「Nothing」と一致するもの

Jagatara2020 - ele-king

 ビッグ・ニュースの到着だ。驚くなかれ、80年代バブル期の日本に抗い、駆け抜けた伝説のバンド、じゃがたらが復活する。それだけではない。年明け2020年、じゃがたらは江戸アケミ死後30年の沈黙を破り、Jagatara2020 として“みんなたちのファンファーレ”、“れいわナンのこっちゃい音頭”の新曲2曲を含むニュー・シングルをリリース。1月27日・28日には渋谷クラブクアトロでのライヴ、渋谷 LOFT9 でのイベントも決定している。また、長らく音源が絶版となっていたが、12月22日、旧BMGビクター発売音源全曲のサブスク配信開始予定。さらにまた、じゃがたらクラシックな2枚のアルバム『南蛮渡来』と『裸の王様』がアナログ盤として1月22日に発売決定!
 アフロ、ファンク、ダブなどを吸収したタフなサウンドと鋭く深い言葉の数々は、世相が荒れ、ひとが「生き方」に迷う21世紀の現在だからこそリアルに響くにちがいない。
 この記念すべき新たな船出を祝し、われわれエレキングも『別冊ele-king じゃがたら──おまえはおまえの踊りをおどれ』を刊行します! 江戸アケミの地引雄一によるインタヴュー2本(うち1本は未発表)、荏開津広によるインタヴュー1本のほか、南流石、OTO、EBBY、中村ていゆう、大平ソウリ、ヤギヤスオ、こだま和文らの最新インタヴュー、松原研二による未発表写真に加え、加藤典洋による「じゃがたら論」の再録、さらに磯部涼、荏開津広、栗原康、こだまたけひろ、志田歩、陣野俊史、高島鈴、高橋慎一、野田努、二木信、平井玄、古川日出男、松村正人らによる論考も収録。1月末発売予定。乞うご期待!

[12月18日追記]
 これはすごい……。1月27日に渋谷クラブクアトロで開催される Jagatara2020 のライヴ「虹色のファンファーレ」のゲスト・アーティストが発表されたのだけれど、鮎川誠(SHEENA & THE ROKKETS)、近田春夫(活躍中、LUNA SUN)、こだま和文、田口トモロヲ、不破大輔(渋さ知らズ)、いとうせいこう、町田康、Nobutaka Kuwabara(DEEPCOUNT)、高田エージ(SUPER BAD)、吹越満、大槻ケンヂ(筋肉少女帯、特撮、オケミス)、向井秀徳、永山愛樹(TURTLE ISLAND、ALKDO)、七尾旅人、折坂悠太と、そうそうたる、ほんとうにそうそうたる面子である。この日のライヴはいったいどうなってしまうのか!!
 あわせて、1月29日にリリースされるシングル「虹色のファンファーレ」のアートワークも公開されている。詳細は下記より。

Jagatara2020、1/27渋谷クラブクアトロにて開催の「虹色のファンファーレ」のゲスト・アーティストを発表! 併せて1/29発売のジャイアント・シングル「虹色のファンファーレ」のカヴァー・アートを公開!

1990年に中心人物のヴォーカルの江戸アケミの急死により解散してしまった、日本のロック史を語る上で絶対に欠かすことのできない最重要バンドのひとつ、JAGATARA。2019年3月に伝説のイベント、TOKYO SOY SOURCE 2019 において Jagatara2020 として完全復活した彼らが、江戸アケミのちょうど30回目の命日となる2020年1月27日(月)に渋谷クラブクアトロにて開催するイベント、「虹色のファンファーレ」の豪華ゲスト・アーティストを発表!

ゲスト・アーティスト
鮎川誠(SHEENA & THE ROKKETS) / 近田春夫(活躍中、LUNA SUN) / こだま和文 / 田口トモロヲ / 不破大輔(渋さ知らズ) / いとうせいこう / 町田康 / Nobutaka Kuwabara(DEEPCOUNT) / 高田エージ(SUPER BAD) / 吹越満 / 大槻ケンヂ(筋肉少女帯、特撮、オケミス) / 向井秀徳 / 永山愛樹(TURTLE ISLAND、ALKDO) / 七尾旅人 / 折坂悠太

併せて、じつに30年ぶりの新曲に当時の未発表曲を追加収録し、Jagatara2020 として2020年1月29日(水)にリリースするジャイアント・シングル「虹色のファンファーレ」のカヴァー・アートを公開!

カヴァー・アート

日本のロック史における最重要バンドのひとつ、JAGATARA が奇跡の復活! Jagatara2020 として30年ぶりの新曲を発表! 当時の未発表曲を追加収録したジャイアント・シングルをリリース! リリース記念ライヴ&イベントも決定!

■1990年、中心人物のヴォーカルの江戸アケミの急死により解散してしまった、日本のロック史を語る上で絶対に欠かすことのできない最重要バンドのひとつ、JAGATARA。江戸の追悼イベントなどの形でその後も何度か集結していた彼らが、2019年3月、伝説のイベント、Tokyo Soy Source で Jagatara2020 として完全復活。じつに30年ぶりの新曲に、当時の未発表曲を追加収録したジャイアント・シングルをリリース。

■なによりもまず、新曲2曲がすばらしい。どちらも Oto の作曲で、南流石の作詞・リード・ヴォーカルによる「みんなたちのファンファーレ」は、JAGATARA 再始動を自ら祝うかのような、文句なしに楽しい祝祭性に満ちあふれた楽曲に仕上がっている。TURTLE ISLAND/ALKDO の永山愛樹の作詞・リード・ヴォーカルによる「れいわナンのこっちゃい音頭」は、辺境グルーヴと日本の音頭のハイブリッドといった感のきわめて秀逸なナンバー。どちらも西アフリカあたりの音楽のにおいを感じさせる、JAGATARA ならではの作品。そして、特筆すべきはそのフレッシュさだ。全編からあふれ出るみずみずしさ、新鮮さは、往年のファンはもちろん、JAGATARA 未体験の音楽ファンをも魅了すること間違いない。

■Oto 厳選の未発表曲もすごい。江戸アケミのお気に入りだったという「LOVE RAP」の1988年のライヴ録音、1983年のEP「家族百景」所収の「プッシー・ドクター」の1989年ライヴ録音ロング・ヴァージョン、江戸のギター弾き語りにフールズの伊藤耕がコーラスを付けた(それだけでも感動的だ)「へいせいナンのこっちゃい音頭」(1989年未発表ライヴ録音)の3曲。これは期待せずにはいられない!

■本作のリリースを記念し、渋谷クラブクアトロでライヴ、渋谷 LOFT9 でイベントの開催も決定している。

《商品情報》
アーティスト:Jagatara2020
タイトル:虹色のファンファーレ
レーベル:Pヴァイン
商品番号:PCD-20420
フォーマット:CD
価格:定価:¥2,000+税
発売日:2020年1月29日(水)

収録曲
1. みんなたちのファンファーレ (新曲)
2. れいわナンのこっちゃい音頭 (新曲)
3. LOVE RAP (1988年/未発表ライヴ録音)
4. プッシー・ドクター (1989年/未発表ライヴ録音)
5. へいせいナンのこっちゃい音頭 (1989年/未発表ライヴ録音)
6. みんなたちのファンファーレ (インスト)
7. れいわナンのこっちゃい音頭 (インスト)

《ライヴ/イベント情報》
Jagatara2020「虹色のファンファーレ」
公演日:2020年1月27日(月)
会場:渋谷 CLUB QUATTRO
www.club-quattro.com/shibuya
出演:Jagatara2020
Oto(G) / EBBY(G)/ 中村ていゆう(Dr) / 南流石(うた) / ヤヒロトモヒロ(Per) / エマーソン北村(Key) / 吉田哲治(Tp) / 村田陽一(Tb) / 宮田岳(B) / 関根真理(Per) / ko2rock(Sax) / 西内徹(Sax) / 桜井芳樹(G)

ゲスト・アーティスト [*12/18追記]
鮎川誠(SHEENA & THE ROKKETS) / 近田春夫(活躍中、LUNA SUN) / こだま和文 / 田口トモロヲ / 不破大輔(渋さ知らズ) / いとうせいこう / 町田康 / Nobutaka Kuwabara(DEEPCOUNT) / 高田エージ(SUPER BAD) / 吹越満 / 大槻ケンヂ(筋肉少女帯、特撮、オケミス) / 向井秀徳 / 永山愛樹(TURTLE ISLAND、ALKDO) / 七尾旅人 / 折坂悠太
※ゲスト表記順は年功序列とさせて頂いております。

