「Low」と一致するもの

Nondi_ - ele-king

 ノンディのセカンド・アルバムは、90年代の〈ワープ〉スタイルのエレクトロニカにおける現在形のような作品で、ようは部屋でぼーっと聴いていると気持ちいい。かの『アーティフィシャル・インテリジェンス』のアートワークとして、あの時代ならではの低解像度CGで描かれた人物のように、ソファに座って一服しながらこのサウンドの世界に浸れたらどんなに楽しいことだろうか……いや、でも待てよ。そうじゃない。あの時代の音楽に似ているこれは、決定的にあの時代のエレクトロニカとは違っている。
 90年代の〈ワープ〉スタイルのエレクトロニカが、レイヴの混濁とした狂乱からの逃避だったと言えるなら、ノンディのセカンド・アルバムは、それらすべてが情報化されインターネット上に吸収された世界から、むしろ混濁とした狂乱という現実世界を夢見ている作品だと言えるだろう。この時空のねじれを、ぼくのようなアナログネイティブな世代は、ノンディのようなデジタルネイティブ世代と出会ったときに痛切に感じてしまう。

 ペンシルベニア州ジョンズタウンという、アメリカでもよく知られていない町のプロデューサー、Nondi_ことタティアナ・トリプリンにとって、ある時期までインターネットこそが世界だった。でなければ、幼き頃、気の合う友だちがいなかった彼女がAFXに人生を救われることもなかった。「制作をはじめる決定的な動機になったのは、エイフェックス・ツインを死ぬほど聴いたことね」、彼女は『Tone Glow』のインタヴューでそう語っている。「“史上最高にクールな音楽だ”と思っていたのが、“自分でもこういう音楽を作りたい”に変わった。たぶん中学3年生の頃、エイフェックス・ツインみたいな音楽を作りたいという衝動に駆られたのは」
 それから彼女は、ヴェイパーウェイヴとOPN(ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー)に心酔し、ムーディーマンとデトロイト・テクノ(とくにジェフ・ミルズとロブ・フッド)に感激した。「私はデトロイト・テクノをもう何年も、めちゃくちゃ愛している。ムーディーマンなんて、もう……最高すぎて言葉にならない。彼は、私が初めて知った黒人の電子音楽家だった」と彼女は『Finals』のインタヴューで答えている。そして、フットワークとDJラシャド。「DJラシャドを死ぬほど聴き続けてきた」とノンディは強調する。「『Flood City Trax』は、そうした音楽に強く影響を受けながらも、その場所を実際に見ることができない自分と、まわりにそれを共有できる相手が誰もいない場所で生きているという状況を反映したような作品なんだ」

 90年代のエレクトロニック・ミュージシャンたちも、もちろん過去(クラフトワークその他)に対する尊敬はあった。だが、その音楽はほとんど同時代(ヒップホップ、ハウス、テクノ、ジャングル)からの刺激を主要成分とし、誰もが1年前にあったサウンドを(たとえ不可能だったとしても)更新することに腐心していた。圧倒的な「現在」があり、時間軸は過去から未来に直進し、作り手にとっても聴き手にとっても、その関心のほとんどは、まずは「それが新しいかどうか」に集中していた。しかし、ノンディのバイオグラフィーとその音楽から感じるのは、言うなれば過去への調査網と横に広がる時空であって、90年代にあった直進的な(リニアな)時間感覚ではない。非ユークリッド幾何学的に、過去を写しながら横に広がるその時空における任意の場所が、今回の場合で言えばノンディにとっての起点になっているのだ。
 彼女は自らのその音楽を「ネット音楽」と認識している。デジタルネイティヴの音楽やDJのほとんどが、それ以前とは異なる時空感覚を得てしまった、ある種の「ネット音楽」ではないかとぼくは思っている。この感覚をぼくは、あまたのインディ・ロック・バンドにも、もちろんハイパーポップにも、一見アナログ世界に思える人気漫画『ふつうの軽音部』においても感じてしまう。今日のDJは現在のサウンドよりも昔の曲を多くかける(90年代では、2年前の曲をかけたらそのDJは見捨てられたものだ)。『ふつうの軽音部』では、ZAZEN BOYSや銀杏BOYZなんかがマニアックでイケてるバンドになっているが、こうした何十年も昔の作品に対して無邪気に接することのできる感覚は、パンク/ポスト・パンクの時代には……、いや、50年代にも60年代にも、いや、20世紀後半にはまずなかった。
 アナログネイティブな時代では、時間は直進し時代は進化する、そんな勝手な思い込みがあったのだろう。家電の進化を経験し、原稿用紙は不要となって、電話さえも使用頻度が減る。そんな変化を経験してきた世代なのだから、「新しきものは善である」という認識が、なんとなく当たり前だと普遍化されていたのかもしれない。しかし、そんなぼくでさえも、ノンディを聴いたり、松島広人君や高校生と話したりしながら、現代のデジタルネイティブな感覚に慣れつつある。だから、ブライアン・イーノが提唱した「シーニアス(Scenius)」という概念は、いまこの時代になると、なおさらアイロニカルな説得力を持ちえてしまった。90年代はたしかに、特別な才能を持った強烈な個人よりも、シーンそのものが研磨した複数の人たちが時代を切り開いていた。シーンは濃密で、強度があった。今日、シーンと呼べるものが、ローカルなブラック・コミュニティ(ないしは非西欧圏)を除けば、ともすれば無きに等しいのではないかと錯覚してしまうのは、インターネットの影響は当然として、急激なフェスの増加にもその原因があるのだろう。

 ノンディは、現実的にシーンなどない場所から登場した。いや、より正確に言えば、シーンなどない場所で生活しているからネットでしか姿を見せることができなかった(彼女は2016年、ネットレーベル〈HRR〉を始動させている)。前作『Flood City Trax』は、ネット音楽家としてのノンディのある意味そのときの集大成と言える。だが、ノンディは今作で、シーンなどない自分のリアルな生活圏にシーンを作ろうとしている。少し気取って言えば、サイバースペースからやって来た彼女が、何もないところに「場」を作ろうとしているのだ。
 本作でフィーチャーされているジャングルは、30年以上前の発明品だが、いま「イケてる」スタイルのひとつである。リニアな時空間を失ったこの世界において、ひとつの共通言語としていたるところで盛り上がっている(ぼくは実のところ、キシリトールのアルバムのレヴューをしたくてたまらないのだ)。しかしながら、彼女はジャングルを歪ませ、なにか違うものに変換しようとしている。うまくいっているとは思えないが、しかし、なにか手を加え、変えようとしている。ぼくはその濁らせ方を面白く感じている。
 「私はただここに座ってシカゴをパクることはできないと思った。私はシカゴ出身じゃないから、シカゴのプロデューサーほどハードにはなれない。だから、自分に影響を与えたものに敬意を払いつつ、自分の出身地を反映した何かを作らなきゃいけない」とノンディは語る。「西ペンシルベニアには、なんだか無骨でハードなサウンドがたくさんある。ハードコアで、ラフで、ローファイなサウンドがこの地域をよく表している。みんな、いろんな種類のハードコアやロック、フォーク・パンクなんかが好き。もちろんヒップホップもたくさんあるけれど、ここのダンスサウンドはもっとハードコア寄りね」

 彼女が今作の表題を自身の名義を冠した『Nondi...』とした理由もそこにあるのかもしれない。「ハードコア寄り」とはいえ、リスナーに試練を与えるような、むき出しの過剰さがあるわけではない。なにせ彼女はハローキティをこよなく愛する、ある意味真性のkawaiiオタクである。だが、今作のジャケットにおいて、それはマイメロなのかキキララなのか、kawaiiキャラが意図的にローファイ化されている。しかしいったい、ローファイ化されたハローキティなど誰が望む? ──誰も望まないわけがない。なぜなら、音楽の世界では、滑らかで輝かしく、ほやほやですべすべしたものを汚し歪ませ、別のものに転換することで、より多くの成果を成してきたのだから。なぜかって? そりゃあもう当然、ほとんどの人が音楽を単なる産業ではなく、アートの一種だと思ってきたからだ。
 ノンディは孤独ではあったが、政治的だった。彼女が政治活動に興味を覚えたのは、トランプが最初の選挙で当選したときである。「社会主義理論をたくさん読み漁った。いまの状況があまりに酷いから、活動は必然として考えるようになった。情熱を持って取り組んでいるけれど、どちらかというと“ああ、これだけ世のなかがめちゃくちゃなんだから、絶対にやらなきゃいけないんだ”という義務感に近い」とノンディは言う。
 彼女が初めてテクノの聖地(デトロイト)を訪れたのも音楽が理由ではなく、「パレスチナのための人民会議」に出席するためだった。それが「ムーヴメント」という野外テクノ・フェスの開催日と重なっていたのは偶然だった。「労働者階級のアーティストとして、それを労働者階級のために政治化していく責任が少なくともあると感じている」とノンディは打ち明けている。「私がこれまで出してきた音楽のほとんどは政治的なものではないし、具体的なメッセージを伝えているわけでもない。でも、活動の現場にいる年上の人たちから学んだり、いろんな理論を読んだり、さまざまな場所から影響を受けたりするなかで、自分の音楽をより政治的にしていくアプローチがあるはずだと考えるようになった」

