代に作られたスタジオだから、そこにあった機材の多くは、僕たちが最も好きな60年代という時代からのものなんだ。そういう機材に囲まれてレコーディングできたのもアルバムに影響を与えたと思うよ。保存状態が完璧なヴィンテージのマイクや、美しいミキシング・コンソールや外付け型のプレアンプやイコライザーなどは、アルバムのプロダクションに大きな影響を与えたと思う。楽器に関しては、僕たちはトロントからLAに行ったから、必要最低限のものしか持っていかなかった。僕はサックスとフルートを持っていき、チェスターはベースを持っていき、アレックスはシンバルを持っていったけれど、それ以外のものは全てスタジオに完備してあった。ギターやアンプなど素晴らしいコレクションが備わっていたよ。僕がいままでに触ったピアノや聴いたピアノの中で最も美しい音を出すスタインウェイのグランド・ピアノもあったし、フェンダーローズもあった。そういう素晴らしい楽器がたくさんあったから、実際に自分たちでそういう楽器を弾いてみると、とても良い刺激になった。

いまの時代は技術革新が進んでいるから、スマートフォンやノートパソコンを使える人なら誰でも、良い作品を作ることが可能だと思う。でも僕は音楽というものは、それ以上に、コラボレーションが基盤となっている活動だと思っている。様々な人たちと様々な環境で一緒に仕事をしていくという技術を身につけることは非常に重要なことだと思うから、それが将来、不要なものとしてなくならないことを願うよ。

全体の音質作りに関して参考にした作品はありますか?

LW:今回のアルバムのプロダクションや音質作りに関しては、ディアンジェロを参考にした部分があった。だからアルバムをディアンジェロのアルバム『Voodoo』を手掛けたラッセルに仕上げてもらったことはとても重要な意味合いがあった。それから、ブラック・サバスやマハヴィシュヌ・オーケストラ、ジミ・ヘンドリクスといったもう少しヘヴィーな音楽も参考にしたし、ルディ・ヴァン・ゲルダーが手掛けた昔のジャズ、例えばコルトレーンやウェイン・ショーターなどによる素晴らしい音響のレコードも参考にした。プロダクションやアレンジメントやテクスチャや即興に関しては、アルトゥール・ヴェロカイのレコードを今回も参考にしているよ。

ラッセル・エレヴァードはこの新作にどのように関わっていますか?

LW:彼は素晴らしい音楽をたくさん手掛けてきたレジェンドだ。そんな人と一緒に仕事ができたということ自体が光栄で素晴らしい経験だった。彼とスタジオに入って、彼の作業を実際に見ることができたら最高だったんだけど、パンデミックの影響で残念ながら、彼と実際に会って仕事をすることはできなかった。アルトゥール・ヴェロカイとララージとブランディー・ヤンガーがオーバーダブをしたパートはデジタルでレコーディングされたんだけど、それ以外の僕たちのパートは全てアナログでレコーディングされたものだった。それをラッセルに送ることによって、ラッセルはそのプロセスを引き継いでくれた。彼はミキシングのときはプラグインを一切使わないし、素晴らしいアナログ処理の機材を所有している。彼は僕たちの素材を全て上手にまとめ合わせてくれて、温かみのある層を加えてくれた。それにミキシング・エンジニアとしての絶妙さというのにも長けていて、アルバム全体にかけて、テクスチャやトーンのニュアンスを絶妙に調節してくれた。曲を書いて演奏した僕たちでさえあまり気づかない箇所も彼は微妙な処理をしてくれて、音楽全体を素晴らしいものに仕上げてくれた。

ところで、新作から逸れますが、初期の活動場は、アレックスのお父さんが持っていて提供してくれた地下室だったり、チェスターのお父さんがあなたたちの好きなヤマハ・シンセサイザーの CS-60 を探し回って見つけてくれたりと、ファミリーの応援が垣間見られるエピソードを記事で読みました。家族やコミュニティとの関わりもBBNGの活動の重要な点だと感じますが、あなたたちが家族やコミュニティとどのように関わり合ってきたのか教えてください。

