「Lea Lea」と一致するもの

Baauer × Channel Tres × Danny Brown - ele-king

 新作『uknowhatimsayin¿』が好評のラッパー、ダニー・ブラウンが『グランド・セフト・オート』シリーズに登場する。ゲーム内のラジオ局にてなんと、スケプタとともにホストを務め、選曲を担当。いずれも今年力作を発表しているデンゼル・カリーやエージェイ・トレイシーフレディ・ギブス&マッドリブなどをピックアップしている。
 またそのアナウンスにあわせ、本日〈LuckyMe〉よりコラボ・シングルがリリース。バウアー×チャンネル・トレス×ダニー・ブラウンという、驚き&歓喜の組み合わせが実現している。うひょー。

DANNY BROWN
『グランド・セフト・オート』シリーズにダニー・ブラウンが登場!
バウアー、チャンネル・トレス、ダニー・ブラウンのコラボ・シングル「Ready to Go」をリリース!

最新作『uknowhatimsayin¿』が話題のダニー・ブラウンが、人気ゲーム『グランド・セフト・オート』シリーズに登場! ゲーム内のラジオ局「iFruit Radio」でホストを務めることが発表された。特別ゲストのラッパー、スケプタと共に27曲を選曲している。

今回の発表に合わせて、バウアー、チャンネル・トレス、ダニー・ブラウンのコラボ・シングル「Ready to Go」がリリースされた。

“Ready to Go” by Baauer and Channel Tres feat. Danny Brown
https://www.youtube.com/watch?v=mZKi3ANavo8

選曲された楽曲には、ダニー・ブラウンやスケプタに加え、トラヴィス・スコットやスクールボーイ・Qの人気曲、YBNコーデーとデンゼル・カリーがコラボした未発表曲などが含まれている。

『グランド・セフト・オート』シリーズではこれまでに、フランク・オーシャン、フライング・ロータス、ジャイルス・ピーターソン、ブーツィー・コリンズら豪華なアーティストを音楽にフィーチャーしている。

label: LuckyMe / Godmode
artist: Baauer, Channel Tres, Danny Brown
title: Ready to Go
release date: 2019.12.13 FRI ON SALE

label: Warp Records / Beat Records
artist: Danny Brown
title: uknowhatimsayin¿
release date: 2019.11.22 FRI ON SALE

国内盤CD BRC-617 ¥2,200+税
国内盤特典:歌詞対訳/解説書封入
国内盤CD+Tシャツ BRC-617T ¥5,500+税

TRACKLIST
01. Change Up
02. Theme Song
03. Dirty Laundry
04. 3 Tearz (feat. Run The Jewels)
05. Belly of The Beast (feat. Obongjayar)
06. Savage Nomad
07. Best Life
08. uknowhatimsayin¿ (feat. Obongjayar)
09. Negro Spiritual (feat. JPEGMAFIA)
10. Shine (feat. Blood Orange)
11. Combat

ISSUGI - ele-king

 今年は 16FLIP 名義でジョージア・アン・マルドロウとコラボも果たした MONJU / DOWN NORTH CAMP の ISSUGI が、本日12月11日、久々のニュー・アルバム『GEMZ』を発売する。BUDAMUNK(SICK TEAM)、HIKARU ARATA(WONK)、KAN INOUE(WONK)、TAKUMI KANEKO(CRO-MAGNON)、MELRAW(DJ K-FLASH)が集結し、5lack、仙人掌、Mr.PUG、OYG、KOJOE、DEVIN MORRISON ら強力な面子を招いて制作された同作だけれど、そのリリースに合わせてなんと、キャリア初となるワンマンライヴの開催もアナウンスされた。日時は来年3月27日、会場は渋谷 WWWX で、『GEMZ』のバンド・メンバーたちが一堂に会する。これは見逃せない。いまから予定を空けておこう。

待望のニュー・アルバム『GEMZ』を本日リリースしたISSUGIが同作のバンドメンバーを伴って、初となるワンマンを来年3/27(金)に渋谷WWWXで開催!

BUDAMUNK(PADS)、WONKのHIKARU ARATA(DRUM)、KAN INOUE(BASS)、CRO-MAGNONのTAKUMI KANEKO(KEYS)、MELRAW(SAX, FLUTE, TRUMPET, GUITAR)、DJ K-FLASH(TURNTABLE)がバンド・メンバーとして集結し、Red BullのサポートのもとRed Bull Studioを拠点にセッションを繰り返して作られたニュー・アルバム『GEMZ』を本日リリースしたISSUGIが、キャリア初となるワンマンライブを来年3/27(金)に渋谷WWWXにて開催! 同作に参加しているバンド・メンバーを伴ったデイタイムでの公演となりますので今からその日は予定を空けておいてください。また同公演の前売りチケット発売情報やその他の地域でのライブに関しては追ってアナウンスする予定です。

「ISSUGI 『GEMZ』 RELEASE LIVE」
日程:2020年3月27日(金)
会場:渋谷WWWX
※開演時間や前売りチケットに関しては未定です。

Members are…
RAP:ISSUGI / DRUMS:HIKARU ARATA(WONK) / BASS:KAN INOUE(WONK)/
PADS:BUDAMUNK / TURNTABLE:DJ K-FLASH / KEYS:TAKUMI KANEKO(CRO-MAGNON)
/ SAX, FLUTE, TRUMPET, GUITAR:MELRAW

https://www.ele-king.net/upimgs/img/5131.jpg
アーティスト: ISSUGI (イスギ)
タイトル: GEMZ(ジェムズ)
レーベル: P-VINE, Inc. / Dogear Records
品番: PCD-25284
発売日: 2019年12月11日(水)
税抜販売価格: 2.500円
https://smarturl.it/issugi.gemz

[トラックリスト]
1. GEMZ INTRO / prod BUDAMUNK
2. ONE RIDDIM / prod BUDAMUNK
3. NEW DISH / prod 16FLIP & BUDAMUNK
4. BLACK DEEP ft. Mr.PUG, 仙人掌 / prod 16FLIP
5. DRUMLUDE / prod BUDAMUNK
6. HERE ISS / prod 16FLIP
7. LIL SUNSHINE REMIX
8. FIVE ELEMENTS ft OYG, Mr.PUG, 仙人掌 / prod BUDAMUNK
9. 踊狂REMIX ft. 5lack / prod BUDAMUNK
10. OLD SONG ft DEVIN MORRISON / prod BUDAMUNK
11. HEAT HAZE REMIX ft Mr.PUG / prod ENDRUN
12. LOUDER / prod 16FLIP & DJ SCRATCH NICE
13. MISSION ft KOJOE / prod HIKARU ARATA
14. 再生 / prod BUDAMUNK
15. No.171 / prod BUDAMUNK
16. GEMZ OUTRO / prod BUDAMUNK

[PROFILE]
東京出身のRapper/Beatmaker。MONJU (ISSUGI / Mr.Pug / 仙人掌)、SICKTEAM (5lack /ISSUGI / Budamunk) としても活動し、16FLIP名義でBeatmakeもこなす。ソロを含めこれまでに複数のALBUMをリリース。

Worked with: 仙人掌, Mr.PUG, 5lack, Budamunk, BES, SEEDA,KOJOE, JJJ, KID FRESINO, FEBB, MASS-HOLE, YUKSTA-ILL, DJ SCRATCH NICE, GRADIS NICE, CRAM, ILLSUGI, YOTARO, GQ, DJ SHOE, ENDRUN, ILLNANDES, 弗猫建物 ,Devin Morrison, Roc marciano, Evidence, Tek of Smif-n-wessun, Twiz the beat pro, Roddy rod, Gwop sullivan, DJ FRESH, Illa J, DJ DEZ, Khrysis, John robinson, Eloh kush, Al B smoov, Mr.Brady, Planet asia, Georgia Anne Muldrow & more

NYクラブ・ミュージックの新たな波動 - ele-king

 NYダンス・ミュージック・シーンの10年代の変遷については前編で伝えたけれど、20年代が始まろうとする今のブルックリンのアンダーグラウンドはどうなっているのだろう?