 今日のエレクトロニック・ミュージックの始祖を考える際、クラフトワークとドナ・サマーに多くの比重を置く者であれば、この音楽が身体的なリズムに起因していることをよくわかっているだろう。ゆえにこの音楽は、匿名という鎧をいいことにネット限定で暴言を吐きまくるデジタル版烏合の衆と同じ空間にいるべきではないのだ。
 「いまではネットが狭く感じるようになった」とノンディが言うように、90年代には世界を良きモノとする無限の理想郷に思えたサイバースペースは、リアル世界では言えない罵詈雑言に溢れ、堅苦しく、居心地が良くないばかりか散財もうながすという、用が済んだらとっとと退却したい場所になっている。「私はゲットーで育った人間。それも “田舎のゲットー ” でね。だから、現実がどういうものか知っているし、混沌とした世界のなかで、人びとが自分を変えようとしたり世界を理解しようとしたりして、どれほど苦闘しているかもわかっている」

 今日の時間感覚は、静止画像がゴムのようにところどころ、伸びたり、引っ張られたりしているだけなのだろうか、あるいは、ウロボロスのように、過去が再生して未来になる循環なのだろうか。あるいは、リニアに進んだところで、良いことはないかもしれないという予感めいたものがその感覚に干渉しているのだろうか。そうかもしれない。だが、たったいま重要なのはそこではないようだ。30年前の音楽が現在において有効であるなら、30年前にデリック・メイから言われた言葉を思い出しても良かろう。「たったふたりでも、いや、たったひとりでも、そこに人間がいたらシーンだ」
 『Flood City Trax』を出したとき、ロレイン・ジェイムスからの称賛のメールが、もっとも嬉しかった出来事のとひとつだったとノンディは言う。シカゴでもデトロイトでもNYでもフィラデルフィアでもLAでもアトランタでもない、田舎で暮らす孤立したひとりの黒人が、エレクトロニック・ミュージックの歴史がほとんどない地元との接点を求めて制作したのが、どうやらこの『Nondi...』のようだ。AFXに刺激されてからかれこれ16年以上、ベッドルームで音楽を作り続けてきた彼女が、ヘッドフォンではなく、初めてスピーカーを設置して制作した作品である。混濁とした世界のなか、日常生活の雑音とともに、この元「ネット音楽」をスピーカーで聴いてほしい。

※文中にあるように、本稿は以下のインタヴューを大いに参照している。
https://toneglow.substack.com/p/tone-glow-110-tatiana-triplin-nondi_
https://finals.blog/posts/The-Nondi_-Interview

Vol.5:弥生˚⟡˖ ࣪ ひとりごつ✌️ - ele-king

Hello Hello! hey hey! heykazmaですッ!!
みなさんいかがお過ごしでしょうか?

今回はひとりごとと音楽の紹介とか書いていこうと思いますヨ. • ̟ ⊹. ˖
そんなわけでね、ついこないだ仙台から上京して一年経ちました〜!
この一年を思い返してみたんですけど、3月に上京して、4月に今の運営メンバーに出会って、半年もしないうちにこの連載のお話をもらったりと、東京に来てから本当に嬉しい出来事ばかりでした。

その一方で、これからもDJを続けていくためにはもっとこうしないとな〜とか、ここは反省だな〜とか思うことも多々あったンゴ。まだまだやれることがいっぱいあるし、もっと己かまして、活動を楽しく続けていけたらいいなと思っていますょぉぉ!✧ *・゚.

最近は友達とご飯に行く余裕もまた出てきて、なかむらみなみ校長とFellsius教授とUtaeち、蕗といっしょに渋谷にバーニャカウダ食べに行ったりねっっ。
楽しい時間ってかけがえないよ、まじで!偶然揃った奇跡のメンツなんです。
あとは野菜からしか得られないパワー‼️ってまじで絶対あるよね、そういう学びがあった日!要するに超美味しかったって意味。


まあそんな感じで(どういう感じかな❔わロタ)、最近聴いてる音楽たちをみなさまにシェアハピしますよぉ〜ん。⁠:゚⭑⁠:⁠。

小松成彰 / 子供たちへ

https://ultravybe.lnk.to/ttc
私の企画にも出演してくださってる(いつもありがとう)仲良し魔女・小松成彰氏の、先月リリースされた新曲でございます˚*.✩
小松氏のギターと歌は本当に人の心に大きな力を与えてくれるし、勇気をくれる音だなと思います。エネルギーでしかないんですよ。とてもストレートな構成なんだけど、気づいたらぐっと引き込まれてしまうというか、その場の空気をスムーズに変える力がある。本当にすごい表現者だなといつも感じます。
本物ってすごいな、と改めて思わされた。ほんとこの人から目が離せない。でも光ってて眩しい。ほんとずるいよ!₊˚✩彡

lIlI / ʌnˈhɪndʒd! (feat. Usnow)

https://linkco.re/cfYPy7rH
lIlIちゃん!あっしの推し!まじ神!天才˚⟡˖ ࣪
1年ぶりのシングルリリース、非常にありがたすぎるし、本当に待ってましたという気持ちでしかないよーーーー• ⊹ * . ⋆ ̟ .
lIlIちゃんの書く歌詞ってまじ半端じゃなくて、毎回ちゃんと心に寄り添ってくれる感じがすごい。無理に励ますわけでもなくて、でもちゃんと隣にいてくれるみたいな言葉で、本当にありがたい存在だなと思う。聴くたびに、ああ分かってくれてる人いるなって思える。トラックもすごくかっこよくて、音の鳴り方が本当に気持ちいいし、とてもフロア映えしそう♪ まじで⎳ℴ♡⎷ ℯ

yuuri / Live at Första (2026/03/06)

https://soundcloud.com/6mhtscoknngw/live-at-foersta-2026-03-06
先日仙台でDJをしたときに、MACHINE LIVEで共演してたyuuri氏のLive音源!
東北大学のオーディオ研究部としても活動しているyuuri a.k.a para氏ですが、最近ではBandcampで音源集も積極的にリリースしていて、私もここ最近かなりの頻度でDJでプレイしております。あと音楽だけじゃなくて人柄も最高!
他にも仙台のCLUB SHAFTで「exp」というパーティーもDJのrikuto氏(彼のプレイも超最高)とオーガナイズされています。次回は4/4にCOMPUMAさんをゲストにブッキングして開催するらしいですので、お近くの皆様はぜひに⋆⭒˚。⋆

以上、おすすめシェアハピコーナーでした♡

ていうかさ、MACHINE LIVEっていいですよねーーー。
私もずっとやりたいな!!と思っていて、ちょっとずつ機材揃えてるんだけど、結果全然動けていませんわ。
2026年中に動きたいなと思っている!というかここに書いちゃったので動くしかないかもしれん ^ ^ 頑張る!
てことで急にお知らせ!!
5/3に私が主催のパーティー「yuu.ten」と、青山のライヴハウス・月見ル君想フとのコラボパーティー『もぎゅるんぱ!』を開催することになりました⟡₊˚⊹♡
かなり気合い入ってます!!!!ばちばち楽しい日です!!!!
詳細は4/1に解禁予定ですので、皆様超絶ご期待くださいな!
絶対に来てください!ほんとに!お願いします!

あとねそうそう、
先日NTS Radioのfoodmanのmonthly枠にてDJ mixを提供させていただきました࣪⊹

2月にリリースしたEP「15」の世界観を広げたアッパーなmixに仕上がっています⊹܀˙
前半30分がfoodmanっち、後半30分が私のmixになっておりますので、絶対絶対要チェックでお願いします!!!

最後に!!!
ここ最近の世の中まじしんどすぎワロタ(真顔)状態ですが、ニュースを見てても本当に笑えないことばかりで、なんというか、ちゃんと怒ったり、ちゃんと考えたりしないといけないなって思うことが前よりすごく増えました。移民や難民の排除、マイノリティの権利の否定、戦争や暴力が当たり前みたいに進んでいく空気を見ていると、無関係ではいられないなと強く感じます。

融解日記 vol.3でもこの話には触れたりしましたが、もともとダンスミュージックって、異なる文化や背景を持った人たちが交わる場所から生まれてきた音楽だし、だからこそ「排除とか差別とかとは真逆のところにあるもの」だと思っています。

自分が現場に立ったり、音楽を流したり、企画をやったりするのも、小さいことかもしれないけど、その空気をちゃんと守りたいからなんだろうなと最近すごく思う。

上京して一年、嬉しいこともたくさんあったけど、その分ちゃんと自分がどうやって続けていくのかも考えさせられた一年でした。これからも己かまして、でもひとりじゃなくて、連帯しながら、もっと動いていきます!☆≡。゚.

というわけで、またどこかでお会いしましょう₊♪‧˚* またね!Love Foreverだょ〜!