時間:18:00開場 / 19:00開演
料金:前売6,000円 / 当日6,500円(ともにドリンク代別)
1/27~28通し券:10,000円(各日ドリンク代別) ※60枚限定 ※1/28はお土産つき
チケット発売:
・Jagatara2020 Official Site 優先予約 11/27(水)12:00より jagatara2020.com
・QUATTRO WEB先行予約 11/28(木)12:00より(11/29(金)18:00まで) https://www.club-quattro.com/tickets/
・渋谷CLUB QUATTRO店頭 12/01(日)11:00より ※12/02以降は営業時間内に限る
・プレイガイド(e+、チケットぴあ、ローソンチケット) 12/01(日)10:00より
※Jagatara2020 Official Site、及び渋谷 CLUB QUATTRO 店頭発売でのチケットはオリジナルチケットとなります。
※通し券の発売は、Jagatara2020 Official Site と渋谷 CLUB QUATTRO 店頭のみとなります。

Jagatara2020「Jagatara2020ナンのこっちゃい生サロン」
開催日:2020年1月28日(火)
会場:渋谷 LOFT9 Shibuya
www.loft-prj.co.jp/loft9
出演:Oto / EBBY / 中村ていゆう / 南流石 / 宮田岳 / and more ※Guestあり(後日発表)
-トーク&ミニライブ・レア映像・Jagatara 生カラオケ大会など予定-
時間:18:00開場 / 19:00開演 ※物販の販売は17:00より
料金:前売4,000円 / 当日4,500円(ともにドリンク代別)
チケット発売:
・Jagatara2020 Official Site 優先予約 11/27(水)12:00より jagatara2020.com
※チケットはオリジナルチケットとなります。
※1/27~28通し券については、1/27の情報をご覧ください。

Jagatara2020
江戸アケミを中心とする日本のファンク・ロック・バンド、JAGATARA(じゃがたら)。1979年3月に江戸&じゃがたらとして活動を開始。1982年5月、暗黒大陸じゃがたら名義で今や日本のロックの金字塔となったデビュー・アルバム『南蛮渡来』を発表。各方面で高い評価を得る。1983年、バンド名をじゃがたらに改称。1983年末から1985年夏にかけて、江戸の精神的不調により活動休止。1986年頃から JAGATARA という表記を使用しはじめる。1989年4月、アルバム『それから』でメジャー・デビュー。そのわずか7ヵ月後の1990年1月27日、江戸の急死により解散。2019年3月、約30年ぶりに開催された伝説的ライヴ・イベント、Tokyo Soy Source にて、残ったメンバーにより Jagatara2020 として復活。江戸アケミの志を受け継ぎ、活動を再開。
www.jagatara2020.com

ジョーカー - ele-king

 公開前から賛否両論で異例の盛り上がりが生じた、バットマンの有名な悪役ジョーカーのオリジンを描いた話題作。煽りだけで終わることなく封切ったら実際に大ヒットし社会現象化した感すらあるが、筆者は「これがヴェネチア金獅子? スキャンダラスで大胆?」と首を傾げずにいられなかった。
 R指定映画だけに、なるほど暴力描写は手加減なし。しかし、アメリカで「インセルたちのヒーローか」との声もあがった主人公ジョーカー/アーサー・フレックはコメディアンを夢見る派遣ピエロ。孤独なヴィジランテでも無差別テロリストでもないし、観て心がざわつく、本当の意味で物騒な作品でもなかった。悪運続きで崖っぷちに追い込まれた窮鼠であるアーサーは、危険なヒーローではなくむしろ憐憫を誘うだろう。
 監督トッド・フィリップスは本作を「独自の世界で起こるもので、過去および未来のDC作品とは一切繫がりがない」と位置づけている。しかしバットマンの文脈を物語に取り入れているので、既によく知られたキャラクターの知られざる前身を観る側に発見させるさりげなさには欠ける。こじつけっぽく含まれた社会派な背景音も、ひとりの人間の内面と変容をじっくり追った作品の主調と不格好にクラッシュする。今風な「貧困層対1パーセント組」の対立図式が含まれるものの、一方で台詞のある黒人キャラクター3名はいずれも「(白人)主人公をケアし、そのニーズに応える役柄」と、古いステレオタイプを踏襲しているのも後味が悪い。
 1970年代後期〜80年代のニューヨークを舞台に人間の狂気をサタイアも交えて掘り下げるのであれば、『ジョーカー』が色んな意味で多くを負っているマーティン・スコセッシの『タクシー・ドライバー』と『キング・オブ・コメディ』、シドニー・ルメットの『狼たちの午後』、『ネットワーク』を観ればいいかと。まんまとハイプに引っかかってしまった、己の野次馬根性の負けである。

 それでも、ホアキン・フェニックスは観るに値する。映像になっても減少しない強い存在感と性格俳優の面を兼ね備えた彼は、特に10年代以降スパイク・ジョーンズ、ポール・トーマス・アンダーソンら「作家」から引っ張りだこになってきた。会話は多くない、ページ数にしたらかなり薄そうな脚本を、ホアキン自身が経験値と想像力とで立体化し厚くし、可視化している。しかも『マシニスト』のクリスチャン・ベールばりの熾烈な減量も敢行していて、半裸シーンは観ていて痛々しい。役に合わせて体重を増減させルックスを変えるカメレオンと言えば『ジョーカー』にも友情出演(笑)しているロバート・デ・ニーロの十八番だが、ホアキンの身体性豊かな全身を使っての演技には吸い込まれずにいられなかった。
 眉や頬の筋肉の動き、目の微妙な変化といった演技は、演劇にないクローズアップが可能な映画メディアで発展してきたメソッドだ。だが今ほど自由自在にカメラが動けなかった映画史初期はアクターのアナログな肉体は重要な要素で、ここでのホアキンはフィジカルとサイコロジカルな演技の双方をブレンドしている。フレッド・アステアの『踊らん哉』、チャップリンの『モダン・タイムス』が画面にチラッと登場するのはダンスやスラップスティックな動きへの目配せであり、グリーン・スクリーンとCGでなんでも可能な現代映画へのアンチだろう(貧しい工員が近代資本主義の工業化に揉まれ狂気に陥る『モダン・タイムス』は『ジョーカー』の青写真でもある)。
 アーサーの孤独なダンスは非現実的でフリーキーでありながら妙に優雅で、映画の見せ場だ。取り憑かれたようなその踊りは、白塗りメイクと濡れたロン毛、ズボンの裾から覗く細い足首と相まってふとマイケル・ジャクソンを連想するほど。しかしそれらダンス・シークエンスの数々が、主人公のナルシシスティックな妄想の視覚化ばかりか制作者側のナルシシズムにも見えてきたのは鼻についた。筆者にはむしろ、映画の冒頭・中盤・ラストと何度か登場するアーサーの疾走の方が印象に残る。
 疾走の性質は「追跡」から「逃走・脱走」に変化していくので、自らのアイデンティティを探し追っていた彼が、逆にアイデンティティから逃げてそれを喪失していく過程のメタファーにもなっている。しかし『ザ・マスター』でのフレディ・クウェルの走り方とも違うドタバタした走り方はどこか滑稽で、どっちに向かってもアーサーはどんづまりの道化であることを感じさせ、とても切ない。ニューヨークを舞台にした犯罪人間劇の秀作であるサフディー兄弟の『グッド・タイム』もよく走る映画で、あれもどんづまりだった。

 トッド・フィリップスはホアキン以外にジョーカー役を想定していなかったそうだが、その決定に彼の過去の主演作『ザ・マスター』およびリン・ラムゼイの『ビューティフル・デイ』(主人公ジョーはPTSDに苦しむローナーで母親とニューヨークにふたり暮らし、とアーサーの設定と少々被る)がフィードバックしていると感じたのは筆者だけではないだろう。しかもフィリップスは「コミック映画ではなく、『本物の映画』を作る」が『ジョーカー』の基本コンセプトだったと明かしてもいる。コメディ映画をさんざん作ってきた人間に、「漫画映画はリアルな映画じゃない」と否定されたくはない。
 百歩譲って、監督自身が『ハングオーバー!』他で当てた自らのパブリック・イメージが邪魔になることを危惧してシリアスさを強調しているのだとしても、大人向けの本物の映画に脱皮する踏み台として、ハイブロウなアート/インディ系映画役者であるホアキンのハクと演技力が利用されたとの印象は残る。人間と社会を描く映画を目指しながらも、DCブロックバスターの枠組みに手を縛られ、そもそもオリジンがないキャラクターが生み出す余白を映画好きをくすぐるテクニックやリファレンスのオンパレードで埋めたことで中途半端になったこの作品、いささか「仏作って魂入れず」な1本だと思う。

『ジョーカー』本予告

NITRODAY × NOT WONK - ele-king

 ミニ・アルバム『少年たちの予感』が話題のニトロデイが、年明けの1月12日に新代田FEVERにて自主企画イベント《ヤングマシン4号》を開催する(この日はヴォーカル小室の20歳の誕生日なのだという)。共演相手に選ばれたのはなんと、こちらも今年話題のアルバム『Down the Valley』を発表した NOT WONK! これは素敵な一夜になりそうだ。詳細は下記をば。

NITRODAY、ヴォーカル小室の20歳の誕生日となる、2020年1月12日(日)新代田FEVERにて自主企画ヤングマシン4号を開催!
共演は NOT WONK が決定!