 2012年、〈Mister Saturday Night Records〉によってその才能を見出された Anthony Naples は、それから7年経った今、もはやブルックリンのダンス・ミュージック・シーンを牽引するといっていいほど勢いのある存在だ。ヨーロッパを中心に毎週世界のどこかでブッキングされる人気DJの傍ら、2017年には、まだ発掘されていないNYの新しいアーティストにフォーカスするインデペンデント・レーベル〈Incienso〉をデザイナーの Jenny Slattery とともに設立。その第1弾としてフィーチャーされたのが、10年代のブルックリンのユース・カルチャー・シーンをともに歩んできた、“DJ Phython”こと Brian Piñeyro のデビューLP『Dulce Compãnia』だ。

 実は DJ Python のほかに、表現するモノによって DJ Wey や Deejay Xanax、Luis などの名義も使い分ける Brian Piñeyro は、DJ Python では〈Incienso〉の前身のレーベル〈Proibito〉時代からすでに、ディープ・ハウスやシューゲイザー、トランス、レゲトンなどをスローテンポにしたサウンドのうねりをゆったりサーフライドしていくような「ディープ・レゲトン」と呼ばれる新たなスタイルを打ち出してきた。この『Dulce Compãnia』のリリースは、オンライン・マガジン「ローリング・ストーン」における「2017年ベスト・エレクトロニック・アルバム」にランクインされるほど高く評価され、そのスタイルを確かなものにした。
 さらに、今年6月にはアムステルダムを拠点とするレーベル〈Dekmantel〉からEP「Derretirse」をリリース。『Dulce Compãnia』に続き2作目となる本作では、ラテンにルーツを持つ Brian Piñeyro らしく、南半球から生まれる陽気なパーカッションやリヴァーブ、ディープ・シンセのリズムとともにレゲトンとアンビエント、ポストIDMがよりメローに融合していくようなさらなる進化を遂げている。そんなブルックリンのアンダーグラウンドで育まれたオリジナルのサウンドが「ディープ・レゲトン」として世界に広まりつつある今、DJ Phython は、間違いなくこれから活動の場を外へ広げていくNYの新世代アーティストのひとりだといえるだろう。

「Derretirse」より“Be Si To”

 そして、〈Incienso〉の第2弾には、カナダの〈1080p〉やシカゴの〈Lillerne Tape Club〉からカセットテープを発表してきたダンス・ミュージック・シーンの新星 Beta Librae のデビューLP『Sanguine Bond』をフィーチャー。実はブシュウィックの「Bossa Nova Civic Club」がオープンした当時(2012)からプレイしている Beta Librae は、この「Bossa Nova Civic Club」で、女性特定のDJ集団「Discwoman」を主宰する同郷の Umfang とともに今のNYのアンダーグラウンドで重要なポジションを占める「Techno feminism」というパーティのレジデントDJを務めている。


Bossa Nova Civic Club 2013 flyer “Techno feminism”

 そんなバックグラウンドの片鱗を垣間見せるような『Sanguine Bond』では、アンビエントなディープ・ハウスにエレクトロニック・サウンドをレイヴ感たっぷりにミックス。この新しい質感こそがまさに“今のNYサウンド”だと思わせる、NYのダンス・ミュージック・シーンに新境地を切り拓くアルバムとなった。

『Sanguine Bond』より“Pink Arcade”

 レーベルについて、「ポリシーは、“私たちが真価を認めている人たちの、新鮮でおもしろさを見出せる音楽をリリースする”こと。これまでのリリースでは身近な友人だけをフックアップしてきて、これは絶対的なルールじゃないけど、その人のことを知っているからこそすでに彼らとの信頼関係があるのは制作においてかなりやりやすいの。そして、まだリリースのない人を紹介することが何よりもエキサイティング!」と、Jenny Slattery。
 その後〈Incienso〉は、CZ Wang と Joli B. のデュオ People Plus によるEP「Olympus Mons」や、まだ記憶に新しい工藤キキのEP「Splashing」、最新作には Sleep D によるLP『Rebel Force』など、レーベル設立からたった2年でコンスタントに7つのタイトルを発表し、NYナイズされた気鋭のダンス・ミュージックを発信し続けている。さらに、Jenny Slattery は、「最初はNYの友人たち、そして次は世界中の友人たちへ。レーベルを通じて作り上げたコミュニティとアーティスト自身の小さな世界をリンクさせていくのは楽しいし、それを続けていくことがこれからも楽しみ。2020年は、DJ Python のセカンドLPから始まり、これまででいちばん有望な年になりそう」。


L to R: People Plus, Kiki Kudo, Sleep D

 そんなアンダーグラウンド・シーンで最もフレッシュなリリースといえば、ブルックリンに拠点を置き、Anthony Naples や DJ Phython、Beta Librae たちと一緒に肩を並べてきた Galcher Lustwerk のLP『Information』を真っ先に挙げたい。

 そもそも Galcher Lustwerk が世界から注目されるようになったきっかけまで話を遡ると、2013年に発表した初めてのミックス「100% Galcher」が決定的だろう。エクスペリメンタルなダンス・ミュージックをはじめ、エレクトロニック・サウンドに関連するさまざまなアーティストのミックスに焦点を当てた実験的なプロジェクト「Blowing Up The Workshop」のために未発表音源を集めて制作した「100% Galcher」は、オンライン・マガジン「FACT」の「2013年ベスト・アルバム50」では4位、「Resident Advisor(以下、RA)」の「2013年ミックス/コンピレーション・トップ30」ではオンライン・ミックス部門で堂々1位を獲得し、“無名の新人が自身の音源のみでミックスを公開するのは2013年のベスト・サプライズだった”と「RA」から絶賛された。ディープ・ハウスのようなドラムマシンに独自のスモーキーなヴォーカルをかけ合わせたサウンドは、平たく言うと控えめなヒップハウスのようで、ありそうでなかったオリジナリティーにほかならない。Galcher Lustwerk はそれほど鮮烈なデビューを果たしたのだ。


2012年のトラックを集めたプロモミックス「100% Galcher」

 そして、同年 Young Male と DJ Richard が主宰するブルックリンの〈White Material〉からヴァイナル・デビューとなるEP「Tape 22」をリリースするやいなやその新鮮なサウンドが世界のダンス・ミュージック・リスナーの心をつかみ、2015年に立ち上げた Galcher Lustwerk 自身のレーベル〈Lustwerk Music〉から立て続けに、「100% Galcher」のシングルカットとなるEP「Parlay」と「I Neva Seen」、〈White Material〉の Alvin Aronson とのプロジェクト「Studio OST」名義でLP『Scene (2012-2015)』をリリース。その意欲的な活動とユニークなサウンド・スタイルで、Galcher Lustwerk という存在を揺るぎないものにしていった。

 話を本題に戻すと、今年11月にリリースされたばかりの最新作『Information』は、2017年〈White Material〉からのデビューLP『Dark Bliss』、翌年2018年〈Lustwerk Music〉からのセカンドLP『200% Galcher』に次ぐ、待望のサード・アルバム。しかも、Matthew Dear や Gold PandaTychoShigeto などのアーティストをダンス・ミュージック・シーンに輩出してきたミシガンの名門〈Ghostly International〉のデビュー作品だ。Galcher Lustwerk は〈Lustwerk Music〉のホームページにこうコメントを寄せる。
 「アメリカはミッドウェスト、クリーヴランド出身の自分が〈Ghostly International〉と一緒に作品を出すのであれば、最もミッドウェスト的な“フックの強い”トラックを選び出すことがしっくりくると思う。このアルバムでは、ほかのクリーヴランドのプロデューサーが作る曲のなかで聴いたビターウィートな質感を表現したかったんだ」。

 その言葉の通り、『Information』は、Galcher Lustwerk ならではのスタイルが顕在しながらもよりライヴ感のあるドラムとジャズ・サックスを含んだ、これまで以上にダイナミックなサウンドを生み出している。

 このラインでブルックリンのアンダーグラウンド・シーンを紹介したなら、前編からの一連で登場した〈L.I.E.S. Records〉や〈Proibito〉、さらには Maxmillion Dunbar が主宰するワシントンD.C.の〈Future Times〉など10年代のアメリカで重要なレーベルからリリースのある“Huerco S.”こと Brian Leeds についても特筆すべきだと思うけれど、彼は、2018年に自身のレーベル〈West Mineral〉を立ち上げるとともにブルックリンからベルリンへ拠点を移した。アンビエントやドローン、エスニックに通ずるエクスペリメンタルなエレクトロニック・サウンドを発表してきた〈West Mineral〉では、Brian Leeds の故郷であるカンザスのアーティストを中心にフィーチャー。20年代が始まろうとする今、Brian Leeds はもはや「NYサウンド」というこの本題にはくくりにくい存在となってしまったが、拠点をベルリンに移した今でもNYで培ってきた大もとのスタンスは変わらないはず。

 もちろんほかにここで紹介しきれなかった新世代アーティストもたくさんいるが、実は今回取り上げた DJ Python と Beta Librae、Galcher Lustwerk は、DJ/プロデューサーの Aurora Halal が主宰するNYで数少ない野外レイヴ・パーティ「Sustain-Release」の国外初となるサテライト・イベント「S-R Meets Tokyo」のために来年1月に来日を予定している。そもそも、「NY」とか「新しい世代」とか、日常的になじみの薄い字面だけでハードルの高さを感じる人もなかにはいるかもしれない。だけど、一度彼らを見てみたら、きっと好きになると思う人たちの顔も目に浮かぶ。

