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Terekke

AmbientNew Age

Terekke

Improvisational Loops

Music From Memory

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デンシノオト   Apr 12,2018 UP

 現在、80年代から90年代初頭前後のニューエイジ再評価が進んでいる。例えばオランダのレーベル〈ミュージック・フロム・メモリー〉が再発見(リイシュー)したジジ・マシンなどが音楽ファンに広く受け入れられている状況である。また、日本人環境音楽家の(故)吉村弘のファースト・アルバム『ミュージック・フォー・ナイン・ポスト・カード』を、ヴィジブル・クロークスのスペンサー・ドローンと〈ルート・ストラタ〉のマックスウェル・オーガスト・クロイによるレーベル〈エンパイア・オブ・サイン〉がリイシューするような流れも生まれている。海外では80年代の日本産アンビエントは「ファッショナブル」な存在になっていた。

 これは長年歴史化されていなかった80年代の電子音楽やニューエイジを再評価するムーヴメントといえるが、おそらくは80年代にはまだ幼少期だった世代が長じて自分が子供のころに耳にした音楽とムードが似ているレコードを掘り始めたからではないかとも思う。いわば新時代のレア・グルーヴである。だからこそ実は「ジャンル」に限定されてもいない。じじつ、〈ミュージック・フロム・メモリー〉は『アウトロ・テンポ:エレクトロニック・アンド・コンテンポラリー・ミュージック・フロム・ブラジル 1978-1992』というブラジルの知られざる電子音楽のコンピレーション・アルバムや、高橋邦幸の初期作などもリイシューしている。ジャンルというより共通する音の質感を重視する姿勢だ。音楽マニアからの信頼が厚いのも頷ける。

 ゆえに〈ミュージック・フロム・メモリー〉では旧作のリイシューのみに留まらず、新作アルバムのリリースも追求されている。たとえばジジ・マシン、ジョニー・ナッシュ、ヤング・マルコらによるガウシアン・カーヴや、スペインのニューエイジ・コンポーザーのスーソ・サイスの新作アルバム『レインワークス』のリリースなどである。そして今回、〈ミュージック・フロム・メモリー〉が送り出した「新作」作品がニューヨークのテレッケことマット・ガードナーのアンビエント作品『インプロヴィゼーショナル・ループス』である。昨年〈L.I.E.S.〉から『プラント・エイジ』を出して話題になった人で、〈L.I.E.S.〉では最初期からシングルをリリースしてきたプロデューサーだ。この『プラント・エイジ』もまた天国的なミニマル・ダブ・トラックを収録した傑作であった。対して本作『インプロヴィゼーショナル・ループス』は、ノンビートのアンビエント作品である。夢のような微睡の音響が続くアルバムだ。

 アルバムには全8曲が収録されているが、“Another”、“Wav1”、“Ambien”などで聴かれるように、柔らかく桃源郷的な音世界を基調とする構成となっている。それらはまるで夢の中へと誘われるような催眠誘発効果も高い。一方、“Arrpfaded”や“l8r h8r”などのトラックは、電子音のアルペジオによって微かな緊張感を生んでいる。その意味ではアルバム・トータルで「陶酔と覚醒」を同時に引き起こすような効果も感じられた。

 いずれにせよ、ここまで濃厚なニューエイジ/アンビエントの「新譜」は稀ではないか。その意味ではビートは入っていないものの、音の本質は『プラント・エイジ』とそれほど差はないともいえる。成層圏的というか、天国的というか、重力から自由になったような感覚があるからだ。どうやら彼がニューヨークの「ボディ・アクチュアライズド・センター」のヨガ・クラスでの体験をもとに作られたという、まさにニューエイジなトラックらしいのだが、シンプルながら実に端正な仕上がりのアンビエント・トラックでもある。アナログ機材で作られたというトラックは、とにかく気持ち良いのだ。身体に「効く」アンビエントの逸品といえよう。

デンシノオト