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『ガーディアン』に載ったPJハーヴェイの『レット・イングランド・シェイク』のレヴューを読んでいたら、「これと同じ主題のアルバムをかつてナイニー・ジ・オブザーヴァーが作っているが~」という一節に出くわして、ああ、UKの音楽文化においてレゲエとは、ある種の基礎知識として、あるいはいまだ語り継がれるべき芸術として扱われているのだなと感心した。僕はレゲエの専門家ではないが、レゲエを愛するひとりとして、思えば30年以上もこのジャンルを買い続け、聴き続けている。ゆえに『ラフガイド・トゥ・レゲエ』の翻訳が出版されることは、心の底から嬉しい。
手元にある原書、『Rough Guide To Reggae』は1998年の第二版で、すでにボロボロになっている。いっぱい傍線が引かれ、付箋が貼られている。貧しい英語力で一生懸命に読んできた。が、これからはこのぶ厚い翻訳書を読めばいいのだ。この訳本によって、わが国のレゲエに関する教養も飛躍的に高まるだろう。いつか新聞のロックに関する記事を読んでいたら、ナイニー・ジ・オブザーヴァーの名前を見つける日が来るかもしれない。
とにかく、このぶ厚い、600ページ以上にもおよぶ『ラフガイド・トゥ・レゲエ』を、これから毎日ちょっとづつ読んでいけるのかと思うと嬉しくてたまらない。本書は、レゲエの歴史とその背景、アーティスト紹介のみならず、レコードガイドとして決定的に機能する。値段は高いが、それだけの価値は充分にある本だ。(N)
■目次
序文
1. The beginnings: mento to ska 始まり:メントからスカへ
ジャマイカの民俗伝統
メントとジャマイカのレコード産業の誕生
サウンドシステムの誕生
スカ・オーセンティック
ジャマイカン・ジャズ概要
2. Rudeboys and rocksteady
ルードボーイとロックステディ
ルードボーイ・ミュージック
ゲット・レディ、イッツ・ロックステディ
キャッチ・ディス・ビート:新しいプロデューサーたち
3. Early reggae
初期レゲエ
レゲエ時代のビッグ・スリー
プレミア・リーグへの昇格
新しいプロデューサーたち、スタジアムへ
ウェイク・ザ・タウン:いかにしてディージェイたちが国を制したか
反抗の音楽とラスタ・チャント
4. Roots reggae
ルーツ・レゲエ
ボブ・マーリー・アンド・ザ・ウェイラーズ
UK・コネクション
総監督するプロデューサー
スモール・アックス
カルチュラル・トースターズ
ザ・メインストリーム
ルーツ・ハーモニーズ
思索するラスタマンたち
5. Dub
ダブ
インストゥルメンタル、チャプター、そしてバージョン
ダブワイズ・シャワー
ダブ・エクスプロージョン
000 1980年代におけるダブの動向
6. Dancehall
ダンスホール
ルーツ・トラディション、ルーツ・ラディックス、そしてバーリントン・リーヴィ
ディージェイの支配
ダンス・ポン・ザ・リディム
ヘンリー・'ジュンジョ'・ロウズ、ダンスホールを制す
プリンス・ジャミー
シュガー・マイノット
スライ・アンド・ロビー
チャンネル・ワンとジョー・ギブス
ウォリーズ・イン・ザ・ダンス: さらに多くのプロデューサー参戦
7. Ragga
ラガ
ラガの誕生
キング・ジャミー
ジャミーの最初のライバルたち
ガシー・クラーク
独立するジャミーの従業員たち
ドノヴァン・ジャーメイン
ヒット・ソングを歌うラガ
ディージェイ対決
8. Rasta renaissance
ラスタ・ルネッサンス
ボボ・ドレッドのディージェイ、チャンター、そして歌手
新世代のカルチュラル・シンガーたち
9. Reggae in Britain
イギリスのレゲエ
初期のサウンド1954年から74年
ルーツ、ロック、レゲエ、UK・スタイル
ラバーズ・ロック
ディージェイからラガへ
ルーツの復興
10. Reggae in the USA
アメリカのレゲエ
アメリカのレゲエが根を張る
ニューヨークのダンスホールとラガ
ラガとヒップ・ホップの結婚
モダン・ルーツとラバーズ
11. African reggae アフリカン・レゲエ
用語集
レゲエ年表
書籍、雑誌、ウェブサイト
索引