Sustain-Release presents “S-R Meets Tokyo”

2020年1月25日(土)東京・Contact
OPEN 22:00

出演
Aurora Halal (NY)
Galcher Lustwerk (NY)
Wata Igarashi (Midgar | The Bunker NY)

DJ Python (NY)
Beta Librae (NY)
AKIRAM EN
JR Chaparro

Mari Sakurai
Ultrafog
Kotsu (CYK | UNTITLED)
Romy Mats (解体新書)
Celter (Eclipse)

料金
BEFORE 11PM ¥2500 | UNDER 23 ¥2500 | ADVANCE ¥2500 | GH S MEMBERS ¥3500 | W/F ¥3500 | DOOR ¥4000
詳細:https://www.contacttokyo.com/schedule/sustain-release-presents-s-r-meets-tokyo/

Mars89 - ele-king

 いま東京でもっともクールかつタフなサウンドを鳴らしていると言っても過言ではないDJ/コンポーザーの Mars89 が、新たな12インチ「The Droogs」を〈Undercover〉からリリースする。先頃〈Acrylic〉より発売された「TX-55/Successor Project」もめちゃくちゃかっこよかっただけに、今度の新作も期待大だけれど、驚くなかれ、「The Droogs」にはリミキサーとしてトム・ヨークゾンビー、ロウ・ジャックの3組が参加している! これはちょっとアナタ、完全に買い逃せないヤツですよ。
 ちなみに、12月26日に刊行される紙エレ年末号(特集:21世紀DUB入門/2019年ベスト・アルバム30)(密林はこちら)には Mars89 のインタヴューが掲載されています。音楽的バックグラウンドから現在の社会にたいする想いまで、思う存分語ってくれています。また、今回リミキサーに抜擢されているパリの要注目ダンスホール・プロデューサー、ロウ・ジャックのインタヴューも載っています。ぜひチェックを。

artist: Mars89
title: The Droogs
label: Undercover
catalog #: UCR003
release date: December 12, 2019

Tracklist:

A1. Horrorshow
A2. Ultraviolence
A3. Strack

B1. Horrorshow (Thom Yorke Remix)
B2. Strack (Zomby Remix)
B3. Strack (Low Jack Remix)

DISC SHOP ZERO / JET SET / disk union

Mark De Clive-Lowe - ele-king

 ソロ・アルバム『Heritage』にロウニン・アーケストラにと、今年ノりにノっているマーク・ド・クライヴ=ロウだけれど、さらなるリリースのお知らせだ。彼の主催するパーティ《CHURCH》のセッションが音源化される。発売は年明け後の1月22日(水)。ソロ作もロウニン・アーケストラのアルバムも充実の内容だったので、このセッション録音盤もしっかりチェックしておきましょう。

Mark De Clive-Lowe
CHURCH Sessions

多岐なシーンで活躍を続けるキーボード奏者/プロデューサー“マーク・ド・クライヴ・ロウ”が主催する、セッション・イベント「CHURCH」。
ジャズ/ソウル/ヒップホップを代表するミュージシャンが多数参加した、躍動的な熱気と演奏が集約された音源が9周年を記念して一枚に!!

Official HP: https://www.ringstokyo.com/mark-de-clive-lowe-church-sessions

CHURCH はマーク・ド・クライヴ・ロウが2010年からLAで始めたパーティ。ミュージシャンのライヴとDJのプレイを垣根なく楽しむ場だ。「教会」の名が付いているのは伊達じゃない。飛び入りのセッションもあって、時間と共に様々な人々が混じり合う特別な空間が出来上がる。パーティ9周年を祝うセッションを収めた本作からは、その熱気と演奏のクオリティの高さが伝わるはず。LAのみならずNYでも評判となった CHURCH は、ハイブリッドでオープンマインドなジャズを追求してきたマークのライフワークである。 (原 雅明 rings プロデューサー)

アーティスト : MARK De CLIVE-LOWE (マーク・ド・クライヴ・ロウ)
タイトル : CHURCH Sessions (チャーチ・セッションズ)
発売日 : 2020/1/22
価格 : 2,400円+税
レーベル/品番 : rings (RINC63)
フォーマット : CD (日本企画限定盤)

Tracklist :
01. Kamau Daaood & Mark de Clive-Lowe / Invocation
02. Mark de Clive-Lowe / Smoked Something
03. Colectivo Arte & Manha / Mystic Brew (feat. Mark de Clive-Lowe, Ricardo Pino,
Antonio Bruheim & Joao Leandro)
04. John Robinson & Mark de Clive-Lowe / A.C.H.H.
05. Colectivo Arte & Manha / Atlantic Journey (feat. Mark de Clive-Lowe, Ricardo
Pino, Antonio Bruheim & Joao Leandro)
06. Joy Jones & Mark de Clive-Lowe / Steps Ahead
07. Stro Elliot, 14KT & Mark de Clive-Lowe / Part One
08. Stro Elliot, 14KT & Mark de Clive-Lowe / Part Two
09. Stro Elliot, 14KT & Mark de Clive-Lowe / Part Three
10. Mark de Clive-Lowe / Blueberries
11. Mark de Clive-Lowe / ESSS [Love the Space] (feat. Todd Simon & Te'amir)
12. Tommaso Cappellato / Ancient Prophecy (feat. Mark de Clive-Lowe)
13. Myele Manzanza, Mark de Clive-Lowe & Matt Dal Din / Montara
14. Mark de Clive-Lowe / Ryūgū-jō (Live at Grand Performances) [Bonus Track]

interview with Kode9 - ele-king

 今年で設立15周年を迎える〈Hyperdub〉。ベース・ミュージックを起点にしつつ、つねに尖ったサウンドをパッケージしてきた同レーベルが、きたる12月7日、渋谷 WWW / WWWβ にて来日ショウケースを開催する。
 目玉はやはりコード9とローレンス・レックによるインスタレイション作品『Nøtel』の日本初公開だろう。ロンドンでの様子についてはこちらで髙橋勇人が語ってくれているが、サウンドやヴィジュアル面での表現はもちろんのこと、テクノロジーをめぐる議論がますます熱を帯びる昨今、その深く練られたコンセプトにも注目だ。この機会を逃すともう二度と体験できない可能性が高いので、ふだんパーティに行かない人も、この日ばかりは例外にしたほうが賢明だと思われる。
 ほかの出演者も強力で、アルカのアートワークで知られるジェシー・カンダの音楽プロジェクト=ドゥーン・カンダ(11月29日に初のアルバム『Labyrinth』をリリース済み)や、昨年強烈なEP「Enclave」を送り出したアンゴラ出身のナザールと、なんとも刺戟的な面子が揃っている。さらにそこに〈Hyperdub〉からリリースのある Quarta 330 をはじめ、Foodman や DJ Fulltono、Mars89 といった日本のアンダーグラウンドの最前線を牽引する面々が加わるというのだから、これはもうちょっとしたフェスティヴァルである。
 というわけで、来日直前のコード9にレーベルの15周年や『Nøtel』、まもなく発売されるベリアルの編集盤などについて、いくつか質問を投げかけてみた。(小林拓音)


photo: David Levene

『Notel』の世界はデジタル化された不死の概念を展示するような場所でもあって、そこでは死んだ友人たちが生き続けている。

今年で〈Hyperdub〉は15周年を迎えます。2004年にレーベルをスタートさせたとき、どのような意図や野心があったのですか?

スティーヴ・グッドマン(Steve Goodman、以下SG):はじめたときは、亡きスペースエイプと一緒にやっていた自分の音楽をリリースするレーベルにしたいと考えていただけだった。それ以上の目標は持っていなかったよ。

それは、いまでも続いていますか? この15年で大きな転換点はありましたか?

SG:それが、当初の目的はあっという間にどこかへ行ってしまって、他のアーティストたちの作品をリリースするようになった。ある意味、まったく逆のことをやっている──いまでは自分の音楽をやる時間はほとんど持てないからね。ベリアルのアルバムを出したのは、間違いなく大きな転機だった。2014年に起こったDJラシャドとスペースエイプの死もそうだ。

『Diggin' In The Carts』のリミックスは、あなたのオリジナル作品と言っていいくらい独自にリミックスされていましたけれど、そのとき意識していたことや、4曲の選出理由を教えてください。

SG:2017年から、アニメイターの森本晃司が制作した映像を使って、オーディオヴィジュアル・ライヴを続けている──音楽は、コンピレイション・アルバム『 Diggin' In The Carts』の中から14曲を自分でリミックスしたものを使っている。リミックスEPには、その14曲から好きなトラックを選んだだけなんだ。

12月7日の来日公演に出演するドゥーン・カンダ(Doon Kanda)はヴィジュアル・アーティストとしてのほうが有名ですけれど、その音楽についてはどう思っていますか?

