「!K7」と一致するもの

Brian Eno, Robert Del Naja, and more - ele-king

 イギリス・ロンドンの音楽フェスティヴァル〈Field Day〉は今年も開催される。が、しかし、2024年にその運営企業であるスーパーストラクチャ・エンターテインメント(Superstruct Entertainment)は世界最大級の投資会社のひとつであるKKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ社)へ買収された。〈Boiler Room〉へのキャンセルと同じく、この買収に端を発する抗議の声が各所で上がっているようだ。

 というのも、スーパーストラクチャ社の親会社であるKKRは、FIDF(Friends of the Israel Defense Forces、イスラエル国防軍友の会)への寄付、軍事関連企業の所有など、さまざまな問題を抱えているからだ。つまりは音楽フェスで生まれる利益が、結果的にはアパルトヘイトとジェノサイドを支援することにつながっている、という構図になる。

 そこで、〈Field Day〉へKKRと可能な限り公的に距離を置くことを求める公開書簡が提示され、50名以上のアーティストが署名している。現時点ではブライアン・イーノやロバート・デル・ナジャ(マッシヴ・アタック)をはじめ、ベン・UFO、アイ・ジョーダン、ミスター・スクラフ、TSVI、オム・ユニットといった音楽家たちが賛同を示したようだ。

 公開書簡では、この買収がけっして〈Field Day〉の選択ではないことに理解を示しつつも、

「可能な限りKKRから公的に距離を置くこと」
「倫理的なプログラミングおよび提携方針を採用すること」
「BDS(ボイコット、投資撤退、制裁)のガイドラインを尊重し、遵守すること」
「上記すべてに関してアーティストや従業員と対話すること」

などが求められている。 公開書簡の原文については、こちらの署名フォームを参照いただきたい。

DJ Koze - ele-king

 DJコッツェと言えば、2000年代後半、私が『remix』誌の編集をやっていた頃、来日、もしくは電話取材でヨーロッパのテクノやハウスのアーティストに「いまそのプレイがおもしろいDJは?」と訊いたときに、かなりの確立で彼の名前がでることが多かった記憶がある。当時の卓越したDJプレイは〈コンパクト〉からのミックスCD『All People Is My Friends』(2004年)として記憶されている。ダウンテンポからテクノ、ハウスへと展開、それぞれの曲はたぶん他の人がかけたら意外とバラバラになりそうなものなのだが、ひとつのストーリーを秀逸に作り出していて、どこかコラージュ感のあるミックスCDでもある。同時代、例えば同じく〈コンパクト〉のミヒャエル・マイヤーのミックスCDなどにしても、当時と言えばDJプレイにしてもよりミニマルなスタイルが主流だったことを考えれば、それなりに衝撃を与えたことも腑に落ちる内容でもある。そのコラージュ・センスはドイツ産のミニマルなディープ・ハウスを土台にしながら、珍妙な音が交叉する前述の『Kosi Comes Around』や別名義のアドルフ・ノイズでリリースした、実験的なアンビエント作『Wo Die Rammelwolle』(2005年)にも存分に生かされている(ここでの彼のユーモアは、ちょっとKLF『Chill Out』を彷彿とさせる)。

 そのDJプレイ、そしてアーティストとしてのコラージュ・センス、双方が垣間見れる、ある意味で彼のいいとこ取りとなるのがDJミックス『DJ-Kicks』(2015年)で、その出自でもあるヒップホップ色の強い作品で、サイケデリックなダウンテンポを中心にハウスやテクノへとつながれていく。その曲のほとんどは本人によってエディットが施されており、それらが「素材」と言うよりも「楽曲」として存在感をしっかりと宿しながら1枚のミックスCDとして彼の世界観でまとめられていた。ここでの世界観を構成する音の混ざり合いは、ミックスというよりも、さまざまな要素を塗り込めるように構築されていて、コラージュという感覚の方が相当しいと思う。しかもそこから浮き立つフィーリングは、おとぎ話の世界に迷い込んだJ・ディラがキノコにあてられて徘徊しているかのような、どこかユルユルととぼけてユーモラスな、メルヘンな感覚とでも言いたくなるサイケデリアがあり、それが彼のサウンドを強烈に独自のものにしている。

 こうした彼のユーモラスなコラージュ感はまさしく、次作の『Knock Knock』(2018年)へと結実する。2009年に自身の〈パンパ〉を設立以降は、シングル単位では他のアーティストも含めてダンサブルで良質なディープ・ハウス・サウンドをリリースしつつ、自身の作品に関してはこうしたコラージュ~ダウンテンポへとさらに歩みをすすめている。まだハウスだった『Amygdala』(2013)から『DJ Kicks』を挟んでの前作『Knock Knock』(2018年)では、カットアップを効果的に援用した、ダウンテンポがアルバムの大部分を占めることになる。そしてその後、この作品で意気投合したロイシン・マーフィーとのコラボ、プロデュース作となった『Hit Parade』(2023年)がリリースされることになる。コロナ禍を挟んで制作され、彼のユーモア溢れる実験が詰まったサイケデリックなカットアップ・ダウンテンポのサウンドを、彼女の歌声によってポップ・ソングとして昇華させた、オリジナリティ溢れる作品となった。が、しかし、リリース直前、マーフィーのFacebook上でのトランスフォビアな発言が徒となり、作品自体の評価は失速……。

 それから2年、前作からは8年ぶりに届けられたDJコッツェの新作『Music Can Hear Us』は、やはりロイシン・マーフィー作品のプロデュースに手応えがあったと見え、ほぼ歌モノと言っていいアルバムになった。前半にはダウンテンポ、そして終盤に真骨頂とも言えるダンス・トラックを携えており彼の集大成といった趣もある。タブラがエキゾチックな空気感を浮き立たせるインスト曲からはじまり、次いでアフリカはサハラ砂漠周辺のいわゆるデザート・ブルースの要素を強く感じさせる “Pure Love” は、先行カットされデーモン・アルバーンをフィーチャーし話題となった。アルバム全体は、こうしたさまざまなローカリティの音がコラージュされているが、しかしながらそれが決してワールド・ミュージック的な現地の音とのハイブリッドといった感覚のサウンドになることはない。あくまでも漂う要素といった感覚で、それは蜃気楼の向こう側というか、夢のなかで見たここではないどこかと言った感触を醸し出す。このあたりのバランス感覚が彼のコラージュ・センスの肝要な部分で、メルヘン・チックな世界観も相まって、夢で見た存在しない地に強い懐かしみを憶えるような、そんな郷愁が本アルバムを貫き、アルバム全体を魅力的なものにしている。

