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interview with Daughter

interview with Daughter

〈4AD〉のいま

――ドーター、インタヴュー

橋元優歩    通訳:Hikari Hakozaki   Mar 27,2013 UP

〈4AD〉といえば、最近はバウハウスでもコクトー・ツインズでも『ディス・モータル・コイル』でもない。それはすでにディアハンターであり、アリエル・ピンクであり、セント・ヴィンセントであり、グライムスであり、インクのレーベルである......そう認識する世代が登場してきている。こうして眺めると、まるで新興レーベルのようにリアルなリリースが行われているのがわかる。設立から30年以上、音楽的には多様性を受け入れながら、レーベル・カラーはいまだ鮮やかに保ち、イメージ的にも商業的にも現役としての存在感を失っていない。つくづく〈4AD〉は偉大である。


Daughter
If You Leave

4AD / Hostess

Amazon iTunes

 ロンドンの3ピース、ドーターもまたその歴史の末端に名を連ね、その現在を更新する存在だ。まずは音を聴いてほしいと思う。ウォーペイントがいわゆる「オルタナ」のギター・ロックを2000年代のサイケデリック/シューゲイズ――ディアハンター以降の感性で書き換えたように、彼らもまた、いまの〈4AD〉がロックに向かい合うとどうなるかという最も美しい例のひとつを示している。グライムスの浮遊感も、ピュリティ・リングのイノセンスも、セント・ヴィンセントのような芯もある。しっかりとしたソング・ライティングと、まさに〈4AD〉的な幽玄を感じさせるヴォーカル、エレクトロ・アコースティックの繊細で叙情的な音響構築。深めのリヴァーブがかけられたギターはディアハンターとジョン・フルシアンテを大胆につなぐ。ドラミングには時折シー・アンド・ケイクを彷彿させるポストロック的なマナーまで見え隠れする。

 「マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン......最近まで聴いたことがなかったの。『聴かなきゃいけないものリスト』に入ってるわ。」「兄がレッド・ホット・チリ・ペッパーズをよく聴いていたわ。」「〈4AD〉はずっとファンだったの。知っているのは最近のアーティストだけど。」と語るヴォーカル(ギター)、エレナの姿はまさに若きインディ・リスナーの正像でもある。イゴール(ギター)とレミ(ドラム)についてはこの限りではないが、オタクや勉強型ではないナイーヴなバンドの素直な言葉を拾うことができた。知識としてではなく時代の空気として、〈4AD〉の音楽は彼らの身体に取り込まれている。

わたし自身、自分のことをとくに「ギタリスト」だとは思っていないの、技術的にも自分がなりたいと思うレベルに達していないし。

あなたがたの音楽はけっしてストレートな意味で明るく元気なものではなく、よく比較されるジ・XXやウォーペイントにしてもそうだと思います。むしろ内向的で沈み込むような憂愁があり、ジ・XXなどはディストピックなモチーフすら感じます。あなたがたをふくめ、そうした音楽がなぜこのように多くの人々から熱望されているのだと思いますか?

エレナ:うーん、他の人たちがどうしてそういうものを望むのかはわからないけれど、わたし自身について言えば......わたしはそういうちょっと悲しげな音楽をよく聴くんだけど、そういうのを聴くと落ち着くし、ある意味気分がよくなるっていうか、反動で気が楽になるような気がするの。わたしたちの音楽はメランコリックだけど、そのなかにどこか前向きさを感じてもらえるようなものにしたいと思っているわ。書いている歌詞は暗いものが多いんだけど、逆に音はどこか希望を感じさせるようなものにしようとしているし、そういうバランスが必要だと思う。

〈4AD〉の幽玄的なテイストは設立当初の80年代からレーベル・カラーでもありますが、ご自身たちの音楽と〈4AD〉の相性についてどのように感じていますか?

エレナ:じつは〈4AD〉から話が来る前からずっとレーベルのファンだったし、いつかサインしたいと夢見ていたの。〈4AD〉のこれまでの所属アーティスト、とくにわたしがよく知っているのは最近のアーティストたちだけど、みんなクリエイティヴさのレベルが飛び抜けて高いと思うし、わたしたち自身サインしてみて、これまでのところとても上手くいっている。契約する前にわたしが想像していた通り、アーティストをとても信用してくれて、わたしたちの好きなようにアルバムを作らせてくれたわ。わたしたちはもちろんこれまでの〈4AD〉の所属アーティストたちをとても尊敬しているし、そのぶんすごく自分自身からのプレッシャーっていうか、こんな素晴らしいアーティストたちに囲まれているんだから、それに負けないいいものを作らなきゃ! っていう緊張感はあるわね。サインできて本当にうれしいし、なんだか夢みたいだわ。

ギターにもとてもロマンチックで叙情的なセンスを感じます。ウォーペイントにはジョン・フルシアンテの影響もあるようですが、あなたやイゴールはどうですか? インスパイアされるギタリストがいれば教えてください。

エレナ:わたしが子供のころ、兄がよくレッド・ホット・チリ・ペッパーズを聴いていたからわたしも横で聴いていることは多かったけど、特別彼らから影響を受けたとは思わないな。ウォーペイントは好きだし、彼女たちの音楽の方が自分ではよく聴いているわ。でもある意味、親が聴いていた音楽とか、昔聴いていたものすべてがどこかでいまの自分に影響を与えていると思うから、それが影響を受けたもののリストのトップには挙がらないにしても、どこかに反映されているのかもしれない。わたし自身、自分のことをとくに「ギタリスト」だとは思っていないの、技術的にも自分がなりたいと思うレベルに達していないし。だから直接的にインスパイアされているギタリストってあまり思いつかないわ。ヨンシー(シガー・ロス)はおもしろいギタリストだと思うし、イゴールはヨンシーがやっているのと同じボウイング(チェロ等の弓を使った奏法)を使っているから、結構影響を受けているんじゃないかな。わたし自身はギターの技術よりもっと、ギターがいかに曲や歌詞と合うかっていうことの方を重視しているの、ずっと前から歌詞を書くことに強い興味があったから。わたしの両親がニール・ヤングやボブ・ディラン、デヴィッド・ボウイとかが好きでよく聴いていたこともあって、彼らはわたしの好きなギタリストたちだけど、必ずしも彼らのギターの弾き方が好きな理由っていうわけでもないような気がする......。最近はインターポールにはまっていて、とくに彼らのギターの音がとても好きだし、あとは、ジミ・ヘンドリックスなんてギターをやっていたら尊敬せずにはいられないけれど、わたし自身のスタイルとはまったく違ったものだし、わたしじゃ真似もできないわ!

取材:橋元優歩(2013年3月27日)

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