SG:彼の映像表現は、驚きに満ちていてすごく独特だ。音楽にかんしては、鋭敏で優美なメロディ・センスを持ち合わせていると思う。初めてその音楽を聴いたとき、これは アルカの曲だろうかと思ったんだけど、いまでは彼独自のサウンドを徐々に見つけていると思う。今回のアルバムはリズムもすごくおもしろくて、電子音でワルツを刻んでいると言ってもいいくらいだ。


photo: David Levene

おなじく今回来日するアンゴラのナザール(Nazar)ですが、彼の音楽の魅力とは?

SG:ナザールは、ここ最近〈Hyperdub〉で契約した新人でもとくに楽しみなひとりだ。他にはまったくないサウンドを持っていて、それを自分で「ラフ・クドゥーロ」(訳註:クドゥーロはアンゴラ発祥の音楽形式)と呼んでいる。彼がふだん鳴らしている音を説明するなら、ベリアルの音楽をさらに騒々しくしたヴァージョンと、マルフォックスニディア、あるいはニガ・フォックスらによる〈Príncipe〉レーベルの音楽の中間にあると言える。パフォーマンスをするときは、自分の音楽だけを演奏していて、何から何まで独創的な音の世界を聴かせてくれる。彼の作品テーマはアンゴラの内戦と関わりがあって、それで僕の著書『Sonic Warfare』とも共鳴する部分がある。そこがたいていのプロデューサーとちがうところだ。

まもなくベリアルのコンピレイションがリリースされます。彼のことですので、たんにレーベル15周年を祝ってという理由だけでなく、何か考えがあるように思えます。すべて既出の音源ですが、曲順も練られているように感じました。これは実質的に彼のサード・アルバムと捉えてもいいのでしょうか?

SG:彼は適切な流れをつくれるように考えて曲順を決めていた。厳密にはサード・アルバムとは言えないだろう──アルバム『Untrue』以降にリリースされたトラックをほぼすべて網羅したものでしかない。ここに収録されたトラックはどれも、アルバムに入っていないからという理由で、見過ごされてきたように感じられる。われわれとしては、今回の楽曲には、アルバムの収録曲より優れたものさえ存在すると確信している。

今年はサブレーベルの〈Flatlines〉も始動しましたね。第1弾はマーク・フィッシャーとジャスティン・バートンによる作品『On Vanishing Land』で、フィッシャーゆかりのアーティストが多く参加しています。この作品は彼への追悼なのでしょうか?

SG:そうだと言ってかまわない。レーベルの名前は、彼が博士号を取得したさいのテーマにちなんでつけたもので、この作品は、彼の最後の著書『The Weird and the Eerie』に記されたアイディアのいくつかをオーディオエッセイというかたちで実践したものだ。

今後〈Flatlines〉はどのような作品を出していく予定なのでしょう?

SG:もしかしたら、僕自身のオーディオエッセイをいくつか出すかもしれない。

AIやテクノロジーのことがよく話題にのぼる昨今、「もともと人間のために作られたシステムが、人間消滅後もシステム自らのために稼働し続ける」という『Nøtel』の設定は示唆的です。作品のもととなったあなたのアルバム『Nothing』が出てから4年たちましたが、『Nøtel』にはどのような反応が返ってきていますか?

SG:『Nøtel』は興味深いプロジェクトとして続いてきた。最初は僕とローレンス・レックが加速主義(訳註:現行の資本主義プロセスを加速することで根本的な社会変革に結びつけようとする思想)について意見を交わすことからはじまった。それがアルバムの2つ折りジャケットのアートワークにつながった。それから仮想空間に建造物を再現し、僕がライヴ演奏をしているあいだにローレンスがゲーム用コントローラーを使って内部を移動する様子を映し出す(それぞれのトラックにひとつの部屋が割り当てられている)という形式ができて、さらにはユーザー参加型のVR作品に仕上がった。そして『Nøtel』を実際のホテルに見立てた架空の広告を制作し、香港のアート・バーゼルというイヴェントで最大規模のヴィデオ展示をおこなった。12月には上海での展示がおこなわれる──『Nøtel』はこれまで突然変異を繰り返して異なる環境をつくり出し、いまもなお発展を続けている。今回、初めて日本でのパフォーマンスが実現する。


photo: Philip Skoczkowski

『Nøtel』では、資本主義を打ち破るコンセプトとして、ジャーナリストのアーロン・バスターニが描いた全自動ラグジュアリー共産主義(Fully Automated Luxruy Communism)が、資本主義的に読み替えられた全自動ラグジュアリー(Fully Automated Luxury)というコンセプトとして登場します。『Nøtel』は、人間がいなくなったあとも資本主義リアリズムがテクノロジーによって構築され続ける世界です。わたしの記憶が正しければ、『Notel』のなかには、亡くなったスペースエイプやDJラシャドがまるで幽霊のようにホログラムや映像として登場します。人間のいない『Nøtel』の世界に幽霊がいるとすれば、それはどのような意味を持つのでしょうか?

SG:『Nøtel』の世界はデジタル化された不死の概念を展示するような場所でもあって、そこでは死んだ友人たちが生き続けている。『Nøtel』は、富裕な人びとが求める社会的分離が行き着くところまで行ってしまった皮肉な事態(従業員が機械化されたのみならず、『Nøtel』には、もはや宿泊客がやって来ない──ただ、なぜそうなったのかをわれわれは語らない)をあらわすと同時に、「完全自動ラグジュアリーコミュニズム」(訳註:技術革新によって実現できるとされる豊かな共産主義社会で、アーロン・バスターニの著書『Fully Automated Luxury Communism』のタイトルと一致する)という概念があっても、それが企業体によっていかに容易に私物化されうるかという皮肉を示している。『Nøtel』では、ドローンが従業員として仕事をする。そしてこの作品は、自分たちを使役する人間が存在しなくなったと認識したドローンが自由を獲得することで結末を迎える。

あなたは、今回一緒に来日するローレンス・レックの映像作品『AIDOL』に、声優として出演していますね。『AIDOL』の舞台は東南アジアです。では『Nøtel』の世界では、「東洋」はどのように存在しているのでしょう?

SG:物語の上で、『Nøtel』は国有の中国企業によって経営されている──そのブランド戦略を担うコンサルタントのひとりはロンドンのアートスクールで学んだ経験があり、そこで「完全自動ラグジュアリーコミュニズム」という言葉を耳にして、意味をとりちがえたまま中国に持ち帰り、迂闊にも高級ホテルチェーンのキャッチフレーズに転用してしまったんだ。

『Nøtel』における機械(ドローン)には、われわれ人間と同じような肉体があるわけではないですが、人間性のようなものが宿っているようにも見えます。われわれは機械の尊厳についても考えるべきでしょうか?

SG:ドローンには、自由になりたいという欲望がプログラムされていて、それは、主人である人間に仕えるよう定めたプログラムよりも根源的なものとして機能する。どうあれ、人間は自動化を進めたまま、やがて終焉を迎えたということだ。

Hyperdub

Kode9 率いる〈Hyperdub〉の15周年パーティーが "Local X9 World Hyperdub 15th" として WWW にて12月7日(土)に開催決定!
また、孤高の天才 Burial が歩んだテン年代を網羅したコレクション・アルバムが国内流通仕様盤CDとして12月6日(金)に発売決定!

00年代初期よりサウス・ロンドン発祥のダブステップ/グライムに始まり、サウンドシステム・カルチャーに根付くUKベース・ミュージックの核“ダブ”を拡張し、オルタナティブなストリート・ミュージックを提案し続けて来た Kode9 主宰のロンドンのレーベル〈Hyperdub〉。本年15周年を迎える〈Hyperdub〉は、これまでに Burial、Laurel Halo、DJ Rashad らのヒット作を含む数々の作品をリリースし、今日のエレクトロニック・ミュージック・シーンの指標であり、同時に先鋭として飽くなき探求を続けるカッティング・エッジなレーベルとして健在している。今回のショーケースでもこれまでと同様に新世代のアーティストがラインナップされ、東京にて共振する WWW のレジデント・シリーズ〈Local World〉と共に2020年代へ向け多様な知性と肉体を宿した新たなるハイパー(越境)の領域へと踏み入れる。

Local X9 World Hyperdub 15th

2019/12/07 sat at WWW / WWWβ
OPEN / START 23:30
Early Bird ¥2,000@RA
ADV ¥2,800@RA / DOOR ¥3,500 / U23 ¥2,500

Kode9 x Lawrence Lek
Doon Kanda
Nazar
Shannen SP
Silvia Kastel

Quarta 330
Foodman
DJ Fulltono
Mars89

今回のショーケースでは、Kode9 がDJに加えシミュレーション・アーティスト Lawrence Lek とのコラボレーションとなる日本初のA/Vライブ・セットを披露。そして最新アルバム『Labyrinth』が11月下旬にリリースを控える Doon Kanda、デビュー・アルバムが来年初頭にリリース予定のアンゴラのアーティスト Nazar、そしてNTSラジオにて番組をホストする〈Hyperdub〉のレジデント Shannen SP とその友人でもあるイタリア人アーティスト Silvia Kastel の計6人が出演する。

BURIAL 『TUNES 2011-2019』

Burial の久しぶりのCDリリースとなる『TUNES 2011-2019』が帯・解説付きの国内流通仕様盤CDとしてイベント前日の12月6日にリリース決定!

