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interview with FaltyDL

interview with FaltyDL

音楽は逃避でもありセラピーでもある

──フォルティDL、インタヴュー

質問・文:小林拓音    通訳:原口美穂   Oct 27,2016 UP

FaltyDL
Heaven Is For Quitters

Blueberry Recordings/ビート

IDMFuture JazzAmbientPost DubstepElectronic

Amazon Tower

 かつてマイク・パラディナスの蒔いた種が開花し、いま、美しく咲き誇っている。マシーンドラムしかり、フローティング・ポインツしかり……ダブステップの功績は、それ自体の音楽的魅力はもちろんのこと、その後に多種多様な音楽のあり方を生み出したという点にも存する。フォルティDLもまたその流れに属するアーティストのひとりだ。

 ダブステップは無論のこと、ハウスやテクノやIDM、アンビエントからジャズまで、フォルティDLが自身の音楽に取り入れるスタイルは多岐にわたっている。そのように様々なジャンルをつまみ食いする彼の音楽全体に共通しているのは、音作りの丁寧さあるいは繊細さだろう。そしてそれはおそらく、彼の「ひとり」性に由来している。
 彼は、音楽を作るときはひとりだと言う。2年ぶりとなる彼の最新作には3組のゲストが参加しているけれど、かれらはみなフォルティDLの作り出す音響空間を華やかに彩るようなことはしない。かれらはみな、自らをあくまで素材のひとつとしてフォルティDLに提供する。フォルティDLはその素材を、彼自身の部屋でひとりで丁寧に組み上げていく。
 そういった彼の「ひとり」性は、このアルバムの随所から聴き取ることができる。“River Phoenix”でときおり訪れる、全ての音がほんの一瞬だけ収束する不思議な「間」。“Drugs”でロージー・ロウのヴォーカルと対比的に刻まれるブレイクビーツ。“Shock Therapy”における「A.I.」シリーズへのノスタルジア。“Whisper Diving”後半のシンセのみじん切り。どこか初期のOPNを想起させる“Osaka Phantom”の幻想的なメロディ。そのような「ひとり」性は、彼とガールフレンドのイニシャルが冠された“D & C”からも感じ取ることができる。たしかに、パートナーがいようがいまいが、人はみな、ひとりだ。
 それにこのアルバムは、「クラブ・ミュージックって何?」という素朴な問いを発するもものでもある。たとえば、ミュージックことマイク・パラディナスが参加したダンサブルな“Frigid Air”は、本作のキラー・チューンと言って差し支えないと思うのだけれど、必ずしも踊ることに特化した機能的なトラックというわけではない。たしかに、曲調自体は明るい。でも、下方を踊り這うブレイクビーツと、2種類の音が交互に入れ替わる上モノ、そしてそのあいだにうっすらと滑り込むヴォーカル・エフェクトは、良い意味でちぐはぐな空気を紡ぎ出している。これはおそらく、フォルティDLなりのダンスの狂熱との距離のとり方なのだろう。
 クラブへ行っても、メイン・フロアに繰り出して踊り狂ったり、顔なじみと「よう!」などと肩を叩き合ったりすることはせず、箱の隅っこで小刻みに身体を揺らす程度で済ませ、家に帰ってひとりでまた別の音楽を聴く――フォルティDLのこのアルバムからは、そういうリスナーの存在を感じ取ることができる。間違いなく、それもクラブ・ミュージックのあり方のひとつだ。

 以下のインタヴューで彼は、音楽はエスケイピズムであると発言している。おそらくそのエスケイピズムには、音楽それ自体からの逃避も含まれているのだろう。逆説的ではあるが、だからこそ音楽は同時にセラピーでもあることができるのだと思う。

音楽って、逃避できるのが良いところだと思わない? でも同時に、セラピーでもあると思う。

あなたの音楽はハウス、ダブステップ、IDM、アンビエント、ジャズなど、幅広い領域を横断しています。もし自分の音楽にひとつだけタグを付けなければならないとしたら、何という言葉を使いますか?