3月のジャズ - ele-king

 シャバカ・ハッチングスは2022年の『Afrikan Culture』以来、シャバカ名義となるソロ・アルバムをリリースしてきている。『Afrikan Culture』と次作の『Perceive Its Beauty, Acknowledge Its Grace』(2024年)では、これまでのメイン楽器だったサックスではなくクラリネットやフルート、さらに尺八や南米のケーナ、アフリカのムビラなどを用い、原初的で素朴な音色を生み出していた。ドラムやパーカッションなどほかのプレイヤーもプリミティヴでミニマルな演奏を心掛け、静穏として瞑想的な作品となっていく。特にカルロス・ニーニョ、ブランディ・ヤンガー、ミゲル・アットウッド・ファーガソン、エスペランザ・スポールディング、フローティング・ポインツアンドレ・3000らが参加した『Perceive Its Beauty, Acknowledge Its Grace』に顕著だが、アフリカ音楽由来のスピリチュアル・ジャズとアンビエントの狭間をさまようような作品と位置づけられるだろう。この間、彼はサンズ・オブ・ケメットコメット・イズ・カミングなどほかのプロジェクトを解散、ないしは休止し、自身のソロ活動にフォーカスしてきた。2023年末からサックスの演奏を止めたシャバカは、その間にいろいろな楽器をマスターし、またエレクトロニクスを交えたプロダクションやミキシング面も充実させ、それが『Perceive Its Beauty, Acknowledge Its Grace』へと繋がった。『Afrikan Culture』と『Perceive Its Beauty, Acknowledge Its Grace』は、いろいろな道筋をたどってきた中でのシャバカの到達点だったと言える。

Shabaka
Of The Earth

Shabaka

 『Perceive Its Beauty, Acknowledge Its Grace』から2年ぶりの新作『Of The Earth』は、過去2作をリリースした〈インパルス〉を離れ、自身で設立した〈シャバカ・レコーズ.〉からのリリースとなる。レコード会社からの制約は受けずに全く自由な立場で制作を行い、作曲、演奏、プロダクション、ミックスとすべてひとりで完結している。『Perceive Its Beauty, Acknowledge Its Grace』で共演したアンドレ・3000から、恐れや気負いなく誠実に新たな次元を探求していく姿勢に刺激を受け、またシャバカが初めて買ったCDというディアンジェロの『Brown Sugar』(1995年)から、セルフ・プロデュース/セルフ・パフォーマンスによるアルバムが内包するエモーショナルな可能性に触発され、『Of The Earth』は作られた。ツアー移動中にポータブル機材で制作されたビートやループが楽曲の基盤となり、フルートのほかに久しぶりとなるサックス演奏も解禁している。南アフリカからイギリスに渡って活動したジャズ・ドラマーのルイス・モホロが2025年6月に亡くなり、彼のグループでも演奏してきたシャバカはその追悼コンサートに参加し、そこでおよそ2年ぶりにサックスを演奏した。過去2年間はフルートを中心にサックスを封印してきたが、それは彼が音楽を演奏する上でサックスであることの必然性を見出すことがなくなり、逆にほかの楽器への興味が深まったからだそうだが、そうした2年間を経て再びサックスの可能性に出会い、『Of The Earth』は作られた。

 アンビエントでプリミティヴな印象が強かった過去2作に比べ、『Of The Earth』はサンズ・オブ・ケメットやコメット・イズ・カミングなどのプロダクションで見られたリズムやビート面でのアプローチが強くなっている印象だ。代表が “Dance In Praise” や “Marwa The Mountain” で、ビート・ミュージック、ダブステップ、フットワークなどを咀嚼したリズム・トラックが用いられており、それとサックスやフルート、クラリネットなどが交わるトライバルなサウンドとなっている。シャバカがクウェイク・ベースらと組んでいた1000・キングスあたりに近いサウンドと言えよう。また、“Go Astray” では自身でラップをし、後期資本主義社会のシステムに支配された世界と向き合う力強いリリックを披露するなど、いままでになかったシャバカの新たな一面を発見できる作品だ。


Greg Foat & Sokratis Votskos with The Giorgos Pappas Trio
Impressions of Samos

Blue Crystal

 ここ数年来、さまざまなアーティストとのコラボ作品をリリースするピアニストのグレッグ・フォート。2025年はモーゼス・ボイド、ジハード・ダルウィッシュ、フォレスト・ロウなどロンドンのアーティストとのセッションが続いたが、新作『Impressions of Samos』ではギリシャのアーティストとの共演となる。ソクラテス・ヴォツコスはマルチ・リード奏者で、以前もグレッグ・フォートとの共演作がある。その2024年作の『Live at Villa Maximus, Mykonos』はギリシャのミコノス島でのライヴ録音で、ソクラテス・ヴォツコスはクラリネットとフルートを演奏していた。一方、エーゲ海のサモス島での印象をもとにした『Impressions of Samos』では、ソクラテスはアルメニア由来の民族木管楽器であるドゥドゥクを演奏する。そして、ふたりをサポートするジョルゴス・パパス・トリオは、中東から北アフリカにかけての古来の弦楽器であるウードをフィーチャーする。このように『Impressions of Samos』は、エーゲ海を中心に、ヨーロッパ、中東、北アフリカ、アジアの文化が交錯するギリシャを音楽で表現した作品である。

 “The Golden Jackals Of Samoa” でのドゥドゥクはスコットランドのバグパイプを連想させる音色で、ウードはインドのシタールを連想させる音色である。こうした民族楽器は昔からジャズの世界ではいろいろと用いられ、特にモーダル・ジャズの分野では非常に大きな役割を果たしてきた。“The Golden Jackals Of Samoa” はそうしたモーダルなテイストの異色のジャズ・ファンクで、かつてのイタリア映画のサントラやライブラリーなどに近い雰囲気を持つ。“Liberta” はモード・ジャズ、スピリチュアル・ジャズ、ジャズ・ファンクの狭間を往来するような作品で、それぞれの魅力をうまく引き出して結びつけるところがグレッグ・フォートらしいところだ。“Karsilamas” や “Eikosiefta” はアラビアや北アフリカの音楽の要素に彩られ、前者ではそれをジャズ・ファンクと結びつけてエキゾティックなグルーヴを生み、後者ではディープなスピリチュアル・ジャズへと昇華している。


Mark de Clive-Lowe, Andrea Lombardini, Tommaso Cappellato
Dreamweavers II

Mother Tongue

 マーク・ド・クライヴ・ローはロサンゼルスのジャズ・シーンだけでなく、世界のいろいろな国のミュージシャンとセッションをおこなっていて、日本人ミュージシャンと組んだローニン・アーケストラなどがある。ドラマーのトマーソ・カッペラートなどイタリア出身のミュージシャンともたびたびセッションを行っていて、2020年にはトマーソ・カッペラート、ベーシストのアンドレア・ロンバルディーニと組んで『Dreamweavers』をリリースしている。このアルバムを作った当時はローニン・アーケストラでの活動時期と重なっていたこともあり、ミュート・ビートなどで活動してきたこだま和文へのオマージュとおぼしき “Kodama Shade” や、自身のソロ作でも演奏してきた “Mizugaki” (奥秩父の瑞牆山がモチーフと目される)、高野山真言宗の那谷寺からイメージしたと思われる “Natadera Spirit Walk” など、半分日本人の血をひく彼ならではの和のモチーフが表われていた。そうした和のモチーフをジャズやフュージョン・サウンドにうまく融合させるのがマーク・ド・クライヴ・ローの真骨頂でもある。

 今度その『Dreamweavers』の第2弾が6年ぶりにリリースされた。今回も “Kaze No Michi” や “Sakura Fubuki” といった日本語のタイトル曲がある。ただし、和をモチーフにすると言っても、マーク・ド・クライヴ・ローはあくまで彼が日本の文化から受けるインスピレーションを音楽として表現するのであって、安易に和楽器を用いたり、日本の民謡の音階を取り入れるといった手法に出てはいない。“Kaze No Michi” は疾走感に満ちたスピリチュアル・ジャズで、イメージ的にはロニー・リストン・スミスあたりが近いだろう。極めてダンサブルなジャズでもあり、日本のクラブ・ジャズ・シーンとも交流のある彼らしいサウンドだ。“Terra De Luz” は彼が多大な影響を受けたアジムスへのオマージュと言える作品。このトマーソ・カッペラート、アンドレア・ロンバルディーニとのトリオ自体がアジムスそのものと言うべきプロジェクトであり、アジムスが黄金時代を迎えた1970年代から1980年代にかけての雰囲気に満ちている。J・ディラのカヴァーとなる “Raise It Up”、かつてのウェスト・ロンドン時代の盟友である故フィル・アッシャーに捧げた彼のカヴァー曲 “The Bass That Don’t Stop” ほか、ジャズとともにクラブ・カルチャーを通過したマーク・ド・クライヴ・ローらしいアルバムとなっている。“Back Channels” や “Lucid Dreams” もブロークンビーツを通過したダンサブルなジャズと言えよう。


Asher Gamedze
A Semblance: Of Return

Northern Spy

 アッシャー・ガメゼは南アフリカのケープタウンを拠点とするジャズ・ドラマーで、シカゴのジャズ・シーンとも交流があって、これまで〈インターナショナル・アンセム〉からもいろいろ作品をリリースしている。2020年頃からアルバムをリリースしているが、アート・アンサンブル・オブ・シカゴのようなアフロ・ポリリズミックなフリー・ジャズ、スピリチュアル・ジャズが特徴で、2024年の『Constitution』は黒人の意識開放運動と結びついた革命思想を内包する作品だった。このときはブラック・ラングスという南アフリカのミュージシャンから成るグループを率いていたが、彼は作品ごとにグループを作っていて、今回の新作『Of Return』はア・センブランスというグループを率いてのものとなる。とは言っても、メンバーはブラック・ラングスのときと被るミュージシャンもいて、日頃から一緒に演奏しているケープタウンのミュージシャンとのセッションとなる。