2006年のデビュー・アルバム『Burial』、翌年のセカンド・アルバム『Untrue』というふたつの金字塔を打ち立て、未だにその正体や素性が不明ながらも、その圧倒的なまでにオリジナルなサウンドでUKガラージ、ダブステップ、ひいてはクラブ・ミュージックの範疇を超えてゼロ年代を代表するアーティストのひとりとして大きなインパクトを残したBurial。

沈黙を続けた天才は新たなディケイドに突入すると2011年にEP作品『Street Halo』で復活を果たし、サード・アルバム発表への期待が高まるもその後はEPやシングルのリリースを突発的に続け、『Untrue』以降の新たな表現を模索し続けた。本作はテン年代にブリアルが〈Hyperdub〉に残した足取りを網羅したコレクション・アルバムで、自ら築き上げたポスト・ダブステップの解体、トラックの尺や展開からの解放を求め、リスナーとともに未体験ゾーンへと歩を進めた初CD化音源6曲を含む全17曲150分を2枚組CDに収録。

性急な4/4ビートでディープなハウス・モードを提示した“Street Halo”や“Loner”から、自らの世界観をセルフ・コラージュした11分にも及ぶ“Kindred”、よりビートに縛られないエモーショナルなス トーリーを展開する“Rival Dealer”、史上屈指の陽光アンビエンスが降り注ぐ“Truant”、テン年代のブリアルを代表する人気曲“Come Down To Us”、そして最新シングル“State Forest”に代表される近年の埋葬系アンビエント・トラックまで孤高の天才による神出鬼没のピース達は意図ある曲順に並べ替えられ、ひとつの大きな抒情詩としてここに完結する。

label: BEAT RECORDS / HYPERDUB
artist: Burial
title: Tunes 2011-2019
release date: 2019.12.6 FRI

Tracklisting

Disc 1
01. State Forest
02. Beachfires
03. Subtemple
04. Young Death
05. Nightmarket
06. Hiders
07. Come Down To Us
08. Claustro
09. Rival Dealer

Disc 2
01. Kindred
02. Loner
03. Ashtray Wasp
04. Rough Sleeper
05. Truant
06. Street Halo
07. Stolen Dog
08. NYC

元ちとせ - ele-king

 私は元ちとせのリミックス・シリーズをはじめて知ったのはいまから数ヶ月前、坂本慎太郎による“朝花節”のリミックスを耳にしたときだった、そのときの衝撃は筆舌に尽くしがたい。というのも、私は奄美のうまれなので元ちとせのすごさは“ワダツミの木”ではじめて彼女を知ったみなさんよりはずっと古い。たしか90年代なかばだったか、シマの母が電話で瀬戸内町から出てきた中学だか高校生だかが奄美民謡大賞の新人賞を獲ったといっていたのである。奄美民謡大賞とは奄美のオピニオン紙「南海日日新聞」主催のシマ唄の大会で、その第一回の大賞を闘牛のアンセム“ワイド節”の作者坪山豊氏が受賞したことからも、その格式と伝統はご理解いただけようが、元ちとせは新人賞の翌々年あたりに大賞も受けたはずである。すなわちポップス歌手デビューをはたしたときは押しも押されもしない群島を代表する唄者だった。もっとも私は80年代末に本土の学校を歩きはじめてから短期の帰省をのぞいてはシマで暮らしたこともないので、彼女が群島全域に与えた衝撃を実感したわけではない。私のころはむしろ中野律紀さんがシマ唄のホープでありポップスとの架け橋だったのであり、電話口で元ちとせの登場に母の興奮した声音を聴いた90年代なかば、私はむしろゆらゆら帝国(まだ4人組でした)とかのライヴに足を運びはじめたころで、シマ唄なんかよりはそっちのがだいぶ大事だった。しかしそのように語るのはいくらか語弊がある。というのも、そもそも私のような1970年代生まれ以降のシマンチュにとってシマ唄はもとからそう身近なものではない。戦後、米軍統治からの本土復帰後、ヤマト並をめざす奄美にとっては文化も言語も標準化すべき対象でしかなく、私はよく憶えているが、私が小学の低学年だったころまでは学校のその週の努力目標にシマグチ(方言)を使わないようにしましょうというものがあり、使うと他の生徒の前で罰せられたのである(80年代のことですぜ)。私はこのことに子ども心ながら理不尽な気持ちを拭えなかったが、なにがおかしいか、なぜおかしいか、またひとはなぜそのような外部の視線を内面化することで恥と劣等感をおぼえるのか、語ることばをもたなかった。もっともその口にのぼらせるべきことばすら本土化されかかっていたのだとしたら、武装に足ることばなどどこにもなかった。とまれ私たちは中国のウイグル自治区への政策をしたり顔でもって他山の石などとみなすことなどできない。南西諸島にせよアイヌにせよ、境界を措定された空間の周縁は中央がおよぼす文化と政治と経済の波がもっとも可視化されやすい場所であり、言語におけるその顕れはおそらくドゥルーズのいうマイナー言語なるものを派生させ、近代性の波と同期すればポール・ギルロイいうところの真正性オーセンテイシテイを励起するはずだが、この点を論究するのは本稿の任ではない。つまるところ私にはともに90年代前半に見知ったおふたりが20年代のときを経てコラボレーションするにいたったことが事件だったのである。
 恥ずかしながら私はここしばらく元ちとせの動向を追っていなかったのでことのなりゆきがにわかにはのみこめなかったが、レーベルのホームページによるとリミックスはこんごもつづくとのこと。また今回のプロジェクトはもとになるアルバムがあるのもわかった。昨年リリースの『元唄(はじめうた)』と題したシマ唄集で、元ちとせはこのアルバムで盟友中孝介を客演に、勝手知ったるシマ唄の数々を招き吹きこみなおしている。坂本慎太郎の“朝花節”のリミックスは『元唄』の幕開けにおさめた楽曲のリミックスで、同様の主旨のリミックスが以後数ヶ月つづくこともレコード会社の資料は述べていた。したがって本作『元ちとせリミックス』の背景にはおよそこのような背景があることをご理解いただいたうえで、今回の坂本龍一のリミックス作のリリースをもって完了したプロジェクトをふりかえりつつ収録曲とリミキサーを簡単にご説明さしあげたい。

 

朝花節 REMIXED BY 坂本慎太郎
2019/6/26 Release

 “朝花節”は唄遊びや祝宴の席で最初に歌うことの多い、座を清めたり喉のウォーミングアップをかねたりする唄。唄者には試運転をかねるとともに、唄の場がひらいたことを宣し声を場にチューニングしていく役割もある。多くの唄者の音盤でも冒頭を飾ることが多く、元ちとせの〈セントラル楽器〉(名瀬のレコード店で唄者のアルバムを数多くリリースしている)時代のセカンド『故郷シマキヨら・ウム』(1996年)の冒頭を飾ったのも“朝花節”だった。1975年の敗戦の日の日比谷野音で竹中労が音頭をとり、嘉手苅林昌、知名定繁と定男父子、登川誠仁など、稀代の唄者が集ったコンサートの実況盤でも奄美生まれの盲目の唄者里国隆の“朝花節”が1曲目に収録されているのもおそらく同じ意味であろう。
坂本慎太郎のリミックスはもっさりしたチープなビートが数年前のクンビアあたりを彷彿する点で、『元唄』のボーナストラックだった民謡クルセイダーズの“豊年節リミックス”に一脈通ずるが、音と音との空間を広くとり、定量的なビートにも機械の悲哀といったものさえ感じさせるソロ期以降の坂本慎太郎の作風を縮約した趣きもある。背後からヘア・スタイリスティックスとも手を結ぶ作風ともいえるのだが、坂本は元や中の声を効果的にもちい、聴き手の感情をたくみに宙吊りにする。うれしくもなければ悲しくもない。笑いたいわけではないが怒っているのでもない、日がな一日砂を噛みながらみずからの鼻を眺めるかのごとき感情の着地を拒む幕開けはアルバム総体の行方も左右しない。

