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DJ Purple Image

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Matthewdavid

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Leaving

倉本諒   Jul 08,2013 UP

 疑う余地もなく今月もっともホットなLAからの2リリースが到着。

 会うたびにいろんな意味で目ツキがヤバくなっている気がしなくもないアレックス・グレイ(Alex Grey)はLAのアンビエント・ハウス(紙ele-king参照)の住人のなかでもっともお調子者キャラを炸裂させている。彼もプレイするサン・アロー・バンド(Sun Araw Band)でお馴染みのキャメロン・スタローンズ(Cameron Stallones)のニタニタ笑い、猫背、マシンガン・トークも強烈だがアレックスのヘラヘラ笑い、常時ハイテンション、マシンガン・トークも強烈である。サン・アローはサウンドのみならずクレイジーなバンドであると断言しよう。
 アレックスほど数々の名義で活動するアーティストも珍しい。三田氏が大絶賛する彼の最新プロジェクト、DJパープル・イメージはフィールド・レコーディング、サンプリング、ソフトウェア・シンセジスをコラージュする実験音楽だ。ディープ・マジック(Deep Magic)のオーガニック・アンビエント、ヒート・ウェーヴ(Heat Wave)での妙チクリンなヒップホップ・トラックにも共通する彼の作風、潔く迷いが無いシンプルな構成はDPIにおいてもっとも輝きを放っている気がしてならないのだ。
 同居人であるショーン・マッカンやマシュー・サリヴァンたちの影響によるミュージック・コンクレートへの傾倒がDPIの動機になったであろうことは明らかであり、ゆえに僕はクリエイティヴ・コミューンの素晴らしさを見いだしてしまうのだ。
 でもエスプレッソ・ディジタルって......。

 そもそもアレックスやキャメロンのサン・アロー、キャメロンとゲドのダピー・ガン、マシューデイヴィッドやディーバたちに強く結ばれる熱きLA愛は地元に広く受け入れられているようだ。〈ダブラブ〉と〈ロー・エンド〉、それからストーンズ・スローも巻き込み、拡大を続けている。僕には彼らの音楽遍歴において何度めかの大きな波が押し寄せていることを確信している。

 マシューデイヴィッドの、彼自身の〈リーヴィング〉からひさびさのリリースとなる(『Disk II』以来?)は43分の長編アンビエント。
 はっきり言おう。これは大作である。同じく完全なアンビエント作品であったエクヘインからのデスティンでのダークな世界観とは真逆の、終始多幸感に満ち満ちたメディカル・ウィード級ストーナビエント。ディーヴァ(元ポカホーンテッド)との昨年の素晴らしいセッションも収録。ビートメイカー、マシューとしても学生時代以来のラップを復活させネクスト・レヴェルに達したと同様、彼のアンビエント・サイドも新たな空間を得たようだ。木陰の下にハンモック、強烈なジョイントの煙の先にかくも遅く、美しい時間が流れてゆく......。

倉本諒