 『Of Return』は南アフリカにおける汎アフリカ主義と黒人意識に根ざし、地域や政治理念などを超えた連帯を訴える作品となっている。作品の随所にアパルトヘイト抵抗運動の活動家スティーヴ・ビコの演説からとられたワードが用いられ、2025年にオランダの音楽フェスにアッシャー・ガメゼがゲスト・キュレーターとして出演した際、用意した政治的ステートメントらアルバム・タイトルが名づけられた。“Distractions” はラスト・ポエッツ調の歌というかナレーションが盛り込まれ、サウンド的には『On The Corner』(1972年)の頃のマイルス・デイヴィスを彷彿とさせる。『On The Corner』はスライ・ストーンとの交流からファンクを導入したアルバムとして知られるが、“Of The Fire” はさらにファンク度が増す。ファンカデリック的なナンバーであり、サン・ラーの “Space Is The Place” にも通じるような作品だ。アフロ・フューチャリズムを通してアッシャー・ガメゼとジョージ・クリントンやサン・ラーが繋がっていることを伺わせる。ポリリズミックで混沌としたジャズ・ファンク “War” では、シンセを用いて変調させたサウンドが印象的。こうした音を使った遊び的なところもサン・ラーと通じるところがある。

Lee "Scratch" Perry & Mouse on Mars - ele-king

 2019年に亡くなったダブのレジェンド、リー・ペリー。生前、ベルリンのマウス・オン・マーズのスタジオで録音されていたという両者のコラボレーション・アルバムが6月5日にリリースされることになった。この強力な共作、タイトルは『Spatial, No Problem』で、レーベルは〈Domino〉。現在、収録曲 “Rockcurry” が公開中です。

https://mouseonmars.bandcamp.com/album/spatial-no-problem

ISSUGI - ele-king

 ISSUGIが2022年にリリースした9枚目『366247』。そのデラックス盤が完全限定プレスのアナログ盤でリリースされることになった。デラックス盤には、デジタルのみで配信されていた“366247 Remix ft JJJ”が追加収録される。
 また、これに合わせ、ISSUGI & GRADIS NICEによる『Day’N’Nite 2』のアナログ盤も数量限定でリプレスが決定している。合わせてチェックしておきたい。

ISSUGIの2022年リリース作『366247』へ"366247 Remix" ft JJJを新たに収録したデラックス・エディションが完全限定プレスのアナログ盤でリリース! また、即完売していたISSUGI & GRADIS NICE『Day’N’Nite 2』のリプレスも決定!

東京Dogear RecordsをRepresentするラッパー、ISSUGIが2022年にリリースした9thアルバム『366247』。完全限定プレスでリリースされたアナログ盤は早々完売して入手困難な状況が続いていたが、デジタル限定でリリースされた"366247 Remix" ft JJJを新たに収録した『366247 (Deluxe Edition)』として完全限定プレスのアナログ盤が待望のリリース。
また、同時に2024年にDogear RecordsよりリリースされたISSUGI & GRADIS NICEのジョイントアルバム第二弾『Day’N’Nite 2』のアナログ盤も数量限定でリプレス決定。こちらも昨年リリースされ、早々完売して入手困難になっておりリプレスが待たれてたタイトルなだけに待望のリリースと言えるはず。

「366247 (Deluxe Edition)」概要
アーティスト:ISSUGI
タイトル:366247 (Deluxe Edition)
レーベル:P-VINE, Inc. / Dogear Records
仕様:LP (完全限定プレス)
発売日:2026年6月24日(水)
品番:PLP-8351
定価:4,950円(税抜4,500円)
*「366247」Stream/Download/Purchase:
https://p-vine.lnk.to/hBxqgO
*P-VINE SHOPにて予約受付中!
https://anywherestore.p-vine.jp/products/plp-8351

*ISSUGI - 366247 Remix ft JJJ / prod DJ SCRATCH NICE (Official Video)
https://www.youtube.com/watch?v=l-gi2XmuzbU

*ISSUGI - from Scratch / prod DJ SCRATCH NICE (Official Video)
https://www.youtube.com/watch?v=FP-HIFVLieA

トラックリスト
SIDE A
1. Dime
 prod DJ SCRATCH NICE 
 Scratch by DJ SCRATCH NICE
2. G.U.R.U. ft Mr.PUG
 prod DJ SCRATCH NICE
 Scratch by DJ SHOE
3. April ft Eujin KAWI, KID FRESINO, BES
 prod DJ SCRATCH NICE
4. from Scratch
 prod DJ SCRATCH NICE
5. Game Changer
 prod DJ SCRATCH NICE
SIDE B
1. Rare ft VANY
 prod DJ SCRATCH NICE 
 Scratch by DJ SCRATCH NICE, DJ K-FLASH
2. Real ft SPARTA
 prod DJ SCRATCH NICE
3. Perfect blunts
 prod 16FLIP
4. Ethology ft stz, 仙人掌
 prod DJ SCRATCH NICE
5. 366247 Remix ft JJJ
 prod DJ SCRATCH NICE
6. End roll
 prod Daworld

『Day'N'Nite 2』情報
アーティスト:ISSUGI & GRADIS NICE
タイトル:Day'N'Nite 2
レーベル:Dogear Records
仕様:LP(完全限定プレス)
発売日:2026年6月24日(水)
品番:DERLP-077
定価:4,620円(税抜4,200円)
*Stream/Download:
https://linkco.re/qcG8uVT6
*P-VINE SHOPにて予約受付中!
https://anywherestore.p-vine.jp/products/derlp-077

トラックリスト
SIDE A
1. BK Suede 
2. YingYang ft. Epic,Eujin 
3. Step My Game Up ft. Sadajyo
4. I Am… 
5. Me & My Musik ft. JJJ 
6. XL  
SIDE B
1. Ichi ft. Sparta 
2. Janomichi ft. 5lack 
3. Da Two ft. 仙人掌 
4. Chef Banga ft. BES 
5. Wizards ft. 5lack 
6. Day’N’Nite 2  

RPR Soundsystem with Dreamrec - ele-king

 きっと桜が満開のころでしょう。来たる3月28日(土)、ミニマル・アンダーグラウンド・シーンの雄、ルーマニアのRPRサウンドシステムが2年ぶりにリキッドルームにやってきます。前回同様、オフィシャルVJのドリームレックも出演。独特のサウンドとヴィジュアルがおりなす異空間をふたたび体験できる、これは絶好のチャンスです。至福の一夜をぜひ、あなたも。

RPR SOUNDSYSTEM with Dreamrec VJ @LIQUIDROOM

2026年3月28日 (土) 23:30 OPEN/START

LIQUIDROOM 03-5464-0800
http://www.liquidroom.net

■出演者
― 1F LIQUIDROOM ―
RPR SOUNDSYSTEM (Rhadoo, Petre Inspirescu, Raresh / [a:rpia:r])
Dreamrec VJ

― 2F LIQUID LOFT ―
Satoshi Otsuki (Time Hole)
PI-GE (TRESVIBES)
P-YAN (A.S.F.RECS)

Total Information:
https://linktr.ee/rpr2026tokyo

Produced by Beat In Me


■料金
▼早割 - Early Bird (SOLD OUT)
5,500yen (50 Limited)

▼前売 - Standard Advance / STAGE 1 (SOLD OUT)
6,500yen

▼前売 - Standard Advance / STAGE 2
7,500yen
1/21(水) 00:00~3/27(金) 23:59

▼グループ割 - GROUP TICKET(4p)
28,000yen (Limited)
1/21(水) 00:00~3/27(金) 23:59

▼U-23
5,000yen (50 Limited)

▼当日 - Door
8,500yen

■TICKET
ZAIKO (Early Bird・STAGE 1・STAGE 2・GROUP TICKET・U-23)
RA (STAGE 2)
e-plus (STAGE 2)

■注意事項
※チケットは全て電子チケットとします。入場の際はQRコードを読み取りいたします。
※23歳以下割/U23チケットの購入の間違いにお気をつけください。当日に身分証明書をご提示いただき、23歳以下であることを確認させていただきます。24歳以上の方は、U23チケットをご購入いただいても当日のエントランスにて差額分をお支払いいただきますのでご了承ください。
※本公演は深夜公演につき20歳未満の方のご入場はお断り致します。
本人及び年齢確認のため、ご入場時に顔写真付きの身分証明書(免許書/パスポート/住民基本台帳カード/マイナンバーカード/在留カード/特別永住者証明書/社員証/学生証)をご提示いただきます。ご提示いただけない場合はいかなる理由でもご入場いただけませんのであらかじめご了承ください。
(You must be 20 and over with photo ID.)