 

くばぬ葉節 REMIXED BY Ras G
2019/7/31 Release

 つづく“くばぬ葉節”のリミックスはラス・Gの手になる。ラス・Gは今年7月29日に逝去したがリミックスの公開はその二日後、はからずもいれかわるように世に出た。LAビート・シーンの立役者のひとりであり、幾多の独特なリズム感覚でビート・ミュージックの形式にとどまらない作風をものしたラス・Gらしく、ここでもパブリック・イメージをいなすノンビート・アレンジで意表を突いている。全体はスペーシーな風合いがつよく、冒頭のSEは極東の島国のさらにその南の島からの唄声に自身のサウンドをチューニングさせるかのよう。表題の「くばぬ葉」はビロウの葉のこと。シマでよくみるヤシ科の常緑の高木でその葉を編んで団扇にしたことなどから身よりのないシマでのひととのえにしの大切さになぞらえている。

 

くるだんど節 REMIXED BY Chihei Hatakeyama
2019/8/28 Release

 ここからアルバムはアンビエント・パートへ。数あるシマ唄でも代表的な“くるだんど節”を本邦アンビエント界の旗手畠山地平がカスミたなびく音響空間に仕上げている。表題の「くるだんど」とは「空が黒ずむ」の意。その点でも幽玄の情景を喚起する畠山のリミックスは唄のあり方を的確にとらえているといえる。もっともシマ唄の歌詞に決定稿は存在しない。歌詞は唄うものが唄い手が独自に唄い変える。じっさい畠山のリミックスの原曲となった『元唄』収録の“くるだんど節”は島の特産物産を自慢する内容だが、この歌詞は親への感謝を唄うオーソドックスなものともちがっている。むろんそれさえも「空が黒ずむ」ことともなんら関係ない。転々とシマからシマ、ひとからひとへ唄い継ぐうちに歌詞も節もグルーヴも変転する世界各地のフォークロアな音楽と通底するこのような口承性こそ、共同体の暮らしの唄としてのシマ歌の真骨頂といえるのだが、畠山地平は唄の古層を探るかのように原曲の音素をひきのばし、幾多の微細な響きに解体した響きが蜿蜿と蛇行する大河のような時間感覚をかたちづくっている。

長雲節 REMIXED BY Tim Hecker
2019/9/25 Release

 声の響きに着目した畠山のリミックスと対照的に、つづくティム・ヘッカーは“長雲節”のリミックスで元ちとせの唄の旋律線の動きに焦点をあてている。ティム・ヘッカーといえば、昨年から今年にかけて『Konoyo』と『Anoyo』の連作での雅楽との共演でリスナーをおどろかせたばかり。雅楽とは、いうまでもなく中国から朝鮮半島を経由に伝来した宮廷音楽だが、楽音と雑音とを問わずあらゆる音に色彩をみいだすこのカナダ人は雅楽という形式特有の持続とゆらぎに、おそらくは此岸(この世)と彼岸(あの世)のシームレスなつながりをみた、そのように考えれば、シマ唄、ことに元ちとせら「ひぎゃ唄」の唄者が自家薬籠中のものとする裏声によるポルタメントな唱法(グィンといいます)はヘッカーをしてシマ唄と雅楽の類似点を想起させなかったとはだれにも断定できない。原曲となる“長雲節”はしのび逢いの唄で、別れ唄とする地域もあれば祝い唄とみなすシマもある。このような背反性までもリミキサーが理解していたはずはないが、かろうじてかたちを保っていた唄が旋律の線形だけをのこし抽象化し、やがてサウンドの合間に姿を消すヘッカーの解釈は唄の物語世界にも同期する、好ミックスである。
ちなみにさきに述べた「ひぎゃ唄」の「ひぎゃ」とは東の意。元ちとせの出身地でもある奄美大島南部の瀬戸内町の旧行政区画名「東方村」に由来する。すなわち南方を東方と呼んでいたころのなごりで、北部を代表する「かさん唄」(「かさん」は現奄美市に合併した笠利町のこと)とシマ唄の傾向を二分する流儀である。武下和平から朝崎郁恵まで、著名な唄者がひぎゃ唄の唄い手に多いのは起伏に富む歌いまわしがテクニックに結びつくからだろうが、地鳴りのような唸りからファルセットまで一気にかけあがる唱法は、北部に比して急峻な南部の地形に由来するとも、信仰や風習や、はたまた薩摩世(薩摩藩支配時代)の過酷な労働に由来するとする説まで、諸説紛々だが真偽のほどはさだかでない。

 

Photo by "Jakob Gsoellpointner".

豊年節 REMIXED BY Dorian Concept
2019/10/30 Release

 フライング・ロータス、サンダーキャットらの〈ブレインフィーダー〉から『The Nature Of Imitation』を昨年リリースし一躍ときのひととなったドリアン・コンセプトは『元唄』では唯一のリミックス作“豊年節”を題材に選んだ。すなわち民謡クルセイダーズのリミックスのリミックスということになるが、ジャズからビート・ミュージックまで手がけるオーストリアの才人は原曲を活かしながら独自色をひそませ、島々を練り歩く放浪芸の一座のようだった原曲にサーカス風の彩りをくわえている。

 

Photo by zakkubalan(C)2017 Kab Inc.

渡しゃ REMIXED BY 坂本龍一
2019/11/27 Release

 『シマ唄REMIX』の参加者でそれまでに唯一元ちとせとの共演歴をもっていたのが“渡しゃ”を担当した坂本龍一である。坂本と元は2005年の8月6日に広島の原爆ドームの前で、トルコの詩人ナジム・ヒクメットが原爆の炎で灰になった少女になりかわり書き綴った詩の訳詞に外山雄三が曲をつけた“死んだ女の子”を演奏し、爾来夏を迎えるたびに限定で配信し収益のいちぶをユニセフに寄付しているという。元ちとせの2015年のアルバム『平和元年』も収める“死んだ女の子”はまぶりのこもった歌声と柔和なメロディに鋭いたちあがりの音が同居した、反戦と平和を希求するスタンダード・ナンバーとして灯りを点すように広がりつつあるが、ここでの坂本は元ちとせのリズミックな演奏に抑制的にアプローチすることで原曲の秘められた側面をひきだしている、その作風は畠山地平やティム・ヘッカーと同じくアンビエントと呼ぶべきだろうが、声の断片、電子音のかさなり、ピアノの打鍵、かぎられた響きで多くを語る方法は坂本龍一の作家性を端的に物語っている。
表題の「渡しゃ」は島と島を渡すもの、すなわち「船頭」の意。船頭が唄のなかで奄美大島、喜界、徳之島、沖永良部、与論からなる奄美群島をめぐっていく。歌詞にみえる「間切り」の文言は琉球と奄美にかつて存在した行政区画で、市町村の町みたいなものだが、島には陸地にはない海の道があり、海が隔てる別々の島のシマ(村)が同じ間切りに入っていたこともしばしばだった。今福龍太が『群島論』で指摘したように、海を道とみなす視点には陸地と海洋が反転した白地図が文字通り浮上するというが、形式を問わない自由な耳でしかあらわれない音もおそらくこの世には存在する。『シマ唄REMIX』が収めるのは純粋なシマ唄でもなければポップスでもない。リミックス集だがダンス・ミュージックでもないし、中身も歌手元ちとせの唄のみをひきたてるものではない。実験的で挑戦的な内容ともいえる一枚だが、エキゾチシズムに淫せず、伝統に拝跪せず、神秘主義に溺れず、反省的な文化人類学の反動性に与せず、ありきたりなポストコロニアルやカルチュラル・スタディーズの思弁にも回収されない、蠢動するものはそのような音楽がもっともよく体現するのである。

特設ウェブサイト:
https://www.office-augusta.com/hajime/remix/

Stereolab - ele-king

 10年ぶりの活動再開とともに順次リイシュー企画の進んでいたステレオラブですけれども、なんと来日公演が決定しました! 2020年の3月、稀代のバンドが東京と大阪の地に降り立ちます。来日公演はじつに11年ぶりとのことで、いやーこれは見逃せません。ちなみにリイシュー企画最後の2作、『Sound-Dust』と『Margerine Eclipse』は明々後日、11月29日の発売です。イアン・F・マーティンによる深い深いステレオラブ論はこちらから、レティシア・サディエールのインタヴューはこちらから。

STEREOLAB
10年ぶりに再始動をしたオルタナティヴ・ミュージック界の皇帝
ステレオラブ
11年ぶりの来日公演が決定!!