 デーモン・アルバーン以外のシンガーは比較的、彼の周辺、〈パンパ〉やドイツ/オーストリアのアーティストが多く起用されている。コズミックな電子音が後ろを飛び回るフォーク “Der Fall”、コッツェ流のデンボウ・トラックと言えそうな “Die Gonddel” では、〈パンパ〉からアルバムをリリースするシンガー/プロデューサーのソフィア・ケネディがドイツ語で歌い、また同じく〈パンパ〉リリース組からはアダが参加し “Unbelievable” では歌声も披露している。アルバム前半のハイライトと言えそうな、ウォーミーでメロウなダウンテンポ “Wie schön du bist” では、普段はフォーキーな音楽性の、ザ・デュッセルドルフ・デュスター・ボーイズが参加。この曲は、初期のカニエ・ウェストやJ・ディラを彷彿とさせる早回しのヴォーカル・サンプル・ループが印象的だが、このサンプル・ネタはドイツのSSW、ホルガー・ビーゲが1978年に発表したアルバム『Wenn der Abend kommt』に収録の “Bleib Doch” からの一節だそうだ。またこうしたドイツ語の歌詞の他にも、〈ニンジャ・チューン〉のソフィア・クルテシスが歌う “Tu Dime Cuando” や、ソープ&スキンことアンヤ・フランツィスカ・プラシュクが歌う “A Dónde Vas?” “Vamos A La Playa” といった楽曲は、スペイン語の歌詞となっている。単にソウルのネタを持ってくるのではないこうしたネタ選びや、音としての多言語の歌詞は前述のアフリカやアジアだけでなく、その中心のない本作の無国籍感を補完、世界観を作り出す秀逸な要因となっている。
 アルバム終盤に収録されている先行シングルとしてリリースされた “Brushcutter” は、マーレー・ウォーターズのルーディーな歌声が響き渡り、比較的DJコッツェにしては珍しいレイヴィーなブレイクビーツ・ハウス。同じくシングル・カットされている “Buschtaxi” は、その痙攣するブレイク(往年の長めのやつ)がピーク・タイムへと一気にフロアを引き込むテクノ・トラック。ギターのカッティングが心地よいアフロ・ハウス “Aruna” という、ラスト前の3曲は本作のダンスフロアへの対応も適切であることを証明している。
 しかし、驚いたのはラスト・トラック “Umaoi” である。この楽曲にはアイヌの伝統歌「ウポポ」を継承する、北海道は旭川拠点の女性ヴォーカル・グループ、マレウレウが参加している。ガムランを彷彿とさせる鉄琴が印象的なイントロに続いて、その優しげな歌声にベースラインが入ってくると、メロウなダウンテンポへと収束する。その歌声は音が停まるとともに夢から覚めてしまったような、そんな温かな余韻をこのアルバムにもたらせている。
 郷愁とユーモアに彩られた独自の世界観を作り出す、サイケデリックで縦横無尽なコラージュ・センス。DJコッツェは、彼の強烈なサウンドの個性を発する実験的サウンドを同居させながら、ポップ・ソングとして楽曲を成立させる、唯一無二のスタイルをここで完成させたと言っていだろう。そういえばこのコラージュ・センス、無国籍感、たまに見せるすっとぼけているのだか確信犯なのだが一瞬わからなくなる感じは、どこかホルガー・シューカイを思い出す。ぜひ本作が気にいったらシューカイがテープ・コラージュで作り出した1979年のファースト・ソロ『Movies』を聴いてみることもオススメしたい。

Emma-Jean Thackray - ele-king

 ロンドンのマルチ・アーティスト、エマ・ジーン・サックレイがグランジ、ポップ、ソウル、Pファンク、ジャズなど多岐にわたる影響を反映したという19曲入のアルバム『WEIRDO』を、ジャイルス・ピーターソンのレーベル〈Brownswood Recordings〉よりリリース。全楽曲の作詞・作曲・演奏・編曲をサックレイが務めた。

カッサ・オーヴァーオールを客演に迎えた先行シングル“It’s Okay (feat. Kassa Overall) ”なども話題を集めた本作は、パートナーの死という痛ましい出来事を経て生み出されたそうだ。トラックリストに目を向けると、“Save Me”や“Wanna Die”といった悲痛なタイトルから“Tofu”や“Thank You For The Day”のような明るい印象のものまでが並列化されている印象を受ける。まるで、人生における喜怒哀楽、日常と非日常を等価値なものとして受け止めるように。

 その音楽性はもちろんのこと、大いなる悲しみを超えて復帰する人間の力強さを感じられる作品としても聴けるような仕上がりになっているのかもしれない。

Artist : Emma-Jean Thackray
Title : WEIRDO
Label : Brownswood Recordings
Release Date : 2025.4.25
Format : LP / CD / Digital
Stream / Buy : https://emmajeanthackray.lnk.to/weirdo

Tracklist
1. Something Wrong With Your Mind
2. Weirdo
3. Stay
4. Let Me Sleep
5. Please Leave Me Alone
6. Save Me
7. Maybe Nowhere
8. What Is The Point
9. Black Hole ft. Reggie Watts
10. In Your Mind
11. Tofu
12. Fried Rice
13. Where’d You Go
14. Wanna Die
15. Staring At The Wall
16. I Don’t Recognise My Hands
17. It’s Okay ft. Kassa Overall
18. Remedy
19. Thank You For The Day


 ヴィジョナリーなマルチ・インストゥルメンタリスト/プロデューサー/ボーカリストであるエマ・ジーン・サックレイが、本日、自身史上最も大胆かつジャンルにとらわれない作品『Weirdo』を、Brownswood Recordings / Parlophoneよりリリースした。本作はUK音楽界における最重要アーティストのひとりであるサックレイによる、極めて個人的かつ勝利のステートメントであり、作曲、演奏、プロデュース、録音、ミックスのすべてを彼女自身が南ロンドンの自宅で手がけている。

 本作は、グランジ、ポップ、ソウル、Pファンク、ジャズなど、幅広い影響を取り入れつつ、“変わり者”であることの孤独を探求し、称賛する作品である。『Weirdo』は生き抜く力と個性を讃える勝利の賛歌であり、サックレイの卓越した音楽性と恐れを知らない自己表現の証として位置付けられる。

「このレコードを作ることが、私の命を救ってくれました。自分を完全に見失った状態から、再び自分自身へ戻る方法が必要だったんです。そして私は、音楽こそが自分のすべてであり、それ以外は何も重要じゃない。これまでにも完全に一人でレコードを作ったことはありますが、今回は特別でした。全エネルギーを自分自身に注ぐ必要があったからです。これは“生存のためのレコード”であり、痛みに満ちているけれど、おバカさもある。率直な歌詞と、楽しいグルーヴが同居していて、巨大な実存的問いの隣に、夕食を作ることについての日記のような内容もある。悲しみのダークコメディのようなもの。これは私の人生で最悪の1年を映し出した窓のようであり、絶望の深淵を旅した記録ですが、その先には光もあります」—エマ・ジーン・サックレイ

 本作は、Kassa Overallをフィーチャーした「It's Okay" feat. Kassa Overall」を含む一連の注目シングルによって先行して紹介された。「It’s Okay」は夢見心地で浮遊感に満ちた楽曲で、サックレイの音楽的多様性を如実に示している。「Wanna Die」は、激しいエネルギーと感情的な脆さが交錯した楽曲で、ユーモアあふれるビデオも話題となった。リズム的には遊び心あるビートを基盤にしつつ、生と死を巡る深い省察が織り込まれている。Reggie Wattsを迎えた「Black Hole」は、2023年末に発表され、Pファンクの美味なる一片として、ジャズ、ポップ、ソウルを独自のスタイルで融合させている。最終シングル「Maybe Nowhere」は、ブームバップ調のドラムと反響するボーカルの中で、喪失感のリアルさを描き出す大胆な一曲であり、ラストにはノイズの壁のようなサウンドへと展開する。

 アルバム全体には、強烈なインパクトと即効性を備えた名曲が多数収録されており、そのすべてがサックレイによって作詞・作曲・演奏・編曲されている。『Save Me』のキャッチーさには、初聴で歌わずにはいられない魅力がある。『Thank You For The Day』は、人生の瓦礫の中から生まれた、両手を掲げて歌いたくなるようなアンセムである。サックレイの個性は、短い楽曲群にも強く現れており、特に『Fried Rice』のような作品は、スキットというより日記の断片に近いと彼女自身が述べている。

