「R」と一致するもの

Oren Ambarchi - ele-king

 音楽史におけるほぼと言っていい全ての段階で、即興演奏をする楽しみが存在してきた。音楽上のテクニックや作曲形式で、即興演奏による実践から発していないもの、本質的に影響を受けていないものはないからだ。にもかかわらず即興演奏に関する定義や知識にはっきりしたものはない。これはインプロヴィゼーションの「決して止まることなく、つねに変化し状況に合わせて姿を変える」(デレク・ベイリー『インプロヴィゼーション』)性質による。ジャンルを超えた新しいサウンドを作り出し、どの作品も異なるカラーを持つオーレン・アンバーチの音楽も定義できるものではないし、定義すること自体がナンセンスかもしれないが、それこそがオーレンの作品をかたちづくるものであることは間違いないでしょう。

 オーストラリア、シドニー出身でエクスペリメンタル、インプロヴィゼーション界隈で活動を続けている、オーレン・アンバーチが『Simian Angel』を〈Edition Mego〉より2016年の『Hubris』以来の3年ぶりにリリースしている。(2019年7月)(オーレン主宰のノイズ、インプロ、実験的音楽を扱う〈Black Truffle〉のリリースも要チェックです!)

 SUNN O))) のメンバーとしてはもちろん、灰野敬二やメルツバウPhewジム・オルークなど多くのミュージシャンとのコラボレーション作品を制作し、ソロではドラムとギターによる編成を好んできたオーレンだが、今作はジョン・ゾーンやハービー・ハンコック、坂本龍一との共演でも知られるブラジル出身パーカッション奏者シロ・バプティストをフィーチャーし、ブラジル音楽からの影響が濃密に反映されている。

 『Simian Angel』は “Palm Sugar Candy”、“Simian Angel” の2曲からなる。どちらも16分から20分前後の長さで、オーレンの実験的に繰り広げられ、発展し、フェードアウトしていくようなサウンドスケープに没入するには心地よい長さに感じる。“Palm Sugar Candy” はコンガと水のようなシンセがゆったりとした「時間の音楽」を生成していく。“Simian Angel” ではビリンバウのパーカッシヴなパターンが反復されていく。様々な楽器を用いながら、ジャンルを超えた新しいサウンド、楽器、音素材の可能性を拡張し続けてきたオーレンだが、今回はシロ・バプティストの巧妙でリズミカルなハンドリングや、ビリンバウ、コンガの音色を取り入れることによって、ブラジル音楽への可能性を拡張していく。(オーレンはもともとパーカッション奏者という経歴もある)。また本作『Simian Angel』ではエレクトリック・ギターへの新たなアプローチに焦点が当てられている。一聴してオルガンのように聴こえるあの音もギターの音で作り上げられ、スリーブに「guitars & whatnot」と記される。このアルバムはギターとその他のなんやかんやの音でできているわけだ。

 インプロヴィゼーションの世界では、楽器は単なる記号として楽譜に記された音符を演奏するという目的のための手段、道具ではない。ジョン・ケージが言うところの「音そのもの」に興味があるというオーレンにとってもそうであろう。ギターから作られる音色で様々な音色を作り出せるオーレンにとっても楽器は音素材の源であるはずだ。

 また、インド生まれの母親を持つ彼は幼少期からラーガの音楽によく触れてきたようだ。このような音楽では、ラーガのある種の秩序よって素材、その素材を規格化された方法、演奏の骨格が用意されるが、全ては流動的であって、演奏されたときに最終的な状態へと達する。音素材や旋法等に上下関係はなく、装飾音、効果音と聴こえるようなものでもその音が何か別の音の下位に位置しているわけではない。なるほど、彼がラーガに影響を受けてきたことに納得する。オーレンは音素材やメロディに優劣をつけない。一聴して、これはブラジルのリズムだ、コンガの音だと知覚することはあるものの、なにかある音が支配的なものなのではなく、すべての要素を平等に不可欠なものとして解放する。16分から20分前後で展開され発展しては消えていく音たちは何か別の音の上位に存在しているものではないと感じることができるだろう。シンセの音もパーカッションの音もその他のなんやかんやの音として平等に扱われる。

 オーレンが作り出すギターの音、ギターでないようなギターの音、その他の音、メロディ、パーカッション、さまざまなものが合わさったとき、インプロヴィゼーションのなかで、ライプニッツの言うところの「音楽は魂がなにをしているか気づかぬうちにおこなっている秘密の計算」をこの音楽からも色濃く感じることがきっとできるだろう。

 https://orenambarchi.com/

宣伝でも素朴な感想文でもない、本当に “読者の役にたつ書評” とはこれだ!

長年にわたり価値を失わない良書をしっかり紹介し、ベストセラーであろうとダメな本は徹底的に批判する──
辛口書評家が30年ちかくにわたり書き綴った膨大な書評より、経済、ビジネス、経営、政治、歴史、社会などの分野をここに集成!

速度過剰な情報社会で、〈論争〉が成立しがたくなっている中、
これぞパワフルなマジレスだなって感動する……。
最強書評人・山形浩生が、
数多の書籍、数百万の言葉を横断し、複雑世界の案内人となる!(荻上チキ)


目次

はじめに:書評について

第1章 経済
二一世紀の経済を考える十冊強/痛快ってのはこういう本を言うんだよ/経済学における過度の単純化を戒め、倫理学との接続をはかる講演集/一九三〇年代の論争をもとに、現代日本の不景気を見渡す/教育も希少な資源の配分問題なのだ!/近年のおかしな経済状況分析をしっかり批判/経済学も基礎が大事! 高校生の教科書で学ぼう/お金だけが大切じゃないことを、説教としてではなく理論的に解明しようとする経済学の新潮流/マネーロンダリングの手口と、それがぼくたちにとって持つ意義/正しい理論が政策に反映されない理由/政治的配慮一切なし! 快刀乱麻を断つ必読の経済書/アメリカの世界経済介入/不況は需要不足が問題といいつつ対策は供給側の技術革新に増税?/知識人の左翼的な妄想を捨て、経済成長の重要性を理解しよう!/行動経済学の発想をうまく紹介した、開祖の独自論文集/常に混合し合う文化のダイナミズムを経済学的に描く/不勉強な左派と図に乗った右派の両方をくさし、経済学の価値を認めるべきところでは認めろと主張するえらい本/資源自体ではなく資源の価値をどう残すか?/行動経済学や幸福研究などの成果紹介で、数多い類書から傑出はしていないが、よくまとまっている/概説書としてはまあまあ。でも量子ゲーム理論って何のためにあるの?/日本経済の現状を無視した許し難いデフレ本/異様な密度でアンチョコにさせていただきます/人民元をネタにした単なるゴシップ本/技術が人を操り自らを進歩させる、倒錯した議論の魅惑

第2章 ピケティ/格差
ピケティ『21世紀の資本』の翻訳進捗についての弁明/ピケティの前の本、読んだ!(本文だけだけど)読んだぜコノヤロー!/時事コラムで仏欧のローカルネタが中心。入門にはつらいんじゃない?/死んでもなおらないある病気の人に、ウルフが親切に教えてあげる教育的配慮に充ちた本/デジタル産業革命の先にある宿題 その1/デジタル産業革命の先にある宿題 その2/戦争、革命、疫病……数十万人単位で人が死なないと “経済格差” 解消しない問題

第3章 ケインズ
古い本とはいえケインズについてしっかりまとめた好著/著者が脳内ケインズをもとに実物を批判する異様な本/単著ではないうえ、まとまりもバランスも悪いわかりにくい本/マンガとしてはとてもよいできだが、解説の小野理論偏重はどうよ/全体の見通しがないし、ケインズが動学でないというのは批判すべきことか?/変なケインズ理解をもとに小野理論を持ち上げようとする歪んだ本/ケインズを階級対立の先駆者として見ようという昔の変な試み/伝記とケインズの理論や貢献、その後のケインズ経済学をバランスよく描いている/安易な人物像や哲学談義に流れ、経済学者としての評価から逃げた本/ケインズがいかにイヤミなやつかよくわかる/古い、英語知らない、原文勝手に改ざん/まだ続きます。ほんっと、だれか指摘してあげなかったの??

第4章 クルーグマン
世代の沙汰も金次第、ではないのかもしれない/罵倒と茶化しの効用/非効用──おまけに Beavis & Butthead 讃/クルーグマンが教えてくれる経済学の驚き/学問の力と遊び心/クルーグマンのコラムがつきつける現代マスコミの問題など

第5章 ファイナンス
投資でよりよい人生を!/日本の夜明けは遠いかも──投機に堕したゴミ投資家たち/完敗──『ゴミ投資家のための人生設計入門』はすごいです/いまの日本で豊かさを求めるには?/オンライン株式なんかよりも確実なハイリターン本です/企業価値の計測に関する標準的な教科書/数学者の大やけどで学ぶ、株式投資の標準セオリーの正しさ/何か下劣で馬鹿な著者の『思いつきの名にも値しない投資と称するどぶに金を捨てるすすめ』/オイシイ儲け話は教えてくれないけれど。──株価のフラクタル変動を家元自ら語ってくれます/人間の合理性の限界を見きわめるための本/読んでひがもう非モテたちよ!/世界金融危機の顛末記:正しい者が勝つとは限らない

第6章 経営
日本型システムからの自由と解放/おもしろいだけじゃだめなんだ/あまりに常識的な経営者のお題目集/新聞の取材力が十分に発揮されたメガバンク統合ドキュメンタリー/いまや常識となったドラッカーの原点/告発の書か、優れた経営手法の実録か?/驚異のプレゼンでもダメな中身は救えない/労作ながら有名すぎる異才の伝記として新機軸を見いだせず/あまりエピソードがなく、また怪物の怪物たる所以についての洞察が皆無で残念/企業アイデンティティ形成過程を分析した面白い本