■BIOGRAPHY

ー RPR SOUNDSYSTEM (Rhadoo, Petre Inspirescu, Raresh) ー
世界のアンダーグラウンドミュージックを席巻するルーマニアン・シーンのトップ、Rhadoo, Petre Inspirescu, Raresh。
現行のワールドシーンにおけるキングの一人として全世界に君臨し、ルーマニアシーンの事実上のボスであるRhadoo、卓越したプレイはもとよりその生み出される作品群が世界最高レベルのクオリティーの評価を獲得している唯一無二のアーティストPetre Inspirescu、3人の中でも特にメジャーシーンにおいても抜群の名声を確立しているRareshの3人による、最重要レーベル・そしてアーティスト集団がこの [a:rpia:r] (アーピアー)である。
そして、その3人による別名義のスペシャルユニット『RPR SOUNDSYSTEM』の名で出演するイベントは、バルセロナ『OFF SONAR Festival』やロンドンの名門クラブ『Fabric』などと言った、世界でも彼らにより選ばれたトップイベント・フェスのみとされ、年にごく数回しか実現する事はない。東京LIQUIDROOMのパーティーは、その選ばれた数少ない中の一つである。

ー Dreamrec VJ ー
新しい未知の世界を創造し、常に自然に回帰することが、Silviu Vișan (通称:Dreamrec) の芸術的アプローチを形成する大いなる源である。遊園地向けにオーバーサイズのおもちゃを製作していた父親のもとで育ったことは、没入型環境の感情的な経験と、様々な場所を何かエキサイティングなものへと変える秘密を学ぶのに最適な文脈となった。

Dreamrecはビデオフィードバックと最新のソフトウェアのレイヤーをツールとして使用し、コンピュータが予測不可能な状態になり出力がパレイドリア(錯覚)の流動的なストリームになる異常な時間と空間を探求している。これらの手法を用いて、彼は国際的なフェスティバル、クラブ、アートスペースで独自の視覚的美学を表現している:没入型で、うっとりさせるような、まるで訪れた者が物理的に別の次元に足を踏み入れたかのような。

ビデオパフォーマンス・大規模なマッピング :
V&A Museum (ロンドン)、Biennial of Young artists (ブカレスト)、Decenter Armory at Abrons Arts Center (ニューヨーク) など

アート&ミュージックフェスティバル・クラブ :
Rokolectiv Festival (ブカレスト)、TodaysArt Festival Hague (オランダ)、ICAS Suite by Club Transmediale (ベルリン)、Periferias Festival (スペイン)、Simultan Festival (ルーマニア)、EasternDaze Night (スロバキア)、Crack Festival (ローマ)、Insomnia Festival (ノルウェー)、Arma17 (モスクワ)、Liquidroom (東京)、Fabric (ロンドン) など

また、RPR Soundsystem ([a:rpia:r]) やRochite、Sillyconductor (実験音楽家)との長期にわたるコラボレーションが挙げられる。

interview with Flying Lotus - ele-king

 布石はあった。前回のEP「Spirit Box」(2024)の1曲目はハウスだった。さらに同作でフライング・ロータスはみずからのヴォーカルを披露してもいた。これはきっと近年、なにかしら意識の変容があったにちがいない──。先週リリースされたばかりの新作EPは、そんな変わりゆく彼の現在形をみごと映しだしている。「Big Mama」はヒップホップの文脈でもジャズのそれでもなく、一気にエレクトロニック・ミュージックの文脈に振りきれた内容に仕上がっているのだ。

 2枚目『Los Angeles』(2008)で時代の寵児となって以降、エレクトロニカ、ヒップホップ、ジャズ、そのいずれの枠にも収まらないことにより因習を打破してきた彼は、5枚目『You’re Dead!』(2014)まではコンスタントに、2年おきにアルバムを発表してきた。そんな彼が5年もの歳月をかけて送り出したのが6枚目にして現時点での最新オリジナル・アルバム『Flamagra』(2019)だったわけだけれど、フライング・ロータスというプロジェクトの集大成のごとき同作からも、すでに7年近い月日が過ぎ去っている。
 むろん『Flamagra』以後、音楽活動を控えていたわけではない。映画の分野に活路を見いだしたスティーヴン・エリスンは、それと連動するかのように『Yasuke』(2021)、『Ozzy's Dungeon』(2022)、『Ash』(2025)と、いくつものサウンドトラックを手がけている。とはいえやはり、正直に告白するなら、勘ぐらずにはいられなかった。超大御所のハービー・ハンコックや当時すでに「時の人」だったケンドリック・ラマーらを招き、唯一無二のジャズを発明してみせた『You’re Dead!』のあと、なにかしら転機のようなものが訪れていたのではないか、と。たとえば「もうやれることはやりきった」というような──
 そんなこちらの勝手な憶測を覆しにきたのが「Spirit Box」であり、今回の新作EPだ。つぎつぎとめまぐるしく展開していく「Big Mama」は、ジャングルを崩したようなビートの曲でもって幕を開ける。ヒップホップの要素は薄い。ジャズの因子は、消失しているとまではいえない。たとえば “Captain Kernel” の旋律はまるでサンダーキャットが演奏しているかのようで、このフュージョン感は “Brobobasher” や “Pink Dream” でも味わうことができる。
 もっとも注目すべきはチップチューンの導入だろう。“Antelope Onigiri” を筆頭に、 “In The Forest - Day” や “Horse Nuke”、最後の “Pink Dream” まで、ヴィデオ・ゲーム・ミュージックからの影響こそが「Big Mama」に大いなる個性を与えている。もちろん、これまでの作品でもそうした断片が散りばめられることはあった。ただ今回は、あのなつかしい響きがとびきり耳に残るのだ。かくしてレトロの切れはしをまったくレトロではないスタイルでもって有効活用することにより、フライング・ロータスはいま、ひとりのエレクトロニック・ミュージシャンとして自身の殻を破ろうと奮闘している。

いまはあらゆるものがアルゴリズムで動いているような世界だよね。すべてが理屈どおりに整っていて、意味が通るようにつくられている。だからこそ俺は、もっと生き生きとして、カオスで、本物だと感じられるものをつくりたかったんだ。

まずは最近のあなたの動向をおさらいしておきたいです。近年で大きかったのはやはり、2025年に公開された映画『アッシュ ~孤独の惑星~(原題:Ash)』の、監督と音楽を担当したことでしょうか。それはあなたのキャリアにおいて、どのような未知の体験をもたらしましたか?

FL:ほんとうにたくさんのことをもたらしてくれたよ。キャリアという意味だけでなく、人生そのものに、たくさんの未知のことや予想もしなかった出来事をもたらしてくれたんだ。あの映画は、ある意味では自分の存在の進む方向を変えてしまったとも言えるような作品だった。この経験からほんとうに多くのことを学んだし、とても豊かなものを得ることができたんだ。あの映画をつくれたということ自体が夢の実現だったからね。正直なところ、あのレヴェルで作品づくりができるというのは、ほんとうに特別な体験だったよ。あんな経験はほかにはないね。だから、関わってくれたみんなと一緒に仕事ができるということを、心から楽しんだ感じだった。それにそういう経験こそ、ずっと望んできたことだったんだ。子どものころに『ジュラシック・パーク』を観て以来、ずっと映画をつくりたい、SF作品をつくりたいと思っていたから。だから、ほんとうに多くのことを学んだし、自分の能力に対する自信も大きくなった。音楽で培ってきたスキルにも頼らなければならなかったし、映画制作のスキルにも頼る必要があったからね。これまで人生のなかで学んできたすべてを映画制作に応用しなければならなかったんだ。それは、創造的な意味でも本当に大きな報酬をもたらしてくれる、非常に充実した経験だったね。

サウンドトラックといえば、あなたは以前『Yasuke -ヤスケ-』(2021)の音楽を手がけてもいます。『Yasuke』にはヒップホップも含まれていましたが、それと聴き比べると『Ash』のほうは宇宙の無重力状態を想起させるような曲、アンビエント寄りの曲など、これまであまり見せてこなかったスタイルの曲が多いです。そのちがいは、映画の内容のちがいだけに起因していますか?

FL:映画音楽について言えば、映画に対して「音楽はこうあるべきだ」と押しつけてしまうのは間違いだと思うんだ。むしろ大事なのは、その映画がなにを見せようとしているのか、どんな作品なのかをよく「聴く」ことだと思う。それに応えるかたちで音楽をつくる。多くの場合はそうだと思うよ。もちろん、もっと優れた監督なら、物事をよりうまく導くことができるのかもしれない。でも俺の場合、プロセスを信じるようにしているんだ。編集作業がはじまると、いろいろなものが少しずつ姿を現してくる。テンポやリズムも見えてくるし、合うと思っていた音がじつはちがったとか、この音こそがこの映画の音だとか、そういうことがわかってくるんだ。つまりその映画がもっている感覚に対して反応していく、という感じだね。

通訳:『アッシュ ~孤独の惑星~』にかんしては、映画の撮影に入るまえに音楽は書きあげていたんですか?

FL:いい質問だね。じつは撮影をはじめるまえにかなり多くの音楽を録音していたんだ。でも、そのほとんどはうまく機能しなかった。おそらく1曲か、せいぜい2曲くらいは使えたかもしれないけれど、俺がその映画のためにつくった曲の多くは、結局使えなかったんだよね。というのも、最終的に自分がつくった映画は、音の方向性がまったくちがうものになっていたから。だから、ほとんど一からやりなおすような感じになってしまった。でも、それもすごくいい経験だったしとても楽しかった。ああしたことを学べたという意味でも、ほんとうにすばらしい経験だったね。

ひとつ前のEP「Spirit Box」(2025)では “Ajhussi” で大胆にハウスに挑戦しており、驚かされました。同EPではヴォーカルにも挑戦していましたね。当時、なにか心境なり環境なりに変化があったのでしょうか?

