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Mac Miller

Hip Hop

Mac Miller

Watching Movies with the Sound Off

Rostrum

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巻紗葉   Jun 28,2013 UP

 インディで活動しながらもファースト・アルバム『ブルー・スライド・パーク』でいきなりビルボード200制覇を成し遂げた奇跡の21歳、マック・ミラー。その輝かしい経歴とは裏腹に、ここ日本ではいまいち知名度が低い。そんな彼が先ごろセカンド・アルバム『ウォッチング・ムーヴィーズ・ウィズ・ザ・サウンド・オフ』を発表した。しかしJ・コールの『ボーン・シナー』とカニエ・ウェストの『イーザス』と同週発売ということもあり、前作同様話題にならないような予感......。

 まずマック・ミラーとはどのようなアーティストか? それを知るには彼が18歳のとき、2010年に発表したミックステープ『K.I.D.S』を聴く必要がある。タイトルからもわかるとおり、この作品はラリー・クラーク監督、ハーモニー・コリン脚本による同名映画にインスパイアされて制作されている。ここからわかることは、彼が90年代のスケーター・カルチャーをバックグラウンドに持っているということ。そして同作からのヴィデオ・クリップ"シニア・スキップ・デイ""ノック・ノック""クール・エイド&フローズン・ピッツァ"などを観れば、彼(や取り巻く人々)の尋常ならざるセンスの良さを感じることができるだろう。

 さらにマック・ミラーの強みは、メロディ・センスの高さだ。彼は2012年にラリー・ラヴシュタイン&ザ・ヴェルヴェット・リヴァイヴァル名義でミックステープ『ユー』を発表しているが、この作品ではラップではなくジャズ・ヴォーカルを披露。『ユー』という作品がどこまで本気なのかはさておき、今作でもフライング・ロータスやファレル、クラムス・カジノらが手がける曲でメロディメイカーとしての力量を発揮している。またラリー・フィッシャーマン名義のセルフ・プロデュース曲"リメンバー"では、ジ・XX"スウェプト・アウェイ"をサンプリングしているあたりも非常に興味深いところだ。

 前述のような面々がサウンドをクリエイトしている場合、高い確率でコンシャスな作品に仕上がるものだが、客演のメンツを眺めているとなかなかどうして一筋縄ではいかないラッパーたちが名を連ねており、コンシャスというよりはどうしても『K.I.D.S』を想像してしまう。その『K.I.D.S』つながりでは、OFWGKTAからアール・スエットシャツとタイラー・ザ・クリエイター(ボーナストラックのみ)、さらに米『XXL』誌企画による「フレッシュマン・クラス2013」に選出されたスクールボーイ・Qやアクション・ブロンソン、Ab-ソウルといった注目株も参加している。黒人のプロップスも高いユダヤ教徒の白人ということで、ビースティ・ボーイズの面影を彼にみるのはわたしだけではないはず。

 ここまでつらつらと書いてきたが、つまるところ言いたいのはマック・ミラーの新作は前作同様、非常にイケているということだ。アメリカではJ・コールとカニエ、そしてこのアルバムが同日発売されたそうだが、その事実に「常に供給過多」という異常事態を維持しつづける本場のヒップホップ・ゲームの凄みを感じずにはいられない。しかもマック・ミラーは21歳、THE OTOGIBANASHI'Sの1コ上なのだ。


巻紗葉 編著『街のものがたり』 本日発売!

■2010年代のヒップホップ・アーティスト9人のインタヴュー集。
ルードでも閉鎖的でも教条的でもない、自由で新しいフィーリングを持ったラッパーたちが、いまのびのびとヒップホップの歴史を塗り替えようとしている!

★収録アーティスト
・OMSB
・THE OTOGIBANASHI'S
・PUNPEE
・AKLO
・MARIA
・田我流
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・宇多丸
・Mummy-D
3.11以降、若いラッパーたちは何を思い、何を感じたのか......。

生活のこと、これまでのこと、未来のこと、じっくりと語りおろした珠玉のインタヴュー9編。街のリアリティから生まれる力強いメッセージがここにある。

■街のものがたり
著者:巻紗葉
判型:四六判/256ページ
価格:税抜き1900円
発売日:2013年6月28日
ISBN:978-4-907276-01-0

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