 『Weirdo』は当初、神経多様性やメンタルヘルスについての瞑想として構想されたが、2023年1月に長年のパートナーを自然死で失うという予期せぬ出来事によって、その方向性が大きく変化した。結果的に本作は、極めて個人的でありながら普遍的な作品へと昇華された。緻密な作曲、剥き出しの感情、そして揺るぎない誠実さに満ちた『Weirdo』は、単なるアルバムではなく、レジリエンスの傑作であり、個性の祝福であり、英国音楽界の最前線に立つアーティストによる大胆な飛躍である。ジャンルと感情の境界を曖昧にしながら、Meshell Ndegeocello、Kate Bush、Nirvanaといったアーティストを彷彿とさせる――しかもダンスフロアで。

 エマ・ジーン・サックレイは、いまや現代音楽における最重要人物のひとりとして語られる存在だが、その道のりは決して常道ではなかった。ウェスト・ヨークシャーで生まれ育ち、Royal Welsh College of Music and DramaおよびTrinity Laban Conservatoireでクラシック音楽を学んだ彼女は、初期キャリアからジャンルの枠を打ち破る音楽性で注目を集めてきた。彼女は低所得の労働者階級家庭で育った。英国国家統計局によれば、俳優、音楽家、作家の92%以上が中〜高所得家庭出身であることを踏まえると、これは極めて稀なケースである。自主制作EP『Walrus』(2016年)やJazz FMアワードを受賞した『Yellow』(2021年)などを経て、サックレイはGlastonburyやロンドン交響楽団との共演など、名立たる会場やフェスティバルでの演奏を通じて、その革新的地位を確立してきた。

 『Weirdo』は、Yussef DayesやKokorokoらを擁する名門Brownswood Recordingsからの新たなスタートとなる。ロンドンの多様な音楽コミュニティに根ざす同レーベルは、ジャンルを越境するアーティストたちの拠点として機能しており、サックレイのような存在にとっては理想的な“ホーム”である。

 またサックレイは、今年、UKおよびヨーロッパでのヘッドライン・ツアーを発表しており、11月にはロンドンKOKOでの公演も予定されている。彼女は先日、Kamasi Washingtonのツアーサポートを終えたばかりで、4月〜5月にはインストアや単独公演も実施予定であり、その後は夏フェス出演も控えている。

Matmos - ele-king

 ドリュー・ダニエルとM.C.シュミットによるボルチモアの電子音楽デュオ・マトモスが、〈Thrill Jockey〉から新作アルバム『Metallic Life Review』を6月20日にリリース。先行シングルとして“Changing States”、直訳すると「変化する国」という意味深なタイトルのトラックがBandcampはじめ各所で公開中。

 もともとはハードコア・パンクやノイズに出自を持ち、これまでに洗濯機の駆動音や医療手術中の作業音など、一風変わったサンプル・ソースを駆使した作品を発表してきたマトモスの新作は、数十年にわたるフィールド・レコーディングのアーカイヴより「金属音」のみを抽出し制作されたとのこと。フライパンやアルミ缶といったありふれた物品の音から地下納骨堂や墓地の門の開閉音まで、ふたりの生活のなかで録音されたあらゆる金属の音が巧みにサンプリング・コラージュされている。

 また、アルバムの後半はキャリア史上初めてスタジオでレコーディングされたとのこと。ドリュー・ダニエル曰く、本作はペダル・スティール・ギター奏者のスーザン・アルコーン、そしてデヴィッド・リンチというふたりの故人に向けて捧ぐ作品でもあるようだ。

 なお、本作はデジタルほか、LPとCD、そしてポストカード・セットでのリリース予定。フィジカルで奏でられた音をデジタル的に加工し、それをまたフィジカル媒体で発売する、という姿勢ひとつとっても彼ららしさを感じる。

Artist : Matmos
Title : Metallic Life Review
Label : Thrill Jockey
Release Date : 2025.6.20
Format : LP / CD / Postcard-Set / Digital
Pre-Order : https://matmos.bandcamp.com/album/metallic-life-review

Tracklist
1. Norway Doorway
2. The Rust Belt
3. Changing States
4. Steel Tongues
5. The Chrome Reflects Our Image
6. Metallic Life Review

4月のジャズ - ele-king

Knats
Knats

Gearbox

 ビンカー・アンド・モーゼス、テオン・クロス、サラティー・コールワール、チミニョなどから、最近はエリオット・ガルヴィンと、〈ギアボックス〉はロンドン、特にサウス・ロンドンのアーティストのリリースが多い。それらの中にはフリー・ジャズやフリー・インプロヴィゼイションに傾倒したリリースも目につくのだが、このたび〈ギアボックス〉から登場したナッツはそれらとは異なるタイプで、ニューカッスルのアポン・タイン出身となる。ベーシストのスタン・ウッドワード、ドラマーのキング・デヴィッド=アイク・エレチによるユニットで、レコーディングにはトランペットのファーグ・キルスビーはじめジョーディ(ニューカッスル地方の人々を指す俗称)のジャズ仲間が参加するなど、形態としてはブルー・ラブ・ビーツに近い。2024年秋ごろからシングルをリリースし、今回ファースト・アルバムを発表するのだが、レコーディングはロンドンのスタジオで行い、ゲストにはアコーディオン奏者のアナトール・マイスターらの名前もクレジットされる。

 ハード・バップ調のホーンを擁した“One For Josh”や“500 Fils”、ジョー・ヘンダーソンの“Black Narcissus”をブロークンビーツ的に斬新に解釈したカヴァーなど、伝統的なジャズのスタイルと現代的なビート感覚を融合した作品集となっていて、エズラ・コレクティヴモーゼス・ボイドなどに共通するようなアーティストと言える。また、鍵盤はフェンダー・ローズなどエレピが主となり、1970年代のフュージョンやジャズ・ファンクのエッセンスが漂う。パーカッシヴなリズム・セクションによるラテン・フュージョンの“Rumba(r)”がその代表だ。アナトール・マイスターのアコーディンをフィーチャーした“Miz”は、ブラジルのアコーディオン奏者であるドミンギーニョスがワギネル・チソやジウベルト・ジルらと共演した『Domingo, Menino Dominguinhos』(1976年)を彷彿とさせるフュージョン調の作品。ミスティカルなスキャット・ヴォーカルを配した“In The Pit”は、1970年頃の欧州産のダークなジャズ・ロックやプログレに通じる。そして、アルバム全体としてスタンとキングの愛する人たちに捧げられていて、スタンは“Tortuga”で母への愛と感謝を示し、“Se7en”ではDJだった父への感情や関係を投影している。ゴスペルや民謡を取り入れた“Adaeze”はキングの亡き姉に対する楽曲で、西アフリカのリズムや楽器を用いている。


Niji
Oríkì

Aeronxutics

 ニジ・アデレエはイースト・ロンドン生まれのピアニスト/作曲家/プロデューサーで、ナイジェリアにルーツを持つ。14歳のときに教会でオルガンを弾いたのが初めての演奏体験で、その後クラシックとジャズのレッスンを受け、ロンドンのジャズやゴスペル・シーンで演奏してきた。セッション・ミュージシャンとしてハリー・スタイルズ、ストームジー、グレゴリー・ポーター、チャーリー・プース、ミシェル・ウィリアムズらのツアーやセッションに参加するなどキャリアを積み、2015年にはファースト・ソロ・アルバムの『Better Days Ahead』をリリースしている。ニューヨークにも拠点を持ち、マジソン・スクエア・ガーデンでNBAのニューヨーク・ニックスの専属オルガン奏者を務めるなど、ロンドンとNYを往来しながら活動を続けているが、近年はモーゼス・ボイドとコラボして“Sounds Of The City”という楽曲もリリースしている。その“Sounds Of The City”も含むアルバムが『Oríkì』で、6年もの歳月をかけて制作されたものだ。