第7章 ビジネス
ぼくの秘密を教えよう:コンサルタント業究極の暴露本/本誌の読者たる最高の知識人諸子必読──『パーキンソンの法則』と組織の病理/現場で足で稼げ! 知識は現場から生まれる/具体性に富んだニューヨーク市長の各種施策/みんなが知ってるつもりの財界のすべて/モジュール化による効率性向上/お気楽なリーダーシップなんかありません/無内容きわまる駄本/働くというのはどういうことなのか?/口で言ってることとは裏腹にお金に縛られた不自由な本/堅実なプレゼンテーション手法紹介/マーケティングの基礎の基礎/顧客の顔色をうかがっても売れない!/悪者扱いされがちな看板側からの魅力誘発手法/失敗を前提にシステム設計をするには?/施設経営再生の実録/日本各地にひそむすごい中小企業/理屈とかけ声だけのMBAなんかいらない/起業にあまり幻想を抱いてはいけないことを実証分析/だらしなくてもだいじょうぶ/メッセージぶれてません?/好奇心を引き出し自由に変わり者であることを恐れず……つまらん/経済学のプロにビジネスのセンスがあるとは限らないのだ/現実ばなれした会社論の問題の根っこはどこにあるのか/インチキ外人の無知垂れ流し本。いまだにだまされている人がいるとは!/主張がすべてはずれていた駄本の、柳の下のドジョウを狙ったさらなる駄本

第8章 政治
理念と現実のせめぎあい/だれも考えたことのない「平和」について/「国際」人諸君、これを読んで「リスク」を学びたまえ──およびクレア・デーンズ in 「My So-Called Life」/小さな本にこめられた、現代のイスラム談義への大きな批判/組織内で苦しんだ人なら身につまされる、いろんな意味で絶望の名著/マクナマラの悲しい弁明/アフガン爆撃への道だが、米政府事務手順解説書の趣きすらある/恐怖どころか「バカ殿シリーズ」を思い出させるトランプ政権の内実/軍事力こそすべて! のネオコン思想全貌/原著から第三部を完全改竄した不誠実な本/国際機関は本当に日本や世界のためになっているの?/新しい福祉社会の見取り図を提案する希有な本。ただ監訳者の我田引水解題はないほうがまし/PFIを口実にした刑務所自体の改革/シビリアンコントロールは本当に有効か?/ゾンビ相手の外交理論、人間にも通用するか?/「市場制民主主義──選挙権を売ろう! ―TN君に捧げる、おれの政策提言/反民主主義はおかしく、そして居心地悪い/社会の背後にある細かい仕組みへの無配慮/配慮について

第9章 歴史
よくぞ昭和に生まれけり:裕仁天皇の時代/君主制に未来はあるか?/『マオ』における毛沢東の思想形成史の不在/チアン=ハリデイ VS フィリップ・ショート:二つの毛沢東伝を比べると/専門家による本当に有益な書評のありかた/公式毛沢東伝とも言うべきものながら、プロパガンダにとどまる/支離滅裂で二〇世紀末で大躍進の意味すら理解できていない悲惨な本/文化大革命で日本の左翼知識人のうろたえぶりだけが伝わってくる一冊/文化大革命翼賛文書。フランス現代思想の浅はかさの一端をどうぞ/ソ連強制収容所の凄惨な歴史と教訓について/ムッソリーニについての「修正主義」的な伝記/大英帝国のスーパーおばさんが見た李朝朝鮮の実態/無謀だが壮大な試み:でも堂々巡りになってないか?/身に染みて感じられる宦官たちの実態/マヤ文字解読をめぐるイデオロギーと政治攻防/明解。白川静や藤堂について客観的に評価がわかって嬉しい/巧みで味わい深いが、初出時点で完結してしまっている印象強し

第10章 思想・ノンフィクション
各論賛成、総論反対:宮崎哲弥『正義の見方』の反動的立脚点/知の統合の可能性についての、壮大ながら具体的な見通し/家族に期待しすぎなさんな/かわいそうな星占いと現代人/小国に教わる国の存続理由と愛国心/個人的な恨み節を一般化できると勘違いした、偉大な学者の悲しい本/脱北者たちの実像とその心の歪み/各種思想の持っていた可能性とその実際の影響を具体的に描き出す/突撃ライフルの名機から見えてくる武器とその取引の実態/ダッチワイフのあれこれ/ビールが持つ意外な闘争の歴史/ゲーミフィケーションでつらい仕事も楽しく?/世界各国の、普通の人の家計簿とは? 各国の似て非なるお財布事情/本当の「天職」を見つけた人たち/抜群におもしろい、日本でのミシン史。物販と金融と生産に消費、産業と文化と女性の社会進出、なんでもあり!/せっかくの調査が強引なイデオロギーはめこみで台無し

おわりに

著者
山形浩生(やまがた・ひろお)
1964年、東京生まれ。東京大学大学院工学系研究科都市工学科およびマサチューセッツ工科大学大学院修士課程修了。
大手シンクタンクに勤務の頃から、幅広い分野で執筆、翻訳を行う。
著書に『新教養主義宣言』『たかがバロウズ本。』ほか。訳書にクルーグマン『クルーグマン教授の経済入門』、ピケティ『21世紀の資本』、スノーデン『スノーデン 独白:消せない記録』、ディック『ヴァリス』ほか。

Tunes Of Negation - ele-king

 年明け早々から大変なことが起こっている。いや、緊張それじたいはもっとまえからはじまっていたので、たんにわれわれが他者に無関心すぎるだけというか、ようするに今回は日本における中東の報道の非対称性があらためて浮き彫りになったということなのかもしれないけれど、個人的に昨年もっともよく聴いたアルバムがイランの電子音楽家ソウトによる「生を破壊する傲慢とそれにたいする抵抗のサウンドトラック」だったこともあり、そしてちょうど年末に同作を聴き返したばかりだったこともあり、なにか絶対的な存在から啓示を受けているような気がしてならない。あるいはラファウンダのルーツもイラン(とエジプト)だし、ふだん好きで動向を追っかけている音楽たちが、ここ数日、なにかのしるしのように再浮上してきているのだ。シャックルトンの新作もそのしるしのひとつだった。
 00年代半ばにダブステップの隆盛と連動するかたちで頭角をあらわし、以後ミニマル・ミュージックやアジア~アフリカの音楽を貪欲に吸収、独自に昇華させていったサム・シャックルトン。彼自身はイングランドのランカシャー出身だけれども、その新作『Reach The Endless Sea』のタイトルは、13世紀スーフィズムの詩人、ジャラール・ウッディーン・ルーミーの詩に由来している。ルーミーが生涯の大半を過ごした地は現在のトルコにあたるが、彼はペルシア文学の巨星としてイラン文化にも大きな足跡を残している。

 おそろしいほどに毎度マンネリとは無縁なサウンドを届けてくれるシャックルトンだけれど、「否定の曲たち」という意味深な名を与えられた今回のチューンズ・オブ・ネゲイションは、タクミ・モトカワ(鍵盤/パーカッション)およびラファエル・マイナー(マレット)とのコラボレイション・プロジェクトである(+ヴォーカルで、〈Editions Mego〉からもリリースのあるヘザー・リーが2曲に参加)。シャックルトンらしいトリッピーでトライバルな感覚はそのままに、オルガン(好きですね)や鉄琴の音色、3を強調した(ポリ)リズムが全体のムードを決定づけており、バンド内の有機的な衝突が最大の聴きどころとなっている。
 冒頭 “The World Is A Stage / Reach The Endless Sea” ではヘザー・リーの歌と宗教的な響きの鍵盤が全体を支配しているものの、途中で強烈なパーカッションに主導権を奪われてもいる。続く “Tundra Erotic” では、おなじく鍵盤とパーカッションによって生成される催眠的な空間のなかで、どことなく OPN のエディット法を思わせる声の断片たちが幽霊のように顔をのぞかせている。“Rückschlag / Rising, Then Resonant” におけるインド古典音楽の要素やくぐもった音のかたまり、“The Time Has Come” のドローンなどにも目を見張るものがあるけれど、もっともキラーなのは先行シングル曲 “Nowhere Ending Sky” だろう。作曲に参加したモトカワの手によるものかもしれないが、2分過ぎに差し挟まれるメロディがじつにもの憂げで、すぐに過ぎ去ってしまうそのキャッチーな旋律を、背後のミニマリズムや後半のドローンが強固に脳裏に刻みつける仕組みになっている。

 しかし、『無限の海への到達』とはなにを意味するのだろう。レーベルのインフォによればそれは、シャックルトン本人が音楽で成し遂げたいことらしい。いわく、「変化を促し、光のなかへと入りこむこと」。ルーミーが開いたトルコのメヴレヴィー教団は、スカートをなびかせながら回転する舞踏で知られているが、かつてルーミーの作品をフィリップ・グラスがオペラ化していたことも合わせて考えると、シャックルトンもまたそのくるくるまわることで神に接近するという発想に、自身のミニマリズムを重ねあわせているのかもしれない。反復こそが互いのちがいを際立たせるのであり、すなわち他者へ到達するための契機なのだ、と。

Andrew Pekler - ele-king

 存在しない島たちから採取した音響の接続と連鎖。それは空想上の文化人類音響学か。われわれの耳は、20世紀的な電子音楽のラボから未知のサウンド環境へと越境するだろう。
 本アルバム『Sounds From Phantom Islands』はベルリンを活動拠点とする電子音響作家アンドリュー・ペクラーによる音響絵巻である。彼の2年ぶりの最新作は仮想の島々(ファントム・アイランズ)へと聴き手を誘う。
 それはフェイクなのか、ファクトなのか。そもそも音にあっては虚構と現実の境界線は曖昧ではないか。音は音だ。サウンドは音の存在こそが真実なのだ。