80年代のギター・ポップ・バンド、マッカーシーに在籍していたギタリスト兼ソングライターのティム・ゲインと、英語とフランス語を使い分けながら歌うヴォーカルのレティシア・サディエールを中心として90年代にロンドンで結成され、クラウトロック、ポストパンク、ポップ・ミュージック、ラウンジ、ポストロックなど、様々な音楽を網羅した幅広い音楽性で、オルタナティヴ・ミュージックを語る上で欠かせないバンドであるステレオラブ。その唯一無二のサウンドには、音楽ファンのみならず、多くのアーティストがリスペクトを送っ ている。10年ぶりに再始動を果たした彼らは、過去タイトルから一挙7作品を再発すると共に、Primavera Sound Festival や Pitchfork Music Festival など様々な大型フェスティヴァルを含む大規模なツアーを敢行中。そしてついに11年ぶりとなる来日公演が決定した。

https://youtu.be/nYDtWdyIUiQ

今回の再発キャンペーンでは、メンバーのティム・ゲインが監修し、世界中のアーティストが信頼を置くカリックス・マスタリング(Calyx Mastering)のエンジニア、ボー・コンドレン(Bo Kondren)によって、オリジナル・テープから再マスタリングされた音源が収録されており、ボーナストラックとして、別ヴァージョンやデモ音源、未発表ミックスなどが追加収録される。国内流通盤CDには、解説書とオリジナル・ステッカーが封入され、初回生産限定アナログ盤は3枚組のクリア・ヴァイナル仕様となり、ポスターとティム・ゲイン本人によるライナーノートが封入される。

Japan Tour 2020
STEREOLAB

東京 3/16 (月) LIQUIDROOM
OPEN 18:00 / START 19:00
¥6,500 (前売 / 1ドリンク別)
03-3444-6751 (SMASH)

大阪 3/17 (火) UMEDA SHANGRI-LA
OPEN 18:00 / START 19:00
¥6,500 (前売 / 1ドリンク別)
06-6535-5569 (SMASH WEST)

■チケット発売

主催者先行:11/26 (火) 17:00 ~ 12/2 (月) 23:00 (抽選制)
https://eplus.jp/stereolab/

一般発売:12/14 (土)
東京:e+ (Pre: 12/4 12:00 ~ 12/8 23:59)|ぴあ (P:171-039)|ローソン (L:74870)|岩盤 ganban.net
大阪:e+ (Pre: 12/4 12:00 ~ 12/8 23:59)|ぴあ (P:171-116)|ローソン (L:55768)

クレジット
協力:BEATINK

お問合わせ
SMASH:03-3444-6751|smash-jpn.com

label: Duophonic / Warp Records / Beat Records
artist: Stereolab
title: SOUND DUST [Expanded Edition]
release date: 2019/11/29 FRI ON SALE

label: Duophonic / Warp Records / Beat Records
artist: Stereolab
title: MARGERINE ECLIPSE [Expanded Edition]
release date: 2019/11/29 FRI ON SALE

label: Duophonic / Warp Records / Beat Records
artist: Stereolab
title: EMPEROR TOMATO KETCHUP [Expanded Edition]
release date: NOW ON SALE

label: Duophonic / Warp Records / Beat Records
artist: Stereolab
title: DOTS AND LOOPS [Expanded Edition]
release date: NOW ON SALE

label: Duophonic / Warp Records / Beat Records
artist: Stereolab
title: COBRA AND PHASES GROUP PLAY VOLTAGE IN THE MILKY NIGHT [Expanded Edition]
release date: NOW ON SALE

label: Duophonic / Warp Records / Beat Records
artist: Stereolab
title: Transient Random-Noise Bursts With Announcements [Expanded Edition]
release date: NOW ON SALE

label: Duophonic / Warp Records / Beat Records
artist: Stereolab
title: Mars Audiac Quintet [Expanded Edition]
release date: NOW ON SALE

NYクラブ・ミュージックの新たな波動 - ele-king

 日本では平成から令和へと新たな元号を迎え、アメリカではバラク・オバマからドナルド・トランプへ大統領が交代するなど歴史的な瞬間の多かった10年代はあと1ヶ月残し、もうすぐ20年代が始まろうとしている。
 10年代を振り返ると、iPhone をはじめとするスマホが瞬く間に世界へ浸透し、万国共通のソーシャル・ネットワーキング・サービスはフェイスブックから同じくフェイスブック社が2010年に開発したアプリ、インスタグラムへシフト。Spotify や Apple Music などの音楽ストリーミングサービスが日常の一部になるどころか、そういったサービスにわざわざ加入しなくても YouTube や SoundCloud などの無料の共有サービスによって、メディアを使わずにスマホひとつで音楽を聴くことができるエポックメーキングな時代に変わった。
 出だしが長くなったけれど、ここで触れたいのは、時を同じくして変化していったNYはブルックリンのミュージック・シーン。それも、今では世界的な実力のある Anthony Naples や Aurora Halal らを筆頭に、“NYサウンドの新世代”ともいえる10年代のユース・カルチャー・シーンについて紹介していきたい。

 00年代、NYのハウス・ミュージック・シーンにおいて唯一無二の存在は、かつてマンハッタンのミートパッキングにあった「Cielo Club」。2003年にオープンしてから François K. や Louie Vega、Kenny "Dope" Gonzalez などの名だたるメンツがレジデントDJを務めるハイクラスなレギュラー・パーティが話題を集め、翌年(2004)にはアメリカの「Best Club- Dancestar Awards」を受賞。ウィリアムズバーグにあった共同オーナーのヴェニュー「Output」とともに今年始めに幕を閉じるまでの15年間、とにかく“グッド・ミュージック”を提供し続けた老舗だ。
 そんなパーティへ遊びに行っていたヤング・ジェネレーションにとっても前述したようなDJがビッグネームであることには間違いないが、彼らが目指したスタイルは一時代を築いたDJたちと同じものではなかった。むしろ「自分たちと同世代がやりたいことをやれるような場所がNYには少なかった」と話す当時まだ名もないDJや、DIYで新しいことを始めたいと思う人たちによって、NYのダンス・ミュージック・シーンは2010年を境に、地価の高騰するマンハッタンからやりたいことを合理的にできるブルックリンへと移り変わっていった。

 今年11月、再び日本で開催された「Mister Saturday Night」は、まさにそんな時代背景を写したようなブルックリンを代表するパーティのひとつだ。『ガーディアン』誌で“NYで最も優れたDJデュオのひとつ”と称賛された、アイルランド人の Eamon Harkin とアメリカ人の Justin Carter のふたりは、00年代後半にマンハッタンの老舗「Santos Party House」で前身となるパーティをスタート。その後ブルックリンに拠点を移し、ゴワナスのバックヤードやロフトスペースなどのオープンエアーな場所を利用したデイタイムの屋外パーティ「Mister Sunday」を始め、ここだけでしか体験できないDIYなスタイルの「Mister Saturday Night」へと大成させた。
 そんなパーティの常連であるNYのアーティストを取り上げていくことを当初のコンセプトに、2012年には同名義のレーベルを設立。パーティから生まれた理想的なレーベルの第1弾には、まさに当時フロアで踊っているうちのひとりにすぎなかった Anthony Naples をフィーチャーしたEP「Mad Disrespect」をリリース。シカゴ・ハウスのようなドラムマシンにエモーショナルなヴォーカルを乗せたソウルフルなサウンドは、ピークの「Mister Saturday Night」のフロアを思い起こさせる、“新時代のエクスペリメンタルなトラック”として注目を集めた。その後、Hank Jackson や気鋭のデュオ General Ludd などを次々と世に送り出しただけでなく、2015年には「Mister Saturday Night」のホームとして、今のブルックリンで最も旬なヴェニュー Nowadays もオープン。最初は屋外のスペースだけで運営をしていたが、2017年にはより多角的なパーティをおこなうことを目的とした屋内のフロアをオープンさせ、キレイで快適なメインフロアとレストラン&バー、好きな時にチルアウトできる屋外スペースを備えた“現代の大箱”を作り上げた。


Nowadays flyer


DJ Python@Bossa Nova Civic Club

 ここで「Mister Sunday」が開催されていることは言わずもがな、2010年以降に頭角を現しヨーロッパを中心に世界でプレイするほど人気DJとなった Anthony Naples や Aurora Halal、DJ Python などの新世代がレジデントを務めるハウス、テクノのパーティがスケジュールのほとんどを占める。2018年末のカウントダウン・パーティへ行った時は、なんと24時間という長丁場で、22時までは床に敷いたマットに寝そべりながらNYの気鋭なレーベル〈RVNG Intl.〉ファウンダー Matt Werth らによる上質なアンビエントを、朝8時まではレジデントDJたちによるカッティングエッジなテクノを、そして、昼14時まではこの日のゲストであった Theo Parrish による往年のハウスやディスコをフロアに残ったまだまだ遊び足りないみんなで聴いて、踊り明かすような、いい意味で新しい世代にバトンが渡っている場所だと思った。