来年2020年1月12日(日)NITRODAYヴォーカル小室の記念すべき20歳の誕生日に、自主企画シリーズ「ヤングマシン」の第4回「ヤングマシン4号」の開催が発表された。
対バンは以前自身のツアーにも招き、メンバーがリスペクトを公言している、NOT WONK の出演が決定!

まさにヤングでロックでオルタナティブな夜になること間違いない。
先行受付も本日からスタートするので、ロックファンは間違いなく来て欲しい夜になるだろう。

【LIVE INFO】
ヤングマシン4号
2020年1月12 日(日)東京・新代田FEVER
出演:NITRODAY / NOT WONK and more...
open 17:30 / start 18:00
2,800円(ドリンク代別)

オフィシャル先行受付
11/22(金)12:00~12/1(日)23:00
https://www.nitroday.com/

NITRODAY "ブラックホール feat.ninoheron" (Official Music Video)
https://youtu.be/YCz0RcZWXHA

NITRODAY "ダイヤモンド・キッス" Official Music Video
https://youtu.be/Q_B-7kmMcjc

NITRODAY "ヘッドセット・キッズ" Official Music Video
https://www.youtube.com/watch?v=GAysdh-dL1U

“少年たちの予感”各配信サイト
https://ssm.lnk.to/premonition_of_kids

NITRODAY
NEW MINI ALBUM「少年たちの予感」
発売日:2019年10月23日(水)
税込価格:¥1,650 税抜価格:¥1,500
品番: PECF-3244
収録曲
01. ヘッドセット・キッズ
02. ダイヤモンド・キッス
03. ブラックホール feat.ninoheron
04. アンカー
05. ジェット (Live)
06. ボクサー (Live)
07. レモンド (Live)
08. ユース (Live)

【other live】

■2019年12月8日 「極東最前線~にゅーでいらいじんぐ2019~」 
会場:渋谷CLUB QUATTRO 出演)eastern youth / NITRODAY

■2019年12月13日 「Doors Music Apartment -1213-」
会場:仙台LIVE HOUSE enn2nd + 3rd 
出演:NITRODAY / オレンジスパイニクラブ / osage、Slimcat / TETORA / CRYAMY / MINAMIS

■2019年12月20日 「年末調整GIG 2019」
会場:名古屋CLUB UPSET
出演:EASTOKLAB / キイチビール&ザ・ホーリーティッツ / PELICAN FANCLUB / NITRODAY

■2019年12月31日 「AFOC x Shelter presents ROCK 'N' ROLL NEW SCHOOL 19/20」
会場:下北沢SHELTER
出演:a flood of circle / SAMURAIMANZ GROOVE / The ManRay / THE PINBALLS /突然少年/ NITRODAY  / DJ:片平実 [Getting Better]

■2020年2月15日 「ROOTS NEW ROUTE TOUR」
会場:心斎橋Pangea
出演:Jurassic Boys / No Buses / CAR10 / NITRODAY / DJ:DAWA [FLAHE RECORDS]

■2020年2月16日 「ROOTS NEW ROUTE TOUR」
会場:名古屋CLUB ROCK'N'ROLL
出演:Jurassic Boys / No Buses / CAR10 / NITRODAY / DJ:⽚⼭翔太(BYE CHOOSE)

【PROFILE】
小室ぺい(ギボ) やぎひろみ(ジャズマスター) 松島早紀(ベイス) 岩方ロクロー(ドラムス)

独特の語感で描かれる小室の歌詞世界を軸に、様々なロックミュージックへのリスペクトと愛情を感じるサウンドをポップにそして、時にエモーショナルに表現し、今後の日本ロックミュージックを担うであろう大きな可能性を秘めたバンド。2018年7月2nd EP「レモンドEP」をリリースし、Apple Music「今週のNEW ARTIST」、SPACE SHOWER NEW FORCE 2018、タワレコ メンなどにも選出され、2018年12月1st アルバム「マシン・ザ・ヤング」をリリース。2019年3月22日新代田FEVERにてバンドとして初のワンマンライブを開催。7月19日渋谷WWWにて自主企画第3弾「ヤングマシン3号」を開催。そして11月より盟友betcover!!とのスプリットツアー“エノシマックスツアー”を開催中。

▼TOTAL INFO
NITRODAY OFFICIAL WEBSITE
https://www.nitroday.com/

Noah - ele-king

 Noah 『Thirty』は、いくつもの色彩が反射するダイアモンドのようなエレクトロニカ・ポップであり、ひとりの音楽の感性の中に瞬いた「光と旅と都市を巡る音楽」でもある。

 Noah は日本の電子音楽家だ。2009年より音楽活動を本格化させ、ピアノやクラシック音楽をベースにしつつ、繊細で緻密なエレクトロニカ/ポップな作品をリリースしてきた才人である。代表作をひとつ挙げるとするならば東京の音響レーベルの老舗〈Flau〉から2015年にリリースされ、英国『ガーディアン』誌で絶賛されたという『Sivutie』だろうか。

 「白昼夢」の世界を描いたという『Sivutie』から4年を経て発表された作品が、新作『Thirty』である。本作品において Noah は「自分が自分でないような」感覚をカラフルな現実として表現していく。「東京」という都市が現実と虚構の狭間で色彩豊かに生成するような感覚とでもいうべきか。じじつこの4年のあいだに Noah は故郷の北海道を離れて東京を活動拠点とするようになったという。『Thirty』には未知の都市に対する繊細な感性が横溢している。

 そう、エレクトロニカにおいて私たちはいつもひとりの音楽家の感性と感覚と認識と感情を知ることになる。エレクトロニカはとてもパーソナルな音楽なのだ。Noah の音楽も都市が放つ粒子の只中で、自身の「声」を生成する。「声」とはいわゆる人の声だけではない。音楽の、音響の、和声、旋律の中に息づいている音楽家の「声」だ。
 私たちはすぐれた音楽を聴くと、たとえインストの楽曲であっても作曲した音楽家の「声」を感じることがある。例えば坂本龍一のピアノ曲。彼のハーモニーは、その音楽の「声」だ。近年ではフローティング・ポインツのトラックに彼の「声」を聴き取ることができた。Noah の楽曲も同様である。彼女の音楽には、彼女にしかない響きがあった。たとえばそのハーモニーに、そのメロディに、そのノイズに。

 本作『Thirty』は Noah の新しい代表作に思えた。『Thirty』は前作『Sivutie』以上にポップなトラックを収録している。電子音響のカーテンのように幕開けを告げる“intro”、ダンサブルなエレクトロニカ・ディスコ“像自己”、ピアノと電子音とヴォイスが交錯するオリエンタルな“夢幻泡影”、エキゾチック・エレクトロニカ・ミニマル・ミュージックとでも形容したい“18カラット”、80年代香港ポップをエレクトロニカ経由で粒子化したような“メルティン・ブルー”、硬質なムードに満ちたラグジュアリーでインダストリアルな“愛天使占”、シンプルなメロディとミニマルな電子の交錯が心地よい“シンキロウ”、エレピの響きとハイハットの刻みの中心に空間的な静寂のなか中華的なメロディと微かな電子音が交錯する“風在吹”、アップテンポの4つ打ちビートとディスコ的なベースラインと麗しい音響処理による“像自己 alternative ver.”。

 全曲 Noah という音楽家の作曲家としての力量とサウンドメイカーとしての繊細さと緻密さが交錯しており、現時点での彼女の最高傑作といっても過言ではないだろう。2018年にリリースされた Teams と Noah と Repeat Pattern による『KWAIDAN』での制作が、『Thirty』にも大きな影響を与えているのでないかと想像してしまった。