ドリュー・ラストマン(以下、DL):どうだろう……「エレクトロニック・ソウルフル・ミュージック」だな。俺はそれがいいと思う。

あなたは、自分の音楽がクラブで聴かれるのと、ベッドルームで聴かれるのとでは、どちらが嬉しいですか?

DL:両方とも嬉しいね。でも、俺は自分ひとりで音楽を作るし、ひとりで音楽を聴くのも好きだ。音楽自体と一対一のパーソナルな関係で繋がることが多いから、そっちの方がしっくりくるというか、近く感じるというのはあるかな。

あなたの音楽は、主にクラブ・ミュージックのリスナーによって受け入れられてきたと思います。そのことについてはどうお考えですか? 

DL:確かにそうだよね。プレスリリースでも少しそのことに触れたけど、自分自身も音楽を色々な状況で楽しみたいし、俺の音楽にはそれが反映されていると思う。リスナーに色々な種類の人たちがいるのは良い事だと思うよ。

本作ではいくつか「歌」をフィーチャーしたトラックがあります。あなたにとって歌やヴォーカルとは何でしょう? 他の楽器やエレクトロニクスと同じものでしょうか?

DL:まず、歌は素晴らしい楽器のひとつだと思う。そして、歌があることで、より多くの人びとがその音楽と繋がることができるんじゃないかな。ヴォーカルがあった方が、繋がりを感じやすいと思うしね。だから逆に、ヴォーカルのないエレクトロニック・ミュージックなのに幅広いオーディエンスの心をつかむ音楽は本当に素晴らしいと思う。エイフェックス・ツインとかさ。ヴォーカルはないのに、本当に多くのオーディエンスが彼の音楽をエンジョイしているだろ? そういう音楽って好きなんだよね。

“Drugs”のロージー・ロウは、どのような経緯でこのアルバムに参加することになったのでしょうか?

DL:デルス(DELS)がプロデュースした曲をリミックスしたことがあったんだけど、その曲がロージー・ロウをフィーチャーしていたんだ。3年前の話で、その時、俺は彼女の声をすごく気に入って、デルスの声を全く使わずに、彼女の声だけを使った(笑)。彼女の声を繰り返し使って、7~8分のリミックスを作ったんだ。それがきっかけで彼女の声を知って、その後彼女といくつか曲を作ろうとしたんだけど、なかなかお互いがしっくりくるものができなくて……で、“Drugs”のインストを彼女に送った時に彼女がそれをかなり気に入って、その日の夜までに何パターンかのヴォーカルを乗せて返してきてくれたんだ。その全てが違っていたし、クールだったよ。

“Infinite Sustain”のハンナ・コーエンは?

DL:彼女のマネージメント・チームを通して知り合ったんだ。最初はそのマネージメントの他の女性アーティストとコラボを企画していたんだけど、そのアーティストが忙しかったりで実現できそうになくて、彼らがハンナを勧めてきた。そこでハンナの作品をチェックしてみたら、すごく良かったんだ。彼女の声はロージーと違っていてすごくソフトなんだ。そこがまた面白いと思った。様々なスタイルをアルバムに持たせることができるからね。

通訳:あなたの音楽には、女性ヴォーカルの方が合うんでしょうか?

DL:男性よりも女性ヴォーカルとコラボすることの方が多いのは確かだね。でも、どちらのヴォーカルにもオープンだよ。前回男性ヴォーカリストとコラボしてから随分経つけど、男性ヴォーカルをフィーチャーするのも好きだし。あ、待って、それウソだ(笑)。この前ホセ・ジェイムズとコラボしたばかりだからね。アルバムの前にミックステープをリリースしたんだけど、すっかり忘れてたよ(笑)。SoundCloudでチェックしてみて。

“River Phoenix”のダブステップのリズムには懐かしさを感じます。あなたは、ダブステップが多様化していった時期に登場してきましたが、ダブステップについてはどのような思いを抱いていますか?

