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interview with Ken Sumitani

interview with Ken Sumitani

川崎のディープ・ハウス

――ステレオシティ、ロング・インタヴュー

yasuda koichiro 、 メタル    写真:沼田 学    Aug 01,2011 UP

川崎ってこんな街だよ、っていう。"This Town, it's Empty"っていう節があるんだけど、空っぽの街だよっていう。まぁ空っぽで何もないけど、子どもはどこでも同じように笑ってるし......っていうようなこと。

METAL:ブルースだと誰が好きなんですか。

STEREOCiTI:俺、ジミヘン好きなんだけど、もっとルーツ的なところでいうと、Tボーン・ウォーカーとか、ハウリング・ウルフとか......。

METAL:ロバート・ジョンソンは?

STEREOCiTI:ロバート・ジョンソンはねえ、好きなんだけど、自分の気持ちとはちょっと違うというか。ドラッギーだよね、あの人。アルバムを聴いてると、すごく暗ーいところに持ってかれる。やっぱり悪魔的というか(笑)。

WHY:その、闇に吸い込まれる感じって、賢さん(STEREOCiTI)の作品やDJの特徴だと思うんですけどね。アルバムでは"Expanses"が象徴してると思うんですけど......「心に影を落とす」っていう表現ありますけど、そういう感じでふっと暗くなる感覚って、世に溢れてる「ディープ・サウンド」のなかでも独特というか。さっき「ブルース」って言葉が出てきて、あぁ、あの暗さはブルースだったのか、って思ったんですよ。

METAL:これは白石さんの言葉なんですけど「闇の暗さの種類の違い」ってのがあって......。

STEREOCiTI:あ、それわかる。俺ね、モノ作るときとか、DJもなんだけど、「満たされない部分」ってのをすごい意識してて。その「足りない部分」をどう表現するかっていうのが自分も好きみたい。いっぽうではけっこう打算的な部分もあって、DJするときもそうなんだけど「人の記憶にどれだけ訴えるか」ってのをすごい意識してるんだけどね。

METAL:打算的ってことかわかりませんけど、アルバムのなかだと"A day"はすごくきれいな曲で、ローレンスが賢さんの曲を気に入ってるっていう理由が、これ聴くとすごくわかる感じしますね。

STEREOCiTI:これは代々木公園の曲なの(笑)。ちょうどあの辺住んでた頃に作った曲。昼間をイメージしてる曲ってあんまりないんだけど。映像的な音楽ってすごい好きだから、どうしても映像と絡めたくなるっていうか。例えば"Hotel Maroc"は、以前行ったモロッコの、華やかな表面の裏の、現地のベルベル人の私生活の土っぽいイメージで作った曲だし、"Klass"は、Naoki Shinoharaがやってる"klass"っていうパーティをイメージして作った曲。そんな風に、映像的なイメージから作ってる曲は多い。アルバム全体を通しての映像ってのは意識してないんだけどね。並べて気持ちのいい感じにしただけで。ただ最初の"kawasaki"と、最後の""Day By Day"は、全体の収拾をつけるために、イントロとアウトロで合わせて作ってる。やっぱりアルバムとして通して聴けるアルバムが好きで。アルバムとして成り立っていてすごい好きなのが、KDJの1stだったり、トータスの『TNT』とか。アルバムを通してひとつの世界観があるのを作りたかったんだよね。

METAL:白石さんなんかもまさにそういうタイプで、世界観、コンセプトの構築から入って、流れをつくって、っていうタイプですよね。

STEREOCiTI:俺はその逆。デザイナーだからかもしれないけど、元からある曲をどうはめていくか、どううまくまとめるかで映像やストーリーを作ったり、全体の辻褄を合わせていく感じなんだよね。まぁでも、深層に、芯に確実に流れている部分があるからまとめられるんだけどね。ホントにバラバラの曲たちではないからね。やっぱり自分で何百回も、死ぬほど同じ曲を聴きながら作ってて、それでもやっぱりいいな、何回聴いてもいいな、と思う曲だけを残してきたわけだから。

METAL:でもほんと、サウンド的、デザイン的な部分で取りざたされる作品は近年でもいろいろあるけど、こうしてコンセプトを立てて、しっかりストーリーテイリングされた作品ってのは、最近では珍しい種類のアルバムだと思うんですよ。

STEREOCiTI:そう言ってもらえるのも、自分がそういう映像的な部分が好きだし、ストーリーを作るのが好きだから、うまくデザインしてまとめただけで。さっき「打算的」って言ったのはそういう意味。

METAL:まぁでも、自身にとってもひとつのモニュメントというか、区切りというか。

STEREOCiTI:そうだね。いままでは後ろを見過ぎていたというか、これまでの精算に時間がかかっていたわけで。きちんと精算できたのかはわからないけど、一応の区切りにはしたいなぁと思っていて。

METAL:じゃあここから先は、まったく新しいことをはじめようと思ってる?

STEREOCiTI:そんなに理想があるわけでもないし、新しいことをやるぞ! みたいな気分ではないんだけど、単純に変わるだろうな、とは思ってる。

METAL:(唐突に、同席していたSTEREOCiTI夫人に対して)ステレオさんの曲は好きですか?

夫人:好きです。

STEREOCiTI:彼女のために音楽をやってるっていうのもあるから。アルバムのね、盤の内側にエッチングで文字が掘ってあるじゃない? 実はここにメッセージが入っていて。A面にしか入れてないし、これは言わなきゃ誰も気付かないと思うんだけどね。

取材:メタル、WHY(2011年8月01日)

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Profile

yasuda koichiroyasuda koichiro
1974年、福島県生まれ。フリーライター(クラブミュージックその他)。WHY名義のDJでは2012年まで白石隆之、METALと<SWEET>主宰、現在は渋谷reloveの<shower>などに参加。

Profile

メタルメタル/Metal
1981年、茨城県生まれ。DJ、ライター。METHANEの左。DJ WADAに師事。MOODMANの〈SLOWMOTION〉のラウンジDJ、DJ WADAの〈MOMENTS〉のオープニングDJを経て、現在はTANGO、弓Jとともに〈NYE〉、和歌山のKASAMATUと〈KILLING JOKE〉を不定期で開催中。

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