Home > News > Mike Nogami『METROSCAPE』 - ──『風街ろまん』のジャケ写を撮った写真家、野上眞宏の写真展でフィルムのすごさを再確認
野上眞宏……『風街ろまん』ジャケット用写真や『HOSONO HOUSE』をはじめ、サディスティック・ミカ・バンドや大瀧詠一ほか、YMOのニューヨーク公演など、日本のロックの黎明期である60年代末から70年代の数々のエポックメイキングな作品や現場で撮影をしてきた超ベテランの写真家。1970年代には渡米し、数年間現像所で働きながら撮影したりと、ある意味ビートニクな生き方をしつつ活動してきている。そんなレジェンド級の写真家がいま渋谷で写真展を開いているのだが、これがすごく面白いので紹介します。
今回の写真展「METROSCAPE」は、2001年から2005年までのニューヨーク(つまり9.11以降のNY)の風景を、8×10のフィルムカメラで撮影した作品が展示されている。「8×10」といってわかる人は昔ながらの編集者かよほどの写真好きになってしまうだろうけれど、20cm×25cmのもっとも大判のフィルムを使った、フィルムカメラの最終到達地点とも言われる超高画質な作品を可能にする、古くて優れた代物である。外に持ち運ぶの決して楽ではないこの大型フィルムカメラによる風景写真は、あらためてデジタルが現実をそっくりに模造することに対して、フィルムが、ベンヤミンのいうように「視覚の無意識」さえも写すことを立証している。いや、ほんと、展示されている大きく引き伸ばされた作品をぜひ見てください。街のぬくもりやそのにおいさえ感じます。写真展は、9月3日まで開催。発見が待ってます。なお、写真集『METROSCAPE / New York City 2001-2005』はOSIRISから絶賛発売中。
■展覧会
METROSCAPE
開催期間:2023年8月22日(火)~9月3日(日)
開催時間:11:30 – 19:00(最終日9/3は17:00まで)
休廊日:8/28(月)
場所:Gallery LE DECO(ギャラリー・ルデコ)
〒150-0002東京都渋谷区渋谷3-16-3 髙桑ビル
https://ledeco.net/?p=19425
■写真集
METROSCAPE / New York City 2001-2005
120 pages, 252 x 279 mm, hardcover.
Japanese and English texts.
Publish August 21, 2023 by OSIRIS Co., Ltd.
Mike Nogami – 野上眞宏
www.mikenogami.com
写真評論家、飯沢耕太郎氏とのトークショウ
@METROSCAPE写真展会場内、
ギャラリー・ルデコ 渋谷区渋谷3-16-3高桑ビル4階
8月26日土曜日17時から19時
入場無料
【野上眞宏】
1947 年東京生まれ。1970年立教大学社会学部卒業。1971年に鋤田正義事務所でアシスタントをつとめ、翌年からフリーランスの写真家となる。1974年に渡米、ロサンジェルスに住む。東海岸に移り、ワシントンD.C.、ヴァージニア州アーリントンに住んだ後、1978年、ニューヨークに転居。1985年、グリニッジヴィレッジで写真ラボを開業、1994年まで営業した後日本に帰国。2000年にふたたびニューヨークに戻り、2015年に帰国。現在東京在住。これまでに数多くの個展を開催.。主な著書に『New York-Holy City』(美術出版社/1997)、『Snapshot Diary』(二分冊/ブルースインターアクション/2002)、『Mike Nogami’s Snapshot Diary』(iPADアプリ/2014)、『Shibuya 1999』(Zen Photo Gallery/2016)、『Blue: Tokyo 1968-1972』(Osiris/2018)『ゆでめん』(ミュージック・マガジン社/2021)、『1978アメリカーナの探求』(Osiris/2022)。mikenogami.com