ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Lana Del Rey - Norman Fucking Rockwell! (review)
  2. Columns FKA Twigs スクリュードされた賛美歌 (columns)
  3. Yatta - Wahala (review)
  4. ヤプーズ情報 ──『ヤプーズの不審な行動 令和元年』は12月11日発売 (news)
  5. LORO 欲望のイタリア - (review)
  6. Wool & The Pants - Wool In The Pool (review)
  7. Yves Tumor ──イヴ・トゥモアが再来日 (news)
  8. クライマックス - (review)
  9. BLACK OPERAって何だ? ――V.I.I.M × BLACKSMOKER、ラッパーたちによるオペラ! (news)
  10. interview with BBHF 歓びも、悲しみも痛みもぜんぶ (interviews)
  11. DJ Python - Derretirse (review)
  12. Adrian Sherwood, Roots Of Beat & Exotico De Lago ──エイドリアン・シャーウッドの来日公演にオーディオ・アクティヴ、ドライ&ヘヴィの面々からなる新バンドが出演、エキゾティコ・デ・ラゴも (news)
  13. yapoos ──地球最後のニューウェイヴ・バンド、ヤプーズが再始動する (news)
  14. Grischa Lichtenberger - Re: Phgrp (Reworking »Consequences« By Philipp Gropper's Philm) (review)
  15. Plaid ──プラッドが来日 (news)
  16. Columns Kim Gordon キム・ゴードン、キャリア史上初のソロ・アルバムを聴く (columns)
  17. Columns JPEGMAFIA『Veteran』の衝撃とは何だったのか (columns)
  18. Hair Stylistics ──2004年のファーストが初めてヴァイナルでリリース (news)
  19. interview with Floating Points ストリングスと怒りと希望のテクノ (interviews)
  20. interview with KANDYTOWN 俺らのライフが止まることはないし、そのつもりで街を歩く (interviews)

Home >  Reviews >  Album Reviews > Duppy Gun Productions- Miltiply / Eath

Duppy Gun Productions

Duppy Gun Productions

Miltiply / Eath

Duppy Gun Productions

Amazon iTunes

Peaking Lights

Peaking Lights

936 Remixed

100% Silk

Amazon iTunes

野田 努   Feb 29,2012 UP

このエントリーをはてなブックマークに追加

 またも昨年のリリースじゃないかと言うなかれ。下北沢ワルシャワで、最後に買ったレコードがこれ。12インチにしては値段が張るが、格好いいポスターが封入されている。というか、サン・アロウとゲド・ゲングラス(LAヴァンパイアズやロブドアをはじめ、さまざまなプロジェクトに参加している)というロサンジェルスの〈ノット・ノット・ファン(NNF)〉周辺のもっともドープな男たちがついにジャマイカと繋がったかという感無量な1枚だ。おまえら、やっぱそうだったのか、やっぱ......。謎が解けた。すっきりしたよ。(NNF)系の、ポカホーンティッドやサン・アロウの深いリヴァーブは、キング・タビーがいじくるつまみのようなものである。(NNF)が昨年リリースしたピーキング・ライツの『936』がUKでは評判となって、年末にエイドリアン・シャーウッドやディム・ファンクのリミックスまで収録したUK盤のEPが出るにいたったのもうなずける話だ。
 しかし連中の音楽は、ドープでスモーキーだが、踊りのためにあるとは思えない。リズミックな躍動感というものはあまりなく、ヨレヨレだ。自分の名前も思い出せないほどの酩酊状態のなかで演奏しているのかもしれない。そもそもジャマイカーのシンガーをフィーチャーしたからといって、これをダンスホールなどと言えるだろうか。これはボディ・ミュージックではない。明白なまでにヘッド・ミュージックである。ふざけているのか、真面目に追求しているのかよくわからないところが良い。ついにジャマイカに侵入したサン・アロウとゲド・ゲングラスは、1970年代にリー・ペリーが手がけた作品がルーツ・レゲエ/ダブの歴史的名作となっているコンゴスとの共作も果たし、そのリリースも控えていると聞くが、これは本当に楽しみ。

 ピーキング・ライツは年末のUK盤に続いて、2012年に入ると〈100%シルク〉からもリミックス盤を発表している。リミキサー陣はアイタル、エクサンダー・ハリス、インナーゲイズ、キューティクルといったレーベル・メイトでかためている。マリア・ミネルヴァが参加しなかったのが残念だが、ちょっとした〈100%シルク〉のショーケースで、もちろんダンス・トラック集なのだが、このレーベルの独自の展開を物語るように、音質やバランスが従来のそれとは異なっている。ハウスやテクノのDJは使いづらいとぼやくかもしれない。アイタルはロサンジェルス流のダブの流儀で、ベーシック・チャンネル系とは別の、ローファイ・インディ・サイケデリック・ダブ・ハウスとでも言おうか......。エクサンダー・ハリスは気だるいイタロ・ディスコ、インナーゲイズはコズミックなシカゴ・ハウス、キューティクルは25年の時間を経て結ぶばれたシカゴのアシッド・ハウスとロサンジェルスのインディ・シーンとの変異体だ。しかし......アメリカの白人のインディ・キッズもいまになってようやくシカゴ・ハウスの良さを理解し、受け入れたってことか。

 ちなみに下北沢ワルシャワはいま全品半額セール中で、夜にはヨルシャワという実験的なバーになっているという。飲みに行こう。

野田 努