 アンドリュー・ペクラー。彼はわれわれ電子音響マニアにとって重要なアーティストである。彼の楽曲には、00年代以降の多層化した音響/レイヤーが優雅に、緻密に、大胆に鳴らされているからだ。
 ペクラーの経歴はやや特殊である。ペクラーは旧ソビエト連邦で生れた。アメリカ合衆国のカルフォルニアで育ち、現在はドイツ連邦共和国のベルリンを活動拠点としている。
 ペクラーは2002年にドイツのエクスペリメンタル・ミニマル・ダブのレーベル〈~scape〉から『Station To Station』を、2005年に実験音楽レーベルの老舗〈Staubgold〉から『Strings + Feedback』を、2007年にインディペンデントなエクスペリメンタル・レーベルの代表格〈Kranky〉から『Cue』など、錚々たるレーベルからリリースしてきた。
 中でも重要作は『Strings + Feedback』であろう。50年代~60年代的なオールドスクールな電子音楽とミッド・センチュリー的なラウンジ・ミュージック/軽音楽の断片を接続し、クラブユースとはまったく異なった浮遊感に満ちた非反復的な独自の電子音響音楽を生みだしたのだ。例えるならば電子音とラウンジの混合によるエレクトロニカ化したモートン・フェルドマンとでもいうべきか。
 私見では『Strings + Feedback』は、ヤン・イェリネックの『Loop-finding-jazz-records』と同じくらいにゼロ年代のエレクトロニカ/音響において重要なアルバムだ。イェリネックはジャズを原型の音源が判別不可能なまでに解体し未知のサウンドへと再構成した。対してペクラーは50年代~60年代の電子音楽的なサウンドを素材としつつ非反復と層による新しい聴取感を生みだした。両者とも方法論は異なるが、コンピュータ内の音響のレイヤー操作によってこれまでにないサウンドを生みだした点は共通している。
 これは00年代のエレクトロニカ/電子音響の重要な特徴であるが、加えてこのふたりのアルバムは「素材」からの加工と再構築という点で90年代的なサンプリング・ミュージックを継承しつつも超克している点にも共通点がある(ちなみにイェリネックとペクラーは〈Mikroton Recordings〉や〈Entr'acte〉などからアルバムをリリースする音響作家ハノ・リッチマン(Hanno Leichtmann)と共に Groupshow というグループでの活動もおこなっていた。2009年に〈~scape〉からアルバム『The Martyrdom Of Groupshow』、2013年には〈Staubgold〉からミニ・アルバム『Live At Skymall』をリリースしている。また2009年にはシングル「The Science / Pet Ramp & Staircase」を〈Dekorder〉から発売した)。

 アンドリュー・ペクラーは10年代以降も旺盛なリリースを続けていく。2011年には〈Dekorder〉から『Sentimental Favourites』をリリースする。このアルバムは10年代初期の電子音響シーンにおいて隠れた重要なアルバムとでもいうべきもので「ラウンジと電子音楽の混合体」である『Strings + Feedback』を継承・深化させた作品だ。
 2012年には音響作家ジュゼッペ・イエラシが主宰し、イタリアのミラノを拠点とするミニマル・物音・音響レーベルの〈Senufo Editions〉から『Cover Versions』を発表した。2013年には〈Planam〉からイエラシと競作『Holiday For Sample』、翌2014年にはベルギーの音響レーベル〈Entr'acte〉と〈Senufo Editions〉の共同出版というかたちでアルバム『The Prepaid Piano & Replayed』と相次いでリリースする。
 この時期は10年代初期のミニマル音響レーベルと作品への接近が特徴といえよう。加えてイェリネックとペクラーによって仕立て上げられた「架空の女性電子音楽家ウルズラ・ボグナー」の二枚のアルバム『Recordings 1969-1988』(2008)、『Sonne = Blackbox』(2011)も重要な作品である。ここではペクラーが素材として大いに活用してきた50年代~60年代の電子音楽そのものを創作する試みが実践されている。リリースはヤン・イェリネックが主宰する〈Faitiche〉だ。
 そして2016年には同〈Faitiche〉からペクラーのソロ『Tristes Tropiques』を発表した。アルバム名はクロード・レヴィ=ストロースの名著『悲しき熱帯』からの引用で、文化人類学的なものへの接近がみられる。『Tristes Tropiques』は、環境音や電子音などが熱帯の奥地から鳴らされているような音響空間を生成しており、聴き手の感覚を瞑想と見知らぬ世界=土地へ連れていってくれる出来栄えであった。いわば過去と現在をブリコラージュするような濃密な音響作品だが、このアルバムをシリアスな文化人類学的な音響作品とするには注意がいるように思える。
 『Tristes Tropiques』はあくまで「空想上の」文化人類学的な音響作品とすべきではないかと私は考える。そもそも〈Faitiche〉というレーベル名も「fact」と「fetish」を合わせた造語「factish」のドイツ語読みであるというのだから。となるとペクラーと(レーベル主宰者)イェリネックは真実と虚構の狭間にこそ文化人類学的な音響作品があると言っているように思えないか。音におけるファクトとフェイクの差異は曖昧だ。音においてはすべて真実といえなくもないし、その反対ともいえる。

 2年ぶりの新作アルバム『Sounds From Phantom Islands』もまた〈Faitiche〉からのリリースだ。
 文化人類学者のステファニー・キウィ・メンラス(Stefanie Kiwi Menrath)と運営したサイト「Phantom Islands - A Sonic Atlas」につけた音響/録音から制作した「存在しない島の音/電子音楽」というのがコンセプトらしい。つまり本作でも『Tristes Tropiques』以降の「真実とフェイクの混合からまったく別の音響的思索」を導き出す実践がおこなわれているというわけだ。
 ちなみに「Phantom Islands - A Sonic Atlas」のリンクはこちら(https://www.andrewpekler.com/phantom-islands)。サイトを開くと素晴らしい音響がランダムかつ多層的に鳴る(音が出るので注意)。画面をスクロールし地図を移動すると環境音と電子音による音響も変化を遂げていくのだが、ここで展開される環境音とミニマルな電子音の交錯はもちろんアンドリュー・ペクラーの音だろう。
 アルバムとしてまとめられた本作もまた同様である。『Tristes Tropiques』以降といえる環境音と電子音が幽玄な森の奥地で鳴っているようなサウンド、どこかウルズラ・ボグナー的な20世紀中期的な電子音楽のムード、多層的なグリッチ・ノイズやミニマルな旋律が密やかに鳴っているなど、いわば00年代~10年代のエレクトロニカ/電子音響などがミックスされていくことで、時代と時間を越境するかのごとき「聴き手の想像力に委ねられもする架空の島のサウンドトラック」が生成されていく。まさに。現時点におけるアンドリュー・ペクラーの集大成的作品である。

 『Sounds From Phantom Islands』は、音響的快楽と知的実践、ポップとフェイク、複雑さと聴きやすさ、アンビエントとドローン、ミニマルと聴覚の拡張などが濃密に交錯している。多層的なサウンドの快楽と魅惑。00年代~10年代のミニマルな電子音響/エレクトロニカを聴き続けてきたリスナーにとってはこれ以上ないほどに素敵な贈り物のような音響作品ではないかと思う。

そこではいったい何が起きていたのか - ele-king

 世界は熱くなっているというのに、イギリスは冷えている──保守党の党色である青に塗られたイギリスの地図を見てそう思わずにいられなかった。総選挙ショックから1週間後、ボリス・ジョンソン英首相は議会演説で自身の率いる政権を「イギリスの新たな黄金時代の始まり」とブチ上げた。

 この選挙の保守党の主要スローガンは「Get Brexit done(ブレクジットを済ませよう/片をつけよう)」。その通り、保守党が圧倒的な過半数を占める新議会はイギリスが後戻りするルートを早々と断ち切った。泣いても笑っても2020年1月31日午後11時にブレクジットが起きる。2016年の国民投票から3年半以上、離脱賛成派は求めてきたものをやっと手に入れる。

 クリスマス休暇や師走のあれこれに紛れ、複雑な交渉/外交のディテールはしばし厚いカーテンの向こうに追いやられている──「ブレクジットはややこしいから、もう国民の皆さんをわずらわせません。後は我々政治のプロにお任せください」とばかりに。ジョンソンは選挙キャンペーン中に「ブレクジットはもう準備が整っていて、オーヴンに入れさえすれば出来上がり」(日本的に言えば「レンジでチン!」ですね)というレトリックを使っていたが、いったいどんな料理が出て来るのやら。

 ブレクジットが最終的にどんな形に収まるのか、実はまだ誰にも分かっていない。交渉はこれから本格化するし、入り混じる楽観/悲観双方の予測、どちらを信じるかはその人間次第。1月31日という日付はある意味象徴的なもので、そこから離脱プロセスの完了まで11ヶ月間の交渉&準備&推移期間が置かれている。しかしジョンソンはその準備期間の延長を断固はねつける姿勢で、最悪のシナリオ=「Hard Brexit(合意無しの離脱)」も再浮上している。北アイルランドの立場やスコットランド独立気運の再燃も始め見通しの立ちにくい状況は続くだろうし、英音楽界への影響も当然のごとく不安視されている。

 本来ブレクジットが起こるはずだった昨年3月末を前に『New Statesman』誌が掲載した記事(「The Lazarus Effect」by Andrew Harrison)に、2016年の国民投票時に〈ミュート〉のヘッドであるダニエル・ミラーがスタッフを集め「どう投票するか指図するつもりはないが、離脱賛成に投票した人間はカルネの記入をやってくれないと」と言った、との逸話があった。カルネはかつてミュージシャンがツアーする際に提出を求められた、各国間を移動する物品(楽器、各種機材、ケーブル1本1本に至る仕事道具)を逐一記入する面倒な書類。EU単一市場圏から離脱すると関税同盟から除外扱いになるのでこのカルネが復活し、ツアーのハンデが増える可能性を覚悟せよ、という含みのある発言だ。

 人気アクトには煩雑な法手続きをこなす専門家を雇う経済的余裕があるだろう。だがインディな若手や自腹でツアーしている面々に、書類記入や入国許可他の手続き・コストが増えかねないこの状況はきつい。作品を発表しライヴでプロモートするという伝統的なスタイルが逆転し、音源よりもチケット代やツアー・マーチャン販売が重要な収入源にシフトした昨今であれば尚更だ。アメリカのアーティストはヴァンに乗って広い自国内をDIYツアーすることが可能だが、小さな島国イギリス出身のアクトにとって目の前に広がる欧州大陸は遠くなるかもしれない(逆に、欧州勢がイギリスを敬遠する可能性も指摘されている)。

 CD・アナログ盤の価格上昇も予想される。英国内で流通するフィジカル・メディアの多くはEUでプレスされており、特にヴァイナルは(ビスポークなスペシャル版やダブ・プレートといった小規模生産を除き)チェコやポーランドの工場で生産されるケースがほとんど。過去数年の「アナログ人気復活」は英音楽業界の朗報のひとつだが、大手ショップのアナログ・セクションも、実はヘリテージ・アクトの名盤再発、ヒット作が支えている。ビートルズやストーンズ、オアシスやエイミー・ワインハウスの旧カタログの方がインディ・レーベル作品よりも恐らく確実に売れている。