 『Thirty』を聴くこと。それは見知らぬ都市を訪れたときに感じる未知の「光」を感じる経験に似ている。都市の放つ光に目が眩む感覚。この作品には、どこかそのような旅行者の意識を感じた。その場のすべてを吸収するように移動を重ね、意識と感覚を飛躍させる未知なる都市の旅人たちと同じように、本作の楽曲たちは、どこか「次」へと向かおうとする意志を放っていたのである。
 ここではないどこかへ。仮想と現実の彼方へ。エレクトロニカ、ポップ、オリエンタル、クラシック、ヴェイパーウェイヴ、アジアン・ポップなど軽やかにステップしつつ、まるでダイアモンドのように華麗な光を放つ本作を聴きながら、私はすでに Noah の次回作がいまから楽しみになっている。

NYクラブ・ミュージックの新たな波動 - ele-king

 日本では平成から令和へと新たな元号を迎え、アメリカではバラク・オバマからドナルド・トランプへ大統領が交代するなど歴史的な瞬間の多かった10年代はあと1ヶ月残し、もうすぐ20年代が始まろうとしている。
 10年代を振り返ると、iPhone をはじめとするスマホが瞬く間に世界へ浸透し、万国共通のソーシャル・ネットワーキング・サービスはフェイスブックから同じくフェイスブック社が2010年に開発したアプリ、インスタグラムへシフト。Spotify や Apple Music などの音楽ストリーミングサービスが日常の一部になるどころか、そういったサービスにわざわざ加入しなくても YouTube や SoundCloud などの無料の共有サービスによって、メディアを使わずにスマホひとつで音楽を聴くことができるエポックメーキングな時代に変わった。
 出だしが長くなったけれど、ここで触れたいのは、時を同じくして変化していったNYはブルックリンのミュージック・シーン。それも、今では世界的な実力のある Anthony Naples や Aurora Halal らを筆頭に、“NYサウンドの新世代”ともいえる10年代のユース・カルチャー・シーンについて紹介していきたい。

 00年代、NYのハウス・ミュージック・シーンにおいて唯一無二の存在は、かつてマンハッタンのミートパッキングにあった「Cielo Club」。2003年にオープンしてから François K. や Louie Vega、Kenny "Dope" Gonzalez などの名だたるメンツがレジデントDJを務めるハイクラスなレギュラー・パーティが話題を集め、翌年(2004)にはアメリカの「Best Club- Dancestar Awards」を受賞。ウィリアムズバーグにあった共同オーナーのヴェニュー「Output」とともに今年始めに幕を閉じるまでの15年間、とにかく“グッド・ミュージック”を提供し続けた老舗だ。
 そんなパーティへ遊びに行っていたヤング・ジェネレーションにとっても前述したようなDJがビッグネームであることには間違いないが、彼らが目指したスタイルは一時代を築いたDJたちと同じものではなかった。むしろ「自分たちと同世代がやりたいことをやれるような場所がNYには少なかった」と話す当時まだ名もないDJや、DIYで新しいことを始めたいと思う人たちによって、NYのダンス・ミュージック・シーンは2010年を境に、地価の高騰するマンハッタンからやりたいことを合理的にできるブルックリンへと移り変わっていった。

 今年11月、再び日本で開催された「Mister Saturday Night」は、まさにそんな時代背景を写したようなブルックリンを代表するパーティのひとつだ。『ガーディアン』誌で“NYで最も優れたDJデュオのひとつ”と称賛された、アイルランド人の Eamon Harkin とアメリカ人の Justin Carter のふたりは、00年代後半にマンハッタンの老舗「Santos Party House」で前身となるパーティをスタート。その後ブルックリンに拠点を移し、ゴワナスのバックヤードやロフトスペースなどのオープンエアーな場所を利用したデイタイムの屋外パーティ「Mister Sunday」を始め、ここだけでしか体験できないDIYなスタイルの「Mister Saturday Night」へと大成させた。
 そんなパーティの常連であるNYのアーティストを取り上げていくことを当初のコンセプトに、2012年には同名義のレーベルを設立。パーティから生まれた理想的なレーベルの第1弾には、まさに当時フロアで踊っているうちのひとりにすぎなかった Anthony Naples をフィーチャーしたEP「Mad Disrespect」をリリース。シカゴ・ハウスのようなドラムマシンにエモーショナルなヴォーカルを乗せたソウルフルなサウンドは、ピークの「Mister Saturday Night」のフロアを思い起こさせる、“新時代のエクスペリメンタルなトラック”として注目を集めた。その後、Hank Jackson や気鋭のデュオ General Ludd などを次々と世に送り出しただけでなく、2015年には「Mister Saturday Night」のホームとして、今のブルックリンで最も旬なヴェニュー Nowadays もオープン。最初は屋外のスペースだけで運営をしていたが、2017年にはより多角的なパーティをおこなうことを目的とした屋内のフロアをオープンさせ、キレイで快適なメインフロアとレストラン&バー、好きな時にチルアウトできる屋外スペースを備えた“現代の大箱”を作り上げた。


Nowadays flyer


DJ Python@Bossa Nova Civic Club

 ここで「Mister Sunday」が開催されていることは言わずもがな、2010年以降に頭角を現しヨーロッパを中心に世界でプレイするほど人気DJとなった Anthony Naples や Aurora Halal、DJ Python などの新世代がレジデントを務めるハウス、テクノのパーティがスケジュールのほとんどを占める。2018年末のカウントダウン・パーティへ行った時は、なんと24時間という長丁場で、22時までは床に敷いたマットに寝そべりながらNYの気鋭なレーベル〈RVNG Intl.〉ファウンダー Matt Werth らによる上質なアンビエントを、朝8時まではレジデントDJたちによるカッティングエッジなテクノを、そして、昼14時まではこの日のゲストであった Theo Parrish による往年のハウスやディスコをフロアに残ったまだまだ遊び足りないみんなで聴いて、踊り明かすような、いい意味で新しい世代にバトンが渡っている場所だと思った。


Nowadays flyer 2018-2019 New Years Party "Nowadays Nonstop"

 「Mister Saturday Night」はさておき、圧倒的にヴェニューが不足していた同時期に、同じくブシュウィックで確立していった特筆すべき場所がもうひとつ。話を10年代初期に一旦戻すと、ベルリンを中心に世界的にミニマル・テクノが主流だった当時、NYのダンス・ミュージック・シーンに新風を吹き込んだのが2010年に設立された〈L.I.E.S. Records (Long Island Electrical Systems、以下L.I.E.S.)〉だ。ファウンダーの Ron Morelli は、ダンス・ミュージックをソフトウェアで作るという当時のスタイルを覆し、今でこそ「ローハウス」といわれるようなザラついたローファイなエレクトロニック・サウンドをDIYで作り、打ち出してきた人物。

 2012年にオープンしたバースタイルの「Bossa Nova Civic Club」は、そんな Ron Morelli を筆頭に〈L.I.E.S.〉が才能を見出したまだ無名の Terekke や Bookworms、DJ Steve O たちがプレイし、当時まだアンダーグラウンドだったサウンドがひとつのジャンルとして確立されていくとともにメイド・イン・ブルックリンのキャッチーなダンス・ミュージックを聴ける場所として不動の地位を築いた。〈L.I.E.S.〉を目当てに通うパーティ・フリークはとにかくぶっ飛んで踊り狂い、100人キャパほどの小さいフロアでありながらもほかのヴェニューと一線を画す、強烈なエナジーがここにはあった。


Bossa Nova Civic Club のバー

 オープンからずっとパーティを続ける Bookworms や、同じくスターティング・メンバーで Anthony Naples のレーベル〈Incienso〉からリリースされたLPが注目を集める Beta Librae、この場所で始まった女性特定のDJ集団「Discwoman」の中心メンバー Umfang、〈White Material Record〉のメンバーでハウス・ミュージックの新星 Galcher Lustwerk などがプレイする今でも、その勢いはほとんど変わらないと思う。もちろんほかに新しくできたヴェニューへ移っていくDJもいるけれど、オープン初期にプレイしていたDJたちが今のブルックリンのダンス・ミュージック・シーンで活躍していると言っても過言ではない。
 ちなみに、10年代初期からDIYを掲げたウェアハウス・パーティを開催する Aurora Halal が主宰し、2014年にスタートしてから今では1000人限定の“特別なパーティ”となるまでに成長したNYで数少ない野外レイヴ・パーティ「Sustain Release」のセカンド・ステージには「Bossa Nova Civic Club」の名前がつけられている。それほど、10年代のダンス・ミュージック・シーンにとってここは重要なポジションであり、オーナーの John Barclay はシーンの立役者でもあるということだ。

 そんなわけで、この10年代をざっと振り返ってみるとブルックリンこそ、冒頭で話したスマホ並みにエポックメーキングなミュージック・シーンに変わった。そんな新世代のアーティストをこれから取り上げていこうと思う。

Squarepusher - ele-king

 先日の〈Warp〉30周年記念公演《WXAXRXP DJS》において、実質ライヴのような強烈なDJをかましてくれたスクエアプッシャーだけれど、なんと年明けにニュー・アルバムがリリースされる。タイトルは『Be Up A Hello』で、1月31日発売。最近はオルガン奏者ジェイムズ・マクヴィニーの作品に関わるなど、ずっと活動を続けていたトム・ジェンキンソンではあるが、スクエアプッシャーとしてはじつに5年ぶりのフル・アルバムとなる。年内12月6日に発売される先行12インチから“Vortrack”とそのセルフ・リミックス“Vortrack (Fracture Remix)”の2曲が公開されているが……これはかなり90年代っぽい? 原点回帰? アルバムへの期待が昂まるぜ。

[12月9日追記]
 更新情報です。先週末発売となった先行シングル「Vortrack」を購入すると、ボーナストラック“Vicsynth1.3 Test Track 1”がダウンロードできるそうです。さらに、1月31日発売のアルバム『Be Up A Hello』のTシャツ付きセット盤にも、それとは異なるボーナストラックが追加されるとのこと。これは嬉しいね!