『Oríkì』はアルバムのジャケットにもある曾祖母のマチルダ・タイウォに捧られており、“Mata”というナンバーはそのマチルダの愛称でもある。ニジのルーツであるナイジェリアのヨルバ族のフジ音楽や踊りに多大なインスピレーションを受けており、“A13 Fuji”はダイナミックなアフロ・フュージョンとなっている。アフロノート・ズーのヴォーカルを配した“Jayé (Dance Dance Dance)”はその名の通りダンサブルなアフロ・ディスコで、アフリカ音楽の大地から沸き立つような力強さに満ちている。一方、“Àdùnní”はゆったりと牧歌性に富むメロウな作品で、ココロコあたりに通じる部分を感じさせる。ロンドンのジャズ・シーンにはアフリカをルーツに持つミュージシャンが多く、その代表例がココロコであるが、彼らはジャズとアフリカ音楽を結び、さらにアフリカ音楽から枝分かれしたラテンやレゲエなどを結び付け、ディアスポラである自らのルーツやアイデンティティを探る活動を続けている。ニジもそうしたアーティストのひとりと言える。


Nadav Schneerson
Sheva

Kavana

 ナダヴ・シュニールソンはロンドンを拠点とするユダヤ系のドラマー兼作曲家で、16歳の頃よりトゥモローズ・ウォリアーズでピアノ演奏から作曲など音楽全般を学んだ。現在25歳の彼は、世代的にはヌバイア・ガルシアジョー・アーモン・ジョーンズ、エズラ・コレクティヴらの次にあたり、これからのロンドン・ジャズ・シーンを担う存在である。これまでスティーム・ダウン、グレッグ・フォート、チャーリー・ステイシー、ドン・グローリー、フィン・リースといったアーティストたちと共演してきており、この度リリースするのがファースト・アルバムの『Sheva』である。楽曲は17歳の頃に作曲して温めてきたものもあり、22歳でレコーディングを開始し、その後3年かけて完成させた。レコーディングには、本作リリースの同時期にアルバム『El Roi』を発表した注目のピアニストのサルタン・スティーヴンソンほか、サム・ワーナー(トランペット)、ウィル・ヒートン(トロンボーン)、ジェームズ・エイカーズ(サックス)、アフロノート・ズー(ヴォーカル)らが参加。7人編成のバンドとしてライブ活動も行っていて、本作も全てライヴ・セッションによる録音が行われている。

 アルバム・タイトル曲の“Sheva”はヘブライ語で7を指し、ユダヤ教において神聖な意味を持つ。“Sheva”は7拍子で、イスラム特有の変拍子を用いたものだ。このように、アルバム全体でアラビア音楽をモチーフとした作品が並び、“Yalla”に見られるように複雑なリズムを繰り出すナダヴのドラミングが聴きどころのひとつである。“Negev”はエキゾティックでダークな旋律の楽曲で、ピアノやホーン・セクションが緊張感に富むインタープレイを繰り広げる。“Stampede”はモーダルな変拍子曲で、ライヴ・エフェクトをかけたトロンボーンやウードを交え、スピリチュアルな演奏を披露していく。立体的でポリリズミックなナダヴのドラム演奏は、こうした変拍子の楽曲で持ち味を最大限に披露している。


Y.O.P.E
Peer Pleasure

Wicked Wax

 Y.O.P.Eはオランダのベーシストであるヨープ・デ・フラーフを中心とするプロジェクトで、キーボードのアントン・デ・ブルーイン、ドラムのルイ・ポッソーロ、サックスのミゲル・ヴァレンテ、トランペットのアントニオ・モレノなどが参加。シンセやエレクトロニクス、プログラミング担当のトミー・ファン・ロイケンもいて、ジャズとビート・ミュージックやエレクトロニカを融合したスタイルである。2022年にミニ・アルバムの『Lost But Here』を発表し、それ以来となる本作『Peer Pleasure』がファースト・アルバムとなる。

 “Stretch Up, Stress Up, Ketchup, Relax ”は未来と宇宙をイメージした音像がスピーディーに展開していくエレクトリック・フュージョンで、混沌とした世界とスケールの大きなダイナミックな世界が交錯する。フライング・ロータスやルイス・コールをイメージさせる楽曲だ。“My Funny Chaos”はジャズとテクノを融合したスペイシーな楽曲で、フローティング・ポインツ(https://www.ele-king.net/interviews/007206/)などに近いイメージ。“A-Way”や“Lost But Hereはサム・ネラの繊細なヴォーカルをフィーチャーし、トリップ・ホップ的なクールなナンバー。オランダではジェイムスズーの次を担うようなアーティストとなっていくだろう。

青葉市子 - ele-king

 2016年から2017年ごろ、私は下北沢の小さなカフェにいた。収容人数は法的には30人が限界。青葉市子のソロセットがはじまる数分前、私は右側カウンターの奥、空いていた最後の席に腰を下ろした。完売とはいえ、店内は静かだった。初めて訪れるこのカフェには、かすかなざわめきだけが漂っていた。ステージなんてものはなく、ただテーブルと椅子を脇に寄せただけのスペース。よくある、フォークやアウトサイダー・ロック向けの親密な空間作りだ。ロックの狂騒には近づかない、静かな場所。
 『マホロボシヤ』(2016)という作品に惹かれてここに来た。客席を見渡しても、外国人は私だけだった。当時はそんなものだった。いま思えば、それがどれだけ特別な時間だったかがわかる。30人ばかりの視線を真正面から受けて、彼女は少しだけ恥ずかしそうだった。それでも、音楽は私たちを連れ去ってくれた。不安も、戦争も、クラブのビートもない、ただ静かで安全な場所へ。
 けれど、これが私にとって最初の青葉市子のライヴではなかった。初めて彼女を観たのは、灰野敬二率いる不失者のライヴ直後、六本木・Super Deluxe(いまはなき伝説の箱)で行われたツーマンだった。轟音と咆哮とノイズに1時間浸ったあと、彼女の繊細なギターと歌声に包まれる——そんな体験は、日本でしかできなかっただろう。

 2025年。あれから、すべては変わった。2010年のデビューから彼女は日本国内でカルト的人気を積み上げ、私がハマったころには、海外にもじわじわとファンが増えはじめていた。いまやその小さな火種は大きな炎となり、彼女は国内外のホールを満員にする存在になった。もう、あのカフェでの親密な奇跡を再び味わうことはないかもしれない。