 ゆえにメジャー・レーベルにはまとまったプレス枚数の注文をかけ続ける「腕力」があるが、新人バンドのデビュー作や12インチといった地味なアイテムはそのしわ寄せで後回しになりがち。この影響はブレクジットに関わりなく既に存在してきたとはいえ、アマゾンのように巨大なストックを抱えられない、わずかなマージンと専門的な品揃えで踏ん張っているインディのレコード店にとって倉庫・流通網の安定とグッズのスムーズな移動を妨げかねないブレクジットは遠くからゆっくり迫って来る暗雲のようなものだろう。

 サブスクリプションやネット・ベースの諸アウトレットの浸透で音楽を聴く手段そのものは増え、2019年の英音楽産業は2006年以来の高収益を記録した。だが新作アルバムのCD価格が現在8〜12ポンド、アナログは20〜24ポンド程度であるのに対し、1曲を1回ストリームして生じる実益は0.006ドルから0.0084ドルと言われる(これをレーベル、プロデューサー、アーティスト、音楽出版社、作曲家で分け合う)。ストリームのペイは多くのアーティストにとっていまだ雀の涙だ。

 音楽業界ももちろん黙ってはおらず、政府審議会にミュージシャンを送り込んで現状を訴える等の活動がおこなわれている。だがボリス・ジョンソンの組閣が発表され、ディジタル・カルチャー・メディア・スポーツ部門大臣(Secretary of State for Digital, Culture, Media and Sport)は誰かと思ったら、総選挙前に「ジョンソン政権には入らない」と大見得を切って議員辞職したものの、ドサクサに紛れて返り咲いたニッキー・モーガンだった。「女性閣僚の数を増やして体裁を整えたかっただけ?」と斜に構えたくもなる、胡散臭い選任だ。

 過去に同性愛結婚に反対し、宗教教育の自由に意義を唱えたこともあるコンサバである彼女がプロ・アクティヴに文化行政に取り組むとはちょっと考えにくい。ジョンソン内閣はブレクジット後の音楽やカルチャーに対して「なるようになる」の受け身な姿勢を取りそうな気配。逆に言えば、億産業である英カルチャー・セクターにはまだ充分に余力があるから助け舟を出さなくても大丈夫、ということかもしれない。

 救済措置を急務とする課題は国民医療サーヴィス、住宅難等他にいくらでもあるし、そもそも文化のことなどよく分かっていない政治家に妙に介入されてもうざったいだけ。悲観的な見方をあれこれ並べてきたが、人種や世代やイデオロギーといった壁も越えて響き届くのが音楽の強さなのだし、イギリス音楽界は過去にもしぶとくバウンスバックしてきた。ディジタル・プラットフォームはDIYな活動の幅を広げたし、映画・CM他とのシンクロやブランドとのコラボといった機会も増えている。音楽界のクリエイターたちが貧すれば鈍する、とは限らない。

 そんなディジタル時代のモダンなアーティスト成功例のひとつがグライムのスーパースター:ストームジーだ。ソーシャル・メディアを通じてファン・ベースを築き、クラブ・ファッション・映画他多彩なチャンネルを活用、メジャー〈アトランティック〉と合弁事業の形(通常の「契約」ではない)で発表したデビュー・アルバムで英チャート首位を達成。セカンド発表前にグラストンベリー2019のピラミッド・ステージでトリ──ブラック・ブリティッシュのソロ・アクトでは初──の快挙を成し遂げた#Merky(愛称・キャッチフレーズであり、彼自身のレーベル/フェス/出版社の名称でもある)は、黒人学生向けのケンブリッジ大奨学金を設ける等、敬愛するジェイ–Z型のアイコンへと成長しつつある。

 彼や仲間のミュージシャンたちが総選挙前にジェレミー・コービン/労働党支持を表明し投票を促したのは、今回初投票した若者も含む18〜24歳層に大きく影響したと言われる(他にリトル・ミックスのメンバーやデュア・リパも労働党支持を表明)。俳優スティーヴ・クーガンを筆頭に音楽界からはケイノー、ブライアン・イーノ、マッシヴ・アタック、ロビン・リンボー、ケイト・テンペスト、ロジャー・ウォーターズ、クリーン・バンディッツが連名署名したコービンのマニフェストを支持する文化人集団の公開書状もそれに続き、イーノは総選挙直前に風刺曲“Everything’s On The Up With The Tories”を発表した。しかし大ヒット曲“Vossi Bop”で「Fuck the government and fuck Boris」と歌い、数多い若者の命を奪っているナイフ刺殺事件への怒りをこめてバンクシー作のユニオン・ジャック柄防護ベスト姿でグラストンベリーに登場した26歳のストームジーこそ、これからの世代の不満や不安をヴィヴィッドに反映している。

 『ガーディアン』の日曜版『ジ・オブザーヴァー』紙は、選挙結果が出そろった2日後=12月15日付の付録文化誌『オブザーヴァー・マガジン』の責任編集をストームジーに任せた。労働党が勝利していれば、この号の意味合いは更に感動的だっただろうが──残念ながら現実はそういかなかった。実にほろ苦い。

 選挙結果の分析はプロの政治評論家やジャーナリストに任せるべきだろう。しかしひとつ言えるのは、労働党や「反ブレクジット」を掲げた自由民主党(Liberal Democrats)が議席を獲得したエリアの多くはロンドン圏、および大学があり学生&若者人口率の高いブリストル、マンチェスター/リヴァプール、ニューカッスル等の都市部である点。これらの選挙区は伝統的に左派傾向が強いので不思議はないが、そのコアなメトロポリス部を囲む郊外やカントリー・サイド──特に、過疎化と老化・衰退の進む「取り残されてきた」北部地帯は長年の労働党信仰を捨て、保守党候補に票を投じた。18〜24歳代層の左派支持と60歳以上層の右派支持とは、鏡と言っていいくらい見事に逆になっている。

 「田舎の年寄りは愚かだ」型の単純な話ではない。サッチャーに炭鉱を閉鎖され生活基盤やコミュニティを失った恨みを忘れていないこの世代が保守党に転じたのは重い決断だし、それだけ彼らは逼迫している。2008年の世界金融危機、緊縮政策に苦しみながらも労働党に希望を託し続け、それでも状況が改善しないことに失望した彼らは、その不満の表明としてオルタナティヴ=保守党とブレクジットに賭けてみることにしたのではないか。金持ちへの重税、無料ブロードバンド全国普及といった項目を含むコービンの利他的なマニフェストは「ユートピアン」、「ラディカル過ぎ」と批判されたが、このいわば理想の追求=体力も根気もいる遠いゴールよりも、衣食住・医療・治安の日常的な問題に追われる人々は──ナショナリズムや人種差別といったポピュリズムの常套甘言に乗せられた面もあるだろうが──応急処置を選んだことになる。

 労働党の地方労働者階級支持基盤が崩れ、イギリスの伝統的な「豊かで保守右派の南VS貧しく労働党左派の北」のパラダイムが逆転した2019年総選挙は地殻変動だった。焦点のひとつはブレクジットで「実質的に第二の国民投票」の印象すらあったが、獲得議席数ではなく投票数でカウントすれば、実はEU残留(=再度の投票を求める声からブレクジット帳消しまで様々だが、トータルで言えば離脱阻止の可能性を探る方針)を主張する諸党への支持票が保守党票を上回ったのだ。その民意は政党政治の前に掻き消えたことになる。この厳しい教訓を野党勢が重く受け止め内省し、それぞれが政党としてのアイデンティティを立て直さない限り、国民との乖離はますます広がるだろう。

 一方で、今回ブレクジットという博打に賭けてボリス・ジョンソンに追い風を送った層である、英中部/北部に対する保守党の責任も重い。南北格差の大きい公的資金配分システムを改造する動きも既に出ているそうだが、くも野郎(Boris the Spider)ならぬ嘘つき(Liar)で、前言撤回・有言不実行・不正確なデータ拡散の数々で知られるジョンソンだけに見張り(ウォッチ)を怠ることはできない──「北は忘れない(North remembers)」と思ってしまうのは、まあ、『ゲーム・オブ・スローンズ』の観過ぎかもですが。

 少なくともこの先5年は保証されたジョンソン政権の「黄金時代」。その暗い現実にストームジーを始め多くのミュージシャンが落胆を表明したし、フォー・テットがBBCのポッドキャスト「100 Voice Notes About The Election」(選挙結果に対する若者100人の声)向けに音楽を提供する等、リアクションはこれからも様々な形で現れてくると思う。音楽ファンの中からは「ジャーヴィス・コッカーを2019年のクリスマス・ナンバー・ワンに」というSNSベースの愉快なプチ運動が生まれた。

 ダウンロードやストリーミングで古い曲が復活しチャート・インしやすくなったことで、2009年に「レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの“Killing In The Name”を1位に」の草の根運動が成功した。タレント発掘番組『Xファクター』勝者のシングルがクリスマス週にチャート1位になる……という、当時のイギリスで定番だった出来レースにウンザリしていた音楽ファンによる冗談/真剣半々のサボタージュ兼プロテストだった。その後も同様のアクションは折に触れて起きていたが、このジャーヴィス1位運動の発起人は、総選挙の悲惨な結果に落ち込みつつ、しかし少しでも左派への団結心をユーモラスに表明したい人々のためにこのフェイスブック・グループを立ち上げたという。
 
 選ばれた曲はジャーヴィス・コッカーのデビュー・ソロ『Jarvis』(2006)に隠しトラックとして収録された風刺曲“Running The World”。ミソになるコーラス部の歌詞は以下。

 If you thought things had changed, friend,
 you’d better think again
 Bluntly put, in the fewest of words,
 cunts are still running the world

 もしも事態は変化したなんて思っているのなら、友よ、
 考え直した方がいい
 手加減なしで、単刀直入に言わせてもらおう、
 いまだにこの世を回しているのはムカつかされるくそったれ共だと

 「cunt」は恐らくイギリスでもっとも熾烈な罵倒語のひとつ(くれぐれも安易に使わないように!)なので1位はまずあり得なかったとはいえ──この曲を爆音で流して2019年にわずかでもうっぷん晴らししたい人々の気持ちは理解できる。結果はチャート48位で、ジャーヴィスと〈ラフ・トレード〉は収益をホームレス支援団体に寄付した。

 この曲はアルフォンソ・クアロンのディストピア映画の傑作『トゥモロー・ワールド』のエンディングで、ジョン・レノンの“Bring On The Lucie”に続いて流れたことでも知られる。筆者はクリスマス期になるとついDVDで観返してしまうのだが、13年も前の作品なのにいまだ現在とシンクロする面があることに改めて打たれつつ──今回の観賞はヘヴィだった。と同時に、究極的には希望と人間のオプティミズムを描いている『トゥモロー・ワールド』に励まされもした。“Running The World”は近年のジャーヴィスのライヴでもよく歌われる定番曲だが、ライヴで歌う際に彼は前述の歌詞の後にひと言付け加えるようにしているそうだ──「but not for long(でもそれも長くは続かない)」と。

Toungues Untied - ele-king

 近年、ブラック・カルチャーとクィアの結びつきは音楽の周りでも見逃せない重要なトピックとなっている。非白人を中心とするクィア・コミュニティから活性化したクィア・ラップ。クィアネスと交差するブラック・エレクトロニカ。
ブラッド・オレンジはトランス・アクティヴィストのスポークン・ワードを挿入し、フランク・オーシャンは抗HIV薬の名を関したパーティ〈PrEP+〉を開催した。マイノリティのなかのマイノリティであるクィアたち(they/he/she)の生は、その表現は、どのようなものとなりうるだろうか?

