ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Angel-Ho - Death Becomes Her (review)
  2. Ruby Rushton - Ironside (review)
  3. WxAxRxP POP-UP STORE ──〈Warp〉30周年を記念したポップアップ・ショップがオープン (news)
  4. interview with Ralf Hütter(Kraftwerk) マンマシーンの現在 (interviews)
  5. R.I.P. 遠藤ミチロウ (news)
  6. Anderson .Paak - Ventura (review)
  7. New Order ──ニュー・オーダー、地元マンチェスターでのライヴ盤がリリース (news)
  8. Emily A. Sprague ──フロリストのエミリー・スプレーグによるアンビエント作が〈RVNG〉よりリイシュー (news)
  9. Amgala Temple ──ジャガ・ジャジストから派生したグループ、アムガラ・テンプルが来日 (news)
  10. Helado Negro - This Is How You Smile (review)
  11. Columns なぜスコット・ウォーカーはリスペクトされているのか (columns)
  12. Columns UKの若きラッパー、ロイル・カーナーが示す「第四の道」 (columns)
  13. Kelsey Lu ──デビュー作をリリースするケルシー・ルーが絶好のタイミングで来日 (news)
  14. Lee Gamble × Renick Bell ──リー・ギャンブルが来日、初の東京単独公演を開催 (news)
  15. Matmos & Jeff Carey ──新作をリリースしたばかりのマトモスが来日 (news)
  16. THE STALIN ──ザ・スターリンのもっとも過激なときを捉えた作品が完全復刻 (news)
  17. JUST ZINE 3 Book issue ──アンダーグラウンド・シーンが誇る読書家たちをフィーチャーしたZINEが登場 (news)
  18. The Comet Is Coming - Trust In The Lifeforce Of The Deep Mystery (review)
  19. There are many many alternatives. 道なら腐るほどある 第5回 反誕生日会主義 (columns)
  20. 『バンドやめようぜ!』 ──日本、欧州のロック・ビジネスを考える日英大討論会 (news)

Home >  Reviews >  Album Reviews > Gonno- Remember the Life Is Beautiful

Gonno

AmbientMinimalTechno

Gonno

Remember the Life Is Beautiful

Endless Flight

Amazon

野田努   Sep 07,2015 UP
このエントリーをはてなブックマークに追加

 クボケンが言うことを要約すればタサカのアルバムは政治の季節を象徴するものであると。で、だったら、ゴンノの10年ぶりのセカンド・アルバムはいま現在のどこにヒモ付いているのだろうか。
 
 ゴンノは、いまや世界で知られる日本人DJのひとりである。彼はボイラールームに出演しているし、ジェフ・ミルズのリミックスも手掛けている。今作も、ピッチフォークにレヴューが載ったせいで、海外での売れ行きがいっきに伸びているというし、そしてそのレヴュアーの言ってることを要約すればこれは今日のバレアリックを象徴すると。それでさらに売れるわけだから、バレアリックという単語にはまだヒキがあるということなのだろう。まあ、バレアリックというのは、いつの時代でもクラバーを魅了する定番スタイルなのだろうね。
 たしかに本作には〈コンパクト〉が『ニュー・エイジ・オブ・アース』をカヴァーしたようなところがあり、ダンスではなく、家聴きが相応しい、極めて陶酔的なアルバムだ。ぼくのように生活に追われている人間には、なかなかこのような境地にはいく機会がないけれど、しかしだね、ハードな時代とはいえ、こういう音楽もまた絶対に失ってはいけない。

 友人たちからさんざん推薦されていた映画『6才のボクが、大人になるまで。』を先月やっと観たのだけれど、あまりにも面白くて2回観た。ラストシーンが最高だ。あれは要するに、ネタを入れてちょうどピークが来ているときの会話で、あのときのふたりの表情と会話は、まさにバレアリックだと言える。子持ちの40歳以上の人間で、たったいまぼくがここで書いたことの意味が理解できる人があれを観たら、まず泣くよ(しかも夫婦仲でお悩みなら、なおさら)。もちろん、ぼくが感情移入するのはイーサン・ホークのほうだが、あの主人公の気持ちも痛いほどわかる。1億光年も昔のことのようだが……。

 そしていつかあのふたりは、ゴンノの繊細で、優しく、綺麗なダンス・トラックで身を揺らせるかもしれない。暖かい夕日を浴びながら。その瞬間はたしかに永遠だ。人生は美しいと思い出せって、いや、そういう前向きな気持ちになかなかなれない年頃なのだ!! ……けれど、ゴンノがそういうならそうかもしれない。
 

野田努