 ギターと天使のような声をもって演奏する彼女は、ツアーコストが高騰するこの時代にも、どこへでも行ける。バンドでも電子音楽家でも手が届かない場所にさえ。Boredoms、ピチカート・ファイヴ、灰野敬二、Melt Banana……そんな先人たちと同じく、青葉市子はいま世界に愛され、そして自らもその世界を温かく抱きしめている。2025年、彼女はこれまでのJ-popアーティストたちの誰よりも多い日程を抱え、ワールドツアーに飛び立つ。
 国境なき受容。それは彼女の音楽と美意識をさらに広げた。『Windswept Adan』(2020年)、そして今年の『Luminescent Creatures』では、彼女は仲間たちとともに、まるで印象派の絵画のような音楽を描きはじめた。初期の、ただギターと声だけの、波打ち際か岐阜の田園で録られたかのような録音とは違う。最初のリリースから、彼女のアルバムジャケットは、ライトブルー、ピンク、バニラ、ライトグリーン……そんな淡いパステルカラーで統一されていた。時間に縛られない、テンポも間合いも自由な音楽。それこそが彼女の魔法だった。青葉市子の音楽は、時間の外側に存在している。そしてその救済こそが、ファンたちを彼女に引き寄せ続ける。

 『Luminescent Creatures』。マーケティングではオーケストラルなアルバム、荘厳なシングル「Luciferine」、イントロの“Coloratura”などが推されたが、実際には、より静寂に回帰した作品だ。『Windswept Adan』の色彩豊かな冒険から一転、原点回帰にも似た孤独が漂っている。全11曲中、1分弱のアンビエント曲が2曲。10年前の10分に及ぶ組曲とは対照的だ。ストーリーテリングは健在だが、抑制され、憂いを帯びている。美しい。でも、どこか悲しくて、内気だ。
 “Sonar”“Flag”“Mazamun”——これらは秘密の歌たちだ。子どもがこっそり手紙を畳んでポケットに忍ばせるように、大切な気持ちを守るための歌。だが、完全な孤独には沈まない。“Pirsomnia”や“Aurora”のような、自然と戯れるような小品が、彼女のバランス感覚を救っている。過剰な編曲に頼らず、それぞれの曲の呼吸を守る。そのせいか“Luciferine”の幻想的なワルツがいっそう際立つ。
 アルバムの中心にそびえる“Luciferine”は、エメラルド色の光を放つ。優雅で繊細で、女性的な輝き。これまででもっとも美しい曲のひとつだと思う。感情の高みと親密さ——私が思い出したのは、Sufjan Stevensだった。とくに『Planetarium』(2017年)。規模も質感も、親密さも、大胆さも、まるで姉妹作のようだ。
 『Luminescent Creatures』は、密やかな瞬間と、そっと広がる勇気のあいだを行き来する。そして、音の多様性に足を踏み入れた彼女が、これからどんな鮮やかな景色を見せてくれるのか、私はもう楽しみでならない。


In a small cafe in Shimokitazawa, around 2016 - 2017, that could only hold legally at most 30 people, I sat in the back next to the right side counter arriving only a few minutes before Aoba Ichiko started to play her solo set. Sold out, it was still quiet inside with small murmurs flowing among the patrons of the cafe of which I was visiting for the first time. The stage was a cleared space that is common for folk or off the grid rock cafes that aim for intimate settings without venturing too far into the rock experience.

Brought to this concert by the allure created from her single Mahoroboshiya, I sat as the only foreign patron. This is far from the case now but it does strike a very interesting contrast. I enjoyed the closeness to the performer who emitted bits of shyness at the 30 something attendees staring directly at her in such a small setting but it didn`t prevent the music from taking us away to a safe quiet place with no tribulation, no war, no anxiety, or rhythmic club trappings. But this wasn`t the first concert of hers I went to. No, the first was her dual concert following Haino Keiji`s Fushitsusha at the infamous now extinct Super Deluxe in Roppongi. The stark difference of listening for an hour to the blazing noise, bellowing shrieks and static frequencies of Fushitsusha then followed by the insular stillness of Aoba Ichiko`s strumming and sweet singing was an experience that I realize could only be experienced in Japan.

2025 is a different time for Aoba. From her 2010 debut, she has gradually acquired a cult following within Japan and probably at the same time I first got into her, a foreign audience also has started to slowly catch on. Now that tiny flame as turned into a full blown fire with her filling concert halls both domestic and abroad. A far cry from the cafe experience I may never experience again. Having only a guitar and an angelic

voice allows her mobility in the face of the rising costs of touring. It also allows her reach neither bands nor electronic musicians can ever have as she can perform literally anywhere. Similar to other outsider Japanese artists before her (Boredoms, Pizzicato Five, Haino Keiji, Melt Banana.....), Aoba has become increasingly embraced and supported by the international scene and Aoba herself likewise has embraced it warmly. This year sees her embarking on a tour worldwide packed with more dates than the majority of Jpop performers or bands ever perform.

This embrace of no borders has naturally encouraged her to broaden her sound and aesthetic. Her last major release Windswept Adan (2020) and this year`s Luminescent Creatures have found her surrounded by an assortment of backing musicians assembled for painting expressionist works unlike her raw beginnings of just straight to mic guitar and vocals with no additional effects. From her first release, each album cover literately was designed with just pastel colors (light blue, pink, vanilla, light green etc) and encased with music that was recorded as if on a cliff overlooking the sea or a quiet village somewhere in Gifu surrounded by rice fields. Just her and her guitar. Tempo, pacing and the acknowledgment of time totally free. Such was / is her charm. Aoba`s music exists beyond time and that relief is the golden treasure which binds her fans to her trajectory.

Luminescent Creatures, despite being somewhat marketed as an orchestrated album with the majestic single Luciferine, and the intro track COLORATURA, the album in reality is more of a retreat from the fuller more playful Windswept Adan. Luminescent Creatures feels at times not that far away from her first records in solitude. Definitely not folk

in concept, this is more a visual ambient record of a film never made. Windswept Adan was 14 tracks but Luminescent Creatures is 11 tracks with 2 mostly ambient tracks just at 1 minute long. A far cry from her 10 minute suites over 10 years ago. Aoba`s storytelling is ever present but subdued by the melancholic atmosphere. Indeed this is a very pretty album but also at times sad and shy. SONAR, FLAG, and maxamun are secret songs. Songs to keep your feelings safe in like a child would with their hidden thoughts on sticky folded paper stuffed in their hands or backpacks. Luminescent Creatures is saved from reaching too far into solitude though playing with fanciful nature in endearing songs like Pirsomnia and aurora. She finds a tranquil balance not allowing additional orchestration to dictate each song and this is exactly why the fantastical waltz chorus of Luciferine stands out so much. With much of the album wrapped in melancholy, Luciferine is the peak and center of the album. The song, begun wading in the luminescence that speaks of the album`s title, emits elegance and femininity beaming emerald light resembling the album cover. The regal brightness of the graceful delicate sound makes it one of the most beautiful songs she has ever written and holds court emotionally to similar triumphant but intimate works by artists like Sufjan Stevens, who was the first artist I thought of when experiencing the peaks and valleys of Luminescent Creatures. Sufjan Stevens`s Planetarium (2017) is definitely a companion album in scope, texture, intimacy, and boldness. Luminescent Creatures feels like a private moment with periods of outward courage. Now that Aoba has her feet wet with sound diversity, I look forward to an even more vivid display of creativity.