 その問いを探るには、ひとつとして歴史と向き合うことがあるだろう。様々なインディペントの上映会を企画する〈ノーマルスクリーン〉が、このたび、エイズ危機以降のアメリカ黒人ゲイ・コミュニティを捉えた、マーロン・グリスによる1989年のドキュメンタリー『Tongues Untied』を特別上映する。ミッキー・ブランコらが出演し、アメリカのブラック・コミュニティにおけるHIV/エイズについて考える『知られざる結末、斬新な幕開け』も同時上映される。あの時代から変わったこと、変わらなかったこと。それを知る手がかりがここにあるはずだ。詳細は以下。(木津毅)

タンズ アンタイド from Normal Screen on Vimeo.


TONGUES UNTIED
タンズ・アンタイド

アメリカの黒人ゲイ男性による表現の歴史を語るうえで欠かすことのできない映像作家、マーロン・リグス。
彼の1989年の代表作『Tongues Untied』を特別上映!

タイトルの「タンズ・アンタイド」を日本語にすると「話しはじめた口」。詩人やアクティヴィストとしても活躍したリグスは、同じ年に生まれた著名な詩人エセックス・ヘンプヒルの詩や彼のパフォーマンスをからめながら、奴隷制度が建国以前から続いたアメリカの地で黒人でゲイとして生きる人々の複雑な経験をつづる。

差別や憎悪に晒され続け、さらに降りかかるエイズ危機にも屈せず生きる彼らの苦悩。その只中で生み出されてきたユーモアや遊びの表現。張り詰めた緊張感をもって沈黙を破る彼らの声を、映画は実験的なドキュメンタリー/エッセイのスタイルで革命的に響かせる。
2019年には30周年を記念して全米各地で上映された本作を日本語字幕つきで(おそらく)日本初上映です。

(タンズ・アンタイド|1989|55 min|アメリカ|英語|日本語字幕)

同時上映:『知られざる結末、斬新な幕開け』
リグスのレガシーをさらに発展させる現代のアーティストによる映像7作品。ミッキー・ブランコ、ブロンテス・パーネル、シェリル・ドゥニエらがアメリカ黒人コミュニティにおけるHIV/AIDSの影響を大胆に映しだす。
(2017|51 min|アメリカ|英語|日本語字幕)

Marlon Riggs
マーロン・リグス:アメリカのジャーナリスト、ドキュメンタリー作家。黒人、 黒人で男性、そしてゲイであることなど、交差性を早くから意識しドキュメンタリーを制作。やがてそこにエイズの問題も加わる。生涯で計8作品の映像をのこし、1994年に37歳で逝去。

“It doesn’t take much description to understand why Marlon Riggs’s Tongues Untied was and remains a radical work of American art.” ──Film Comment magazine https://www.filmcomment.com/blog/queer-now-then-1991/
“If you’ve never heard of Marlon Riggs, you’ll wonder why the hell not. How could an artist this smart, this prescient, this frank, transparent, curious, ruminative and courageous — this funny — escape your notice?” ──The New York Times https://www.nytimes.com/2019/02/06/arts/blackness-gayness-representation-marlon-riggs-unpacks-it-all-in-his-films.html

[イベント詳細]

2020年1月13日(月/祝)
14:30~16:30(14:00開場)

入場料(会場で選択いただき、その場でお支払いいただきます)
・2500~3000円
 『タンズ・アンタイド』+『知られざる結末、斬新な幕開』 資料込み|料金スライド式
・2000円
 『タンズ・アンタイド』資料込み
・1500円
 22歳以下|『タンズ・アンタイド』資料代込み

予約ページ:https://forms.gle/193Hm3TAAFUetCqa7

会場:日比谷図書文化館 日比谷コンベンションホール
(東京都千代田区日比谷公園1-4)

主催:Normal Screen|C.I.P. BOOKS
ウェブサイト:https://normalscreen.org/
連絡先:normalscreen@gmail.com

Normal Screen:
主にセクシュアルマイノリティの視点や経験に焦点をおく映画/映像を上映するシリーズ。2015年より東京を拠点に活動。これまでに音楽家アーサー・ラッセルのドキュメンタリー(日本初公開)やHIV/AIDSに関する実験映像、韓国やベトナムのドキュメンタリーなど日本では観る機会の少ない作品を数多く上映してきた。

C.I.P. BOOKS:書籍とzineの翻訳・出版プロジェクト。主に英語圏の女性/クィアの書き手によるジャンル横断的な作品を紹介。2018年6月ケイト・ザンブレノ『ヒロインズ』刊行。拠点は静岡・三島のCRY IN PBLIC。ノーマルスクリーンとの上映は『アウトフィチュメンタリー』(シアター・イメージフォーラムで2019年4月に上映)以来2回目。

パラサイト 半地下の家族 - ele-king

木津毅

 僕が住む地区の最寄駅の私鉄に特急電車が最近導入されて、それが通勤ラッシュの時間帯に走るものだから、追加の特急料金が払えない庶民はさらに混雑する普通電車に詰めこまれることになっている。毎朝ラッシュ時間に通勤する庶民のひとりである僕の母親はそのことにブーブー文句を言ってばかりだ。まあ腹が立つのは当然だと思うのだけれど、僕がひとつ気になるのは、その特急電車に乗れるだけの金銭的余裕のある庶民よりもやや裕福な人びとは、快適な車内の「窓」から混雑するホームに溢れる人びとをどのように見ているのだろうか。優越感? 罪悪感? それともやはり、窓の外の景色には関心を向けないようにしているのだろうか。自分より貧しい人びとが疲弊する姿には。

 格差時代の極上エンターテインメント作たる『パラサイト 半地下の家族』には、象徴的に「窓」が登場する。全員失業している主人公家族が住む「半地下」の家の窓からは、立ち小便する酔っ払いや強烈な消毒薬を撒き散らす業者など、まあわかりやすいまでに「貧者」の風景しか見えてこない。いっぽう、主人公一家の青年が侵入することになる金持ち一家の豪邸には巨大な「窓」があるが、そこから見えるのは立派に整った庭園ばかりである。要は社会の現実──庶民たちの姿──が見えることはない。その豪邸は有名な建築家が「芸術的なタッチ」でデザインしたという設定になっているが、金持ちにとって貧者の現実が見えない世界こそが快適な空間ということなのだろう。実際、この映画のなかの金持ちは庶民の現実なんて知らないし、無頓着であるということが繰り返し描かれる。
 『アス』や『ジョーカー』など格差社会をどのように娯楽映画のなかで見せるかというのが近年の一大トレンドとなっているが、そこで言うと韓国の異才ポン・ジュノが本領を発揮しまくった『パラサイト』は破壊的なまでの面白さ、娯楽性で最後までぶっちぎる快作である。アジアが世界のトレンドとなっている現在を踏まえてもカンヌのパルムドールを受賞したことは納得のいくところだし、アメリカでも外国語の映画としては記録的なヒットを飛ばしているため、アカデミー賞でどこまで行くかに注目が集まっている。金持ち一家が住む豪邸はセットだそうだが、まるで要塞のような造りになっており、そこに青年が侵入していく序盤のくだりだけでもアドベンチャー映画のようなスリルがある。ポン・ジュノ監督に本作について聞く機会があったのだが、格差構造を列車の水平方向で示した『スノーピアサー』(2013)とは対照的に、本作では格差が垂直方向で表現されており、その象徴としてカメラの縦移動が重要な箇所で大胆に挿入される。シンプルにカメラが縦に動くだけで興奮を呼び覚ます、その映画的快楽。的確なキャラクター配置と、豪邸に漂う得体のしれない不穏感、突発的に訪れるアクション。しつこいようだが、べらぼうに面白い。社会問題(気候変動の問題も入っている)を取り上げた映画がこんなに面白くてもいいのかと後ろめたく感じられるほどである。だがそこは、ポン・ジュノという作家がエンターテインメントとアートの境界を豪胆に破壊してきた成果だろう。

 物語については、主人公の青年が金持ち一家に身分を偽って侵入し、その過程で「ある計画」を思いつくところまでに紹介を留めてほしいというポン・ジュノ自身による厳重な注意があり、まあ僕も本作についてはこれ以上プロットを知らずに観たほうが楽しめると思うので、具体的には記さない。ここから先は、物語の詳細やある仕掛けを示すいわゆる「ネタバレ」(好きでない言葉ですが……)は避けるものの、何も知りたくないという方は作品を観てから読まれることをお勧めします。