5年ぶりの待望の最新アルバム『BE UP A HELLO』収録曲先行12インチ・シングル「Vortrack」に隠れボーナストラック!
アルバムのTシャツ付セットにも別のボーナストラックが追加!

〈Warp Records〉30周年記念イベント『WXAXRXP DJS』では、狂気じみたパフォーマンスで話題を集め、その後5年ぶりとなる最新作『Be Up A Hello』(2020年1月31日発売)のリリースも発表し、ファンを喜ばせたスクエアプッシャー。アルバムに先駆けて先週リリースされた12インチ・シングル「Vortrack」に封入されたダウンロード・カードから、表題曲“Vortrack”と自らリミックスした“Vortrack (Fracture Remix)”の他に、ボーナストラック“Vicsynth1.3 Test Track 1”が入手できることが明らかとなった。

さらに、アルバムと同時発売されるオリジナルTシャツ付セットにも別のダウンロード・ボーナストラックが追加されることが決定。90年代のアナログ機材が多用されたという最新アルバム『Be Up A Hello』の制作中、様々なアイデアを試み、様々な形でファンに届けようとするトム・ジェンキンソンの積極的な姿勢が垣間見られる。

スクエアプッシャー、5年ぶりの待望の最新アルバム
『BE UP A HELLO』を1月31日にリリース決定!
先行シングルと自身が手がけたリミックスを同時解禁!

常に新しい響きと新たな試みを求め、リスナーに驚きと衝撃を与え続けている唯一無二のアーティスト、スクエアプッシャーが5年ぶりとなる最新作『Be Up A Hello』(2020年1月31日発売)のリリースを発表! 先行シングル“Vortrack”、そして自らがリミックスした“Vortrack (Fracture Remix)”が同時解禁された。この2曲を収録した12インチは、アルバムに先駆け12月6日(金)にリリースされる。

Vortrack (Original Mix)
https://youtu.be/s3kWYsLYuHc

Vortrack (Fracture Remix)
https://youtu.be/59ke5hp-p3E

〈Warp Records〉が30周年を迎えた2019年、レーベルメイトのワンオートリックス・ポイント・ネヴァー、ビビオとともに3都市を巡った30周年記念イベント『WXAXRXP DJS』では、自身の楽曲群を用いて「もはやライヴでは?」と思わせるほどアッパーな高速ドリルンベース・セットを披露し、満員のオーディエンスを熱狂させたことも記憶に新しいスクエアプッシャー。そのセットにも組み込まれていた未発表の新曲も本作『Be Up A Hello』に収録となる。狂気じみたそのパフォーマンスには、直感と初期衝動に従って一気に完成させたというこの最新作の存在があり、本作を特徴付けた大きな要因に、90年代のアナログ機材を多用したという事実がある。エレクトロニック・ミュージックに目覚めた当時の思いや記憶を綴った日記のようでもあり、いつになくメロディアスで聞きやすい曲もあるのは確かだ。しかし、やはりその内容はスクエアプッシャーの音楽以外のなにものでもない。強烈で、スピーディで、目まぐるしくて、刺激的で、先の予測のつかないスクエアプッシャーの音楽だ。そして映像クリエイターのザック・ノーマンとトム自身がデザインしたアルバム・ジャケットには、『Do You Know Squarepusher』以来初めて、スクエアプッシャーのアイコニックなロゴも登場する。

自分がエレクトロニック・ミュージックを書き始めた頃、つまり90年代に自分が使っていた、そういう機材を使って新作を作りたいと思った。とにかくやりたかったのは、何かに取り組み、仕上げ、そして次に進む、ということ。今回のアルバムは直球で、インパクトに満ちた響きにしたかったんだ。 ──SQUAREPUSHER

最新アルバム『Be Up A Hello』は、2020年1月31日(金)発売。国内盤にはボーナストラックが追加収録され、解説書が封入させる。また数量限定でオリジナルTシャツセットも発売決定!

label: Warp Records / Beat Records
artist: Squarepusher
title: Be Up A Hello
release date: 2020.01.31 FRI ON SALE

国内盤CD BRC-624 ¥2,200+税
国内盤CD+Tシャツ BRC-624T ¥5,500+税

国内盤特典:ボーナストラック追加収録/解説書封入

label: Warp Records
artist: Squarepusher
title: Vortrack
release date: 2019.12.6 FRI ON SALE

輸入盤12inch WAP439

beatink:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10683

OGRE YOU ASSHOLE - ele-king

 取材で出張版「RECORD YOU ASSHOLE」を聞いていたところ、出戸学が重要なことを言ったことを、わたしは聞き逃さなかった。Pファンクふうの下卑たシンセサイザーが鳴り響くローファイなアフロ・ファンクをかけながら、出戸はこういった。「僕らの音楽もよく〈引き算している〉って言われるんですけど、作っている身としては、これでちょうどいいと思ってやっているんです」(https://mikiki.tokyo.jp/articles/-/23052)。イベントが終わってからも、その一言が頭の中でぐるぐると回り続けていた。

「引き算をする」とはダブの発想でもあり、先日立ち会った取材でエイドリアン・シャーウッドはそれを「less is more」といっていた。音と音の空隙が、音が鳴らないことが、残響と反響が多くを雄弁に語る、ということ。「新しい人」というこのアルバムのタイトルがフィッシュマンズのヘヴィなダブ・ソングをフラッシュバックさせるとしても、あくまでも音楽的には「これでちょうどいい」と考える OGRE YOU ASSHOLE のこころみは、それとはまたちがう。

 あるいは、ミニマル・ミュージック。もちろん、「minimal」とは「最小の」を意味する形容詞である。一般論をいうなら、「ミニマル」であることは、楽器の音の少なさ以上に「静的」であることが重要だ。つまり、おごそかで、ドラマティックで、耳が訓練された者にとって聞き心地のよい「動的」な機能和声をあからさまに無視し、和音を進ませないこと。同じ和音にとどまり、それを反復し、執拗に繰り返すこと。それは、西洋古典音楽が築き上げてきた大伽藍の否定形のひとつでもあった。

 だがしかし、「引き算をしている」かのように聞こえる OGRE YOU ASSHOLE の曲からは、たいていポップスやロック・ミュージックとしての和声の展開を聞くことができる(独自に変形し、奇形化した J-POP やこの国のロック・ミュージックなどと比べれば当然、ひじょうに簡素なものではあるが)。さらには、2本やそれより多くのギター、ベース、ドラムス、ヴォーカルが、「きちんと」聞こえてくる。またこの『新しい人』の多くの曲では、シンセサイザーやパーカッション、さらにはドラム・マシーンが鳴っている。ということは、「引き算」はされていないのではないか。OGRE YOU ASSHOLE は、音を少なくすることで多くのことを語ろうとするのではない。あるいは、ポップスとしての和声を放擲して、それらを否定してやろうというのではない。

 しいていうなら、楽器の音が重ならないようにして音が鳴らされていることは、たしかである。だから、「引き算をしている」かのように聞こえるのだろうか。OGRE YOU ASSHOLE の曲は、かみあわせのわるいパズルのピースがむりやり組み上げられているかのように、それぞれの楽器が順々に音を発し、ときにだらしなくかさなりあうことでできあがっていて、きちっとした音の咬合感、心地よさをあじわわせてはくれない。そうして、出戸の「これでちょうどいいと思ってやっているんです」という言葉にまた立ち返ることになる。どうどうめぐり。