DL:実は、もうダブステップのシーンは追っていないんだ。まだ存在していることはわかっているし、多くのプロデューサーが色々な方向に進んで様々なBPMに挑戦しているのも知っているけど、ダブステップが盛り上がっていた理由のひとつは、皆がひとつになって繋がっていたことだと思うんだ。皆がファミリーみたいな感覚だった。それがひとつのビッグなシーンを作り出していたわけで、だからこそ盛り上がっていたんだと思う。でもいまはそれがいくつかのグループに別れてしまって、ひとつにまとまったシーンではなくなっていると思うんだ。いまは小さなシーンがいくつか存在しているような感じだと思う。いまだにソリッドなダブステップを作っているミュージシャンももちろんいるけど、俺自身はもうダブステップにはあまり繋がっていないね。

通訳:いまのあなたの音楽とダブステップの繋がりとは?

DL:もちろん、多くのダブステップのプロデューサーたちには影響を受けてきた。2009年頃、俺が音楽をリリースし始めた頃はね。特にそこから2~3年はたくさんのダブステップを聴いていた。だから脳の中にはインプットされているし、自分の音楽作りを助けてくれている部分もある。でも、エレクトロニカやブロークンビーツっぽい音楽の方が自分にとっては近いんだ。

“Bridge Spot”のサックスは808ステイトの“Pacific State”を彷彿させます。また、“Shock Therapy”には、初期のプラッドなど「A.I.」シリーズの頃の〈Warp〉作品を思わせるテイストがあります。80年代末~90年代初頭のテクノに特別な思い入れはありますか?

DL:あの時代は、テクノ界で様々なことが繰り広げられていたし、常に革新的なことが起こっていた。同時に、国どうしが影響し合いはじめた時代でもあったと思うね。アメリカやドイツ、日本やUKが自分たちのヴァージョンのテクノを作っていて、それをお互いに広め合っていた。インターネットが普及する前の話だし、それってすごくクールだよな。俺、808ステイトが大好きなんだ。だから、その意見はすごく嬉しいよ。

あなたの最初の2枚のアルバムは〈Planet Mu〉からリリースされました。それによってあなたの存在を知ったリスナーも多いと思います。マイク・パラディナスは本作にも参加していますが、彼とはどのようにして出会ったのでしょうか? また、彼から受けた影響はどのようなものですか?

DL:彼と最初に話したのは、インスタント・メッセンジャー。インスタント・メッセンジャー、覚えてる(笑)? 2008年くらいかな。もしかしたらその前に彼にMyspaceでメッセージしたことがあったかもしれない。2002年くらいから彼の音楽を聴いていて、彼の音楽が好きだったから、彼にデモを送るようになったんだ。かなりたくさん送ったな。最初はCDに焼いたりして送ってた。その後ネットでデータが送れるようになって、インスタント・メッセンジャーで彼にデモを送るようになったんだ。そうしているうちに彼が気に入ってくれたものがあったみたいで、彼が「よし、リリースしよう」と言ってきた(笑)。クールだったね。彼はプロデューサーとしてユーモアのセンスがあるし、彼のメロディの作り方にも影響を受けていると思う。あといちばん大きいのは、レーベル運営のしかた。それに影響を受けて、俺自身もいま自分のレーベルを持っているしね。彼がレーベルを運営している姿を見ているのはすごく勉強になった。彼は自分が良いと思ったものは何でもリリースする。その時の流行は関係ないんだ。逆に、彼は流行ってない作品を人気にすることもできる。彼はテイスト・メーカーなんだよ。

その後の2枚のアルバムは〈Ninja Tune〉からリリースされました。それは、あなたにとってどのような経験になりましたか? コールドカットや他のレーベルメイトから学んだことはありましたか?