 本作においてキーになっているのは、経済格差──階級──を示すものとして「匂い」が挙げられていることだ。「匂い」とは何か? それは身分を偽っても消せないものであり、貧者として生まれ落ちた者の屈辱的な宿命のようなものである。金持ちたちは貧者のリアルな風景を見ずに済んでいるのと同様、その「匂い」を避けて生きている。
 と同時に、「匂い」とは(ジョン・ウォーターズの『ポリエステル』のような例外を除いて)映画では実際に観客が体感しえないものでもある。だから本作のなかで富者と貧者がお互いに知らず知らずのうちに出会い、そこに階級を分かつ「匂い」があったとしても、映画は表現形態においてそれを無効化する。そして、次第に普段厳重に住み分けられている階級の違う者たちがダイナミックに入り乱れることになり、そこでこそ映画はクライマックスを迎えるのである。
 『グエムル-漢江の怪物-』(2006)にしろ『スノーピアサー』にしろ『オクジャ/okja』(2017)にしろ、ポン・ジュノはふつう出会うはずのない者たちをある事態のなかで交錯させ、その状態のなかで「面白さ」を立ち上げる作家ではないか。「窓」からお互いの姿が見えないように社会がデザインされているのならば、その「窓」の内側に入りこんで階級の違う者たちを混淆させる。そこにこそスリルがあるのだと。だからこの娯楽作は、階級による住み分けが徹底された社会への抵抗である。そこで待っているのが喜劇なのか悲劇なのか、その両方なのかはわからないけれど、とにかくそこからわたしたちの冒険とドラマは始まるのだと告げている。

Next >> 三田格

予告編

[[SplitPage]]

三田格

『パラサイト』異論

 『2001年宇宙の旅』も『ブレードランナー』も日本では公開1週間で打ち切りだった。どちらも二番館落ちしてからロングランを続けるものの、最初の頃は見た人が少なかったせいか、似たり寄ったりの感想しか目にしなかった。とくに『ブレードランナー』はシミュラークルという単語を使わずに議論がなされることはなく、アンドロイドと美術に話題は集中するばかりだった。ところが、糸井重里だけは論点が大きく異なっていて、タイレル社と下層労働者であるイジドアを対比して未来が格差社会になっている部分に着目し、「未来はあのように二極化するんだろうなあ」という感想を述べていた。いま風に言うならば「そこですか?」と突っ込みたくなるほど、場違いな感想に思えたものの、ほかの議論はすべて忘れてしまったというのに、いまとなっては「未来は二極化する」という指摘が最も強く僕の記憶には残っている。未来は格差社会。日本はまだバブルどころか、プラザ合意にも至っていない時期である。医者や弁護士をさして「儲け過ぎ」だというリベラル批判が多少は噴出し始めていたとはいえ、この時期にして「未来は格差社会」になっていくという設定に「なるほど」と思える感性はかなり稀有なものだったと驚かざるを得ないし、『ブレードランナー』が示したヴィジョンにどれだけ重層的な構造が畳み込まれていたのかということにも改めて感心してしまう。

 『ブレードランナー』が舞台とした2019年の翌年、つまり、今年、格差社会を描くハイライトのように喧伝されているのがポン・ジュノ監督『パラサイト』である。試写会の時から注目度は群を抜いていた。1時間前から並んでも補助席しか取れなかった僕は宣伝会社の人と話していて、さすがに試写会場を大きくし、公開直前にもかかわらず試写の回数を増やさざるを得なくなってきたとも聞いた。普段は映画を観ないマスコミが関心を示さなければこうはならない。「格差社会」というキーワードはそれほど広く様々な人たちに意識されているということだろう。南アフリカやホンジュラスなどと比べれば日本は絶対貧困率で世界で74位とそれほど大きな格差があるとは言えないものの、この10年で格差はじわじわと広がり、相対的貧困率という別なモノサシをあてるとOECD加盟国中、メキシコ、トルコ、アメリカにつぐ世界第4位という数字が導かれる(5位はアイルランド、6位は韓国)。実際、佐藤泰志原作の「函館3部作」を皮切りに白石和彌『雌猫たち』や石川慶『愚行録』など日本でも少なからず格差社会をテーマにしたり、それを背景とした映画はポツポツとつくられてきた。『パラサイト』がそれらと違うのは、悲惨な現状を描写したり、わずかばかりの希望を示されるのではなく、どうやら富裕層に一矢報いるという展開が期待できそうだという予感だったろう。実際、オープニングからしばらくはそのように話は進んでいく。

 半地下の部屋を借りて暮らしているキム一家は大家にWi-Fiをケチられ、スマホを高く掲げて電波をキャッチしようとするも、天井に遮られてそれ以上「上に行くことがかなわない」。国策としてインターネットを普及させた韓国でネットに接続できないということは国民としてカウントされていないという定義にもなっている。貧乏なキム一家は内職でやっているピザ箱の組み立てにもダメ出しをされ、完全に窮地に追い込まれる。そのような状況を打開するべく長男のキム・ギウ(チェ・ウシク)は英語の家庭教師としてパク家に雇われるために急な坂道を「登っていく」。パク家はかなりの豪邸ではあるものの、韓国では11件以上の家を持つ富裕層が過去最多の3万8千人近くになったという報道が昨年末にあったばかりなので、パク家はそこまでの富裕層ではなく、後半の展開からも見て取れるように近隣と見栄を張り合うレヴェルではある。それでもキム・ギウにとっては別世界であり、観客にも家の間取りがどうなっているのかよくわからないほど家の面積は広い(550坪)。予想外のことが起きるのは(以下、ネタバレ)美術の家庭教師として雇われるために妹のキム・ギジョン(パク・ソダム)が「独島は我が領土」(独島=日本では竹島)の替え歌を歌う場面からである。教科書にも載っているほど韓国ではポピュラーな歌だそうで、過去にはK-POPのアイドルが口ずさんだだけで日韓関係に緊張が走ったこともある。ストーリーの中盤は誰しもが訝しく思ったことではないかと思うけれど、貧困層対富裕層ではなく、貧困層と貧困層の対立へと話は進んでいく。それはまるで領土の取り合いであり、この辺りから経済問題だけが問題意識にあるわけではないのではないかと疑いながら観ることになる。

 格差社会を印象づけるために『パラサイト』では上下方向の移動がそこかしこに取り入れられている。ソファの上とテーブルの下だとか地下に降りるのはもちろん、エレベーターでダイニングに上がってくる動作はしつこいほど繰り返され、照明を地下で操作する仕掛けも笑わせてくれた。しかし、パク家の弟ダソン(チョン・ヒョンジュン)は上下ではなく、水平方向で妙な行動を起こす。ダソンは雨の日に庭の中央でテントを広げ、そこで一晩を過ごすのである。『パラサイト』という作品ではこの行動が実に際立っている。これが僕には海の真ん中にポツンと浮かぶ竹島(独島)に見えてしょうがなかった。この辺りからソン・ガンホ演じるキム・ギデクとイ・ジョンウン演じるムングァンはそれこそ竹島(独島)を奪い合い、韓国に領土を奪われた日本が逆上して話はクライマックスへと向かっているようにしか見えなくなってしまった。考えてみればポン・ジュノは必ずといっていいほど政治的な文脈を作品に持ち込んできた監督である。在韓米軍の脅威を怪物に喩えた『グエムル』しかり、格差社会のトップとボトムが裏で繋がっていた『スノーピアサー』しかり。そうなると『パラサイト』というタイトルもアメリカと安全保障条約を結び、核の傘で守られている日韓の軍事体制を指しているのではないかとさえ思えてくる。昨年、ピック・アップしたミキ・デザキ『主戦場』が暴いていたように日韓が政治的に揉めるように仕向けたのはアメリカであり、最終的に斬り付けられたのがパク・ドンイク(イ・ソンギョン)=アメリカだったと考えれば政治的ファンタジーとして実に面白い流れとなる。韓国の富裕層が日常的に英語で喋りたがるのかどうかは知らないけれど、パク家がやたらと英語を使いたがるのも気になったところだし。

 アメリカ的な富の考え方が頂点にある限り、この世界の流れはどうにも揺るがないだろう。19世紀はいわゆる経済放任主義の時代であった。その結果が格差社会であったためにイギリスは逸早く「ゆりかごから墓場まで」をスローガンに福祉社会の建設を目指し、その挙句にイギリス病に陥った。いま再び新自由主義が経済放任主義(=市場至上主義)を理想とし、同じように格差社会が舞い戻っている。19世紀にはなかった福祉という仕組みがある分、21世紀の格差社会は19世紀よりもマシなはずである。人類は少しは進歩しているのだと思いたいというか。そして、福祉社会という仕組みがかつて考え出されたように、また新たなことを誰かが考え出さないとは限らない。キム一家が貧困から抜け出そうとアイディアをひねり出したように。が、キム一家が小金を得るようになった途端、それによって手に入る暮らしを手放せなくなり、自分たちよりも下の貧困層には冷たくあたったように、個人には期待しない方がいいと『パラサイト』は告げている。そして、最下層から富裕層へとドミノ倒しのように攻撃が開始されるというヴィジョンがいま、人々にショックを与えている(ちなみに右翼の大物、赤尾敏は竹島は爆破してしまった方がいいと主張していた)。

予告編

編集後記(2019年12月30日/野田努) - ele-king

 2019年のあいだ編集後記をほとんど更新できなかった理由を清水エスパルスの散々のていたらくに集約させてしまうのは、Jリーグに興味のない人にとってはさっぱり意味がわからない話だろうが、本当だからしょうがない。なんでこんなに弱くなっちまったんだろうと、試合を見ながら悲しくなるばかりだった。こうなると心に余裕が持てず、すべてがどうでもよくなってしまうのがサッカーファンのなかば病的なやばいところである。だから2020年は清水エスパルスに費やしている時間を減らすことを目標にしている。その分もっと音楽を聴いているほうがよほど建設的だ。

 それはさておき、2019年個人的に嬉しかったことは、東京都内において、それも家からそれほど離れていない場所で野生のメダカの生息地帯を発見したことだった。じつはこれ、GW中にである。
 話せば長い。ぼくは少年時代に釣りが好きでよく川に釣りに行った。中学生になるとその趣味は捨ててしまったわけだが、子供が生まれてから釣りが復活し、ここ10年あまりは多摩川および帰省すると静岡の川に子供を連れて出かけては魚を釣ってすごいだろと自慢していたのである。調理していっしょに食べたりもした。そして子供が親とは別行動を取るようになってからも、火が付いてしまった釣りへの情熱を隠しきれずにいそいそと川に行たりしていたのだった。釣ったオイカワなんかを家の水槽で飼ったりしていたのだが、あれはわりと大きくなってしまうので、ある程度のサイズになったら近所の熱帯魚屋さんに譲ったり、川に放流したり、それからまた暇があれば釣りに行ったり、そんなことを繰り返していた矢先、2019年は都内ではいまどき珍しい野生のメダカの生息地に遭遇してしまったというわけだ。(中略)その日から現在に至るまでの半年以上は、時間があればメダカの研究に費やしているのは言うまでもない。(あの大型台風の翌日もメダカたちの安否を確認しに行ったほどである)