 だから OGRE YOU ASSHOLE の音楽は、まるみをおびた音色のきわめて自覚的な選択もあいまって、研ぎ澄まされているというよりは、なまぬるく、まぬけですらある。とあるインタヴューでバンドのギタリスト、馬渕啓が「チョーキングしてもどこか無表情」と語っていたように(https://www.cinra.net/interview/201910-oya_ymmts)、OGRE YOU ASSHOLE の音楽においてギターの弦をくいっと指でもちあげることによるピッチの上昇が、なにかしらの情感やムードの変化を生むことはない。あるいはそれは、『新しい人』の音楽的なトピックであるアナログ・シンセサイザーの重用にしても同様で、“さわれないのに”や“過去と未来だけ”では、シンセサイザーがごくシンプルなリード・メロディをふぬけた単音で奏でているが(ロックやポップでシンセサイザーが試用されはじめた黎明期のころの音楽をほうふつとさせる)、機械的であるのではなく、ただひたすらにけだるい。“さわれないのに”のシンセサイザーのうねり、“自分ですか?”のモジュレーション、“朝”のスライド・ギターにしてもまたおなじである。ただそれらを耳にしても、あっ、なんかちょっとピッチが上がったな、なめらかにピッチがうつりかわったな、メロディっぽく聞こえるな、くらいの、微温の感想をせいぜい覚えるくらいのもの。まるで、道ばたに落ちているくしゃくしゃになったコンビニ店のビニール袋をちらっと見るくらいの感覚で。

 では、OGRE YOU ASSHOLE が引き算しているものとはなんなのか。それは、きわめてありがちで、おもしろみのない、そして抽象的な回答ではあるものの、エモーションである、というほかない。出戸は表題曲で、「新しい感情が生まれてくる」と、ぬるっと歌う。そこには、「新しい感情が生まれてくる」気配やムードは、からきしない。そもそもミシェル・ウエルベックの『素粒子』をリファレンスにしたという“新しい人”の詞は、2019年を生きる者にとって理解しえない、(そして、むこうにとってもこちらを理解しがたい)「新しい人」からの視点で書かれているのだという。この「新しい人」とは、「現代社会の苦々しい部分」を「克服した高次の存在」で、「遠い未来の人類」だと。つまりそれは、共約不可能な、まったき他者、ということである。そんな他者を想像し、ましてやその視点から歌うことなど、できないはなしなのではあるが、OGRE YOU ASSHOLE は、出戸は、それをやってみようとしている。そのためになされたことは、エモーションを極限までうすめ、なくすことである。いうなれば OGRE YOU ASSHOLE の引き算された(ように聞こえる)音楽とは、そして彼らのミニマリズムとは、「エモーションレス」といいあらわすのが近い。

 しかしそれは、たとえば「ひとの感情の機微を描いた」といった、わかりやすく経済的なキャプションには回収されない。「わかってないことがない」という二重否定の、二度目の否定が顔を現す寸前にがくっとずっこけ、しずみこむ、解決の延期とサスペンション。「さわれないのに」という逆説における、次のセンテンスの不在感。こうした「なにかがない」感覚は、繊細で微妙なエモーションですらなく、繊細さや微妙さも抜け落ちた、たしかな欠損感である。あるべきところになにかがない。なにかがすっぽりと、確実に抜け落ちている。しかし、その抜け落ちたものがなんなのかわからない。さらには、その欠損箇所がどこなのかもよくわからない。こういった、きわめて現代的で奇妙な感覚を、OGRE YOU ASSHOLE は奏で、歌っている。

『新しい人』は、たしかに OGRE YOU ASSHOLE の、現在のところの最高到達点である、と言ってしまおう。サイケデリアでもメロウネスでもなく、確実な欠損を(もしその欠損がエモーションというかたちになるとすれば、それは「かなしみ」であると、わたしは思う)、彼らは音楽にした。不在感がただあること、『新しい人』ではそれが鳴らされているのだ。

Moor Mother - ele-king

 この音楽はぼくにある光景を喚起させる。デトロイトにおいてテクノなる音楽が、すなわちたかが音楽と我々日本人が思っているモノが社会的なパワーとリンクすることを本気で目指していたあの時代のあの光景である。いや、それは彼の地においてまだ終わったことではない。
 そもそも高橋勇人が悪い。昨日、スカイプ越しにロンドンの彼から、チーノ・アモービはテクノ史におけるアンダーグラウンド・レジスタンスのような存在だと評論家サイモン・レイノルズがピッチフォークで書いているという話しをされた。そのときは、まあたしかになぁとは思ったけれど、しかし帰り道で、いや待てよ、現代のアンダーグラウンド・レジスタンスという言い方がもし許されるというなら、それはフィラデルフィア出身のムーア・マザーのほうがより相応しいのではないかと思い直した。それでこうして、深夜に書きはじめているのである。
 ムーア・マザー(本名:Camae Ayewa)の音楽は、アミリ・バラカ、サン・ラー、Pファンク、パブリック・エナミー、UR、ドレクシア、あるいはサミュエル・ディレイニーやオクタヴィア・バトラーのようなSF作家、これらアフロ・フューチャリストたちの系譜の現在地点である。すなわち西欧文明支配の社会に対する抵抗者であり、ジェイムズ・ブラウンやサム・クックのソウル、ボブ・マーリーやラスト・ポエッツを息を吸うように吸収し、そしていま思い切り吐き出している抗議の音楽。ついに出たか。
 
 ひと昔前なら、ブラック・エレクトロニック・ミュージシャンといえばその多くがクラブ・カルチャーに属していたが、ムーア・マザーは必ずしもそういうわけではない。ハウスやテクノはDJのときにかけているようだが、彼女の出自はパンクであり、ラップだ。
 また、彼女の思想的共同体にはフィラデルフィアのブラック・クアンタム・フューチャリズムなるアフロ・フューチャリズム(文化研究、DIY美学、音楽、文学、アート、ワークショップなど)のプロジェクトがある。彼女はそのメンバーのひとりで、主宰者であるラッシーダ・フィリップスはSF研究であり、単著をもつ作家であり、弁護士であり活動家だ。いずれにせよ、ムーア・マザーの3枚目のアルバム『ソニック・ブラック・ホールのアナログ流体』の背後には、ここ10年であらたな展開を見せている新世代による21世紀のブラック・ムーヴメントが深く関わっているようだ。

 ちなみに、1866年のメンフィスの暴動から2014年のマイケル・ブラウン射殺事件までの歴史がコラージュされているという前作『Fetish Bones』以降、ムーア・マザーはいっきに注目を集めている。クラインは、最大限の賛辞をこめて歴史の勉強のようであり「本を読みたくなる音楽」(紙エレ22号)だと言い、自分のアルバムに参加してもらったアース・イーターは、ムーア・マザーについて次のように語っている。「彼女は私が出会った人のなかで、もっとも強いインスピレーションをくれた人のうちのひとりだった。今後出会う人のなかでも、彼女ほどの人はあまりいないと思う。彼女のやっていることは世界にとってとても重要なこと。彼女は詩を通して、人間を超えた存在になっている。タイムトラベルという単純な概念が、彼女の詩のなかで実現され、彼女の詩に耳を傾けている人たちを、悲惨で恐ろしい時代へと連れていくことができる。だから本当にその恐怖を感じることができる。詩を活用して、人びとの想像力を掻き立て、私たちの歴史の恐ろしさを理解し、実感させることができるというのはすごいことだと思うわ。人びとをそういう風に感じさせるということは、とくに私の国ではとても重要なことだと思う」(紙エレ23号)