型破りの夜 - ele-king

 今年の2月のことである。Zoh Ambaはニューヨーク、ブルックリンの外れ──場所は〈Owl Music Parlor〉で演奏した。開演前、彼女と目が合った瞬間、なにかに見透かされたような気がして、私は思わず笑ってしまった。彼女は一言の躊躇もなく近づいてきて、「Zoh」と名乗った。短く、はっきりと。
 私は東京の音楽メディアで記事を書いていると告げ、編集者から「ぜひ彼女を見てくるように」と言われたことを伝えた。彼女はふっと笑い、少し首を傾けて言った。「サックスで知ったんだろうね」。その言い方には苛立ちと諦め、そしてある種の共感が同居していた。

 たしかに、彼女はサックス奏者だ。自由奔放で、制御不能で、神懸かりのように音を爆発させる──そんなZoh Ambaを私は想像していた。でもその夜、彼女が抱えていたのは、自分の身の丈ほどもあるアコースティック・ギターだった。楽器は違えど、そこにいたのはやはりZohだった。存在感は変わらない。むしろ、より剥き出しで鋭かった。
 オープニングはJohn Roseboro。バンドはなし。ギター一本と声。〈Owl〉の温かい照明の下で、彼のポスト・ボサノヴァ的なプレイが場をやわらかく包み込んでいく。彼の曲は短くて、静かで、驚くほど美しかった。なかでも“How to Pray”と“80 Summers”は、夜にふっと差し込む灯のようで、気がつけば私は、自分の呼吸が浅くなっているのを感じていた。彼は予定よりずっと長くステージに立ち続けた。ついにマイクに向かって尋ねる。「Zoh、もう来る? それとも、僕がもう少し?」
 Zohがステージに現れると、場の空気は瞬時に変わった。ギター、ベース、ドラム──トリオ編成。Zohはストラップをかけ、ギターの弦を強く弾き、叫ぶように歌った。黒のアイライナー、剃り上げた頭。まるで何かを拒絶するかのように。演奏されたのはすべてオリジナル。つい最近、友人と意見がぶつかったことから生まれた曲もあるという。コードは驚くほど単純で、しかし誠実だった。歌詞は詩のようで、“Give Me A Call”や“Child You’ll See”には、彼女の生き方そのものがにじみ出ていた。
 その夜のZoh Ambaは、アメリカーナの風景をまとっていた。ジョン・フェイヒーを思わせるギター、だがそこにはパンクの残響もある。言葉はまっすぐで、ときに観客にも突き刺さった。演奏の途中、席を立った数人に向かって、彼女は軽やかに皮肉った。「おやすみなさい。一番いいところを聴き逃しますね」

 彼女の歌声はときに外れた。ピッチも怪しい。でもそれは、不思議と心地よかった。侘び寂び、とでも言うべきか。不完全なものが持つ美しさ──それは、いまのアメリカでは失われつつある美学だ。ポップスターたちは、すべてをオートチューンに通し、25人のプロデューサーの手を経て完成品を届ける。2024年の選挙以降、シリコンバレーの影はさらに濃くなり、カルチャーさえも制御下に置かれていく。だがZoh AmbaとJohn Roseboroは、そんな回路を一切拒否していた。オートチューンもエフェクトもない。ただ楽器と声。アンプを少しだけ通して、それだけ。彼らはただ、そのままでここにいた。

 Zohはテネシーの山中で育った。森のなかでサックスを吹いていたという。バンジョーとアコースティック・ギター、アパラチアとスモーキー・マウンテン。彼女のルーツには、アメリカの本当の田舎がある。その風景は、2016年以降、政治的に嘲笑の的となってきた。“赤い州”──トランプ支持層──“アメリカの恥”。Zohの出自は、いまやアメリカでもっとも安全に非難できる対象に重なっている。

 それでも彼女は、その土地の音を否定しない。いや、むしろ正面から受け入れている。サックスを置き、ギターを選んだこと──それはただの音楽的選択ではなく、一種の声明だった。民謡的(フォーキー)な、政治の影をかいくぐるような、素朴で誠実な音。そこには、語られぬ抵抗のニュアンスがあった。演奏は政治的スローガンを掲げることもなかった。だがZohの音楽は、彼女自身のルーツをまっすぐに、誰にも媚びることなく肯定していた。

 そう、これはポスト政治でも無政治でもない。むしろ逆だ。彼女の音楽は、あまりに政治的になりすぎたこの国の風景に、あえて何も語らず立ち向かっていた。それはまるで、すべてを語り尽くした後の沈黙のように、重たく、美しかった。

最後にもう一度、彼女の言葉を──
 「そんな小さな心を抱えないで
  上からの声なんか気にしないで
  彷徨いなさい、子よ、君の住処を
  心がすべてを抱えているのだから」

Zoh Ambaは、どんなジャンルにも収まらない。どんな言葉でも彼女を定義できない。ギターを弾こうが、サックスを吹こうが、それは変わらない。〈Owl Music Parlor〉での夜は、そのことを静かに、しかし強く証明していた。

Outside the Box: An Evening with Zoh Amba on Acoustic Guitar
by Jillian Marshall

Zoh Amba performed at the Owl Music Parlor in Brooklyn, New York this February. The musician and I made eye-contact before the show started, and she immediately introduced herself to me. I told her I write for a music magazine in Tokyo, and that my editor recommended that I see check her out. She shook her head in a mix of what seemed to be frustration and understanding, and said that he must know her from her work on saxophone. She was right, although at The Owl she was playing guitar: an instrument nearly as tall as her. But this isn’t to say that she didn’t have a large presence. From that first interaction to the hug she gave me after the show as I was leaving, I was impressed with her honest, no-nonsense attitude that — yes— has defined her both sound as a free-jazz tenor saxophonist and her work on guitar.
Fellow guitarist John Roseboro opened for her, playing solo without his usual backing jazz combo. His beautiful post-Bossa Nova playing and singing cast a gentle glow over The Owl’s cozy atmosphere, and his original pieces (like the stunningly gorgeous “How to Pray” and “80 Summers”) were like delicious little lullabies. Zoh Amba was set to play forty five minutes later, but after an hour of playing John asked into his microphone: “Zoh, when are you coming on? Should I keep playing?”
When Zoh did come on, the established mood gave way to something more charged. Playing in a trio with a bassist and a drummer, Zoh strummed and picked her acoustic guitar while belting into the microphone with her signature black eye-liner and shaved head. Her set was comprised of all originals, some nearly brand new— like one, she explained, that was inspired by disagreement with a friend from just a few weeks prior. The chords were simple and beautiful, and her lyrics (like on “Give Me A Call” and “Child You’ll See”) were poetic homages to authentic living. Although her sound on guitar that night was very folksy — sounding at times like American roots guitarist John Fahey — it retained an avant-garde, anti-establishment, punk- adjacent sensibility... especially since she playfully heckled a few people who got up to leave in the middle of her performance: “Hey, have a good night, but you’re missing out on the best part!”
Perhaps it’s because of her performance’s rawness. At times, her singing was pitchy and even out of tune, yet it was undeniably pretty in a wabi-sabi sort of way. There’s something refreshing— and perhaps even resistance-coded — about human beings making music with instruments and real, unfiltered voices. This is particularly true in today’s America (and world), where pop stars run everything through auto-tune as per the direction of twenty-five producers in a studio, and the presence of tech oligarchs has looms larger than ever since the 2024 election. But Zoh Amba and her guitar (as well as John Roseboro, for that matter) have no such meddling: no autotune, no production affects, no mediation besides some light amplification. They simply show up, and grace the audience with their pure artistry.
Zoh Amba grew up in the mountains of Tennessee, and is famously quoted as saying that she practiced her tenor saxophone in the woods. The thing about Tennessee— a rural state famous for the Appalachian and Smokey Mountain Ranges, as well as American folk music with its banjos and acoustic guitars— is that it’s also a red (republican-leaning) state. Americans associate red states, particularly since Trump’s first election in 2016 when the US’s political divide became officially cataclysmic, with backwater hicks: bad, racist white people who are responsible for America’s political embarrassments. And as I’ve written before, this is the one group in America it remains entirely politically correct (or perhaps even encouraged) to rip apart.

