Home > News > Felix Kubin - ——ドイツ電子音楽界における鬼才のなかの鬼才、フェリックス・クービンの若き日の記録がリイシュー
フェリックス・クービンのルックスを見た誰もが思うことだが、一時期の彼はまるで『マンマシーン』時代のクラフトワークのメンバーに紛れていても違和感がない。あるいは、一時期の彼は東ドイツの面影がどこか漂っているが、彼はハンブルク生まれである。フェリックス・クービンに関してまず言われることは、「彼はノイエ・ドイチェ・ヴェレ」より15年遅く生まれた、ということである。そう、遅かったNDW。11歳の少年がラジオから流れるレジデンツのアルバムを録音し、何度も繰り返し聴いている姿を想像してみて欲しい。13歳の少年がホルガー・ヒラーやデア・プラン、DAFに心酔し、自らも電子音楽家として作曲し、ステージに立ち、演奏をはじめる。ホルガー・ヒラーがサンプリングしたリゲティ、ショスタコーヴィチ、ヴァレーズを調査し、ノーノ、クセナキス、シュトックハウゼンを聴き漁る。ダダイズムやマン・レイの美学を取り入れ、そこにアナキズムと共産主義を合成する。クービンは90年代末からまったく時代のトレンドとは合致しない作品を出していく。ちなみに98年に設立した彼のレーベルは〈ガガーリン〉といって、これは「世のなかの嫌なことに反対するのではなく、衛星になれ。地球と一緒に飛ぶ。パラレルな別の人生を生きているんだ」という意味が込められている。
さて、そんなドイツの天才児、鬼才のなかの鬼才はゼロ年代以降、ばしばしと奇妙な前衛テクノ・ポップ作品を出していくのだが、ここのディスクグラフィーはいまは省略する。というのも、このニュース原稿は、小柳カヲルによる新潟の〈Suezan〉レーベルがこのたび、クービンの少年時代の2枚のアルバムをリイシューしたことを知らせるために書いているのだ。
クービンは、「元天才児」という言葉も、よく言われている。今回の2枚は、「現役天才児」だった時代のもので、ドイツが生んだ、このとんでもないオタクの初期衝動のすごさを見せつけている。すべての電子音楽ファンよ、フェリックス・クービンを聴かずして、テクノを語るなかれ。
フェリックス・クービン
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