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ハテナ・フランセ

ハテナ・フランセ

第8回 フランスの音楽フェスはどんな感じ?

山田蓉子 photos : Maxime Chermat Jul 25,2017 UP

 夏といえばフランスでもロック・フェスティバルが毎週末のように各地で行われている。一口にロック・フェスティバルと言っても色々なタイプがあるので、今回は私が今年参加したいくつかのフェスを紹介しながらそれぞれの特色をお話ししたい。

 まずはシャンパーニュ地方はランスで行われた3万人規模の比較的こぢんまりしたラ・マニフィック・ソサエティから。ヘッドライナーはジェイミー・カラム、モデラット、エールやグレゴリー・ポーターなどのフランスでは中規模フェス仕様のラインナップ。
 シャンパーニュ地方はその名のとおりシャンパンの生産地のため経済的に豊かな地方で、その地方自治体や市などの全面協力を得て、ユネスコ指定公園のシャンパーニュ公園で行われた。他のフェスとの違いといえばアーケードゲーム機やファミコン、フィギュアなどを揃えた日本テントだろう。日本人アーティストも水曜日のカンパネラ、Seiho、Dé Dé Mouse、YMCK 、kiLLa、Dotama、ピノキオPが出演したのだが、中でも水曜日のカンパネラは個性&工夫溢れるステージで日本といえばゲームとアニメのイメージしかないフランスのオーディエンスをまずは唖然とさせ、そして最後には心を鷲掴みにしたようだった。公園の両脇はシャンパン畑だし、フランスのフェスでも初(との宣伝文句だったが真偽のほどはナゾ)のシャンパン専門ブースがあったりと優雅な雰囲気。客層も家族連れが多くシニア層もチラホラ。泥んこ万歳! な感じの若者よりもカットオフデニムにフラワークラウンを頭に乗っけてコーチェラ気分な若者の方が多く、移民系の若者はほとんど見かけなかった。

 深夜帯には若者たちしか見かけなくなったが、酔っ払って正体をなくす輩は全く目にすることもなかった。以前よく行っていたブルターニュ地方はレンヌのフェスティバル、レ・トランスミュージカルで若者たちの立ちション危険地帯やゲロ攻撃に閉口していたことを思い出し、地方によって若者たちの生態やフェスのあり方も違うのだと改めて感心した。レ・トランスミュージカルは約40年も続いている新人発掘に定評のあるフェスだが、それより何より地元の若者たちが羽目を外せるお祭りでもあるようで。しかも深酒に定評のあるブルターニュ地方とくれば、へべれけティーンネイジャー軍団に混じって深夜にシラフでライブを見るのはほとんど苦行のですらあった。

 その点、都市型フェス、パリ郊外ヴァンセーヌ公園で行われたウィ・ラブ・グリーンも別の意味での苦行であった。パリ郊外で行われるいくつかのフェスのなかでも一際スノッブなのがこのフェス。いまヨーロッパのマーケティングにおいて欠かせない要素のエコを標榜したフェスだが、今年のヘッドライナーはソランジュ、アンダーソン・パーク、ジャスティス、リッチー・ホーテンらオシャレ層に響くラインナップで集客も2日で5万8千人と大規模フェスの範疇に入る。
 おが屑を使用したバイオトイレやフードスタンドの食器を全てリサイクルにするなどのわかりやすいエコから、消費電力を食用油のリサイクルによって捻出するという一般的にはあまり聞いたことのない手法まで看板に偽り無しのエコぶり。ただオーディエンスの捌き方などには無頓着でトイレからフードスタンドまで行列がひどい。ラテン系ヨーロッパに独自のメンタリティかもしれないが、フランス人は秩序を守って行列をするのが本当に苦手だ。どこの行列もとにかくびゃーっと人が広がって、それを整える人員もいないので、皆我先にと人を出し抜こうとする。フェス仕様の軽いオシャレをしたパリジャンが澄ました顔をしてどうにかしてズルをしようとする様は、エコという意識の高さとはまったく相容れない。そこに無頓着なフェス側の姿勢はエコをマーケティングのみで取り入れているとしか思えないというのはうがった見方だろうか。
 そんなヘコんだ気持ちを持ち直してくれたのがフランス東部のベルフォールで行われたレ・ユーロケンヌだ。日本人アーティストReiに同行したのだが、約30年続いているフェスだけに地元民総出でフェスを支持している感が溢れていた。約12万人規模の大型フェスなので、他地方、スイス、ドイツなど周辺国から集まったいわゆるフェス慣れしたオーディエンスも多かったが、地元の家族連れ&シニアととてもいい塩梅で共存していた。
 Reiのサイン会には老若男女が集まり「あたしたちゃ初回からレ・ユーロケンヌに来てるけど、あんたみたいなアーティストは見たことないよ。いい筋してる!」と太鼓判を押してくれる半ズボン&サンバイザーの老夫婦などに大変癒され、会場となっている自然公園の湖畔の緑に癒された。あくまで個人的感想だが、フランスの地元密着型なフレンドリーなフェスは悪くないなあとフードブース定番のケバブを頬張りながら思ったのだった。

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