ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Columns 大友良英「MUSICS あるいは複数の音楽たち」を振り返って
  2. 別冊ele-king 音楽が世界を変える──プロテスト・ミュージック・スペシャル
  3. Milledenials - Youth, Romance, Shame | ミレディナイアルズ
  4. Loraine James ──ロレイン・ジェイムズがニュー・アルバムをリリース
  5. Dolphin Hyperspace ──凄腕エレクトリック・ジャズの新星、ドルフィン・ハイパースペース
  6. KMRU - Kin | カマル
  7. Squarepusher ──スクエアプッシャーのニュー・アルバムがリリース
  8. 坂本慎太郎 - ヤッホー
  9. DADDY G(MASSIVE ATTACK) & DON LETTS ——パンキー・レゲエ・パーティのレジェンド、ドン・レッツとマッシヴ・アタックのダディ・Gが揃って来日ツアー
  10. Deadletter - Existence is Bliss | デッドレター
  11. interview with Autechre 来日したオウテカ──カラオケと日本、ハイパーポップとリイシュー作品、AI等々について話す
  12. ele-king Powerd by DOMMUNE | エレキング
  13. HELP(2) ──戦地の子どもたちを支援するチャリティ・アルバムにそうそうたる音楽家たちが集結
  14. ロバート・ジョンスン――その音楽と生涯
  15. Jill Scott - To Whom This May Concern | ジル・スコット
  16. Free Soul × P-VINE ──コンピレーション・シリーズ「Free Soul」とPヴァイン創立50周年を記念したコラボレーション企画、全50種の新作Tシャツ
  17. Flying Lotus ──フライング・ロータスが新作EPをリリース
  18. Cardinals - Masquerade | カーディナルズ
  19. Laraaji × Oneohtrix Point Never ──ララージがワンオートリックス・ポイント・ネヴァーの来日公演に出演
  20. R.I.P. Steve Cropper 追悼:スティーヴ・クロッパー

Home >  Reviews >  Album Reviews > Genesis Hull- Who Feels It, Know It

Genesis Hull

AmbientDub

Genesis Hull

Who Feels It, Know It

Duppy Gun Productions

倉本諒   Nov 21,2014 UP

 どうやら調子に乗って遊びすぎたら3度めのギックリ腰をやってしまったようだ。貧乏がたたって機材をだいぶ売り払ってしまったので演奏に持ち出す量は減ったものの、やはり重いモノを持ち運ぶ動作は肉体に蓄積してゆく。でもやっぱPCでライヴは嫌だからね〜などと言う人もいるが、自分は微塵もそうは思ってはおらず、むしろ超高価で巨大な機材を用いてクソのようなライヴをおこなう連中いるし、ゴミのような機材で最高のライヴをおこなう連中もいる。PCでの素晴らしいライヴもあり、またその逆もあるのだ。自分のPCのHDはつねにポルノでフルであり、DAWソフト等を開くことすら不可能であるだけである。

 俺の理想はバックパックでメキシコまでバイクでツアーだぜ! と語るアレックス・グレーが羨ましい。PCと安物のMIDIコンだけでここまで狂ったサウンドを演奏するグレーのライヴは最高に身軽である。しかし、“軽やかさ”はグレーにとってとても重要なように思える。
 ドリーム・カラー(Dream Colour)、ディープ・マジック(Deep Magic)、ヒート・ウェーヴ(Heat Wave)とさまざまな名義で出没し、LAアンダーグラウンドのボーダーを曖昧にしながらサン・アロー(Sun Araw)でキャメロン・スタローンをサポートするグレーの活動は、元気いっぱいだけど飽きっぽい子どものようでもあるし、それぞれで非常にドープなサウンドを奏でながらもその響きに悲壮感はいっさいなく、まるでさまざまなモノを摂取して強引に増幅させたような多幸感に満ちている。イケメンなどで女の子にもモテるので、見た目の雰囲気もかなり軽い。

 ダブルLP、マルチプライ(Multiply)をリリースしたばかりのキャメロン・スタローンとゲド・ゲングラス、アレックス・グレーにアーロン・コイエ(ピーキング・ライツ)、マシューデイヴィッドにブッチー・フーゴによるダブ・プロダクションであるダピー・ガンから、アレックスのD/P/Iの変名(もういい加減にしてくれ……)、ジェネシス・ハル(Genesis Hull)によるタガの外れたクッソドープなミックスが届いた。

 D/P/Iのサウンドが持つとっつきにくいグルーヴはわれわれを簡単に踊らせてはくれないにもかかわらずダンス衝動を感じずにはいられない。日常におけるくだらない瞬間をコンクレートしながら、ジャングル以降の極端なエディットでもって透き通るような混沌──という矛盾サウンド──を創り上げるグレーのD/P/Iによるこのミックスは、彼のブレイクを確実に後押しするだろう。これがメガ・ハイってやつだな。アレックス・グレー、ついにお前の時代が来たようだな。

倉本諒