 もちろん2019年も良い音楽作品に出会えたことは、やはりぼくにとって最高の喜びである。個人的にもっともぐっときた曲はアート・アンサブル・オブ・シカゴの“ウィ・アー・オン・ジ・エッジ”だ。今年のベスト・ソング。レヴューでも書いたように、ムーア・マザーの言葉も素晴らしい。「私たちは厳しい状況にいる。勝利のために」──清水エスパルスに聴かせたい、この圧倒的な力を持った曲はspotifyでは聴けない。騙されたと思ってCDかアナログ盤を購入して聴いて下さい。これこそゴミの山から見つけた宝石です。

 最後に、じつを言うとweb版でele-kingを再開して今年で10年経った。10年間も続けられたなんて、あまりにも実感がない。毎日毎日無我夢中で、気がつくと1年経ってまた気がつくと1年経ってという感覚でやってきているので、正直なところよくわからないのであるが、こうして続けられているのも面白がってくれる読者がいて、書いてくれるライターがいて、ここでは名前を書ききれないほど本当に多くの人たちの協力があってのこと。心の底からありがとうございます。
 それにしても、初めて会ったときはまだ20代半ばだった木津毅君も数年前に30代を越えているわけだ。いろんな出会いがあることは、メディアをやっていて嬉しいことのひとつである。ele-kingでは、音楽について考えたり喋ったりすることがなによりも楽しいのだということを性懲りもなくこれからも主張していきたいと思います。音楽メディアとはリスナーの文化でもある。
 なんでライターのなりたい人、音楽について書いてみたいと思っている人は、いつでもいいのでinfo@ele-king.net(ライター希望宛)にメール下さい。別に前衛音楽やマイナーな音楽について詳しい人を募集しているわけではないですよ。極端な話、ただその原稿が面白ければ主題はなんだっていいです。んなわけで、じゃ、良いお年をお迎えください。(野田努)

Erika de Casier - ele-king

 時節柄2010年代の振り返りをすることが最近多いのだけれど、ことメインストリームとアンダーグラウンドの間のグラデーションのなかでは、R&Bがきわめて重要な働きを務めた10年だったのだと思う。たとえばジェイムス・ブレイクのファースト(11)はリリース当初R&Bと呼ぶか否かという議論が巻き起こったわけだが、あのアルバムから派生したものがこの10年のR&Bの流れのひとつを作ったことは間違いないし、その音響意識が他ジャンルにまで波及したことは(ジャンル・ミックスの10年と言われたことも相まって、)「Quiet Wave」なるタームが指し示すものから考えても、そう見当違いでもないはずだ。僕たちは昨年ティルザのアルバムを愛聴したし、(メインストリームではやや難解だと受け止められたようだが)ソランジュの新作のアンビエンスにも身を浸した。そしていま、どこかそれらの反響音のようにやって来たデンマークはコペンハーゲンのシンガー、エリカ・ド・カシエールの囁く声に耳を傾けている。

 まずオープニング “The Flow” のくぐもった音響のなかで茫洋と広がっていく歌を聴くだけで、いまの音だなと直感する。残響音を極小まで鳴らして消えるパーカッション。さりげないオリエンタルな意匠。音の面ではデンマークのハウス・シーンで浮上したセントラルとその弟DJスポーツがプロデュースを務めており、ビートのルースさなどにローファイな感覚をやや残しつつも、細部のタッチにこそ意識が向いたものとなっている。エリカ本人もプロデュースとソングライティングでかなりの部分で参加しているようで、自分のアンニュイな声がどういう響きと合うかよくわかっているということだろう。とにかくアトモスフェリックな、とろけるようなサウンドに包まれるR&Bだ。10年代なかごろならアンビエントR&Bと呼ばれていただろうが、いまだとやはりこれも「Quiet Wave」になるのだろうか。
 ただ、“Do My Thing” や “Little Bit” などに顕著だが、歌自体には独立した主張や起伏があり、それこそティルザのようにサウンドにヴォーカル全体が溺れていく感覚はあまりない。そこは彼女がアリーヤやデスティニーズ・チャイルドなど90年代(~00年代前半)R&Bのビッグ・スターたちに強い影響を受けていることが関係していると思われるが、歌い上げはしないものの、やや粘っこくシンコペートするメロディ・ラインはたしかに「あの時代」のディーヴァたちの影を思わせる。“What U Wanna Do?” なんかは、90年代のUSヒット・チャートが10年代の音響を経て蘇ったようだし。だからこのアルバムの脇の片方にはソランジュのように現代的な音響のR&Bを置くべきだとは思うのだけれど、もう片方には90年代R&Bの王道を堂々とやって大ヒットしたエラ・メイ辺りを置いてもいいと思う。『Essentials』からは、つまり、ベッドルームのテレビに映っていたアメリカのR&Bに憧れた少女の「夢」が聞こえてくる。

 アルバムは “Story of My Life” で、そんなかつての「少女」の秘密をそっと差し出すように、パーソナルな物語が綴られて終わっていく。そこで、彼女の声はどこか幼さを覗かせる。“Little Bit” や “Intimate” というタイトルにも如実に表れているが、そうした90年代へのノスタルジーをあくまでも小さなもの、個人的なものとして愛でる感性がこのアルバムにはある。『Essentials』というタイトルはデビュー作に対する自身の表れでもあるだろうが、音楽の喜びの「本質」が彼女にとってどこにあるかを仄めかすようでもある。そう、どこまでも甘美な音の記憶の海に……。

木津毅

[[SplitPage]]

 『Essentials』はコペンハーゲンを拠点に活動するシンガー/プロデューサーであるエリカ・ド・カシエルのデビュー・アルバムで、2019年の5月に自身のレーベル〈Independent Jeep Music〉からリリースされた。この数年、ド・カシエルは堅実にインディペンデントでの活動を続け、2017年から楽曲とミュージック・ヴィデオを発表、その楽曲たちが今作に収録されている。
 「Essentials」という今作のタイトルが示すように、これが聴くべき名刺代わりの一発、ということだろう。
 トラックをド・カシエルと担当しているのは、同じくコペンハーゲン拠点でDJセントラル(central)として〈Dekmantel〉などからリリースしている、彼女の友人のプロデューサー、ネイタル・ザックス(Natal Zaks)だ。2017年の彼のエル(Alle)名義でのアルバム『Dine Pæne Øjne』にもド・カシエルはバッキング・ヴォーカルで参加していて、さらに同年にはふたりはデンマークの〈Regelbau〉に12インチ「Drive」を残している。90年代のジャングル・レコードのようなインサートとシンプルなラベル・デザインで世に出たこの一枚は、サウンドもまさに当時のUKアンダーグランドを感じさせるものだ。火を吹く寸前でコントロールされたジャングル・ブレイクとボムボールのように飛び跳ねるUK式低音域上で、ド・カシエルは蝶のように歌っている。アンビエント・ミックスも収録。針を上げるのを非常に惜しく感じさせる一枚だ。ヴァイナル・オンリーなので再発が待たれている。
 今作において、このタッグはよりド・カシエルの歌を響かせるため、R&Bやダンス・ミュージックの参照項を柔軟に組み合わせている。それは、聴く場所と人を選ばないという意味での柔らかさでもある。彼女のインスタグラムには、自然体で友人たちと遊び、エイブルトンが開かれたラップトップの前で楽曲制作に取り組む姿がある。このような日常生活と音楽生活が溶け込んだ成果が、この『Essentials』なのかもしれない。
 シングルとして2018年に発表された “Do My Thing” の楽曲と、そのヴィデオがそれを強く感じさせる(映像を担当したのは彼女の友人であり、ノルウェー出身でデンマーク拠点の電子音楽デュオ、スメーツ(Smerz)のキャサリン・ストルテンバーグ(Catharina Stoltenberg))。トラックに広がるのは、バロック調のスローなハープシコード、808系のリズム上と、低いベースライン。いたってシンプルであり、キック・ベースが楽曲を先導するようなパワフルさはない。決して飾らない映像内では、コペンハーゲンの街を彼女は自転車で走る。それはオランダなどでよく目にするような、ハンドルが曲がった自転車であり、ヘルメットをかぶってカシエルはクラブへと出かける。「自分のことをやりたい。朝までクラブでチルしたい。ハイプなものなんていらない」という率直なリリックが、肩の力が抜けた彼女の歌唱とともに、夜を走る自転車からこぼれ落ちる。

 すでにいくつか指摘があるように、2018年に傑作『Devotion』を歌い上げたロンドンのティルザのヴォイシングには、たしかにド・カシエルと類似する点もある。ド・カシエルとザックスのように、ティルザのトラックを作ったのも、彼女のロンドンの地元の友人であるミカチューとコービー・シーだ。多くに愛されている “Devotion” のヴィデオで描かれるのも、ロンドンでどこでも目にするようなハウス・パーティの様子だ。歌唱法以上に、日常生活の称揚と、ありのままの自分を貫くという、ゆるやかなで強固な態度がふたりには共通している。荘厳なシンセパッドよりも、タンジブルな機材からのシンプルな音質が好まれる傾向がある電子音楽シーンと、それは共振するものかもしれない。2017年にヴォーカルにスポットライトを当てた作品『Dust』を発表したローレル・ヘイローにも、それは通じるものだ。
 この美学がアルバムの基礎をなしている。収録曲のなかで2017年という最も早い時期にリリースされている、8曲目の “What U Wanna Do?” は、今作のなかでひときわエモーショナルに響いている。この楽曲にもヴィデオがあり、風力発電の風車が回る海岸線を背景に彼女は歌う。懐古主義的、ヴェイパーウェーヴ的なオブジェクトの参照もエフェクトもない。持続している彼女の生活のみがそこにある。そこでド・カシエルは「やりたくないことはやらなくてもいい」という直球のメッセージを、リスナーに、そしておそらく自分自身に送っている。前に押し出してくるビートは、ドロップするベースとともに、その言葉の裏にあるであろう何かと、イヤフォンの向こう側を連結させる。
 FKAトゥイッグスケレラのような電子/音楽的なワイルドサイドとメインストリームを行き来するような試み、あるいはラファウンダ(Lafawndah)のように西洋世界の外部へ歌唱と身体を通して向かう冒険が、『Essentials』にはあるわけではない。だが彼女たち人間が生きるエヴリデイライフを描いたという意味では、ド・カシエルほど素直にそこで鳴るべき音を表現しているシンガー/プロデューサーはあまりいない。アルバム最後の三曲で、時間流はひときわスローでメローになる。ローエンドが優しく響く “Rainy”、人間関係の間に生まれてしまう溝が楽曲に広がる「空間」と重なって聴こえる “Space”、直球のメロディとリズムで自分自身を歌う “Story of My Life”。速すぎる現代に抗いつつも、けっして時代錯誤にはならない安全地帯がここにはある。
 最後に収録されている5曲目のDJスポーツによる “Intimate” のクラブ・リミックスは、ゴールディの “Inner City Life” を思わせるようなジャングルのリズムが組まれ、強烈なサブベースが甘いヴォーカルとともにフロアを揺らす。2017年の “Drive” に通ずる名ミックスだ。狭いベッドルームにも満杯のフロアにもとどくシンガーは稀有であり、ド・カシエルはその一人であることも、この一枚は証明している。