FL:パンデミックのあいだに、ハウスっぽい曲やダンス寄りの曲をたくさん書くようになったんだよね。踊りたかったから(笑)。どこにも出かけられなかったし、外に遊びに行くこともできなかった。だから、自分が踊りたいと思える音楽を自分でつくるしかなかったんだ。それが、そういう方向で曲を録音していく流れにつながったんだろうね。とはいえ、じつは昔からそういうサウンドはやっていたし、ハウスっぽい曲やファンクっぽい曲はずっとつくっていて、ストックのなかにしまっていた感じなんだ。それを前面に出すことはあまりしてこなかったけれど。でもあのプロジェクトでは、もっとグルーヴがあって、楽しくて、踊れるものをやりたいと思ってたんだよね。

今回、新作の「BIG MAMA」を〈Warp〉からではなく自身の〈Brainfeeder〉からリリースすることになった経緯を教えてください。

FL:その決断の理由はほんとうにシンプルで、〈Warp〉との契約期間がちょうど終わったことが大きかったんだ。契約を更新して新しい形でつづけることもできたし、あるいは自分の道を進むこともできた。そういうタイミングだったんだ。それに、〈Brainfeeder〉ではとてもいい環境を築いてきていると感じていたから、ここで試してみたいと思った。いまのところはすごく順調だね。もともと、ここにいるみんなとはすでに一緒に仕事をしてきたけれど、いまはより密接に関わりながら進めているよ。これからの時間を最大限に活かそうとしているところだし、将来的にはまた〈Warp〉と一緒に作品をつくれたらいいな、とも思っているんだ。彼らのことはほんとうに大好きだし、一緒に仕事をした経験もすばらしかった。これまでにもいい作品をたくさんつくってきたからね。だから、またいつかなにかいっしょにできたらいいな、と思っているよ。でも、いまはまず〈Brainfeeder〉でやっていきたいという感じだね。

通訳:なぜ〈Warp〉との契約更新ではなく、〈Brainfeeder〉での活動を選んだのでしょう? これまで長いあいだ〈Brainfeeder〉を運営してきたのに、なぜいま〈Brainfeeder〉から作品を出そうと決めたんでしょうか。

FL:そうなんだよね。これは、〈Warp〉との契約上の問題が大きくて。〈Warp〉との契約では、他のレーベルでちがうことをやることができなかったし、再契約することで〈Warp〉では、いままで自分がやってきたようなことができなくなってしまう可能性があったから。

通訳:では、ある意味作品の性質上〈Brainfeeder〉を選んだ、というより、もっとプラクティカルな都合上という感じだったんでしょうか。

FL:そのとおりだよ。音楽性の問題というよりも、契約上の問題にすぎないという感じだよ。

通訳:将来的には〈Brainfeeder〉と〈Warp〉から、ちがったタイプの音楽やプロジェクトをリリースする可能性もありそうですかね?

FL:そうなったらいいと思うけどね。まあ、なりゆき次第かな。

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俺の強みは、一瞬のビートだけではなくて、作品全体の絵をつくることなんだ。

今回、ヒップホップにもわかりやすいジャズにも頼らなかったのはなぜですか?

FL:俺は、この作品にもジャズの要素はあると思っているけれどね。いわゆるトラディショナルなジャズというわけではないけれど、演奏やソロの部分にジャズ的な要素がたくさん入っていると思う。俺にとっては、むしろほかのなによりもジャズに近い感覚だね。というのも、多くのパートがインプロヴィゼイションの精神でつくられていて、あまり考えすぎず、音楽が生き生きとしているように感じられるものにしようと考えていたからなんだ。そういう意味では、これまで以上にジャズ的だと思っているよ。ヒップホップの要素は、たしかに少し控えめかもしれないね。でもそれは単純に、自分にしかつくれないものをつくりたいと思ったからなんだ。このプロジェクトで俺がやったことは、ほかのだれにも真似できないんじゃないかという感覚もあるし、それをとても誇りに思っているよ。すごく独自性の強い作品になったと思う。よくも悪くも、という感じだけれどね(笑)。

今回、全体的にチップチューン的なサウンドが耳に残りました。ひさびさにあなたのヴィデオ・ゲーム・ミュージック愛が濃く出た作品なのではないかと感じましたが、ご自身ではどう思いますか?

FL:ほんとうに? それは嬉しいなぁ。俺の好きなサウンドだから。

通訳:そういうサウンドはあえて入れたのですか?

FL:そうだね。意図的に入れたんだ。俺はヴィデオ・ゲームとゲーム音楽が大好きだから。人生のなかでも大きなインスピレイションになってきたんだ。だから、この作品のなかにもそうした要素は確実に織り込まれているよ。それに加えて、聴いたときにノスタルジーを感じられるようなものにもしたかった。遊んでいたころのことを思いだしたり、子どものころの感覚を思いだしたりするような。そういう気持ちにさせてくれるものにしたかったんだ。だからこの作品は、どこか子どもっぽさがあって、純粋に楽しいと感じられるような音楽にしたいと思っていたんだよ。

あなたは以前、ハービー・ハンコックというレジェンドとコラボレイトしています。また、LAのシーンないし〈Brainfeeder〉周辺では、サンダーキャットやルイス・コールなど一流の技術をもった楽器演奏者が活躍しています。今回、打ち込みにこだわったのは、そうしたプレイヤーたちの活躍を意識して、あえて逆を狙ったのでしょうか?

FL:このEPにも、すばらしいキーボード演奏がたくさん入っているよ。もしかするとわかりにくいかもしれないけれど、ほんとうにすごい演奏がいろいろと使われているんだ。つまり、この作品にもかなりしっかりした楽器演奏が入っているんだよね。ただ、この作品はそれ自体で独自のものをもっている。とてもテクニカルな感触もあるし、同時にすごくジャズ的でもある。演奏のニュアンスというか、音をきちんと聴けば「うわ、すごいな」と感じるようなものなんだ。演奏がわかるひとなら聴いたときに、「なるほど、これはすごい」と思うはずだよ。俺にとっては、この作品はまさに自分が夢中になって楽しめるタイプのものなんだよね。今回のプロジェクト全体が、そういう意味あいをもっていた。自分にとって技術的な挑戦と言えるようなものをつくりたかったし、電子音楽でありながら、生きている感じや即興性を持ったものにしたかったんだ。いまはあらゆるものがアルゴリズムで動いているような世界だよね。すべてが理屈どおりに整っていて、意味が通るようにつくられている。だからこそ俺は、もっと生き生きとして、カオスで、本物だと感じられるものをつくりたかったんだ。

通訳:インプロヴィゼーション・プログラミング・ミュージックとも言える新境地を開拓したという感じですね。

FL:まさにそのとおりだよ。それと、どちらかというと意識の自然な流れをキャプチャしたような感覚だね。

4月には〈Brainfeeder〉からサンダーキャットのひさしぶりのアルバム『Distracted』が出ますね。あなたも参加しています。あなたは長いこと彼を間近で見てきたわけですが、彼の最新アルバムはあなたからするとどのような作品に仕上がっていますか?

FL:いい質問だね。そうだね、なかなか興味深い作品だと思うよ。彼はいま、すごく面白い地点にいると思うんだ。新しいアルバムが出るまでにかなり時間が経っているし、この数年で彼自身もひととして大きく変わってきたから。そうした変化は、きっと音楽にも反映されていると思う。だから、みんながこの作品をどう受けとめるのか、とても楽しみだよ。すごく興味深いアルバムなんだ。きっと、もう少し具体的な話……いわゆるネタバレみたいなことを期待しているのかもしれないけれど、それは言わないでおくよ(笑)。ただ、とても面白い作品だし、これまでの彼の音楽に慣れ親しんでいるひとにとっては、少しちがったものに感じられる、とだけ言っておこうかな(笑)。

『ガーディアン』のインタヴューで「 “ロウファイ・ビーツ” はスターバックスの音楽のようになっている」「以前やっていないことにトライしなければならない」と語っていました。新作の「BIG MAMA」を自分で採点するとしたら、満足度はどれくらいですか?

FL:どう評価するか、ってこと? そうだな……かなりすばらしい作品だと思うな。じつは、今日も聴いてみたんだけど、面白いことに2年前につくった作品なのにまったく飽きないタイプのプロジェクトなんだよね。自分がこの作品でやったことにはとても満足しているし、いま聴いてもまだまだ挑戦的に感じられるんだ。聴きながら、自分はこれをどうやってつくったんだろう? って思ってしまうくらい。どうしてこんなことができたんだ? ってね。そういうふうに感じられることは、とてもいいことだと思うよ。

文章力を高めたいね。もっといい歌詞を書けるようになりたいし、本やいろいろな文章も書けるようになりたいから。そういう部分をもっと伸ばしていきたいね。いずれは回想録を書きたいとも思っているよ。

今回の制作方法は、これまでとどうちがっていたのでしょうか。

FL:だいたい2か月くらいを費やしたね。かなり集中してとりくんだんだ。最初の1か月は、とにかく音を録音することに費やした。すべてのサウンドについて意識的に選びながら、自分で録音した特定の音だけを使うようにしていたね。それから残りの1か月で、そういうものをまとめてかたちにしていった。つまり曲そのものよりも「音」に焦点を当てるプロセスだったんだ。パターンや構成よりも、まずはサウンドに集中するという感じだね。俺にとっては、これまでとは少しちがう制作のやり方だった。特別に大袈裟なことをしたわけではないけれど、アプローチとしてはこれまでとちがっていた、という感じだよ。

