ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Yunzero - Blurry Ant (review)
  2. interview with AbuQadim Haqq 語り継がれるドレクシア物語 (interviews)
  3. Moodymann - Take Away (review)
  4. interview with Trickfinger (John Frusciante) ジョン・フルシアンテ、テクノを語りまくる (interviews)
  5. R.I.P. Denise Johnson (news)
  6. Natalie Slade - Control (review)
  7. Kenmochi Hidefumi - たぶん沸く〜TOWN WORK〜 (review)
  8. Freddie Gibbs & The Alchemist - Alfredo (review)
  9. Jun Togawa──戸川純がまさかのユーチューバーになった! (news)
  10. Random Access N.Y. vol.129:PCRは陽性という結果だった (columns)
  11. interview with Wool & The Pants 東京の底から (interviews)
  12. Drexciya ──なんとドレクシアがついに劇画に! アブカディム・ハック+佐藤大によるアフロ・フューチャリズム (news)
  13. Run The Jewels ラン・ザ・ジュエルズは何がすごいのか (interviews)
  14. interview with Julianna Barwick 聞きたくない声は、怒りのラップ、怒りのメタル。“グォォォーッ”みたいなやつ (interviews)
  15. There are many many alternatives. 道なら腐るほどある 第11回 町外れの幽霊たち (columns)
  16. Jamael Dean ──LAは〈Stones Throw〉から新たな才能、ジャズ・ピアニストのジャメル・ディーン (news)
  17. interview with Jaga Jazzist いと麗しきノルウェーの楽団 (interviews)
  18. interview with Kamaal Williams ほらよ、これが「UKジャズ」だ (interviews)
  19. Wool & The Pants ──ウール&ザ・パンツのファースト・アルバムにして傑作がついにCD化 (news)
  20. Arca ──アルカがニュー・シングルをリリース……って62分も!? (news)

Home >  Reviews >  Album Reviews > Gonno- Remember the Life Is Beautiful

Gonno

AmbientMinimalTechno

Gonno

Remember the Life Is Beautiful

Endless Flight

Amazon

野田努   Sep 07,2015 UP
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 クボケンが言うことを要約すればタサカのアルバムは政治の季節を象徴するものであると。で、だったら、ゴンノの10年ぶりのセカンド・アルバムはいま現在のどこにヒモ付いているのだろうか。
 
 ゴンノは、いまや世界で知られる日本人DJのひとりである。彼はボイラールームに出演しているし、ジェフ・ミルズのリミックスも手掛けている。今作も、ピッチフォークにレヴューが載ったせいで、海外での売れ行きがいっきに伸びているというし、そしてそのレヴュアーの言ってることを要約すればこれは今日のバレアリックを象徴すると。それでさらに売れるわけだから、バレアリックという単語にはまだヒキがあるということなのだろう。まあ、バレアリックというのは、いつの時代でもクラバーを魅了する定番スタイルなのだろうね。
 たしかに本作には〈コンパクト〉が『ニュー・エイジ・オブ・アース』をカヴァーしたようなところがあり、ダンスではなく、家聴きが相応しい、極めて陶酔的なアルバムだ。ぼくのように生活に追われている人間には、なかなかこのような境地にはいく機会がないけれど、しかしだね、ハードな時代とはいえ、こういう音楽もまた絶対に失ってはいけない。

 友人たちからさんざん推薦されていた映画『6才のボクが、大人になるまで。』を先月やっと観たのだけれど、あまりにも面白くて2回観た。ラストシーンが最高だ。あれは要するに、ネタを入れてちょうどピークが来ているときの会話で、あのときのふたりの表情と会話は、まさにバレアリックだと言える。子持ちの40歳以上の人間で、たったいまぼくがここで書いたことの意味が理解できる人があれを観たら、まず泣くよ(しかも夫婦仲でお悩みなら、なおさら)。もちろん、ぼくが感情移入するのはイーサン・ホークのほうだが、あの主人公の気持ちも痛いほどわかる。1億光年も昔のことのようだが……。

 そしていつかあのふたりは、ゴンノの繊細で、優しく、綺麗なダンス・トラックで身を揺らせるかもしれない。暖かい夕日を浴びながら。その瞬間はたしかに永遠だ。人生は美しいと思い出せって、いや、そういう前向きな気持ちになかなかなれない年頃なのだ!! ……けれど、ゴンノがそういうならそうかもしれない。
 

野田努