 我々日本人が彼女の政治的かつ文学的な言葉の醍醐味を経験するには高いハードルがある。それはわかっているが、クラインが「ティンバランド2.0」と喩えたそのサウンドも聴き応え充分である。「言葉は、政府が人びとをコントロールするために使われもするが、音楽が解放のための技術であるなら、より感覚で、より開けている」とムーア・マザーは『WIRE』誌の取材で語っている。ゆえに音楽とはひとつのジャンル/スタイルに閉ざされてはならないというのが彼女の考え方だ。
 よってサン・ラーからの影響に関して彼女は、そこにあらゆる音楽(ブルース、ドゥーワップ、ソウル、ジャズ、クラシック、電子音楽、ノイズなど)があることだと説いている。じっさい本作『Analog Fluids Of Sonic Black Holes』では、複数のゲストを招きながら、エレクトロニック・ミュージックのさまざまな形態が試みられている。アルバムを“音波のブラック・ホール”と言うだけあって、音響そのもものも素晴らしいのだ。
 たとえば冒頭の3曲、思わず空を見上げてしまいそうな、サウンドコラージュとポエトリー・リーディングによる“Repeater”、そして彼女の烈しいラップと強固なビートを有する“Don't Die”~“After Images”へと続く最初の展開には、まずもって圧倒的なものがある。それに続くのが、公民権運動家でもあったポール・ロブスンの歌声からはじまる“Engineered Uncertainty”となる。
 ソウル・ウィリアムスが参加した“Black Flight”でもまた歴史の暗い闇をエレクトロニック・アフロ・ビートが駆け抜けていく。そして、地元フィラデルフィアのハウス・マスター、キング・ブリットによるウェイトレス・トラックの“ The Myth Hold Weight”でアナログ盤のA面は終わる。
 「あなたを感じる」というソウル・ヴォーカルのループとぶ厚い電子音による“Sonic Black Holes”からアナログ盤のB面ははじまる。三田格がレネゲイド・サウンドウェイヴのようだとメールしてきた“LA92”では、1992年のロサンゼルスの暴動がラップされている。ムーア・マザーとコラボレーション・シングルを発表しているMental Jewelryは、今回も3曲で参加しており、力ある声で読み上げられる詩の朗読と有機的に結合するかのような、そしてあぶくのような雲のようなエレクトロニック・サウンドを提供している。そのうちの1曲“Shadowgrams”が終わると、ブリストルの注目株ジャイアント・スワンによる重たく揺れるグルーヴの“Private Silence”が待っている。フィラデルフィアのラッパー、Reef The Lost Cauzeを招いていて、ここでも彼女は烈しくラップする。
 最後から2曲目の“Cold Case”には、ジャスミン革命におけるアンセム“Kelmti Horra(わたしの言葉は自由)”を書いたチュニジアのプロテスト・シンガー、エメル・マトルティが歌っている。そしてアルバムの最後に収録された“Passing Of Time”には、実験的なサンバで知られるブラジルのバンド、メタメタのヴォーカリストであるジュサーラ・マルサルが参加している。

 ──ぼくはこのアルバムを発売日に購入し、それから何度となく聴き続けている。アナログ盤で聴いて、データでも聴いている(いまどき珍しくパワフルな作品なので、半分聴いて休憩入れられるアナログ盤を推薦します)。で、聴いているなかでいまも新しい発見があり、ゆえにいまもってこの作品をどうにもうまく説明できていないなと自分でもわかっている。ただひとつだけ言っておこう。ブラック・マシン・ミュージックの新章が本格的にはじまったと。先日レヴューしたアート・アンサンブル・オブ・シカゴの新作での客演もずば抜けていたが、このアルバムにもまた唸らされている。

消費税廃止は本当に可能なのか? (4) - ele-king

財政のために人々がいるのではなく、人々のために財政がある。

 本シリーズの第三回目では、政府や銀行はその支出に際し財源は必要ない、ただ金額を記帳するだけでお金が生まれるとする概念「スペンディング・ファースト(最初に支出ありき)」や「万年筆マネー(Key Stroke Money)」のことをお伝えした。

 このことは政府や中銀、市中銀行の会計を調査することによって明かになった経緯がある。関西学院大学の朴勝俊教授がランダル・レイ教授の著作「Modern Money Theory」の会計的側面に関する要点( https://rosemark.jp/2019/05/07/01mmt/ )をまとめてくれている。バランスシートを解読することはなかなか難しいかもしれないが、それによると資産と負債が常にイコールになっていることや、政府がただ支出することによって民間に預金が生まれていることがわかる。

出典:MMTとは何か —— L. Randall WrayのModern Money Theoryの要点:関西学院教授・朴勝俊

 「誰かの負債は誰かの資産」だ。例えば上図からは民間銀行の資産「⑩中央銀行券」は中央銀行の負債「⑩中央銀行券」に対応していて、そこからは私たちが普段使っている日本銀行券(通貨)は、もともとは日銀の負債だったこともわかる。

 信じられないかもしれないが、これは事実だ。主流経済学は「貨幣がどこでどうやって作られるか」に注目してこなかった貨幣ヴェール論のままにマクロ経済を論じてきた。ノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマン教授はMMTにも好意を示しているが、ランダル・レイ教授が以下のように批判している。高名な経済学者でさえ理解していなかったのだから、多くの人が知らなくても無理はない。

「彼は『お金が無から生まれるだって?』『政府の資金は尽きないのか?』といった問いを止められない。彼は”お金”が貸方と借方へのキーストロークの記録であることを全く理解していない。いまだに銀行が預金を取り込み、それらを政府に貸していると考えているんだ」
出典:New Economic Perspectives

 さて、財務省のプロパガンダを信じておられる方は「それでも政府債務である国債が1100兆円にも膨れ上がっているのだから、早く返さなければいけないのだ!」とツッコミを入れるかもしれないが、その点もとくに心配はいらない。

 MMTの視点では、政府支出後に発行された国債は金融市場を介して中銀の発行する準備預金と両替されるだけであり、また「政府の赤字は民間の黒字」「政府の債務は民間の資産」だと認識しているため、国債発行残高(累積債務)はただ単に貨幣発行額を記したものに過ぎないとされる。逆に国債を償還するということは世の中にある通貨を消滅させるということになるので、とくに減らす必要もない。

 その他のポストケインジアンらの視点では、中銀に買い取られた既発国債は借換を繰り返し消化され、またその中銀保有国債に満期が到来した時は、日本の場合は特別会計の国債整理基金とのやりとりを介して公債金という名の現金として財源化、国庫に納付されるだけとなる。国債償還費の殆どは日本政府の子会社である日銀が払っているし、本来は税金で償還する必要さえないのだ。
(参考:政府債務の償還と財源の通貨発行権(借換債と交付債)について -富山大学名誉教授・桂木健次


出典:政府債務の償還と財源の通貨発行権(借換債と交付債)について ポストマルクス研究会報告 -富山大学名誉教授・桂木健次

 桂木教授本人は「私は覗き見ポストケインジアンのポストマルクス派」と自称されているが、経済学も時代と共に進化するので、一つの学派に限らずいろんな研究成果を取り入れるということだろう。財務省の皆さんにも、ぜひ時代遅れとなった新古典派から脱却し、情報をアップデートしてほしいものだ。

 上記のような国債会計処理の事実があることを知ってか知らずか、--知っていてやってるとしたら悪質極まりない背信行為であるが-- 政府がどケチで、その債務ヒエラルキー下部に属する民間銀行や民間企業もどケチなため、実体市場に貸し借りが生まれない。貸し借りが生まれないということは、債務証書たる通貨も創造されえないということだ。

 通貨がこの世に生まれないから、人々は通貨を手に入れる機会を失い、消費もしなければ投資もしない。繰り返しとなるが「誰かの消費は誰かの所得」だ。誰かが消費しなければ他の誰かの所得が増えるはずもなく、経済は縮小していくのみとなる。

 政府が通貨を創造し、実体市場に供給しなければ、民間はただただ限られたパイ(通貨)を奪い合う弱肉強食の資本主義ゲームに没頭せざるを得なくなるという寸法だ。更には、この実体市場に通貨が足りない状況に加えて、市場から通貨を引き上げる消費増税まで幾度も強行されてきた。

 このような狂ったことを20年間やり続けたことによって、この国の需要は損なわれ、あらゆる産業は衰退した。その結果、台風被害に対する治水などの防災体制や、復旧のための供給能力は毀損された。停電が長引いたことによる二次災害となる熱中症で亡くなる人まで出す有り様になってしまったのだ。被害にあわれた方たちのことを思うと強い憤りを感じずにはいられない。

 そう、まさに「Austerity is Murder(緊縮財政は人を殺す)」だ。

 筆者の目には、この状況は「欲しがりません、勝つまでは」と言いながら、兵站を削りインパールに向かった大日本帝国軍の行軍そのものに見える。

 ケルトン教授は来日時に、「大企業や富裕層らの既得権益を代表する一部の共和党議員は、ほかの国会議員にMMTのロジックが知られてはまずいと思っているからこそ、MMTを危険だとする非難決議を国会に提出した。MMTを理解した政治家によって大多数の国民が助かる政策にお金が使われてしまうことを恐れたからだ。これは逆に、彼らが、政府の赤字支出が誰かの黒字になることを知っている証拠ともなる」ということを語っていた( https://www.youtube.com/watch?v=6NeYsOQWLZk )が、MMTや反緊縮のロジックが知られるとよほど都合の悪い勢力がいるということだ。

 エスタブリッシュメントは、自身らの草刈り場である金融市場にお金を流すことで利益を得ようとしているため、財政政策を介して実体市場にお金が供給されることで、金融市場における自らの利益が減ることを防ごうとしているのだろう。実際にはそんなトレードオフが起こるとも限らないのだが。


 先月、日経新聞が「消費増税に節約で勝つ 日常生活品にこそ削る余地あり」と題した記事で、”買わないチャレンジ”として、「何カ月かすると、それまでは当然のように思っていた物欲が、ほとんど強迫観念のようなものだったことに気がつきました」「日常生活費を削減するため、まずは買わない生活を」といったことを書いていた。

