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Home >  News > Charles Burnett - ——3月の連休には、アメリカでもっとも知られていない偉大な映画監督の作品上映会がある

Charles Burnett

Charles Burnett

——3月の連休には、アメリカでもっとも知られていない偉大な映画監督の作品上映会がある

Mar 08,2022 UP

 数年前、『ノーザン・ソウル』を日本で初めて上映させてくれた自主上映グループ〈After School Cinema Club〉が3月19日、20日の2日間にわたって、アメリカの独立系映画監督チャールズ・バーネットの2作品、 『キラー・オブ・シープ』と『マイ・ブラザーズ・ウェディング』を渋谷のユーロライブにて開催上映する。どちらも日本では初上映になる。

 ミシシッピで生まれ、ロサンゼルス・ワッツ地区で育ったチャールズ・バーネットは、1960年代後半から70年代にかけてのブラックパワーの時代にUCLAで映画制作を学んでいる。そして在学中に「L.A. Rebellion」と呼ばれるインディペンデント映画監督グループの一員として、ハリウッド映画とは異なる新しい「黒人映画」 を模索した。
 約半世紀にわたるキャリアを通し一貫してアメリカ黒人の経験を描き続けてきたバーネットの作品は、人種や階級に対する鋭い観察眼をもって描かれたネオリアリズム作品として再評価され、2017年にはアカデミー名誉賞を受賞している。

 BLMによってブラック・カルチャーや人種問題に感心が高まっている現在、まさに待望の上映と言えるだろうが、そうした註釈が不要なほど、感動的な人間ドラマでもある。この機会をお見逃しなく。

■This is Charles Burnett
チャールズ・バーネット セレクション vol.1

2022年3月19日(土)・20日(日)
【会場】 ユーロライブ(渋谷区円山町1-5 KINOHAUS 2F)
【タイムテーブル】

3/19(土)
13:30 開場
14:00『キラー・オブ・シープ』
15:45『マイ・ブラザーズ・ウェディング』

3/20(日)
13:30 開場
14:00『マイ・ブラザーズ・ウェディング』
15:45『キラー・オブ・シープ』
*両日とも各作品入替制
【チケット(1作品)】
学生 1,500円 / 一般 1,800円 / *応援料金2,200円
*After School Cinema Clubでは、今後もバーネット作品を広く紹介していきたいと考えています。
これからの展開のために、賛同してくださる皆さまに「応援料金」(一般鑑賞料+応援料400円)を設けました。

*チケットはPass Marketにて2発売
passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/02ykegz3k1721.html

【公式サイト】 afterschoolcinemaclub.com/charlesburnett/
【予告編】 https://youtu.be/ScixblKknAE

『キラー・オブ・シープ』 ★日本初上映
1977年/アメリカ/81分/スタンダード/B&W/モノラル/原題:Killer of Sheep
【監督・脚本・製作・編集・撮影】チャールズ・バーネット
【出演】ヘンリー・ゲイル・サンダース、ケイシー・ムーア、チャールズ・ブレイシー、アンジェラ・バーネット
メランコリーとユーモア、絶望と希望ー スクリーンに映し出されることのなかった都市部のゲットーに住むアフリカ系アメリカ人の生活を、 鋭い洞察力をもって描いた「アメリカ・ネオリアリズムの傑作」

[ストーリー]
ワッツ暴動(1965)の爪痕が残る、1970年代初頭のロサンゼルス・ワッツ地区。妻と二人の子供を養うスタンは羊の屠殺場で働いているが、日々の労働と貧困により肉体的にも精神的にも疲れ果てている。夜も眠れず自分の殻に閉じ込もるスタンとの関係を、妻は思い悩む。貧しさに気づかないまま無邪気に遊ぶ子供たちも、いつかは大人になることを学ばなければならないー。

[プロダクションノート]
UCLA映画学部の大学院生だったバーネットの卒業制作にして初長編作。「私が知っている人たちについての映画を作りたかっ た」と語るバーネットが、わずかな予算で、大学から借りてきた機材を使い、身近な人々を中心とした素人のキャストを集めて 自身の地元ワッツで撮影。都市に暮らすブルーカラーの黒人たちの日常生活は、ハリウッド映画ではほとんど描かれることがな く、題材そのものが画期的であった。主観を排したドキュメンタリー風のスタイルは、ロベルト・ロッセリーニ監督『戦火のか なた』や、ヴィットリオ・デ・シーカ監督『自転車泥棒』などのイタリア・ネオリアリズム映画を引き合いに、批評家から高く 評価された。アフリカ系アメリカ人の音楽の歴史を表現するため、劇中ではポール・ロブソン、ダイナ・ワシントン、アース・ ウインド&ファイアーなど、様々なジャンル、時代の音楽が使用されている。音楽著作権の問題で長い間劇場公開されなかった が、2007年にスティーブン・ソダーバーグ監督の協力を得たマイルストーン・フィルム社が音楽著作権問題を解決したことによ り、初上映から30年を経て、本国アメリカでようやく劇場公開が実現した。

[主な受賞歴など]
▪1981年ベルリン国際映画祭 国際批評家連盟賞
▪1982年サンダンス映画祭 審査員大賞
▪1990年アメリカ議会図書館 「国立フィルム登録簿」登録
▪2002年全米映画批評家協会「史上最も重要な映画100本」選出
▪2007年ニューヨーク映画批評家協会賞 特別賞

『マイ・ブラザーズ・ウェディング』 ★日本初上映

2007年/アメリカ/82分/スタンダード/カラー/原題:My Brother’s Wedding
【監督・脚本】チャールズ・バーネット
【製作】チャールズ・バーネット、ゲイ・シャノン・バーネット
【編集】トーマス・M・ペニック
【編集総責任】チャールズ・バーネット
【編集(2007年)】チャールズ・バーネット、エド・サンティアゴ
【出演】エヴァレット・サイラス、ジェシー・ホルムス、ゲイ・シャノン・バーネット、ロナルド・E・ベル
*1983年制作のロングヴァージョンを2007年に再編集した「ディレクターズ・カット版」を上映

滑稽かつ哀切な、時代を超越した青春譚 「黒人のゲットーでの生活を描いたこれほどの作品を、私は未だかつて観たことがない」
ージョナサン・ローゼンバウム

[ストーリー]
30歳のピアースは、両親が営むクリーニング店で将来の見通しが立たないまま働いている。少年時代の仲間は刑務所にい るか、もしくは既に死んでしまった。弁護士として成功した兄は高慢な中産階級の女性との結婚準備に忙しく、敬虔なク リスチャンの母親は兄の結婚に浮き足立っている。そんな中、ピアースの親友ソルジャーが刑務所から出所する。大人になりきれないピアースは、家族への義務感と親友への忠誠心との間で引き裂かれる...。

[プロダクションノート]
『キラー・オブ・シープ』同様、ワッツに住む黒人労働者階級の生活を活写した悲喜劇。家族と悪友との間で揺れる主人公を 通して、黒人コミュニティ内における階級の複雑さを描く。バーネットの意に反して未完成のラフカット版が映画祭に出品され てしまい、そこで酷評されたためほとんど配給されずに終わるという不幸な運命を辿った。2007年にアメリカで『キラー・オ ブ・シープ』と再上映された際に、バーネットと編集者が115分から82分に再編集した「ディレクターズ・カット版」が実現。 あるべき姿で日の目を見ることとなった。

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