So Zoh Amba putting down the saxophone and picking up the guitar— something she seemed adamant about defending when we chatted before the show— seems somehow political to me. The music she played at The Owl Music Cafe wasn’t necessarily revolutionary in the way of her free jazz on saxophone. But its simplicity, and the authenticity with which she played, were both stirring and provoking. Although her set didn’t reference contemporary American politics or the ways in which rural America is disenfranchised, her set at The Owl Music Parlor seemed like an expression of her heritage: a celebration of those pre-political, beautiful, natural aspects of American folklore, complicated though Americana may be. Ultimately, her set reminded me of how important it is to remember that government is not representative of people, of heart, of culture. As she sang out on “Child You’ll See”, “To carry around such a little mind / Don’t listen to those folks above, just wander child in your abode / The heart is the center, it holds it all.”
Zoh Amba can’t be put in a box, no matter what she plays. Her show at The Owl Music Parlor was a testament to that.

Golem Mecanique - ele-king

「私たちは、皆、危険にさらされている」
 ピエル・パオロ・パゾリーニが最後のインタヴューで残した言葉だ。まもなく、彼はローマ近郊のオスティア海岸で暴行され、車で轢かれ命を落とすことになる。この謎めいたフレーズに触発され、フランスのドローン・アーティスト、ゴーレム・メカニック(カレン・ジェバン)はアルバム『Siamo tutti in pericolo』を制作した。タイトルはそのまま、「私たちは、皆、危険にさらされている」という意味を持つ。カレン・ジェバンがパゾリーニに出会ったのは14歳のとき。『アッカトーネ』(1961)、『テオレマ』(1968)を観て衝撃を受けた。静かな暴力、エロスと欲望、生々しい美学、神話的なモチーフ、そして怒り――そのすべてが彼女の内面に刻まれた。それ以来、パゾリーニの映画は「人生の伴侶」となった。

 カレン・ジェバンは、ドローン・アーティスト、ヴォーカリスト、実験音楽家として活動する一方、スイスの45人編成の音楽集団 Insub Meta Orchestra の一員でもある。ゴーレム・メカニック名義では2009年頃から音源を発表しており、2020年の『Nona, Decima et Morta』以降はスティーヴン・オマリー主宰のレーベル〈Ideologic Organ〉からリリースを続けている。本作は、2021年の『Luciferis』に続く、同レーベルからの3作目となる。
 2020年、パンデミックの最中のことだ。緊急事態宣言下、自室に籠もりながら聴いたオルガン、ハーディ・ガーディ、声によるドローン・サウンドは、私を深い瞑想状態へと導いてくれた。そのサウンドには、瞑想的でありながら儀式的でもあった。近代化によって切り捨てられてきた「音楽の魔術性」が蘇るようでもある。近代への抵抗――、地中海フォークとドローンの融合から生まれるサウンドスケープは、感情と無感情、ノイズと音楽、魔法と現実、フォークとフランス近代音楽が静かに共存していたのだ。

 『Siamo tutti in pericolo』でも、カレン・ジェバンはオルガン、ハーディ・ガーディ、ヴォイスといった楽器を駆使し、従来の作風を継承している。ただし、本作が特別なのは、敬愛するパゾリーニの “言葉” そのものをモチーフにしている点にある。サウンドは、過去作よりも整理され、簡潔に、そしてより豊潤に。ドローンを土台にしながらも、儀式性がより強調された印象がある。それはまるで、パゾリーニの「最後の言葉」を媒介に、その精神と幽霊を召喚しようとする試みに思える。カレンはレーベルのインフォメーションでこう記している。「私は、暗闇の中で見通す目になりたかった。彼の最後の昼と夜を語る声、記憶を呼び覚ます幽霊に」

 このスタンスは、あえて言うなら「スピリチュアル」だろう。しかしそれは、近代が排除してきた “残滓” であり、「抑圧されたものの回帰」でもある。無慈悲な死への救済――それは決して実現しない祈りであっても、捧げることはできる。ドローン音楽の瞑想性には、近代以前の “精神” への回帰がある。ゴーレム・メカニックの音に包まれていると、そんな感覚が静かに満ちてくる。今作では、過去作以上に「声=歌」の役割が大きい。ドローンとヴォーカルの鋭い対比により、私などは初聴で90年代以降のスコット・ウォーカー作品を思い出した。特に、彼とSunn O)))による『Soused』(2014)を連想したほどだ。実際、カレン自身も本作について「マリア・カラスとスコット・ウォーカー」の名を挙げている。

 収録は全6曲、計36分。短いが、密度は高い。1曲目 “La Notte” では、硬質なドローンと声が絡み合い、聴き手を現実の外へと誘う。続く2曲目 “Il giorno prima”、3曲目 “Teorema” もその延長線上にある。4曲目 “Il giorno” では、持続音が切れるとアカペラに移行する。その “空白” が際立ち、やがて高音のドローンが訪れる。和声感覚にはフランス近代音楽――ドビュッシーやラヴェルを思わせる浮遊感があり、前半のプリミティヴな儀式性が、20世紀初頭の音響へと移行する。その構成は見事だ。5曲目 “La tua ultima serata” は、前曲の余韻を引きずりながら、感情を排した硬質なドローンが支配する。そこに薄くレイヤーされる声が、やがて “歌” に変わっていく。アルバム前半への回帰だ。そして最後の6曲目 “Le lacrime di Maria” では、再びドローンにカレンの声が重なるが、今回はまるで讃美歌のように透明な響きを持つ。それは、パゾリーニの魂を浄化するようでもある。パゾリーニの「魂」と、カレン・ジェバンが「対話」をするような音楽作品とでもいうべきか。

 「私たちは、皆、危険にさらされている」パゾリーニが語った言葉であり、本作のタイトルでもある。だが2025年のいま、それは彼の死を越えて響く。戦争の暴力、ネット上の言説の混迷、身体と精神への静かな圧力……。私たちは、確かに “危険な時代” を生きている。けれどこのアルバムは、不安を煽るための作品ではない。その言葉の奥にある “祈り” の気配を、静かに響かせる音楽でもある。カレン・ジェバンはこう書いている。
 「私はただ、彼の遺体が、あの冷たい浜辺にひとりで横たわらないことを願った」

downt - ele-king

 昨年ファースト・フル・アルバムをリリースした東京のオルタナティヴ・ロック・バンド、downt。まもなくWWWでのワンマン公演(すでに売切)を控える彼らから、2025年一発目のニュー・シングルの到着だ。題して「AWAKE」。6/27より公開される映画『YOUNG&FINE』の主題歌にもなっているとのこと。チェックしておこう。

映画「YOUNG&FINE」主題歌、downtの2025年初となるブランニューシングル「AWAKE」本日より配信スタート!

6/27より公開の映画『YOUNG&FINE』(原作:山本直樹/監督:小南敏也/脚本:城定秀夫/出演:新原泰佑、向里祐香、新帆ゆき他)の主題歌に決定した本作シングル「AWAKE」。
削ぎ落とされたサウンドながら、メロディアスで高揚感のある曲調は、シンプルな毎日に生々しく響き、“はじまりつつある何か”を予感させる一曲に仕上がっている。

また、今週末4月26日には渋谷WWWにて、自身初となるワンマン公演を開催。チケットはすでにSOLD OUTとなっている。オルタナ、ポストロック、エモなどの枠には収まらず、風通し良くジャンルの境界線を越え着実に広がり続けるdownt。そのさらなる進化から今後も一瞬たりとも目が離せない!!


