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interview with Yakenohara

interview with Yakenohara

ドリーミー・ラップ再び

──やけのはら、インタヴュー

野田 努    撮影:小原泰広   Apr 10,2013 UP

やけのはら
SUNNY NEW LIFE

felicity/SPACE SHOWER MUSIC

Amazon iTunes

 太陽、新しい、リラックス、幸せ、未来、夢、光、希望、大切なこと......言っておくけど、これは啓発本ではない。やけのはらの2年半ぶりのセカンド・アルバム『SUNNY NEW LIFE』から聴こえる言葉だ。CDのケースには、明るいリゾート地のような写真がデザインされている。ジャケには青空が見える。

 やけのはらは、ゼロ年代、さまよえる世代の代弁者として登場した。小洒落たリゾート・ミュージックとは、ある意味真逆の存在で、ささやかな、汚れた日常をロマンティックに描こうとするリリシストだ。彼の初期のレパートリー、"Summer Never Ends"(SFPのリミックス)、"Rollin' Rollin' "(七尾旅人との共作)、"DAY DREAMING"(BUSHMINDとの共作)、あるいは"GOOD MORNING BABY"といった曲は、空しい日々の、しかし小さく甘い、そして美しい物語だった。結果、2010年の真夏にリリースされた彼の『ディス・ナイト・イズ・スティル・ヤング』は、派手な宣伝もないのに関わらず、多くの人たちに聴かれることになった。
 地下より野外、夜より朝、冬より夏を、やけのはらは、好んでいる。猥雑俗悪なものより潔癖な表現を選ぶ。そのように僕には見える。『SUNNY NEW LIFE』は、それに輪をかけてドリーミーなサウンドに特徴を持つ。曲によっては、トロピカルなムードさえある。近年稀に見る脱力感もあるし、そうした軽やかさが『SUNNY NEW LIFE』の魅力だが、口当たりの良い言葉ばかりが並んでいるわけではない。春の日差しのようにうららかで、温かい音楽の背後にあるやけのはらの「思い」をお届けしよう。

僕が自分で作っててこういうのはヘンかもしれないですけど、ポジティヴに無理矢理なろうとか、ポジティヴにしていこうよみたいなこととか、強迫観念的に、狂ってるぐらい前向きになろうということを言い方を換えて言ってるような気がしますね(笑)。

ジェフ・ミルズのときに久しぶりに会ったんだよね。

やけのはら:あー、はいはい。ていうか、ジェフ・ミルズが音楽を担当した、麿赤児さんの大駱駝艦の公演ですよね。それから次の日にも何かで野田さんに会ったんですよ。

寺尾沙穂さんのライヴじゃない?

やけ:そうです、そうです。

ジェフ・ミルズのときに行って、「あれ、やけのはらに似てるひとがいるなー」と思って。あまりにも似てるなーと。そしたら本人だった(笑)。

やけ:あれは、友だちが劇に出てたから。

「何でここにいるの?」って。

やけ:野田さんはおかしくないですよね、ジェフ・ミルズだから。僕はジェフ・ミルズだから行ったんじゃなくて、友だちが出るのに興味があるから行ったんですけど。

しかも2日連続で会ったからね。びっくりしたよね。ずっと会ってなかったから。実際、前のアルバムから今回のアルバムまで長い年月が経ったんだけれど。

やけ:そんな、そこまでは(笑)。10年とかじゃないんで(笑)。えっと、前が夏なんで2年半。

2年半かぁ......。そうだよね。なんか、『THIS NIGHT IS STILL YOUNG』の頃がすごく昔に思えない?

やけ:それは僕もあります。いろんなひとたちにとっても3.11があったんで、やっぱりそれ前後っていう考えがあるんだろうし。自分のなかでも、同じ世界の同じ時間のつながりのなかですけど、そのときの雰囲気というか感情ってまた違うものとしてあるイメージがありますね。

今回の『SUNNY NEW LIFE』は、『THIS NIGHT~』を出した後から考えられていたものなの?

やけ:考えてました。なんていうか、ラッパーとしてガツガツとアルバムを出していこうって感じじゃないんですけど、『THIS NIGHT~』で自分なりのラップ・アルバムを1枚作れて、やっと作り方がわかったというか、いちおうできるってなって。ただ、早く作れるタイプでもないので、そのうちできればいいやっていうのだと、5年か10年かわからないけど、なかなかできないだろうなっていうのもあったし。
 もともとの気持ちとしても、DJのほうが自分の性格には向いてると思っていて、そういうのは自分のライフ・ワークとしてずっとできるかもしれないし。でも声出してラップして、っていうことはいろんな状況や自分の体力とか気持ちとかにしろ、できるタイミングにできるだけやりたいなっていうのもあったので。気持ち的にはすぐ作りたいぐらいの感じで思ってたというか、最初は「2011年に出します」って言ってましたね。
 そこに震災があって、いろんな面でドタバタしたりっていうのがあって、作業も止まるわっていうか、2011年は早かったっていうか。思うようにできず。まあ、なんやかんやで多少時間経ったなっていうか。イヴェントにはいろいろ出たのはあるんですけど。そんななかで2年半経ちましたが、気持ち的には早く出したいっていうのはありましたね。

サンダルはいつやめたの?

やけ:30歳ぐらいじゃないですか。大人になったんじゃないですか。

あれはやめようと思ってやめたの?

やけ:うーん、覚えてないですけど、なんですかねえ。ある日、「この靴キレイだしいいなー」と思って、わらしべ長者的に。靴をいっぺん履き出すと、現代人は恐ろしいもので、もう靴のない生活には戻れないですよ。

なんで(笑)?

やけ:いやいやいやいや、ちょっともうそういうのは。

逆に、あの頃ってなんでつねサンダル履きだったの?

やけ:よくわかんないです。ラクだったんじゃないですか?

最初会ったときのインパクトっていうのがサンダルに集約されているところがあって。だって、真冬に、横浜から渋谷までサンダル履いたまま来てラップするひとって、それまで知らなかったからね。

やけ:そういう感じで書いてましたよね。そのときに「スポーツシューズではなく、サンダルを履く彼の......」っていう風に書かれていたのを覚えています。

やけのはらと言えば、冬でもサンダルっていうイメージだったのにね。

やけ:そこまでいくと極端じゃないですか(笑)?

上はダウン着ているのに、足がサンダルというね(笑)。でも、今回のアルバムもそういう意味では、変わらないというか、やけのはららしいなっていう風には思ったけど。もちろん変化はあるけど、「彼ならこういうときこういうこと言うだろうな」っていう。

やけ:そう言ってもらえるのは嬉しいですね。

取材:野田 努(2013年4月10日)

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