 日経新聞も、本シリーズ冒頭で触れた経団連や経済同友会などと同様に「家計簿脳」まる出しである。このような記事を重ねることで国民の消費活動を抑制させれば、日本経済を破滅に導くことになりかねない。日経新聞が訴えるべきは政府にもっと各所に財政支出をしろ、減税しろということではないか。筆者には何かしらの意図があるように思えてならない。

 日本国内ではこのように気の滅入る論説ばかりが目につくが、海の向こうでは一つの兆しも生まれた。先日、欧州中央銀行のドラギ総裁が、「ECBと各国政府は、金融政策ではなく財政政策に力を入れるべきで、MMTやヘリマネのようなアイデアにもオープンになるべきだ」と発したのだ。

 ドラギ氏は、加えて「ECBが国債を直受け(財政ファイナンス)し、消費者に直接届ける」という向きでも発している。この一連の発言が、どこまで具体性を帯びた政策を想定しているのかはわからないが、各国政府に財政出動を勧めたうえで、ECBは最後の貸し手(Lender of Last Resort「LLR」)役以上の役も担うということなのかもしれない。富を吸い尽くすドラギラ伯爵とも揶揄された彼の、任期満了直前の置き土産といったところか。

 この手の「金融緩和は役割を終えた。財政出動が有効だ」とする論はドラギ氏だけではなく、ポール・クルーグマンをはじめ、IMFチーフエコノミストでMIT名誉教授のオリビエ・ブランシャールや、元ハーバード大学学長で元世界銀行チーフエコノミストのローレンス・サマーズらも同様の発言を重ねているほか、実際にドイツ政府は、景気後退への対応策として国民経済の需要を押し上げるために巨額の財政出動を準備していると伝えられている。

 また、先日開かれたG20では、主要国からは「金融政策頼み」をやめ、財政政策にシフトすべきだとの声も上がっている。IMFのゲオルギエワ専務理事は「金融政策だけでは役に立たない」とも主張していた。

 MMTer達は、この「役割を終えた説」よりもっとラディカルな「金融緩和無効論」を早くから論じてきている。ランダル・レイ教授は「中央銀行家は財政政策をどうすることもできない。彼らは、配られた唯一の手札、つまり金融政策でしかプレイできないが、その手札はバランスシート不況においては無力(インポ)である。回しているそのハンドルは経済に繋がっていなかった」と「MMT 現代貨幣理論入門(p473)」に綴っている。

 MMTが注目される背景には「金融緩和策は資産価格を上昇させ、富裕層だけに恩恵を与えた」という不信感もあるのだが、いずれにしても、上述したように、MMTerと同じような発言が、欧米の超大物エコノミスト達からも発せられているのだから、エスタブリッシュメントの庇護者である自民党や財務省、経団連も無視できないのではないだろうか。


 日本では、山本太郎氏の影響もあってか、共産党のみならず国民民主の小沢一郎議員原口一博議員、立憲の川内博史議員ら野党大物議員からも消費税減税ないし積極財政の声が聞こえつつある。加えて、山本太郎氏や松尾匡教授らとマレーシア視察に行った立憲若手の中谷一馬議員は、「MMT(現代貨幣理論)に関する質問主意書」と題した見事な質問書を衆議院に提出している。

出典:衆議院・第200回国会 中谷一馬議員 質問主意書

この質問書と、対する政府答弁に関しては、11月4日と5日に来日講演を予定しているMMT創始者の一人のビル・ミッチェル教授(ニューキャッスル大学)も呼応している。我々一般国民は、野党の議員たちにも声を届けつつ、議論の輪を拡大し、大いに期待して待てば未来は明るいと感じさせてくれる。

 消費税廃止は可能だ。わが国の財政にも心配はない。無意味な心配をし、出し惜しみをすることで余計に状況が悪化することを、わが国は20年かけて証明してきたじゃないか。

 「財政のために人々がいるのではなく、人々のために財政がある」とは、松尾匡・立命館大学教授の言だ。政府財政を均衡させることに意味はない。むしろ財政黒字化のために、徴税で人々のポケットからお金を奪うことは国力の衰退につながる。政府は人々にもっとお金を支出し、経済活動を活発化させることで、生産力を維持し、人々を幸せにしなければならないのだ。

 本稿のような情報に初めて触れられた方もおられるだろう。経済学初学者でミュージシャンである筆者の下手くそな理論解説にもどかしい思いをされたであろうことをお詫びしたい。

 と同時に、たとえば以下のような発言をみたとき、少なからず違和感を覚えていただけたら幸いである。こういう発言こそが、経済学でいう「合成の誤謬」と呼ばれるひとつの勘違いであり、この国を衰退させる考えだからだ。

 ユニクロ・柳井正氏「このままでは日本は滅びる。まずは国の歳出を半分にして、公務員などの人員数も半分にする。それを2年間で実行するぐらいの荒療治をしないと。今の延長線上では、この国は滅びます

Endon / Swarrrm - ele-king

 スプリット盤、はとくにパンクやハードコア、メタル等において顕著な音源形態であり、それは過剰なロックへと表出するなんらかの強固な思想、の分かち合いである……と個人的には思っている。
 で、“わいしんろん”と読むらしい。おそらくはグノーシス主義における反宇宙的二元論に属する思想であろう。物質で構成された悲惨な世界は“偽の神”によって創造された“悪の宇宙”であり、一方“霊”あるいはイデアーこそが真の存在であり「真の世界」に帰依するものである……云々といったアレである。スワームの“偽救世主共”から連想せずにいられるものか。

 ゼロ年代初頭、筆者は超が付くほど熱心なメタルコア、もしくは当時の言葉をかりればシンキング・マンズ・メタル(考える野郎のメタル)のファンであった。当時東海岸を中心に盛り上がりをみせていた新生エクストリーム・ミュージックの担い手、具体的にはコンヴァージやアイシス、ボッチ、ケイヴ・イン、デリンジャー・エスケープ・プラン、カンディリア、ニューロシス、サンやカネイトなどなど……繊細かつプログレッシヴで、それでいて圧倒的に攻撃的なバンドの台頭はロックの未来を確信させる体験であった。それらは高柳昌行をはじめとする日本のフリージャズ、即興演奏が海を渡ってロックとして昇華、消化されていく現象でもあった。そんな当時、筆者が同様の熱気を持って観覧するバンドが二組いた。ヘルチャイルド/フロムヘルとスワームである。90年代より国内のエクストリーム・ミュージックを引率してきた彼らが前述のバンドらを含む国外の次世代へ与えた影響は計り知れない。別個のバンドである両者を一口に語ることはできないが、彼らのギミックを排したエクストリーム・ミュージック、本来の形態としてのロックンロールの究極系を探求するサウンド、シーンに蔓延していたマッチョイズムとは一線を画したグローバルな活動、など、当時自分はこのようなバンドが国内に存在することに驚愕し、その活動を間近で観られることに至極の喜びを感じていたことはいまでも色あせずに記憶に残っている。

 歪神論は国内外に囚われることのない文化交易の賜物と断言できる。エンドンは近年の音源に顕著なパンキッシュなソングライティングと彼らのバックグラウンドとも言えるフリージャズの鍛錬を見事に表出させた楽曲を収録。とくにコンフリクトのアルバム『ザ・ファイナル・コンフリクト』を彷彿させる、アシッドを食ったモヒカン共がステージ上でDビートを用いて宇宙と交信を試みているような曲展開には圧巻だ。メンバーの精神状態を疑うほどの楽曲全体に充満する不穏な空気はさながらSPKの如きガチ狂気。バンドがなければ今頃コイツ等は間違いなくブタ箱の中だろう。対する御大スワーム、恥ずかしながらVoの原川氏の加入以降のバンドの軌跡を追えていなかった自分にとって驚きを隠せない。暗喩を排した日本詞、ジャパニーズ・ハードコア史からその純粋、無垢な魂のみを結晶化したような楽曲にはある種のポップネスすら感じられる。両者の対比は冒頭に語った反宇宙的二元論、物質からなる肉体を悪とする結果のふたつの対極的な道徳を感じさせる。スワームのストイックなまでの楽曲、リリックはもはや禁欲主義とも捉えられるし、エンドンの禍々しいサイケデリアは霊は肉体とは別個ゆえ、肉体が犯した罪悪とは切り離されるという論理の元にあらゆる不道徳に走る放縦主義として捉えられる。

 どちらに成る事もできない自分のような半端者にとっては現在の日本のロックの聖典なのかもしれない。

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