Home > News > Philip K. Dick - ——もういちどディックと出会うときが来た——『壊れゆく世界の哲学 フィリップ・K・ディック論』刊行記念トークショー
三田格がまだ20歳そこそこの若者だったころ編集した本に、『あぶくの城―フィリップ・K.ディックの研究読本』がある。「あぶくの城」というのはパレ・シャンブルクというノイエ・ドイッチェ・ヴェレのバンド名の日本語訳だが、たしかにディック風な響きがある。当時まだディックなんて作家は、ほとんど知られていなかった時代に(まあ、パレ・シャンブルクもだが)、それは日本で初めて編まれた研究読本だった。ぼくの記憶では、たしか三田格の文章の題名は「サイコロを振るのは俺だ」とかなんとかキザな題名で、この男は何者なんだろうと思った。
今回の主役は、『あぶくの城』ではない。気鋭のドゥルーズ研究者がディックに挑んだ『壊れゆく世界の哲学 フィリップ・K・ディック論』(ダヴィッド・ラプジャード著 堀千晶訳 月曜社)。その刊行記念としてトークショーがある。翻訳を担当したドゥルーズ研究者として名高い堀千晶、そして三田格。司会は早助よう子。
ひょんな理由から、今年はン十年ぶりに『高い城の男』を再読して、60年代に書かれた小説でありながら、日本人のオタク気質の描き方のうまさに舌を巻いたばかりだった。フライング・ロータスもディックは愛読しているし、グレッグ・テイトは『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を逃亡奴隷の物語として解釈している。もういちどディックと出会うときが来た。
<日時 12月3日 15時~
会場 shy 室伏鴻アーカイブカフェ(東京都新宿区早稲田鶴巻町557 小笠原ビル1F)
https://www.facebook.com/cafeshy
会費 1500円(飲食代込) 定員20名 *トーク後にワインと軽いおつまみを出します。/blockquote>