LW:そうだね、家族は僕たちにとってものすごく重要な存在だ。アレックスの父親のビルは、昔からバンドのいちばんの支援者だった。ビルはいつも僕たちのことをライヴ会場まで車で連れていってくれたんだ。ライヴのときは、機材を車に積んだり、降ろしたり、会場内へ運んだりしないといけないから、彼のサポートは本当に心強かったよ。最近はパンデミックの影響であまりバンドの家族と会うことができなくなってしまったけれどね。僕の両親はカナダにいるんだけれど、かなり遠く離れているから、ここ2年くらい会っていないんだ。でも今度トロントにまた引っ越してくるからもうすぐ会える。僕の両親も僕の音楽活動をずっとサポートしてくれているよ。コミュニティに関しては、アーティストのたまごのような人たちにとって、他の人たちとアイデアを共有したり話し合ったりすることのできるコミュニティがあるということは、お互いの成長を助けるという意味でとても大切だと思う。ただそれも最近のパンデミックのせいで、ライヴが開催されなくなってしまったから、友人に会う機会も減ってしまったし、友人のアーティスト活動をサポートするのも難しくなってしまった。でも、通常の状況においては、そういうコミュニティ内でサポートをし合って、成長していくということが僕にとってはとても大切なことだったね。

最後に、これからの音楽シーンに関して思うことを教えてください。

LW:いまの時代は技術革新が進んでいるから、スマートフォンやノートパソコンを使える人なら誰でも、良い作品を作ることが可能だと思う。それはすごいことだと思うし、多くの人にそのアクセスがあるということは良いことだと思う。でも僕は音楽というものは、それ以上に、コラボレーションが基盤となっている活動だと思っている。様々な人たちと様々な環境で一緒に仕事をしていくという技術を身につけることは非常に重要なことだと思うから、それが将来、不要なものとしてなくならないことを願うよ。人と一緒に音楽をやることの良い点というのは、コミュニティが育まれ、広がっていくということ。そのコミュニティが、個人やアーティストとして成長できる場になるし、活躍する機会も増えて行くと思う。お互いの成長や発展をサポートし合っているコミュニティに多く広く所属している方が、成功する機会も増えていくと思うんだ。音楽業界で成功するのは難しいことだと思うけど、人と関わっていく技術や、コミュニティを大切にするということは成功する上でとても役に立つと思うよ。

スマーフ男組 - ele-king

 スマーフ男組、その名前からしてマッチョイズムのパロディになっているこの3人組——マジアレ太カヒRAW、コンピューマ、アキラ・ザ・マインド——は、90年代に活躍した実験的ラップ・ユニット、Asteroid Desert Songs (A.D.S.)を母体とし、よりエレクトロ(彼らは初期トミー・ボーイなど、オールドスクールのエレクトロ狂でもあった)にフォーカスしたグループとして1997年に始動、そして2007年に1枚だけアルバム『スマーフ男組の個性と発展』を発表、やがてシーンから消えていった。しかしながら彼らのあまりにも独創的なその音楽は、忘れられることはなかった。むしろ年を追うごとに彼らのユーモアと実験精神たっぷりのその音楽は、町の酒場の片隅で、あるいはネット上で、ことあるごとに語られ続け、そして10月20日に未発表曲を3曲加えたかたちでリマスタリングされ発売されることになった。封入されるブックレットには、活動当時のアーカイブ、パーティー・フライヤー、CD発売当時のお祝いコメント、マジアレ太カヒRAWの楽曲解説、磯部涼による解説入りという豪華盤。売れ切れ必至なので、早めにどうぞ。

スマーフ男組
スマーフ男組の個性と発展

Lastrum / MUSICMINE / JET SET

※2LP+Download Code付き
ゲスト・ミュージシャンはZEN-LA-ROCK(FNCY)、Nanao Del Monaco (FATHER)、AYA (OOIOO)。デザインは前田晃伸

