Home > News > RIP > R.I.P. Bernie Worrell
イギリスのEU離脱のニュースのかたわらで、アメリカでは、バーニー・ウォーレルが6月24日、72歳で永眠した。偉大なるキーボーディスト、ファンカデリック/パーラメントの主要メンバー、ファンクに華麗な光沢を与えたひとり、ホアン・アトキンスをして「真のゴッドファーザー・オブ・テクノ」と言わしめた人物である。
デトロイトが他の街と違っているのは、Pファンク臭の強さだ。それはすなわち、政治性、社会性、ある種の知性だが、Pファンクの偉大さは、もちろんファンクであることで、庶民をバカにはしなかったこと、こいつら、バカ正直者で品性も欠いているんだけど悪いヤツらじゃないから……などという上から目線ではなく、むしろそんなヤツらの輪の中に入って、そして一緒に楽しみ、政治性、社会性、ある種の知性をばらまいたことだった。教会の神父がジョージ・クリントなら、横で鍵盤を弾いていたのがバーニー・ウォーレルだった。そして、彼はもっとも初期にMoogシンセサイザーを手にしたミュージシャンのひとりだった。Pファンクの宇宙船がスラム街に着陸したように、ウォーレルのシンセサイザーは、しかし、ヨーロッパの進んだ音楽とは少々無縁の、いなたい連中のために鳴ったのである。
80年代、Pファンクでの活動に終止符が打たれると、彼はトーキング・ヘッズやPiLにも参加した。90年の『Funk Of Ages』をはじめ、多くのソロ・アルバムも発表している。フェラ・クティやモス・デフなど様々なアーティストの作品で演奏し、精力的な活動を続けていた。今年の1月に肺がんと診断され、静養中だったという。ご冥福を祈ります。
野田努