DL:〈Ninja Tune〉は、とにかくビッグ・チームだった。約20人の人たちが自分のレコードのために動くんだからね。だから、皆が全てを把握できるようオーガナイズをするのはすごく大変だったけど、彼らは本当にそれがうまくできるんだ。売り方もうまいし、本当に成功したレコード・レーベルだと思う。大物アーティストからアンダーグラウンド・エレクトロニックまで、様々な作品をリリースしているしね。コールドカットとは会えばいまだに一緒に出かけるよ。彼らは本当にクールだね。他のアーティストもそうだけど、何かを学んだというよりは、音楽に変化をもたらしたアーティストたちの周りにいるというのはすごく「刺戟的」だったね。

先ほどお話に出ましたが、本作をご自身が主宰する〈Blueberry Records〉からリリースすることになった経緯を教えてください。また、レーベルが変わったことは、本作の制作にも影響を及ぼしましたか?

DL:レーベル名は、俺の祖母が持っているブルーベリー畑から取ったんだ。なぜ今回自分のレーベルからリリースすることになったかというと、〈Ninja Tune〉とも次回作の話はしていたんだけれど、自分の理想の時期よりも長く待たないといけなくて、俺自身はもう準備ができていたから、それを友人たちに話していたら、皆に、「自分のレーベルがあるんだから、自分がいま出したいなら自分のレーベルから出せよ」と背中を押されたんだ。〈Ninja Tune〉もそれに対して「良い」と言ってくれたし、お互いにとって平和な決断だった。全てのプロセスが実験的だったけどね。トラックリストも全部自分で決めないといけなかったし、自分で最初から最後まで全てを手掛けた初めてのアルバムだった。あまりインタヴューで話してないけど、もっとこのことについて話すべきだな。だって、全て自分でコントロールしながら作ったことで、この作品はいままでの中でいちばんフォルティDLらしい作品に仕上がっているから。ある意味、それはクールだと思う。それが良い事なのか良くない事なのかはわからないけど(笑)、いちばんフォルティDLらしいっていうのは事実だね。皆がそれを気に入ってくれるといいけど(笑)。

“Shock Therapy”という曲のタイトルが気になりました。音楽には、つらい現実を忘れさせてくれるものもあれば、ハードな現実と向き合う手助けをしてくれるものもあります。あなたの音楽は、そのどちらだと思いますか?

DL:音楽って、逃避できるのが良いところだと思わない? でも同時に、セラピーでもあると思う。俺は瞑想するために音楽を聴く時もあるしね。それが音楽だと思う。

幻想的な“Osaka Phantom”には、どこかゲームのサウンドトラックのような雰囲気があります。何か実際に大阪で体験したことがインスピレイションになっているのでしょうか? また、このアルバムのアートワークにはタイトルの日本語訳が記されています。何か日本について思うところがあったのでしょうか?

DL:日本はもともと大好きなんだけど、大阪ってなんか東京より大きく感じるんだよね。高層ビルがないぶん広く感じるし、あのガヤガヤした雰囲気のヴァイブがそう思わせる。あの曲は、自分が大阪にいる時に聴きたい音楽を想像しながら作ったんだ。すごくにぎやかな街に流れるアンビエント・ミュージックみたいな。ちょっとファントムとかお化けっぽい感じ。日本って本当に好きなんだ。自分の国と全然違うし、日本人って音楽に感謝の念を持っているし、リスペクトしているよね。アーティストとして、やっぱりそれは感じたいしさ(笑)。ちなみにタイトルの日本語訳は、日本盤だけじゃなくて全てのアルバムに表示されているんだ。

最後のトラックのタイトルになっている“D & C”とは何の略でしょうか?

DL:あれは俺とガールフレンドの名前のイニシャルだよ。

アルバムの前半はヴォーカルの入ったトラックやダンサブルなトラックが続き、後半になると静かなトラックやじっくり聴き入りたくなるようなトラックが並んでいます。アルバムを作る上で、何かコンセプトのようなものはあったのでしょうか?

DL:コンセプトというか、自分が考えていた目的は、純粋なフォルティDLを見せることだった。あとは自分のレーベルから出すということもあって、それを意識したし、自分のレーベルが築き上がるまでを表現したかった。でも、あまりコンセプトはない。それはリスナーに委ねたいから、普段からコンセプトはあまり考えないんだ。

本作の制作中によく聴いていた音楽があれば、教えてください。また、それらの音楽は本作にどのような影響を与えましたか?