Pat Fish(Jazz Butcher) - ele-king

 10月7日の朝、Twitterを見たら「パット・フィッシュ(ジャズ・ブッチャー)さんがお亡くなりになりました。ご冥福をお祈り申します。」というGlass Modern Recordsの公式アカウントのツイートが目に飛び込んで来た。
 しばらく言葉を失った。慌てて検索し、その情報がどうやら間違いではないことを確信すると、三十数年前に買い揃えたレコードを引っ張り出して1stアルバムの『In Bath Of Bacon』から聴き直しはじめた。
 ザ・ジャズ・ブッチャーは、自分の中で五本の指に入るくらい好きなアーティストだ。そんなクラスの人が亡くなるのは8年前の大滝詠一以来だろうか。

 ザ・ジャズ・ブッチャーとの出会いは高校年の頃。御茶ノ水の輸入盤屋を漁っていて「モノクローム・セットが好きな人に! バウハウスのデビッド・J参加」と書かれていた2ndアルバム『A Scandal In Bohemia』(1984)に興味を惹かれて買ったのが最初だった。どちらのバンドも好きだったからだ。
 とは言うものの、手元にある『A Scandal In Bohemia』はキングのNexusレーベルから出ていた国内盤なので、輸入盤屋で購入したという記憶と矛盾がある。まぁ、三十数年前の話だから、しょうがない。
 とぼけたマンガが描かれたジャケットから、それがシリアス一辺倒のバンドではないことはわかっていたが、聴いてみるとネオアコっぽい曲、ガレージ・パンクっぽい曲、果ては童謡っぽい曲(しかも調子っぱずれなコーラスが入る)と、曲調はとりとめないのだけれど、ちょっとザラついた感触の歌声がそれらを上手くまとめていた。なんといっても全編に漂うユーモアのセンスが肌にあった。確かにモノクローム・セットと通じるものは感じる。
 しばらく『A Scandal In Bohemia』を狂ったように聴いたが、このザ・ジャズ・ブッチャーに関する情報は音楽誌には全く出てこない。もちろんネットで調べることなんて出来ない時代だ。頼りは国内盤についていた森田敏文氏の書いたライナーノートのみ。ジャケットを見ると4人組のバンドだと思ったけれど、どうやらザ・ジャズ・ブッチャーというのはヴォーカルのソロ名義でもあるらしい。ん? どういうことだ? 

 その後もレコード屋で見かけると購入していたのだが、ミニアルバムやらコンピレーションやらライヴ盤やらが多く、なかなかディスコグラフィーが把握できなかった。
 しかもこの頃発売されたサイコビリーのオムニバスにも、参加していたりして、もうなんだかよくわからない。
 途中でザ・ジャズ・ブッチャー・コンスピラーシーなんて名前になってたのも意味不明だったし。
 でも、情報が限られていたこの頃は、こんなことがよくあった。愛聴しているのに、そのバンドのことをよく知らなかったりするのは珍しいことではなかった。そしてその情報不足の得体のしれ無さが、まだザ・ジャズ・ブッチャーには似合っていたのだ。

 1988年の『Fishcotheque』からは、どインディーなグラス・レコードから名門のクリエイションへと移籍。以前よりも少しマジメになったような印象もあったけれど、唐突にJ.B.C.名義でローリング・ストーンズの“We Love You”を打ち込みダンストラックでカバーしてみたりと、わけのわからなさは健在だった。
 アラン・マッギーが「オアシスでもうけた金で、俺はジャズ・ブッチャーのアルバムをリリースし続けるのさ」と言ったなんて記事を読んだこともあったけれど、愛されてたんだなぁ、ジャズ・ブッチャー。
 クリエイション移籍以降も新譜が出れば買い続けていたけれど、正直グラス時代ほど熱心に聴き込むことはなかった。いや、それでもたまに聴くと「あれ、この時期のも悪くないな」なんて思ったりはしてたけれど。