「BIG MAMA」は一見、反復するダンス・ビート集のようにも聞こえますが、じつはどの曲もすぐにどんどん展開していきますよね。7曲すべてがつながってもいます。

FL:うーん、その評価はちょっと不公平な気がするね。この作品にはループは使っていないし、おなじことを繰り返している部分もないから。そう聞こえるかもしれないけれど、じっさいには繰り返している部分はないんだ。すべての小節ごとになにか新しい要素が入っていたり、なにかしら変化が起きたりしているんだよね。

通訳:じつはどんどん展開していく、というふうにきちんと理解できていると思います。質問の仕方がよくなかったですね。このEPは7つのトラックに分けて収録されていますが、最後に全体を繋げた1曲にミックスされたものも収録されていて、7曲すべてがつながってもいますよね。

FL:もともとは、すべてをひとつの作品としてつくりたいと思っていたんだ。ひと続きのひとつの曲として成立するようなかたちにしたくてね。でも、いま自分たちが生きている音楽の環境も理解していて。15分もある曲を聴きたいと思うひとは、あまり多くないよね。だから、ストリーミング・サーヴィスのことなんかも考えて、いくつかのトラックに分けるかたちにしたんだ。

通訳:商業的な理由もあったんですね。

FL:そうだね。それに、よく考えてみると両方のいいとこどりをできるかたちでもあるんだよね。トラックごとに分かれているかたちでも聴けるし、ひとつの長い流れとして楽しむこともできる。だから結果的にはみんなにとっていいかたちになっていると思うよ。

通訳:リスナーに選択肢の幅を持たせるのは面白いですね。

もし本EPのリミックス12インチを出すとしたら、だれに頼みたいですか?

FL:いい質問だね。でも、そうだな……ちょっと考えて、あとで答えてもいい?

通訳:OKです。あとでまたお訊きしますね。では、次の質問に進みます。

ふだん日常で聴いている音楽のなかで、仕事とはべつに、いま個人的に夢中になっている音楽はなんですか?

FL:最近はドラムンベースやジャングルをよく聴いているね。シング(Thing)っていう若いアーティストも聴いているし、ブラック・オディシー(BLK Odyssey)もよく聴いているよ。ロッチェル・ジョーダン(Rochelle Jordan)の新しいアルバムも聴いている。それからマシンドラム(Machinedrum)の新しい曲もよく聴いているし、ほんとうにいろいろ聴いている感じだね。あと、長谷川白紙も最近よく聴いているよ。ちょうど〈Brainfeeder〉に新しいアルバムを提供してくれたところだから、それもみんなで聴いているところなんだ。

今年はあなたのファースト・アルバム『1983』の20周年です。この20年で、あなたにとってもっとも大きな転機となった出来事はなんでしたか?

FL:どこが転機だったのかは、自分ではわからないな。というか、いまでもまだ転回しつづけている感じだしね(笑)。うまく言えないけれど……どう答えていいのか正直わからないけど、特定の転機があったという感覚はあまりなくて、ずっと変化しつづけているし、つねに成長しているという感じなんだ。だから、この質問をしたジャーナリストからみて、「ここが転機だったんじゃないか」と思うところをむしろ教えて欲しいかな(笑)。

2023年にはラッパーのスモーク・デザ(Smoke DZA)とEP「Flying Objects」を送りだしていますよね。1枚丸ごとラッパーと組むのは珍しいと思いますが、同作の経験はあなたになにを与えましたか?

FL:じつは、ああいうかたちのプロジェクトをもっとやりたいと思っているんだよね。正直なところ、最終的にはラッパー次第だったりするんだけど。俺はここにいるし、いつでもやる準備はできている。彼がそれを望んだから、今回はそういうかたちになった、という感じだよ。もちろん、そういう仕事は喜んでやるけれど、できればひとつのプロジェクトについて、自分が唯一のプロデューサーとして関わるかたちがいいね。そこが自分の強みだと思っているから。俺の強みは、一瞬のビートだけではなくて、作品全体の絵をつくることなんだ。だから、いつかだれかとそういうかたちでしっかり組んで作品をつくれたらいいな、と思っているよ。きっとすばらしいものになると思う。

好きなハウスのプロデューサーがいたら教えてください。

FL:そうだな……特定の好きなハウス・プロデューサーがいるかと訊かれると、ちょっと難しいな。レオン・ヴァインホール(Leon Vynehall)は好きだね。純粋なハウス・プロデューサーというわけではないけれど、彼の作品はすごく評価しているよ。ただ、いろんなひとがときどきいい曲を出していて、そういうひとたちを聴くことは多いね。でも、「いまいちばん好きなプロデューサーはだれ?」と問われると、あまりはっきりした答えはないかもしれないなぁ……あ、ひとりいた! セヴン・デイヴィス・ジュニア(Seven Davis Jr.)だ。彼はすごくいいね。

通訳:彼に「BIG MAMA」のリミックスをお願いしたかったりしますか?

FL:それだ! 完璧だね(笑)。

かつて〈Brainfeeder〉がフックアップしたイグルーゴースト(Iglooghost)は、いまや新世代のエレクトロニック・ミュージックの代表格ともいえる存在になっています。彼の活躍をどう受けとめていますか?

FL:すごく嬉しいよ。最初から彼がすばらしいアーティストだということはわかっていたからね。これからも彼が自分のやりたいことをつづけていってくれたらいいなと思っているよ。とてもすばらしいことだと思う。

通訳:新世代のエレクトロニック・ミュージックについてはどんな感想を持っていますか?

FL:いいと思うよ。すばらしいことだと思う。みんなにとっていいことだと思うから。正直、あまり難しく考えることはないけれど……ほかになんと言えばいいかな。とにかくすばらしいことだし、このままつづけていってほしいね。みんなが成長しつづけて、挑戦しつづけていければいいと思う。

音楽家としてはもちろん、あなたはすでに映画作家としても道を歩みはじめています。あなたはいろんなことに関心があるのだと思いますが、これまでまだ手をつけていない分野で、将来あなたがやってみたいことはなんですか?

FL:とくに新しい分野に挑戦したいというよりは、まずは「書くこと」をもっと上達させたいと思っているんだ。文学的な意味での文章力を高めたいね。というのも、もっといい歌詞を書けるようになりたいし、本やいろいろな文章も書けるようになりたいから。そういう部分をもっと伸ばしていきたいね。それから、いずれは回想録を書きたいとも思っているよ。自分ひとりでというより、だれかといっしょにとりくめたらいいね。これまでの人生はかなり特別なものだったと思うし、できればなにも忘れることなく残しておきたいんだ。それに加えて、ちょっとしたフィクションの物語もいくつか書いたりしているから、そういうものにもとりくんでいきたいね。

通訳:ご自身が書いたフィクションの作品をベースにした映画の制作なども今後やっていく可能性はありますか?

FL:ぜひやりたいね。じつは、書く力を伸ばしたいと思っている理由のひとつでもあるんだよ。もっといい脚本家になりたいんだ。長編映画や短編映画の脚本を書けるようになりたいと思っているよ。

Loraine James - ele-king

 ロレイン・ジェイムズが4枚目となるニュー・アルバム『Detached From the Rest of You』を5月8日に〈Hyperdub〉よりリリースする。本名名義としては2023年の『Gentle Confrontation』以来のアルバムだ。今回の新作について本人は「IDMポップ・スター・アルバム」と形容しており、〈Mille Plateaux〉の『Clicks & Cuts』や青木孝允(AOKI takamasa)池田亮司などから影響を受けているという。ゲストとしてミネソタのヴェテラン・バンド、ロウのアラン・スパーホーク、ティルザ、チボ・マットの羽鳥美保、NYのドラマー、アニシア・キムなどが参加している模様。現在、シドニー・スパンをヴォーカルに招いた新曲 “In a Rut” が公開中だ。


https://hyperdub.net/products/loraine-james-detached-from-the-rest-of-you-cd-vinyl-digital?srsltid=AfmBOorvRhWr4bzGqmdmso3vntBqGyHMnVTeuOKZQSDZoeVIfqOHTO-2

Dolphin Hyperspace - ele-king

 サンダーキャットルイス・コール、あるいは近年のドミ&JD・ベックなどなど、カリフォルニアには凄腕プレイヤーたちによるジャズ/フュージョン文化が息づいている。そうした系譜に新たに連なることになりそうなのが、ドルフィン・ハイパースペースと名乗る彼らだ。サックス奏者のニコール・マッケイブと、ベース奏者のローガン・ケインからなるこのLAのデュオは、すでに2枚のアルバムを発表しているのだけれど、来る5月1日、3枚目のアルバム『Echolocation』がリリースされることになっている(ルイス・コール、ジャスティン・ブラウンらも参加)。このアルバムでいよいよブレイクしそうな予感がひしひし。チェックしておきたい。

先行シングルのヴィジュアライザー

ルイス・コールとのライヴの様子

LAビートシーンを切り裂くブっ飛びエレクトリック・ジャズ、ドルフィン・ハイパースペース最新作!ベースとサックスのバカテクデュオに超絶ドラマー、ルイス・コールも参加した摩訶不思議奇天烈ダンスビートとエレクトリック・ジャズの融合!