【AWAKE - Streaming / Download】
https://p-vine.lnk.to/OfwRyN


2025年6月27日(金)新宿武蔵野館他全国順次公開!
『ビリーバーズ』のカリスマ漫画家・山本直樹の傑作青春漫画を、 新原泰佑主演で奇跡の実写化!!

映画『YOUNG&FINE』
原作:山本直樹
脚本:城定秀夫
監督:小南敏也
出演:新原泰佑、向里祐香、新帆ゆき他
主題歌:downt「AWAKE」(P-VINE RECORDS)


【公演情報】
SOLD OUT
■downt "LIVE"
アーティスト:downt
公演タイトル:LIVE
開催日程:4/26(土)
開場/開演:18:15/19:00
会場:渋谷WWW

企画/制作:downt / SMASH CORPORATION
お問い合わせ:スマッシュ 03-3444-6751 www.smash-jpn.com

downt:
https://linktr.ee/downtjapan

Knxwledge & Mndsgn - ele-king

 現代〈Stones Throw〉を支える2アーティスト、ノレッジとマインドデザインが揃って来日を果たす。6/7の東京公演を皮切りに、福岡(6/13)、大阪(6/14)、名古屋(6/15)をまわります。STUTS&KM&ISSUGI(東京)、OLIVE OIL(福岡)、MURO(大阪)と、各地で強力な出演者も決定。これは行くしかないでしょう!

KNXWLEDGE + MNDSGNによる
〈Stones Throw〉ジャパンツアー2025(6月)
東京公演の国内出演アーティストが発表
大阪に続き、福岡・名古屋公演も開催決定
STUTS|KM|ISSUGI(東京)
MURO(大阪)、OLIVE OIL(福岡)らが出演

STONES THROW JAPAN TOUR 2025
KNXWLEDGE | MNDSGN

presented by CARHARTT WIP

6.7(Sat)Tokyo 東京 @ O-East (Midnight East)
6.13(Fri)Fukuoka 福岡 @ THEATER 010
6.14(Sat)Osaka 大阪 @ JOULE
6.15(Sun)Nagoya 名古屋 @ JB'S

LA発―世界最高峰のインディレーベル〈Stones Throw〉から、2大アーティスト―KNXWLEDGE(ノレッジ)とMNDSGN(マインドデザイン)が揃ってジャパンツアーを開催。6月7日(土)東京公演 @ Spotify O-EAST「MIDNIGHT EAST」の国内の出演者が本日発表、さらに大阪に続き、福岡、名古屋公演の追加公演の開催も決定した。

アンダーソン・パークとのユニット: NxWorries(ノーウォーリーズ)でグラミー賞を受賞したばかりのヒップホップ・ビートメイカー:ノレッジ。マッドリブやJ.ディラを継承するヒップホップ・ビートメイキングで、ケンドリック・ラマー、ジョーイ・バッドアス、アール・スウェットシャツなど数多くのアーティストたちにもビートを提供してきた、現LAシーンを代表するアーティストだ。

そして、ビートメイキングから鍵盤や歌もこなすLAシーン屈指の多才アーティスト:マインドデザインは、ヒップホップをベースにディスコ、ブギー、R&Bなど多様なエレメンツを織り交ぜたオリジナルなスタイルで現在のLAビートシーンを牽引する最注目アーティスト。フライヤーのアートワークはMndsgn自らが手がけた特別仕様となる。このツアーでは、シーンの最前線で活躍する2人のエクスクルーシブな音源が多数披露される予定。

東京公演には、Stones Throwに所縁のある国内の実力派アーティストたちが集結。STUTS、KM、 ISSUGI & GRADIS NICE、ZEN-LA-ROCK、仙人掌のDJ名義DJ SLOWCURVらがラインナップに。

大阪公演にはDJ MUROがゲスト出演。福岡公演にはOLIVE OIL × POPY OILが出演決定。

Carhartt WIP x Stones ThrowのコラボTシャツが会場限定で販売予定だ。
東京公演では、パーティーを彩る、モンキーショルダーのスペシャルなドリンクも販売決定。

LAの空気を日本で堪能できる、貴重な一夜をお見逃しなく。

Don't miss Stones Throw's very own Knxwledge and Mndsgn's Japan Tour

June 7(Sat) Tokyo @ O-EAST (MIDNIGHT EAST)
June 13(Fri) Fukuoka @ THEATRE 010
June 14(Sat) Osaka @ JOULE
June 15(Sun) Nagoya @ JB’S

Fresh off a Grammy win as one half of NxWorries (alongside Anderson .Paak), hip-hop beatmaker Knxwledge! And one of LA’s most versatile artists, Mndsgn, who seamlessly blends beatmaking with keys and vocals!

With an exclusive collaboration with Carhartt WIP also in the works, this will be a truly special tour!

Knxwledge, a defining figure of LA’s current scene, carries the legacy of Madlib and J Dilla in his hip-hop beatmaking. He has crafted beats for the likes of Kendrick Lamar, Joey Bada$$, and Earl Sweatshirt. And Mndsgn, who is at the forefront of the LA beat scene, blending hip-hop with disco, R&B, and other eclectic elements creating a signature sound.

Expect an exclusive showcase of new material from these two trailblazing artists. Plus, top-tier domestic artists will join in - STUTS, KM and more for Tokyo show, DJ Muro for Osaka show and Olive Oil for Fukuoka show.

Limited-edition Carhartt WIP x Stones Throw collaboration T-shirts will be available exclusively at the venues.

Experience LA’s vibrant energy in each city of Japan.

東京 TOKYO Event Info

STONES THROW x MIDNIGHT EAST presents
KNXWLEDGE & MNDSGN
Live in TOKYO
supported by CARHARTT WIP

2025.6.7(SAT) June 7th
at MIDNIGHT EAST (Spotify O-EAST & AZUMAYA)

【 O-EAST 】
KNXWLEDGE (NxWorries | Stones Throw | LA)
MNDSGN (Stones Throw | LA)
LIVE : ISSUGI & GRADIS NICE | STUTS
DJ : KM | ZEN-LA-ROCK

【 AZUMAYA 】
DJ : DAH-ISH | 凸凹。| DJ SLOWCURV | GRADIS NICE | WATTER

【 EAST 3F 】

DJ Dreamboy | DJ KENTA | 原島"ど真ん中"宙芳 | 矢部ユウナ & more

*Lineup-AtoZ-

OPEN/START: 24:00
ADV ¥4,000 | DOOR ¥4,500 | Under23 ¥3,500

Support : MONKEY SHOULDER

EVENT PAGE: https://shibuya-o.com/east/schedule/0607-stonesthrow/

Tickets available at
Zaiko
RA
e+

INFORMATION:
Spotify O-EAST 03-5458-4681
https://shibuya-o.com/east/club/
NOTES:
※ドリンク代別途必要。
※U23チケットは当日券のみの販売になります。(要顔写真付き身分証明書。)
※20歳未満入場不可。(要顔写真付き身分証明書。)
※出演者は予告なく変更になる場合がございますので、予めご了承ください。
※客席を含む会場内の映像・写真が公開されることがあります。
※ 1 Drink fee will be charged upon arrival.
※Under23 tickets are only available on the day of the event. (Photo ID required.)
※ Must be 20 or over with Photo ID to enter.
※Please note that the performers are subject to change without notice.
※Please be aware that videos and photos during the event, including the audience , may be released.

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