 そして90年代後半からは次第にリリースの間隔も空いていき、ザ・ジャズ・ブッチャーの活動もフェードアウトしていった。
 でも、自分の中ではずっと重要なアーティストだった。『A Scandal In Bohemia』収録の“Girlfriend”はDJをやる時の定番だったし(あと初期のギタリストだったマックス・エイダーのソロ“My Other Life”も!)、ここ最近はサブスクリプションサービスをチェックする時にはザ・ジャズ・ブッチャーのアルバムがどれくらいあるかを目安にしていた。

 2018年に彼が「なんらかの病気」ということで治療の費用をクラウドファンディングしていると聞いた時はドキリとしたのだけれど、それからずっと闘病していたのだろうか。
 そういえば、彼がパット・フィッシュという個人名をクレジットするようになったのは1990年の『Cult Of The Basement』以降なので、あんまりパット・フィッシュという名前はピンと来ない。自分にとっては、彼はやっぱりザ・ジャズ・ブッチャー、もしくはブッチなのだ。
 お疲れ様、ブッチ。

Bonobo - ele-king

 ジャンルとしてのダウンテンポがある。90年代初頭に生まれたクラブ・ミュージックのサブジャンルで、スロー・テンポ(90bpmほど)のビートと雰囲気のあるメロディアスな上物、そして折衷的な構造に特徴を持ち、トリップホップからチルウェイヴ、ヴェイパーウェイヴなんかもそれに該当するものがあったりする。日本ではサイレント・ポエツが有名だが、欧州にはたくさんのダウンテンポ作家がいて、UKのボノブはその代表格のひとり。2017年の『マイグレーション』はダウンテンポの高みにある作品で、全英チャートでトップ5入り、米ビルボードのダンス・アルバム・チャートでは1位を記録した。
 このたび、このダウンテンポの真打ちが、5年ぶりとなる待望の最新作『Fragments』を年明けの2022年1月14日にリリースすることを発表した。
 合わせて新曲“Rosewood”のMVも公開。
 
Bonobo - Rosewood

https://bonobo.lnk.to/fragments/youtube

 最新アルバム『Fragments』には、シカゴ発の新世代R&Bシンガー、ジャミーラ・ウッズ、88risingの日系R&Bシンガー、Joji(ジョージ)、ジョーダン・ラカイ、LAのシンガー‏/マルチインストゥルメンタリスト、カディア・ボネイなどのゲストがフィーチャーされている。
 また、新曲“Rosewood”を聴いても察することができるように、『Fragments』はなんでもダンス寄りの内容らしい。数曲のバラードもあるようだが、アルバム全体としてはダンスフロアに向けて作られているという。ボノボいわく「自分がどれほど、満杯のオーディエンスとその律動、互いにつながっている人々が大好きだったか、何度も思いだした」
 ってことは、ダウテンポを極めた達人の新たなる挑戦になるのだろうか……

 なお、『Fragments』は2022年1月14日 (金)にCD、数量限定のCD+Tシャツセット(ニール・クラッグが手がけたアートワークを採用)、LP、デジタルでリリース。国内盤CDには解説が封入され、ボーナストラック「Landforms」が収録。また、Oカード付きのamazon限定CDも発売予定。LPはブラック・ヴァイナルの通常盤、レッド・マーブル・ヴァイナルの限定盤、特殊パッケージにアートプリントが封入されたクリスタル・クリア・ヴァイナルのデラックス盤、限られたお店だけで手にはいるゴールド・ヴァイナルのストア限定盤で発売。さらに、レッド・マーブル・ヴァイナルの限定盤は数量限定でサイン入りの発売も予定されている。



Bonobo
Fragments

Ninja Tune / Beat Records
release: 2022/01/14

https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=12132
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=12133

tracklist:
国内盤CD
1. Polyghost (feat. Miguel Atwood-Ferguson)
2. Shadows (feat. Jordan Rakei)
3. Rosewood
4. Otomo (feat. O’Flynn)
5. Tides (feat. Jamila Woods)
6. Elysian
7. Closer
8. Age of Phase
9. From You (feat. Joji)
10. Counterpart
11. Sapien
12. Day by Day (feat. Kadhja Bonet)
13. Landforms (Bonus Track)

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