ニコール・マッケイブ(Sax)とローガン・ケイン(Bass)によるバカテクデュオに超絶ドラマー、ルイス・コールも参加した、摩訶不思議奇天烈ダンスビートとエレクトリック・ジャズを融合したドルフィン・ハイパースペース最新作がリリース決定!

現代ジャズの先進性と電子音楽の拡張性を取り入れたジャズの複雑なハーモニーや即興的なアプローチとシンセサイザーやビートシーンから生み出されたエレクトロニックな要素をクロスオーヴァーしたサウンドはLAビートの新たなスタイルと言っても過言ではないでしょう。

同じくLA拠点に活動する超絶ドラマー、ルイス・コール、ジャスティン・ブラウンに加えて、グラミー賞ノミネートのピアニスト、ジェラルド・クレイトンもゲスト参加し、前作でも話題となったイルカをフィーチャーしたビジュアルは健在!

現在進行形のLAジャズ/ビートシーンを体現するサウンドを聴き逃しなく!!

The Life of a Bee (official visualizer)
https://youtu.be/UyKaLedYRmA

【Streaming/Download/Pre-Order(CD/LP)】
p-vine.lnk.to/kaBy6J

【リリース情報】
アーティスト:DOLPHIN HYPERSPACE / ドルフィン・ハイパースペース
タイトル:ECHOLOCATION / エコロケーション
フォーマット:CD/LP/DIGITAL
発売日:2026.5.1
定価:CD ¥2,750(税込) / LP ¥5,060(税込)
品番:CD PCD-25524 / LP PLP-8334CP
レーベル:P-VINE

【Track List】
01.Vacation
02.BIG FISHY feat. Louis Cole
03.The Life of a Bee feat. Louis Cole
04.Kyoto feat. Louis Cole & Bad Snacks
05.Dolphins are Cute feat. Jon Hatamiya & Justin Brown
06.Biological Sonar
07.Dolphin Samba feat. Aaron Serfaty
08.Green Chimneys feat. Gerald Clayton
09.The One Evil Dolphin (About Which We Can Make No Conclusions)
10.Cool Star feat. Justin Brown
11.Sardine Jam Session feat. Louis Cole
12.Dolphin Mode feat. Bad Snacks & Justin Brown
13.Never Give Up on Cephalopods
14.My Big Break feat. Louis Cole
15.Memories of the Deep Blue Sea feat. Justin Brown
LP SIDE A:M1-M7 / SIDE B:M8-M15

【DOLPHIN HYPERSPACE (ドルフィン・ハイパースペース)】
USロスアンゼルスを拠点に活動するエレクトロ・ジャズ・デュオ。サックス奏者のニコラ・マッケイブとベーシスト/プロデューサーのローガン・ケインの2人により結成され、現代ジャズの先進性と電子音楽の拡張性を取り入れジャズの複雑なハーモニーや即興的なアプローチとシンセサイザーやビートシーンから生み出されたエレクトロニックな要素をクロスオーヴァーしたスタイルが特徴的なアーティストである。2020年に1st EP『Dolphin Hyperspace』、翌2021年に1stアルバム『Mini Giraffe』を発表するとともにLAビートシーンで頭角を現していくと、2024年に発表した2ndアルバム『What is my Propoise?』ではルイス・コールやジャスティン・ブラウンといった同じくLAを拠点とし世界的にも高い評価を得ているドラマーをゲストに迎え、そのサウンドの先進性と奇妙奇天烈なグルーヴから生み出させる絶妙なポップネス、そしてイルカのイラストをカヴァーに採用した独特なアートワークで日本国内でも話題となり世界的にリスナーを獲得している。2026年5月にリリースされる『ECHOLOCATION』には前作から活動を共にしているルイス・コール、ジャスティン・ブラウンに加えて、同じくLAを拠点に活動するグラミー賞ノミネートのピアニスト、ジェラルド・クレイトンも参加するなど現在進行形のLAジャズ/ビートシーンを体現する作品へと仕上がっている。
https://www.instagram.com/dolphinhyperspace/

Squarepusher - ele-king

 昨年は初期作品『Stereotype』のリイシュー、一昨年は人気作『Ultravisitor』の20周年記念盤と、回顧的な動きがつづいていたスクエアプッシャー。ここへ来て、ニュー・アルバムのお目見えだ。『Kammerkonzert(室内協奏曲)』と題されたそれは『Dostrotime』以来およそ2年ぶりのオリジナル・アルバムで、4月10日にリリース。はたして今回はどんな内容に仕上がっているのやら。まずは公開中の新曲“K2 Central”を確認しよう。

Squarepusher

鬼才スクエアプッシャー、再び覚醒
音楽構造そのものの限界へと踏み込む“室内協奏曲”
最新アルバム『KAMMERKONZERT』が完成!
新曲「K2 CENTRAL」がMVとともに公開!
アルバムは4月10日リリース

スクエアプッシャーこと鬼才トム・ジェンキンソンが、新作『Kammerkonzert』を発表した。黒曜石のように硬質で超高速のベースプレイ、凶暴なオーケストラ・サウンド、そしてプログレッシヴ、アンビエント、エレクトロニック、実験音楽を縦横無尽に横断する急旋回の連続――その名の通り“室内協奏曲”を掲げながら、音楽構造そのものの限界へと踏み込む野心作だ。アルバムは4月10日に〈Warp Records〉よりリリースされる。

今回の発表にあわせて、最新シングル「K2 Central」が公開。複雑に構築された楽曲のサウンドがどのように組み上げられているのか、その一端を視覚的にも体感できる映像作品となっている。

Squarepusher - K2 Central (Official Video)
https://youtu.be/cAvdRtOdRcM

唯一無二のハードコア・レイヴ/エレクトロニック・プロデューサーであり、実験的ミュージシャン、そして未来的フュージョンの開拓者であるスクエアプッシャー。その30年に及ぶキャリアは、宝石のような作品群で埋め尽くされている。衝撃のデビュー・アルバム『Feed Me Weird Things』(1996年)、異次元のコンクレート・ジャズを提示した『Ultravisitor』(2004年)、超絶技巧のベースプレイが堪能できる『Solo Electric Bass 1』(2009年)、さらには『Music for Robots』(2014年)まで、現代音楽においてこれほど広範な領域を確かな足取りで横断してきたアーティストは稀有だ。その彼から新たに届けられた最新作は、ほぼ全パートを自身で演奏した驚異的な“室内協奏曲”だ。

本作『Kammerkonzert』は、プロデューサーとしてのみならず作曲家としての力量を強烈に示す作品でもある。目まぐるしく展開する構成は、フランスのプログレッシヴ・ロック・バンド、マグマ(「K1 Advance」)、ウェザー・リポートの『Body Electric』期の流れるようなフュージョン(「K2 Central」)、エンニオ・モリコーネが手がけた血塗られたジャッロ映画のサウンドトラックを想起させる瞬間もある(「K7 Museum」)。さらにUKジャズ・シーンとのクロスオーヴァーも感じさせる(「K3 Diligence」)、シュトックハウゼンの大作『Mantra』のリング・モジュレーション・ピアノや、ブライアン・イーノがデヴィッド・ボウイと作り上げたアンビエントの空気感(「K11 Tideway」)まで、多層的な影響が交錯する。

だが、それらは決して引用やオマージュに留まることはない。すべての楽曲は、ジャンルや様式に当てはめられる前に変形し、消え、再構築される。歯車やマイクロチップが高速で組み替えられる自己再構築装置の内部を覗き込むかのように、聴き手はやがて全体像が浮かび上がる瞬間へと導かれていく。

“オーケストラ作品”という言葉が喚起する成熟や格式とは、本作は無縁だ。生ドラム、エレクトリック・ベース、ギター、そして複雑なサウンドライブラリが共存し、伝統的な記譜法では捉えきれないリズムと質感を実現する。

当初は室内楽団との共演を想定していた本作だが、度重なる出来事を経て、結果的に自身が全パートを演奏する形へと昇華した。これはクラシックでもなければ、従来のエレクトロニック作品でもない。そのどちらとも異なる、新たなフォルムである。

タイトルの『Kammerkonzert』はドイツ語で“室内協奏曲”を意味するが、その硬質な響きは作品の音響的戦闘性をも示唆している。音楽構成の極限を内側から押し広げる、悪戯心に満ちた挑戦。ブレイクビーツと弦楽四重奏という危うい組み合わせすら成立させるその姿勢こそ、本作の核心である。

スクエアプッシャー最新作『Kammerkonzert』は、4月10日 (金) にCD、LP、デジタル配信で発売。国内盤CDには、日本語解説書を封入。LPは通常盤 (2枚組ブラック・ヴァイナル) に加え、数量限定の日本語帯付き仕様(解説書付) でも発売。さらに国内盤CDと日本語帯付き仕様盤LPは、Tシャツ付きセットの発売も決定。

label: BEAT RECORDS / Warp Records
artist: Squarepusher
title: Kammerkonzert
release: 2026.04.10
商品ページ: https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=15653
配信リンク: https://squarepusher.ffm.to/kammerkonze
tracklist:
01. K1 Advance
02. K2 Central
03. K3 Diligence
04. K4 Fairlands
05. K5 Fremantle
06. K6 Headquarters
07. K7 Museum
08. K8 Park
09. K9 Reliance
10. K10 Terminus
11. K11 Tideway
12. K12 Uplands
13. K13 Vigilant
14. K14 Welbeck

CD

LP


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