DL:レーベルからリリースされるアーティストの作品はよく聴いていたね。でも、特別これといったものはなかったな。あ、待って! ビーチ・ボーイズをたくさん聴いてたな(笑)。アルバムの音楽からはあまり聴き取れないと思うけど、ソングライティングなんかは、もしかすると影響を受けているのかもしれない。あの、良い意味でイージーなソングライティングにね。

あなたと同じ時期に〈Planet Mu〉から12インチをリリースし、その後あなたと同じように様々な音楽の要素を取り入ながら評価を確立していったアーティストにフローティング・ポインツがいます。彼の音楽は聴きますか?

DL:彼の音楽は聴くよ。彼の昔のクラブ・ミュージックの方がよく聴いていたかもしれない。けど、彼の新作は本当に美しいよね。いまはライヴ・バンドと一緒に全然違う事をやっているし、すごく良いと思う。俺には、ロック・ジャム・バンドを思い起こさせるんだ。彼は俺にとって、弟みたいな存在なんだよ。

あなたは2年前にワンオートリックス・ポイント・ネヴァーの“Replica”をリミックスしています。OPNの音楽についてはどう思いますか?

DL:彼の音楽は本当に素晴らしいと思う。俺は『Replica』のアルバムが大好きで、もちろんリミックスした“Replica”は俺の大のお気に入りなんだ。あのアルバムはすごく遊び心があるし、あのロウファイなサウンドが好きなんだ。彼の前の作品の方がよく聴いていたな。いまはもっとアカデミックで、超クリーンでクレイジーなエレクトロニックのテリトリーにいると思うけど、それはそれでスクエアプッシャーっぽくてカッコいい。リスペクトしてるよ。すごく才能があるミュージシャンだと思うね。

最近のアーティストで共感できるアーティストがいたら教えてください。

DL:共感できるアーティストは……最近はエリシア・クランプトンをよく聴いてるかな。去年彼女のアルバムを〈Blueberry Records〉からリリースして以来、彼女の音楽にハマっているんだ。いま話し合ってるんだけど、たぶん今後コラボすると思う。

『Heaven is for Quitters(天国はふぬけのためにある)』というアルバム・タイトルは最高に素晴らしいと思います。ドラッグによるトリップを想起させるタイトルですが、どのような経緯でこのタイトルに決まったのでしょうか? また、これは反語でしょうか、それともストレートに読むべきでしょうか?

DL:最初は、『Heaven』っていうタイトルにしようと思ってたんだ。自分のアルバムを自分で作って、自分のレーベルから出すわけで、それってすごく良い位置にいると思ったから、「天国」にしようと思った。でも、俺って何に対しても100%ポジティヴってことはなくてね(笑)。ちょっとネガティヴなものを混ぜたくなるんだ。なんでそうなのかは自分でもわからないんだけど(笑)。ニューヨーカーだからなのかもしれない(笑)。それで「is for Quitters」をつけたんだよ。「ふぬけ」っていうのは、人気になるために活動している人たち。それって、俺にとっては全然何かに挑戦してるとは思えないんだよな。ちょっとダサいと思うな。彼らにとっての「天国」を目指すってことは、ギヴアップに感じるんだ。

あなたご自身は、ふぬけ(quitter)ですか? もしそうだとしたら、天国(heaven)へ行ってみたいと思いますか?

DL:良い質問だな(笑)。俺はふぬけではないと思うけど、何かを始めてもなかなか終わらせられないっていうのはある。もっと何かを止めたり、失敗することに勇気を持てるようになってもいいと思うね。人生短いんだから、どんなことでもやっていいと思う。天国に行きたいかはわからないな。俺、天国の存在自体あまり信じてないから。でも、もし常にハッピーを感じられる場所があるんだったら、もちろん行きたいけどね(笑)。

通訳:ありがとうございました!

DL:こちらこそ、ありがとう。

質問・文:小林拓音(2016年10月27日)

Profile

小林拓音/Takune Kobayashi
1984年生まれ、東京在住。ライター、編集見習い。これからいろいろやっていく予定です。

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