髙橋勇人

TSUBAKI FM - ele-king

 東京を拠点にさまざまな音楽を発信しているインターネット・ラジオ「TSUBAKI FM」が2周年を迎える。おのおのに精力的な活動をつづける Masaki Tamura、Souta Raw、Midori Aoyama の3人によって運営され、たんなるラジオに留まらない展開をみせているこの新型プラットフォームについては、ぜひともこちらのインタヴューをご一読いただきたいが、その2周年を記念したツアーが2020年1月末より実施される運びとなった。東京、広島、金沢、京都、静岡、名古屋の6都市で計7公演が開催される。現地からのライヴ配信なども予定されているとのこと。まだ知らないすばらしい音楽に出会えるこの絶好の機会を逃すなかれ。

東京発、インディペンデントミュージックを発信する音楽プラットフォーム『TSUBAKI FM』が2周年を記念したジャパンツアーを開催!!!

東京を拠点にローカルからワールドワイドまでクオリティーの高いアーティスト/DJを招き、毎週日曜日19:00~21:00にしぶや花魁にてライブブロードキャストを行う音楽プラットフォーム TSUBAKI FM。約2年の活動で京都八坂や加賀山代温泉などの出張放送やタイのローカルラジオとのコラボレーションイベントなど着実にその輪を広げるラジオ局が、昨年に引き続きアニバーサリーツアーを実施。

ツアーでは京都を代表する JAZZ / CROSSOVER イベント “Do it JAZZ!” を主催し、現在は Gilles Peterson 率いるラジオステーション “Worldwide FM” の京都サテライト “WW KYOTO” のホストも務める Masaki Tamura。アンダーグラウンドディスコを軸に長年に渡り茶澤音學館のクルーとして Sadar Bahar の来日サポートを務め、毎週火曜日の Aoyama Tunnel をレギュラーに都内を中心に活躍中の Souta Raw。そして東京ハウスミュージックシーンの人気パーティー /レーベル “Eureka!” を仕掛け、TSUBAKI FM の発起人でもある Midori Aoyama の3人を中心に、特定のジャンルに縛られない様々なジャンルを発信する TSUBAKI FM とリンクした全6都市のローカルアーティストがコラボレーション。現地でのライブ配信やイベントなどが融合したツアーショーケースを約1ヶ月通して開催する。

【Tour Schedule】
1/31 (Friday) Tokyo CITAN
2/21 (Friday) Hiroshima ONDO
2/22 (Saturday) Kanazawa Zuiun & DEF
2/23 (Sunday) Kyoto Metro
2/28 (Friday) Shizuoka COA
2/29 (Saturday) Nagoya outecords
3/07 (Saturday) Tokyo TBA
*追加公演や各公演のラインナップアナウンスは2020年1月以降順次リリース予定

【DJ's】

Masaki Tamura
DJ / Architecture Designer。2003年に活動開始以降、新譜・旧譜問わずJAZZを軸とした選曲を得意とし、京都を代表する JAZZ / CROSSOVER イベント “Do it JAZZ!” を中心にDJを行い、LIVEアーティストからの信頼も厚く、選曲の幅を生かしホテル、ラウンジ等のサウンドサポートも行う等、京都・大阪・東京を中心に活躍中。昨年はヨーロッパシーンで活躍する HUGO LX、Aroop Roy そして新世代バンド WONK を招待、Dego や floating points のサポートを務め、今年7月には mixcloud アワードに選ばれた経歴を持つフランスの GONES THE DJ との共作であるジャパニーズ・ジャズのみを選曲した Mix を発表し話題を集める。Gilles Peterson がスタートしたオンライン・ラジオステーション “Worldwide FM” の 京都サテライト “WW KYOTO” のDJを務め京都祇園のニュースポット “Y gion” から毎月第二月曜日に発信中。

Souta Raw
長年に渡り茶澤音學館でのレギュラー、そして7インチレコードに特化した45’sパーティ Donuts#45 のDJ/オーガナイズを担当して来た Souta Raw は、アンダーグラウンドディスコを軸に世界中の新旧問わず点在する辺境ダンスミュージックを織り交ぜるプレイスタイル。現在は毎週火曜日の AoyamaTunnel をレギュラーに都内を中心に DJ/パーティ・オーガナイザーとして活動中。

Midori Aoyama
東京生まれのDJ、プロデューサー。12年に自身がフロントマンを務めるイベント「Eureka!」が始動。青山 Loop での定期開催を経て13年にはUKから Reel People / The Layabouts を招き eleven にて開催。その後も、module、Zero、AIR と様々な会場に場所を移しながら、過去に Kyodai、Detroit Swindle、Atjazz、Lay-Far、Mad Mats、Session Victim など気鋭のアーティストの来日を手がけ東京のハウスミュージックシーンにおいて確かな評価を得る。過去に Fuji Rock や Electric Daisy Carnival (EDC) などの大型フェスティバルでの出演経験もあり、活躍は日本だけに留まらず、ロンドン、ストックホルム、ソウルそしてパリなどの都市やアムステルダムの Claire、スペインはマジョルカの Garito Cafe などのハウスシーンの名門クラブでもプレイ。15年には Eureka! もレーベルとして始動し、スウェーデンの新興レーベル「Local Talk」とコラボレーションし、自身が選曲、ミックスを務めた「Local Talk VS EUREKA! - Our Quality House」を発表。その後も立て続けにリリースを手がけ現在5枚のEPをリリースするなどレーベルの活躍も期待が高まる。現在は新しいインターネットラジオ局 TSUBAKI FM をローンチし、彼の携わる全ての音楽活動にさらなる発信と深みをもたらしている。

【about TSUBAKI FM】
東京発、インディペンデントミュージックを発信する新しい音楽プラットフォーム『TSUBAKI FM』
世界中から集まるクオリティの高いアーティストやリスナーをキュレーションしながら日本のシーンに対して新しい風を送ります。様々なカルチャーや多彩な音楽そしてライブブロードキャストを中心に毎週日曜日19:00~21:00にしぶや道玄坂のウォーム・アップバー「しぶや花魁」から配信中。
Tsubaki FM is a brand new platform for independent music, straight from the heart of Tokyo. We aim to bring new life to the underground music scene in Japan while also helping better connect artists and listeners worldwide. Get fresh tracks from diverse genres, music culture information, live broadcasts, and more.

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443 444 445 446 447 448 449 450 451 452 453 454 455 456 457 458 459 460 461 462 463 464 465 466 467 468 469 470 471 472 473 474 475 476 477 478 479 480 481 482 483 484 485 486 487 488 489 490 491 492 493 494 495 496 497 498 499 500 501 502 503 504 505 506 507 508 509 510 511 512 513 514 515 516 517 518 519 520 521 522 523 524 525 526 527 528 529 530 531 532 533 534 535 536 537 538 539 540 541 542 543 544 545 546 547 548 549 550 551 552 553 554 555 556 557 558 559 560 561 562 563 564 565 566 567 568 569 570 571 572 573 574 575 576 577 578 579 580 581 582 583 584 585 586 587 588 589 590 591 592 593 594 595 596 597 598 599 600 601 602 603 604 605 606 607 608 609 610 611 612 613 614 615 616 617 618 619 620 621 622 623 624 625 626 627 628 629 630 631 632 633 634 635 636 637 638 639 640 641 642 643 644 645 646 647 648 649 650 651 652 653 654 655 656 657 658 659 660 661 662 663 664 665 666 667 668 669 670 671 672 673 674 675 676 677 678 679 680 681 682 683 684 685 686 687 688 689 690 691 692 693 694 695 696 697 698 699 700 701 702 703 704 705 706 707 708 709 710 711 712 713 714 715 716 717 718 719 720 721 722 723 724 725 726 727 728 729 730 731 732 733 734 735 736 737 738 739 740 741 742 743 744 745 746 747 748 749 750 751 752 753 754 755 756 757 758 759 760 761 762 763 764 765 766 767 768 769 770 771 772 773 774 775 776 777 778 779 780 781 782 783 784 785 786 787 788 789 790 791 792 793 794 795 796 797 798 799 800 801 802 803 804 805 806 807 808 809 810 811 812 813 814 815 816 817 818 819 820 821 822 823 824 825 826 827 828 829 830 831 832 833 834 835 836 837 838 839 840 841 842 843 844 845 846 847 848 849 850 851 852 853 854 855 856 857 858 859 860 861 862 863 864 865 866 867 868 869 870 871 872 873 874 875 876 877 878 879 880 881 882 883 884 885 886 887 888 889 890 891 892 893 894 895 896 897 898 899 900 901 902 903 904 905 906 907 908 909 910 911 912 913 914 915 916 917 918 919 920 921 922 923 924 925 926 927 928 929 930 931 932 933 934 935 936 937 938 939 940 941 942 943 944 945 946 947 948 949 950 951 952 953 954 955 956 957 958 959 960 961 962 963 964 965 966 967 968 969 970 971 972 973 974 975 976 977 978 979 980 981 982 983 984 985 986 987 988 989 990 991 992 993 994 995 996 997 998 999 1000 1001 1002 1003 1004 1005 1006 1007 1008 1009 1010 1011 1012 1013 1014 1015 1016 1017 1018 1019 1020 1021 1022 1023 1024 1025 1026 1027 1028 1029 1030 1031 1032 1033