Nowadays flyer 2018-2019 New Years Party "Nowadays Nonstop"

 「Mister Saturday Night」はさておき、圧倒的にヴェニューが不足していた同時期に、同じくブシュウィックで確立していった特筆すべき場所がもうひとつ。話を10年代初期に一旦戻すと、ベルリンを中心に世界的にミニマル・テクノが主流だった当時、NYのダンス・ミュージック・シーンに新風を吹き込んだのが2010年に設立された〈L.I.E.S. Records (Long Island Electrical Systems、以下L.I.E.S.)〉だ。ファウンダーの Ron Morelli は、ダンス・ミュージックをソフトウェアで作るという当時のスタイルを覆し、今でこそ「ローハウス」といわれるようなザラついたローファイなエレクトロニック・サウンドをDIYで作り、打ち出してきた人物。

 2012年にオープンしたバースタイルの「Bossa Nova Civic Club」は、そんな Ron Morelli を筆頭に〈L.I.E.S.〉が才能を見出したまだ無名の Terekke や Bookworms、DJ Steve O たちがプレイし、当時まだアンダーグラウンドだったサウンドがひとつのジャンルとして確立されていくとともにメイド・イン・ブルックリンのキャッチーなダンス・ミュージックを聴ける場所として不動の地位を築いた。〈L.I.E.S.〉を目当てに通うパーティ・フリークはとにかくぶっ飛んで踊り狂い、100人キャパほどの小さいフロアでありながらもほかのヴェニューと一線を画す、強烈なエナジーがここにはあった。


Bossa Nova Civic Club のバー

 オープンからずっとパーティを続ける Bookworms や、同じくスターティング・メンバーで Anthony Naples のレーベル〈Incienso〉からリリースされたLPが注目を集める Beta Librae、この場所で始まった女性特定のDJ集団「Discwoman」の中心メンバー Umfang、〈White Material Record〉のメンバーでハウス・ミュージックの新星 Galcher Lustwerk などがプレイする今でも、その勢いはほとんど変わらないと思う。もちろんほかに新しくできたヴェニューへ移っていくDJもいるけれど、オープン初期にプレイしていたDJたちが今のブルックリンのダンス・ミュージック・シーンで活躍していると言っても過言ではない。
 ちなみに、10年代初期からDIYを掲げたウェアハウス・パーティを開催する Aurora Halal が主宰し、2014年にスタートしてから今では1000人限定の“特別なパーティ”となるまでに成長したNYで数少ない野外レイヴ・パーティ「Sustain Release」のセカンド・ステージには「Bossa Nova Civic Club」の名前がつけられている。それほど、10年代のダンス・ミュージック・シーンにとってここは重要なポジションであり、オーナーの John Barclay はシーンの立役者でもあるということだ。

 そんなわけで、この10年代をざっと振り返ってみるとブルックリンこそ、冒頭で話したスマホ並みにエポックメーキングなミュージック・シーンに変わった。そんな新世代のアーティストをこれから取り上げていこうと思う。

Squarepusher - ele-king

 先日の〈Warp〉30周年記念公演《WXAXRXP DJS》において、実質ライヴのような強烈なDJをかましてくれたスクエアプッシャーだけれど、なんと年明けにニュー・アルバムがリリースされる。タイトルは『Be Up A Hello』で、1月31日発売。最近はオルガン奏者ジェイムズ・マクヴィニーの作品に関わるなど、ずっと活動を続けていたトム・ジェンキンソンではあるが、スクエアプッシャーとしてはじつに5年ぶりのフル・アルバムとなる。年内12月6日に発売される先行12インチから“Vortrack”とそのセルフ・リミックス“Vortrack (Fracture Remix)”の2曲が公開されているが……これはかなり90年代っぽい? 原点回帰? アルバムへの期待が昂まるぜ。

[12月9日追記]
 更新情報です。先週末発売となった先行シングル「Vortrack」を購入すると、ボーナストラック“Vicsynth1.3 Test Track 1”がダウンロードできるそうです。さらに、1月31日発売のアルバム『Be Up A Hello』のTシャツ付きセット盤にも、それとは異なるボーナストラックが追加されるとのこと。これは嬉しいね!

5年ぶりの待望の最新アルバム『BE UP A HELLO』収録曲先行12インチ・シングル「Vortrack」に隠れボーナストラック!
アルバムのTシャツ付セットにも別のボーナストラックが追加!

〈Warp Records〉30周年記念イベント『WXAXRXP DJS』では、狂気じみたパフォーマンスで話題を集め、その後5年ぶりとなる最新作『Be Up A Hello』(2020年1月31日発売)のリリースも発表し、ファンを喜ばせたスクエアプッシャー。アルバムに先駆けて先週リリースされた12インチ・シングル「Vortrack」に封入されたダウンロード・カードから、表題曲“Vortrack”と自らリミックスした“Vortrack (Fracture Remix)”の他に、ボーナストラック“Vicsynth1.3 Test Track 1”が入手できることが明らかとなった。

さらに、アルバムと同時発売されるオリジナルTシャツ付セットにも別のダウンロード・ボーナストラックが追加されることが決定。90年代のアナログ機材が多用されたという最新アルバム『Be Up A Hello』の制作中、様々なアイデアを試み、様々な形でファンに届けようとするトム・ジェンキンソンの積極的な姿勢が垣間見られる。

スクエアプッシャー、5年ぶりの待望の最新アルバム
『BE UP A HELLO』を1月31日にリリース決定!
先行シングルと自身が手がけたリミックスを同時解禁!

常に新しい響きと新たな試みを求め、リスナーに驚きと衝撃を与え続けている唯一無二のアーティスト、スクエアプッシャーが5年ぶりとなる最新作『Be Up A Hello』(2020年1月31日発売)のリリースを発表! 先行シングル“Vortrack”、そして自らがリミックスした“Vortrack (Fracture Remix)”が同時解禁された。この2曲を収録した12インチは、アルバムに先駆け12月6日(金)にリリースされる。

Vortrack (Original Mix)
https://youtu.be/s3kWYsLYuHc

Vortrack (Fracture Remix)
https://youtu.be/59ke5hp-p3E

〈Warp Records〉が30周年を迎えた2019年、レーベルメイトのワンオートリックス・ポイント・ネヴァー、ビビオとともに3都市を巡った30周年記念イベント『WXAXRXP DJS』では、自身の楽曲群を用いて「もはやライヴでは?」と思わせるほどアッパーな高速ドリルンベース・セットを披露し、満員のオーディエンスを熱狂させたことも記憶に新しいスクエアプッシャー。そのセットにも組み込まれていた未発表の新曲も本作『Be Up A Hello』に収録となる。狂気じみたそのパフォーマンスには、直感と初期衝動に従って一気に完成させたというこの最新作の存在があり、本作を特徴付けた大きな要因に、90年代のアナログ機材を多用したという事実がある。エレクトロニック・ミュージックに目覚めた当時の思いや記憶を綴った日記のようでもあり、いつになくメロディアスで聞きやすい曲もあるのは確かだ。しかし、やはりその内容はスクエアプッシャーの音楽以外のなにものでもない。強烈で、スピーディで、目まぐるしくて、刺激的で、先の予測のつかないスクエアプッシャーの音楽だ。そして映像クリエイターのザック・ノーマンとトム自身がデザインしたアルバム・ジャケットには、『Do You Know Squarepusher』以来初めて、スクエアプッシャーのアイコニックなロゴも登場する。

自分がエレクトロニック・ミュージックを書き始めた頃、つまり90年代に自分が使っていた、そういう機材を使って新作を作りたいと思った。とにかくやりたかったのは、何かに取り組み、仕上げ、そして次に進む、ということ。今回のアルバムは直球で、インパクトに満ちた響きにしたかったんだ。 ──SQUAREPUSHER

最新アルバム『Be Up A Hello』は、2020年1月31日(金)発売。国内盤にはボーナストラックが追加収録され、解説書が封入させる。また数量限定でオリジナルTシャツセットも発売決定!

label: Warp Records / Beat Records
artist: Squarepusher
title: Be Up A Hello
release date: 2020.01.31 FRI ON SALE

国内盤CD BRC-624 ¥2,200+税
国内盤CD+Tシャツ BRC-624T ¥5,500+税

国内盤特典:ボーナストラック追加収録/解説書封入

label: Warp Records
artist: Squarepusher
title: Vortrack
release date: 2019.12.6 FRI ON SALE

輸入盤12inch WAP439

beatink:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10683

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